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「ゼロ戦」化する日本の情報技術(COLUMN)
世界最高の性能を生かせなかった悲劇の戦闘機
 海外から来た友人が日本の携帯電話をみると、みんな驚く。なにしろ携帯端末にテレビがついて、動画・音楽配信や電子マネーの機能までついているのだから。しかし次に「このサービスはアメリカでもやっているのか?」と聞かれてノーと答えると、不思議そうな顔をする。「なぜ海外でもやらないのか」と言うのだ。
 この質問に答えるのは難しい。正確に言うと、海外で携帯サービスをまったくやっていないわけではない。NTTドコモの「iモード」は十数ヵ国でサービスを行なっているが、ほとんど普及していない。これに対応した専用端末でないとサービスが使えないからだ。欧州で主流になっているWAPはiモードに比べると機能は見劣りするが、ソフトウェアを移植すればどの端末でも使えるため、先行したiモードを逆転した。
 日本の携帯電話は、単体の性能としては世界最高水準だが、それを使うシステムができていないため戦争に負けた「ゼロ戦」みたいなものだ。ゼロ戦の性能は登場当時としては世界最高であり、日本の「ものづくり」の水準を世界に知らしめるものだった。しかしそれが活躍したのは1年余りで、ゼロ戦の弱点の研究が進み、グラマン(F6F)などの新鋭機が出てくると、それに対抗できなかった。
 その原因は、ゼロ戦があまりにも「名人芸」によって開発されたため、それを作れる技術者が少なく、性能をぎりぎりまで追求して完成度を高めたため、拡張性に乏しかったためだといわれる。また戦闘機を援護するレーダーなどの情報機器の開発が遅れたため、攻撃態勢に入る前に撃墜されることが多くなった。木村英紀『ものつくり敗戦』は、このようなシステム化の欠如が、ゼロ戦の性能を生かせなかったと指摘している。
「ものづくり」や「すり合わせ」ではビジネスに勝てない
 このようにシステムとしての効率を考えないで、局所的な「ものづくり」や「すり合わせ」の完成度を高める傾向は、戦後の日本の製造業にも受け継がれたが、自動車や家電では成功した。この分野では、アメリカが圧倒的に世界市場で先行しており、そのシステムを真似ればよかったからだ。アメリカも、冷戦の前線にある途上国だった日本には、技術を開放して工業化を支援した。
 しかし1980年代以降、コンピュータが産業の主力になり、日本がアメリカのライバルになると、OSやCPUなどのシステムを握ったものが「ひとり勝ち」する傾向が強まり、著作権や特許によってそれを模倣することが困難になった。日本は、自前で新しいシステムを構築する必要に迫られたのだが、グランドデザインを考える習慣のない日本の技術陣は、依然として既存のシステムを残業の連続で改良する作業を続けている。
 その結果できあがったのが、携帯電話に典型的にみられる、繊細で高性能だが世界に売れない「工芸品」のような情報機器だ。携帯などはまだいいほうで、コンピューターや通信機などは壊滅状態である。たとえばアフリカでは、ノキアが端末から中継局までワンセットで売り込み、通信サービスまで提供している。アジアでもファーウェイ(華為技術)がノキアに対抗して各国にシステムを売り込んでいるが、日本企業は商戦にさえ参加できない。
 この原因は単純ではないが、私は江戸時代以来の労働集約的技術へのバイアスがいまだに続いているのではないかと考えている。だとすれば、この状況を是正するのは容易ではないが、少なくとも行政が「日の丸技術」に旗を振るのはやめてほしい。こういう「自前」へのこだわりが、日本が世界市場で負け続ける最大の理由だからである。


iPhone 3G S予約受付開始、表参道には一時的に行列も
 6月18日、iPhone 3G Sの予約受付が開始された。ソフトバンクショップの旗艦店舗である「ソフトバンク表参道」では事前予約を行うユーザーで行列ができた。
 昨年の「iPhone 3G」の発売日、ソフトバンク表参道の周辺にはiPhoneを求めるユーザーで、モバイル機器の発売としては前代未聞といえる長蛇の列が生まれた。整理券を配布せず、購入者をあえて並ばせたことで行列が行列を呼んだ格好ではあったものの、ユーザーの期待が高かったことも背景にあるだろう。
 iPhone 3G Sの事前予約には、昨年のような盛り上がりは見られないが、それでもソフトバンク表参道には最大で200人程度が並んだという。なお、現在は行列は見られない。



「mixi公認 有名人アカウント」本格展開、mixiモバイルではトップメニューに
 タレントやアーティストとファンとの交流を促進する「mixi公認 有名人アカウント」が、パソコンとモバイルで本格的にスタートした。
 「公認アカウント(タレント・アーティスト)」は、ニュージシャンやスポーツ選手など、幅広いタレントやアーティストに対して、「mixi公認」のエンブレムをページに掲示したり、一覧ページを設けて誘導を図るなど、特別なアカウントを発行する仕組み。
mixiモバイルのトップページに
追加された「有名人」リンク
 現在、公認アカウントを持っているのは、IKKO、加藤ミリヤ、若旦那(湘南乃風)、土屋アンナ、つるの剛士、はんにゃ金田、古田敦也など230名以上。一部の公認アカウントでは、マイミク数が40万人を超えるなど、多くのファンが交流を楽しんでいるという。



米金融規制改革案、日本勢にも影響 大手銀・証券「市場の目」意識
 米政府が正式に発表した包括的な金融規制改革案は、日本のメガバンクや大手証券にも一定の影響を与えそうだ。米連邦準備理事会(FRB)が一元的に監督するのは、破綻した際の影響が甚大な大手金融機関。主な監督対象は米国に本拠を持つ金融機関になるとみられるが、米国に展開する日本のメガバンクなども厳しい監督規制を意識しながら業務を運営することになりそうだ。
 FRBは大手金融機関が破綻し、世界経済が再び混乱することを回避したい考え。米国の大手金融機関に厳しい規制をかけてくる可能性が高い。例えば、自己資本やリスク管理などの規制を中小規模の金融機関よりも厳格にすることなどが想定されている。自己資本のなかでは、返済順位が低く質の高い資本とされる普通株などの比率を高めるよう迫る可能性もある。



LEC大、来年度の募集停止--日本初の株式会社立大
 「株式会社立」の4年制大学として国内で初めて設立されたLEC東京リーガルマインド大学(本部・東京都千代田区)が、来年度の学生募集を停止することを決めた。同大は札幌市から福岡市まで全国12カ所にキャンパスがあるが、入学者減による経営悪化から今年度は千代田区の本部キャンパスでのみ学生を募集していた。募集停止後も在校生がいる間は授業を続け、大学院は引き続き募集を行うという。LEC大は18日、募集停止を在校生に説明する。株式会社立大が募集停止した例は大学院大学で1校あるが、4年制大は初めて。
 LEC大は04年4月に開校した。小泉改革の目玉だった規制緩和によって、「構造改革特区」で学校法人以外に株式会社でも大学が設置できるようになったのを受け、資格試験予備校などを経営する株式会社「東京リーガルマインド」(反町勝夫社長)が設置した。通常は設置認可まで8カ月程度かかるところ、株式会社立大学に適用される特例で、3カ月という短期間の審査で設置が認可された。



イー・モバイル、下り21Mbpsの高速通信用データ端末を8月上旬発売
 イー・モバイルは18日、下りのデータ通信速度が最大21.6Mbpsと高速な「HSPA+」規格の通信に対応したデータ通信端末「D31HW」を8月上旬に発売すると発表した。受信速度が従来の約3倍となる新サービスは、東京・大阪・名古屋のほか主要政令指定都市から順次サービスを開始し2009年12月末までに人口カバー率60%以上を目指すという。
 D31HWはスティック型で、本体をスライドさせるとパソコンに差し込むUSB端子が現れる。受信速度は最大21.6Mbps、送信速度は最大5.8Mbps。microSDHCカードを差し込んで外部記録媒体として使うこともできる。通常価格は4万1980円だが、2年契約を前提にした「新にねん」コースでは1万7980円となる。



エディー・バウアー、日本で営業継続
 米カジュアル衣料専門店エディー・バウアー・ホールディングスが米連邦破産法の適用を申請したのを受け、日本で「エディー・バウアー」を展開するエディー・バウアー・ジャパン(東京・世田谷)は18日、日本にある64店の営業を継続すると説明した。同社はドイツの通販会社オットー社の全額出資子会社、オットージャパン(同)が7割を出資しており、財務面の問題もないとしている。



東芝とNECエレ、次世代半導体でIBMとの技術提携拡大
 東芝とNECエレクトロニクスは18日、次世代半導体の加工技術で、米IBMとの提携を拡大すると発表した。これまでは回路線幅32ナノ(ナノは10億分の1)技術の共同開発に参加してきたが、対象をさらに微細な次の世代の28ナノまで拡大する。半導体の技術開発を先導するIBM連合とのつながりを密にして、次世代技術の早期の実用化をねらう。
 CMOS(相補性金属酸化膜半導体)とよばれる素子の28ナノプロセス技術の共同開発について、米IBMが今年4月から各社に呼びかけていた。28ナノは32ナノからの移行が容易で、すでに韓国サムスン電子や欧州STマイクロエレクトロニクスなど32ナノでIBMと協調する5社が参加を表明。東芝とNECエレも省エネ効果の高い微細化技術を早期に導入するためには、範囲を拡大するのが得策と判断した。



毎日50万人増加する驚異の Facebook、それに対する世界の勝ち組 SNS は?
 2009年4月、Facebook がついに会員数が2億人を突破したことを正式に発表した。表面的な会員数の伸びだけでなく、実際の訪問者も確実に増加している。
 1日50万人が新規登録するサービスを想像できるだろうか?人類が未だ経験したことのないサービスの大爆発だ。この勢いが Web を急激にソーシャル化していく様を雄弁に物語っている。
では、世界の SNS は Facebook 一色になっていくのだろうか?
 現時点における世界のソーシャルネットワーキングサイトの勢力地図において、Facebook が制圧しているのは主に西側諸国である。特長的なところを書き出すと次のようになる。
Facebook:米国を中心とした英語圏(第一位)
Myspace:米国を中心とした英語圏(第二位)
Bebo:欧州
Hi5:中米、モンゴル、タイ
Orkut:ブラジル、インド
Firendster:フィリピン
QQ:中国
mixi:日本
Cyworld:韓国
V Kantakte:ロシア
Maktob:中東
このうち、Google の提唱する OpenSocial に対応を表明しているのは、Myspace やBebo、Hi5、Orkut、Friendster、mixi だ。Facebook プラス OpenSocial 対応 SNS にアプリを提供すると、先進国+BRICs 諸国を中心に単純計算で延べ6億人以上の人々にリーチできることになる。ソーシャルメディアが、その機能性だけでなく、数字の上でもマスメディアをしのぐ規模に成長してきていることが見てとれる。
 特に目立つのは、SNS の草分けとして圧倒的なシェアを持っていたにもかかわらず、Myspace と Facebook の登場でさっばり噂をきかなくなっていた Friendster だ。実は巧みに主戦場を東南アジアという成長性の最も高いエリアに拠点をうつしていたことに拍手を送りたい。ちなみに Firendster のユーザーベスト3はフィリピン、インドネシア、マレーシアである。
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昨年の音楽配信市場、日本は世界の19% 民間調査
 調査会社のシード・プランニング(東京・台東)は世界の音楽流通市場動向をまとめた。2008年の世界の音楽配信市場は6000億円で、日本は1140億円と世界全体の19%を占めた。日米を合わせると64%となり、世界の配信市場をけん引しているという。日本の配信市場の規模は18年にCDなどの音楽パッケージを上回る見通しだ。
 日本では携帯電話向けが全体の88%で、パソコン向けが12%だった。携帯電話の先進国として、携帯が配信の分野でも他の国より先行している。パソコン向けが70%を占める米国とは対称的な結果となった。



イランのミニブログ、米が中断延期要請 当局への抗議を支援?
 米国務省高官は16日、イランの大統領選を巡る抗議デモの参加者らが情報交換の手段として利用しているミニブログ「ツイッター」に、サーバー増強のためのサービス中断を遅らせるよう要請していたことを明らかにした。改革派ムサビ元首相の支持者による抗議活動への事実上の間接支援とも受け取られかねず、波紋を呼びそうだ。
 ツイッターは登録者同士が短いメッセージを投稿し合うサービス。イランでは当局による情報統制が強まる中、改革派を支持する若者らがデモ鎮圧の映像を投稿したり、集会の情報を連絡し合ったりするのに活用している。同高官によれば「イランで重要な通信手段になっていることをツイッター側に伝えた」という。
 ツイッターにサーバーを提供しているNTTアメリカによると、当初はイラン時間の16日昼にサービス中断を予定していたが、17日未明に延期して1時間程度、作業をした。中断予定を発表後、イラン在住とみられるツイッターのユーザーから延期を求める声が殺到したためという。



電子決済「ペイジー」、取扱額は4割増の4兆円に 08年度
 日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(東京・千代田)は17日、金融機関が共同運営する電子決済による収納代行サービス「Pay-easy(ペイジー)」の利用動向を発表した。2008年度の取扱金額は4兆862億円で、07年度に比べて40%増加した。決済対象の拡大や認知度の向上により、利用が広がっているという。
 取扱件数は3545万件で、07年度より23%増加した。税額が割り引かれる優遇策などの効果で、企業などによる税金納入での取扱件数が約2倍に増えた。ネット通販の支払いなど決済の対象が増加したことで、民間企業での取り扱いも伸びているという。また、モバイル端末からの利用件数が07年度に比べて約2倍に増えた。
 ペイジーはインターネットバンキングやATMを利用して、税金や公共料金などが支払える決済サービス。銀行やコンビニエンスストアに行かなくても24時間支払いができる利便性から、近年利用が増えている。



講談社「現代」の後継、「G2」9月創刊…ネットで掲載作公開
 講談社は、昨年末で休刊した月刊誌「現代」の後継媒体として、「G2」を9月1日に創刊することを決めた。
 インターネットや書籍との連携を図り、掲載作を順次、ネットで全文公開するほか、作品を元にした単行本を年間10~15冊刊行する予定だ。
 内容は一つのテーマに原稿用紙50~100枚をかけるノンフィクションを中心に、講談社ノンフィクション賞の選考過程なども掲載する。当面はムック本の形を取り、続いて12月と来年3月に刊行する。



AIG、損保部門を株式公開 AIU株20%放出へ
 【ニューヨーク=松浦肇】米政府から支援を受けている米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が早期に傘下の損害保険部門、AIUホールディングスを株式上場させる意向であることが明らかになった。AIGは保有する発行済み株式20%を上場と同時に売却する予定。売却金額は数十億ドル規模となる見通しで、公的資金の返済原資に当てる。日本事業などの海外損保部門は売却しない方針だ。
 上場計画はAIUホールディングスのニコラス・ウォルシュ副会長が日本経済新聞記者に明らかにした。「親会社のAIGのブランドが傷ついたうえ、米政府に資金を返済するために、上場することで独立する戦略を選択した」と述べ、「米国内での早期上場を目指している」とした。上場時期は市場情勢などをみながら判断していく。



中国、地方にも「バイチャイニーズ」呼びかけ
 中国政府が景気刺激策の実施に伴う政府調達で、中国製品を優先的に購入するよう指示する通達を出したことが波紋を広げている。米景気対策に盛り込まれたバイアメリカン(自国製品優先購入)条項を厳しく批判した中国だが、自らも「バイチャイニーズ」を義務付けてきた実態が浮き彫りになりつつある。
 その通達は5月下旬、目立たない形で全国の地方政府に発出された。「公共投資に伴う政府調達では、国内で手に入らないか、合理的な条件で買えない場合を除き、中国の製品やサービスを購入すべきだ」。通達はこう明記し、バイチャイニーズと批判されても仕方のない内容だった。



EU、財政出動を段階縮小 首脳会議宣言案、健全化へ出口戦略
 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)が18、19日に開く首脳会議で採択する宣言の原案が明らかになった。2010年以降の景気回復を視野に、経済・金融危機対策として打ち出した財政出動を徐々に縮小していく「出口戦略」を明記。中期的な財政健全化を約束し、長期金利上昇やインフレ圧力の緩和につなげる。中・東欧の金融不安に備え、国際通貨基金(IMF)の緊急融資枠拡大へ追加負担する方針も示している。
 今回のEU首脳会議は経済・金融の現状を点検し、今後のEU加盟27カ国の経済政策の方向性を固めるのが主要議題の一つ。財政出動や金融機関への公的資金注入など経済・金融危機に対応した「有事」の政策の軸足を徐々に「平時」へと移す立場を明確にする機会となる。



中朝貿易、狭まる扉 中国、圧力路線へ軸足
 【丹東(中国遼寧省)=佐藤賢】国連安全保障理事会が2度目の核実験を強行した北朝鮮への制裁を含む決議を採択したことを受け、中国政府が北朝鮮との輸出入管理を強化したことが分かった。中朝貿易の約7割が経由するとされる国境地域最大の都市、丹東市では中国企業の取り締まりを強化。税関も北朝鮮の輸出業者や帰国する北朝鮮人の荷物検査を厳しくした。北朝鮮との関係が深い中国も核・ミサイル危機を懸念し、圧力路線へ軸足を移しつつあることをうかがわせる。
 中朝関係筋によると、中国当局は13日ごろから北朝鮮関連企業と取引のある中国企業の状況調査を始めた。取引先や取引品目を詳しく調べているもようだ。



日経社説 「景気底打ち」でもまだ気を緩めるな(6/18)
 政府は17日に発表した6月の月例経済報告で、景気の基調判断から「悪化」という表現を7カ月ぶりに削除した。内閣府は「景気はすでに底を打った」と説明、「景気底打ち宣言」と受け止められている。
 日銀も16日に、現状の景気判断を「大幅に悪化した後、下げ止まりつつある」と上方修正した。民間エコノミストの間でも、今年1~3月期を底に、日本経済は「最悪期を脱した」との見方が広がっている。ただ「景気底打ち」でも先行きにはなお不安は多い。経済政策運営もまだ気を緩める時ではない。
 「景気が底を打った」という政府の判断の背景にはまず在庫調整の進展と生産の回復がある。昨年秋のリーマンショック以降、世界の需要の冷え込みで在庫が積み上がった企業は、一斉に生産を絞り込んだ。この結果、1~3月期は日米欧の主要先進国がそろって大幅なマイナス成長になったが、春先以降は在庫調整が進んだため、企業も徐々に減産の手を緩め始めた。
 この結果、鉱工業生産は回復基調にある。4月の鉱工業生産指数は前月比5.2%上昇と約56年ぶりの高い伸びとなり、5月、6月の予測指数もプラスとなった。
 さらに昨年末から各国が相次いで打ち出した財政刺激策などマクロ政策の効果も出てきている。特に巨額の財政出動をした中国経済の立ち直りが、日本の輸出にも好影響を与えている。
 景気底打ちといっても急激に落ちたところから、反転し始めたというところで、経済活動の水準自体はまだ低い。今後の回復の道筋もはっきりしたわけではないし、米国など海外経済の動向しだいでは「二番底」に陥る懸念も残る。
 特に心配なのは雇用・所得環境は当面は厳しい状況が続きそうなことだ。企業の収益環境は依然厳しく、雇用を急速に増やす状況には至ってない。夏のボーナスも含め所得も伸びず、個人消費が力強く回復することも期待しにくい。景気が底を打って経済成長率がプラスに転じても、すぐに経済が巡航速度に戻ることはなさそうだ。
 米国や欧州の金融システム問題も、解決に向けた進展はみられるが、終結したわけではない。
 1990年代のバブル崩壊後の日本でも、一時的に景気が回復する局面はあったが、不良債権問題などが重しになって長続きしなかったという経験がある。明るい兆しは歓迎すべきだが、政策当局者はあまり楽観しないよう注意すべきである。



【産経主張】改正農地法 減反見直しも同時並行で
 農地の貸借を原則自由にする改正農地法が参院で可決、成立した。農業への新規参入を促し、耕作放棄地拡大に歯止めをかけるのが主な狙いだ。日本の農政にはまだまだ課題が多いが、改革前進に向けた第一歩と受け止めたい。
 法改正の最大のポイントは「農地の所有者が耕作者でなければならない」という戦後の農地解放以来の「自作農主義」を転換した点にある。農地貸借の自由度を広げるとともに、借地期間の制限についても20年から50年に延長し、有効利用が図られるようにした。
 これまで企業は耕作放棄地など各自治体が指定した農地以外は借りられなかったが、今後は優良農地の借り入れも自由になる。企業参入には大きな刺激策だ。
 日本農業の最優先課題は、意欲的な担い手の確保である。「食糧安全保障の上から食料自給率の向上をめざす」とスローガンをいくら掲げても、担い手なしに農業の未来は開けない。だが、現状は農業従事者の6割を65歳以上の高齢者が占め、将来は先細りだ。
 今回の法改正で、高齢者らが営農意欲のある個人や法人に農地を貸し出せば、農地全体の約6%を占める耕作放棄地を減らすことにつながる。農地の集約化にも役立ち、生産性が向上することで農家の収入増も期待できる。
 ただ無秩序な貸借には注意を払うべきだ。貸し出された農地が産業廃棄物処分場にされた例もある。乱開発で優良農地がなくなる事態は防がねばならない。
 今回は違反転用への罰金についても、最高300万円から1億円に引き上げた。そうした歯止めと監視を強めた上で、企業の参入を促すのは担い手を確保する上で必要な措置だろう。
 忘れてならないのはコメの「減反」という生産調整の問題だ。自給率が下がっているのに、価格を維持するために補助金を投じて減反を続けるのは本来、矛盾した政策である。それが日本の農業の競争力を低下させ、消費者は長年、補助金と高い米価という二重のコストを負担してきた。
 今春、石破茂農水相は減反に参加するかどうかを農家個々の判断に委ねる「減反選択制」を打ち出した。現状維持では乗り切れないという危機感による政策転換だが、農水族議員が反発し、すっかり尻すぼみになった。農政の制度疲労を放置してはなるまい。
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