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流出する雇用を取り戻すには
 米インテルを創業した一人、アンドリュー・グローブ氏が米誌への寄稿でこう書いていた。「新しい製品や技術があればまず米国で量産化を、と昔は考えたものだ。最近は始めに中国ありきだ」
 「フラット化する世界」などの著者トーマス・フリードマン氏が米紙に書いたコラム「(雇用をつくるのは)起業家精神」に反論した記事だというが、実際は最近のシリコンバレー経営者への批判だろう。起業家のアイデアが事業へと飛躍する過程で「量産化という重要なノウハウが米国から消えていく」と繰り返し嘆いている。
 記事によれば、アップルやヒューレット・パッカード、デル、IBM、マイクロソフト、ソニーの製品を受託生産している台湾企業、鴻海(ホンハイ)精密工業は雇用者総数が80万人と、日米6社の従業員数の合計を上回る。中でもアップル製品をつくる中国の工場は、アップルの米従業員数を10倍も上回る雇用を生んでいる。
 もはや、中国を抜きに世界のエレクトロニクス産業は成立しない。それはグローブ氏にも当然わかっているはずだが、技術や雇用が流出し続けている現実を看過していていいのか、との主張はもっともだ。米国人の多くは「アップル製品の多くがホンハイで生産されている事実を知らない」との調査結果もあり、本国にどんな機能を残し、流出した雇用はどんな方法で国内に取り戻すのか。やはり国民的な議論は必要だろう。
 それは日本にとっても同様かもしれない。中国や東南アジアを「工場」に活用する電機メーカーは日本でも増えている。最近は雇用への波及力がさらに大きい自動車大手が国内の生産能力を減らし、アジアに生産シフトしようと動き出した。トヨタ自動車は1割、ホンダはそれ以上の国内能力を海外に移す可能性があるという。
 円高もあるが、今後10年で2500万台もの新規需要を生み出すとされる新興国市場により近く生産拠点を持とうとの意識が自動車メーカーには強い。では成熟した日本で何をつくるか。最も重要な部分が見えてこないのがもどかしい。



日本から米国へ:「漫画の著作権侵害を停止せよ」
 通常は、米国の政策当局者や企業幹部らが知的財産権の侵害に反対する世界的なキャンペーンを主導する。また米政府はこれまで、音楽と映画の著作権保護が不十分だとして日本を非難してきた。
 しかし、日本からの最も目立った輸出品の一つと言える漫画に関しては、米国はモラルの高い基準を失っているようだ。
 翻訳漫画の出版を手掛ける米バーティカルの編集ディレクター、イオアニス・メンザス氏は「米国では、知的所有権という概念が一般に広まっていると思うだろうが、私の見る限りでは水準は中国と同程度だ」と述べた。
 バーティカルは、6月に多国間漫画著作権侵害対策連合(Multi-national Manga Anti-Piracy Coalition)を結成した日米の出版社42社のうちの1社。同連合は米国の違法な漫画サイトに対して「活動を直ちに止めるよう」求めるとともに、「差し止めによる救済や法的損害賠償を求め」、「違法サイトについては米連邦当局に通知する」と警告している。
 米国ではこのところ、出版社や著作権者の許諾を得ずに漫画をスキャンし、吹き出しなどのテキストを英語に翻訳した「スキャンレーション」がちょっとしたブームになっているようだ。「スキャンレーション」という用語は、「スキャニング(拾い読み)」と「トランスレーション(翻訳)」を掛け合わせた造語で、通常はパラパラと目を通し編集して、翻訳した漫画を指す。こうした方法により、スキャンレーションを集積したサイト、スキャンレーション・アグリゲーターを通して無料で無数の米読者に入手可能となり、以前には日本語だけでしか手に入らなかった漫画本の人気が急上昇することになった。



チケット半分売れ残り、相撲案内所悲鳴
 「営業を始めて以来の大打撃」「来年は存続できないかも」――。
 観戦チケットの販売不振に、名古屋場所で4軒営業している相撲案内所は悲鳴を上げている。
 案内所はチケット料金の10%、飲食代の約30%が収益の柱だ。各案内所が扱う升席券は昨年より15%少ない。それでも、野球賭博や暴力団観戦の騒動で客離れが進み、全体の約半分が売れ残った。ある案内所では「飲食物が売れず、経営が成り立たない」と嘆く。
 相撲協会は案内所で売れ残ったチケットを一定の比率で買い戻す。それでも赤字は免れそうにない。場所前には、各案内所が140万円ずつ負担して建てた仮設小屋が建築基準法違反で市に撤去され、簡易テントに変更されるトラブルもあった。案内所組合の小関義明組合長は「この状況は死活問題。補償してもらえるよう、相撲協会と話し合いたい」と強く訴えた。
 一方、観光への打撃も大きい。昨年は計約200人の観戦ツアーを行った名阪近鉄旅行(名古屋市)は、今年は申し込みがなく中止し、近県の旅行会社でもツアー中止が相次いだ。愛知県体育館近くのホテルでは、ペア15組を募集した観戦プランの半分が売れ残った。別のホテルでは場所前、観戦プラン用に300人分のチケットを用意したが、大半が余るなど、苦戦が続いている。



「携帯放送」バトル 最終章 顧客数のドコモVS.“実績”のKDDI
 来年7月の地上アナログ放送終了に伴う電波の「空き」を使って、携帯電話などに動画や文字情報など多様なコンテンツを届ける「次世代マルチメディア放送」の事業者選びが大詰めを迎えている。NTTドコモとKDDIが、それぞれ協力企業と陣営をつくって総務省に参入を申請し、「1枠」の事業者認定を争っている。原口一博総務相は来月半ばにも選定の結論を出す方針で、まもなく両陣営の勝敗が決する。
 ◆技術に「優劣なし」
 今回選ばれるのは、基地局などマルチメディア放送のインフラ整備を担う事業者で、ドコモ陣営は、国産技術である地上デジタル放送の規格を発展させた「ISDB-Tmm」と呼ばれる放送方式を提案。KDDI陣営は、米無線通信技術大手クアルコムが開発した「メディアフロー」方式を掲げている。
 だが総務省は、両陣営の技術について「優劣がなく、いずれも適切」としている。このため、基地局の整備や対応端末の普及など「事業を成り立たせていく上で計画が適切、確実かどうか」(総務省幹部)が勝敗を分けるポイントになる見込みだ。
 この点について、ドコモの山田隆持社長は「充実したコンテンツ、リーズナブルな料金水準、そして対応する携帯端末の多さが強みだ」と、自陣営の事業計画に強い自信をみせる。
 フジテレビジョンなど民放4社や商社が陣営に参画しているため、ドコモはコンテンツが集めやすい。国産技術の採用に加え、首都圏の約1600万世帯をカバーする「東京スカイツリー(建設中)」を利用し基地局整備などの設備投資を抑えることもできる。放送サービスの利用料金も、ドコモが携帯電話向けに提供している既存の動画配信サービス「『BeeTV』の月額315円と同水準にしたい」(山田社長)という。
ライバルのソフトバンクモバイルが“呉越同舟”で陣営に加わり、放送サービス開始後5年目で5000万台の端末普及を想定するなど、国内の「地盤の厚み」を生かした提案で、事業の採算や展開力で優位性をアピールしている。
 これに対し、KDDI陣営は中規模の基地局を多数設置することで、電波の届きにくい屋内やビル陰といった場所でも受信しやすくするとしている。その分、基地局数や設備投資額はドコモ陣営に比べて大きくかさむが、KDDIの小野寺正社長兼会長は「携帯電話と同じように使える仕組みを整えることが重要」と指摘する。
 また、すでに米国でメディアフロー方式のサービスが提供され、携帯端末も複数メーカーから販売されている“実績”はドコモ陣営にはない強みだ。国内でも沖縄県で実証実験を行っており、現状の端末が試作機のみで、「開発が遅れがち」(関係者)ともいわれるドコモ陣営に対し、「総務省からの認定後、速やかに商用化できる」(同)としている。
 ◆新たな収益源に
 携帯電話市場が頭打ちとなる中、課金モデルでコンテンツを配信できる次世代マルチメディア放送は、軌道に乗れば新たな収益源となるだけに両陣営とも認定取得は譲れない。14日から東京・有明の東京ビッグサイトで3日間開かれた無線技術展示会「ワイヤレスジャパン2010」でも、マルチメディア放送対応端末を多数並べるKDDIと、バラエティー番組さながらのコンテンツサービス体験コーナーを設けるドコモが火花を散らしていた。
 総務省は21日に、両陣営からの非公開ヒアリングを行う予定で、これが双方にとって最後の山場となるとみられる。原口総務相は「透明性や公平性、日本のデジタルコンテンツの発展性などを大事にしながら事業者を決めたい」としているが、両陣営の提案は甲乙つけ難い。どちらに軍配が上がるのか、勝敗の行方は混沌(こんとん)としている。



ジョブズCEO「アップルが韓国企業ならよいのか」
 アイフォーン4の問題についてスティーブ・ジョブズ・アップル最高経営者(CEO)が自ら釈明したが、波紋は収まらない兆しだ。謝罪よりも弁解で一貫したという批判が出ている。
ニューヨークタイムズは17日(現地時間)、 「多くの人々がジョブズから『私のせいだ(Mea culpa)』という言葉を聞くと思っていたが、ジョブズはアンテナ問題をマーケティングイベントに変質させた」と指摘した。
 突然アップルの‘作戦’に引き込まれた競合他社も強く反発している。今回の会見の起爆剤の役割をしたコンシューマーリポートは「保護ケース無償提供は最初の処置としては悪くない」としながらも、長期的な解決策が出てくるまではアイフォーン4を推薦除外対象に分類するという立場を明らかにした。
 ◇競合他社が反論=アイフォーンの競争製品ブラックベリーを生産するRIM(リサーチ・イン・モーション)は17日、共同最高経営者(CEO)名義でジョブズの記者会見内容に反論する公式声明を出した。アイフォーンのアンテナ問題を「すべてのスマートフォン業界が共有する問題」に拡大したジョブズの主張に怒りを表したのだ。
 この声明書でRIMは「アップル自身の問題にRIMを引き込んだのは受け入れられない」と不快感を表した。さらに「ブラックベリーを使う顧客はアンテナ性能を高めるために(アップルのように)ケースを使わない」とし「アップルは他のブランドを引き込もうとせず、自社のデザインに責任を負うべきだ」と指摘した。
 モトローラの共同CEOサンジェイ・ジャも電子メール声明で「すべてのスマートフォンがアイフォーンほどの問題を抱えていると話するのは正直でない」とし「自社の調査の結果‘ドロイドX’は‘アイフォーン4’より性能がより良かった」と主張した。
 ◇デザイン執着が招いた災い?=アップルの製品の場合、デザインが占める比重はかなり大きい。デザインに対するジョブズの執着も格別だ。ジョブズは初めてアイフォーン4を紹介しながら、「私たちが作った製品のうち最も美しい」と紹介したりもした。
 しかしその美しさがむしろ災いを招いたという分析も出てくる。ニューズウイーク電子版は最近、「アップルの受信不良問題は、ジョブズが奇抜で立派なデザインに集中し、機能問題を後回しにした結果であるかもしれない」と指摘した。
 ブルームバーグ通信は最近、「こうした問題は事前に提起されたが、受け入れられなかった」と報じた。アップルのアンテナエンジニアらがすでに昨年、アイフォーン4は受信問題を起こしうるとジョブズに警告したということだ。しかしジョブズは記者会見でこれに関し「全面的に嘘」と強く否定した。
 一方、初期の原因把握と対応に問題があったのではないかという質問が出ると、ジョブズは「人々はうまく行けば足を引っ張ろうとする。グーグルを見よ」と述べた。続いて「私たちが米国企業ではなく韓国企業だったら良いのか」と反問したりもした。アップルに傾いた関心と一部の猜忌が問題を膨らませたということだ。



株価材料の研究 iPad・電子書籍、物色どこまで~意外な大型株も関連銘柄?(10/7/19)
 「電子書籍」が注目を集めている。きっかけは米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。米国では4月の販売開始から3カ月足らずで300万台超が売れ、日本でも5月の販売初日には行列のできた店もあった。国内メーカーも相次ぎ同様のタブレット型端末に参入している。株式市場で「電子書籍」関連とされる銘柄は端末からコンテンツまで数多くあるが、iPadのような人気は続くのか。
 電子書籍とは、本や雑誌のような印刷物ではなく、電子端末で読む「出版物」。通信ネットワークとつながった端末に書籍ファイルをダウンロードするので、いつでもどこでも購読でき、1つの端末にたくさんの本をしまえる。画面を広くしたiPadが人気に火をつけ、日本国内では携帯電話向けの電子コミックを中心に利用されてきた。
 先行していたのは米アマゾンの「キンドル」で、米国では約6割のシェアを握る。キンドルは米国で45万冊、日本で36万冊が利用でき、端末には3500冊まで保存できる。これに続くのがソニーの「リーダー」でシェアは約3割。ここに今年、アップルがiPadを引っ提げて参入し、市場の急拡大が見込まれている。米アイサプライ社の調査によれば、2010年のキンドルやリーダーといった電子書籍の専用端末とiPadを合計した世界の市場規模は約1800万台。12年には2倍強の約3800万台まで膨らむ見通しだ。
 日本でもリーダーの年内発売が予定され、NTTドコモも端末投入の意欲を示している。東芝や富士通も個人向けタブレット型端末に参入する予定だ。
 日本の株式市場で関連銘柄への物色が始まったのは昨年後半から。今春のiPad発売より早かった。
「タッチパネル」は思惑先行、人気は早くも息切れ
 最初ににぎわったのは端末に使われる部品・部材をつくっている銘柄。特に日本写真印刷やワコムといった「タッチパネル」関連は、一時は相場の主役に躍り出た。それが年明け後は急失速。日写印の株価は昨年末の半分になってしまった。実はiPadのタッチパネルに多く使われているのは台湾や韓国勢。日本製品の比率は07年発売の「iPhone」に比べて大幅に下がったという。投資家の期待や思惑が先走りした典型例だ。
 電子部品は日本勢に強みのある分野だが、電子書籍ではあまり地力を発揮できそうもない。というのは、端末の主流になるとみられるタブレット型端末は携帯端末よりサイズが大きく、日本勢が開発を進めてきた超小型・高機能の部品を使う必要がないからだ。結果としてアジア勢の低価格品が多く組み込まれている。
 もちろん、TDKの子会社製の電池など、iPadに採用された日本製部品もあるが、「収益に大きく寄与しそうなのは、グループでコネクタをiPadに提供する第一精工くらい」(バークレイズ・キャピタル証券の越田優アナリスト)だ。肝心の端末本体を手掛けるソニーも、株式市場での人気はいまひとつ。リーダーの価格は1台2万~3万円で、今のところ年間200億~300億円規模の事業。「事業規模がまだ小さいため、今後の展開を見極めたい」と投資家は様子見を決め込んでいる。
 部品・部材に続いたのが、端末に取り込まれるコンテンツ関連。本や雑誌で言えば「出版社」「卸」「書店」などにあたる。
 ライフネット生命の調査(対象1000人、複数回答可)では、iPadで読んでみたい電子書籍のジャンルに「コミック」が「雑誌」に次いで2位。携帯コミックはすでに300億~400億円(08年)の市場規模があり、「携帯電話コミックを手掛けている企業は、電子書籍でも優位」との見方から関連銘柄がはやされた。
 今年前半に人気になったのが、携帯コミックで「書店」にあたる銘柄。フォーサイド・ドット・コム、インフォコムなどがそれだ。一時は株価が昨年末の約3倍まで買い進まれた。ただし、配信事業は競争が過熱気味。着メロ同様、いずれ上位数社に淘汰されるとの指摘がある。
 「印刷」と「取り次ぎ」、つまり「電子卸」にあたるのがパピレス。文字や画像などの素材を組み合わせて電子コンテンツのファイルを作成する「オーサリング」を手掛け、シティグループ証券の山科拓アナリストによれば、同社と凸版印刷系2社、大日本印刷系1社の4社でシェアの大半を占める。パピレスは6月23日に上場したばかり。上場当日に初値がつかない人気ぶりだったが、「印刷会社系に比べると出版社とのつながりが弱く、仕入れの価格競争力が弱い」(国内証券アナリスト)との見方もあり、最近は商いが細ってきている。
 反対に、コンテンツという「宝の山」を抱えていそうな出版社の値動きは鈍い。著作権などの仕組みが複雑で、電子書籍普及の恩恵を受けられるか不透明だからだ。ただし、アルクやベネッセホールディングスなど「学習・教育関連は著作権の問題が少なく、電子化との相性がよい」(山科氏)と期待する声はある。
 あまり話題にはなっていないが、先行き有望だとみられている分野もある。電子書籍の文字の表示装置である「電子ペーパー」だ。白黒の微小な粒子を電気制御してコンテンツを紙のような見栄えにする技術で、需要が急拡大している。
「電子ペーパー」の需要拡大、ブリヂストンも参入狙う
 リーダーやキンドルなど電子書籍端末向けでは、米イーインクが9割以上の圧倒的なシェアをもつとされる。イーインクの電子ペーパー採用端末の多くにはセイコーエプソンの制御用ICチップが搭載されているとみられ、エプソンの貴重な収益源になるとの声がある。富士通子会社の富士通フロンテックは、世界初のカラー電子ペーパー採用書籍端末「フレッピア」を開発。カラー液晶を採用したiPadとは異なる路線で電子書籍のカラー化を目指す。
 電子ペーパーのカラー化という点では、意外な銘柄も連なってくる。タイヤ大手のブリヂストンで、昨年にカラー電子ペーパーの実用化にこぎ着けた。主にスーパーなどで商品の値段などを表示する装置に使われている。同社はもともとプリンターなどに使われるローラーを手掛け、トナーに関する基礎研究で培った粉末や粒子の制御技術を応用した。同社は「電子書籍向けでは事業化していないが、有望な分野とみて開発を続けている」としている。
 ほかにiPadで無料カタログの配布を始めた千趣会、iPad向け電子コンテンツ制作ソフトに参入したスターティアやインフォテリアなど、電子書籍関連と位置付けられた銘柄は数え上げればきりがないほどある。
 もちろん、これらは玉石混交。そもそも電子書籍がどれくらい普及し、長続きするか分からない点も多い。日本では04年のパナソニック(「シグマブック」)やソニー(「リブリエ」)などいち早く電子書籍市場に参入したが、その後は根付かなかった例もある。株価の一時的な上昇に惑わされず、実績を確認しながらじっくり投資するのが無難なようだ。



[FT]当局はグーグルを注意深く監視せよ(社説)
 グーグルは無料の検索技術によって消費者に多大な利益をもたらした革新的な企業である。そして今度は、同社が大きな市場シェアを持つ超高収益企業になった。
 それゆえ、多くの企業(特に中小企業)にとって、自社がグーグルの検索結果ランキングのどこにつけるかが非常に重要になる。グーグルは競争優位を守りたいと考えているため、これらの企業にはグーグルの技術の仕組みを知る術がない。
市場支配力、乱用の可能性
 その結果、グーグルは次第に規制当局から厳しい監視の目を向けられるようになった。欧州委員会は既に、検索市場を対象に非公式な調査を行っている。今のところ、グーグルが市場支配力を乱用している証拠はないが、乱用することは考えられる。
 先日来、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)が報じてきたように、グーグルは2つの分野で論争に見舞われている。1つ目は「検索の中立性」で、規制当局はグーグルの検索アルゴリズムを監督するなり、明確なルールを設けるなりして、同社が編集上、商業上の理由から体系的に偏ることがないよう請け合うべきだとの声が上がっている。
 これは実用的でなく、必要性もない案だ。グーグルの検索部門を率いるマリッサ・メイヤー氏が本紙で論じたように、様々な検索エンジンが最も関連性の高い最高の検索結果をはじき出すべく互いに激しく競争した方が好ましい。グーグルは検索分野で大成功しているかもしれないが、お金をかけずにたった1回クリックした先に競争相手が存在している。
垂直的なサービス、不当な影響力持つ恐れ
グーグルは中国政府とも検索サービスの検閲を巡って衝突した(北京市にあるグーグル中国の本社があるビル=ロイター)
 懸念されている2つ目の分野は、グーグルが検索と連動する垂直的なサービスを提供していることだ。例えば、ユーザーが住所を検索した時にグーグル・マップが表示されたり、誰かがカメラを検索した時にグーグルの買い物データ比較が表示されたりする。これは旅行や電子商取引分野の競合企業に影響を及ぼす。
 エクスペディアとインタラクティブコープの会長を務めるバリー・ディラー氏は先日、グーグルが7億ドルでITAソフトウエアを買収する計画に抗議した。グーグルはフライト情報の表示で不当な影響力を手に入れることになる、というのがその理由だ。ディラー氏は、規制当局が買収計画を慎重に精査し、条件を課すことを求めている。
 これに対してグーグルは、同社は可能な限り有益な情報をユーザーに提供しようとしているのだと弁明する。しかし、垂直的なサービスを検索と連動させることが反トラスト法の違反行為につながる可能性は、明確な懸念を引き起こす。欧州と米国の規制当局はITA買収を利用して、この問題を広範に検証すべきである。
あまりに強大なハイテク企業
 ただ単にグーグルのサービスが競合他社より優れているという理由から、同社が規制当局に力を奪われることがあってはならないが、同社を注意深く監視する必要はある。グーグルは明らかに邪悪なわけではないが、あまりに強大なハイテク企業であり、道を踏み外す可能性がある。
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