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ドコモが使える日本通信「SIMカード」はこうして実現した
 山田隆持NTTドコモ社長の「全面対応宣言」以降、注目の的となっている携帯電話の「SIMロック解除」。NTTドコモは来春以降に発売する全機種を他の通信会社の回線でも使えるようにする方針だが、それを先取りして仮想移動体通信事業者(MVNO)大手の日本通信がSIMロック解除端末向けのSIMカードを7月30日に発売する。
 日本通信が7月23日に発表した「talkingSIM」は、データ通信と音声通話サービスを利用できるスマートフォン向けSIMカードだ。同社はこれまでもデータ通信のみのSIMカードを販売していたが、今回はそれに音声サービスを組み合わせてきた。
 日本通信はtalkingSIMの通信回線として音声、データ通信ともにNTTドコモのネットワークを使う。つまり、契約上は日本通信のサービスだが、実際はNTTドコモの強力な通信インフラをそのまま使えることになる。
 基本料金は月額3960円。これでデータ通信が使い放題(通信速度は上下300kbps程度の制限あり)となり、音声通話も1050円分まで無料で使える(超過分は30秒21円)。他社の同様のサービスが6000~7000円程度であることを考えると、かなり割安と言える。「スマートフォンユーザーは2台持ちの人が多い。2台目用のコスト負担が少ないサービスとして、talkingSIMを提供したい」と日本通信の福田尚久最高執行責任者(COO)は語る。
「iPhone」も利用可能
 このSIMカードを使うには、ユーザーは当然ながらSIMロック解除端末を自分で用意しなくてはならない。しかし、talkingSIMの仕様はNTTドコモのSIMカードと同一で、実質的には同じように使える。そのため、NTTドコモが販売している「Xperia(ソニー・エリクソン製)や「T-01A」(東芝製)などのスマートフォンでも利用可能だ。それらの中古品を安く手に入れれば、talkingSIMで使うことができる。
 しかし、最も需要が大きいのはアップルの「iPhone」シリーズだろう。香港などで売られているSIMロック解除版の「iPhone3GS」は、問題なく利用できることを日本通信自身が確認し、同社ホームページで動作確認端末の一覧として掲載している。ユーザーが香港などで購入してtalkingSIMを装着すれば、日本で電話もデータ通信も使えるようになるわけだ。
 現在は品薄状態が続いている最新機種の「iPhone4」は、通常のSIMカードより小さなmicroSIMカードを採用している。日本通信は「現状ではmicroSIMカードを使ったSIMロック解除端末が世の中に多く出回っていないため用意しなかった。しかし、今後流通するようであれば、積極的に対応してきたい」(福田COO)という。
 ちなみに、SIMロック解除版のiPhone4はすでにフランス、英国などでも普通に購入できるようだ。香港でも7月30日にiPhone4が発売される。日本でもSIMロックがかかっていないiPhone4の流通が徐々に始まることだろう。
番号ポータビリティーに対応
  今回のtalkingSIMで特に目を引くのは、番号ポータビリティー制度(MNP)に対応している点だ。現在は別の携帯電話会社を利用している人が電話番号をそのまま持ち運んでtalkingSIMに乗り換えられる。「MNP対応は各通信事業者との準備もあって苦労した部分。この調整に時間がかかってしまった」(福田COO)。
 また、talkingSIMは電話番号同士でメッセージを送るSMS(ショート・メッセージング・サービス)にも対応する。相手はNTTドコモユーザーに限られるが、それでも使用機会はかなり多いだろう。ほかにも、キャッチホン、留守番電話、転送サービス、国際電話サービスをカバーする。国際ローミングも「NTTドコモと同等の国・地域で使える」(福田COO)という(ただし、音声通話のみ。データ通信はローミング非対応)。
ドコモとの契約締結で実現
 日本通信はもともとNTTドコモのネットワークと相互接続をしており、2009年4月には音声通話に関して卸役務契約を結ぶことでも合意した。今回のサービスはこれらの契約関係のうえで実現している。日本通信は音声サービスの主軸をIP電話と捉えているが、現状でユーザーのニーズを満たすには、一般的な音声通話サービスを提供するのが不可欠と考え、今回のサービス提供に至ったという。
 ユーザーの立場からすれば、300kbpsという通信速度制限はあるにせよ、月額4000円弱でスマートフォンを所有できる魅力は大きい。しかも、いままで使っていた電話番号をそのまま引き継げるメリットもある。来年以降、SIMロック解除端末が増えてくれば、ユーザーの関心はさらに高まることだろう。
 300kbpsの通信制限について福田COOは、「当社には通信速度に制限がなく通信時間で課金するサービスもある。今後はそうしたサービスとの様々な組み合わせも検討していきたい」と語る。talkingSIMはあくまで第一弾商品であり、今後もユーザーのニーズに合わせて製品群を拡充することを検討しているようだ。
「ライバル」から「パートナー」へ
 日本通信とNTTドコモは、傍目には必ずしも友好関係にあるようにはみえない。つい最近も日本通信が「NTTドコモは法人向け取引で不当廉売している」との意見書を総務省に提出するなど、NTTドコモの「独占」を激しく追及している。しかし、福田COOは「talkingSIMの実現にあたり、NTTドコモにはいろいろと対応してもらった。むしろ我々の存在に理解があり、いい関係といえる」と明かす。
 実はNTTドコモにとって、MVNOはありがたい存在になりつつある。なにより、新規契約者数を稼いでくれるため、ソフトバンクモバイルやKDDIとの競争にプラスに働く。昨年以降、NTTドコモが契約者数でソフトバンクモバイルからトップを奪還する月があるが、それもNTTドコモから回線の提供を受けているウィルコムや日本通信が契約で貢献したからこそとも言われている。
 大手携帯電話会社のなかにも、かつては「MVNOはライバル」と語る幹部が見受けられたが、最近は「重要なパートナー」との認識が広がりつつある。NTTドコモの山田社長は「LTE(サービス名称は「クロッシィ」)でも、MVNOには回線を提供していく」と語っており、MVNOとのいい関係は今後も継続されていきそうだ。
 航空業界に大手と格安航空会社(ローコストキャリア)があるように、日本の携帯電話業界にも様々な選択肢が出てきた。スマートフォンの広がりとともに、SIMロック解除の機運がさらに高まれば、業界内に新たな競争が起こっていきそうだ。



YouTube、投稿ビデオの長さを15分に延長――著作権技術の向上で可能に
 米Google傘下のYouTubeは7月29日(現地時間)、一般ユーザーによる投稿動画の長さ制限の上限を10分から15分に延長したと発表した。動画再生時間の延長は、ユーザーからの最も多いリクエストだったという。
 YouTubeは立ち上げ時には動画の長さに制限を設けていなかったが、10分以上の動画には著作権を持つ映画やテレビ番組などの違法な投稿が多かったことから、2006年に1本の動画の長さを10分間に制限した。
 今回10分から15分に延長したのは、同社が著作権保有者に提供している「Content ID」をはじめとするコンテンツ管理ツールの性能が向上し、採用するパートナー企業も増えたためにコンテンツの保護が可能になったからとしている。Content IDは、投稿された動画を著作権保有動画のデータベースと照合し、著作権を侵害しているかどうかを自動判定するツール。違法と判定した場合は著作権を保有するパートナー企業に通知する。通知を受けた企業は、対象となった動画を削除するか、その動画に広告を掲載することで収益を上げることもできる。現在、米国の主要な映画会社と音楽レーベル、世界の1000以上の著作権保有企業がContent IDを利用しているという。
 YouTubeはメディア大手Viacomから、ユーザーによるコンテンツの無断アップロードを容認しているとして起訴されていたが、この6月に勝訴している。
 YouTubeは制限時間延長を記念して、「15 minutes of fame」(アンディ・ウォーホルの「誰でも15分で有名になれるだろう」という言葉にちなんでいる)というキャンペーンをスタートした。8月4日までに「yt15minutes」というタグを付けて15分間の動画をすると、YouTubeが優秀作品を特設コーナーに掲載する。
 この秋にはテレビでインターネットのコンテンツを視聴できるプラットフォーム「Google TV」対応テレビが発売される予定だ。今回の制限時間延長は、7月12日に発表された4K2Kビデオのサポート同様に、Google TV普及に向けたコンテンツの充実を狙ったものとみられる。



「ぴあ関西版」10月休刊へ
 エンターテインメント情報誌「ぴあ関西版」(隔週刊)が10月7日発売号を最後に休刊することが30日、分かった。
 同誌は、発行元のぴあによると、1986年創刊。94年には約25万部を発行していたが、最近は4万部程度に低下していた。年内にチケット情報などを掲載する新メディアをつくるという。 



au、800MHz再編で回線交換のデータ通信を終了
 KDDI、沖縄セルラーは、auにおける回線交換方式のデータ通信サービスを終了すると発表した。800MHz帯の周波数再編に伴うもので、同周波数帯の再編完了までに終了する。
 auにおける回線交換方式のデータ通信サービスは、1999年のCDMA方式導入当初から提供が開始された。CDMA 1X、CDMA 1X WIN EVDO、CDMA 1X WIN EVDO Rev.Aの各方式におけるパケットデータ通信サービスの提供に伴って、2005年秋モデルから順次、回線交換方式のデータ通信サービスには非対応となっていた。
 今回のサービス終了は800MHz帯の周波数再編に伴うもので、再編が完了すると回線交換方式のデータ通信サービスは利用できなくなる。KDDIでは、具体的な日時は今後発表する予定、再編完了までにサービスを終了すると案内している。
 なお、KDDIによると、回線交換方式のデータ通信サービスに対応した端末の加入者数は2010年6月末時点で1400件。このうち多くは法人契約のユーザーになるという。



「モバツイ」の想創社、取締役にペパボ家入氏や金剛地武志氏ら
 携帯電話向けTwitterクライアントサービス「モバツイ」を運営する株式会社想創社は、9月1日に社名を「株式会社マインドスコープ」に変更するとともに、取締役に株式会社paperboy&co.の創業者である家入一真氏ら3人を迎え入れることを明らかにした。
 代表取締役社長兼CTOには引き続き藤川真一氏が務め、今後は携帯電話向けのモバツイ拡充と、バナー広告売り上げの拡大に向けて開発陣頭指揮を執るという。マインドスコープという社名は、「ネット上の人々を覗くための入り口」という意味。
 取締役には、藤川氏のかつての上司でもあるという家入氏に加えて、「シーマン」の開発者としても知られるゲームクリエイターの斎藤由多加氏、タレントの金剛地武志氏の3人が就任する。
 家入氏は宣伝戦略およびコーポレートデザイン、インターフェイスを含むトータルデザイン、斎藤はスマートフォン向けインターフェイスやコンテンツなど、金剛地氏はモバツイのエンターテインメント性向上の象徴および広報担当役員として活躍してもらう考え。
 想創社は、モバツイを開発した藤川氏が2010年1月に創業。2010年7月には、「モバツイランド」という名称でコンテンツ配信を実験的に開始した。モバツイの登録会員は86万人以上、バナー広告の導入実績は30社以上という。
 今回の組織変更の背景について藤川氏は、「モバツイをもっともっとおもしろくしたい」という希望があったと説明。新任取締役が持つノウハウやアイデア、開発物を取り入れることで、「劇的におもしろくて使いやすいサービスを実現したい」としている。
 想創社では、モバツイのユーザーからの意見を聞き、将来のモバツイの仕様を決めるという「モバツイ2.0キャンペーン」を開催する。8月には特設サイトを開設し、藤川氏自らも意見を交換していくという。
 9月にはTwitterアカウントを含む連絡先を検索できる「モバツイ電話帳(仮)」を開始する。藤川氏によれば「ネット上の104番号案内を目指した」サービスで、開始時点でモバツイに登録されているTwitterユーザー情報が「モバツイ電話帳」移行される。検索時に表示される情報は、本人が設定できる。



ゲーム介した友人づくり 日本から世界へ 守安功・DeNA取締役
 米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などスマートフォン向けのアプリ開発に参入する動きが相次いでいる。開発講座が人気を集め、家電向けの組み込みソフトを開発していた企業がアプリ開発へと転身を図る。
 アイデアひとつで誰もが平等に世界に飛び出せる「ソーシャル」の時代。初心者でもダウンロードランキング1位に輝くことができる。
 加速するアプリ開発競争を受けて、今、ネットの世界では優良ソフト技術の囲い込み競争が激しさを増している。
 
 瞬時に情報を共有できるソーシャルメディアの世界。ゲームなどのコンテンツが人と人とのつながりを支える磁力のような存在になり始めている。新たなネット空間の普及に合わせてゲームなどのコンテンツはどう変わるのか。携帯電話向けSNS(交流サイト)「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の守安功取締役に聞いた。
 ――ソーシャルメディアの普及はゲームなどのコンテンツにどんな影響を及ぼすのか。
 「人がたくさん集まっているからこそ会話が生まれ、新しいサービスが生まれる。ソーシャルが加わることでインターネットのサービスも変わる。そうした空間を作り上げるために、人と人が交流するソーシャルゲームという新しいジャンルが生まれた」
 ――既存の家庭用ゲーム市場への影響は。
 「ゲーム産業も変革期を迎えている。これまでは家庭用ゲーム機向けのパッケージ型ゲームとゲーム好きを対象にしたパソコン向けのゲームがあった。その二つの中間に登場したのが、簡単に遊べるカジュアルなソーシャルゲームだ」
 「利用料が無料でアイテムを購入して自分好みのキャラクターを作っていくことを友人と競い合うといった手法が、ゲームを今までしなかった層に受け入れられた。当社でも会員数が2000万人規模になっている」
 ――無料ゲームをベースにどう収益モデルを築いているのか。
 「例えば月100万人利用するゲームの場合、その内の10%がアイテムを平均で月1000円購入すれば1億円の売り上げになる」
 ――ゲームを利用する層に変化があるのか。
 「モバゲーの利用者は10代、20代が多く40代以上は少ない。若年層が多いのは国内ではソーシャルゲームは携帯電話での利用が多いためだろう」
 「だが、(サービス開始から3年以上たった)米フェースブックでは、ソーシャルゲームの利用者が40代が主流になっている。日本でも今後、パソコンなど様々なデバイスに広がることで、ソーシャルゲームを利用する年齢層も高まっていくだろう」
 ――開発の手法に変化はあるのか。
 「従来は5000円、6000円程度のパッケージを売り切るモデル。だが、ソーシャルゲームの利用料は無料。ユーザーを飽きさせないために、絶えずゲームのクオリティーやリピート率を高めなければならない」
 「そのため、開発のスピードを高めることが必要だ。今までのように数年かけているのではなく、数カ月で制作しなければならない。例えば、当社の宝物探しゲーム『怪盗ロワイヤル』は2人で制作した」
 ――ゲーム業界に必要な人材も変わるのか。
 「今までのゲーム業界は企画、グラフィックなど分業していたが、我々はそれだけでなくマーケティング、販売も含め総合的な視野をもった人材が必要だと考えている」
 ――フェースブックなど様々なSNSと競合することになるのか
 「フェースブックや国内のミクシィは実名で友人と交流することが主体。我々はアバター(ネット上の分身)を活用したバーチャルな交流が中心だ。つまりゲーム内で知り合った友人。こういったソーシャル性は海外ではなく、日本の特有のものだ。海外でも新しいソーシャルの形として海外でも勝負していける要素だと考える」



ツタヤのネット宅配、会員100万人突破 2年で倍増
 映像音楽ソフトのレンタル事業「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは30日、ネット宅配レンタルサービス「ツタヤディスカス」の会員が100万人を突破したと発表した。昨年10月に携帯電話からの会員登録を可能にしたことで大幅に伸びた。
 ツタヤディスカスは、ネットを通じて指定したソフトを送料無料で自宅に取り寄せ、郵便ポストから返却できるサービスで、2002年にスタート。ほぼ全国で翌日配送される利便性などから、08年に会員数50万人を達成した。
 現在、携帯電話からの入会申し込みが全体の約3割を占めるという。携帯電話での料金の支払いもできるなど、さらに便利になったことから、約2年で会員数を倍増させた。



エコカー補助金、9月末終了を決定 直嶋経産相「対策必要ない」
 直嶋正行経済産業相は30日午前の閣議後の記者会見で、環境対応車への買い替え・購入に対するエコカー補助金制度について、当初の予定どおり9月末で終了することを正式決定したと明らかにした。
 直嶋経産相は、景気動向を注視する必要があるとして、延長の可能性に含みをもたせてきた。打ち切りについて、「9月からさらに引き続いて何らかの対策が必要という状況ではない」と説明した。
 これに合わせ、経産省は同日、エコカー補助金の申請期限を10月29日とすると発表した。
 エコカー補助金をめぐっては、小沢鋭仁環境相が「経済状況から延長は必要」と発言していたほか、日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)も、延長に期待を示していた。



記者の目◇ソニーが決算短信に込めたメッセージ
 ソニーが29日発表した2010年4~6月期の連結決算は、営業損益が670億円の黒字(前年同期は257億円の赤字)だった。期初の会社予想(200億~300億円の営業赤字)や直近の市場予想の平均(ゼロ~100億円の営業黒字)から考えれば、想定以上の好決算。リーマン・ショック前の、今より円安だった08年4~6月期(営業利益734億円)に近い水準に回復し、評価の声が聞かれる。そして、今回の決算におけるもう一つのサプライズが11年3月期通期の見通しを上方修正したことだ。
 「先行きにはアップサイドもあればリスク要因も考えなければいけないが、この勢いを伸ばしていこうというのが我々の考え方だ」。通期の見通しを上方修正した理由について、この日が記者会見デビューとなった加藤優・最高財務責任者(CFO)は強調した。
 新しい通期の営業利益見通しは前期比5.7倍の1800億円。好調だった4~6月期を反映させたうえで、7月以降の対ユーロの想定レートを円高に変更したことによる目減り分を差し引いた。上方修正額はわずか200億円。従来予想からの上乗せは修正ルールで定められた3割に達せず、世界景気の動向が不透明な中であえて予想を変える必要はない。そもそもソニーは大半の営業利益を10~12月期に稼ぐ。まだ4~6月期が終わっただけで、先行きを見通すのは簡単でない。それでも上方修正したのは、成長を再び取り戻そうというソニーのメッセージだ。
 4~6月期の営業損益が計画より約900億円上ぶれしたうち、最も貢献したのはエレクトロニクス分野だ。液晶テレビやイメージセンサーのほか、ゲーム機、パソコンが好調だった。長く不振が続いていた液晶テレビ、ゲーム、携帯電話の3事業はいずれも営業黒字に転換。ゲームは3四半期連続で、携帯電話は2四半期連続で営業黒字となり、ようやく安定してきた。
 最大の課題だった液晶テレビ事業も大幅に改善した。05年3月期から6年連続で営業赤字を計上していたが、4~6月期は30億円の営業黒字(前年同期は80億円の営業赤字)に浮上。第1四半期の営業黒字は8年ぶりだ。販売台数が6割増の510万台とLG電子に並ぶ水準となり、懸念されていた年間の販売計画(前期比6割増の2500万台)の達成も不可能ではなくなってきた。昨年は世界シェアが9.6%と大きく落としたが、約2割のシェアを持つサムスン電子にもう一度挑戦する余地が出てきた。
 前期は3300億円のコスト削減や5000億円弱の材料費削減など構造改革に取り組んできたが、商品の競争激化や価格下落、円高でその効果が吹き飛んでしまった。対して今回の四半期決算では、加藤CFOからは多くの前向きな言葉が発せられた。「今期はテレビなどで良い商品がそろってきた」「エレクトロニクス分野の4~6月期の売上高は新興国で40%伸びている」「これからは成長に向けて投資をしたい」――。
 もっとも、懸念材料は数多い。液晶テレビは高付加価値商品向けの液晶パネルやLED(発光ダイオード)の調達が十分でなく、一部で機会損失が出ている。テレビ事業の営業黒字は販売促進費の抑制や期ずれの影響もあり、手放しでは喜べない。ゲームは市場で減損リスクを懸念する声がなお根強い。携帯電話は平均単価を上げるのに成功したが、販売台数シェアは4%にまで低下した。「構造改革はまだ続けるべきだ」(外資系証券)との声も聞かれる。米アップルなどは次々と競争力のある商品やサービスを投入しており、競争条件がどんどん変わっている。
 ソニーの株価は3月に年初来高値(3645円)を付けたが、その後約3割下落。PBR(株価純資産倍率)は1倍割れの指定席に戻ってしまった。市場では「過去に何度も業績を下方修正したことで、ソニー神話のプレミアムがはげ落ちた」「最近はインデックス投資の投資家が中心で、じっくり個別材料や投資尺度をみて売買する投資家が少なくなった」との声も聞かれる。
 決算短信で示した業績予想の上方修正に込めたメッセージを具現化し、投資家のソニーに対する関心を呼び戻すことができるのか。4~6月期の好調を一過性に終わらせず、持続できるだけの経営力が問われている。
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