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ソフトバンク、「つながりにくい」理由
 米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」の販売で快走するソフトバンク。しかし、その裏で「ソフトバンクの携帯はつながりにくい」という評判との苦闘が続いている。なぜ「つながりにくい」のか。理由を追うと、すべての携帯事業者が直面する共通の課題が見えてくる。
ツイッターで孫社長に苦情殺到
 いま、ソフトバンクでは社長の孫正義からの至上命令として、あるプロジェクトが進んでいる。基地局倍増プロジェクト――。2011年春までに携帯電話用の基地局を10年春時点の2倍となる12万局にまで増やすという計画だ。大半を今下期に新設する。
 孫はこの春、一般利用者などを本社に招待したイベントで「電波改善宣言」を打ち出した。基地局倍増はその中核となる施策だ。
 同社関係者によると、孫がミニブログ「ツイッター」を昨年末に始めて以来、「電波がつながりにくい」との苦情が一般利用者から殺到。「頭をガツンと殴られたような衝撃を受けたようだ。それまでの方針を変更して通信インフラを一気に増強することになった」(ある幹部)という。孫も同イベントで「真摯(しんし)に反省しました」と通信インフラの弱さをわびた。
 2010年4-6月期に過去最高の営業利益を記録するなど携帯事業が好調なソフトバンク。直近でもiPadやiPhoneの新製品で快進撃を続ける。そんな同社のアキレス腱(けん)となっているのが通信インフラだ。
 「つながりにくい」「ネット閲覧が遅い」といった不満の声が絶えないのは、「ある意味、当然」という指摘が業界内にはある。理由の一つに挙げられるのは独自のサービスだ。
 同社は新規参入した携帯電話の目玉サービスとして07年1月に、午前1時から午後9時の加入者同士の通話が無料となる「ホワイトプラン」を開始した。対象時間帯では電波をどれだけ利用しても無料という思い切った「音声準定額制度」だ。導入しているのは携帯大手3社でソフトバンクだけ。使い放題という利用者へのインパクトは大きいが、一方で、利用の歯止めがきかず、通信インフラへの負荷が大きいためだ。NTTドコモ幹部は当時、「うちで導入したらすぐにインフラがパンクしてしまう。契約数が少ない3位の事業者だからこそ導入できる施策」としていた。
iPhoneが追い打ち
 ソフトバンクが携帯参入のために06年に買収したボーダフォン日本法人はもともと、通信インフラが弱いとされていた。顧客の解約理由の上位には「ネットワークがつながらない」が常に挙がり、孫は買収直後に今回と同様、「基地局を倍増させる」と宣言した。当時の第3世代携帯電話(3G)の基地局数は2万2000局(06年6月末)。これを07年7月末には4万6000局に「公約通り」(孫)倍増させた(数字はともにソフトバンク公表値)。
 それでも音声準定額の導入による通信量増加の影響は大きく、インフラの容量が逼迫(ひっぱく)。余裕がないため、パソコン向けデータ通信の定額サービスを自社網で提供できないほどだ。自社網で提供するドコモなどに対抗するため、苦肉の策でMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ぶ仕組みを使い、競合のイー・モバイルから携帯電話回線を借りてサービスを提供している。
 この苦しい状況に追い打ちをかけたのが、皮肉にも加入者増の原動力となっているiPhone。従来にない画像を駆使したサービスなどを利用できるために、既存の携帯に比べ、格段に通信量が多くなる。
 「iPhoneの通信量は一般の携帯電話の10倍以上」――。発売当初はiPhoneの魅力を語るために、孫が誇らしげに語ったものだが、セールスポイントと裏腹の通信量の多さはインフラを圧迫していく。
 調査会社などによる推測では、ソフトバンクによるiPhoneの累計販売台数は300万台前後。仮に通信量が10倍として一般携帯電話に換算すると、3000万人の利用者が増えたのに等しい負荷が通信インフラにかかっていることになる。これに一般携帯電話の契約数を加えると5000万人規模となり、約3200万契約で業界2位のKDDI(au)を抜いてドコモの約5600万契約に迫る。インフラの利用実態を見れば、もはや「契約数の少ない3位の事業者」とは言っていられない状況だ。
都心部は「限界に近い」
 だが、ソフトバンクが使用している周波数はドコモと比べ大きな差がある。
 周波数の幅が広いほど多くの通信量に対応できるが、これまで総務省からソフトバンクに割り当てられていた幅は送信と受信の合計で60MHz幅。これに対し、ドコモは130MHz幅。iPhoneによる通信量の増大を考えれば、ソフトバンクに割り当てられた周波数は物理的に少ないという見方ができる。
 総務省の電波法関係審査基準では原則、割り当てる周波数の幅は、基地局当たりの端末収容台数で決めている。ソフトバンクが主に使用している2GHz帯の周波数は01年に音声通信による端末台数を基準に決めたもので、1台当たりのデータ通信量は考慮されていない。総務省は「事業者からデータ通信を基準にしてほしいとの要望を受けており、検討課題となっている」としているが、今のところ具体的な見直しの動きは出ていない。個別企業が販売する製品やサービスの都合で公共の電波の配分を簡単に変えるわけにもいかないだろう。
 さらに、東京の渋谷や新宿、六本木などの都心部では基地局当たりの端末収容台数自体が上限を超えている。対応するには基地局を設置する密度を高めるしかない。しかし、都心部は設置スペースの新規確保が難しいうえ、すでに数百メートルおきに基地局を細かく設置しており、「もはや限界に近い」(幹部)という。
基地局数には「水増し」の指摘も
 では、「電波改善宣言」でどの程度改善されるのか。
 ソフトバンクは基地局数を6万局から12万局に倍増させるとしているが、基地局数については以前から「水増し」(競合他社)を指摘する声がつきまとう。
 一口に「基地局」と言っても屋外に設置する大型基地局から屋内向けの小型基地局まで多岐にわたり、電波の出力強度に応じて1台の基地局でカバーする範囲の広さが変わる。さらに電波が届かないエリア向けに電波を増幅して中継するだけの「中継局」や「リピーター」もあり、これらの場合はエリアが広がっても収容能力拡大にはつながらない。ソフトバンクの基地局数には「この中継局が多分に含まれているはず」(競合他社幹部)というのだ。
 「水増し」の指摘の背景には、ソフトバンクの設備投資額が他社に比べて極端に少ないことが挙げられる。
 ソフトバンクの移動体通信事業の設備投資額は07年度以降、2000億円前後で推移、基地局を倍増させる10年度でも3148億円(計画)の水準だ。一方、ドコモは年間7000億円前後を確保、ソフトバンクを圧倒する。10年度に増設予定の基地局数はソフトバンクの6万に対し、ドコモは1万1500。「ドコモは基地局単価が高いとしても差が開き過ぎ」(業界関係者)との見方が多い。
 基地局の増設がどれだけの通信品質の改善につながるかは見通しにくい。ソフトバンクは別の手段も講じているが、こちらも苦戦中だ。
改善策に他社から不満の声
 「何も断りなく受け付けを始めたことに憤りを感じている」「インターネット接続事業者をなめているのか」――。通信容量の不足を補おうと打ち出した新たな施策にインターネット接続事業者から批判の声が噴出している。
 標的となっているのは、「フェムトセル」と呼ぶ家庭用の超小型基地局。ソフトバンクの携帯電話から受け取った電波を家庭に引き込んだ固定のブロードバンド回線に流し、ソフトバンクの携帯通信網につなぐという仕組み。携帯電話の通信を固定回線に逃がすことで、携帯電話の通信インフラの負荷を軽減する効果を期待できる。
 だが、ブロードバンド回線の提供主は各家庭が契約しているネット接続事業者。ソフトバンクの携帯インフラの代わりに使われてはたまらない。携帯の通信が大量に流れ込んでくれば、品質の低下につながるほか、障害発生時の切り分けやサポートも煩雑になる。 
 ソフトバンクは5月10日にフェムトセルの受け付けを開始すると、「回線のただ乗り」に当たるとの不満がネット接続事業者から続出した。事前に断りもせず勝手に受け付けを始めたことも怒りを買う原因となった。
 ネット接続事業者や電力系通信会社などは6月から7月にかけて正式にソフトバンクに抗議し、協議が決着するまでの受け付け停止を要請。現在も協議を続けており、ソフトバンクが月額数十円程度を支払う方向で調整している。
 ソフトバンクは基地局の増設、フェムトセルに続く第三の手段として、データ通信の利用については公衆無線LANの活用を利用者に促したい考えだ。以前から無線LAN基地局を設置するマクドナルドなどに加え、最近ではスターバックスコーヒーやミニストップ、昭和シェル石油などと相次ぎ提携し、各社店舗に基地局を設置し始めた。6月末で約4400ある基地局を1万8000局以上に増やす計画。iPadやiPhoneの普及による負荷を軽減する一定の効果は期待できそうだ。
通信量増大は全社共通の課題
 「つながりにくい」という利用者の声に苦闘するソフトバンク。実は、iPhoneによる通信量の急増で苦しんでいるのは同社だけではない。
 海外では米AT&Tが6月2日、高機能携帯電話(スマートフォン)の新規契約者に対し、データ通信の定額サービスの廃止を発表した。iPhoneなどが対象で、通信量に応じて段階的に上がる料金メニューに移行する。AT&Tは米国でiPhoneを独占的に販売するが、大都市の一部で「つながりにくい」「ウェブ表示が遅い」などの不満が出ていた。使い放題となる定額制サービスの廃止で通信インフラへの負担を軽減できる。英国でもスペインのテレフォニカ系の通信会社O2が6月10日に定額サービスの廃止を発表している。
 今後はiPhoneやiPadに限らず、パソコン並みの使い勝手を売りにしたスマートフォンの利用者が増え、通信量は確実に増えていく。スマートフォン普及で先行するソフトバンクは過去5年で1日当たりの通信量が70倍に増えたとしており、孫は「今後10年で1000倍に増える」と指摘する。
 最大手のドコモもスマートフォン拡大による通信量増加に対応するため、次世代携帯電話サービス「LTE」の設備投資を前倒しすることを決めた。携帯機器のサービスの広がりとともに、通信量の増大は今後、全社共通の課題に発展していくとみられる。携帯事業者として生き残るためには、設備投資競争に耐えられる体力が不可欠になる。
 ソフトバンクはボーダフォン日本法人の買収に2兆円を費やし、10年3月末時点で1兆5010億円もの純有利子負債を抱える。2015年3月期までに純有利子負債をゼロにするという「最大の公約」(孫)があり、業績好調でも設備投資をふんだんに増やせる状況ではない。今期の設備投資増額もフリーキャッシュフロー(純現金収支)が「1年半で予想より約1800億円上回ったのでそれを原資にした」(同)という。
 これからも、さらに拡大することが予想される設備投資の負担にどう対処するか。ソフトバンクの「つながりにくい」との苦闘は続きそうだ。



主要製造業、海外生産を拡大
増す円高耐久力 国内は空洞化も
政策怠れば雇用流出加速
 円相場が15年ぶりの高値を付けるなど、日本経済が再び円高の風圧にさらされている。輸出で稼ぐ日本企業が円高で収益を圧迫される構図は変わらないが、1980年代以降、円高局面を何度もくぐり抜けてきた製造業の「耐久力」は高まっている。生産拠点の海外移転を迫られ、いや応なく体質が強化された。だが今後も政府が内需拡大に向けた構造改革を怠って円高を放置すれば、国内産業の空洞化が加速して日本経済に深刻な悪影響を及ぼしかねない。
 「日本企業が円高で被る打撃は弱まった」。野村証券の木内登英氏はこう指摘する。同証券が主要製造業を分析したところ、対ドルで円高が1円進めば2010年度の経常利益が1.0%減る。99年度は1円の円高で2.1%減ると見込まれており、この10年間で製造業への打撃が小さくなったことが分かる。
 製造業の円高耐久力が高まった最大の理由は海外生産の拡大だ。内閣府の調査では、製造業の生産に占める海外比率は95年度時点で8.1%だったが、09年度は17.8%に高まった。自動車など加工型の製造業は25%を超え、4分の1が海外生産になった形だ。
円建て決済増加
 通貨戦略も製造業の円高耐久力につながっている。財務省の調査では、日本企業が輸出に使う決済通貨は10年上半期時点でドル48.6%、円41.0%。2000年下半期時点ではドル52.4%、円36.1%で、10年間で円建て決済が大幅に増えたことが分かる。
 第一生命経済研究所の熊野英生氏は「企業内取引が国際化した影響が大きい」と分析する。海外進出でグループ内の取引が増えた。輸出の軸足が米国からアジアに移り、ドル決済の必要性が薄れてきた面もある。
成長力弱体化も
 主要製造業が円高抵抗力を高める裏で、国内経済は地盤沈下が進んでいる。内需主導の成長を目指す構造改革は進まず、輸出依存経済は変わっていない。企業は円高のたびに海外生産を増やし、アジアなどでの投資や雇用は拡大が続く。
 経済産業省によると、2008年度時点で日本企業の海外現地法人の雇用数は452万人。95年度の233万人から倍増した。製造業の海外現地法人の設備投資も95年度の1兆7000億円から08年度には3兆6000億円に拡大した。
 円高が続けば、雇用や投資の海外移転が進んで国内が空洞化し、成長力が弱まる。世界経済の先行き不透明感から企業の手元資金はバブル期以来の高水準に膨らんでいるが、これが海外投資に向かえば、空洞化を一段と加速させかねない。
 しかも海外に活路を見いだせるのは主要製造業だけだ。内需型産業や中小企業は厳しい対応を迫られる。総務省の調査では、海外に直接投資をしている企業の割合は従業員1000人超で36%だが、200人以下では10%未満にとどまり、企業の規模によって円高耐久力の差が鮮明だ。



日本企業、広告でも空洞化?
 深刻な低迷が続いていた国内広告市場が最悪期を脱しつつある。広告最大手の電通が11日、2011年3月期通期の売上高と営業利益の見通しを上方修正した。07年3月期以来4期ぶりの増収増益を見込む。同社の4~6月の新聞広告関連収入は前年同期比2.4%増と、06年4~6月期以来実に4年ぶりに前年同期を上回った。テレビ広告関連収入も7.4%増で08年1~3月期以来、9四半期ぶりの増加だった。
 民放最大手フジ・メディア・ホールディングスの4~6月期の放送収入は07年1~3月以来の前年同期比増加。スポット広告収入が9.5%増と健闘したうえ、落ち込みがひどかったタイム広告収入(番組スポンサーからの広告収入)の減収率も同2.1%と2けた減だった1~3月に比べ、大きく改善した。局によって強弱はあるものの、テレビ広告市場全般でいうと久しぶりに水面近くまで浮上し、息継ぎができる局面に来ているようだ。
 ただ、別の統計を見ると不吉な現象が目につく。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、この4~6月の国内広告業の国内マス媒体向け広告からの売上高は前年同期比でほぼ横ばい。国内インターネット広告からの売り上げも同5%増と回復が鈍い。対照的に海外広告からの売り上げは同59%増と急激な回復をみせた。
 この数字は、国内広告会社が取り扱う海外向け広告の動向を反映している。つまり、今回の景気回復局面で、日本企業は広告・宣伝費を成長機会がありそうな海外市場に優先的に振り向けている公算が大きいのである。外資系広告会社の幹部は「日本企業の広告出稿意欲は海外メディア向けにはむしろ旺盛」と証言。英フィナンシャル・タイムズ紙の幹部も「日本法人の広告営業は過去数年、一貫して好調」と表情が明るい。
 デフレで経済収縮が続く日本ではなく、海外に経営資源を振り向ける空洞化現象が大企業を中心に加速している。広告も例外ではいられないのかもしれない。



企業の競争力 自信深める韓国
 日韓双方で多くの回答者が指摘した「企業競争力の接近」。半導体や造船などの分野で目覚ましい韓国の躍進を投影した形だ。韓国ではなお産業全般でみた場合に日本の基礎技術などの優位を認める声もあるが、日本側は韓国が「追いついた」「追い越した」という回答も目立ち、自国の成長鈍化に“焦り”もにじむ。経済の距離が縮まる中、両国では民間交流や文化の相互理解の必要性も認識され始めた。
 ■なお「差」意識
 「まだまだ日本企業から学ぶことは多いです」。4月上旬、サムスングループは日本経団連会長就任を控えて韓国を訪れた米倉弘昌・住友化学会長をソウル市内のグループ迎賓館に招いた。夕食会でサムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は米倉氏に、日本語でこう語りかけた。
 だが、これまで日本企業を目標にしてきたサムスンは今や、半導体メモリーや液晶パネルで世界一に上り詰め、薄型テレビや携帯電話も世界シェアで日本の電機大手を大きく引き離す。米倉氏訪韓の3カ月前、李氏は米ラスベガスで展示会を見学し、記者団に「(我が社は)日本より基礎技術やデザインで勝っている」と漏らした。
 今回の調査でも、韓国側は競争力が「かなり近づいている」という回答が4割あった半面「まだ格差は大きい」の答えも4割に近いという結果が出た。韓国主要製造業の多くは日本の技術を移転してきた経緯があり、自国の発展を十分体感しながらも、日本企業の競争力を強く意識している様子がにじむ。一方、日本では韓国企業が「日本企業を追い越した」「日本企業に追いついた」とする見方が韓国側の2倍の3割を占めた。
 ■草の根の交流願う
 経済協力への期待も鮮明になった。EPAは農水産物の扱いを巡って交渉が難航しているが、日本では農林水産業者の多くが支持し、地方在住者も6割超が「必要」と回答。韓国企業の競争力を評価する人にEPAへの期待が強いという傾向も出た。韓国は19~29歳の8割近くが「必要」とした。いったん日本の薄型テレビ市場から撤退した韓国LG電子が探る「再参入」が成功すれば、韓国製品の日本での販売に期待するEPA推進論もさらに広がりそうだ。
 同時に、未来志向の両国関係を築くための課題を聞いた質問には「国民間の交流強化」「文化の相互理解」を挙げた人が日韓ともに4割前後を占めた。韓国ではこの2つの答えの合計が歴史認識に絡む日韓の懸案「共同歴史教科書の製作」を挙げた人の割合を超え、個人や民間レベルの草の根の交流を求める意識が高まってきていることをうかがわせた。





トヨタ、補助金終了後に1台5万円の販売奨励金
8月23日2時17分配信 産経新聞
 トヨタ自動車が、政府のエコカー購入補助制度が終了する10月以降、全国の系列販売会社に対し、1台当たり新たに5万円の販売奨励金を支給することが22日、分かった。販売会社の判断で値引きに活用することを想定しており、補助金終了後の反動による急激な販売の落ち込みを食い止めたい考えだ。トヨタ以外にも同様の動きが広がる可能性がある。下請けも含めすそ野の広い自動車の販売減は、景気悪化の最大の懸念材料になっている。
 自動車業界には、政府が検討中の追加経済対策の一環として補助金の延長を求める声が強いが、政府は予定通り終了する方針を変えていない。
 このため、トヨタは奨励金によるてこ入れが必要と判断したとみられる。使い道は各販売会社に委ねる考えだが、独自の判断で、キャッシュバックや一律値引きのキャンペーンなどを展開することができる。
 エコカー補助は、燃費など一定の環境性能を備えた車を購入すると10万円、登録から13年以上の車を廃車にして買い替える場合は25万円が支給される。昨年4月分から購入時の重量税などを減免するエコカー減税と合わせて導入された。
 政府の買い替え支援が追い風となり、今年上期(1~6月)の国内新車販売台数(軽自動車含む)は前年同期比約21%増と、上期として5年ぶりのプラスに回復。特にハイブリッド車(HV)「プリウス」が好調なトヨタは、約44%増と大きく伸ばした。
 足元でも9月末の終了を控え、駆け込み需要が急増。交付を担当する次世代自動車振興センターによると、「残額は約759億円(19日現在)で、期限前になくなり、打ち切りになる可能性もある」という。
 終了後の大幅な反動減は避けられず、業界では「10~12月は3割程度落ち込む可能性がある」(大手首脳)との声も。トヨタでは、すでに10月の1日当たりの国内生産台数を7~9月に比べ2割減産する方針を固めている。
 販売奨励金は収益の圧迫要因になるが、減産で工場の稼働率が低下すれば、それ以上に業績が悪化しかねない。一方、他社の追随で値引き競争が激化すれば、やはり業績は悪化する。円高などで景気悪化の懸念が強まる中、牽引(けんいん)役の自動車産業の失速は雇用や賃金に与える影響も大きく、政府内で補助金の延長が浮上する可能性もありそうだ。



地球の歩き方T&E、拡張現実技術で旅ガイドソフト
 旅行業やデジタルコンテンツ制作を手がける地球の歩き方T&E(東京・新宿)は、携帯電話のカメラ画面上に建物など被写体の情報を表示する「拡張現実(AR)」技術を使った旅行ガイドソフトを販売する。月内に米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けにパリ版を発売。観光スポットとその情報を見つけやすくする。
 パリ市内でソフトのAR機能を起動してアイフォーンのカメラを周囲に向けると、観光スポットやホテルの映像上に名称や写真のアイコンを表示する。アイコンをクリックすると詳しい説明を読める。ソフトの価格は350円。
 アイフォーンの現在位置と方角を把握する機能を活用。パリ市内の観光スポットやホテルなど500カ所以上の緯度・経度情報と照らし合わせ、カメラの映像上にある施設などの情報を表示する。
 対応機種はアイフォーンの「3GS」「4」と多機能携帯プレーヤー「iPodタッチ」の一部。ARのほかに最新の口コミ情報を入手したり、ミニブログ「ツイッター」を見たりする機能も備える。パリ版に続いて上海やソウル、ハワイのソフトも発売する。
 地球の歩き方T&Eは旅行ガイド「地球の歩き方」を発行するダイヤモンド・ビッグ社(東京・港)の子会社。若者などへの新たな旅行情報の提供手法として、アイフォーンなど携帯端末向けソフトに力を入れる。
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