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日本のゲーム開発者が知らない米Facebookの下克上(COLUMN1)
 世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2010(GDC 2010)」が3月9~13日に米サンフランシスコで開催された。ゲーム市場の世界的低迷の影響で参加者数は減少すると思われていたが、ふたを開けてみると1万8500人と昨年を1500人上回った。その理由の一つが、米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook」を中心に人気を集めるソーシャルゲーム関連の講演の充実にあったことは間違いない。
 09年のGDCでソーシャルゲームはここまで重要なテーマではなかった。日本で想像していたよりはるかに速く、ゲーム産業の再編が進んでいることを実感した。
 Facebookのプラットフォームマネジャーであるガレス・デイビス氏は、基調講演でサービスの全体像を紹介しながら、自らの強みである「数」の論理をアピールした。デイビス氏によると、Facebookの中核は「オンライン上の現実のアイデンティティー(Your real identity online)」にあるという。現在、Facebookには4億人がユーザー登録し、友人とオンライン上でつながる関係性を持っている。そのうち2億人は毎日アクセスするアクティブユーザーで1人当たりの平均アクセス時間は55分に及ぶ。ゲームを日常的に遊んでいるユーザーも2億人に上る。
 Facebookの優位性は、ユーザーのデータのすべてをインターネット上の自社サーバーに置く「クラウド型」のサービスである点にある。ユーザーにとって最も大切なのは、自分がサーバーに預けたデータ、つまり「アイデンティティー」である。自分自身のデータをサービスに預ければ預けるほど、そのサービスを別のサービスで代替することは難しくなる。
 ゲームでも、自分のプレー結果が反映されたデータには値段に代えられない価値がある。そのデータをクラウド側が直接押さえているのである。しかも、ユーザーがどのようにゲームを遊んでいるのかを100%把握している。強いのは当然だ。
 クラウド型サービスは、特定の物理メディアに依存せず、ユーザーに供給するデータの内容を好きに決めることができる。そのデータを有料化することも、無料で提供することも自由だ。ゲーム産業は昨年まで、Facebookは「無料で利用できる有効な口コミマーケティングツール」ととらえていた。今年は違う。プラットフォームとして、既存の家庭用ゲーム機などのハードウエアを凌駕するほどの影響力を持ち始めたのである。
ハードウエア優位時代の終わり
 Facebookは、外部の企業がサービスを自由に連携できるAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を「Facebook Connect」という形で提供している。これを利用すると、カジュアルゲームと呼ばれるパソコン向けのダウンロード販売型のゲームの結果をFacebookのデータと連動させることができる。米アップルの「iPhone」向けゲームアプリでも、この機能を使うことができる。
 任天堂も09年7月から、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDSi」でカメラ撮影した写真を、このAPIを利用してFacebookにアップロードできるようにした。米マイクロソフトも09年11月に家庭用ゲーム機「Xbox360」をFacebookと連携し、ソニー・コンピュータエンタテインメントも「プレイステーション3(PS3)」で獲得したトロフィーや購入したゲームの情報を投稿できる機能を追加した。
 この状況をデイビス氏は、「マルチデバイス・プラットフォーム」と呼んだ。ある人はパソコンから、ある人は携帯電話から、ある人はゲーム機からアクセスする。提供される機能は共通しているわけではないが、中核にユーザーのアイデンティティーを統合する存在であるFacebookがある。
 もちろん、デイビス氏は、ハードウエア会社より自社の方が上位にあると発言したわけではない。しかし、「ハードウエアが優位であった時代は終わる」という事実を言外に突きつけているのは明らかだ。ネットに接続できるハードウエアが、超巨大化したFacebookに関わらずにいることはもはや難しくなっている。
市場が急拡大、アップルとの競合も
 Facebookの進撃は止まらない。米Many-eyes.comが世界のSNSの勢力図をまとめたデータによると、Facebookは全世界の大半を押さえている。米調査会社Inside Networkのジャスティン・スミス氏の講演によると、10年3月1日現在のFacebookユーザーの内訳は、北米が1億4000万人で36%、欧州が1億3000万人で34%だが、インド、インドネシアなどのアジア地域も7000万人と18%を占めている。
 その影響力は課金システムで発揮されようとしている。Facebookは、独自の仮想通貨「Facebook Credit」を順次拡張していくことを明らかにしている。有料アプリやコンテンツの販売額の3割をFacebook側が取るオンライン決済の仕組みだ。ゲームのアイテム課金に向いたシステムで、8300万人のユーザーを集める人気農場育成ゲーム「FarmVille」がまず対応した。
 しかし、これはアップルにとってやっかいな仕組みとなるだろう。Facebookに対応したアプリを無料でiPhone向けに配信し、課金はFacebook Creditを使うといったケースが出てくれば、直接競合する関係になるからだ。他の家庭用ゲーム機なども同じ問題に直面することになる。
日本人参加者が実感した「津波」
 Facebook関連の講演を聴いていて痛感したのは、日本企業の存在感のなさだ。そもそもFacebookが日本では人気がなく、大きく広がりそうな気配もないので当然ではある。Facebookで収益を上げている欧米ゲーム企業も日本市場を気にかけていない。なぜなら、日本以外の地域でユーザー数が増加し続けているからだ。
 スミス氏によると、北米のアイテム課金市場は08年が5億ドル、09年が10億ドル、さらに10年は16億ドルにまで拡大するという。日本の家庭用ゲーム機のソフト市場は約3300億円であり、その半分の規模まで急成長する計算だ。
 ソーシャルゲームのトップパブリッシャーである米Zyngaは、新しいゲームを公開してから7日間で1000万人のユーザーを集めるだけのパワーを持っている。例えば、前述のゲームFarmVilleは11人の技術者が5週間で開発し、人海戦術でアップデートしてコンテンツを充実させている。ユーザー行動を分析して、有料アイテムを的確に提供するという繰り返しで、新しいゲームを順次リリースしていく。スミス氏は、Zyngaを巨大戦艦にたとえ、「他の企業が対抗するのは難しい」と豪語していた。
 Facebookをはじめとするゲームのプラットフォームと新しい市場が、日本のゲーム産業と関係ないところで出現し、世界のゲーム産業の様相を変えようとしている。富を生む場所がシフトし、日本は後追いになりつつある。
 GDCに参加した日本の中堅ゲーム開発会社の経営者は、「スピード感と規模感が違いすぎる。帰国後、これまで会わなかった投資会社と積極的に話している」と述べていた。変わらなければ、いずれ津波に飲み込まれる。今回のGDCで、津波を実感したという日本の開発者は多かった。



マスメディア崩壊という共同幻想(COLUMN2)
 3月22日に生放送されたNHKスペシャルの『激震マスメディア』に出演した。この番組については多くの人が多くのことを語っていて、今さらその内容について私が付け加えることはほとんどない。ただひとつだけ言っておくと、会話がかみ合わないことは事前から十分に予想できたことで、そもそも企画したNHKのスタッフだって「かみ合った議論」を期待していたわけじゃないと思う。そうでなければ新聞協会会長、民放連顧問なんていう巨塔を出演者としてぶつけてくるわけがない。

 それをNHKが狙っていたのかどうかは別にして、あの討論に意味があったとすれば、新聞やテレビという亡びていく巨象にわかりやすい「顔」を与えたことだった。新聞にしろテレビにしろ、一部の有名記者やコメンテーター、タレントを除けば、どのような人たちがそうした組織を維持し、世論を作り出しているのかという生身の姿はほとんど見えない。新聞のコラム(たとえば『よみうり寸評』)がTwitterについてどんなに的外れなことを書こうが、それがいったいどのような人たちによってどのような表情で語られているのかは見えてこなかったということだ。

 『激震マスメディア』では、新聞協会会長と民放連顧問という業界を代表するお二人が、その「顔の見えない巨象」についにきちんと顔とことばを与えた。多くの視聴者に対して「ああ、このような人たちがマスメディアを体現しているのか」「この人たちはこんなことを考えていたのか」という認識を実体として提供することができたということだ。つまりはマスメディアを象徴するアバター(仮想分身)である。
マスメディア崩壊という共同幻想
 いずれにせよ、あのような討論の有無には関係なく事態は粛々と進行している。昨年初めごろまでは「本当にマスメディアは崩壊するのか?」というような疑念を持っていた人はネット業界においても少なくなかった。しかしいまやその崩壊は確実に進行しつつある事実認識として、徐々に人々の間に共有されつつある――もちろん、マスメディアの中の人たちにも。
  これは必ずしも、企業体としての新聞社や放送局がみんな破綻して消えてなくなるという意味ではない。昨年上梓した『2011年新聞・テレビ消滅』という本でも書いたが、新聞やテレビが全国民と接続される「マスのメディア」としての機能は間もなく失われ、今後は多様なメディア空間が展開されてくる。そしてそのメディア空間の出現を、多くの人が実感として認識するようになるということだ。

 もともとマスメディアなどというのは、しょせんは幻想の共同体にすぎなかった。しかしその幻想をマスメディア自身が構築し、国民にその幻想を放射することによって、マスメディア企業はマスメディアとして巨大化していった。それがこの戦後65年間の間に起きてきたことだ。
 いまはまだマスメディアの崩壊という認識は、インターネットの論壇界隈に接点を持っている一部の人たちに共有されているにすぎない。しかしその認識は、週刊東洋経済や週刊ダイヤモンド、SAPIOといった週刊誌・月刊誌がさかんに組む特集によって増幅され、さらには今回のNHKスペシャルによってさらに広範囲の視聴者にも送り込まれている。

 こうした情報配信が繰り返されることによって、「新聞やテレビはもう終わりなんだ」というイメージは徐々に浸透していく。つまりはかつてマスメディアが自身を幻想化して巨大化していったのと同じように、いまやマスメディアの側がみずからの崩壊イメージを構築しはじめているのだ。「これから新聞とテレビはなくなりますよ!」というイメージを、マスメディアの側が再生産しはじめているのである。
マスメディア崩壊をマスメディアが後押しする

 そしてそのイメージは、まさにマスメディアがマスメディアであるゆえんによって補強されていく。幻想を産み出すマスメディアが流すからこそ、「マスメディアの崩壊」は自明の理として認識されるようになるという何とも逆説的な現象が起きはじめている。

 その事態の進行はかなり興味深い。今回NHKがマスメディアの崩壊を取り上げたように、朝日新聞は「苦境・新聞業界」「社員、リストラに不安も」と毎日新聞の共同通信再加盟を大きく報じ、週刊東洋経済は「新聞・テレビ陥落」「新聞・テレビ断末魔」と大特集し、週刊ダイヤモンドは「新聞・テレビ複合不況」とぶち上げた。だが自分のところがどれだけ危機的状況にあるのかは、どの企業もほとんど報じていない。そのあたりの「他人事」感覚は、週刊ダイヤモンドが予定していた電子書籍特集を、直前になって経営陣の鶴の一声でつぶしてしまった事件に象徴されている。

 だがこれは過渡期でしかない。間もなく新聞もテレビも総合週刊誌もみずからの崩壊を語り、論じなければならない時期がやってくる。それが記事の体裁をとるのか社告や識者座談会のような形式になるのかはまだわからないが、いずれにしてもそれはビッグバンからビッグクランチへと転じるマスメディア幻想の最後の号砲となるはずだ。

 いまやマスメディアの崩壊は、議論の前提である。そういう段階に差し掛かっているのだ。そうであればこれからメディアの世界で考えていかなければならないのは、その先にいったい何が待っているのかというビジョンだ。これについては、別のエントリーを立てよう。
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( ゜д゜)゜д゜)゜д゜)新聞

iPad使ってみました 予想以上に滑らか
 【シリコンバレー=岡田信行】米アップルが3日、米国内で発売した多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。カリフォルニア州パロアルト市のアップル直営店で販売されたばかりの「iPad」を記者も借りて触ってみた。
 今回発売されたiPadは無線LAN対応モデル。記者が購入予約したのは第三世代携帯電話網に対応した上位機種で、手元に届くのは月末までお預けだ。
大きさ・重さ、気にならず
 まず、大きいと感じた。週刊誌大の大きさ。当然、ポケットには入らない。しかし、薄い。ノート型パソコンを持ち歩くビジネスパーソンには全く気にならない大きさだ。
 重いという指摘もある。確かに携帯電話に比べれば重たいが、この大きさの端末は片手に持って使うことは考えにくい。ひざや机の上に置いて使うことを考えれば重さもあまり気にならないのではないか。
 電源を含めた操作ボタンは世界的にヒットしているアップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や携帯音楽プレーヤー「iPodタッチ」とほぼ同じレイアウト。iPhoneやiPodタッチに慣れ親しんだユーザーなら、取扱説明書はまず必要ないだろう。
 起動はパソコンよりも早い。9.7型の高精細なカラー液晶画面の下部に、ネット閲覧ソフト「サファリ」やメールなどのアイコンが浮かび上がる。指で触って次の画面に進んだり、拡大・縮小したりするマルチタッチ操作は、iPhoneでおなじみ。iPadの大きな画面でも予想以上に滑らかだ。
 あらかじめ搭載した機能以外のソフトを使う場合は、iPhone同様にアップルIDが必要だ。配信サービス「iチューンズ・ストア」にパソコンで接続してダウンロードするか、iPadでネット接続して直接取りこむ。
 ここまで見ると、iPhoneやiPodタッチの大型版という印象だが、既存端末と大きく違うのは電子書籍機能「iブックス」だ。まず、iチューンズ・ストアで対応ソフトを取りこみ、電子書籍配信サービス「iブック・ストア」に接続すれば電子書籍を購入・閲覧できる。
 iブックスの電子書籍はiPad専用で、iPhoneやパソコンでは読めない。一方、電子書籍端末「キンドル」を展開するアマゾン・ドット・コムはiPad向けソフト「キンドル・フォー・iPad」を配布。このソフトを使えば、iPadでキンドル用の電子書籍を読むことができる。
 アップルにとっては45万冊に達したキンドル向け電子書籍をiPadユーザーに提供できる。アマゾンにとっては電子書籍専用端末の普及台数を早期に上回るとみられるiPad向けに、電子書籍の販路を確保する狙いがある。ライバル同士の奇妙な共存関係ともいえる。
ユーザー「ゲームや映画楽しむ」
 初日にiPadを購入した客の大半は「ゲームや映画を楽しみたい」と口々に語った。iPodやiPhoneで培った1億2500万人のソフト配信基盤をそのまま活用するiPad。iPadならではの魅力的なソフトやコンテンツを、どこまで幅広くそろえられるかが今後の課題となりそうだ。



iPad、新市場開くか アップル、米で発売 ジョブズ氏の挑戦再び
 米アップルが多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を3日、米国で発売した。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」などで新市場を開拓、新たなビジネスモデルを構築してきた。従来のパソコンや電子書籍端末の枠組みに当てはまらないiPadでもその再現ができるのかが注視されている。
 アップルの歩みは全く新しい市場の創造の歴史だ。1980年代にコンピューターを一般個人が日常で使える状態にしたのが「マッキントッシュ(マック)」。携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」と音楽配信ストアの「iチューンズ・ミュージックストア」の組み合わせは電子データの形で購入し、何千曲でも持ち歩くという新たな音楽の消費・保存形態を広めた。
高精細の動画
 iPhoneも携帯電話の新タイプではなく、タッチパネルや重力センサーなどを備えたポケットに入るコンピューターだ。無数の第三者がソフト開発という形で新たな用途を考える技術プラットフォームでもある。
 iPadは一見、iPhoneの相似形にすぎないように見える。だがその大きさゆえ、得意なことが違う。パソコンに近い大きさだがキーボードがない。どこでもネット接続できるが、重さと大きさゆえ常に携帯するには難がある。
 例えば電子書籍端末という用途。米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」やソニーの「リーダー」など既存の電子書籍端末に比べると重い。これまで電子書籍端末で標準だった電子ペーパーではなく液晶画面を採用したため、長時間の読書は目につらい。
 一方で高精細の画面は静止画像や動画がきれいに映るので、写真や動画部分が多い雑誌の表示には向いているかもしれない。テレビ番組や映画を好きな場所で楽しむ用途にも向いていそうだ。
 タッチパネルを採用した汎用情報端末は、今世紀初頭に米マイクロソフトと多くのパソコンメーカーが協力して世に出した「タブレットPC」など幾つかの先例がある。だが多数の企業や家庭に普及するほど成功した例が最近までなかった。
 汎用タッチパネル機で世界的に普及したのは、ポケットに入る多機能携帯端末であるiPhoneが初めて。ソフト配信インフラ「アップ・ストア」が成功の原動力となった。同ストアで販売するソフトは10万種類以上に達しており、この仕組みはiPadでも強い味方となる。
業務用にも
 日本でも米国でも、iPadの企業向け用途を開発して新ビジネスにしようという動きも出ている。会議資料のペーパーレス化や、外回り営業職用のソフトなどアイデアはいろいろある。
 ジョブズ氏は再び、新しい市場の開拓に挑戦し始めた。iPadが多様なユーザーやソフト開発者にとって魅力的なプラットフォームになり、新たな製品カテゴリーを打ちたてられるか。ジョブズ氏の成功神話が続くかのカギとなる。



ソフトバンク孫社長、ツイッターで反論 SIMロック解除で
 ソフトバンクの孫正義社長は、総務省が携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除を求める方針を打ち出したことに対し、2日夜から3日にかけて自身のミニブログツイッターで反論した。
 SIMロックを解除した状態で携帯電話を販売すると販促費を投入できなくなるため、孫社長は「端末代が4万円値上げになる」と主張。「強制すると、またしても総務省が原因で端末が売れなくなる」などと総務省の方針をけん制した。
 さらに、ロックを解除してもKDDI(au)は通信方式が異なるので使えなかったり、端末が大量に海外に流出して被害を受けたりするなどと反論を重ねた。
 総務省は2007年にも携帯電話の価格と通信料金の内訳を明確にした料金プランの導入を携帯各社に要請。通信料は安くなったが携帯電話の価格が上昇し、08年度に国内出荷台数が約3割減少した経緯もある。
 一方、原口一博総務相もツイッター上でこれに応じ「総務省がビジネス・モデルを強制することは、ありません」などと発言。その後、孫社長は「総務省からの強制でなければ、我々もSIMロック解除をいくつかの機種で試してみることは可能」と歩み寄りの姿勢も示した。



橋下発言に抗議メール400件 わいせつ漫画規制で
 18歳未満の登場人物のわいせつ描写がある漫画やアニメの販売などを規制する東京都の青少年健全育成条例改正案を受け、大阪府の橋下徹知事も府内の実態把握に乗り出すことを表明したのに対し、「表現の自由を侵害する」などとする抗議メールが400件近く府に寄せられていることが3日、分かった。府は4月中にも実態調査を始めるが、事前の反響ぶりに「規制すると決まったわけではない」と説明している。
 東京都の青少年健全育成条例改正案について、橋下知事は「表現の自由は絶対ではない。失われる利益が大きいなら規制もある。子供を守るのが大人の責務で、表現の自由だけで議論を封鎖するのはおかしな話だ」と指摘。担当部署が実態把握に乗り出す。
 大阪府では現在でも、わいせつ描写のページが一定数を超えると有害図書として規制する全国的にも厳しい条例があり、さらなる規制には反発も根強いという。
 実態把握の調査では、書店やゲーム店などの漫画本やDVDなどの内容や販売状況を分析。学識経験者や業界関係者などでつくる青少年健全育成審議会で規制の必要性を検討していく。
 こうした動きに対し、3月末までに届いた抗議メールは約390通に達した。ほとんどが府の規制強化を危惧(きぐ)する内容で、東京都など府外からも寄せられた。
 「規制は将来漫画家になりたい少年の夢を奪う」「アニメなどで不健全な描写が青少年の健全な育成に悪影響を与えたり犯罪を誘因したりするとの考えがあるが、違うのでは」といった抗議や、「漫画など被害者がいない創作物を規制するより児童買春を規制すべき」などの反論もあるという。
 こうした抗議メールについて、府青少年・地域安全室は「まだ実態把握の段階で、規制すると決めたわけではない」と冷静に受け止めている。



日経社説
〈「元気な経済」考〉 世界に使われる技術で付加価値を
 日本の付加価値の源泉だった技術がいま危うい。例えば、インターネットの利用で世界に先行したはずの携帯電話。世界最大手のフィンランドのノキアが日本の研究開発拠点を静かに閉じた。
 パソコンに近い携帯端末の登場を機に、日本から学ぶものがなくなったと考えたからだ。もはや拠点を置く意味がなくなったという。
欠かせぬ標準化の戦略
 日本製の携帯電話には様々な機能があるが、作りが独特なので海外では売れない。対照的に、音楽再生やパソコンの機能を持つ携帯端末で世界的に成功したのが、米アップルだ。端末そのものの性能もさることながら、ネットと一体化させ付加価値を創造した。
 日本企業はインターネットの普及に伴う事業モデルの変化を見抜けなかった。単品よりネットワーク型の製品が売れ、高い収益を生む。そんな時代に求められる戦略は何か。
 まずは情報端末や家電製品などを互いにつなぐための技術で、国際標準づくりに参加することだ。日本の技術が世界に取り入れられるようになれば、新たな需要も生まれる。
 電話の時代は国際電気通信連合(ITU)など国際機関が技術規格を決めた。これに対し、実際の使い勝手がモノをいうネットの時代は、世界中の技術者同士の非公式な集まりや、ネット上での情報交換で新しい規格の方向が定まる。
 もはや、よいモノをつくれば、世界中で売れるという保証はない。企業は技術者だけでなく、国際標準を獲得する交渉の担い手を育てる必要がある。標準化は陣営づくりのゲームだ。これまで以上に海外企業との人的交流を強化するときだ。
 政府の役割も大きい。地上デジタル放送の技術では、ブラジルなど南米5カ国が日本方式を採用した。ところがテレビの商談は韓国企業にさらわれた。新興市場での技術規格とビジネスの両方の獲得には、官民が戦略的に取り組まねばならない。
 もうけの源泉になる中核技術をなるべく守りつつ、周辺部分は外部とつながりやすくし、市場を広める。そんな戦略も欠かせない。
 アップルは端末技術は非公開にしている。一方で、ソフトをその上で動かすのに必要な情報を公開することで国際標準を獲得した。米インテルも半導体の心臓部の技術は守りながら、パソコンへの搭載に必要な情報を公開する戦略で成功した。
 今や製造業が製品をモノとしてでなく、システムやサービスと一緒に提供する時代だ。収益力を高め、新たな雇用をつくるには、IT(情報技術)を有効に活用するほかない。
 素材大手のセーレンは自動車のシート生地などを3次元(3D)技術でデザインし、国内外の自動車大手とネットを通じてやりとりする。立体画像を共有することで、開発や製造の速度を上げている。
 コマツは世界約60カ国で稼働する16万台の建設機械に全地球測位システム(GPS)を搭載している。作業場所や稼働状況を即時に把握し、ユーザー側と共有している。建機を効率的に配置し、新規の需要予測にも役立てている。
 主力の自動車産業の優位を失わないためには、ITと自動車技術の融合が重要な課題だ。車を安全に誘導するITS(高度道路交通システムや電気自動車の実用化にも役立つ。メーカー間で通信やセンサーなど、共通化できる技術は一緒にし、日本発の国際標準を育てたい。
金融・サービス業でも
 個々の技術ばかりでなく、システムとして付加価値を上げる手法は、水道や電力、鉄道など社会インフラ事業でも欠かせない。地方自治体の持つ水道運営に企業の技術を結びつけ、水処理事業として提供する仕組みが求められる。
 製造業に比べ生産性が低い金融やサービス業にも、付加価値向上の余地は大いにある。日本では金融機関以外の送金事業も可能になった。電子マネーを店舗での買い物だけでなく、ネット上の代金支払いにも使えるようになった。決済を効率化し、ネット通販を広める力ともなる。
 ネットを使った「スマートグリッドと呼ばれる次世代送電網技術が広まれば、総合的な公共サービスが可能になる。ネット経由でソフトや情報を提供する「クラウドコンピューティングも、顧客管理などで企業のシステム負担を軽減できる。技術を生かすには、規制や業界の既得権を取り除くことこそ必要だ。
 システム開発のカギは人材だ。実戦で使える新卒の技術者は年間1万人に満たない。ソフト開発の専門教育機関は不可欠だ。海外から優秀な技術者を招き、能力に応じて登用することも一案だろう。
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