(゜Д゜ノ)ノェェ新聞

「PSP Go」は「iPhone」に勝てるのか? E3を読む(COLUMN)
 米ロサンゼルスで2~4日に開催されたゲーム見本市「E3」で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は新型携帯ゲーム機「PSP Go」を発表した。その仕様はほぼ事前に予測された通りで、「UMDディスク」には対応せず、16ギガバイトのフラッシュメモリーを搭載してネットからゲームをダウンロードすることを前提としている。今回の発表から見えるSCEの戦略を考えてみたい。
■「iPod Touch」を強く意識したPSP Go
 PSP Goは、SCEのゲームビジネスのみならず、ソニーグループ全体の戦略商品になっていく。E3でプレゼンテーションを行ったSCEの平井一夫社長兼グループCEOは、PSP Goをゲームだけではない「デジタルライフスタイル」を実現するデバイスとして位置付けた。これはアップルの「iPhone」「iPod Touch」の戦略と直接的に競合する。
 今回の発表の内容も、アップルを強く意識しているように感じられた。日本での希望小売価格は2万6800円。現在の「PSP-3000」シリーズが同1万9800円であることを考えると多少高い印象があるが、iPod Touch8ギガバイト版の2万7800円、16ギガバイト版の3万5800円と比べると、割安感がある。
 PSP GoにはiPod Touchのようなタッチパネル機能がない分、低めに価格設定したとも考えられる。それでも16ギガバイトのフラッシュメモリーは3000円前後であり、PSP Go向けソフトの開発環境を整備するコストなども含めて、確実に利益が出る価格だろうと推測される。
 PSP Goの発売日は日本が11月1日なのに対して、北米は10月1日と1カ月早い。これも、アップルを意識しているように思われる。アップルは6月8日に米サンフランシスコで開催するカンファレンスで、iPhoneの新機種を発表すると噂されているが、そこから電話機能を削った新型iPod Touchのリリースは秋になると予想される。SCEとしてはその新型と発売日の日程を開けたくないというのが本音であろう。
 ソニーはPSP Goの発表に併せて、アップルの「iTunes」に相当するコンテンツマネジメントソフトウエア「Media Go」をリリースした。私も早速パソコンにダウンロードして利用してみた。実際に操作してみると使い勝手はもうひとつというところもあるが、iTunesに非常に似ているソフトという印象だ。ダウンロード販売システムの「PlayStationNetwork」に接続してみたが、こちらもiTunes StoreやApp Storeに使い勝手がよく似ていた。
 SCEにとっては、先行するアップルのiTunesに慣れたユーザーにこの新しいソフトを使ってもらえるようにすることが最初の照準になるだろう。「ウォークマン」など他のソニー製品のデータマネジメントもこのソフトウエアに統合されていくはずである。
 驚いたのは、ハードウエアのカタログスペックを見る限り、現在販売されているPSP-3000シリーズと処理性能にまったく変化がない点だ。実際、プレスカンファレンスの中でも、現行のPSPやUMD版ゲームの販売継続が強調されていた。そのせいもあり、PSP Goは携帯性を高めたPSPでしかないという印象も今のところは残る。
■ツール値下げで新規開発者を取り込み
 一方で、開発会社に向けては、重要な発表が行われている。開発ツールを大幅に値下げするとともに、PSPの開発環境のオープン化を進めるという内容だ。
 プレスリリースでは、開発ツール「DTP-T2000/ DTP-T2000A」の価格を日本では15万円に値下げすると発表している。さらに興味深いのが、以下のアナウンス部分だ。
 「SCEはダウンロード専用小容量ソフトウェアタイトルの拡充施策の一環として、本ソフトウェア制作におけるライセンス契約から販売までのプロセスを通常より簡素化、幅広い開発者の皆様がより自由な発想をもってコンテンツを制作できる環境を年内に構築し、世界中で加速度的に増加する PlayStationNetworkユーザーの皆様が手軽に遊べるPSP向けダウンロード専用タイトルを積極的に販売してまいります」
 つまり、小規模な開発会社にも参入のチャンスを広げ、開発されたタイトルを速やかにリリースする仕組みを整えると述べているのだ。それがダウンロード専用タイトルを増やすための施策であるとも明快に述べている。
 もちろんこれは、アップルが昨年iPhoneで開始したスキームに似ている。開発用の機材を購入しなければならないというハードルはあるが、価格引き下げにより、世界で5000万台という母数を抱えるPSPのダウンロードコンテンツに可能性を見いだす開発会社も当然出てくるだろうと考えられる。
 この発表からは、これまで“おまけ”的な存在として位置づけられがちであったダウンロードコンテンツを、一つの柱にしようとするSCEの意志がはっきりみてとれる。
■見えてこない「非ゲーム」分野の新戦略
 とはいえ、16ギガバイトというフラッシュメモリーを活かしたPSP Goならではのサービスがあるのではと思ったのだが、今回のプレスカンファレンスではよりつっこんだ情報は少なかった。
 平井氏が提示したデジタルライフスタイルとは、単に既存の映像や音楽に過ぎないのか、それとももう少し広い周辺まで含んでくるのかというところだ。
 平井氏は、昨年6月の中期経営方針説明会で、プレイステーションビジネスの「2つの重要な鍵」として、インタラクティブエンターテインメントを「ゲーム」と「非ゲーム(Non-game)」に分類した。しかし今回は、PSP Goにおける非ゲームの可能性を示していない。
 特に、インターネットで提供される各種サービスにどう対応するのかという点について、今回はヒントもなかった。例えば、メールや「YouTube」などの動画サイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へのアクセスはどうするのか。現在のPSPにもウェブブラウザーは搭載されているが、日常的に使い続けるのは不可能と思えるほど使いにくい。
 その一つの要因は、PSPのゲーム機用の入力インターフェイスである十字キーが、情報端末として使うには向いていないという点にある。ブラウザーを操作するにしても、ゲーム中にテキストチャットをするにしても、タッチで文字を入力できる「ニンテンドーDSi」や、iPhoneの簡単さには敵わない。ハード性能がよくても周辺のサービス面が弱いというのが、最近のソニーグループの特徴になっている。
 平井氏の言うデジタルライフスタイルが、どこまでの範囲を目指したものなのかが見えない。PSP Goには、時計がバンドルされるが、時計機能をPSPに期待している人はいないだろう。新しいデジタルライフスタイルを提案するようなサプライズがまだ欠けている。ゲームと音楽と映像だけであれば、PSP Goには携帯性が増したという以外、他のハードと比較した独自性がない。
■東京ゲームショウで追加発表?
 「ユーザーの生活の場に常にある携帯情報端末」――。その座を争う戦いは、今回のPSP Go発表によって一段と激しくなるだろう。ソニーと任天堂とアップル、さらには新規参入をもくろむグーグルやマイクロソフトがしのぎを削る市場になるためだ。
 各社の立場はわかりやすい。先行して普及台数を多く抱える企業ほどクローズ性の強い戦略を採る。一方、後発で普及台数を増やしたい企業ほど、誰でも参入しやすいオープン性を強調する。
 SCEはこの競争の構図のなかで、「ニンテンドーDS」シリーズが全世界1億台を超える任天堂と、iPhoneとiPod Touchで合計3000万台のアップルの間に挟まれた位置にある。
 任天堂はハードを閉じることで独自性を築いている。任天堂は自らが関わらないオープン性を認めない。2日に行われたE3の基調講演で、任天堂はSNSの「Facebook」に触れて、「DSiで撮影された写真が毎日アップロードされており、コミュニティーを形成している」と述べていた。しかし、DSiには画像を直接アップロードする仕組みがない。いったんSDカードに書き込んで、それをパソコンに移してアップロードするしかないのである。
 一方のアップルは、開発環境の公開や審査の簡素化などで自らがコントロールする範囲を小さくし、既存のゲーム機以上のオープン性を前面に出すことにより短期間で急成長した。
 SCEも開発環境の値下げで戦略的にはアップルに近い位置に移動することを意図しているようだが、PSP向けソフトの開発はiPhone向けアプリケーションほど技術的に簡単ではなく、オープン化にも限界があるはずだ。
 PSP Goの課題は、そうした状況のなかでもなおかつ、開発者が多様なソフトウエアを生み出したい思えるほど魅力的なハードかどうかだろう。ユーザー側からみても、今回の発表だけではまだ、男女を問わず数多くの人が持ちたいと思えるような「パーツ」が足りていない。1つには、PSP Goの発売日までまだ4カ月と時間があり、他社に手の内を明かしたくないという理由もあるだろう。
 東京ゲームショウが近づく9月頃には、別の発表があるのではないだろうか。PSP Goは、ソニーグループが全体としてどのような「デジタルライフスタイル」を提案するかを測る試金石にもなるだろう。



5月の携帯純増数、順位変わらず ソフトバンク25カ月連続首位
 携帯電話・PHS各社が5日発表した5月の移動電話契約数によると、新規契約から解約を差し引いた純増数はソフトバンクモバイルが10万5000件となり、25カ月連続で首位だった。パソコン用のデータ通信端末が好調だったイー・モバイルが6万7700件となり、4月に引き続き2位に入った。
 このほかの順位にも変動はなく、3位のNTTドコモは6万1700件、4位のKDDI(au)は5万1900件だった。PHSのウィルコムは1万5100件の純増となり、1万600件の純減だった4月からプラスに転じた。
 各社が明らかにしたMNPの利用件数は、ソフトバンクがプラス1万7900件、KDDIがプラス2100件、ドコモがマイナス2万件となった。イー・モバイルは0件(100件以下)。



アップルCEO復帰へ 6月中に、米紙報道
 米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は4日、米電子機器大手アップル最高経営責任者(CEO)で病気療養中のスティーブ・ジョブズ氏が順調に回復、6月中に復帰できる見通しだと伝えた。
 新商品の発表会などにジョブズ氏が登場、社外に復帰を宣言する方向で調整しているという。
 アップルは1月、ジョブズ氏がホルモンバランスを崩したため病気療養入りすると発表。6月末まで休暇を取るとしていたが、その後は同氏の健康に関する情報を明らかにしていなかった。



ソニー、米の新音楽ビデオサイトに参加 ユニバーサルG、ユーチューブと
 ソニーの米音楽事業会社ソニー・ミュージックエンタテインメントは4日、米音楽大手ユニバーサル・ミュージック・グループが動画投稿サイト「ユーチューブ」と立ち上げる音楽ビデオサービス「VEVO」への参加を決めたと発表した。
 VEVOは、ソニー、ユニバーサル両傘下のミュージシャンのプロモーションビデオなどの動画コンテンツをユーチューブや専用サイトを通じ配信する。AP通信によると、年内にもサービスを開始するという。



“陵辱系ゲーム”発売禁止 業界団体が自主規制
 アダルトPCゲームソフトメーカー233社でつくる業界団体・コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)は6月4日、強姦(ごうかん)など性暴力を描写した、いわゆる「陵辱系ゲームソフト」の制作・販売を禁止すると発表した
 ソフ倫は、アダルトゲームの自主審査機関。商業ルートで販売されるアダルトゲームは、大半がソフ倫の審査を受けて流通に乗るため、ソフ倫の審査を受けなければ、商業作品の店頭販売はほぼできない。今回の措置で、即売会などで販売される同人作品などを除けば、陵辱系ゲームの新作は発売できないことになる。
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診療報酬、75歳以上「別建て」廃止へ 厚労省、2年で方針転換
 医療費の膨張を抑えるため、2008年度に導入した後期高齢者医療制度の枠組みの一部がわずか2年で修正を迫られることになった。厚生労働省は75歳以上に限定して医療保険から病院などに支払う特別な診療報酬を10年度にも廃止する検討に入った。診察回数などに関係なく毎月一定額に抑える仕組みが柱だったが、医療機関の利用が増えなかった。廃止しても患者本人の負担は大きく変わらない。一方で、医療費の抑制策の練り直しが必要になりそうだ。
 10年4月の診療報酬改定を念頭に、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で夏にも廃止に向けた議論に着手する。



「おサイフケータイ」だけで料金支払い ドコモが15日から
 NTTドコモは4日、携帯電話に請求書のデータを取り込んでコンビニ店頭で料金を支払うサービスを全国のセブン-イレブン・ジャパンの店舗で15日から始めると発表した。
 ドコモ携帯の決済機能「おサイフケータイ」を活用。利用者は、請求書のデータをダウンロードした携帯電話をコンビニ店頭の読み取り機にかざし、現金などで支払う。
 請求書を持ち歩く必要がなくなり、企業側も請求書を発行するコストを減らすことができるという。



コマツやデンソーなど、原価低減で調達先と一丸
 大手メーカーが一段のコスト削減を狙って、部品など調達先の支援体制を強化し始めた。コマツやデンソーは社内の業務改善ノウハウを集約し調達先に提供する組織を新設。クボタは原価低減活動を促進するため、協力企業に対策で生み出した利益の一部を供与する仕組みをつくった。需要の本格回復にはまだ時間がかかると判断、総力戦で収益改善を目指す。
 コマツは協力会社の原価改善や経営支援などを指導する「協力企業支援部」を発足させた。油圧ショベルなどの製造で金属加工、部品組み付けなどを委託する約160社が対象で、特に委託量が多い100社前後から支援を始める。



ソニー副社長、液晶TV事業「11年3月期黒字に」
 ソニーの吉岡浩副社長は4日、日本経済新聞などのインタビューに応じ、赤字基調が続く液晶テレビ事業について「2011年3月期の黒字化を目指す」と述べた。工場の統廃合や基本設計の共通化でコストを低減する一方、各地のニーズに応じた製品を投入して新興国市場の開拓を進める。
 09年3月期のテレビ事業の営業赤字は前の期よりも620億円拡大し1270億円だった。吉岡副社長は「為替などの条件が大きく変化しなければ今下期に収支均衡もしくは黒字化を達成し、11年3月期もその基調を維持したい」と述べた。
 収益改善に向けて工場閉鎖や設計人員の削減で固定費を下げると説明。ソフトや電源基板など基本設計の共通化は「半年前から取り組みを加速しており、計画を1年前倒しする」と話した。製品戦略については「中南米では大きなスピーカーを搭載するなど地域の事情に合わせる」という。



ユーロ圏の09年、マイナス4.6%成長へ 欧州中銀が下方修正
 【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は4日の定例理事会後の記者会見で「(2009年上半期は)非常に成長率が低い」と述べ、景気判断を下方修正した。09年のユーロ圏の実質成長率をマイナス4.6%と見込み、3月時点の予想から2ポイント近い大幅な引き下げとした。4日の定例理事会では利下げを見送ったが、一段の景気下振れを避けるため、ECBは追加的な利下げの可能性を示唆。さらに7月からは金融債「カバードボンド」などを最大で600億ユーロ(約8兆2000億円)買い入れる「量的緩和策」の拡充で金融機関に潤沢に資金供給できる体制を整える。
 トリシェ総裁は記者会見で、欧州経済が不振に陥った理由を「外需が急激に冷え込んだため」と説明した。これが「明らかな下振れ効果」をもたらし、2年連続のマイナス成長が続くとした。
 景気の先行きに絡んでトリシェ総裁は「低水準だが、改善の動きがある」と述べ、10年半ばにはプラス成長が見込めるとした。米国では年内に景気が底入れするとの見方があり、欧州は一歩遅れることになる。



GM、国内の自動車部品に「大きく影響」 業界団体会長
 日本自動車部品工業会は4日、部品企業82社合計の2009年度の営業損益が調査開始以来初の赤字になる見通しだと発表した。同日記者会見した信元久隆会長(曙ブレーキ工業社長)は法的整理に入った米ゼネラル・モーターズ(GM)について「ディーラー整理や工場閉鎖によって消費市場が縮小する。これから大きく影響が出てくる」との見方を示した。
 GMの米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用の申請による資金繰りなどの影響については、「米政府やGM自身の支援策によって当面は限定的になる」と指摘。一方で「米市場の回復は緩やかなものになり、生産体制の再編はあってしかるべき」とした。会見に同席した志藤昭彦副会長(ヨロズ会長)も「しばらくの間は部品メーカーも(GM向けの)売り上げが5割ほど減る」との見方を示した。



輸入車販売、5月は20.6%減 13カ月連続で前年割れ
 日本自動車輸入組合(JAIA)が4日まとめた5月の輸入車販売台数(速報値)は、前年同月比20.6%減の1万2547台と13カ月連続で前年割れした。5月の販売台数としては1988年以来の低水準。4月から輸入車販社が積極的な値引きキャンペーンを展開したことなどを背景に、減少幅は前月から約10ポイント縮小した。ただ、JAIAは「需要の先取りとなった可能性もあり、先行きは依然不透明だ」としている。



東芝、リモコンに音声認識技術 テレビ番組が声で検索可能に
 東芝は4日、俳優の愛称やテレビ番組の略称を言うだけで自動的に見たいテレビ番組を検索し、表示する新たなシステムを開発したことを明らかにした。音声認識技術とインターネットを組み合わせて、利用者のさまざまな言い換えにも高い精度での音声認識が可能となった。
 電子データ化した8日間分のテレビ番組の情報を元に、自動的に音声辞書を作成するのが特徴。番組の略称や俳優の愛称からでも番組名を検索できるよう、正式名称から略称を生成し、検索精度を高めるため、辞書の言語を7000程度に絞り込んだ。



温暖化対策、企業の6割が非開示 投資家団体、世界100社調査
 世界の主要企業100社のうち、6割の企業が温暖化対策について投資家にほとんど説明していないことが米欧の機関投資家団体の調べで明らかになった。投資家団体は温暖化対策で出遅れた企業は株価が下落するリスクが高いと指摘。米証券取引委員会(SEC)に対し、温暖化に関連した情報開示を企業に義務付けるよう強く求めていく方針だ。
 電力、自動車、石油など温暖化関連の規制の影響を受けやすい100社を対象に、08年に公表された年次報告書の記載内容を調べた。このうち59社は温暖化ガスの排出量を開示していなかった。温暖化の影響について全く記載していない企業もあるという。



新聞業界最大のタブー? 週刊新潮が「押し紙」特集記事(COLUMN)
実際には配られない新聞が大量に販売店に押しつけられているとされる、いわゆる「押し紙問題」をめぐり、新たな波紋が広がっている。週刊新潮が、この問題を4ページにわたって特集したところ、新聞3社が、広告の表現などについて抗議文を送付したのだ。一方、記事を執筆したジャーナリストは、「問題が表沙汰になったことに意味がある。新聞社は紙面で反論なり裁判を起こすなりすればいい」と一歩も引かない構えだ。
新聞側は記事の訂正・謝罪などを要求
波紋を広げているのは、「週刊新潮」6月11日号(首都圏では2009年6月5日発売)に掲載された「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』を斬る/ひた隠しにされた部数水増し」と題した記事。この問題を長く取材しているフリージャーナリストの黒薮哲哉さんが執筆している。記事では、滋賀県の読売新聞販売店の店主をしていた男性が、新聞紙の配達状況についての実態調査を行ったことを紹介。その結果から、新聞社から販売店に届けられるものの、実際に読者には配達されない「押し紙」の割合を推定した。記事では、
「『押し紙率』を見てみると、大手4紙については読売18%、朝日34%、毎日57%、産経57%だった。4紙の平均でも、公称部数の実に4割以上が『押し紙』だった」
と結論づけている。
また、6月5日の朝刊各紙に掲載された同誌の広告には、
「読売18%、朝日34%、毎日57%が配られずに棄てられていた―」
という見出しが躍った。
これを受けて、広告で名指しされた形の新聞3社は抗議文を週刊新潮編集部宛に送付。各社は
「(調査結果は)実態と異なり、まったく信用できない」(朝日)
「広告は、読売新聞の発行部数の18%が配達されずに棄てられていたとの印象を一般の読者に与えるが、事実と異なっており、看過できない」(読売)
「客観性に欠ける調査を根拠にしており、信ぴょう性がなく、毎日新聞の名誉を著しく棄損する」(毎日)
などと主張。特に毎日新聞については、損害賠償請求を含む法的措置を検討することも明らかになっている。
だが、週刊新潮側も、一歩も引かない構えだ。週刊新潮編集部では、
「『記事の訂正・謝罪』に応じるつもりはありません。今回の記事は、タイトルにもあるように『短期集中連載』です。『反論』という形になるかどうかは未定ですが、抗議があったことについては、今後、連載の中で触れる予定です」
とする一方、記事を書いた黒薮さんは、
「不思議なのは、抗議の主な対象が広告表現だということです。記事の内容そのものについて、どう考えているのか知りたいところです。むしろ、これを機会に、問題が表沙汰になったことに意味があると思っています。新聞社側も異論があるのであれば、紙面で反論を展開するなり、裁判を起こすなりすればいい。公の場で決着を付けるのが良いのでは」
と話す。
朝日、毎日、読売とも「『押し紙』はありません」
この問題で特徴的なのは、主に広告表現が問題視されたことだ。ところが、今回抗議文を送った3社の紙面には、問題の表現がそのまま掲載されている。各紙では広告の表現などについて審査を行っており、問題がある表現だと判断されれば、その部分が削除されたり、「黒塗り」にされることもある。今回のケースでも、「抗議するくらいならば、事前に『黒塗り』にする」という選択肢もあったはずだ。この点については、各社は
「『表現の自由』の観点もあって事前に広告掲載を制限することは適切な行為とは考えておらず、なるべくそうした措置はとらないようにしています」(朝日新聞社広報部)
「明らかに誤った記述だったため、社内で対応を検討しました。その結果、広告をそのまま掲載し、厳重抗議した事実をあわせて報道することにしました」(毎日新聞社社長室広報担当)
「広告については、表現や内容によって制限することもありますが、なるべく制限することなくそのまま掲載するようにしています」(読売新聞東京本社広報部)
と説明。「押し紙」については、
「『押し紙』はありません。弊社がお取引している新聞販売店は、必要な部数を注文し、弊社はそれに基づく部数を送付しています。弊社が注文部数を超えて送付したり、注文と関係のない部数を送付したりすることはありません」(朝日)
「本社は販売店からの注文部数に応じて新聞を送っており、ご質問にあるようなことは把握していません」(毎日)
「『押し紙』はありません」(読売)
と、従来どおり、その存在を否定している。
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