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儲からないiPhone向けゲーム市場で勝つ方法
 アップルのスマートフォン「iPhone」向けのゲームアプリ市場は、3万5000ものタイトルがひしめく超激戦区だ。有料アプリの平均販売価格(米国)は1.27ドルにとどまり、収益を上げるのは容易でない。ところが、携帯電話向けゲーム会社の仏ゲームロフトは、iPhoneの普及とともに着実に収益を伸ばしている。同社の戦略から、儲(もう)からないスマートフォン市場での一つの勝ち方が見えてくる。
 ゲームロフトが7月28日に発表した2010年第2四半期の売上高は、前年同期比15%増の3360万ユーロ(約37億円)。特に好調なのがiPhoneや多機能携帯端末「iPad」向けゲームで、売上高は2.1倍に伸びたという。同社は、米国、カナダ、ルーマニア、フランス、中国、日本の6つのスタジオに2400人を超える開発スタッフを抱え、世界同時開発体制でiPhone市場に攻勢をかけている。
115円セールでランキング上位に
 最近、筆者が熱中したiPhone向けゲームは同社の「ブロックス」だ。元々00年にフランスで発売された4人用のボードゲームで、様々な形のピースを盤上に並べていくだけの単純なルールながら奥が深く、世界中で遊ばれる定番ボードゲームの一つとなっている。日本でも発売されたが、人数がそろわないと遊べないため、一部の愛好家に知られるにとどまっていた。
 ゲームロフトは今春このゲームのiPhone版をリリースした。現在の販売価格は350円だが、筆者が購入した7月上旬はセール期間中で115円で販売していた。コンピューター相手なので、いつでもいくらでも遊べる。通信対戦もサポートしており、iPhoneとiPadの両方にインストールして家族でチームを組んで楽しむこともできる。購入後、ゲームロフトの値下げセールに注意を払うようになり、同社のゲームをずいぶんと買った。
 ゲームロフトは、アップルのアプリ販売サービス「App Store」の仕組みを巧みに利用して、ユーザーの関心を自社ゲームに集め購入を促す戦略を採っている。特に、アプリの価格を自由に変えられるルールの使い方がうまい。
 同社は60タイトル以上のiPhone向けゲームを持つが、常に何らかのタイトルをセール価格の115円(0.99ドル)で販売している。派手なのは、5タイトルあまりを一斉に115円に値下げする期間限定セールで、販売ランキングの上位が同社のタイトルで埋まる。
 App Storeでは、アップルが独自集計するランキングで50位以内に入らないとユーザーの目に触れる機会がなく、存在していないに等しくなる。ゲームロフトはそれを逆手に取り、セール販売で本数を稼ぎ、戦略的に順位を上げている。通常価格の600円前後に戻せば、圏外に落ちてしまうが、それまでにランキングを参考に購入するユーザーが現れる。しかも、セールを切れ目なく打つため、ゲームロフトのアプリは常にどれかがランキング内に入っていることになる。
 この手法を世界各国の市場に同時展開している。例えば、昨年11月から月に1度配信している約10分の広告用ビデオポッドキャストは、英語版に字幕をつける形でイタリア、フランス、ドイツ、スペイン、ブラジル、日本などに対応している。
どこかで見たようなゲームばかり?
 アプリの種類も多様だ。チェスやソリティアといった伝統的なボードゲームやパズルゲーム、脳トレのようなゲームもそろえている。他社からライセンスを受けることにも積極的で「ジェームズ・キャメロン アバター」「アイアンマン2」といった映画のタイアップものや、カードゲームの「UNO」といったものがある。
 さらに、仏UBIの創業メンバーが設立した会社であることから、UBIの持つブランドも積極利用している。「アサシン クリード」「ザ・セトラーズ」などだ。過去のタイトルを移植したものもあれば、家庭用ゲーム機版のリリースに合わせてオリジナルで開発したものもある。自社開発したゲームはレース、サッカー、ゴルフ、フィッシング、3Dアクション、一人称シューティングなど豊富で、家庭用ゲーム機で人気のジャンルはほぼ網羅していると言っていいほどの品ぞろえを誇る。
 ただ、同社のゲームアプリはどこかで見たような印象があるものが多い。
 例えば、115円でセール中(8月16日現在)の「ギャングスター:West Coast Hustle」は、家庭用ゲーム機向けのクライムアクションゲームとして人気がある「グランド・セフト・オート」にゲームシステムからインターフェースまで似ている。昨年8月に800円でリリースして、何度か値下げした後の現在のセールである。
 ボリュームはiPhone向けゲームとしてはたっぷりで、クリアまで何時間も遊べる。もちろん、ゲームの質は最新の「グランド・セフト・オート」に遠く及ばないが、それほどのレベルを求めない人には十分すぎる内容だ。この質と量を115円で販売されたら、とても対抗しようがないというのが他社の本音であろう。このゲームは、今年9月に続編のリリースを予定しており、セールは発売前にユーザーの関心を引きつける狙いがあるのだろう。
追随できる企業はわずか
 ネット流通の強みは、中古市場がなく、製品が費用を超える売り上げを上げた後はほとんどが利益となる点にある。発売当初は価格を高めに設定し、タイミングを見計らって値下げしていく。高い値段でも、低い値段でも、買ってもらわなければ同じことだ。
 ゲームロフトは今年4月に配信したビデオポッドキャストの中で、ユーザーからの「携帯ゲームの人気が高まっているのはなぜ?」という質問に答える形で、以下のように表明している。
 「iPhoneのように大画面で処理速度が高い端末の出現でグラフィックの質が上がりゲームプレイの幅が広がったということです。今はどんなゲームも携帯で遊べますし、携帯ならどこにでも持ち歩けます。しかも、昔懐かしのゲームや最新ゲームのダウンロードがとっても簡単! iPhoneに数回タッチするだけです。どのゲームもApp Storeで簡単にダウンロードできます。最新テクノロジーが、ゲームとその操作性に革命を起こしたのです」
 ありふれた回答ともいえるが、ゲームロフトがスマートフォンを古いゲームと最新ゲームの両方のニーズを集めることができるプラットフォームととらえ、収益機会を最大化しようと考えていることがうかがえる。
 ゲームロフトは一定以上の質のタイトルを大量に世界展開し、セールなどの価格コントロールでユーザーの関心を常に集めてブランド力を高める戦略を採っている。これがiPhone市場で勝つための一つの解であるのは確かだが、同じことができる企業は世界でも限られる。それがiPhone市場で苦戦する多くの企業を悩ませている問題でもある。



デュアルコア・1.5GHz版 Snapdragonプロセッサ、年内にも出荷へ
 QualcommのSnapdragonといえば、QSD8250という1GHzのプロセッサがXperiaやHTC Desire、Nexus Oneなどの高性能スマートフォンをはじめ、Dell Streakなどのタブレット端末にも採用されて一躍名前を広めました。同社の次なる策は、もちろん高速化Snapdragonの投入です。QualcommのCDMA技術プロダクトマネジメント担当VPであるMark Frankel氏が、Computerworldの取材に答えて、年内にもデュアルコア・1.5GHz版Snapdragonを出荷する予定であることを明らかにしています。
 ふりかえれば同社は7月頭にデュアルコアで1.2GHz動作というSnapdragon MSM8260 / MSM8660のサンプル出荷を始めており、デュアルコア・1.5GHz動作のQSD8672も予告済み。今回の取材では、このQSD8672が年内にも出荷され、年明け早々にも、あるいは(Frankel氏の弁を借りれば)「積極的なベンダーはクリスマスにも」製品に搭載されるかもという道筋が見えたことになります。
 45nm設計になる見込みのQSD8672では、高速化のほかにも各コアの動作速度を個別に設定することで省電力化する機能、1080p動画再生対応、HDMI対応、DDR2/DDR3メモリインタフェース搭載などの特長を備える予定。スマートフォン / タブレット向けのデュアルコアプロセッサはTIも年内の出荷を予定しており、スマートフォン人気拡大の裏ではチップを作る側も採用する側もしのぎを削る戦いとなっています。



キヤノン、SED子会社を解散
 キヤノンは18日、次世代薄型テレビ「SED(表面電界ディスプレー)」の開発子会社、SED社(平塚市)を9月30日付で解散すると発表した。液晶、プラズマなど薄型テレビの価格が下落する中、SEDテレビは開発コストを抑え切れず、市場で競争力が保てないと判断した。SEDパネルの研究開発はキヤノンが引き続き行う。
 SEDはブラウン管テレビの技術を応用した高画質と、液晶、プラズマテレビ並みの薄さを兼ね備えた「次世代テレビ」として期待を集めていた。
 キヤノンは2004年、東芝と合弁でSED社を設立。当初は08年の北京五輪まで発売を目指していたが、関連技術をめぐる米国企業との訴訟の長期化や、東芝との合弁解消などで製品化が難航。数度にわたり発売を延期していた。
 SED社の解散について、キヤノン広報部は「色調、品質などで従来の方式を超えるパネルの試作に成功したが、適正な採算性を確保して事業化するのは困難」と説明している。



「グランツーリスモ5」11月3日発売 ブルーカラーのPS3同梱版も
 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンは8月18日、プレイステーション 3(PS3)用ソフト「グランツーリスモ5」(GT5)を11月3日に発売すると発表した。7980円。
 自動車シミュレーターの最新版。車種は1000以上、コースは20ロケーション・70バリエーション以上の収録を予定し、3D立体視やオンラインにも対応、PSP版で収集した車データの引き継ぎも可能だ。
 初回限定版には308ページの特製ブックレットが付属するほか、NSXやMcLaren F1など5車種のプレゼントカーをダウンロードできるプロダクトコードが封入されている。
同梱版の青いPS3
 同時にPS3本体とソフトのセット「PlayStation 3 GRAN TURISMO 5 RACING PACK」も数量限定で発売。本体カラーは「タイタニウム・ブルー」。マフラーが熱で焼けた状態をイメージしたというオリジナルカラーだ。
 GT5は待望され続けてきたPS3ソフト。今年3月に発売予定だったが延期となり、その影響で昨年度のソニーのゲーム事業が業績の下方修正を迫られたほどの大型タイトルだ。



悪質商法封じ、学生に余波…低利教育ローン中止
 りそなホールディングス(HD)傘下の3銀行が、大学などと提携して、通常の教育ローンより低い金利で入学金や学費などの資金を貸す「提携教育ローン」の新規取り扱いをやめたことが18日、明らかになった。
 昨年12月に施行された改正割賦販売法が、銀行の提携ローンも規制対象としたことで、新たなシステム投資などの負担を迫られたためだ。悪質商法の抜け道を防ぐための規制強化が、思わぬ形で、大学生らに影響を及ぼしている。
 大手行による提携ローンからの撤退が明らかになるのは初めて。
 提携ローンは、学校が利子補給や債務保証などをするため、金利を低く抑えることができる仕組みだ。大学側も、入学時などに経済的な不安についての相談があれば、奨学金などのほか、金利が低い提携ローンを紹介するケースが多い。
 りそなHD傘下のりそな銀行は、早稲田大、慶応大など約80の大学や、専門学校などと提携し、年3・5%程度と通常より1~1・5%低い金利を設定していた。これまでは年数百人程度のペースで学生側に融資しており、残高がある人は現在約5000人いるという。しかし、6月以降は新規融資を中止した。りそな銀行は代替措置として、入学シーズンなど期間を限定して、通常の教育ローン金利を提携型並みに引き下げて対応すると説明している。
 地方銀行にも撤退の動きが広がっている。京都銀行が昨年末に提携教育ローンから撤退し、金利がやや高めの教育ローンに切り替えた。静岡、北洋、群馬銀行なども提携ローンの取り扱いをやめている。一方、三菱東京UFJ銀行などの3メガバンクは提携ローンを継続する方針だが、一部の大学を対象に見直しの動きも出ている。
 撤退の動きが広がったのは、改正割販法で銀行の提携ローンも規制対象になったことが背景にある。
 銀行は所管の経済産業省に業者として登録し、立ち入り検査も受ける。また、カード・信販会社が加盟する信用情報機関に、融資先のローン残高などを定期的に報告しなければならず、新たなシステム構築に数千万~数億円の費用がかかる場合もある。こうした手続きや負担を避けるため提携ローンをやめたケースが多いとみられる。
 ◆改正割賦販売法=高額の健康食品などを売りつける悪質商法が社会問題化したことで、信販会社と加盟店との関係などを想定して規制強化された。消費者保護のため規制対象を拡大する条文にした結果、銀行とローンで提携した業者との関係も含まれると解釈されることになった。



ソニーが持ち運び中継システム発売 ドコモの「フォーマ」にも対応
 ソニーは18日、小型で持ち運びができる放送用の中継システム「ロケーションポーター」の新機種を10月12日から発売すると発表した。システムは、12カ所からの映像を同時に受信して表示ができる仕組みで、災害現場などでの中継が必要な警察など官公庁や放送局を対象に販売を伸ばしたい考えだ。
 システムは、ビデオなどで撮影した映像を送信する「トランスミッター」が約1・5キロの軽さを実現。NTTドコモの携帯電話高速回線「フォーマ」のほか、衛星回線や無線LANにも対応しており、通信環境に応じて送信回線を選択することができる。
 一方、受信機側は最大で12カ所からの映像を同時表示することが可能。タッチパネルに対応したソフトを用いており、画面を触るだけで使用する映像を選ぶことができる。受信機側から送信機側にマイクを通して指示を出すこともできる。
 ソニーによると、持ち運びできる簡易型の中継システムの購入は、防災や災害対策で現場を訪れる警察などの官公庁が7~8割。テレビなど放送局からの引き合いも多く、今後も需要が伸びるとみており、世界展開も視野に入れる。



自見郵政改革相、郵政事業見直しを米側に説明
 【ワシントン=岡田章裕】ワシントンを訪れている自見金融・郵政改革相は17日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長、ブレイナード財務次官(国際担当)と会談した。
 バーナンキ議長とは、銀行に対する自己資本比率規制の在り方や金融規制改革、日米の景気認識などを巡って意見を交わした。
 会談後の記者会見で、自見郵政改革相は、ブレイナード財務次官から郵政事業の見直しについて懸念表明があったと述べた。これに対し、自見郵政改革相は、「経営の自主性、競争条件の公平性に力点を置いて制度設計した」などと丁寧に説明したという。
 米政府は郵政事業の見直しにより、米国企業など外国の企業が不公平な競争を強いられないか懸念を強めており、ブレイナード次官もこうした米国の立場を改めて強調したとみられる。



新規住宅ローン2割減 4~6月、14年ぶり下げ幅
所得伸び悩み、新築住宅の低迷響く
 銀行の住宅ローンが落ち込んでいる。国内銀行の4~6月の新規貸出額は2兆7415億円にとどまり、前年同期比で約20%減った。減少率はおよそ14年ぶりの大きさで、四半期ベースで3兆円を割ったのも10年ぶり。給与所得が伸び悩んでいることや、リーマン・ショック後にマンション建設がストップして物件が少なくなっていることが背景にある。

 日銀によると、今年4~6月の新規貸出額の減少率(前年同期比)は1996年10~12月期の41.8%以来の大きさだった。2009年度は前年度比4.6%減の14兆1595億円と9年ぶりの低水準で、4月以降も新規の貸し出しは前年を大きく割り込む水準で推移している。

 住宅ローンが低迷している理由の一つが個人所得の伸び悩みだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査では、6月の現金給与総額は前年同月比1.8%増えたが、基本給を示す所定内給与は0.2%減で23カ月連続マイナスとなった。サラリーマンの所得が本格回復している状況にはない。

「フラット35」は好調

 新築住宅の件数そのものも減っている。国土交通省によると、今年1~6月の新設住宅着工戸数は前年同期比3.8%減の38万1653戸で、65年の集計開始以来、最低だった。4~6月期の住宅投資も前期比1.3%減と2期ぶりに減少している。

 2年前のリーマン・ショック前後に住宅関連業者の倒産が相次ぐなど住宅建設がストップしており、その影響で「いま市場に出回っている物件数自体が少ない」(大手銀行)との指摘もある。

 都心部を中心に、ごく一部でマンション販売が盛り上がっているところもある。また落ち込む住宅ローンの中でも、住宅金融支援機構との提携による長期固定金利型の「フラット35」は4~6月の申込件数が前年同期比2.7倍の約3万7000件と3四半期連続で最高を更新、全体を下支えしている。

 「フラット35」は政府の経済対策の一環で、耐久性や省エネなど一定の条件を満たした優良住宅向けに、今年末までの申し込みを対象に当初10年間の金利を1%下げている。民間金融機関の独自ローンに比べ大幅に低く、大手銀行からは「フラットが伸びた分、自前のローンが苦戦している」との声も聞かれる。

金利競争激しく

 景気の減速懸念と設備の過剰感が解消されていないことから、企業の設備投資意欲は乏しく、各金融機関は住宅ローンを新たな収益源とみて新規顧客の獲得に力を入れている。金利競争も激しさを増しており、変動型で年1%前後の金利水準が主流となりつつある。

 ただ、実際に住宅ローンは落ち込んでいるため、銀行はだぶついた資金を国債の購入に振り向けているのが実態だ。



高級ブランド品、アジアで稼ぐ 中国シェア5%に迫る
 バッグや時計、ジュエリーなど世界の高級品市場でアジア(日本を除く)の重要性が高まっている。米コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーによると、世界全体の売上高に占めるアジアの比率は2000年に8.6%だったが、今年は16%に拡大する見通しだ。

 なかでも伸びが目立つのが中国で、00年の0.2%から今年は4.8%にまで上昇しそう。中間層の拡大に伴い、都市部だけでなく地方都市でも高級ブランドの人気が高まるなど、購買層のすそ野が広がっているようだ。エルメスやグッチ、ルイ・ヴィトンなど欧州高級品大手は相次ぎ中国での販売体制を強化。海外旅行先で中国人が購入した分を含めれば、さらに中国の比重が増すとみられる。

 新興国市場の成長を背景に、今年の世界全体の高級品売上高は前年比4%増の1580億ユーロ(約17兆7000億円)に達する見込み。一方、デフレが続く日本は3%減の予想。バブル期には若い女性らがこぞって高級ブランド品を買い求めるブームが起こったが、主戦場は中国をはじめとする新興国に移りつつある。



【産経主張】中国の軍事力 看過できない異様な増強
 米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告の特徴は、急速な軍拡とその意図に対し、「東アジアの軍事均衡を変える主な要因」と強い警戒感を示し、同盟国と連携した対応を呼びかけたことだ。
 とりわけ東シナ海、南シナ海の接近阻止能力や小笠原諸島とグアムを結ぶ「第2列島線」に至る海軍力拡大は日本の安全に直結する。到底看過できない。アジア太平洋の安定と秩序を守る観点から、菅直人政権も対中認識を共有し、同盟深化協議などを通じて実効ある行動に踏み出すべきだ。
 オバマ政権で初めての昨年(2009年)版報告は、中国の空母建造計画などを踏まえて透明性の欠如に疑問を示していた。
 今回はこうした懸念をさらに強め、原潜や空母などへの投資、宇宙・サイバー戦能力、弾道ミサイル増産など、すさまじいともいえる軍拡ぶりを列挙している。
 日米が警戒すべきは、台湾海峡を大幅に越えた海軍活動の拡大にあるのはいうまでもない。「中台軍事均衡はすでに中国に有利に展開」しつつあり、米空母を狙える対艦ミサイル配備などに警戒を強めているのは当然だろう。
 「南シナ海」の項目を新設したのも特筆される。南沙、西沙諸島などの資源や領有権をめぐる近隣諸国との対立を分析し、空・海軍の遠距離作戦能力確保を通じて「中国は外交的優位の確保や紛争解決の選択肢を増やせる」と警告している点は重要である。
 南シナ海に臨む海南島の戦略基地化は、日韓などへの原油の8割が通過する「死活的に重要な国際シーレーン」に対する介入能力を意味することになる。同海域を含む航行の自由は、日米や他の地域諸国にとって絶対に譲れない。この原則を改めて強調したい。
 報告は従来「中国の軍事力」と題されていたが、今回から「中国を含む軍事・安全保障動向」と改題された。対中戦略に本腰を入れて取り組む姿勢ならば評価できるが、中国に配慮したのなら問題を残す。報告の公表が半年近く遅れた理由も説明してほしい。
 だが最大の問題は、けたはずれの軍拡の意図や目的を中国自身が説明しようとしないことにある。透明性を欠いた軍拡は地域の懸念を高め、誤解や誤算を招きかねない。中国はそうした責任について強く自覚すべきだ。
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