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米IT、交流サイトで連合 グーグルとディズニーなど
 【シリコンバレー=奥平和行】インターネットの交流サイト(SNS)に絡み、米IT(情報技術)大手に活発な合従連衡の動きが出始めた。ネット検索最大手グーグルとメディア大手ウォルト・ディズニーはSNSを通じて遊ぶソーシャルゲームの開発会社を相次ぎ買収。ネット小売り最大手アマゾン・ドット・コムもSNS最大手と組んで新サービスを探る。SNSは利用者急増で広告媒体としての価値も増大。各社は事業規模を拡大し、収益力を強化する戦略だ。
 グーグルは6日、フェースブックやメディア大手ニューズ・コーポレーション傘下のマイスペースにゲームなどを提供するカリフォルニア州の企業スライドを買収したと発表した。買収額は1億8000万ドル(約150億円)程度とみられる。
 ソーシャルゲーム大手ジンガゲームネットワーク(同)にも1億ドル以上を出資したもよう。グーグルは独自にSNSを手掛けているがフェースブックなどに大きく引き離されており、ゲーム会社との提携でてこ入れを狙う。
 ディズニーはソーシャルゲーム大手プレーダム(同)を最大7億6320万ドルで買収することで合意。「ディズニー」「ABC」など傘下のブランドとゲームを組み合わせて収益を拡大する計画を進める見通しだ。
 一方、SNS事業そのもので他企業との連携を探る動きも相次ぐ。アマゾンはフェースブックと提携し、利用者が友人の好みの音楽や書籍を購入したり、友人の誕生日プレゼントを選んだりできるサービスを開始。マイクロソフトも出資先であるフェースブックと協力し、ネットを通じて友人と文書や表を共有できるサービスを始めた。
 SNSの利用者は世界各地で急増しており、最大手のフェースブックは7月に利用者が5億人を超えた。米調査会社ニールセンによると、米国のネット利用者はネット利用時間のうちSNSに費やす割合が最大。6月にこの比率は1年前より7ポイント高い23%になった。一方、電子メールやポータル(玄関)サイト閲覧の比率は下がっている。
 そうした中で、SNSは広告媒体としての存在感も増している。米フォレスター・リサーチは、米国におけるSNSなどソーシャルメディアを通じた広告の市場規模が2009年の約7億ドルから14年には30億ドル超に達すると予想する。年平均成長率は34%と他のネット広告を大きく上回っており、グーグルなど収益をネット広告に依存する企業は同分野への取り組みが急務になっている。



半導体装置主要6社、4~9月の受注高2倍に
ディスコは半期で最高、高機能携帯など需要増
 高機能携帯電話(スマートフォン)などデジタル家電に使う半導体需要の高まりを受け、半導体製造装置メーカーの受注が回復している。主要6社の2010年度上期(10年4~9月期)の受注高は約6500億円と前年同期の2倍に増えそうだ。台湾や韓国の半導体メーカーからの引き合いが強く、ディスコは半期ベースで過去最高に、東京エレクトロンは金融危機前の約9割の水準に達する見通し。ただ下期以降の受注環境には慎重論もくすぶる。
 研削装置大手のディスコの10年度上期の受注高は約550億円と前年同期の2.2倍に増えそうだ。半期ベースの過去最高だった07年度上期を上回る。
 半導体チップ切断装置を生産する桑畑工場(広島県呉市)の稼働率は1年前は5~6割だったが、ほぼフル生産に回復。「クリスマス商戦を控えて、製造装置の出荷は好調が続いている」(溝呂木斉会長)という。
 国内首位の東京エレクトロンや検査装置大手のアドバンテストなど大半の装置メーカーは過去最高には届かないが、リーマン・ショック前の水準に近づきつつある。東京エレクトロンの受注高は約3100億円と07年度下期の約9割の水準に達する見通し。
 4~6月期の受注実績をみると、回復のけん引役が台湾や韓国の半導体メーカーであることがわかる。東京エレクトロンの全体の受注に占める台湾・韓国の比率は5割となっているほか、アドバンテストも約5割と、1年前の3割から急上昇した。
 今のところ4~6月期の急回復が目立つが、「7~9月期の半導体・液晶製造装置の受注高は4~6月期比でさらに1~2割増える」(東京エレクトロンの竹中博司社長)との声もあり、足元は好調が持続しそうだ。
 受注回復で各社の業績も大きく改善している。シリコンウエハーの洗浄装置で世界シェアの約8割を握る大日本スクリーン製造は10日、10年度の連結業績予想を上方修正した。最終損益が165億円の黒字(前期は80億円の赤字)と従来予想から75億円黒字が増える見通し。
 日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、日本製の装置の販売高は10年が前年比88%増の1兆2277億円となり、11年も同16%増の1兆4222億円に拡大すると予想している。



商店街・自治体も「つぶやき」なう、ツイッター活用
 140字以内の短文によるインターネットのミニブログ「ツイッター」を、情報発信や交流に使う商店街や自治体が増えている。手軽さや即時性、双方向性が人気の秘密。短文のため「つぶやき」とも呼ばれる発言のやりとりを、集客や住民参加につなげようと各地で知恵を絞っている。
 福岡市の大名地区周辺の商店街は7月、映画のPRと連動しツイッターの情報などをヒントに、街に隠れるスパイ役を捜すイベントを開いた。発見者は景品がもらえるとあって、約200人が携帯電話を片手に街を歩き回った。
 同地区では2月、ツイッターによる情報発信の活動「大名なう」をスタート。約130の参加店は「ツイッター見た人は割引」「日替わりランチあり」など思い思いにつぶやき、3~4割の店で新規客が増えたという。企画した天神・大名WiFi化協議会の杉山隆志事務局長(43)は「つぶやきや交流を盛り上げる仕掛けが重要」と話す。
 若者に人気の衣料店やアクセサリー店などが集まる地域では、ツイッターを店と客とのコミュニケーションに使用する例が出ている。高円寺ルック商店街(東京・杉並)は昨年11月からツイッターを活用した商店街の情報発信を始めた。
 配信内容はイベントや新商品の情報にとどまらず、店の従業員の生活や客とのやりとりなどまで多岐にわたる。周辺の交通状況なども伝えて地元や近隣地区の読者を獲得。現在、利用者は20~30代を中心に約4500人にのぼる。
 自治体や住民も地域活性化などに向けツイッターを使う。千葉市は10日夜、市長と市民が財政健全化を議論した。ご当地キャラクター「ネギ太」がつぶやく鳥取県米子市は、PR効果で2009年度のふるさと納税件数が前年の6.5倍(額は1.7倍)に急増した。
 秋田県横手市の市民有志は昨年12月、つぶやきを街おこしに生かす企画「ヨコッター」を開始。公園で壊れた安全柵を発見した人が、状況を写真付きで投稿し、市の素早い修理につながった。観光客のつぶやきをもとにツアーも計画する。
 横の連携も生まれている。大名なうやヨコッターなどは広域組織「マチッター」を結成。6月、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)で苦しむ宮崎県を支援しようと同県産肉のバーベキューを全国に呼びかけ、募金を集めた。
 ただ、一方的な発信に終始すればツイッターの魅力は生かせない。IT(情報技術)による地域活性化に詳しいNTTコミュニケーションズの林雅之さん(39)は「過度な商売っ気やPRは控え、地道で特徴ある発言と丁寧な返信を心がけることがカギ」と指摘する。ほかに、ブログなどとの連携や発信する住民を増やす工夫も大切で、なりすまし発言に注意することも必要だという。



消費者金融、借り入れ申し込み3割減 規制強化の6月
大手4社 融資できた顧客数4割減
 6月18日に改正貸金業法が完全施行されたことを受け、消費者金融への新たな借り入れの申し込みが急減している。アコム、プロミス、アイフル、武富士の大手4社への6月の申込数は前年同月に比べ約3割減った。実際に融資できた顧客数も約4割減り、単月では過去最低水準だった。
 改正貸金業法は個人の借入額を年収の3分の1以下に抑えるよう貸し手に求めている。こうした総量規制の影響で借りられない個人が出始めたようだ。総量規制を意識して借り入れを控える個人も多いとみられ、消費などへの影響が今後広がる可能性もある。
 6月の大手4社への借入申込数は7万8000件強。そのうち、審査を経て貸し出すことができたのは2万3000件弱にとどまった。単月ベースの貸し出し実績はアコム、プロミス、武富士が2000年以降でそろって過去最低。
 アイフルの実績は、正式には11日の決算発表で明らかになる。同社はすでに昨年末に事業再生ADR(裁判外紛争解決)が成立し、新規の貸し出しを絞っている。
 例えば年収900万円強の所得者が100万円弱を借りていた場合、計算上は借り入れを増やす余地がある。しかし、今後の資金需要に備え余力を残そうと考える個人がいるほか、総量規制の対象に住宅ローンも含まれると誤解する借り手もいるとみられる。
 「一部の顧客は銀行に移った」(アコム幹部)との指摘もある。今回の法改正の対象外となる銀行は、無担保カードローンの商品を相次いで拡充している。ただ三菱東京UFJ、三井住友、みずほの三大銀行は6月に新規カードローンの受付数が合計4万件弱と前月から微減。消費者金融の顧客が流れているかどうかは、まだ判然としない。
 消費者金融に実際に申し込んでも、総量規制の内容をよく理解していなかったため、断られる事例もあるようだ。新規の貸出件数が大幅に減ったのも、このためとみられる。申込件数に対して貸し出しに応じた件数の割合(成約率)は4社合計で29%と、10人のうち7人が断られた計算だ。
 こうした借り手がどこに流れるかにも注目が集まる。「顧客がヤミ金に流れるケースが増えた」(大手消費者金融幹部)との見方も浮上している。日本貸金業協会の調べでは、6月にヤミ金関連の相談は210件強と前月より50件強増えた。
 6月はボーナスの支給時期であり、消費者金融業界は「法改正の影響が出るのは夏休み明けの9月以降」とみていた。しかしカード・信販業界でも「6月の完全施行を境に借りられないと判断した顧客のキャッシング申し込みが急減した」との声がある。



外資系銀行や証券、日本で追加的な人員削減の可能性
 外資系銀行や証券会社が日本で追加的な人員削減を実施する可能性がある。一部の大手外国金融機関が、収益性の低い日本法人でリストラを検討しているほか、日本の人員枠を他のアジア地域に振り分ける動きなどが出ているためだ。
 国内外金融機関の人材紹介を手掛けるエグゼクティブ・サーチ・パートナーズの調査によれば、外国の銀行、証券、プライベート・エクイティ、ヘッジファンド、資産運用、不動産投資会社は6月末までの約2年間で既に約5000人を日本で削減。低収益の部門などでは、さらなる削減に踏み切る公算があるという。
  外資系金融機関は2008年秋のリーマン・ショック以降、日本で人員を削減してきたが、新規株式公開(IPO)やM&A(合併・買収)助言ビジネスの規模が他のアジア諸国に比べて小さいことなどから、この傾向はしばらく続きそうだ。一方で、外資勢は米国などでの採用を活発化させている。
  エグゼクティブ社の小溝勝信代表取締役はブルームバーグ・ニュースの取材に「外国銀行には採用凍結やさらなるリストラを検討しているところがある」と述べた。その上で、「私が懸念し警鐘を鳴らしたいのは、外国資本が日本をリスクを取るに値しないと素通りし香港や上海、シンガポールに投資しつつあることだ」と語った。
中国、世界最大のIPO市場に
  ニューヨークに拠点を持つ調査会社のフリーマンによると、世界の金融機関の投資銀行部門の2010年1-6月の総手数料収入は前年同期比7%増の371億ドル(約3兆2000億円)。このうち約半分が米国市場での取引から発生しており、日本は4%程度だという。中国、香港市場ではその間に倍増した。
  中国では7月に中国農業銀行が香港市場などで約208億米ドル(約1兆7880億円)の新規株式公開を実施するなど、世界最大のIPO市場になりつつある。同案件の引き受けには中国国際金融(CICC)とドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、豪マッコーリー・グループ、モルガン・スタンレーなどが携わっている。
  また、ブルームバーグ・データによれば、今年これまでの日本企業関連のM&Aは1283件と、中国・香港関連の2036件の半分程度、金額ベースでも日本は675億ドルと中国・香港の約半分にとどまる。株式の引き受け、M&A業務ともに中国・香港は外国銀行にとって魅力的な市場と言え、フィーや主幹事獲得をめぐる競争が激しくなっている。
  エグゼクティブ社によれば、外資系金融は08年3月末から10年6月末までに日本で4757人を削減し2万3724人となった。各社の報告書によると、ともに1000人超の従業員を抱えるバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン、モルガンSは08年3月末からの2年間で数百人規模、率にして16-24%の人員を削減した。
  小溝代表は、「外国銀行の日本市場へのコミットメントが低下すれば『もの作り日本』に代表される日本企業へのリスクマネーの供給が減り競争力が低下する」と指摘する。その一方で「日本の金融機関が収益力や資本力を強化してグローバルに通用するノウハウを蓄積するなど、独自性を持った『日本版投資銀行』の確立が急務だ」と述べた。



研究開発、新興国が存在感 中印、特許出願が急増
 中国やインドなどの新興国企業が研究開発で存在感を高めている。生命科学やエネルギー分野などでの特許が急増。特に中国は環境分野で日米欧を上回る件数の特許を公開しており、中国企業も研究開発の実力を付けつつある。一方、日本は出願する技術を絞り込む傾向にあり、市場が拡大する新興国市場への出願も欧米に比べると出遅れ気味だ。
 世界知的所有権機関(WIPO)によると、中国企業が2008年に国内外で特許を出願した件数は20万3257件となり、10年間で14倍に増えた。トップの日本は50万34件、2位の米国は38万9073件で、中国がトップ3の一角を占めた。
 中国の個人や企業が同国内で出願した件数も00~08年で8倍近くに膨らんだ。水質汚染など高度成長に伴う問題に対応する技術だけでなく、LED(発光ダイオード)照明など先端技術での出願も増えているという。
 中国政府も特許の出願を後押しするのが中国政府による政策だ。企業に補助金を出したり減税したりする際、特許の保有件数を条件にするほか、大学への研究費助成でも特許につながるかどうかを目安にしている。
 文部科学省の科学技術政策研究所によると、世界の主な論文誌に載った中国人による科学論文は08年、10万4157本で米国に次ぐ2位。引用される回数も多いという。
 インド企業も08年の出願件数は国内外合わせて4537件となり、05年に比べて6割以上増やした。半数以上が米国への出願で、IT(情報技術)や医薬品などで先行しているとみられる。
 海外で特許を有効にするには国ごとに取得する必要がある。市場としての中国の重要性が増す中で、日米の企業も中国での出願を強化。日米合計で1998年の2万件弱から08年は5万8000件に増えた。日本から中国への出願数は欧州への出願を上回り、米国への8万件に次ぐ。
 日立製作所は09年に国内で53%、海外では47%だった特許出願実績の割合を、10年には海外を50%超に引き上げる考え。グループの研究開発を統括する高橋直也執行役副社長は「これまで海外の出願先は欧米が中心だったが、事業を拡大する新興国で知的財産権の確立を強化する」と話す。
 パナソニックは白物家電やAV(音響・映像)機器の研究開発を中国など海外で手掛けるケースが増えており、それに伴って海外での出願件数が急増。東芝もパソコンやデジタル家電、半導体・電子部品の分野で米国と中国での出願を強化している。
 ただインドやブラジルなど他の新興国への出願は出遅れ感もある。海外からインドへの出願数の国別シェアでは米国が36%を占める一方、日本は10%。ブラジルでも米国の41%に対し日本は6%にとどまっている。



日本、成長分野で出願停滞 「量より質」追う
 特許出願が急増している中国などとは対照的に環境や生命科学、エネルギーなど、日本が研究開発に力を入れる8つの分野での特許件数は停滞している。投資効果を高めようと、研究開発分野でも「量より質」を求める姿勢を企業が強めていることが背景にある。
 8分野での日本の特許公開件数は2009年が08年比0.5%増の14万9842件。件数ベースでは米国に抜かれ、12万件強となった中国の急追を受けている。日本は省エネ技術など、より高度な特許の出願が多いとみられるが、「件数だけをみれば、数年以内に中国が日本を追い抜いても不思議ではない」との指摘も聞かれる。
 日本経済新聞社がこのほど実施した「研究開発活動に関する調査」(有効回答283社)でも、09年度の国内の特許出願件数が08年度より「減少した」と答えた企業は全体の45%を占め、「増えた」(23%)とした企業の2倍近い比率だった。
 企業は特許関連の費用を抑えようと、出願する技術を慎重に選別。政府も競争環境に直接影響しそうな重要技術は場合によっては秘匿するよう勧めるケースもあるという。国内で出願せず、より製造や販売市場に近い海外の進出先で出願する企業も増えている。
 もっとも、科学技術立国を旗印に研究開発を強化してきた政策運営とのちぐはぐさは否めない。01~09年度の当初予算だけで合計16兆円強を8分野の研究開発に充ててきたが、優れた技術をバネに日本の産業技術の国際競争力が高まったとは言いにくい。
 量より質を掲げる企業の特許戦略についても、相沢英孝一橋大教授は「特許は技術の将来性と深く関係しており、出願減は将来有望な技術が減っていることを示す」と警鐘を鳴らしている。



トヨタ、イラン輸出停止
米制裁に配慮、日本勢追随も
 【ドバイ=松尾博文】トヨタ自動車が核開発問題を巡り国際社会と対立するイラン向けの自動車輸出を停止したことが10日、明らかになった。イランに対しては国連が追加制裁を決議したのに続き、米国も独自の制裁強化を決定している。輸出を継続すれば最大の市場である米国での事業に影響が出かねないと判断、自主的に輸出停止に踏み切った。日本を代表するトヨタの動きが他の日本企業に広がる可能性がある。
 トヨタ関係者によると、グループ商社の豊田通商が5月に輸出したのを最後にイラン向けを停止した。期間は無期限という。イランには四輪駆動車のランドクルーザーなどを2008年に約4000台、09年には250台輸出した。10年は5月末までに230台を出荷、現地代理店を通じて販売していた。
 国連決議を無視してウラン濃縮を続けるイランには国連安全保障理事会が6月に追加制裁決議を採択。米国や欧州連合(EU)も独自の制裁強化策を決めた。
 米国の制裁法に抵触すると判断された場合は、外国企業であっても米国市場での事業制限などの罰則を受ける。トヨタの場合は米制裁法に抵触しないが、米政府はイランとのビジネスを続ける外国企業に厳しい目を向けている。トヨタは少量であってもイラン向け輸出は「米国での信頼に悪影響を与える」(関係者)と判断した。
 トヨタにとって北米は重要市場で、地域別では日本を上回る最大規模。ただ、金融危機後、自動車販売台数は大きく落ち込んだ。品質問題とその対応で一部の世論や議会から反発を受けた経緯もある。今年4~6月期は前年同期に比べて4割近く増加していただけにイラン問題で米国での販売に水を差したくないとの思惑が働いたもようだ。
 他の日本企業もイランとの取引に慎重な姿勢を強めている。三菱重工業は米国の制裁対象リストに問題がない案件だけを輸出する体制を確立。新日本製鉄は安全保障上の問題がないか経済産業省と相談しているという。
 一方、欧州企業では英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや仏トタル、独シーメンスなどがすでに撤退や事業凍結を表明した。自動車メーカーでも独ダイムラーがイラン向けの乗用車とトラックの輸出を止めた。



日経社説
円高進行に政府・日銀はにらみ利かせ
 最近の円高が日本経済に及ぼす影響を日本銀行はどうとらえているのか。米連邦準備理事会(FRB)の政策決定と併せて注目されるなか、日銀は政策据え置きを決めた。
 日銀は決定後の声明で、国際金融市場の動きを通じた「内外の経済に与える影響に注意していく必要がある」と表明。白川方明総裁は記者会見で「為替相場の日本経済への影響を注意深くみていく」と述べたが、政策判断のもとになる経済や物価の基本的な見通しは変えなかった。
 市場では円高圧力がくすぶっている。FRBは10日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、米景気の減速とデフレの危険を視野に入れ、追加的な金融緩和の可否を議論するとの観測が強まっている。
 日銀が現状維持を決めた後、米国が緩和を検討するとなれば、日米の金利差が縮まって円高・ドル安が進みやすくなる。東京市場で円相場は1ドル=85円台と昨年秋以来の円高となっている。日本の景気に対する影響を懸念し10年物国債の利回りを映す長期金利も一時、1%を割った。
 白川総裁は10日の記者会見で円高進行の理由として、(1)グローバルな投資家がリスク回避姿勢を強めるなか安全資産として円が買われている(2)低金利の円を借りて高金利通貨などに投資する「円キャリー(借り)取引」の巻き戻しが出ている――などの点を指摘した。これでは説明のための説明で、経営者や投資家はもどかしさをぬぐえまい。
 気がかりなのは、米欧を中心に自国通貨安を容認する動きが目立っている点である。実際、自国の景気の弱さを映した通貨安に対し、米欧の政策当局や中央銀行は懸念を示さず放置している。財政赤字が膨らみ財政面からの景気刺激策をとりにくい米欧各国は、通貨安による輸出増が頼みの綱になっているからだ。
 最近の円高は、そうした環境のもとで進んでいる。政府や日銀は熾烈(しれつ)な通貨外交をもっと自覚すべきではないか。
 4~6月期の決算をみても、上場企業の業績は好転している。だが、現在の水準から一段と円高が進行するようだと、生産や設備投資の海外シフトがさらに加速し、国内雇用に下押し圧力となって冷や酒のように効いてくる。国内にとどまる中堅・中小企業への打撃も募るだろう。
 日米の金融政策のズレを突く形で一段の円高が進むような事態には、政府・日銀は円売り・ドル買いの為替介入も辞さない姿勢で市場ににらみを利かすべきだ。一段の金融緩和も弾力的に考えていいだろう。
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