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ドコモ・大日本も電子書籍に参戦 3陣営出そろい、争奪戦激化
 NTTドコモと大日本印刷は4日、電子書籍事業で業務提携すると発表した。書籍やコミック、雑誌など10万点超のコンテンツの収集から配信、電子書店の運営までを一貫して手がけるサービスを10月末にも始める。共同事業会社の設立や海外への配信も検討。多くの出版社や端末メーカーにも協力を呼びかける。
 電子書籍の配信サービスでは、ソフトバンクが米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」向けなどを展開。KDDIも凸版印刷などと組んで年内に参入する。ドコモ・大日本連合の提携で、通信大手3社を核とする3陣営が出そろった。
 大日本が持つ出版業界との親密な関係や書籍のデジタル化のノウハウと、ドコモが持つ5600万人の携帯電話の顧客基盤と料金徴収システムを活用。ドコモが販売する携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)のほか、タブレット型端末、電子書籍端末などに配信する。
 ドコモは12月に高速で大容量のデータをやりとりできる次世代高速データ通信規格「LTE」の商用サービスを開始する予定。先行するLTEの強みを生かし、KDDIやソフトバンクに対抗する。
 同日、記者会見した大日本印刷の高波光一副社長は「業界トップの両社の提携で、大きなシナジー(相乗効果)が生み出せる」と語った。
 通信大手では、ソフトバンクが6月に、子会社を通じて、アイパッドやスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に向けに新聞や雑誌などのコンテンツ配信を開始。KDDIは7月に凸版印刷やソニーなどとの共同出資で電子書籍の配信に向けた準備会社を設立し、年内のサービス開始を目指している。
 各社とも音声通話による収入が落ち込む中、データ通信収入の増加につながる電子書籍を重視しており、今後、顧客に加え、有力端末や優良コンテンツの囲い込み合戦が激化するのは必至だ。



「3Dスマートフォン」開発検討 シャープ
シャープが、3D機能を持つ多機能携帯電話(スマートフォン)の開発を検討していることが2010年8月4日、分かった。
一部報道では、片山幹雄社長が3Dスマートフォンを年内に発売すると発言したとあったが、シャープ広報は取材に対し、「発売時期を含め、詳細は一切未定」と答えた。
シャープは10年4月2日、専用メガネを必要としないタッチパネルつき3D液晶ディスプレーを、5月12日には立体映像が撮影可能なモバイル機器向け3Dカメラモジュールをそれぞれ発表している。新型の3Dスマートフォンには、これらの機能が搭載されると見られている。



バーンズ・アンド・ノーブルが身売り検討、電子書籍市場で苦戦
 [ニューヨーク 3日 ロイター] 米書店大手のバーンズ・アンド・ノーブルは3日、身売りを検討していると発表した。同社は電子書籍市場における主導権争いで苦戦が続いている。
 創業者で筆頭株主のレナード・リッジオ氏は取締役会に対し、同社を買収する可能性のある投資家グループへの参加を検討していると報告した。 
 著名投資家のロン・バークル氏も同社に関心を示しており、ここ数カ月、株式を買い増してきた。また同氏は、買収防衛策が株式取得を妨害しているとして同社を提訴していた。今回の発表に対するバークル氏のコメントは得られなかった。
 バーンズ・アンド・ノーブルは4人の社外取締役から構成される特別委員会を設置したことを明らかにした。株主価値向上に向けてあらゆる選択肢を検討する。
 発表を受けて、同社の株価は時間外取引で27%上昇した。



描き下ろし電子コミック誌「電撃コミック ジャパン」創刊へ 日本初
 アスキー・メディアワークスは4日、電子コミック雑誌「電撃コミック ジャパン」を12月に創刊すると発表した。紙の雑誌で発表されていない描き下ろしの作品だけを載せた電子版漫画誌は日本初という。
 米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」や多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」のほか、ウェブ上で読むことができる。パイロット版(120ページ、無料)を秋に電子書籍サイト「理想書店」を通じて配信する。
 同社によると、執筆陣は外薗昌也(ほかぞの・まさや)さん、押切蓮介(おしきり・れんすけ)さん、見ル野栄司(みるの・えいじ)さんら第一線で活躍する漫画家や新人を含む24人。創刊号は無料で提供し、2号目以降は500円で月1回の発行を目指す。
 掲載作品は紙の本でも単行本化し、書店で販売する予定。今後、英語や中国語版も制作していくという。



〝タッチ特需〟パネル増産ラッシュ 関連メーカー、ウハウハ
 画面を直接触って操作する電子部品「タッチパネル」市場の活況を受け、携帯向けタッチパネル製造の日本写真印刷が大増産体制を敷く。従来は券売機など限定的な市場だったが、世界中で販売が伸びているスマートフォン(高機能携帯電話)への搭載で需要が一気に拡大。さらに、米アップルの新型情報端末「iPad(アイパッド)」などパソコンでもタッチパネルの搭載が進むことが見込まれ、メーカー各社が対応を急いでいる。
象徴的な部品
 「スマートフォン向けを中心に、タッチパネルの需要は世界的に旺盛になっている」。タッチパネル向け部材である光学用透明粘着シートを製造している日東電工の広報担当者は、スマートフォン効果を強調する。
 タッチパネル自体は以前からある電子機器だが、アップルが2007年に発売したスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に搭載したことで一気に注目が高まった。携帯電話メーカー幹部が「タッチパネルを使っていないとスマートフォンとみなされない」(国内大手)というように、スマートフォン市場の急成長に合わせてタッチパネルの利用も広がっている。
 今後も米インターネット検索大手グーグルの基本ソフト(OS)を搭載した「アンドロイド端末」を中心にスマートフォンの出荷増が見込まれ、タッチパネルの出荷も引き続き成長を続けるのは確実。市場調査会社のシード・プランニングでは、タッチパネルの世界市場規模が09年の40億ドル(3720億円)から15年には145億ドルに拡大すると予想する。
 この活況の恩恵を受けているのがタッチパネル関連メーカーだ。日本写真印刷の携帯電話向けのタッチパネルの売上高は2010年3月期に前年同期比50.4%増の388億円に増加。11年3月期には430億円を見込む。今後の需要増に応えるため、兵庫県姫路市で東芝モバイルディスプレイから土地・建物を借りて専用工場化し、9月をめどに稼働を開始する予定だ。「携帯電話向けは出荷数が多く、将来的な事業拡大に備えることが欠かせない」(広報部)とし、今後も積極的な事業展開を行う考えだ。
期待のタブレット型
 また、スマートフォンに続き、一層の市場拡大の牽引(けんいん)役として期待されるのが、タッチパネルを使ったタブレット型パソコンの伸長だ。
 持ち運びのしやすいタブレット端末は、アップルが4月に発売したアイパッドで一気に注目され、パソコン各社も投入計画を相次ぎ打ち出している。
 とりわけ注目されるのが米マイクロソフトが昨年10月に発売したOS「ウィンドウズ7」の対応機だ。同OSはタッチ操作に対応しており、年末までに米ヒューレット・パッカードなど各社が対応製品の発売を表明している。
 IT調査会社のMM総研の中村成希アナリストは「機能性と機動性を両立したタブレット型パソコンは、新たな需要を掘り起こす」と指摘。米調査会社のアイサプライはタブレット型パソコン向けのタッチパネルの世界出荷数が09年の17万6000枚から13年には約6390万枚に一気に跳ね上がると予想する。
 ただ、日本のタッチパネル関連メーカーにとっては手放しで喜んでばかりもいられない。アイパッドのタッチパネルには台湾の電子部品メーカー勝華科技(ウィンテック)の製品が使われるなど、台湾や中国、韓国のメーカーによる攻勢が活発化している。
 国内タッチパネル関連メーカー幹部は「この1年で需要も伸びたが、価格低下圧力も一気に増している」と打ち明け、価格競争の激化を予想する。成長するタブレット型パソコンの裏側で、世界の電子部品メーカーによるシェア争いの本格化が必至だ。



「Motorola、Android搭載テレビタブレット開発」の報道
 携帯電話メーカーの米Motorolaが米キャリアVerizon Wirelessと協力して、AppleのiPadに対抗するデジタルタブレットを開発していると、Financial Timesが8月4日に報じた。
 この製品は、ユーザーがテレビ番組を視聴できる機能を備え、Verizonの有料デジタルテレビサービスFiOSと連係するものになる見込みだと、同紙は製品計画を知る筋の話として伝えている。
 この製品は早ければ秋に米国で発売され、10インチのディスプレイとGoogleのAndroidを搭載するという。
 またカメラを2台装備し、ユーザーは近くのデバイスとワイヤレス接続を共有できる。iPadとは異なり、人気動画サイトの閲覧に使われるAdobeのFlashをサポートするとFinancial Timesは伝えている。
 MotorolaとVerizonからコメントは得られていない。



(携帯放送新時代) 有料会員、どう獲得 コンテンツの充実カギ
 昨年3月、日本の携帯端末向け放送の草分けとされた「モバイル放送(モバHO!)」がひっそりと放送を停止した。
安さアピール
 東芝や韓国のSKテレコムなどが出資。放送衛星を使い、10チャンネルの映像番組などを用意、2004年から放送を始めた。しかし、06年に無料の携帯向け地上デジタル放送「ワンセグ」がスタートするなど事業環境が悪化。月1000円超の料金、6万~7万円の専用端末が必要なモバHO!は消費者に受け入れられず、加入目標200万人に対し集まったのは約10万人。携帯向け有料放送の難しさが浮き彫りになった。
 7月中旬、都内で開かれた展示会。NTTドコモは12年春のサービス開始を目指す携帯向け次世代放送の試作機を公開した。フジテレビジョンの協力でお笑いタレントのライブなどを中継。見物客は画質の良さに驚く。
 ドコモと「放送免許」1枠を争うKDDIの小野寺正会長兼社長も「次世代放送は電子書籍などコンテンツも幅広い」とモバHO!との違いを強調する。受信端末も携帯電話やゲーム機、電子書籍端末など多様だ。
 成功のカギは魅力的なコンテンツの調達と端末の普及。次世代放送は放送設備を携帯電話会社が運営する点でもワンセグと異なる。民放幹部は「我々がコンテンツに専念できるよう、利用しやすい放送環境を整えてもらいたい」と注文する。
 07年春、米国で「メディアフロー」方式による携帯放送が始まった。同方式を開発した米クアルコムは7月8日、台湾・遠伝電信と組み、現地で免許を取得する意向を表明。マレーシア、香港、英国でも実証実験に取り組む。
 「世界標準への布石は進んでいる」(クアルコムのポール・ジェイコブス最高経営責任者)。同社とKDDIは世界標準化でメーカーに量産を促し、安価な端末の普及を狙う。このほどシャープも日本勢で初めてメディアフロー端末の供給を米国で始めた。
 スポーツや映画を放送している米国の料金は月額10~15ドル。ドコモ陣営が計画する料金は月額約300円だ。山田隆持社長は「視聴料の安さが普及の条件」とみる。当初700億円とされた設備投資も438億円に抑制。「設備利用料も安くして多くのコンテンツ事業者に参加してもらうためだ」(山田社長)。
「2社で競争を」
 視聴料などから概算すると採算ラインは視聴者270万~310万人。ただ、携帯の世界で300万人が利用する有料コンテンツサービスを立ち上げるのは容易ではない。09年5月から始まったドコモの有料動画配信「BeeTV」(月額315円)。加入者を125万人(6月時点)に増やすまでコンテンツ制作などに多額の資金を投じてきた。
 3日夕、衆院議員会館で民主党の情報通信議員連盟が総務省幹部、ドコモ、KDDI両社長を交えて開いた作業部会。免許1枠を両社が争う現状に、民主党議員が「2社とも選び競争させればいい」と詰め寄った。総務省側は「2つの方式が併存すると投資効率が悪く普及を阻害する」などと説明するにとどまった。
 今、インターネット上には有料・無料の映像があふれる。携帯放送が消費者をひき付けるのは楽ではない。コンテンツ力と集客力の好循環をいかに生み出すか。免許獲得がそのまま成功につながるとは限らない。



中国、外資悩ます「自国優先」 国内企業保護・資源囲い込み 依存・不満、揺れる日米欧
 今年、国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界第2位の経済大国となる見通しの中国。日米欧などの企業が一段と中国依存を深めるなか、新たな摩擦が表面化してきた。国内市場では自国企業の優遇を強め、国内外で半ば強引に資源を囲い込む。超大国の振る舞いが、波紋を広げている。
「自主」で摩擦
 全米商工会議所が先週発表した報告書「中国の『自主創新』運動」が反響を呼んでいる。「自主創新」は中国が2006年に打ち出した自主技術育成への政策だが、報告書は外資から見れば「歴史上、類をみない規模の技術窃盗計画」と評した。
 中国当局批判を控えてきた米欧企業の首脳も、公然と不満を漏らし始めた。「外資は中国市場参入の見返りに、ノウハウ開示を強いられている」――。7月、メルケル独首相の訪中時に、独シーメンスとBASFの首脳が温家宝首相に投資環境の改善を直訴。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のイメルト会長も最近、中国の自国企業優遇策を嘆いた。
 慎重な日本勢も動いた。中国進出企業で構成する中国日本商会は4月、内外無差別の徹底などを求める建議を当局に提出した。
 風向きは変わった。中国もいずれ米欧主導の国際ルールに従うとの期待は、世界貿易機関(WTO)加盟から8年たっても実現していない。むしろ経済ナショナリズムが台頭している。
 昨年11月にはハイテク製品の政府調達で国内開発製品を優遇する制度を発表。4月に一部見直されたものの、不透明さが残る。インターネット検閲で当局と対立した米グーグルは7月に免許更新を認められたが、市場では中国の百度(バイドゥ)の優位が高まった。
 外資から技術を吸収した中国企業は海外でもライバルになりつつある。ブラジル高速鉄道では中国は日本や韓国と並び落札を狙う。日本やドイツなどから技術を導入し、改良。「世界の最先端」(鉄道省の何華武・総工程師)を標ぼうする。
 資源戦略でも異質さが際立つ。資金力を盾に原油や鉄鉱石の権益確保に動く国有企業の投資先は、スーダンなど欧米から批判され国際的に孤立する国を含む。鉄鉱石取引を巡っては、中国当局が産業スパイ容疑などで英豪系資源大手リオ・ティントの元社員を逮捕。豪との摩擦に発展した。
 一方、自国資源は守る。世界供給の9割以上を占める希土類(レアアース)では今年の輸出枠を前年比4割減らした。
産業育成に焦り
 強引な政策の背景には政府の危機感がある。8%前後の成長持続に資源確保は不可欠。相次ぐ賃上げストは「安い労働力で大量生産」の成長モデルの曲がり角を示す。
 米社調査では中国で組み立てられる米アップルの「iPad(アイパッド)」の製造コストは9ドルで価格(499ドル)のわずか2%と付加価値が低い。産業の底上げへ「今こそ技術やブランド力を備えた企業の育成を」という焦りは強い。
 1~6月の外資の対中直接投資額は前年同期比約2割増え、中国側は「投資環境悪化との批判は誤り」(温首相)と主張する。だが、対中投資の長期的な損得について企業は悩み始めた。中国の政策が変わらなければ、米欧政府との間でも人民元改革などに加えて摩擦の種が増えることになる。



記者の目◇スズキ、インドでの絶対優位は続くのか
 スズキは3日、2010年4~6月期の連結営業利益が前年同期比4.7倍の319億円になったと発表した。ホンダや日産自動車など他の自動車大手同様に利益が急回復したが、今回は増益要因のなかに得意のインドの姿が見あたらない。主なけん引役は日本や欧米の採算改善だ。これまで幾度となく同社の好決算をけん引してきたインドでの絶対優位は今後も続くのだろうか。
 営業利益は前年同期から250億円増えたが、これを地域別にみてみると、このうち日本が7割を占めた。欧米や中南米向けなどの輸出が前年同期比2倍以上に膨らんだ上、国内でも軽自動車の販売が1割増加。国内生産台数が29%増の27万台に回復するなど量産効果もあり、日本の所在地別営業損益は158億円の黒字(前年同期は20億円の赤字)になった。
 一方、インドが中心のアジアは115億円と前年同期比3%増にとどまり、伸び率は09年4~6月期の33%増を大きく下回った。これは販売店の拡充などで投資がかさんだほか、物価上昇で材料費も高騰したため。「競争に負けて販売力が落ちたとかそういう本質的な理由ではない」(同社幹部)という。
 ただ、最近のインド市場の競争は急速に激しくなっている。スズキは今でも50%近いシェアを誇るものの、足元では韓国の現代自動車や現地のタタ自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)などの海外勢に加え、トヨタ自動車やホンダ、日産自動車など日本勢も攻勢をかけており、徐々にシェア格差は詰まり始めている。
 実際、4~6月のインドの新車販売台数はタタが49%増、GMが2倍弱、米フォード・モーターが3.7倍、トヨタが56%増となり、いずれもスズキの23%増を上回った。ある自動車大手幹部からは「以前のようにスズキさんの独壇場ではなくなってきたね」との声も出る。各社が工場増強やインド専用車など新製品投入を加速するなか、スズキの鈴木俊宏取締役は「タタだけでなく、現代自、トヨタなど皆が脅威だ」と警戒している。
 今後は2~3年以内に現在790店ある販売店を1000店以上に拡大するほか、部品の補給拠点や倉庫なども新設。販売、物流地域の拡大や効率化を図る。結果的に今期のインドの採算性は落ちるかもしれないが「目先の利益を捨てて将来のシェア確保につなげる」(幹部)考えだ。
 製品面でも、今期は1999年に発売した「ワゴンR」を4月に全面改良して発売。スズキが他のモデルを含めてインドで全面改良車を投入したのは初めてで、顧客奪取への意気込みが見て取れる。他社が生産体制の整備に気を取られている間に、上に述べたような販売・物流網の整備によって「未開の地」をさらに開拓できるかどうかに注目したい。



日経社説
教育のあり方変える電子教科書の課題
 文部科学省が2011年度から電子教科書の導入に向けた実証研究を始める。電子教科書は音声や映像の再生やインターネットの情報閲覧ができ、教育現場を大きく変える可能性がある。一方で導入の課題も多く、正しい使い方の研究が必要だ。
 文科省は、米アップルの「iPad」のようなタッチパネル型端末の採用を想定している。実証研究は3年間の予定で一部の公立小中高校で行う。電子教科書の利用方法や教育に必要な機能を検証する一方、子どもの健康への影響や障害児への対応などを研究する。検証を経て、こうした端末を2020年までに1人1台ずつ導入する考えだ。
 計画が予定通り進めば情報端末を利用した授業が中心になり、教室の風景は大きく変わる。映像や音声を再生できるので、内容をよりわかりやすく伝えることができる。理解力に応じて授業の内容を分けることもできる。こうした機能を生かすには、教師の教え方や教育政策・制度の踏み込んだ見直しが必要になる。
 教科書検定や学習指導要領は、紙の教科書を前提にした制度だ。これを電子教科書にも当てはめるには根本的な見直しが必要になり、硬直的だと批判される教育制度を変えるきっかけにできるかもしれない。
 映像や音声を使って中身の濃い授業になるだけに、これに対応する教師にもより深い知識や教授法が必要になるだろう。情報技術に関する教師の理解や技術の向上も欠かせない。今後はデジタル時代の指導法が教師に求められる。
 電子教科書の導入にはインフラの整備が必要だ。全国約3万6千校の公立学校で、校内LAN(構内情報通信網)を設置済みの教室は8割にとどまる。1人1台ずつ端末を使えるような無線LANの環境が整っているのは、そのうち2割だけだ。
 電子教科書や電子教材を活用するためには音声や映像などのデータを蓄積する必要がある。どういうものが教育目的で複製できるか、著作権法などの決まりも定めるべきだ。
 韓国は来年から小中高校の全生徒にCDの記憶装置を使った電子教科書を配布する方針だ。米国ではアップルや教育関係の出版社がiPad向けの教材開発を進めている。教育の情報化は世界の大きな流れだ。
 文字の習熟などの観点では、紙の教科書や手書きのノートを使うことも重要だ。また端末の導入に多額の予算が要るという問題もある。だからといって電子教科書の可能性を閉ざすべきではない。十分な検証によって教育の技術革新を進めたい。
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