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小さなチームで「マイクロな市場」狙うITmedia 変化するニュースメディアの生態系(COLUMN)
 インターネットのニュースメディア専業で初の上場を果たしたアイティメディア(ITmedia)は、多くの新興ニュースメディアのなかでも「勝ち組」に数えられる。藤村厚夫会長と主力サイトであるITmedia News編集部の小林伸也・担当編集長にニュースメディアのこだわりやビジネスとしての戦略を聞いた。
■小さなメディアの集合体
 ITmediaはソフトバンクグループのインターネット専業メディアとして1999年に設立され、2007年に東証マザーズに上場した。月間1億ページビュー、ユニークユーザーは1200万人に達する。ITmediaの特徴は1つの大きなメディアではなく、小さなメディア(サイト)の集合体であること。既存のマスメディアを百貨店とすれば、ITmediaは専門店やセレクトショップのモールと考えると分かりやすい。
 ビジネスパーソン向けにはITニュースの「ITmedia News」やビジネスニュースの「誠 Biz.ID」、経営者・管理職向けの「ITmedia エンタープライズ」、IT技術者向けの「@IT」など、20以上のサイトやサービスを抱える。消費者向けの「+D(プラスディ)」に至っては、PC、モバイル、ゲームとさらに細かく分かれ、絞り込んだターゲットに向けてニュースを発信する。
 「そもそも、メディアを大きくするつもりはない。特徴、ユニークさが大切。ネットメディアは登場して10年近くになるが、ユーザーに刺さる小さな杭をたくさん立てるという方針でやってきた。今のところはうまくいっている」と藤村氏が話すと、小林氏は「携帯市場がでたら携帯、ライフハックに注目が集まればビジネス向けというようにメディアを作ってきた。ネットが大きくなり、市場が細分化していくところに杭を打っていったら、結果としてメディアの数が増えた」と続けた。
■マイクロ、ミクロなニーズに応える
 編集部は、新聞などのマスメディアが1つの紙面を作るために何十人もの記者を配置するのとはまったく異なり、各メディアが多くても5~6人でチームを組み、それぞれのサイトの編集にあたる。これらの小さなチーム一つひとつから、専門性の高い記事が月間約3000本出稿されている。売上高に占める人件費の割合は2009年3月期で54.8%。社員は200人弱で、編集者や記者(デザインなども含む)が半分を占める。少人数で編集する手法は「マーケットのニーズであるマイクロ、ミクロな方向に適したやり方」と藤村氏は話す。
 藤村氏はアスキーで雑誌の編集長を務めた経験から「月刊誌を作るには部員が10人必要で1万部売らなければならないと信じ込んでいたが、それは既存のやり方を壊せないだけだった」と振り返る。「今では30人の編集チームは考えられない。ネットメディアがいいのは、特定のことに関心・興味がある人にきちんと情報を届ければ(規模が小さくても)コストがつりあうところ」と言う。
 藤村氏によると「今はマスプロダクトが成立しない時代」という。例として挙げるのは、小さなコンビニでも十数種類が置かれているミネラルウォーターだ。「水という付加価値のつけにくい商品でさえ200種類のブランドで売るのが今の時代。世の中の人々の関心は、我々メディア人が見ているより微細にわたっている」
■広告収入が悪化、会員制ビジネスを強化
 アイティメディアの09年3月期の連結売上高は約31億円。一般の広告収入が79%、登録会員の属性情報を利用した広告を含むプロファイル型ビジネスが21%という比率だ。プレミアム会員向けの課金モデルについては、業界の動向は注視しているというものの、「当面は(読者が無料で読める)広告モデルでいく」と藤村氏は話す。
 08年3月期までは広告収入が順調に伸びたが、昨年来の景気悪化で今は厳しい。09年3月期は売上高が9.8%減少し、5100万円の最終赤字となった。10年3月期も最終赤字が続く見通しだ。ネット広告は全般に単価が下落しており急速な回復が見込めない。そこで単価の高いプロファイル型ビジネスにシフトするという。 特に力を入れているのはIT製品やサービスの導入・購買を支援する会員制サイト「TechTarget(テックターゲット)ジャパン」だ。企業の情報システム部門に関わるビジネスパーソンをターゲットにしたサイトで、会員は役職や職種などの属性を登録したうえで利用する。
 サイトでは専門性の高い記事のほか、企業が提供する詳細な製品情報や、導入事例の動画などを配信している。企業側は自社の情報を閲覧した会員の属性を把握してマーケティングに生かせる仕組みで、企業が情報を掲載するために払う手数料がアイティメディアの収入となる。
■叩かれ強い人じゃないと通用しない
 それではアイティメディアが考えるニュースとは何だろう。小林氏にその質問を投げかけたところ、「ニュースとは何か?と尋ねられるのは、最も答えに窮することの1つ」と前置きしたうえで、「自分が面白いと思ったものがニュース。まず、面白いと思ったものをユーザーに投げて反応を見る、そういうことを続けてきた」との答えが返ってきた。藤村氏は「経営者側が口を出すことはない。現場の感覚」という立場だ。
 編集が意識しているのは独自の切り口を探すこと。北海道新聞の出身である小林氏は「新聞の取材力は分かっている。既存のメディアと同じことをやっても勝てないし、意味もない」。ただネットの世界に入った最初のころは記事を書きながら「これはブログとどこが違うのか」と悩んだこともあったという。
 「新聞記者時代に上司から『小林、森羅万象がお前のネタだ』と言われたのですが、ネットで記事を書くようになり、ようやく意味が分かった」と小林氏は話す。ネットメディアではありとあらゆることが本当にニュースになると実感したという。
 記事を書く側から見た新聞とネットの最も大きな違いは何か。1つは、アジェンダの設定にある。新聞では、切り口のベースに「これは社会的に問題だ」という意味が含まれることが多いが、実際にはそれは新聞社、あるいは編集幹部の問題意識であり、読者はもちろん記者当人ですら完全に共有しているわけではない。
 ITmedia Newsでは、記事は「誰が、何をしたか」という事実を伝えることに徹し、ブログや掲示板、ソーシャルブックマークといったネットのコミュニティーでの解説や議論に続くよう工夫する。それができるのはネットが双方向的で、反応がすぐに見えるからだ。
 「新聞は読者が見えない。暗闇に向かって記事を書くようなものだった」と小林氏は振り返る。ネットでは記事の評価がすぐに表れる。ポジティブな反応を得られることもあるが、ブログや掲示板で読者に批評され、時には批判が殺到して「炎上」する。「叩かれ強い人じゃないとネットでは通用しない」と小林氏は笑う。
■ブログとニュースメディアはすみ分けられるか
 メディアの多様化により、これまでの新聞、テレビ、ラジオ、雑誌のマス4媒体では取り上げられなかったニッチな情報、マイナーな情報でも発信できるようになった。それゆえにターゲットを絞ったニュース専門店としてアイティメディアが成立した。だが、見方を変えればユーザーも自分で情報発信できる。
 ネットは諸刃の剣だ。総務省情報通信政策研究所(IICP)が、2008年7月に発表した「ブログの実態に関する調査研究の結果」によると、国内のブログ総数は1690万件にも上っている。プロフェッショナルな記者はブロガーとどう違うのかという、小林氏が最初に抱いた疑問に突き当たるのではないか。ニュースメディアとブログが対立することはないのだろうか。
 明確な答えは聞けなかったが、ブログなどのソーシャルメディアとプロはすみ分けられるというのが2人の共通した見方のようだ。藤村氏はすみ分けができている例として「ITmedia +D PC USER」を挙げた。パソコンやプリンターなどの製品を詳しくレビューし「ブログなどで参照されて、議論の題材にもなっている」と話す。情報を提供する部分にフォーカスしているのは小林氏の編集方針とも合致する。
■戦略的なメディア設計が重要に
 今後、ニュースメディアはどうなっていくのだろうか。ネットの登場は、既存のマスメディアからはネガティブに捉えられることが多いが、小林氏は「ネットによって社説や政治面にスポットライトがあたった」と話す。藤村氏は「Yahoo!トピックスでニュースを読む人がたくさんいるということは、ニュースの読者が増えていると考えることもできなくはない。ジャーナリズムがなくなっていいのかという問題と、メディア企業がつぶれていいのかという話がごっちゃになっている」と指摘する。
 ネットの特徴は新聞や雑誌、テレビ番組といったパッケージをバラバラにし、コンテンツがアトム化(細分化、孤立化)してしまうことにある。藤村氏は「バラバラにしたコンテンツをどう組み立てるのか、みんなの知恵が必要になっている。うまく並べ替えれば魅力あるコンテンツにできるのではないか」と期待を語る。
 多数の記者を抱え、レイアウト、印刷、配達までのロジスティクスまで抱えている大手新聞社と、小さく、軽いことが求められるネットメディア。新聞社が「巨艦巨砲」なら、ネットメディアは小回りが利く航空機の編隊のようにも思える。
 藤村氏は、コンテンツやパッケージ、ロジスティクスが大きく変化している状況から、これまで価値とされてきたものが不要になる可能性を指摘する。「メディアの人たちは、戦略的に発想していくのが苦手だが、これからは設計図を書いて、建物をつくっていくメディアアーキテクトが求められるでしょう」



概算要求基準、「重点枠」最大3500億円 財務省調整
 財務省は26日、2010年度予算の大枠となる概算要求基準(シーリング)について、重要政策に予算を重点配分する「重点枠」の規模を最大3500億円とする方向で与党と調整に入った。麻生太郎首相が最優先課題に掲げる「安心社会の実現」や「成長力の強化」に予算を優先的に振り向けるのが狙いだ。
 重点枠は、09年度予算の概算要求基準でも3300億円の「重要課題推進枠」を設置した。来年度予算編成では規模をどの程度にするかが焦点となっていた。若者向けの雇用支援の強化や医師不足の解消、成長力の強化につながるインフラ整備などに充てる。



ナムコ、ゲームセンターに「ICコイン」 多彩な料金設定も
 ナムコは26日、運営するゲームセンターに、あらかじめ現金をチャージしておくと小銭なしで各ゲームが遊べる「ICコイン」の導入を始めたと発表した。円形をした500円玉大のカードで、各施設に設置する専用機器で発行・チャージできる。通常の硬貨と同様にゲーム機に投入すると料金が精算されてカードが返却される仕組みだ。ゲームセンター業界で初めての取り組みとしている。
 カードの名称は「ナムコイン」。同社のゲームセンター専用で、チャージ分は当日限り有効とする。



楽天市場に有力ブランド 家電やパソコン、老舗菓子店など
 インターネットの仮想商店街、楽天市場に有力ブランドの「出店」が相次いでいる。家電やパソコン、百貨店のデパ地下などに出店している有名菓子店や老舗店が、不況による販売減少を機に出店コストの低いネット通販を拡充しているため。楽天市場は5300万人の会員を持つネット通販最大手。自社サイトを閉鎖して大手ネット通販に販売窓口を一本化する企業もあり、通販サイトの選別も進んでいる。
 7月1日にはマキシム・ド・パリ(東京・千代田)が出店する。同社は東急百貨店本店など百貨店を中心に首都圏で8店舗を展開している。「百貨店の販売が厳しいなか、成長市場のネットに注力したい」(同社)。全国どこからでも注文できるネット通販の強みを生かし、地方への販路拡大を目指す。
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