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中国がアニメ産業の育成に躍起な理由(COLUMN)
「私の孫が見るテレビ番組といえば、『ウルトラマン』ばかり。もっと中国のアニメを見るべきだ」
 これは今年3月末、中国の温家宝首相が湖北省のアニメ制作会社を視察した際に発した言葉だ。これをきっかけに、4月に入ってから中国のインターネット上で“ウルトラマンたたき”が一気に広がったのを、ご存知だろうか?
「ウルトラマンの暴力は、まるで戦時中の日本人のように残虐だ」「ウルトラマンなんか、ぶっつぶせ」といった過激な書き込みが相次いだのだ。
 その一方で、「ウルトラマンを越える面白い番組をもっと作って欲しい」「中国のアニメや実写が面白くないから、どうしても日本の番組を見たくなるのだ」といった意見も書き込まれた。
 温家宝首相の発言は、「国産アニメ業界よ、もっと視聴者に喜ばれる番組を作れ」といった激励に聞こえる一方、「日本の人気番組の輸入を規制しているにもかかわらず、国産アニメがなかなか成長しない」という嘆きや苛立ちに聞こえなくもない。
 発言の裏には、果たして権力闘争も絡む政治的背景があるのか否か、その真意は計り知れない。だが、中国では「首相の発言の引き合いに出されるほど日本の『ウルトラマン』やアニメの浸透度が高く、抜群に人気がある」ことは確かだ。
温家宝発言の背景にある日本アニメブームへの危機感
 思えば、筆者の知る30代~40代の中国人男性たちも、皆「奥特曼」(ウルトラマンの中国語)の大ファンだ。彼らは幼い頃にテレビで見て夢中になり、「大きくなったらウルトラマンみたいに強くなりたいと思った」と、今でも目を輝かせながら言う。
 幼い頃に同じ番組を見ていたというだけで、異国の人とは思えないほど意気投合し合えるのだから、テレビの持つ力は偉大だ。
「ウルトラマン」のような実写もの以外にも、中国では日本のアニメが大人気だ。1979年に中央電視台で放送された「鉄腕アトム」をはじめ、80年代には「一休さん」「母をたずねて三千里」「花の子ルンルン」、90年代には「ドラえもん」「スラムダンク」「クレヨンしんちゃん」などが放送され、大ブームとなっている。
 中国の子供たちは日本のアニメを見て育ち、日本のアニメ産業は、国内のみならず中国や海外でも広く知られる存在となった。
 このような日本アニメの華々しさを尻目に、中国がようやくアニメ産業の育成に乗り出したのは、2000年代に入ってからのことだった。
 もともと中国アニメの歴史は日本よりも古く、1920年代に遡る。40年代には、上海で「西遊記」をベースにしたアニメが製作されたこともあった。業界関係者によると、「かの手塚治虫氏が中国アニメに触発された」という逸話も残っているぐらいである。
 だが、文化大革命や経済発展の遅れなどの影響でアニメ産業は発達せず、欧米や日本に大きく水を空けられてしまった。その遅れを挽回しようと、政府は04年に「アニメ産業発展に関する若干の意見」を公布。アニメ産業の育成戦略を明確に打ち出したというわけだ。
 これは、「第11次5ヵ年計画」(06~10年)の柱となる「国産自主技術、自主ブランドの育成・振興」にもつながる戦略であり、国産アニメの保護・発展を目的に、ゴールデンタイム(午後5時~8時)における海外アニメや実写の放送が禁止された。
 他産業では、これまで外資の導入によって国内技術の向上を押し上げて来た中国だが、アニメ産業に関しては、海外製品を締め出して国産アニメを量産し、「国民にもっと国産アニメに目を向けてもらおう」という政策をとったのである。
 アニメ産業育成のため、政府は国内17ヵ所に「アニメ産業基地」を設立。優遇措置を施して人材育成を行なったり、杭州で大々的にアニメ・フェスティバルを開催したりして来た。
 その効果は大きかった。国のアニメ制作会社は02年の120社から06年には5400社へと急増し、市場規模も250億元(08年の中国政府統計)と飛躍的に伸びたのである。07年に中国国内で制作されたテレビアニメ制作量は約13万分と、前年比28%も増加しているほどだ。
作品は増えても質は向上せず
海賊版DVDばかりが売れる現実
 しかし、一気に作品数やクリエーターの量は増えたものの、質の向上は“促成栽培”というわけには行かなかった。
 テレビでヒットして映画化され、今年の旧正月に上映された「喜羊羊与灰太狼」が、国産アニメとして史上最高の興行収入を獲得したという明るいニュースはあったものの、市場規模はいまだ日本に及ばない。
 残念ながら、日本やアメリカのアニメに対抗できるほど知名度が高い“ブランド”や“ヒーロー”は、まだ育っていないのが実状だ。
 その理由は、いくつか考えられる。
 第一に、中国のアニメキャラクターはこれまで歴史上の人物や神話などの物語からヒントを得て生まれたケースが多く、教育色や教訓色が強かったため、子供たちにとって「面白くない」ものが多かったことが挙げられる。
 中国では、小説や映画でも「表現の自由」が制限されてきた経緯があり、それは今でも変わらない。そうした社会で育ったクリエーターたちが無意識のうちに自由な発想を持てないでいるという傾向もある。
 第二に、知的財産問題が挙げられる。皮肉にも、ここ数年海外アニメを締め出して来たにもかかわらず、中国では相変わらず“海賊版DVD”が蔓延している。
 そのため、国内アニメよりも海外アニメ(特に日本作品)の人気が依然として高く、テレビで放送されていない作品でも、海賊版やインターネットでダウンロードされてしまうという現象に悩まされて来た。
 テレビ以外でも「面白い」アニメが見られる以上、視聴者がそちらに流れて行くのは当然だろう。
 中国政府が国産アニメの育成を急ぐ背景には、「国産アニメ産業を整備して国民の意識を高めることにより、これまで批判されて続けてきた海賊版の撲滅にもつなげたい」という意向があるのだ。
 中国にとって、知的財産権問題の改善は重要課題のため、逆に言えば「知財問題を解決しなければ、国内アニメ市場の正当な育成もままならない」ということになる。
 今やメディアのコンテンツは、人やモノとは違い、インターネットを通じていとも簡単に「海を越えて」しまう。つまり、「知財問題とアニメの育成は表裏一体の問題」とも言えるのだ。
日本アニメの締め出しから合作へ
方向転換も模索する中国の悩み
 しかし、ここに来て新たな動きも出始めている。それは、「日本のアニメを締め出すのではなく、逆にそれを積極的に受け入れて、自分たちも成長しよう」という試みだ。
 たとえば、今年3月に行なわれた「東京国際アニメフェア2009」では、中国の文化部が大規模な出展を行ない、有力アニメ制作会社の作品を紹介すると共に、日中合作に向けたプロジェクトを発表した。
 日中のアニメ業界に詳しいSTVジャパン(上海メディアグループの100%出資会社)コンテンツ・プロデューサーの佐々木潤二氏によると、「中国のアニメ専門学校から日本のアニメ専門学校への提携話なども相次いでいる」という。
 このような動きに対して、日本のアニメ業界も食指を動かしている。
 宮崎駿監督の作品が大ヒットし、今年2月には「つみきのいえ」(加藤久仁生監督)が米国アカデミー賞・短編映画賞を受賞するなど、日本のアニメ界は一見活況を呈しているかに見える。
 だが、「日本のアニメ界を支えているのは中高年のクリエーターやアニメ作家たちであり、労働環境が厳しい業界の体質などもあって、クリエーターや作品の質が落ちている」(関係者)という見方もある。
 そこで、国内市場は拡大の余地が見込めないため、「中国に活路を求めよう」という関係者が増えているのだ。
「日本のアニメ企業は知財問題がクローズアップされるようになって、中国進出に二の足を踏んでいる。しかし、今中国の若者に求められているコンテンツは、間違いなく『ジャパン』。日中が双方のよい面を認め合い、協力し合うことで、互いに垣根を越えた“内需拡大”を実現できるのではないか」
 前出の佐々木プロデューサーは、こう指摘する。
 部品や機械などの産業と違い、クリエイティブなコンテンツ産業は、国情や社会背景、文化などに影響され易い。そのため、情報交換や技術の伝承といった面で、難しい課題も残されている。
 だが、ひとたびヒット商品を生み出せば、そこからキャラクターのフィギュア、文房具、衣服など数多くのライセンス商品が派生し、“ビッグチャンス”につながることは間違いない。
 中国では、日本の週刊マンガ雑誌のように、毎週インターネット上の動画で連載を配信するサービスがあり、若者に絶大な人気を誇っている。また、中国で最も有名なポータルサイト「新浪」でも、無数の動画サイトを見ることができる。こうした日本には存在しないサービスも、日本企業にとっては魅力なのだ。
 温家宝首相の発言により、今回図らずも内外で注目を浴びた中国アニメ産業の実態。今後、中国のアニメ業界はどうなって行くのだろうか? 5年後、10年後に、中国のアニメ業界から日本人も憧れるような“ヒーロー”が誕生する日が、果たして来るのだろうか?



盧前大統領聴取 変わらなかった韓国政治文化(5月4日付・読売社説)
 韓国の最高検察庁が収賄容疑で盧武鉉前大統領を事情聴取した。
 大統領在職中に、夫人と、実兄の娘婿が、有力後援者である靴製造会社会長から計600万ドル(約6億円)の外貨を受け取った不正資金供与疑惑に、盧武鉉氏が直接関与していたとの疑いだ。
 盧武鉉氏は「在任中、カネの授受を私は知らなかった」と収賄容疑を否定していた。だが最高検は、発電所建設事業や企業買収への口利きを当て込む賄賂(わいろ)だった可能性もあるとみて追及した模様だ。
 最高検は週内に、逮捕状請求の可否を決めるという。
 韓国で検察当局から事情聴取された大統領経験者はこれで3人目だ。1995年に逮捕にまで至った全斗煥、盧泰愚両氏の場合は、収賄罪と反乱罪で、それぞれ無期懲役と懲役17年の実刑が確定し、後に赦免されている。
 国家元首だった人物が収賄で取り調べられるというスキャンダルがまたも繰り返された。
 14年前、日本円で300億円を超す巨額の収賄が糾弾された盧泰愚元大統領は、「在任当時の政治文化では避けられない一面もあった」と釈明したことがある。
 問題は、強大な権限を持つ大統領の周辺で欲得ずくの怪しげなカネが乱舞するその「政治文化」が、その後も変わっていないように見えることだ。
 2人の大統領経験者を断罪した金泳三元大統領は「カネは一切、受け取らない」と言明した。本人は無事でも、「小統領」と称されるほど人事に介入した次男は、企業から請託を受けた見返りに巨額の金品を受け取り逮捕された。
 革新政権として登場した金大中元大統領も、3人の息子がそろって同様の容疑で摘発された。
 盧武鉉氏の場合も、すでに企業買収に絡んで実兄が、今回の不正資金供与疑惑で側近だった元秘書官が逮捕されている。夫人と長男も事情聴取を受けている。
 軍人政権や保守政権の「不正腐敗」を厳しく非難し、「清廉さ」や「道徳性」を強調して若い世代の支持を集めた左派政権といえども、権力の座につけば、例外ではなかったということだろう。
 説明のつかないカネの授受が明るみに出たことで、盧武鉉氏の権威は失墜した。左派勢力の政治的な影響力も、相当そがれることになるに違いない。
 地縁主義、血縁主義に支配されることなく政治資金の透明性をどう確保するか。保守派の李明博政権にとっても重い課題だろう。
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