(#゜Д゜)/新聞

音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル、頼みの携帯配信も頭打ち、「神風」を待つ音楽業界(COLUMN)
 発売解禁の午前0時へのカウントダウン。
「スリー! トゥ! ワン! ゼロ! マイコー!!」。
 深夜の渋谷に歓声が上がる。電話ボックスの屋根で踊りだす人も出現。
 1月26日、急逝したマイケル・ジャクソンのDVD『THIS IS IT』を1秒でも早くゲットしようと、数百人のファンがタワーレコード渋谷店前に詰めかけた。
 その光景は、ジリ貧にもがく音楽市場に訪れた、つかの間の“真冬の夜の夢”だった。今、日本の音楽市場は、長期低迷の中を漂流している。CD生産額はピーク時の半分以下に落ち込み、レコード会社の再編もささやかれる。
 レコード専門店は一足先に淘汰の動きが本格化、かつてのトップ企業も経営再建中で、外資はすでに資本を引き揚げた。エイベックス旋風が吹き荒れたかつての華やぎは、もはや遠い過去だ。
「2ケタ減」の重い意味 音楽は消費する商品に
 1990年代中盤、CDバブルは遅れてやってきた。団塊ジュニアがCD購入層に到達し、J-POPの質が向上。ドラマ主題歌・CMソングは即ヒットという構図が定着した。
 エイベックスによるテレビCMという新手のマーケティング手法も当たった。「CDのCMなんて」と鼻で笑っていた他社も追随、CD需要は一気に盛り上がった。
 それは「J-POPが若者のアイデンティティと一体化して社会現象になり、メガヒットが生まれた」(木哲実・タワーレコード社長)時代。99年、『First Love』(宇多田ヒカル)の700万枚セールスはその象徴だった。
 あれから10年、「大衆化を経て聴き手が成熟化し、楽しみ方も多様になっている。メガヒットは出にくくなった」と木社長は話す。
 99年ごろからバブルは急速に剥げていく。CDに限れば一直線の右肩下がりをたどったが、「着うたフル」などの有料配信も足せば、4600億円程度の横ばいが続いてきた。
 が、2009年には配信もついに頭打ち、全体で1割程度は落ちそうだ。踊り場をさらに一段下りた感じである。
 小池一彦・ユニバーサルミュージック合同会社CEOが話す。「海外の同業者に『2ケタ減になると加速度的に下がるぞ』と言われた」。まさに減少率は2ケタで、08年11%減、09年15%減と悪化している。
 売れなくなった背景は三つある。一つ目は、賞味期限が短くなったこと。ちょっとヒットが出ると、一斉に寄ってたかって研究し2匹目のどじょうを狙う。当然聴き手は飽きる。
 もう一つは、需要構造の変化だ。
 多くの若年にとって、音楽は所有するものというより、消費する商品の一つになった。データであれば、聴かなくなったら消去する。
 「08年度音楽メディアユーザー実態調査」(日本レコード協会)によると、学生などの若年層は、音楽の入手コスト、支払いコスト、保存コストのうち一つでも許容できなければCDを買わず、配信、レンタルを利用するという。魅力ある楽曲しか高いハードルはクリアできない。
レコード店7割減でも不変のビジネスモデル
 さらに配信への移行がある。シングルのミリオンセラーは07年以降、ゼロとなった。これが示すのは、シングルのかなりの部分が配信に置き換わった事実だ。配信料金はシングル盤価格の約3割なので、単なる置き換えだと売り上げは6割減る。
 CD減少、配信拡大の影響をモロに受けているのが、現物販売がすべてのレコード専門店だ。旧外資系を除く専門店の約半分が加盟する日本レコード商業組合の加盟店数は、ピークの92年約3200店から09年約820店へ、なんと74%も減った。
 専門店チェーンの勢力図も激変している。かつてのトップ、新星堂はHMVも保有する大和証券系ファンド傘下で再建中だが、今期3~11月期決算で債務超過寸前。すみやはTSUTAYAを展開するCCCが完全子会社化して上場廃止。そのCCCもCD販売不振から10年3月期予想を大幅に下方修正している。元気がいいのはMBOで米国本社から独立した、豊富な在庫と専門性が武器のタワーレコードぐらいだ。
 レコード会社はまだましだ。音源という資産を持っているし、配信の売り上げが立つからだ。だがそれでは満足できない。シングルで複数ヒットを出し、高額のアルバムを買ってもらうのが、この業界のビジネスモデル。単価の安い配信では制作費、販促費をカバーできず、アルバムで投下費用を回収するという構造は今も変わらない。やはり、最後はCDが売れないと困るのだ。
 各社も手を打ってはいる。
 エイベックスはCD依存から脱却すべく、ライブや映像事業に活路を求める。ぴあ総研の笹井裕子取締役によれば、ライブ市場全体は微増傾向が続き、09年も過去最高を更新したもよう。が、「施設制約があり今後も漸増基調。CDに代わるのは難しい」と分析する。会場で売る高粗利のアーティスト関連商品も販売量に限界がある。
 映像事業では、出資した映画『レッドクリフ』がヒットしたものの、米国での配給権が売れないことなどから前期に特損10億円を計上。携帯放送「Bee」も利益貢献には時間がかかる。
 ユニバーサルはレコード会社から「音楽サービス企業」への変革を目指す。地方にスカウトを常駐させて新人を発掘、商品化権などアーティスト回りの権利を押さえ、マネジメント事業を強化する方針だ。また、携帯電話に音源を提供するようなBtoBも進める。
 ただ、これらは緒に就いたばかりだ。
 一方、以前からアニメを手掛け、「総合エンターテインメント企業」を標榜するソニー・ミュージックエンタテインメントは、「他事業の比率が上がるが、核は音楽」(古澤清・ソニー・ミュージックディストリビューション社長)というスタンスを貫いている。
 上位3社の方向性はそれぞれ違うものの、CD不振による悪影響から当面逃れられないのは同じ。レコード専門店が急激な縮小過程に入っている今、対応は待ったなしだ。
ボロボロの米国市場 「米国の轍を踏むな」
 今、業界関係者が他山の石と注視しているのが米国市場の動向だ。
 イノベーション好きな国民性もあり、配信が急速に普及する一方で、ウォルマートなど量販店が新譜を大量に安値で仕入れ、客寄せの目玉にする。
 レコード専門店が太刀打ちできるはずもなく、HMVなど英国勢は撤退、老舗タワーレコードは破産法を申請するなど専門店チェーンは姿を消した。量販店に旧譜はないので、欲しい人はアマゾンで買う。
 専門店チェーンが消えて表面化したのが、新人育成の問題だ。洋の東西を問わず、店頭はイベントなどを通して「新人を育てる場所」(ソニー・ミュージックディストリビューションの古澤社長)だった。
 製販連携が途絶えた結果、98年のブリトニー・スピアーズ以来、めぼしい新人が現れず業界の活力は低下したという見方もある。
 米国と同じ轍を踏まないために、さまざまな模索は始まっている。
 その一つが、買ってくれる人に売る、という現実路線。昨春、ユニバーサルは40歳以上をターゲットに、「大人の音楽」キャンペーンを始めた。ひとまず好スタートを切り、今冬は同業13社の共同企画に昇格した。またソニー・ミュージックは、落語で共同企画を計画している。
 レコード会社が気づかない需要を掘り起こすべく、川下の特性を生かすのはタワーレコードだ。
 「ヒットは出にくくなったが、小さいチャンスは偏在。レコード店でもできる」と木社長。1月には、同社と縁のあるアーティストたちによるコンピレーションアルバムを発売。今後は廃盤の復刻、忘れられた旧譜の発掘にも力を入れていく。
 だがこうした打開策も、生産額、店舗数の長期衰退傾向に歯止めをかけるには不十分だ。店舗販売をCD販売の基本とするかぎり、店頭在庫の問題を避けて通れない。
 CDでは、同じ再販商品でも委託制で返品自由な書籍類と違い、買い取り制を採るため、売れ残りリスクを小売りが負う(1割程度の定期返品を除く)。
 そうでなくてもCD不振で、リスクを避けたい販売店は発注を控える。当然レコード会社の生産も減り、ますます店頭は貧弱になる、という悪循環に陥っている。
委託か、買い取りか そろわない両者の足並み
 小売り側の希望は委託制の導入だ。「全部委託に、とは言わない。一緒にキャンペーンを打つときに協力してほしい。リスクを分担して売り上げを伸ばそうということだ」と関係者は訴える。メーカー在庫の消化が進むため、相対(あいたい)でひそかに行われているようだが、一気には進まない。
 大きな理由はアーティストやプロダクションとの関係だ。現状は、たとえ売れなくてもCD出荷時点でアーティストに印税が入る。売れた時点で出荷となる委託はアーティストにとって不利益変更。レコード会社は機嫌を損ねたくない。
 結局、ヒット次第じゃないか、ということになる。「制作能力を再度高め、ヒットとスーパースターをつくる」(ユニバーサルの小池CEO)と、強烈な自負心が顔を出す。
 米アトランティック・レコーズ創設者は「1曲のヒットが窮状を好転させる」という言葉を残した。残念ながら、この窮状を好転させるのに、1曲ではとても足りそうにない。



北朝鮮情勢 体制を揺るがす経済の失政(2月14日付・読売社説)
 北朝鮮の経済危機は、6か国協議の行方にどう影響してくるのか。
 訪朝した中国共産党幹部が金正日総書記と会談した直後、今度は北朝鮮の外務省高官が北京で中国側と連日の協議を行った。昨年12月の米朝協議に続く、6か国協議復帰へ向けた北朝鮮の対話姿勢だ。
 金総書記は、6か国協議の再開について「関係国の誠意ある努力が非常に重要だ」と述べた。「協議には二度と絶対に参加しない」と拳を振り上げたものの、何らかの見返りや名分が得られれば復帰も可能、と言いたいのだろう。
 北朝鮮が戦術を転換した背景には、経済の窮状がある。
 北朝鮮の核実験に対応して、国連安全保障理事会が採択した制裁強化決議の影響が大きい。モノ、カネ、人の移動を厳しく監視する国際包囲網の形成によって、禁輸対象の武器取引など外貨稼ぎが困難になった。
 国内では、昨年11月に突然実施した旧100ウォン通貨を新1ウォン通貨に交換する通貨交換措置が、暮らしに大混乱をもたらしている。
 交換額に上限を設けたため、タンス預金の大半が紙切れになることを恐れた人々は、一斉に外貨やモノとの交換に走った。それが、当局がもくろんだインフレ解消とは逆の、さらなる物価上昇を招く結果につながったようだ。
 年初、党機関紙など主要3紙の共同社説が、「人民生活の向上で決定的な転換を」と訴えたのも、一向に改善されない衣食住への国民の不満を意識してのことに違いない。そのために対外貿易の拡大を掲げるが、核放棄へ具体的に動かない限り、実現は困難だ。
 問題は、北朝鮮が、6か国協議に復帰する条件として、依然、制裁「解除」を要求している点にある。そのうえ、肝心の非核化論議に先だって、朝鮮戦争休戦協定の当事国による「平和協定の締結」を行うことも求めている。
 それを受け入れれば、核兵器保有の既成事実化につながる。身勝手な要求だ。北朝鮮は、無条件で協議再開に応じるべきだ。
 日韓両国の外相が、「制裁解除や平和協定のためには、北朝鮮による非核化等の措置が必要だ」と指摘したのも当然である。
 経済失政は、金総書記の健康問題と共に、体制の統治能力の脆弱(ぜいじゃく)化をもたらす可能性がある。核を持つ北朝鮮の不安定化は、核拡散や脱出難民の急増など、日本の安全保障に深刻な影響を及ぼす。
 米国や韓国とも連携を強化し、北朝鮮情勢を注視すべきだ。
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