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ソフトバンク、「つながりやすさ」と「借金返済」のはざまで(COLUMN)
 実質新年度相場に入った29日、東京株式市場では日経平均株価が前週末比9.9円安の1万0986円47銭と4営業日ぶりに反落した。NTT、NTTドコモ、KDDIの主力通信株も軒並み反落するなか、逆行高を演じたのがソフトバンクだ。前週末比82円(3.7%)高の2311円で引け、3月12日以来の2300円台を回復した。
 「ここから1年間で携帯電話の基地局数を今の2倍にします」。孫正義社長が28日午後、都内で開いた同社のイベントでこう語ったのがこの日の上げの材料となった。配当性向の高いNTTドコモなど他の通信大手と比べて、ソフトバンクは配当権利落ちの影響が小さかったほか、株価が最近調整気味だったことも上昇の背景にあったようだが、「本業の携帯電話での基地局整備計画が伝わったことが好感された」(西広市・日興コーディアル証券エクイティ部部長)のは確かなようだ。
 「ソフトバンク電波改善宣言」。こう銘打った一連の施策では、現在約6万ある基地局を2011年3月期末をメドに12万に増やすだけでなく、家や店舗、オフィスなどに設置する片手に載るほどの小型基地局(フェムト)の無料提供の方針も併せて発表した。主力の携帯電話事業の最大の弱点といえる「つながりにくさ」解消をアピールするのが狙いだ。
 月額基本料980円の「ホワイトプラン」や端末の割賦販売など、携帯電話業界での価格破壊や販売方式の革新を仕掛けるとともに、「犬のお父さん」を起用した斬新な広告戦略でブランドイメージを高めてきた。NTTドコモとの競り合いに勝ち、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を日本に導入し、契約者を増やすとともに、スマートフォン(多機能携帯電話)普及の端緒も開きつつある。しかし、いかんせん競合他社に比べて「つながりにくい」。今回はこの点を孫社長自身も認めざるを得ないということを示した形でもある。
 株価上昇のもう1つのポイントは、一気に6万カ所も携帯電話の基地局を増やすのに、来期の設備投資が従来公表していた3000数百億円から4000億円前後にしか増えないとしている点だ。孫社長によると「テクノロジーとコストダウンの進化。そして、ウィルコムの基地局の跡地を、色々なことに活用できること」という。
 注目すべきは後者。ソフトバンクは会社更生法を申請したPHS専業ウィルコムの支援に乗り出すことを決め、「XGP」と呼ぶ次世代PHSの運営会社に30億円出資する。孫社長は「ウィルコムは基地局の場所をたくさん持っている。場所の確保がこれまで大きな課題になっていたから、そういう意味では我々には追い風になる」とも語っている。いくらの節約になるのかは分からないが、30億円の出資でより多額の設備投資の圧縮につながるという「投資効率の良さ」も示したと言えそうだ。
 携帯電話の「つながりやすさ」を追求する一方、同社の場合、2015年3月期までに純有利子負債をゼロにするという「最大の公約」(孫社長)との整合性をつける必要がある。同社は金融危機の影響で、2008年には株価の急落や、企業の破綻リスクを取引するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の急上昇など深刻な信用不安に見舞われたため、借金返済を経営の最優先事項に掲げている。今回の基地局倍増計画を実行しても「純有利子負債をゼロにする約束は変わっていない」(孫社長)と強調するのは、あの生々しい経験を踏まえてのことだ。
 ソフトバンクは携帯電話事業の収益改善により、2010年3月期の連結営業利益は前期比17%増の4200億円、フリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)は65%増の3000億円を見込む。足元の業績は好調で、純有利子負債は09年12月末で1兆6782億円と、過去1年間で約3700億円減らしている。金融不安の後退と携帯事業の成長を背景に株価は上昇。08年末の値を100とした相対株価は、29日の終値では144となり、日経平均株価(124)やNTTドコモ(79)などを大きく引き離している。
 しかし、約2兆円を要した携帯電話事業の買収資金を得るために組んだ「WBS(全事業証券化)」と呼ぶ枠組みにより、携帯電話で稼いだキャッシュフローは、携帯電話事業買収に伴って発生した借金の返済に回すことになっている。また、約41%出資の連結子会社、ヤフーの稼ぐキャッシュも連結決算上は含まれるが、実際にソフトバンクの意のままに使えるわけではない。09年4~12月期でみると、ヤフーの連結FCFだけで926億円と、ソフトバンクの連結FCFの3分の1を占める。携帯電話事業とヤフーを除いた事業の有利子負債は、09年12月末で8820億円ある。株価や既発の社債の流通利回りなど、金融市場での信用力は急速に回復しているが、財務改善の道のりはまだ半ばといえる。
 JPモルガン証券の佐分博信アナリストは「きょうの株価上昇は課題に手を着けることを素直に好感したのだろう」としつつも、「設備投資する分のFCFは減るし、メッセージ性は分かるが(基地局数の)倍増という数字にどれだけの意味があるのか」と指摘する。利用者が求めているのは本当に「つながりやすく」なるのかどうか。ひいてはそれが携帯電話事業の魅力を高めて、価値を上げることにもつながるからで、実質的な効果を見極めねばならないだろう。
 「つながりやすさ(=事業投資の拡大)」と「借金返済(=財務体質の改善)」。ソフトバンクは今後も両者の微妙なバランスに目を配りながらのかじ取りが続くことになりそうだ。



東芝、液晶パネル海外生産から撤退 台湾社に売却
 東芝は液晶パネルの海外生産から撤退する。シンガポールの中小型パネル工場を台湾の液晶パネル大手、友達光電(AUO)に売却する方針だ。リーマン・ショック後の景気低迷で東芝が得意とする高付加価値パネルの需要が減少していることに対応。全体の生産能力を約3割減らして固定費負担を減らし、2010年度の営業黒字化を目指す。
 東芝の全額出資子会社の東芝モバイルディスプレイ(TMD)が、シンガポールの生産子会社AFPDの全株式をAUOに売却することで31日にも基本合意する見通し。売却時期は7月ごろで、金額は今後詰めるが100億円前後とみられる。
 東芝の液晶パネル事業はテレビ向けの大型は手掛けず中小型に特化している。今後、生産拠点は主力の石川工場(石川県川北町)と本社を置く深谷工場(埼玉県深谷市)の国内2カ所となる。



ホンダ、部品調達先を世界で集約 新興国にシフト
 ホンダは自動車部品の調達先を世界で削減する。2013年をメドに部品ごとに調達先を最大で半分に集約するほか、調達地域を日米欧から新興国にシフトする。量産効果を高めて調達コストを約1割減らすとともに、品質管理を徹底する体制を整える。成長する新興国の自動車市場で低価格の小型車需要が拡大するなど一段のコスト削減を迫られており、部品の調達方法を抜本的に見直して競争力を高める。
 日本の自動車メーカーでは00年前後に経営危機に陥った日産自動車が部品の取引先を大幅に減らした例がある。ホンダは今期も黒字を見込んでいるが、新興国市場での激しい価格競争に備えコスト構造を見直す。
 ホンダは日本を含め16の国と地域、計25拠点で自動車を生産。部品の調達先の工場は約2200カ所あり、主にホンダの組み立て工場に近いメーカーの工場から調達している。ブレーキや内装品など部品ごとに調達工場は世界で7~8カ所に分散している。
 ホンダは取引先そのものを減らすのではなく、これらの部品を製造コストの低い新興国を中心とした3~4カ所の工場から調達する方式に改める。
 今年から調達担当者を各地域に配置して現地部品メーカーを調査。11年から部品ごとに取引工場の選定を始め、13年に発売するモデルから順次搭載する。調達先の集約を進めるため、モデルごとに異なる部品の性能や形状を共通化する方針だ。



郵貯限度額2000万円で決着
 政府は30日夜、郵政事業見直しを巡る閣僚懇談会を首相官邸で開き、郵便貯金の預入限度額を現行1000万円から2000万円に、簡易保険の加入限度額は同1300万円から2500万円にそれぞれ引き上げることを決めた。一任を受けた鳩山由紀夫首相が、国民新党代表の亀井静香郵政・金融担当相が発表した郵政改革法案の概要に沿って決着させた。
 資金が集中した場合には引き下げも検討する。政府は4月中に郵政改革法案を閣議決定して今国会に提出する方針で、参院選をにらみ連立政権を組む国民新党に配慮した。郵政肥大化による民業圧迫の批判が出そうだ。



欧州主要国、政権に陰り
仏伊で支持低迷 国民、経済不振に不満
 【パリ=古谷茂久】景気低迷や雇用悪化を背景に、欧州主要国で政権基盤にかげりが目立ち始めた。フランス地方選挙では与党の国民運動連合(UMP)が惨敗。28、29両日投票のイタリア統一地方選挙は与党派知事の数が過半数に届かず、英国やドイツも与党の支持率は伸び悩む。求心力回復を焦る各国の政策運営は今後“大衆迎合”的な傾斜が強まりかねず、財政赤字が膨張する中で増税など痛みを伴う改革が先送りされる懸念も出てきた。
 ◆仏は新税断念 22日に結果が判明した仏地方選はUMPの得票率が35%と低迷。社会党を中心とする野党に大敗した。就任直後は65%あったサルコジ大統領の支持率も32%まで落ち込んでいる。
 背景には国民の強い不満がある。サルコジ大統領は「国民の購買力増強」を公約に掲げたが、経済危機のあおりを受けて市民の生活水準は低下し、失業率は約10年ぶりに10%を超えた。再選を目指すサルコジ大統領は起死回生へ国民受けする政策導入に躍起になり、7月に予定していた炭素税の導入を取り下げた。
 ◆ギリシャ問題波及も イタリアは地方選の結果、与党知事が増えたが、13州のうちで6人にとどまった。地元紙によると、首相支持率は現在44%で、2008年秋のピーク時より18ポイント低い。
 イタリアの公的債務の国内総生産(GDP)比は09年に115.1%と高水準を記録した。ギリシャの信用危機の波及も懸念されているが、支持率が低迷する中で積極的な財政再建策をとれるかどうかは不透明だ。
 ◆英独の与党も苦境 欧州経済をけん引するドイツでも国政選挙の前哨戦である5月の地方選を前に、メルケル首相率いる保守系与党と連立を組む自由民主党支持率が急落。最新の世論調査では与党全体の支持率が50%を割り、挽回(ばんかい)に躍起となっている。英国は5月の総選挙で与党労働党の劣勢が伝えられる。野党保守党も単独政権を樹立するほどの勢いはない模様で、不安定な政局が続く見込みだ。
 こうした中、各国の政権は政策面でも支持率回復を最優先せざるを得なくなっている。ドイツはメルケル首相がギリシャ支援で負担増を恐れる国民の反発に配慮、財政支援の早期表明に最後まで慎重姿勢を貫いた。フランスでは企業の生産拠点の海外移転阻止にサルコジ大統領が介入。各国が保護主義的傾向を強める恐れもある。



毎日社説:長官狙撃「所見」 敗北は素直に認めよ
 教祖たる松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚の意思の下、オウム教団信者のグループにより敢行された計画的、組織的なテロだった--。95年に発生した国松孝次警察庁長官(当時)狙撃事件が時効を迎え、警視庁の青木五郎公安部長が会見し、そうした異例の「所見」を公表した。
 立件に足る証拠が十分でなかったから時効になったのだ。なのに時効成立後、警察が特定の団体を名指しして「犯行グループ」と公言することが許されるのか。オウムの犯した罪を考慮しても、法治国家における刑事手続きのルールを踏み外していると疑問を持たざるを得ない。
 捜査結果概要は、関与した可能性があったり、そのメンバーと接触のあった者をA~Hと表記し、供述や証拠を並べ、「評価」や「まとめ」をしている。だが、書かれた文言は「可能性を示す」「疑いは極めて濃厚」などとあいまいさが残る。状況証拠を積み重ねた仮説との印象だ。
 結局、オウムによるテロとしながら「(犯行)グループを構成する個人全員の特定、各個人の果たした具体的な役割の特定には至らなかった」というのだ。狙撃の実行犯は特定できず、拳銃も発見されていない。
 起訴されれば被告は防御権を持ち、適正手続きを保障される。オウム信者も、他の事件ではそうして裁かれてきた。今回のケースは「人権」の観点からも看過できない。
 「オウムによるテロ」までは解明したと強調したいのならば、組織防衛を優先した姿勢ではないか。
 国松氏が狙撃される10日前に地下鉄サリン事件が発生した。捜査の主力は刑事部ではなく思想に絡む組織犯罪担当の公安部だった。
 翌96年、オウム信者だった警視庁巡査長(当時)の関与を疑い、公安部が捜査本部や警察庁に知らせず半年間、極秘で聴取していたことが発覚した。公安部長が更迭され、井上幸彦警視総監が引責辞任した。04年には、この元巡査長ら教団幹部4人を逮捕するが、不起訴処分になる。
 捜査が迷走した背景に、刑事部と公安部の連携のまずさや秘密主義はなかったか。聞き込みなど初動の基本捜査が甘かったのではないか。公安部長が語るべきは、そういう点についての真摯(しんし)な反省と、今後の治安維持にこの失敗をどう生かすのかという話だったはずだ。
 1月に阪神大震災も起きたあの年、日本の安全神話は大きく揺らいだ。今も世界各地でテロが頻発する。警察の役割の大切さは言うに及ばない。だが、国民が求めるのは、適切な手続きにのっとっての検挙だ。
 捜査結果の公表とはいえ、警察権の行使に絡む行為に関して、慎重さに欠けていたと改めて指摘したい。
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