(#゜Д゜)/新聞

ソフトバンク、「海外パケットし放題」を7月21日開始
 ソフトバンクモバイルは、海外でのパケット通信料を1日単位で定額で利用できる「海外パケットし放題」を7月21日より提供する。パケット定額料は、2011年6月30日までは1日最大1480円、2011年7月1日以降は1日最大1980円となる。事前の申込は不要で、国内でパケット通信料定額サービスに加入していることが条件となる。対象となるエリアは、当初は31の国と地域から開始され、順次拡大される。
 今回提供が開始される「海外パケットし放題」は、海外でのパケット通信料が定額となるサービス。1日単位の定額サービスで、パケット通信料は2011年6月30日までは1日につき0円~最大1480円。2011年7月1日以降は1日につき0円~最大1980円。動画などを利用した場合は1日最大2980円となる仕組みも予定されているが、提供時期は未定。それまでは動画も一般的なパケット通信として定額の対象になる。パソコンと端末を接続し、パソコンでインターネットを利用するモバイルデータ通信は利用できない。なお、同サービスにおける「1日」は、日本時間の午前0時から24時間が基準となる。
 「海外パケットし放題」を利用するには、対応エリアにて、特定の通信事業者に接続するよう、設定を変更する必要がある。対応する通信事業者は同社のWebサイトで案内されている。
 サービス開始当初から対応するエリアは、アメリカ、アラスカ、ハワイ、オーストラリア、グアム、ニュージーランド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、フィリピン、香港、マレーシア、アイルランド、アルバニア、イギリス、イタリア、オランダ、ギリシャ、スペイン、チェコ、ドイツ、トルコ、ハンガリー、フランス、ポルトガル、マルタ、ルーマニア、エジプト。
 対応機種は「世界対応ケータイ」で、iPhoneシリーズ、iPad、Xシリーズ、ディズニー・モバイルも対象。
 国内でパケット通信料定額サービスおよびS!ベーシックパックに加入していることが「海外パケットし放題」利用の条件となるが、2010年11月30日までは国内でパケット通信料定額サービスに加入していないくても「海外パケットし放題」を利用できる。



ソフトバンクモバイル、IP電話とADSLをセット提供「ホワイトBB」
 ソフトバンクモバイルは、ソフトバンク携帯のユーザー向けに、ADSLのインターネットサービスやIP電話サービスをセット提供する固定通信サービス「ホワイトBB」を7月1日から提供する。
 ホワイトBBは、ソフトバンク携帯のユーザーを対象に、ADSLのインターネット接続サービスとIP電話サービス「BBフォン(M)」のセットサービス、ソフトバンクモバイルがサービス主体となって提供するもの。利用料は月額1980円で、ソフトバンクモバイルの毎月の携帯電話料金と合算して支払える。
 固定通信のインフラは、ソフトバンクBBのADSLサービス「Yahoo! BB」の設備を利用したもので、インターネット接続サービスの回線速度は下り最大50Mbpsとなる。セット提供されるIP電話サービスは「BBフォン(M)」となる。このため、ソフトバンクグループの提供するIP電話サービス「BBフォン」「BBコミュニケーター」「BBフォン光」「ケーブルライン」との間で通話は24時間無料。ソフトバンク携帯電話と自宅の「ホワイトBB」回線との通話は、通常のIP電話サービス同様に有料となる。
 携帯電話の料金プラン「ホワイトプラン」に加入し、およびNTT加入電話が敷設されているユーザーが対象となる。ソフトバンクショップで申し込める。
 ソフトバンクモバイルでは、今回の「ホワイトBB」によって、ソフトバンクショップ店頭で固定回線が売りやすくなるとしている。ソフトバンクグループでは、固定通信サービスをソフトバンクBBが展開しているが、「ホワイトBB」のサービス主体はソフトバンクモバイルとなる。サポートなどもソフトバンクモバイルが行うとしている。



「ニンテンドー3DS」の発売前倒しか、新型PSP「PSP-4000」とともに年内発売の見通し
 アメリカで行われたゲーム業界の見本市「E3」で、日本時間の6月16日未明に任天堂が新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」をお披露目しましたが、今年の3月に同モデルが発表された時点で「2011年3月予定」とされていた発売日が年内に前倒しされる可能性があることが明らかになりました。
 また、ソニーの携帯ゲーム機「PSP」の最新モデルとなる「PSP-4000」も年内に発売される可能性があるようです。
 DVDなどのレンタルやゲームの販売などを手がけるゲオが5月17日付けで公開した2009年3月期の決算説明資料によると、「ニンテンドー3DS」と「PSP-4000」が年内に発売される見通しであるそうです。
 今後の同社の業績を占う鍵となる、2011年3月期の注目作リスト。年末にかけて発売される「ポケットモンスター ブラック/ホワイト」や「モンスターハンターポータブル 3rd」といった有力タイトルが並ぶ中、リストの一番下に「ニンテンドー3DS」と「PSP-4000」が年内に発売されるという記述があります。
 あくまでゲオの見通しであるため、本当にこのスケジュール通りに発売されるかどうかは不明ですが、任天堂が発売日を「2011年3月」としているにもかかわらず、あえて「年内にニンテンドー3DSが発売される」という見通しを出すということは、何らかの根拠があるということなのかもしれません。



09年度のソーシャルゲーム市場、前年の7.5倍 矢野経済研究所
 民間調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)が28日発表した調査結果によると、交流サイト(SNS)内で遊べる「ソーシャルゲーム」の09年度の市場規模は、前年度比7.5倍の338億円だった。「mixi」や「モバゲータウン」などのSNS運営企業がサイトの技術仕様を公開。外部企業のゲーム提供でサイトが活性化した。同市場は今後も成長が続き「11年度には1000億円を超える」(同社)見通しだ。
 SNS利用者がゲームの対価として支払った金額を合計した。広告収入は含んでいない。
 ソーシャルゲームはSNS内で友人らと一緒に競争・協力して遊べるゲーム。利用は原則無料で気軽に参加しやすい。仮想の道具や食べ物など、楽しみを広げる「アイテム」を有料提供することで収益を上げるやり方が主流。
 日本のSNSは携帯電話からの利用が多い。コンテンツの料金を携帯電話会社が通話料などと一緒に回収する仕組みが整っているため、利用者が有料コンテンツを購入する際に抵抗が少ない。



財政赤字半減を明記、日本は例外扱い…G20閉幕
 【トロント(カナダ)=浜中昭彦】世界20か国・地域首脳会議(G20サミット)は27日午後(日本時間28日朝)、先進国が財政赤字を2013年までに半減させる目標を盛り込んだ首脳宣言を採択して閉幕した。
 ただ、財政悪化が深刻な日本については、「日本の成長戦略と財政健全化計画を歓迎する」と明記し、事実上、例外扱いとすることを容認した。
 宣言では、世界経済が回復を維持するため、既存の景気刺激策と同時に、成長に配慮した財政健全化計画が必要との認識でも一致した。その上で、各国の経済状況が同じではなく、状況に応じた適切な経済政策を採用する方針を確認した。
 財政健全化では、単年度の財政赤字を13年までに半減させることに加え、16年までに累積赤字を対国内総生産(GDP)比で安定化もしくは低下させる目標を打ち出した。
 一方、新興国の為替レートの柔軟性向上にも言及し、名指しこそ避けたものの、事実上、人民元の切り上げを促した。このほか、経常黒字国は外需依存を低下させ、内需拡大によって成長を図るよう求めた。
 銀行の新しい自己資本規制の強化策では、11月の次回サミットで合意するとした。導入時期は「12年末までを目標に段階的に導入」とこれまでの方針を維持しつつ、「段階的導入の枠組みは各国の状況を反映する」との文言を新たに盛り込み、各国の個別事情を考慮する姿勢を打ち出した。
 G20は今年11月に韓国のソウルで、来年はフランスで開かれる。
 ◆G20首脳宣言の骨子◆
 ▽成長に配慮した財政健全化計画の必要性強調
 ▽先進国は2013年までに財政赤字を半減、16年までに政府債務の対GDP比率を安定化または低下させる。日本の状況は認識し、財政健全化計画を歓迎
 ▽経常黒字国は外需依存を低下させ内需に焦点
 ▽銀行の自己資本規制は、各国の事情を考慮して段階的に導入
 ▽納税者の負担なしに銀行の破綻(はたん)を処理する枠組みは、各国が個別に対応



携帯やiPhoneに対応した「楽天ネットスーパー」
 楽天傘下のネッツ・パートナーズは、生鮮食品や日用品を取り扱うWeb通販モール「楽天ネットスーパー」の携帯電話版およびiPhone版をオープンした。サイトにはURL入力でアクセスできる。
 「楽天ネットスーパー」は、店舗を選んで生鮮食品や日用品を購入できるネット宅配スーパー。店舗はマルエツや紀ノ国屋、東急ストア、関西スーパーなどが選択できる。従来のパソコンに加えて、携帯電話やiPhone版でも買い物が可能になった。
 「楽天ネットスーパー」では、これまで、子供のいる3人以上の世帯をターゲットに展開してきたが、モバイル対応によって、未婚1人世帯や共稼ぎの2人世帯などの利用増加を見込む。
 サイトでは、モバイル版のサービス開始を記念して、メルマガ購読した楽天会員で5万円分の楽天スーパーポイントを山分けするキャンペーンや、ポイントが2倍になるキャンペーンなどが実施されている。



ウィルコム、「ライトEメール」を9月30日に終了
 株式会社ウィルコムおよび株式会社ウィルコム沖縄は2010年6月28日、「ライトEメール」の提供終了について、9月30日に決定したことを発表した。
 「ライトEメール」の提供終了については、2009年10月に発表されているが、今回終了日が決定。同サービスは2010年9月30日24時00分に終了することとなった。
 Eメールを無料で利用できる料金コースの拡大により、利用者数が減少していることが、終了の理由とされる。
同社は今後、Eメール、ライトメールを中心に利便性の高いメールサービスを提供していく、としている。



中国共産党員7799万人に 1年間で206万人増加
 新華社電によると、中国共産党中央組織部は、7月1日の同党創立記念日を控えた28日、党員数が2009年末で7799万5千人になったと明らかにした。08年末より206万人以上増えた。
 35歳以下の党員が前年より61万9千人増加。女性、少数民族、大卒以上の党員も増えた。



「自己負担割合、2割に引き上げを」介護保険で経済同友会提言
 経済同友会は28日、介護保険制度の抜本見直しを求める提言を発表した。将来も安定した保険制度を続けるために現在の介護予防サービスのうち要支援1と2、比較的軽度な要介護1を介護保険の対象外とし、自己負担割合も現行の1割から2割に引き上げるべきだとしている。
 提言は現行のまま介護保険制度を続けると2020年ごろまでは必要な財源を確保できるが、2030年には介護費用が21兆600億円、給付費が20兆円に膨らんで財源不足に陥ると試算。保険対象外を増やすなどの措置を講じれば費用は約4兆円、給付費も約5兆円を抑制できると強調した。
 また公的介護サービスの提供は必要要最低限にとどめ、それ以上のサービスは民間企業から自助努力で確保し、介護を受ける側の自立と関連産業の育成を図るべきと提案。自己負担でカバーできない低所得者のみ生活保護制度で支援すべきとしている。



オピニオン
10年後の居場所があるか
経営の進路 政府に頼るな
 「増税は成長」――。政府の新成長戦略はなにやらG・オーウェルの未来小説『1984年』に描かれた独裁国家のニュースピーク語法のスローガン「戦争は平和」「自由は屈従」などを連想させてしまう。
 1999年度から2009年度までの10年間の平均成長率が実質0.7%、名目マイナス0.5%。新成長戦略ではこれが2020年度までの平均でそれぞれ2%、3%になるとする。人口減少が進む中で、つまり過去10年よりもより厳しい条件の中で成長率がこれだけ上方屈折する。となると説得力のある説明がないと国民の信認を得られない。課題解決型の需要創造により、と強調するが公共事業も規制改革もみんな課題解決を目指したものだ。
 かねて政府に成長戦略がないと批判してきた産業界や企業は政府の成長シナリオをどう受け止めるべきか。参院選の争点になってきた消費税増税が想定されているが、「需要創出の財源をどれくらい、どう調達するか具体的でない」「法人税引き下げの幅や時期などが明確ではない」と不満を漏らすか――。
 たとえ財源がしっかりしていても政府が財政支出などで将来の成長産業を選び出すのは非効率で限界がある、というのは経済学の基本だ。これまで多くの政府肝いりプロジェクトや開発計画などが所期の産業育成を果たせずに終わった例は枚挙にいとまがない。
 もともと経営の進路を政府に照らしてもらっては経営者の仕事が無くなる。自らが必死になって探し当てるのが本筋だ。
 生産年齢人口が今後10年で800万人近くも減少する中で、サービス業を中心に500万人の雇用が創出されれば、企業の海外移転加速などで雇用の得失はどうなるのか。製造業と非製造業の雇用のバランスはどう変わるのか。電気自動車が普及したとき、部品や材料のサプライチェーンや擦り合わせ型のモノ造りシステムがどう形を変えているのか。それぞれ具体的な課題としてイメージが浮かばなくてはならない。
 ポイントは環境や介護、観光などが成長産業として経済をけん引するという成長図式が絵に描いたもちになるリスクも踏まえ、自立した企業として2020年の居場所を描けているかだ。流れに迎合して官選の成長分野に大きく資源をさいても期待はずれという例はいくらもある。米国のゴールドラッシュで成功したのは金鉱を掘り当てた者ではない。金鉱掘りの衣服を手掛けたリーバイスや輸送・通信サービスを提供したウェルズ・ファーゴなどだ。
 環境分野やリチウムイオン・燃料電池などをはじめとした新エネルギー分野でも、先進企業といわれて新しい技術や事業の種を持ちながら大きく展開できず未来を取り逃がした企業も少なからずある。
 仏経済学者J・アタリの著書『1492』が示すように歴史を大きく変える突出した年がある。同年はコロンブスが新大陸に到達し、スペインからイスラム勢力が撤退した。これほどの歴史的意義はないものの、IT(情報技術)では40年前の1970年も特筆すべき年だ。パソコンなどに使う半導体メモリーのDRAM、光ファイバー、半導体レーザーが集中的に開発され、IT産業発展の技術基盤が整った。
 注目すべきはDRAMを開発したインテル、光ファイバーのコーニング、レーザーのベル研究所のいずれもその成果で安泰になったわけではない。インテルは自ら創造した市場を日本勢に奪われ15年後にDRAMから撤退し、コーニングはITバブル崩壊で大打撃を受けた。10人以上のノーベル賞受賞者を輩出したベル研はAT&Tと軌を一にして凋落(ちょうらく)した。
 インテルを押し出した日本勢はほぼ10年前に韓国勢などに押しのけられ、インテル自身はDRAMの代わりに主力事業に選択したマイクロプロセッサーで世界を制覇、この四半世紀の半導体業界に君臨している。コーニングも液晶パネルなど薄型ディスプレー向けのガラス基板で世界の主導権を握った。
 人間でいえば不惑に当たる40年間と比べると向こう10年は短いが、ドッグイヤーの視点からすると激変するには十分の期間だ。環境・観光・介護医療などが成長産業になる公算が大きいとしても保証はない。完全に合理的な経済人は実在しないから市場の知恵を信じ過ぎるのは選挙民の知恵を信じるよりも誤りを生む。しかし、政府の知恵は市場の知恵よりも誤りやすい。
 政府が競争インフラや基盤整備など産業横断的な成長戦略を企業に示した方がよいのは間違いない。ただ自分の城は自分で守るための参考情報にすぎない。
 ほぼ破綻状態の日産自動車にゴーン氏が着任したのは99年。経営を立て直し、リーマン・ショックも乗り越えて大方の株主の納得の上で09年度には悠々8億9千万円の報酬を手にした。100年代わり映えしない企業もあるが、10年あれば企業は大きく変わる。アップルが飛躍した携帯音楽プレーヤー「iPod」から最近の携帯電話「iPhone4」まで9年だ。10年先のゴールにボールを蹴(け)り込めるか、新成長戦略のシナリオはそれを確認する好機だ。「イエス」なら経営者が巨額の報酬を得ても納得させられよう。



ポジション
参院選、民主勝利なら円高?(10/6/28)
 参院選で民主党が勝利すれば、円高が加速する――。外国為替市場でこんな見方が広がっている。海外では、消費増税と法人減税を打ち出した菅直人政権を高く評価する声が多い。参院選で菅政権が盤石になれば、改革の実現可能性が高まるため、安心して円を買い進められるというわけだ。逆に民主党が敗北して政権運営のかじ取りが難しくなれば「失望から円売りが膨らむ可能性がある」(みずほコーポレート銀行の唐鎌大輔氏)という。
 「今やイタリアよりも頻繁に首相が交代しているが、多くの前任者よりも税制改革で期待が持てる」。改革が進まない日本の将来に否定的な見解を繰り返し示してきたゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト、ジム・オニール氏。菅政権の誕生直後に来日し、政策当局者らと意見交換したことをきっかけに、日本への評価を転換しつつある。円相場にはまだ弱気だが、これまで成長の重荷となってきた当局者の姿勢が改まるなら、株式などで日本買いの余地が大きいと判断している。
 「日本は本当に変わるのか」。菅政権の誕生後、ある外資系銀行の東京支店には海外からの問い合わせが相次いでいる。これまで改革が止まっていた日本に本格的な変化の波が押し寄せるなら、今が円や日本株などを買い進める好機ではないのか。やや前のめり気味の海外勢に対し、担当者は「参院選の結果次第では状況が一変するかもしれない」となだめるのに忙しいという。
 昨年8月の総選挙で民主党が大勝した際にも「政権交代で日本が変わる」との期待感から円買いが加速する場面があった。足元でも、菅首相が税制改革に前向きな姿勢を打ち出した後、円相場はじりじりと円高方向に動いている。かつては日本の政局は材料になりにくいとされていたが、民主党政権への海外の関心はそう低くない。市場参加者が欧州の財政問題に食傷気味なこともあり、関心が高まりやすくなっている面もある。
 もちろん、参院選に民主党が勝ったとしても、税制改革にはハードルが多く、すぐに成長に結びつくとも限らない。市場には「財政再建を進めるなら、金融緩和を長期化せざるを得ず、長い目でみれば円安につながる」(関係者)という見方も残る。ただ、中長期的な影響は別にしても、選挙後に短期的に円相場が振れる可能性があることには、目配りしておいて損はない。期待が高ければ、失望した際の反動が大きくなることも心得ておくべきだろう。



京都新聞社説
京に自転車道  人に優しい街めざそう
 さっそうと風を切る。健康によく、環境負荷も軽減できる。そんな自転車ブームのなか、残念な事態も現れている。
 自転車と歩行者が接触する事故が増加傾向にある。
 警察庁の統計によると、2009年の全国の事故件数は2934件で、この10年間で3・6倍に増えた。京都市でも同時期に、17件から54件と3倍になった。一概に自転車側に非があるとはいえないが、憂慮すべき数字だ。
 背景の一つに、歩行者と自転車が混在する道路がほとんどだという点がある。
 自動車と分離された自転車走行空間は国内に約8万1000キロあるが、このうち歩行者と自転車が「分離」された自転車道などの延長は約2900キロ、3・5%にすぎない。
 事態の改善のため、国は京都府や滋賀県をはじめ全国98カ所を、自転車通行環境整備のモデル地区に指定。自転車道の設置などを進めている。
 京都市内でも、都心部である五条通の堀川通-五条大橋間で、国土交通省京都国道事務所が初の自転車道を整備する。歩道の車道側約2メートルを自転車道とし、柵で歩行者空間と完全に分ける計画だ。今秋に着工し、来年2月の完成を目指す。市も今秋、御池通の一部で自転車道設置の社会実験を予定している。
 国交省は「モデル地区の効果を検証した上で、今後の整備範囲を検討したい」とする。自転車道の進展はむろん歓迎すべきことだが、財政的な制約や沿道への対応などの関門もあり、一朝一夕には進まないだろう。道路幅の狭い京都ではなおさらだ。
 自転車と歩行者の共存のために、さまざまな側面からの対策が望まれる。
 市は今年3月に「改訂自転車総合計画」を策定した。放置自転車問題の解消や駐輪場の増設、都市型レンタサイクルの導入促進などを掲げる。財政難の折、施策の遂行には曲折もあろうが、早急な具体化を期待したい。
 自転車利用者がマナーやルールを守るよう指導することに、いっそう力を注いでもらいたい。一部とはいえ、スピードの出しすぎや無謀な運転で歩行者を脅かすケースが、今も見られる。市が昨年8月に実施した市民アンケートでも、回答者の17%が「走行中の自転車にぶつかった」とし、「突然の飛び出し」「乱暴な追い越し」に危険を感じた人が半数以上を占めた。
 自転車は本来、人に優しい乗り物だ。都市交通の一翼を担ってもいる。「歩くまち」を掲げる京都では、自転車の比重がとりわけ大きい。
 自転車も歩行者も安全で快適な京都-。市内初の自転車道の整備を、市民一人一人が自転車問題を自らに引き寄せて考える契機にしたい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:moblog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。