アップル、日本で映画配信 対アンドロイドで映像補強

アップル、日本で映画配信 対アンドロイドで映像補強
 米アップルは11日、日本向けの映像配信サービスを開始したと発表した。当初は国内外の映画を約1000本そろえ、アップルの配信サービス「iTunes Store」を通じて販売する。パソコンやスマートフォン「iPhone」、タブレット端末「iPad」で視聴できるほか、テレビに接続する端末「アップルTV」も近く発売する。
 アップルは米国などではすでに、音楽だけでなく映画やテレビドラマなどの映像もiTunes Storeで配信している。日本では「非対応」の状況が続いていたが、ようやく映画がコンテンツに加わることになる。配信には国内と米国の主要な映画会社が参加する。販売は売り切りまたはレンタル方式で、価格はハイビジョン(HD)画質の新作が売り切りで1本2500円、レンタルで500円、旧作が売り切りで2000円、レンタルで300円。
コンテンツ競争でもリードへ
 アップルの映像配信参入は、国内のスマートフォンやタブレット端末市場に大きなインパクトを与えるだろう。
 これまでiPhoneやiPadで動画を見るには、動画共有サイト「YouTube」に接続するか、手持ちの動画を専用ソフトを使ってiPhoneやiPad用のファイル形式に変換する必要があった。しかし、アップルが映像配信サービスを直接手がけることで、パソコンの管理ソフト「iTunes」からiPhoneやiPadに転送できるのはもちろん、単体でも無線LAN経由で直接購入できる。
 この「映画を気軽に持ち歩ける」という利点は、スマートフォンやタブレット端末にとって大きい。空き時間にすぐに見られるだけでなく、飛行機などで長時間移動する際なども重宝する。米国に行くと、iPhoneで映画を見ている現地ユーザーを見かけることが多く、日米でのサービス格差に改めて気付かされるが、これでかなり解消されることになる。
 スマートフォンのシェア争いにおいて、iPhoneは25万種類以上の豊富なアプリが強力な武器となっている。そこが米グーグルの携帯端末向けOS「Android(アンドロイド)」陣営をリードしている点だ。
 しかし、アンドロイド搭載スマートフォン向けには、NTTドコモの「ドコモマーケット」やソフトバンクモバイルの「ビデオストア」といった動画サービスが出てきており、これからは動画などコンテンツでの競争も激しくなる。
 NTTドコモやソフトバンクモバイルのサービスはまだ魅力的な動画コンテンツが十分とはいえないなか、アップルは国内外の主要な映画会社を引き入れた。これでiPhone、iPadは、アプリだけでなくコンテンツも豊富というイメージを打ち出すことができる。
 このところ携帯電話各社が「おサイフケータイ」や赤外線、ワンセグに対応したアンドロイド搭載スマートフォンをそろって発表し、iPhone、iPadの影が薄れていた。店頭での在庫薄も解消され、当日持ち帰りができるようになっているが、今回の映像配信開始で、また販売に勢いがつくかもしれない。
 もう一つのニュースは、テレビにつないでiTunesなどの映像コンテンツを視聴できるアップルTVの発売だ。米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアに続き、日本でも今週から出荷を開始するという。米国では99ドルで販売され、品薄状態が続いている。日本では昨今の円高を反映し、希望小売価格8800円で販売する。
 アップルTVはテレビとHDMIケーブルで接続する。2011年7月の地上アナログ放送終了に向けてHDMI端子を備える薄型テレビは販売好調が続いており、それだけアップルTVと簡単につなげるテレビが増えていることになる。日本ではパソコンやテレビ向けに映画を配信するオンデマンド系サービスが数多くあるが、新たなライバル登場となる。
 筆者は先日、米国でアップルTVを購入し、すでに米国のiTunesアカウントを使ってテレビに接続している。アップルTVはマルチ言語対応となっており、日本語表示も問題ない。付属の小さなリモコンを使って、見たい映画を選択する。文字入力はアルファベットを一つ一つ選ぶ必要があってやや煩わしいが、映画を選ぶ程度の操作であれば時間はかからない。
 これまでアップルの日本でのコンテンツサービスは、米国向けと比べてかなり見劣りしていた。しかし、11月10日にアプリ向けの広告サービス「iAd」を電通グループと共同で日本展開すると発表したのに続き、映画配信を始める。アップルが日本での自社サービスを強化している表れだ。
 今のところ、米国のようなテレビ番組の配信はないが、ユーザーが増えれば日本のテレビ局も無視できなくなるだろう。同じく日本ではやっていない電子書籍配信サービス「iBook Store」をどうするかが次の焦点となる。



スマートフォン世界販売96%増 アンドロイドけん引
7~9月 iPhoneも好調
 【シリコンバレー=奥平和行】世界の携帯電話端末市場で売れ筋が高機能携帯電話(スマートフォン)と機能が少なく割安な「フィーチャーフォン」に偏る二極化が進んでいる。米調査会社のガートナーによる7~9月期の世界のスマートフォン販売台数が前年同期比96%増える一方、安価な商品を主力とする中国などのメーカーもシェアを大幅に拡大した。総花的な品ぞろえを続けてきたメーカーは戦略の見直しを迫られそうだ。
 ガートナーの10日の発表によると、7~9月期の世界の携帯電話販売台数は前年同期比35%増の4億1708万台となり、3四半期連続で2ケタ増だった。このうちスマートフォンは96%増の8053万台。販売台数全体に占めるスマートフォンの割合は前年同期の13%から19%に高まった。
 米アップルは「iPhone(アイフォーン)」の新製品で受信感度に関する問題があったが、販売は好調。携帯電話の世界シェアは前の四半期よりも0.5ポイント高い3.2%となり、順位を7位から4位に上げた。シェア首位はフィンランドのノキア(28.2%)、2位は韓国のサムスン電子(17.2%)、3位は韓国のLG電子(6.6%)だった。
 上位3社の顔ぶれは1年前と同じだが、シェアはそれぞれ2.4~8.5ポイント減らした。その原因となっているのは中国などアジアメーカーの存在だ。アジアメーカーが中心と見られる「その他」のシェアは前年同期比16.9ポイント増の33%まで増えた。
 ノキアなど上位メーカーは新興国需要に支えられて成長してきたがここへきて失速。こうした市場ではアジアメーカーの安価な製品が急速に存在感を高めている。一方、スマートフォンではアップルや米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した商品が好調で、アジアメーカーと“新興勢力”の挟み撃ちにあっている格好だ。
 フィーチャーフォンの苦戦で業績が低迷していた米モトローラはアンドロイドを搭載したスマートフォンに経営の軸足を移す戦略が奏功。1年前には販売台数に占めるスマートフォンの割合はほぼゼロだったが7~9月期は42%まで高まり、営業損益(減価償却費などを除く)が黒字化するところまでこぎ着けた。
 英ソニー・エリクソンもアンドロイドを搭載した「エクスペリア」を中心とした体制に切り替え、黒字基調を定着させている。日本などでは安価な機種からスマートフォンまでをまんべんなくそろえる戦略を採っているメーカーもあるが、世界展開するためにはより思いきった絞り込みが必要となるかもしれない。



Evernoteが500万ユーザーを突破、83日間で100万人増
 米Evernoteは10日、クラウド型データ管理サービス「Evernote」のユーザー数が500万人を突破したと発表した。400万人から500万人に増えるまでにかかった期間は83日間だった。
 Evernoteによると、ユーザー数が100万人に達するまでに446日かかったが、200万人までは222日、300万人までは133日、400万人までは108日と、増加ペースが加速している。11月9日には、過去最高となる2万2130人が新規に登録したという。



NAND一本足でも強い東芝
 「再び成長路線に乗せた」(東芝の村岡富美雄副社長)
 9日、2010年4~9月期決算(米国会計基準)で東芝の連結営業利益は1048億円(前年同期は21億円)と10年ぶりに1000億円台を回復。売上高も6%増と2半期連続で増収となり、東芝はリストラモードから成長モードへ転換しつつある。
 けん引役はNAND型フラッシュメモリー。10年4~9月期だけで540億円強稼いだとみられ、全体の営業利益の約半分を稼いだことになる。背景にあるのが高機能携帯電話(スマートフォン)への出荷拡大だ。米アップルのiPhone(アイフォーン)向けに供給するのはよく知られているが、ここへきて各端末メーカーがスマートフォンへ参入しており、利益率の高い用途で飛躍的に需要が拡大している。
 供給メーカーも韓国サムスン電子やハイニックスなどに限られ、価格も安定。7~9月期は4~6月期に比べ価格下落は数%程度にとどまり、主要用途のパソコンの調整で同期間に約15%下落したDRAMとは比較にならない。微細化などコストダウンも寄与し、NANDの利益率は22%近く(4~6月期は約15%)まで上昇。為替の影響(円高とウォン安)を除くと、フラッシュの利益率でトップのサムスン電子(推定で30%弱)との差をかなりつめているとみられる。
 NANDの勢いはどこまで続くのか。「NANDの利益率は10~12月期にいったん落ち、11年1~3月期に再び上昇する」。村岡副社長は目先のNANDは短期的な調整局面入りとの認識を示した。半導体分野の10~12月期の営業利益は250億円(7~9月期は350億円)と減速するという。理由について村岡副社長は「7~9月期は年末商戦向けへの仕込み時期で10~12月期は反動で一時的に落ちる」と需給要因であると説明した。
 東芝の株価はこれまでNANDの動向に左右されやすい傾向があるだけに、いったんは材料出尽くし感から利食い売りが出て小休止局面入りする懸念が出てきた。ただ、「NANDフラッシュの成長が続くシナリオに変更はない」(野村証券)との見方から下値では拾う動きも予想される。
 もっとも、その前提として下期(10~3月期)に収益の刈り入れ時に入る社会インフラ事業の着実な利益貢献が欠かせない。4~9月期には社会インフラの収益が期初計画を下回った。「下期以降、前年同期で増収基調になる」(村岡副社長)との見通しを示しているが、IT(情報技術)サービスが主な足かせになっていると見られ、国内の企業の投資意欲が鈍い中、同分野の回復は見込み難い。電力や産業用機器などどれだけ収益貢献するかがカギになりそうだ。
 安定した収益を稼ぐ社会インフラ。黒字化するも、大きな利益を稼がない液晶テレビやパソコン。となると、東芝の成長の勢いは利益率20%超のNANDが握っている。NANDの動向に神経質になる場面が当面続きそうだ。
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