ナィ(゜д゜=゜д゜)ナィ新聞

JVCケンウッド、ビデオカメラ国内生産撤退
 JVC・ケンウッド・ホールディングスが28日に発表する経営再建策が明らかになった。ビデオカメラの国内生産から撤退するほか、液晶テレビ事業ではタイ工場を縮小。世界で千数百人の従業員を削減・配置転換する。コスト削減でAV(音響・映像)機器事業の赤字から脱却。さらに本社などの資産売却で手元資金を確保し、経営再建を軌道に乗せる狙いだ。
 国内にビデオカメラを出荷している日本ビクター横須賀工場(神奈川県横須賀市)の生産を年内にも停止。マレーシア工場で日本向けの製品を生産する。横須賀工場ではプロジェクターなどほかの製品の生産は続けるもようだ。
 テレビ事業では唯一の自社工場であるタイ工場を分社化する。本体から切り出してコスト削減を加速するほか、将来、他社による買収や資本参加をしやすくする。まず今年度中に従業員を600人から半減、電子機器の受託製造サービス(EMS)活用を進める。
 こうした消費者向け事業で生産や販売の規模を縮小し、グループ全体の1割にあたる千数百人を削減する方針。一部はグループ内への配置転換や関係会社への転出に振り向けるとみられる。
 収益拡大を目指し、ビクターとケンウッドの業務用機器事業を統合。開発部隊や販売網を組み合わせて相乗効果を引き出し、車載機器と並ぶ収益源に育てる。
 既にビクターの創業地である「本社・横浜工場」を売却し本社を移転する方針を固めている。ほかにも国内外で資産を売却し、構造改革に必要な手元資金を集める。自己資本比率が2010年3月末で16.7%に低下しており、今後は増資も検討するとみられる。
 JVCケンウッドは08年10月にビクターとケンウッドが経営統合して発足したが、AV機器の不振などで業績が低迷している。今年2月にはビクターで過去の不適切な会計処理が発覚し多額の追加損失を計上した。抜本的な再建のためにはコスト削減や債務の圧縮だけでなく、他社との提携や新規事業など中長期的な成長戦略も求められる。




ドコモ向けTwitterアプリ「jigtwi」が登場――独自ブラウザも搭載
 jig.jpは26日、ドコモケータイ向けTwitterアプリ「jigtwi(ジグツイ)」の提供を開始した。対応機種は、フルワイドVGA以上のディスプレイを備え、メガアプリに対応する905i、906i、STYLE、PRIME、SMART、PROシリーズで、他キャリアへの提供も検討中とのこと。利用料金は無料(通信料を除く)。
 トップページにはタイムライン、自分あてのMentions、DM(ダイレクトメッセージ)、リスト、検索、自分のプロフィールがアイコンで表示され、各アイコンを選択すると画面が切り替わる。アプリを起動すると、タイムライン、Mentions、DMの最新20件が自動で読み込まれる。スクロールし続けると、過去のツイートが読み込まれる。
 SH-01Aでjigtwiを利用してみたが、タイムラインのスクロールや読み込みがスムーズで、ストレスなく利用できた。また、jigtwiでは各ツイートの全文が吹き出しに表示されるので、140文字近い長いツイートも、吹き出しの中をスクロールせずに読める。
 jigtwiのアクセスは、ケータイとPCともに http://jigtwi.jp/ から。jigtwiの公式Twitterアカウント「@jigtwi」も公開されている。



SIMロック解除、法制化で強制辞さず “脱ガラパゴス”へ総務省
 携帯電話に“カギ”をかけて特定の一社の通信サービスしか利用できないようにしている「SIMカードロック」について、総務省は26日、通信会社に解除を促すためのガイドライン案を公表した。対象は平成23年4月以降に発売される端末で、解除は各社の自主的な判断に委ねるとした。通信業界では顧客流出を懸念し解除に慎重な声が強く、解除可能な端末が限定的にとどまる可能性が高い。このため、「状況を注視し法制化も検討する」とし、強制解除に含みを残した。
 総務省は一般や業界から意見を募り、6月末に正式決定する。
 SIMロック解除は、競争促進などを狙い、原口一博総務相が表明し具体策を検討してきた。例えば、ソフトバンクで購入した端末のロックを解除し、NTTドコモのSIMカードに差し替えるとドコモのサービスが受けられるようになり、利用者は同じ端末で自由に通信会社を選べる。
 ガイドラインでは、他社で購入した端末に対しても、サービスを提供することを原則として義務化。一方で、解除するかどうかは、「広範に利用できるよう努めることが望ましい」との表現で各社の自主判断に委ねた。
 SIMロックをめぐっては、通信会社が強制的な解除に強く反発。端末メーカーも「すべての通信会社に対応できるようにするための開発費で、端末の値段が跳ね上がる」(業界団体)と難色を示していた。
 このため、総務省も「当面は事業者の主体的な取り組みに任せる」(事業政策課)と判断した。
 ただ、自主判断となったことで、通信各社が利用者の要望の高い人気機種の解除を見送るのは確実で、消費者メリットは限定的にとどまりそうだ。
 実際、ソフトバンクは28日に発売する米アップルの小型情報端末「iPad(アイパッド)」にロックをかけ、同社の携帯通信回線しか利用できないようにしている。孫正義社長は「2割以上の機種は(解除を)やりたい」としているが、アイパッドや携帯端末「iPhone(アイフォーン)」といった人気機種は対象外となりそうだ。
 ドコモの山田隆持社長は「ユーザーが望むなら解除すべき」と前向きだが、業界の足並みがそろわないと解除は広がらない。
 解除は、端末をできるだけ安い価格で販売し顧客を囲い込み、通信料金でかせぐという日本の通信会社のビジネスモデルの崩壊につながる。海外ではロック解除が一般的。総務省は、“ガラパゴス”と揶揄(やゆ)される日本でしか通じないビジネスの改善を狙っており、解除が進まなければ、強制解除も辞さない構えだ。



iPad、予約なしOK 当日販売を決定
 米アップルが28日に発売する新型多機能情報端末「iPad(アイパッド)」について、予約なしでも購入できる当日販売が行われることが26日、分かった。アップルの直営店などで販売されるとみられるが詳細は不明。米国では4月3日の発売から1カ月弱で100万台を販売した人気商品だけに、発売当日は限られた入荷分を求めての混乱も予想される。
 アイパッドは、今月10日から予約受付を開始したが、世界的な品薄状態から12日午後に一部の機種の受付を停止している。アップル日本法人では「どこの店舗でどれくらい販売するといったことは現在は未定。ニーズに応えられるように最大限努力する」と説明している。
 アイパッドは、画面に触れて操作するタッチパネルを採用し、電子書籍やネットの閲覧、動画視聴などを手軽に楽しめる電子端末。価格は、無線LAN(構内情報通信網)のみを使用できるモデルが4万8800円からで、ソフトバンクモバイルの携帯電話回線を使用できるモデルが5万8320円から。



iPad上陸 販路絞るアップル、消費者に戸惑いも
 米アップルは28日、多機能携帯端末「iPad」を日本で発売する。米国では4週間で100万台を売る大ヒットになったが、日本でも予約が早々に締め切られるなど話題性は十分。iPad上陸で勢いを強めるアップルは国内の流通業界やコンテンツ業界などにどんな影響をもたらすのか。
 25日夕、家電量販店各社にアップルから電話が入った。「iPadの販売解禁は28日の午前8時」。残り2日半での通告に量販店側は慌てた。人員を確保できずにやむなく午前10時からの通常営業で対応する企業もある。「(12日の)予約締め切りも通告は30分前だった。いつも直前まで情報がない」。家電量販店の担当者は不満そうだ。
 世界的な大型新製品であるiPad発売を機に、アップルは小売りの現場を「管理」する姿勢を強める。象徴的なのは販売店の絞り込み。家電量販上位5社の直営店の合計約1400店のうち、取扱店は1割弱の136店にすぎない。
 例えば東京・秋葉原で国内外の観光客を集めるラオックスもiPadを取り扱うことができない。そればかりか携帯音楽プレーヤーの「iPod」など全アップル製品が6月中に消える。
 ラオックスは「先方の強い意向があってやむを得ない」と残念そうだが、アップル関係者は「我々の想定した店ではないから」と突き放す。ラオックスの販売実績が、アップルの要求水準より低いといった事情があるとみられている。ある大手量販店は「うちも店によっては切られた。売れる店に絞ってブランドイメージを高める狙いだ」と指摘する。
 こうしたアップル側の選別政策に表だって反発する量販店はない。恒常的なヒット不足と競争激化に悩む量販店側は、ヒットメーカーのアップルとの対立を避けようとする。一方でアップルは売れる店に対しては販促イベントの提案や仕入れ価格の優遇も示唆しているもよう。「アメとムチを使った管理だ」と業界関係者は話す。
 ただ販路を絞った結果、消費者の利便性は地域で差が出る。iPadの取扱店は都内には41店あるが、青森など6県ではゼロ。アップルは「我々のインターネット通販で購入できる」と説明する。だが無線LANだけでなく、携帯電話回線も使える機種は店舗でしか買えないため、遠方に足を伸ばさなければいけない消費者も出てくる。
 売る店を決めるのは誰か。iPad発売で日本市場での存在感を高めるアップルは、日本の家電流通にも問いを突きつけている。



吉本興業・千趣会… 相次ぎiPad向け配信
 吉本興業と千趣会はそぞれ米アップルの多機能携帯端末「iPad」向けにコンテンツ配信を始める。吉本は7月上旬をめどに、お笑いタレントのライブ映像などを毎週20本ペースで配信。千趣会もiPadを活用した衣料品通販を始める。
 吉本は有料で配信する。「吉本新喜劇」などの舞台公演や自社制作映画などを予定している。今後はiPad向けに独自のソフトも制作・販売する考え。価格は1作品あたり300円程度になる見通しだ。
 千趣会は男性向け衣料品カタログ「メンズ暮らす服」の内容を配信する。画面上で買いたい商品に触れば、即座に千趣会の通販サイトに移動できる。



サムスンとの液晶合弁に追加投資も=ソニーCFO
 ソニーの大根田伸行・最高財務責任者(CFO)は26日、韓国サムスン電子と折半出資する液晶パネル製造の合弁会社、S―LCDに対し、追加投資を行う可能性を示唆した。
 大根田CFOはウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューに英語で応じ、大型液晶パネルの需要は供給能力を上回る可能性があると語った。ソニーは2011年3月期の液晶テレビ出荷台数を前年比60%増の2500万台としており、状況によっては、この計画に支障をきたす可能性もある。
 ソニーは、S―LCDの第7、第8世代パネルの生産ラインに50%出資しているが、2つ目の第8世代ラインについては、投資を見合わせている。大根田CFOは、この点について、需要を見極めたうえで、追加投資を行うか、サムスンからパネルを購入するか、を判断すると述べた。
 また、大根田CFOは、ソニーが、米アップルのタブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」に対抗する製品を開発する必要があると語り、問題は、パソコン、ビデオゲーム、携帯電話など、ソニーの既存製品をどのように魅力ある新製品に集約するかだ、との見方を示した。



日産:「バブル期の象徴」シーマ生産を8月に終了 プレジデントも
 日産は、高級乗用車の「シーマ」と「プレジデント」の生産を8月に終了する。両車とも衝突時の安全基準を満たさなくなることや2009年11月にモデルチェンジした高級セダン「フーガ」で両車の顧客層を取り込めることから生産終了を決めた。
 「シーマ」は1988年に登場。最初の1年だけで約3万6400台、4年間で約12万9000台を販売し、バブル経済の象徴として「シーマ現象」と呼ばれた。これまでに国内で約27万8000台以上を販売したが、09年度は294台にとどまっていた。
 「プレジデント」は、トヨタの「センチュリー」と並ぶ最高級乗用車で、1965年に発売されて以来、約5万6000台を販売したが、09年度の販売台数は63台だった。



仏サノフィ、国内後発薬に参入 日医工に出資
 仏製薬大手のサノフィ・アベンティスは日本の後発医薬品市場に参入する。後発薬で国内最大手の日医工と資本・業務提携し、後発薬の共同開発や販売に乗り出す。政府は医療費抑制のため後発薬の普及促進策を打ち出しているが、普及率はまだ低く今後の成長余地が大きいと判断した。製薬世界5位の参入で、国内後発薬市場の拡大に弾みがつきそうだ。
 日医工が6月にも実施する約150万株の第三者割当増資をサノフィが引き受ける。50億円程度を出資し、出資比率5%弱と創業家に次ぐ第2位の大株主になる見通しだ。
 提携のもう一つの柱が日本での共同出資会社の設立。サノフィと日医工がそれぞれ51%、49%を出資し、年内に「日医工サノフィ・アベンティス」を立ち上げる。



後発薬に外資攻勢 普及率2割、日本に成長余地
 仏サノフィ・アベンティスが日医工と資本・業務提携することで、世界の製薬大手が日本の後発医薬品市場に一斉に攻勢をかけることになる。日本は後発薬の普及率が2割程度と欧米諸国に比べ遅れてきただけに、海外大手にとっては成長余地が大きい。国内の製薬大手も後発薬の事業拡大を急いでおり、競争が一気に加速する。価格がさらに下がりやすくなり、それが市場拡大に弾みをつける好循環が生まれる可能性がある。
 欧米では薬効成分の特許が切れると、同じ成分を使う割安な後発品のシェアが大きく高まるのが一般的。日本では新薬メーカーのブランド力や安定供給体制への医師や患者の信頼が厚く、新薬のシェアが維持されてきた。海外大手には攻めにくい市場だった。
 急速な高齢化がこうした状況を変えつつある。日本は世界で最も速いペースで少子高齢化が進み、医療費の自然増が財政を圧迫。年8兆円近い薬剤費の圧縮が急務だ。
 政府は2012年度に後発薬のシェアを3割に引き上げる目標を掲げ、使用促進策を打ち出している。今年4月からは後発薬を多く処方した薬局に医療保険から支払う報酬の加算を上積みするようにしている。
 これに加え、主力製品の特許が相次ぎ切れる「2010年問題」も後発品には追い風になる。海外大手は日本の市場構造が大きく転換すると判断しているようだ。
 世界最大手の米ファイザーが日本法人に後発薬の専門組織を発足させるなど、各社は市場開拓を本格化。対する日本勢も手をこまぬいてはいない。印ランバクシー・ラボラトリーズを傘下に持つ第一三共、異業種の富士フイルムホールディングスなどが攻勢をかける。激しい競争を勝ち抜くには高度な開発力や資本力が求められる。
 日医工はサノフィと組むことで高い効果が期待されるバイオ後発薬の共同開発に道筋をつけた。同じ専業の沢井製薬、東和薬品などがどう動くか。業界再編の機運が高まるとの見方もある。



法科大学院、初の撤退へ 姫路獨協大が募集停止を決定
 姫路獨協大(兵庫県姫路市)法科大学院が、平成23年度以降の学生募集を停止する方針を固めたことが26日、分かった。同日開かれた教授会で決定した。運営する学校法人「獨協学園」の理事会を経て、文部科学省に近く、募集停止の届け出を行うとみられる。
 同法科大学院は今年1月に行った22年度入試で合格者が1人も出ず、4月からの新入生がゼロという状態が続いていた。同大学では現在17人いる大学院生が修了するのを待って法科大学院の運営から退く見通し。撤退が正式に決まれば、16年4月に法科大学院制度が始まって以来、全国で初めて。
 同法科大学院は16年に開設してから、新司法試験の合格者が全国最少の3人にとどまるなど、実績が低迷。中央教育審議会の特別委員会から学生の質の確保で大幅な見直しを迫られる一方で、改善に向けた「今後の取り組みも不明確」と指摘されていた。
 法科大学院をめぐっては、学校数や総定員数が当初予想を大幅に上回る一方、修了者対象の新司法試験の合格率は年々、下落しており、文科省は定員削減を促している。



NYダウ終値、1万ドル割れ…3か月半ぶり
 26日のニューヨーク株式市場は、ダウ平均株価(30種)が下落し、前日終値比69ドル30セント安の9974ドル45セントと、2月以来約3か月半ぶりに1万ドルの大台を割り込んで取引を終えた。



日経社説
航空2社が共倒れにならないために
 日本航空の再建策づくりが難航している。同社の稲盛和夫会長は25日の記者会見で、裁判所への会社更生計画の提出期限を8月末とし、当初の予定より2カ月先送りすることを正式に表明した。
 会社更生法の適用を申請してからすでに4カ月。日航をどのように再生し、どんな会社にしていくのかが見えてこないのは、遺憾である。
 遅れているのは、金融機関との間で路線統廃合などを巡るリストラ策の話し合いに手間取っているためだ。日航は法的整理後に打ち出した「3年間に31路線削減」という統廃合案を、4月末に「来年3月までに45路線削減」へと積み増した。だが金融機関側は安定的に利益を出すには、「もっと国際線を減らすべきだ」と注文を付けているとされる。
 日航は年内に5000億円のつなぎ融資の期限が到来する。借り換えるには、金融機関に更生計画を受け入れてもらう必要がある。もっと身の丈を小さくし、金融機関の不安を取り除く以外の選択肢はない。
 日航は法的整理に至るまで10年の間、合算で1000億円を上回る最終赤字を計上した。それでも経営を続けられたのは日本政策投資銀行という政府系金融機関の支えがあったればこそ。会社更生手続きに入った以上は、かつてのように赤字のままの延命を続けることはできない。
 この4カ月には成果もあった。企業年金削減を厚生労働省から認められ、燃費の悪い飛行機の退役も決めた。賃金削減や早期退職も進めた。
 だが、赤字路線の多い国際線をできるだけ残そうとするかのような計画づくりは、再建への不安を残す。
 航空業界が指標とする1座席を1マイル(約1.6キロメートル)運ぶための費用をみても、日米企業の格差は歴然としている。昨年7~9月期には日航と全日本空輸は20セント(約18円)を超えた。アメリカン航空は大幅な路線整理や賃金体系の見直しを進め13セントに抑えた。低コストで有名なサウスウエスト航空は10セントだった。
 国内線はまだしも、国際線で競争するのにこの高コスト体質では話にならない。しかも、公的資金を活用する日航が不採算路線を維持し続ければ、これまでの消耗戦を一段と不毛にしてしまう懸念がある。
 全日空も昨年度まで2期連続で最終赤字だ。日航の再建問題もまずは共倒れにならないよう、全日空も含めた体質強化を前提に考える必要がある。政府もまた、懸案である航空機燃料税や空港着陸料など世界的にみて高い公租公課の見直しに早く着手すべきだ。
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「SIMロック解除」は携帯電話会社の自主判断で 総務省、ガイドライン原案を公表
 総務省は26日、携帯電話の端末と通信会社の自由な組み合わせが可能になる「SIMロック解除」についてガイドラインの原案を公表した。2011年4月から、NTTドコモなど携帯電話通信各社の自主的な判断で、SIMロック解除に対応可能な携帯電話端末の使用を可能にする。
 総務省は「少しでもSIMロックを解除した携帯電話が増えることを期待する」(担当課)としている。ただ、日本の携帯電話市場では、各社で通信規格方式や電波周波数帯が異なり、SIMロック解除で携帯電話端末に他社のネットワークをつなぐとこれまで可能だった携帯電話サービスが受けられなくなるなどの課題があり、SIMロック解除が浸透するかどうかは不透明だ。
 今回のガイドラインの対象は、SIMカードを使う情報機器端末。携帯電話に加え、ソフトバンクモバイルが取り扱う米アップル製「iPad(アイパッド)」など多機能情報端末も含まれる。



米マイクロソフト、「Xbox」育ての親が退任
 米マイクロソフト(MS)は25日、ゲームや携帯電話向けの事業を率いた娯楽・機器部門トップのロビー・バック氏が今秋で退任すると発表した。バック氏はMS在籍が22年に上るベテラン。業務用ソフト「オフィス」を手がけたほか、2001年の家庭用ゲーム機「Xbox」発売時にゲーム部門トップを務め、同事業をソニーや任天堂の対抗勢力に育てあげた。
 バック氏はスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の後継者候補と目されたこともあったが、主力の法人向け事業や基本ソフト(OS)部門の業績が復調するなか、担当する一般消費者向けの事業が米グーグルや米アップルの攻勢を前に苦戦。携帯電話向けの新型OS「ウィンドウズフォン7」や、全身を使って感覚的に操作するゲーム機向けの新技術「ナタル」の実用化にメドを付けたところで、部門トップを交代し、新体制で巻き返しを狙う。



都青少年健全育成条例改正案:性的漫画規制、民主が反対方針
 東京都議会民主党は25日、18歳未満として描かれたキャラクターの性的行為を含む漫画やアニメ作品について18歳未満への販売を規制する「東京都青少年健全育成条例改正案」に反対する方針を決めた。6月の定例会で都側に改正案取り下げを求めるが、都側が応じる可能性は低いため、規制を限定的にした独自の修正案提出も検討する。
 改正案は都が3月の定例会で提案したが継続審議になっていた。民主は会派内にプロジェクトチームを設置。出版業界との意見交換や書店の視察をした結果、改正案を疑問視する声が強まっていた。
 独自の修正案は、「あいまい」と批判される規制対象を厳格化するなど、大幅に改変する。
 改正案を巡っては今月、石原慎太郎知事自らが「役人が文章を作るとこういうばかなものになっちゃう」と条文の分かりにくさを批判した。都の改正案は、漫画やアニメで18歳未満として描かれたキャラクターを「非実在青少年」と定義。非実在青少年がかかわる性交などを過度に描いた作品について18歳未満への販売自主規制を求める。このうち強姦(ごうかん)など反社会的な性的行為を描いたものは18歳未満への販売を禁止する。



選挙期間中のHP、ブログ更新OK…与野党合意
 与野党は26日午後、「インターネットを使った選挙運動の解禁についての各党協議会」(座長・桜井充民主党参院政策審議会長)を国会内で開き、禁止されているインターネットのホームページとブログの選挙期間中の更新を、今夏の参院選から解禁する公職選挙法の改正で合意した。
 来週、改正案を与野党共同で提出し、今国会成立を目指す。



事業仕分け生中継が貢献 「ニコ生」「ユーストリーム」のアクセス急増
 ネットレイティングス(東京都渋谷区)が26日発表した今年4月のインターネット利用動向調査によると、ライブ動画配信サービスの「ニコニコ生放送」や「ユーストリーム」の各アクセス数が急伸したことが分かった。両サービスが政府の事業仕分け第二弾を生中継したことも集客増につながったとみられている。
 この調査は、日本国内でパソコンを通じ、ホームページに訪れた集客数をまとめたもの。ニワンゴが提供する「ニコ生」の4月の訪問者数は138万3000人で、前月に比べて10・2%増えた。訪問者の性別では、男性が69%、女性が残り31%だった。
 また、ソフトバンクが出資する「ユーストリーム」の4月の訪問者数は99万2000人。前月比約2倍と大きく集客を伸ばした。性別では男性が78%、女性が22%だった。



KDDI、LISMOや携帯と連携できるセットトップボックス
 KDDIは、固定回線の光ファイバーサービス「auひかり」向けのセットトップボックス「HD-STB」を6月2日より提供する。利用料は月額1365円で、レンタル制。
 今回提供される「HD-STB」は、「auひかり ビデオ・チャンネルサービス」の動画を受信でき、地上/BS/110度CSデジタル放送のチューナーも備えたセットトップボックス。約500GBのHDDを内蔵し、同時に2番組まで録画できる。録画可能時間は最高画質で約40時間、長時間録画画質で約500時間などとなっている。同製品は、モトローラの「VIP2060」がベースになっている。
 モバイル機器向けの機能としては、「mora for LISMO」で配信されている楽曲をUSB経由でauの携帯電話やウォークマンに転送できる機能を搭載。また、「LISMO Video Store」で配信されている動画をauの携帯電話に転送できる機能も用意されている。家庭用のビデオカメラで撮影した動画をauの携帯電話向けに変換して転送することも可能。なお、ビデオ・チャンネルサービスの動画やデジタル放送を録画したデータは、携帯電話に転送できない。



「1Q84」中国本土版発売…初版120万部
 【北京=佐伯聡士】村上春樹氏のベストセラー長編小説「1Q84」中国本土版の発売が始まり、25日に北京で出版社や翻訳者の記者会見が行われた。
 初版の発行部数は120万部で、200万部販売が目標だという。昨年11月には台湾で中国語の「繁体字」版が出版されたが、中国本土で使われている「簡体字」版の出版が中国のファンの間で待望されていた。
 激烈な競争の末に版権を獲得したのは、北京の「新経典文化公司」。韓国では昨年、1Q84の版権代が同国史上最高の約1億円に上ったとして話題になったが、新経典文化公司は25日の会見で、中国本土版の版権代は「答えられない」として明らかにしなかった。
 中国では、「ノルウェイの森」が100万部以上売れるなど、都市部の中産階層を中心に村上氏のファンが多い。作風をまねる「村上チルドレン」と言われる作家も少なくない。



深せんの工場で11人目の自殺 iPodを受託生産
 26日付の中国各紙によると、台湾の大手電子機器メーカー、富士康集団の中国広東省深●(せん=土へんに川)市の工場で25日、19歳の男性工員が宿舎5階から飛び降り自殺した。同工場での飛び降り自殺は今年に入り11件目。
 同社は米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」などの受託生産を実施。深●工場には約42万人の工員がおり、世界最大規模の労働集約型工場といわれている。
 自殺者はほとんどが地方から出稼ぎにきている若者。相次ぐ自殺の背景には厳しい管理体制や、交流する仲間がいないことなどによる心理的ストレスがあるとみられている。



DeNA、学生向けのソーシャルゲーム開発コンテスト開催、モバゲーでの提供も検討
 ディー・エヌ・エー(DeNA)は、学生向けのソーシャルゲーム開発コンテスト「TechStuDIG(テックスタディグ) 2010」を開催する。7月4日に東京、7月11日に大阪で、説明会を実施する。
 「TechStuDIG 2010」は、ソーシャルゲームを企画・開発する学生向けのコンテスト。DeNAの開発者が審査を行い、事前に8人の学生を選出。選ばれた学生は2人1組になり、インターンとして同社で1か月半、ソーシャルゲームの企画・開発を体験できる。
 DeNAは、同社が運営する携帯電話向け総合ポータルサイト「モバゲータウン」の開発環境を開放する。同社の開発陣が、相談者として学生をサポート。学生が開発したゲームは、「モバゲータウン」での提供を検討している。



「デフレの根本、成長力の問題」 4月の日銀会合
 日銀は26日、4月30日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。「デフレの根本的な要因は成長力の問題」であるとし、成長支援のための新貸出制度の検討を始めた舞台裏が明らかになった。制度設計に向けては「金融政策の制約にならないように注意が必要」「個別企業への資金配分に過度に介入しないように工夫が必要」などの意見があった。
 会合では2011年度までの見通しを示した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」もまとめた。先行きのリスク要因として、複数の委員が「我が国を含む他の先進各国でも財政状況が悪化しており、財政リスクの高まりに対して一段と注意深く見ていく必要がある」と発言。先進国の財政健全化の動きが「各国経済の下振れ要因になる可能性」を指摘した。



デル、画面サイズ5型の多機能携帯端末を発売
 【シリコンバレー=岡田信行】米デルは25日、画面サイズが5型の多機能携帯端末「ストリーク」を6月に英国で売り出すと発表した。先行する米アップル「iPad(アイパッド)」の画面サイズが9.7型であるのに対し、小型化して持ち運びしやすくしたほか、画面上部の前面にカメラを装備。iPadにない通話機能も持たせた。米国では今夏発売する。価格は発売前に公表する。
 ストリークは本体サイズが通常のスマートフォン(高機能携帯電話)より大きく、iPadより小さい。ソフトなどを動かす土台となる基本ソフト(OS)に、米グーグルが携帯向けに開発した無償OS「アンドロイド」を採用。頭脳にあたるMPU(超小型演算処理装置)も米クアルコムの携帯向け高性能半導体「スナップドラゴン」を採用した。
 携帯の技術を多用して操作速度や省電力性能を高め、同じく携帯の技術を活用して「iPad」で攻勢をかけるアップルに対抗する。



米グーグル、検索連動型広告の経済効果を試算
 【シリコンバレー=奥平和行】インターネット検索最大手の米グーグルは25日、同社の検索連動型広告などが2009年に米国で540億ドル(約4兆9000億円)の経済効果を生んだとする試算を公表した。ネット広告におけるシェアの高さや無線でやりとりされた個人情報の不適切な収集にからんで同社への批判が上がっており、米経済への貢献を訴えて理解を求める狙いもありそうだ。
 経済効果は検索連動型広告が広告主にもたらした利益、外部サイトへの広告配信の際にサイト運営者に支払った手数料などを合算した。検索連動型広告に関しては「広告主は1ドルの広告費に対して平均8ドルの利益を得ている」との仮定を利用した。
 同社がこのような試算を公表するのは初めて。クレア・ヒュー・ジョンソン副社長は同日公表した自社ブログで「景気回復の足取りが遅いなか、全国の小企業や起業家を支援できて喜ばしい」と述べた。
 グーグルに対しては、ネット広告におけるシェアの高さを懸念する米連邦取引委員会(FTC)が携帯電話向け広告配信会社の買収を巡って調査を進めたほか、欧州などで無線LAN(構内情報通信網)経由でやりとりされた個人情報を不適切に収集したことに関連して当局が懸念を強めている。



「米独占禁止当局、Appleの音楽事業を調査」の報道
 米司法省がAppleのデジタル音楽市場での戦術について調査しており、大手レーベルやインターネット音楽企業から話を聞いている。New York Timesがこの件を知る複数の人物からの情報として伝えている。
 この独禁法調査は初期段階のものだと情報筋はNew York Timesに語っており、聴取はオンライン音楽販売に関する力関係に関連したものという。
 しかしこの調査の説明を受けた人物らは、調査官は、Appleが市場での独占的立場を利用して、リリース前の楽曲をAmazon.comに独占販売させないよう音楽レーベルに求めている疑いについて調べていると話している。
 AppleとAmazonの担当者からコメントは得られていない。
 3月にはBillboard誌が、Amazonがレーベルに対して、特定の楽曲をリリース前日に販売する独占的権利を提供するよう求めていると報じたという。



auの取扱説明書、夏モデルから薄型化
 KDDIと沖縄セルラーは、環境保護のため、2010年夏モデル以降に同梱する取扱説明書の仕様を変更し、従来より薄型化すると同時に、文字サイズの大型化など読みやすさに配慮した変更を行う。
 今回の取り組みでは、取扱説明書の仕様を変更し、メールやカメラ、EZwebなど、ユーザーからの要望が多い機能を中心にした内容とし、全ページをカラーにして文字サイズも大きくするなど、読みやすさやわかりやすさに配慮した説明書にする。2008年秋冬モデルまでの取扱説明書は約450ページで「かんたんマニュアル」(約120ページ)がついていたが、2009年春モデル以降は「かんたんマニュアル」が同梱せず、取扱説明書は約400ページとなっていた。今回の仕様変更で、取扱説明書は約160ページとなる。またオンラインマニュアルとして、従来と同じ仕様の詳細版取扱説明書が用意される。
 あわせて、これまで同梱されていたCD-ROMは、Webサイトからダウンロードできるため、同梱を取り止める。また、電子書籍版の取扱説明書「知らなきゃ損!ケータイのマメ知識」は、EZwebの「auオンラインマニュアル」からダウンロードできるようにする。



巻き取れるディスプレー 有機EL、ソニーが開発
 ソニーは26日、柔軟性が高くペンなどの細い棒に巻き取ることが可能な有機ELディスプレーを開発したと発表した。性能や信頼性の向上を進め、薄く軽く収納性に優れたモバイル機器の実用化を目指す。
 開発したのは4.1インチのフルカラーディスプレー。独自の有機半導体材料を使うことで、直径8ミリの太さに巻いたり伸ばしたりしながら、動画を再生することが可能になった。千回巻き戻しを繰り返しても画質に劣化が無く、耐久性に優れているという。
 米シアトルで27日に開かれるディスプレー関連学会で公表する。



びっくり仰天!時事通信までがTwitterで見出し配信
 いやびっくりした。僕の古巣である時事通信がTwitterでニュース記事の見出しを配信し始めた。一般ネットユーザーにとっては「なにを今さら」という感じかもしれない。しかし内情を知っているだけに、ほんとに驚いた。だって「見出しには著作権があり無料で配信することなどもってのほか」と多くの社員が考えている会社が、である。「個別記事へのリンクは禁止」という時代錯誤もはなはだしいポリシーを、ほんの1、2年前に再確認した会社が、である。サイトを検索エンジンに最適化しようという発想さえない会社が、である。
 僕が辞めた半年の間に何があったのだろう。Twitterの認知がそこまで上がったということか。それとももうそろそろTwitterブームも下火ということなのだろうか。
 多分担当者のKさん辺りが一生懸命根回ししたんだろうなあ。Kさんは僕の机に積んであったIT系の本を片っ端から読んで必死になって時代の流れについていこうとしていたもんなあ。
 ジャンル別にTwitterアカウントが出来ていて便利です。ぜひfollowしてあげてください。http://i.jiji.jp/twitter.html



スペシャルリポート
サムスン強さの秘密 技術・デザイン原動
 韓国サムスン電子の急成長を支えているのが、売上高の10%近くを占める研究開発投資と最先端の流行を追うデザイン力だ。研究開発拠点は最初に工場を設けた水原(スウォン)事業場にあり、デザインセンターはソウル市内の本社にある。
 水原事業場にある研究開発拠点は、工場跡地だけに規模は半端でない。敷地面積は172万平方メートル。東京ドーム37個分だ。そこに先端技術開発を担う「通信研究所」や「デジタル研究所」の高層ビルが並ぶ。
東洋一の規模を誇る研究部門が入るサムスン電子の水原事業場
 5000人が働く通信研究所の床面積は13万2700平方メートル。35階建てのデジタル研究所は21万4500平方メートルもあり、9000人を収容。水原事業場で働く社員は全体で2万5000人に上り、研究開発拠点としては東洋一の規模を誇るという。
 デザインセンターはソウル市内の瑞草(ソチョ)区にそびえる43階建ての本社ビルの中にある。李健熙(イ・ゴンヒ)会長は在庫の山を見て1993年に「新経営」を発表、品質重視への方向転換を宣言した。それを機にデザインにも力を入れた。
デザイナー900人
 創業時には2人だったデザイナーを94年には100人にし、2005年には510人まで増やした。現在は900人を超え、ロンドン、ミラノ、ロサンゼルス、東京、上海、デリーの海外6拠点にもそれぞれデザイナーを配置している。
 サムスンは2年周期でデザインを見直している。最初の1年で流行を分析して商品戦略を立案、2年目には新しいデザインをつくる。「海外の最新情報を入手する意味でも海外デザイナーの存在は重要」と尹智弘(ユン・ヂホン)デザイン戦略チーム長は語る。
 特筆すべきは「デザインパワープログラム」と呼ぶ海外研修制度だ。デザイナーが半年かけて海外を回り、最新情報を吸収する制度で、毎年12人ほどが派遣されている。
 若手デザイナーや学生を育てる「デザインメンバーシッププログラム」も93年から導入している。デザインセンターで一緒に仕事をしたり、海外で研修したりして、将来のデザイナーを育成するという制度だ。
 3次元(3D)技術など最新ソフトの導入にも余念がない。新技術を使い、デザインから商品化までの開発期間を4割短縮。デザイン情報をマーケティングのデータ分析にも活用している。
 こうした活動により、英インターブランド社の調査ではサムスンのブランド価値は175億ドルと、世界19位となった。02年の34位に比べ、10年弱で大幅にブランド力を高めたことになる。
 世界の家電市場における日本メーカーの地位低下が指摘されて久しい。技術力に甘んじることなく、人材やデザインの面でも世界の一流を狙うサムスンの経営戦略は、日本企業にとっても学ぶべき点は多い。



【産経主張】米対北政策見直し 中国に責任の共有求めよ
 韓国哨戒艦沈没事件を受けて、オバマ米大統領は米韓軍事連携の強化や独自制裁の検討を含む対北朝鮮政策の抜本的見直しを決めた。
 クリントン国務長官もこの決定を北京での米中戦略・経済対話を通じて中国側に伝え、日米韓と協調して北に厳しく対処するよう申し入れた。
 北の暴走を封じるにはスピードが肝要だ。オバマ大統領は韓国政府が24日示した対応策に直ちに呼応した。北朝鮮は自らの非を認めないばかりか、逆に緊張を高める言動を繰り返しており、見直しは当然である。日米韓がさらに結束して中国を説得し、対応を加速させていきたい。
 オバマ政権が対北政策を見直すのは初めてだ。北の攻撃など不測の事態に備えた米韓両軍の即応・抑止態勢の徹底、海上封鎖を想定した合同演習などに加えて、独自の金融制裁の拡大も含まれる。日本人拉致問題と絡めて、日本などが求める対テロ支援国家の再指定も検討対象にするという。
 これまでは政府特使らを通じて6カ国協議の再開に向けた説得外交を対北政策の柱としてきた。だが、今回は韓国艦を狙った周到な軍事攻撃で、死者46人を出した。昨年の核、ミサイル実験とは異質な段階へエスカレートしたという重大認識がうかがえる。
 訪日、訪中に続いて26日訪韓するクリントン長官も「いわれなき攻撃や挑発に報いを受けさせることが必要」と強調した。停戦協定や国際法の精神を踏みにじる北の行動を見過ごさず、厳しい懲罰を与えることが不可欠だ。
 だが、その障害となりかねないのは、中国が対北制裁に慎重な姿勢に終始していることだ。今回の米中対話でも、中国外務省は「朝鮮半島の緊張を高めないように各国が冷静、適切に処理すべきだ」とし、オバマ政権との落差を見せたのは極めて遺憾である。
 中国は北への経済的影響力に加え、6カ国協議議長国、国連安保理常任理事国という重い責任がある。半島の緊張を解くには、北に実効ある制裁を加えて国際社会のルールを守らせることが先決だ。中国はそのための責任を共有し、果たさなければならない。
 近く中韓、日中韓、日中の首脳会談が続く。協議に直接参加しない米国に代わって、日韓が中国を強く説得すべき重要な場だ。鳩山由紀夫首相もその責務を痛感し、成果を上げてほしい。
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(*゜Д゜*)新聞

通信各社、iPadで回線争奪戦 料金下げや新型接続器
 28日に発売される米アップルの「iPad(アイパッド)」など多機能携帯端末を巡り、通信各社の回線争奪戦が激化している。NTTドコモとNTT東日本が新型モバイル無線LANルーター(ネット接続器)を6月に提供開始。イー・モバイルは「ポケットWiFi」の通信料を下げる。ソフトバンクがiPadやiPhone(アイフォーン)など携帯通信機能を搭載したアップル製携帯端末を事実上独占販売することに対抗する。
 NTTドコモは新型モバイルルーターを使ったデータ通信サービスを6月下旬から始める。ルーターはバッファローなどが開発し、家電量販店やドコモの販売店で販売する。ルーターはポケットやかばんに入れて持ち運びができ、屋外でドコモの携帯通信網や公衆無線LANにつないで、インターネットを楽しめる。
 ドコモはiPad向けに自社の携帯通信網を提供することを目指していた。しかしアップルは携帯通信型iPadの販売契約をソフトバンクとだけ結んだため、無線LAN接続型のiPad需要の取り込みに戦略を転換。急きょ無線ルーターの投入を決めた。通信各社の中で比較的良好といわれるドコモの通信網を武器に巻き返しを狙う。
 NTT東日本も光ファイバー回線「フレッツ光」の契約者向けに6月下旬からモバイルルーターのレンタルを月315円で始めるほか、公衆無線LANの利用料金を業界最安値の210円に引き下げると発表した。
 ルーターはドコモやソフトバンク、イー・モバイルなどの携帯通信網、公衆無線LAN、光回線などを自由に選んで使えるのが特徴。iPadだけでなくスマートフォンや携帯ゲーム機、モバイルパソコンなど複数の端末を同時に接続できる。光回線の契約拡大にもつながるとみて、既存の営業拠点網も活用する。
 イー・モバイルも同社の小型無線ルーター「ポケットWiFi」などのデータ通信端末を8月末までに新規に購入した顧客を対象に、月額基本料を最大13カ月間、1000円引きの3980円にすると発表した。



携帯各社、2台目需要に期待 料金競争過熱も
 携帯各社が無線LANルーターの販売に力を入れるのは、音声通話収入の減少をデータ通信収入の増加で補いたいとの狙いからだ。携帯各社の音声通話収入はソフトバンクの新規参入などによる料金競争激化で年々減少傾向にある。通話時間も若干ながら減少しており、今後も大幅な増加は見込めそうにない。
 代わりにデータ通信の利用を促して契約当たり月間平均収入(ARPU)の底上げを図る。好調なのはソフトバンク。データ通信の利用が多いiPhone(アイフォーン)の契約者を順調に伸ばし、2010年1~3月期のARPUはデータ通信が音声を上回った。孫正義社長は「おそらく世界で初めて」と胸を張る。iPadの国内販売権も獲得し、さらなる収益向上につなげる考え。
 一方でNTTドコモもスマートフォン(高機能携帯電話)や今回の無線LANルーター投入などでデータ通信の利用促進を急ぐ。ソフトバンクに続き、10年度中にデータ通信のARPUが音声を上回る計画だ。



「大相撲」が休刊
 読売新聞社は25日、隔月で発売していた月刊誌「大相撲」を8月24日発売の9月号で休刊すると発表した。同社によると、「大相撲」は1954年に「読売スポーツ」の臨時増刊号として創刊、58年から定期刊行されていた。スポーツとメディアの多様化が進む流れを受け休刊するという。
 



NECカシオ、携帯電話12年度に1200万台目標 北米市場開拓
 5月1日に発足したNECカシオモバイルコミュニケーションズは25日、携帯電話の世界出荷台数を2012年度までに09年度比1.6倍の1200万台に引き上げると発表した。旧カシオ日立モバイルコミュニケーションズが展開する北米市場を拡大するとともに、国内市場もテコ入れし「トップのシャープに挑む」(山崎耕司社長)。
 同社はNECの携帯電話部門とカシオ日立モバイルが統合して発足。09年度シェアを合算すると約15%で、首位のシャープを追撃する2位グループとなる。
 NEC出身の山崎社長は「12年度の1200万台のうち400万台は海外で稼ぎたい」と表明。旧カシオ日立は米携帯電話会社2強のうち、ベライゾンワイヤレスに端末を納入している。同事業を拡大すると同時に、2強の一角であるAT&Tにも納入ルートを築きたい考え。
 また国内では10年度中に高機能携帯(スマートフォン)を投入することも明らかにした。NECが得意とするクラウド(ネット経由での情報サービス利用)を活用し、携帯電話内の情報をネットに保存したり、パソコンからネット経由で携帯の中身を操作したりするなどの双方向サービスを提供する方針だ。
 来年以降の携帯電話新モデルでは「部品調達や開発基盤の統合を進め、原価と開発コストを引き下げて競争力をつける」(山崎社長)方針だ。



東電が「公衆電源」事業開始へ
 屋外でパソコンや携帯電話をつないで充電する「公衆電源サービス」の事業化について東京電力が早ければ平成22年度中にも乗り出すことが分かった。どの程度の需要があるかの調査を始めており、今後、具体的な事業内容を詰める方向だ。
 東電は、電源供給用スタンド「espot(エスポット)」を東京・日比谷の公共スペース「日比谷パティオ」の休憩所内に4機設置。三井不動産の協力を得て、4月28日から試験的に電源供給サービスを進めている。本体のQRコードを読み取り、携帯電話端末から利用を申し込めば、無料で手持ちの携帯やパソコンに充電できる仕組みだ。
 電源には自然エネルギーを使用し、これまで企業しか購入できなかった「グリーン電力」を個人でも使えるようになっている。
 東電が事業化の検討に入ったのはノートパソコンなどの屋外利用の増加に伴って、予備のバッテリーを持ち歩くなど不便を感じる人が多いためだ。
 バッテリー切れのパソコンを利用するため、飲食店での無断充電問題も浮上しているほか、将来の電動アシスト自転車の普及や電動スクーターの利用者増も視野に入れている。
 千葉県柏市のつくばエクスプレス・柏の葉キャンパス駅周辺にもエスポットを設置、郊外での実験も着手している。利用時間による料金や方法、設置個所や台数を検討したうえで、有料の公共電源スポットがお目見えしそうだ。



1000万台市場が突如出現、「iPad」に沸き立つディスプレイ業界
 ディスプレイ産業の閉塞感を打破する新しい“成長ドライバ”として,にわかに大きな期待を集めている市場がタブレット端末だ。ディスプレイ関連最大の国際会議「SID 2010」の2日目に開催された「Business Conference」では,タブレット端末に関するセッションが開かれ,米DisplaySearch社がその市場予測を発表した。
 タブレット端末に対するディスプレイ業界の関心は,米Apple社の「iPad」の登場によって一変した。これまでにも,1990年ごろから様々なタブレット端末が製品化されてきたが,ディスプレイ市場に大きな影響を与えるまでに至ることはなかった。2000年代に入り,専用OS「Windows XP Tablet PC Edition」の発売などタブレット・パソコン(PC)市場を活性化させる出来事もあったが,その市場はわずか100万~200万台の規模で推移している。
 ところが,2010年4月に発売されたiPadが状況をがらりと変えた。「当初,iPadが最初の1カ月で100万台の市場規模になると考える人はほとんどいなかった」と,米DisplaySearch社のDirector, Notebook Market ResearchのJohn Jacobs氏はBusiness Conferenceのタブレット端末セッションで語った。しかし,「実際には最初の1カ月で100万台市場となり,2010年内に1000万台市場となる見通しだ」(同氏)と言う。
 さらに,2010年下期以降には,Apple社以外の複数の会社から「Slate PC」(Slateとは,昔,子どもがノートの代わりに使用していた石板のこと)と呼ばれるタブレット端末が次々に製品化される予定であるという。DisplaySearch社はSlate PCの市場規模について,「2011年には1000万台に迫り,2013年には1200万台を超える」と予測している。ただ,iPadやSlate PCの台頭により,「既存の小型ノートPCや電子書籍端末,携帯型ゲーム機の市場成長がいくらか影響を受ける可能性がある」と,Jacobs氏は指摘した。



漫画家1421人、出版社10社“反対” 都の青少年健全育成条例案
 子供を性的対象にした過激な漫画やアニメなどを規制する東京都の青少年健全育成条例の改正案で、改正案に反対する漫画家1421人と出版社10社が25日、連名で反対声明を出した。漫画家には、藤子不二雄Aさんやちばてつやさん、萩尾望都さんなど多くの著名漫画家が名を連ねた。
 声明は改正案を「表現の自由を損ね、漫画文化の衰退をもたらす」と非難。改正案で服装や背景などから18歳未満と判断できるキャラクターを非実在青少年との造語で規定することにも「定義が明確でなく恣意的な判断を残し、(表現の)萎縮的効果をもたらす」とした。



ソニー、部品売買を一括管理 LEDなど安定調達へ新組織
 ソニーは製品に使用する電子部品の売買業務を一括管理する専門部署を設立した。液晶テレビなど売れ筋商品向け部品の需給が世界的に逼迫(ひっぱく)しており、部品不足で製品生産が滞る事態も起きている。大量購入で調達を安定させ、製品生産を委託する外部の受託製造サービス(EMS)会社などにまとめて優先的に供給する体制を整える。
 このほど設立したのは「グローバルバイ&セルセンター」。まず液晶パネルなどテレビ用の部品から始める。将来はデジカメなどテレビ以外の製品や、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が手掛けるゲーム関連用部品にも拡大する。
 これまで部品の売買は、自社工場やEMSなどと部品会社が直接取引したり、専門商社や現地代理店が仲介したりするなど複雑だった。コスト削減を目的に製品間で部品の共有化も進んでいるため、ある部品の需給が引き締まると社内で同じ部品の需要が急増して売れ筋製品が作れなくなる懸念も出ていた。
 調達した部品をEMSに販売する際、一定の利ざやを取る仕組みも設ける。大量発注するためソニーの購入単価がEMSの単価より安いケースもある。そうした時には一定の価格を上乗せしてEMSに販売し、全体の製造原価引き下げにつなげる。同じEMSが複数のソニー製品を手掛ける場合、製品ごとに分かれていた部品の物流業務をまとめてコストを下げる。
 足元では世界的な液晶テレビの需要拡大で、LED(発光ダイオード)素子や導光板など幅広い部材の需給が逼迫している。このため、ソニーやパナソニックなどが、バックライトにLEDを使用する液晶テレビの新製品発売を遅らせた。



インテル・グーグルなど米IT大手が雇用拡大、研究開発など拡充
 【シリコンバレー=奥平和行】米国のIT(情報技術)大手がグローバルに雇用を拡大し始めた。半導体最大手のインテルは2010年に最大2000人を新規雇用する計画。インターネット検索最大手のグーグルは今年3月までの半年間で約1000人増員した。アジアにおけるIT製品の需要拡大などを追い風に、世界各地で研究開発や販売を担う人材を厚くして将来の成長につなげる。
 インテルは業績の落ち込みに対応して06年から人員削減を実施。09年末には06年初めより2割強少ない8万人弱まで絞り込んだ。業績回復を追い風に10年からは採用増に転じ、世界各地の研究開発や生産部門などに配置する。
 グーグルは新たに雇用した人材を技術部門と営業部門に配置した。同社も09年9月までの9カ月間で約500人の従業員を減らしたが、「当社は多くの新たな事業計画を抱えており、技術者の増強に引き続き取り組む」(パトリック・ピシェット最高財務責任者)として雇用拡大に転じる。
 ネットワーク機器最大手のシスコシステムズは4月までの3カ月間に約1000人を新規採用したほか、今後数四半期の間に1000~2000人を新規採用する計画だ。新たに採用した人材は主に販売部門に配置して新興国市場などにおける事業強化につなげる。
 各社が雇用拡大にかじを切る背景にはアジアにおけるIT製品の需要拡大や国内市場の回復で、業績が持ち直していることがある。マイクロソフトやインテルなどIT大手8社の1~3月期の純利益(合計)は前年同期比69%増え、金融危機前の水準を上回った。先行きについても強気な見方が相次いでいる。



中国で大型鉄鋼再編 鞍本など3社統合、世界2位に
原料の価格交渉力強化
 【北京=多部田俊輔】中国鉄鋼4位で世界6位の鞍本鋼鉄集団(遼寧省)が中国中堅2社と経営統合する。2009年の粗鋼生産量は4500万トン規模となり、世界最大手のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次ぐ世界2位に躍り出る。粗鋼生産量で新日本製鉄を6割以上上回る鉄鋼会社が中国に3社できることになり、中国勢は世界資源大手との原料価格交渉での発言力向上を狙う。
 鞍本鋼鉄集団の中核上場会社、鞍鋼が25日、中国の国有企業を統括する国務院国有資産監督管理委員会から四川省の鉄鋼中堅、攀鋼集団(四川省)との経営統合の認可を取得したと発表した。また、北台鋼鉄集団(遼寧省)ともこのほど合併することで基本合意した。
 鞍本鋼鉄は鞍山鋼鉄集団と本渓鋼鉄集団が05年に経営統合して発足した。09年の粗鋼生産量は2930万トンで、年産能力は4300万トン。鞍山鋼鉄は戦前に南満州鉄道の出資で設立した鞍山製鉄所が母体で、独フォルクスワーゲンの中国工場に鋼板を供給するなど技術に定評がある。
 鞍本鋼鉄が経営統合で規模拡大を急ぐのは、ブラジルのヴァーレなど世界資源大手との鉄鉱石交渉で劣勢に回っているためだ。09年の鉄鉱石交渉は妥結できずに、日本と資源大手が合意した価格を暫定的に用いた。10年の交渉でも09年比で2倍近い価格の提示を受けて、交渉が難航している。
 「資源会社に比べ鉄鋼会社の数は多すぎる。合従連衡を進めて大規模メーカーをつくりだし、対外的な発言力を高めていきたい」。中国の経済政策のかじ取りをする国家発展改革委員会幹部は説明する。中国鉄鋼大手幹部も「現在の鉄鉱石交渉は劣勢で屈辱的。規模拡大で巻き返したい」と力を込める。
 中国には鉄鋼メーカーが約500社乱立しており、中国政府は年産5000万トン級の大手6~7社をつくり出す構想だ。経営統合を契機に温暖化ガスの排出量が多い旧型設備を廃棄して新鋭設備の建設を認める方針を示し、メーカー間の合従連衡を促している。







ものづくり進化論
これから先、日本で何をつくるか
 日産自動車の新型「マーチ」は、量産拠点の新興国への移管を象徴する製品かもしれない。量産拠点を先進国から新興国に全面的に移管し、そこから全世界に供給する体制に切り替えた。具体的には、2010年3月にタイ工場で新型マーチの量産を開始。インド、中国、メキシコの各工場でも量産の準備が着々と進む。これまで量産を手掛けてきた国内工場(神奈川県の追浜工場)と英国工場では、もう造らない。日本市場向けモデルは、タイで造り、そこから日本に送る。
 新型マーチは現地で調達しやすいように、あえてグレードを抑えた材料を使うなど、低コスト化を図っている。新興国を含めた全世界向けに、小型車としての最適な品質を最適なコストで実現する試みとみられる。日本市場向けの製品は、特別な品質検査ラインを通し、国内であらためて検査するという。
 日本のメーカーが国内から海外に量産拠点を移す動きが頻繁に見られる。日本で量産した製品を海外に輸出して利益を得る、という従来のやり方が通用しなくなりつつあるためだ。しかし、「何もかも海外に出ていったのでは、日本は根なし草になってしまう」(韓国サムスン電子の元常務で、東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員の吉川良三氏)。
 国内工場は、海外工場とどのようにすみ分けるべきか。吉川氏は「新興国向けの製品は、現地で部品を調達して現地で造るべきだが、設計開発から試作までは必ず日本が担うべきだ」と、1つの針路を示す。
 言いかえれば、“もの”ではなく“価値”(「日経ものづくり」2010年5月号特集「日本でつくる」から)。顧客が求めているのはものに込められた機能であり、ものづくりとは顧客が要求する価値を創造し、価値を実現する機能を開発し、機能をものに盛り込む方法を確立することなどから成り立っている。研究開発によるイノベーションの実現、先行開発と試作による製品としての具現化、量産試作による生産技術の確立――。こうした工程にこれまで以上に貢献することが、国内工場の存在意義になる。
 価値の基となるのは社会的ニーズと文化的ニーズだ。そして、これらの両方が存在する点で日本以上に有利な国はほとんど見当たらない。幸か不幸か日本は「課題先進国」である。日本はもともと資源が乏しく、農産物の自給率も低い。高齢化を世界に先駆けて迎え、人口減少まで始まってしまった。これらの問題を解決する案は、いずれ全世界で必要とされるはずだ。
日本独自の価値を製品に盛り込むことで差異化を実現する
 例えば、資源の乏しい国だったからこそ発展した省エネルギー機能。以前なら他国では過剰品質だったかもしれないが、環境意識の高まりや、石油などの資源価格の高騰によって、日本以外でも省エネ機能を求める機運が強まっている。日本メーカーが強いハイブリッド車などは、その代表格といえるだろう。超高齢化社会を目前に控え、新たな医療機器のニーズが生まれ始めている。「日本で成功する製品は、世界でも必ず成功する」(米ゼネラル・エレクトリックのヘルスケア部門の日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン取締役副社長の川上潤氏)という声すらある。
 一方、日本独特の文化的ニーズから生まれた製品の例としては、温水洗浄便座がある。過剰品質になりかねないほど利便性を追求する文化もうまく方向付ければ価値作りの有力な武器になる。
 ここで気になるのが、日本独特の価値にこだわりすぎる結果、世界から浮き上がったものをつくってしまう「ガラパゴス化」だ。代表例の携帯電話は日本の規格にこだわったため世界で出遅れた。新興国向けの製品に不必要に高度な機能を詰め込んだ「過剰品質」も、ガラパゴス化の一種と説明されることが多い。しかし、ガラパゴス化からの脱却を目指そうとするあまりに、他国と同じようなものばかりを造っていては、高品質なものづくりをこなすという日本が特色とすべき強みがなくなってしまう恐れがある。
 東大の吉川氏によれば、新興国の市場などで強みを誇る韓国メーカーが傾注しているのは比較的所得の低い消費者層であり、その上にあたる中間所得層に対する食い込みはやや弱いという。ボリュームゾーンでは低価格な製品でなければ売れず、基本的機能以外の部分に価値を認めてもらえないが、中間所得層では文化的な価値をある程度認めてもらえるだろう。ここに日本が生き残る余地がある。
 中間所得層の市場を取ったときに、売り上げや利益の規模では低所得者層での勝者となる企業に及ばない可能性はある。それでも、中間所得層も低所得者層もどちらも失うよりはましだろう。問題は低所得者層で勝てる確率と、中間所得層で勝てる確率のどちらを取るかにかかってくる。それはとりもなおさず、海外メーカーと同じ土俵で勝負するのか、日本独特のニーズを背景にした土俵で勝負するのかの比較でもある。
 この議論は、何も新しいものではない。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は今から100年以上前の1895年4月、「日本が品物の安いことのみに頼るなんて、そんな理由はどこにもないじゃないか。わたしなんかの考えでは、日本という国は、むしろ、技術と趣味のすぐれている点、そこを足がかりにした方が無難だと思うね」(ラフカディオ・ハーン著、平井呈一訳、岩波文庫「心―日本の内面生活の暗示と影響」)と書き残した。
 日本独特のニーズで勝負するか、海外と同化して勝負するかの試行錯誤の始まりは、日本が開国を迫られた時期にまでさかのぼる。日本で何をつくるべきかを探ることは、長期的に見ていく必要があるのではないだろうか。



携帯制限解除 囲い込み商法からの転換を(5月26日付・読売社説)
 1台の携帯電話の端末で、複数の通信会社を自由に乗り換えられるようにしてほしい――。利用者のこんな希望がかなう見通しになった。
 現状では、契約する通信会社を変更する場合、携帯電話機も変える必要があるが、総務省がそうした制限を解消させる方針を示している。6月中にも具体的な指針をまとめるという。
 制限を解除した場合、海外の携帯電話機メーカーとの激しい競争にさらされようが、魅力的な端末の開発や通信料の値下げを実現するきっかけとすべきである。
 携帯電話の端末には、電話番号などの契約者情報が記録されたSIM(シム)カードが埋め込まれている。通信会社は、これに「SIMロック」と呼ばれる制限をかけ、他社の通信サービスが利用できないように設定している。
 総務省が検討しているのは、欧米のように契約から一定の期間が過ぎれば、カードを差し替えて、どの端末でも自由に利用できるようにする仕組みだ。
 現行モデルでは、解除に踏み切っても、大手3社で相互に使えるようになるのは、NTTドコモとソフトバンクだけで、それもメールなどには対応できない。
 こうしたことから、制限解除は消費者のメリットにつながらないとする慎重論もある。
 しかし、より多くの情報を高速度で伝える次世代型の端末に移行する数年後には、自由な乗り換えが可能になるだろう。今からそれに対応しておく必要がある。
 制限解除は、通信会社とメーカーが一体となって端末からサービスまで囲い込んできた日本のケータイ商法を、大きく転換させる可能性をはらんでいる。
 通信会社は、東芝やシャープなどの電機メーカーが製造した端末を買い上げ、販売店に奨励金を支払うことで端末を安く販売し、その分を通信料に上乗せしてきた。乗り換え制限がなくなれば、こうした手法は使えない。
 成熟期に入った携帯市場に向ける消費者の目は一段と肥えている。スマートフォンと呼ばれる高機能端末が人気を集めていることが、それを裏付けている。
 日本の携帯業界は、優れた商品を開発しながら、海外市場に背を向け、「ガラパゴス化」と指摘されてきた。
 メーカーは開発力を磨いて海外に販路を広げ、通信会社はサービス内容を競う。制限解除を足がかりに、官民双方で携帯ビジネスの総合戦略を練るべきである。
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ヾ(゜Д゜)ノ"新聞

「PSP2」はダウンロード専用のスマートフォンに SCEのMichael氏が発言
 SCEオーストラリアのマネージングディレクターを務めるMichael Ephraim氏がGametpotのインタビューに登場、E3で発表予定ともまことしやかに噂されるPSPの後継機について言及し、後継機がUMDドライブを用いないデジタル流通のみを利用するデバイスとなり、スマートフォンの様な物に”なるかもしれない”事を明かした。
 また、Ephraim氏はインタビューでPSPGoが将来への道を切り開いたと述べ、これから登場する様々な携帯コンソールがスマートフォン市場と直接競合する事になると、今後の市場の動向について示唆した。なお、気になる発表や登場時期に関する発言は見られなかったが、近いうちにプロモーション展開も始められる事が示唆した。
 PSP2がCellのQuadコアで動作しタッチスクリーンを有し、3G通信機能を持つなど、様々な憶測が飛び交っているPSP2の事前情報だが、SCEのMichael Ephraim氏による今回の発言で、E3に向けてさらなる盛り上がりを見せる事になりそうだ。
 また、今年2月にはアースワーム・ジムを手掛けたShiny EntertainmentのDavid Perry氏がPSP2がUMDドライブを全て廃する事になるとTwitしていた。



Apple、WWDCでのスティーブ・ジョブズCEO登壇を正式発表
 米Appleは5月24日(現地時間)、6月7~11日にサンフランシスコで開催の年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」の基調講演を同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏が行うと正式に発表した。基調講演は7日午前10時(日本時間の8日午前2時)に開始する。
 Appleによると、WWDCのチケットは過去最短の8日間で売り切れ、5000人以上の開発者が参加するという。
 今年は、iPad、iPhone OS 4、Mac OS Xなどに関する100以上のセッションを提供する予定。Appleは4月8日にiPhone向け次期OS「iPhone OS 4」を発表しており、また例年iPhoneの新モデルの発表をWWDCで行っていることから、今年のWWDCでも次期iPhoneを発表するとの期待が高まっている。



見えてきた新型iPhone登場の“前兆”
 Appleが6月7日に開発者会議WWDCでiPhone新モデルを発表するとうわさされているが、その予兆が見えている。Wal-Martでは5月25日から既存モデルのiPhone 3GS(16Gバイト)を半額の97ドルで販売することを明らかにしており、新モデル発売前の在庫処分の可能性がある。
 また、Appleが1世代前のモデルであるiPhone 3GのAT&Tショップへの出荷を停止したとも伝えられている。英国やオーストラリアでも同モデルを注文できなくなっているようだ。これを受け、iPhone 3Gの販売が終了するのではないかとの憶測が流れている。同モデルは近くリリースのiPhone OS 4.0の機能の一部をサポートしていないため、販売終了となっても意外ではない。
 新型iPhoneはApple独自設計のプロセッサを搭載し、解像度が縦横2倍でカメラを搭載するとうわさされている。



イー・モバイル、2年契約で料金を安くする「にねん得割」を提供
 イー・モバイルが5月25日、契約種別「ベーシック」のユーザー向けに新たな割引サービス「にねん得割」を導入すると発表した。6月24日から提供する。
 にねん得割は、ベーシックプランの利用者が、2年間の継続利用を約束することで、基本使用料の割り引きが受けられるサービス。対象となる料金プランはデータプラン、スーパーライトデータプラン、データプラン21、スーパーライトデータプラン21。
 ベーシックプランには、これまで1年間の継続利用によって基本料金を割引する「年とく割」「年とく割2」といった割引サービスが用意されていたが、新たに2年間の利用期間と、9975円というより高い契約解除料を設定することで、基本料金のさらなる値下げを実現した。にねん得割を適用すると、データプランは月額4280円、スーパーライトデータプランなら、月額料金は280円~4680円になる。データプラン21は5280円、スーパーライトデータプラン21なら月額280円~5680円。



東京株終値298円安の9459円 半年ぶり9500円割れ
 欧州危機による日本株の下げが止まらない。25日の東京株式市場は、午後に入って、さらに下げを強め、日経平均株価の終値は前日比298円51銭安の9459円89銭となり、昨年11月30日以来半年ぶりに終値で9500円割り込んだ。下落は5営業日連続で、3営業日連続で年初来安値を更新した。中国などアジアの株式市場も軒並み下落し、株安が連鎖している。
 東証1部の全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)の終値は20・19ポイント安の859・82。
 この日の東京市場では、前日のニューヨーク市場が3カ月半ぶりの安値水準となったことを受け、100円以上の値下がりでスタート。外国為替市場の円高ユーロ安傾向が続いていることから、採算悪化懸念で欧州での売上高比率が高い精密機器株や電機株などが大きく値下がりした。
 さらにスペインの中央銀行が経営難に陥った地方銀行救済に乗り出したことで金融システムへの不安が広がり、銀行株も売り込まれた。午後に入ると、アジア市場が軒並み下落して始まり、下げ幅がさらに広がり、一時は326円安の9432円まで下げた。
 市場では「世界景気に対する先行き不透明感が広がっており、特に外需依存の日本経済の足腰の弱さが意識されている」(アナリスト)との指摘が出ている。また、「投資家心理の冷え込みで割安感による下値への買いも限定的にとどまっている」(別のアナリスト)という。



緊急特集
日本株、朝鮮半島情勢が新たな重荷に(10/5/25)
 25日の東京株式市場では日経平均株価が後場入り後に一段安となった。終値は心理的な節目である9500円を割り込み、298円51銭安の9459円89銭。下げ幅は取引時間中300円を超える場面もあった。欧州の金融機関への不安再燃がベースにあるが、朝鮮半島情勢の緊迫化も売り材料になった。
 韓国の哨戒艦沈没事件に端を発した朝鮮半島情勢は、ここにきて一段と緊迫の度を強めている。25日も午前中から朝鮮半島情勢をめぐる関係国の動きが活発化。昼休み時間中には韓国メディアなどによる「北朝鮮の金正日総書記が軍に対し戦闘準備に入るよう命令した」との情報が転電され、午後の日本株を押し下げた。
 韓国株式市場では指標となる韓国総合株価指数(KOSPI)が下げ幅を広げ、下落幅は一時4%を超えた。
 みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジストは「戦闘準備報道は北朝鮮特有の瀬戸際外交ともとれるが、韓国側によると沈没原因が北朝鮮製魚雷と結論づけられており、過去の緊張状態よりも情勢は深刻ではないか」と話す。
 北朝鮮に対する制裁の強化などによる物理的な影響は小さいとみられるが、情勢の先行きが不透明なだけに心理的な影響はありそう。
 リスク資産を回避する動きが一段と強まり、国内債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが1.21%まで低下した。
 日本では、韓国ウォンの相場を注視する向きもある。ウォンが下落すれば、結果的に韓国企業の輸出競争力が増し、電機など日本の輸出企業の相対的競争力にも影響しかねないためだ。



【サッカー日本代表】日韓戦の視聴率は17・9%
 24日夜にテレビ朝日系で中継されたサッカーのキリンチャレンジカップ2010、日本対韓国戦の平均世帯視聴率が関東地区で17・9%、関西地区で13・8%だったことが25日、ビデオリサーチの調べで分かった。
 日韓戦はワールドカップ前の国内での最終壮行試合として行われ、日本は前半6分に失点、後半ロスタイムにもPKを与え、0-2で敗れた。



【サッカー日本代表】「日本撃沈」「日本沈没」 韓国スポーツ各紙1面飾る
 【ソウル=水沼啓子】埼玉スタジアムで24日行われたワールドカップ(W杯)南アフリカ大会壮行試合の日韓戦で、日本代表に2-0で完勝した韓国では、25日のスポーツ各紙が1面に日韓戦の写真を大きく掲げ、「日本撃沈」「日本沈没」などの見出しとともに大々的に報じた。
 宿敵日本戦とあって韓国での注目度は試合前から高く、聯合ニュースによると24日夜、韓国「KBS2」の生中継の視聴率は25・3%。最高視聴率は、後半ロスタイムに朴主永がPKを決めた瞬間で37・2%だった。
 スポーツ各紙は、日韓戦での韓国代表チームを詳細に分析する記事が目立ち、日韓戦でけがから復帰し、ワントップに起用された朴主永を称賛。「朴主永、初のワントップで完璧(かんぺき)成功」「ツートップでないときはいつでもワントップにすることができる自信を得た」(スポーツ朝鮮)などと報じた。
 一方、日韓戦の勝敗を分析した「スポーツ東亜」によると、これまで72回行われた日韓戦で、韓国は40勝12敗20引き分け。このうち先制ゴールを決めた11試合では7勝4引き分けで、1度も負けていない。「日韓戦の勝利は先制ゴールによると言っても過言ではない」とした上で、W杯でも「先決条件」とし、重要な鍵を握るとしている。



地デジ普及率、80%突破 エコポイント貢献、政府目標上回る 
 総務省が25日発表した今年3月時点での地上デジタルテレビ放送の世帯普及率(速報値)は83・8%となり、初めて8割を突破した。同時点での目標である81・6%も上回った。エコポイント制度で、地デジ対応の薄型テレビの販売が大きく伸びたことが貢献した。
 昨年9月時点の前回調査の69・5%から、半年で大幅に上昇した。前回は目標の72・0%を下回っていたが、今回は一転して目標を上回る結果になった。
 3月時点での47都道府県別の世帯普及率では、トップ3が(1)富山県(88・8%)(2)埼玉県(88・4%)(3)岐阜県(88・3%)で、9割に迫った。
 一方、ワースト3は(1)沖縄県(65・9%)(2)岩手県(66・7%)(3)長崎県(72・9%)の順となり、離島や山間地域をかかえる地方での普及の遅れが目立った。
 逆に、大都市圏は全国平均より普及率が高い傾向が出た。首都圏の1都3県は全国2位の埼玉県のほか、千葉県が6位の86・7%、神奈川県が85・1%、東京都が84・5%といずれも全国平均を上回った。このほか、大阪府が85・4%、愛知県が84・3%と普及率は平均より高い。
 原口一博総務相は同日の閣議後会見で、今回の調査結果について「計画目標を上回るうれしい結果だが、都市部の一部のビル陰や離島・山間地域で普及に課題もある。来年7月の地デジ完全移行へ、対策に全力を挙げたい」と話した。



Twitterがタイムライン内広告を禁止 つあどなど広告サービスに影響
 Twitterは5月25日、サードパーティーがタイムラインに宣伝ツイートを表示することを禁止すると発表した。プラットフォームの長期的な健全性を保つためとしている。
 Twitterが先に立ち上げた「Promoted Tweets」による広告を除き、「Twitter APIを使ったあらゆるサービスにおいて、サードパーティーがタイムラインに広告ツイートを挿入することを認めない」としている。同社はこれに合わせてAPIの利用規約も変更している。
 規約では、「ツイートを表示するアプリやサイトの上あるいは周辺に広告を表示することは認められるが、タイムライン内に広告を置いてはいけない」とされている。また広告とTwitterコンテンツの間にははっきりと分かる区切りを置く必要があり、ツイートと混同される広告は不可としている。また「Twitterコンテンツが広告販売の基盤(全部あるいは一部)となる場合は支払いを要求する」とも規約には記されている。
 Twitterはこのような決定を下した理由として、長期的なユーザー体験を守るためとしている。例えば、サードパーティーの広告ネットワークが広告インプレッションやクリックスルー率を最大化しようとしたら、ユーザーが不満を持ちTwitterの利用を減らす可能性があるという。
 Twitterに広告を配信するサービスはAd.ly、Twad.lyなど既に複数あり、国内ではオプトなど3社が「つあど」をスタートしたばかり。つあどは今回の変更を受け、利用規約の変更に準拠すべくサービスを改修するかどうか検討するとしている。広告サービス140proofも「Twitterと協議中」としている。
 またこの日、新しいTwitter広告サービスTweetUpがスタートしたが、同サービスはTwitter APIに依存していないので影響はないとコメントしているという。また米メディアは、Twitterが「マーケティング業者が著名Twitterユーザーに直接依頼して広告ツイートを投稿してもらうようなケースは可」と認めたと報じており、Twitter APIを利用しない手動での投稿であれば、タイムライン内広告でも認められるようだ。企業や店舗がTwitterアカウントを取得してプロモーション情報をつぶやくといった使い方も(APIを使わなければ)問題ないとみられる。



スペシャルリポート
サムスン強さの秘密 「世界人」育てる巨大施設
 韓国サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が復帰し、同社の攻めの経営が復活した。「ビジョン2020」の経営計画では、10年後の売上高を現在の3.5倍の4千億ドル(約37兆5千億円)にする目標を掲げる。快進撃を支える同社の経営の内側に迫った。
 ソウル市から車で南に約50分。韓国最大級のテーマパーク「サムスン・エバーランド」のすぐ隣の敷地にあるのが、サムスングループの人材研修施設「人力開発院」だ。
 「企業は人なり」という人材第一主義を掲げ、1982年に同施設を開館。創業者の李秉チョル(イ・ビョンチョル)の雅号を冠した「湖巖(ホアム)館」など、3つの巨大な建物を持つ。
 韓国内には全部で13の研修施設があり、1日に宿泊できる収容人数は約4千人。ここで「核心価値共有」と呼ぶ理念教育や幹部教育、海外要員教育などを実施。「サムスン人」としてグローバルに戦える気構えをたたき込むことで、今日の急成長を維持している。
 サムスンはグループ全体で27万人の社員を抱え、年間売上高は約190兆ウォン(約16兆円)。サムスン電子は売上高でその7割近くを占め、海外売上高比率は9割近い。そうした海外戦略を支えているのが、「地域専門家」という海外研修制度だ。
2万人に語学研修
 対象は入社4年から10年ほどの若手社員で、海外に1年間生活し、外国語の習得と現地での人脈作りに励む。「将来の海外赴任要員の育成が狙い」と同院の劉煥チョル(ユ・ファンチョル)コンサルティングチーム長は話す。90年の制度開始から、すでに約4200人が中東や東欧など世界の様々な国に派遣された。
 昨年春から1年間、サンパウロに滞在したという人事部門の課長(37)は語学研修に9カ月通い、残り3カ月で色々な人に会った。「最初は掃除のおばさんにも名刺を配り、人脈を広げるうち、最後は大企業の幹部とも知り合いになれた」と研修の成果を語る。
 国内での語学教育にも力を入れている。英語、中国語、日本語を中心に毎年1100人が10週間の語学合宿に参加。「牛でも話せるようになる」という徹底教育で、これまでに約2万人が受講した。一連の研修にかかる費用は、社員の機会費用を別として、年間約2500億ウォンにも上るという。
採用前から教育
 人材育成という面では採用の前の段階から「サムスン流」を教え込んでいるのも同社の特徴だ。
 人力開発院から車で15分ほどのところにサムスン電子で一番古い水原(スウォン)事業場がある。水原市には600年の歴史を誇る大学、成均館大学校があるが、同社はそこにも年間1200億ウォンを投じ、将来の社員を育成している。
 提携関係は半導体から始まったが、世界的にも珍しい「携帯電話学科」を新たに設置。授業料はサムスンが全額持ち、月額80万ウォンの奨学金を各学生に支給している。卒業後はサムスンへの就職が約束されているため、ソウル大学を辞退して入学してくる学生もいるほどだ。
 入学試験は大学とサムスンが共同で実施。将来のサムスン社員にふさわしいどうか大学入学前に判断する。博士課程に進む学生もいるが、奨学金を返す必要はない。「就職競争が厳しい韓国では、大学の人気の向上にもつながる」と学科長の崔炯辰(チェ・ヒョンジン)氏は指摘する。
 サムスンは93年の経営改革戦略「新経営」で世界的飛躍のきっかけをつかんだ。「妻と子供以外は変えろ」という強力なトップダウンの指導で、社員一人ひとりの参画意欲を高めた。一昔前の日本の「モーレツ社員」を思い起こさせるが、合理的な人事基準でグローバル感覚を養っているところが、サムスンの大きな違いだといえよう。



京都新聞社説
今を生きる考える  財政再建、道筋を早く描けこっちも見て 
 遠く離れた欧州のギリシャで、労働組合員らがデモやストライキを繰り返す映像が、頻繁に伝えられている。
 国家破産の危機に直面し、ギリシャ政府は公務員給与の削減、年金の減額、日本の消費税に当たる付加価値税の増税などの財政再建策を打ち出した。どれをとっても生活水準が低下するので、労組員らは反対している。
 さて、これを見たギリシャ以外の国の投資家たちはどういう気持ちを抱くのかというと、「財政再建は難しい」「債務不履行(デフォルト)が起きかねない」と不安を募らせている。
 すると、ギリシャ国債の金利は上昇する。債務は一向に減らず、財政再建策が強化され、国民生活はさらに困窮を極める。負の循環が止まらない。
 こうしたソブリンリスク(政府債務の信認危機)が、現実のものとなりつつある。
 円や日本国債は買われているので、日本はまだ信用されている。大丈夫だ、と考える人もいる。
 しかし、今はマネーの逃避先に選ばれているだけで、将来はどうなるのか分からない。
 欧州の単一通貨ユーロの導入国は、年間の財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内、政府債務残高をGDPの60%以下にするよう協定で義務づけられている。
 ギリシャは、財政赤字が13%を超えていることが最近、判明した。債務残高は115%。国債の格付けは投機レベルにまで低下し、不安が起きた。
 一方、日本の財政赤字はギリシャほどではないが、国債の発行残高はGDPの189%で、2倍に達しようかという勢いだ。先進国の中でも群を抜いて多い。
 対岸の火事ではない
 この話になると、日本は国債のほとんどを国内の投資家が保有しているので、ギリシャとは事情が異なる。国民の金融資産が約1400兆円あり、国債を受け入れる余地はまだ残っている、との反論が出てくる。
 だが、国債残高が遠からず1千兆円の大台に乗るのは確実だ。少子高齢化と昨今の雇用情勢をみると、国民の金融資産が目減りするのは避けられない。何かの拍子に信用不安が高まり、金利の上昇する事態が起きれば、債務は雪だるま式に膨らんでいく。
 ギリシャの危機を、対岸の火事だと言っておれない。実効性のある対策を講じなければならない。
 そこで、民主党を中心とする政権が初めて手掛けた本年度予算を振り返ると、一般会計が過去最大の92兆円。不況の影響で税収が2割近く落ち込んで37兆円にとどまるのに対し、新規国債発行額は44兆円を超えた。実入りを上回る借金をしている。
 内閣の中枢にいる仙谷由人国家戦略担当相さえも「どなたが見ても、この国が続くのだろうかとの不安心理を醸し出す」と酷評した。よその国や投資家らが、日本は借金を返すつもりがない、と思いはしないか。
 増税も議論されだす
 スイスの国際経営開発研究所が先ごろ発表した競争力ランキングで、日本の順位は前年の17位から27位に急落した。評価が下がった要因の一つに、「放漫財政」が挙げられている。
 鳩山由紀夫首相は昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた子ども手当などの満額実現と消費税率の4年間凍結について方針転換していない。
 だがこれには、カネがないのにモノを欲しがる児戯に等しい、との批判もある。バラマキをやめるか、実入りを増やすか、あるいは両方を選ぶしかないだろう。
 民主党内では、今夏の参院選マニフェストに財政規律をどう書くかをめぐって、対立が続いている。財政健全化法案の今国会提出は、微妙な情勢となった。政府が来月中にまとめる予定の中期財政フレームで財政再建の道筋を描けるのか、心もとない状況だ。
 ここにきて菅直人財務相が、国債の発行抑制など財政規律に言及し始めた。「増税分を財政支出に回せば、雇用が増えて景気がよくなる」と、増税による成長論まで唱えている。
 とにかく、議論をもっと加速すべきである。そうしないと、ギリシャ悲劇を日本で再演することになる。
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(゜Д゜;)y─┛~~新聞

NTT東、公衆無線LANを業界最安値の月200円に
 NTT東日本は6月にも飲食店や駅で高速インターネットに接続できる公衆無線LAN(構内情報通信網)サービスの価格を大幅に引き下げる。これまで光ファイバー回線「フレッツ光」契約者に月800円で提供してきたが、業界最安値の200円にする。28日に発売される米アップル製「iPad(アイパッド)」など、高機能携帯端末の需要拡大を取り込む。
 25日に発表する。値下げするのは公衆無線LANサービス「フレッツ・スポット」で全国9100カ所に接続拠点を持つ国内最大級のサービス。小型モバイルルーターをレンタルする場合に200円で提供する。ルーターのレンタル料は300円とする。
 公衆無線LANを利用できるエリアも拡大する。これまで飲食店や地下鉄の駅など9100カ所で接続できたが、JR東海の東海道新幹線「N700系」の車内でも利用できるようにする。
 ipadやスマートフォン(高機能携帯電話)などの普及で、大容量データ通信の需要が高まっており、通信各社は公衆無線LANの利用が急増するとみている。KDDIは6月2日からデータ通信の利用者向けに公衆無線LANの利用料を月1500円から300円に値下げする。
 ソフトバンクは「iPhone(アイフォーン)」利用者向けに、月490円で提供していた公衆無線LANサービスを現在は無料で提供。接続できる場所も1、2年後に現在の約4倍の1万8000カ所に拡大する計画。NTT東が価格を大幅に引き下げることで、通信各社の価格とエリア拡大競争は一気に激化しそうだ。



キヤノン、家庭用SEDテレビ開発凍結 業務用に照準
 キヤノンは新型の薄型表示装置、SED(表面電界ディスプレー)を搭載した家庭用テレビの開発を凍結する方針を固めた。液晶やプラズマに対抗する薄型テレビとして商品化を目指していたが、テレビ市場の価格下落の勢いに製造コスト低減が追いつかないと判断した。今後は、高精細で消費電力が低いSEDの特長を生かし、業務用の開発に力を入れる。
 SEDはブラウン管と同じ原理で画面に映像を表示する。ブラウン管は1本の電子銃で映像を映すが、SEDは無数の微細な電子銃を平面に配置する。消費電力を抑えつつ高画質を実現できるが、低コストの量産技術の確立が困難とされていた。
 キヤノンは1999年に東芝とSEDの共同開発に着手。2004年に両社の折半出資でSEDの開発・生産会社を設立し、薄型テレビ市場への参入を表明した。
 しかし、量産技術の開発が難航。SED技術を持つ米国企業から特許関連訴訟も起こされ、商品化時期を何度も延期してきた経緯がある。キヤノンは東芝との折半出資会社を完全子会社化してSEDテレビの商品化の道を探っていたが、競争が激しい家庭用テレビでは採算がとれないと判断した。
 SEDの量産技術開発は継続し、画像診断機器や教育向け機器など業務用ディスプレーとしての用途開発を目指す。



サムスンなど、曲がる大型ディスプレー
炭素素材で開発、ポスターやパソコンに
 韓国サムスングループと名城大学の飯島澄男教授などは薄く、折り曲げられる大型のディスプレー材料を開発した。材料は入手が容易な炭素で、液晶テレビの軽量化、太陽電池の発電性能の向上や新たなディスプレーの商品化など幅広い用途が見込める。飯島教授はナノテクの権威でノーベル賞候補者。サムスンが日本の最先端の研究成果を活用し、日本の電機大手との競争力の差を広げる可能性がある。
 飯島教授とサムスングループのサムスンテックウィン、韓国・成均館大学は炭素素材「グラフェン」を使い透明で折り曲げ可能な大型ディスプレー材料の開発に成功した。大きさが30インチ(対角線長が約76センチメートル)と世界最大級の透明導電性フィルムで、タッチパネルにできる。



韓国勢、日本の研究成果をいち早く吸収
 安くて折り曲げ可能な大型ディスプレーの商品化が近い将来、韓国勢によって実現しそうだ。成功の背景には、日本の有望な成果や研究者を積極的に取り込む韓国の戦略がある。
 共同研究グループを束ねる飯島澄男・名城大学教授はナノテクの権威で、韓国側はその研究成果に注目した。成均館大学は先端炭素材料の実用化を急ぐため、飯島教授を2005年から学内のナノテクノロジー先端技術研究所長に招へいした。研究費の一部は、高機能機器への応用を狙うサムスングループが負担している。
 韓国は日本の研究成果に広く注目している。東京工業大学の細野秀雄教授らが発見し、04年に英科学誌ネイチャーで紹介した透明な酸化物半導体に注目したのはサムスン電子。この半導体はシリコンよりも電子が早く流れる特徴があり、同社は細野教授らに接触。高精細な次世代の液晶テレビや有機ELテレビへの応用を目指している。
 サムスンはこのほか、九州大学の菊池裕嗣教授が02年に開発した液晶材料にも注目。動画を鮮明に再生する基盤部品になるとみて、菊池教授の成果をヒントに研究を続けているという。菊池教授は「日本の研究成果に注目して製品に結びつけようとするのは日本企業よりもサムスンなど韓国企業が早い」と語る。



ノキア、ヤフーと提携 ネットサービスを実質統合
グーグルやアップルに対抗
 【シリコンバレー=岡田信行】携帯電話機最大手であるフィンランドのノキアと、インターネット検索大手の米ヤフーは24日、インターネットメールなどの事業で提携し、今年後半からネットサービスを実質的に統合すると発表した。老舗2社の連合で、同分野に強い検索最大手の米グーグルや米アップルに対抗する。
 ノキアとヤフーは今年後半から共同ブランドでネットメールや地図などの提供を始める。提供する地域や分野を順次広げて、2011年には全世界で共同展開する体制に移行する。ノキアの携帯電話ユーザーとヤフーの利用者はどちらかのネットサービスに登録していれば、もう一方の会社のサービスも同じ登録IDで利用可能になる見通しだ。



朝日新聞社、初の営業赤字 10年3月期
 朝日新聞社が24日発表した2010年3月期連結決算は、営業損益が41億円の赤字(前の期は34億円の黒字)となった。営業赤字は連結決算の公表を始めた00年3月期以降で初めて。新聞の広告収入減少が響いた。最終損益は33億円の赤字(前の期は139億円の赤字)となり、2期連続の赤字だった。
 売上高は前の期比12%減の4703億円。5期連続の減収となった。連結子会社数の減少が主因という。



電子マネー決済シェア、流通系が5割超え ポイント還元策効く
 流通系の電子マネーが決済件数のシェアを伸ばしている。4月の主要6電子マネー(前払い式)の決済件数では、セブン&アイ・ホールディングスの「ナナコ」とイオンの「ワオン」の合計シェアが初めて5割を超えた。消費者の節約志向が強まるなか、メーカーなどと組んだポイント還元策が利用者の囲い込みにつながっている。
 4月の総決済件数は前年同月比38.6%増。ナナコは同44.8%増、ワオンは同76.1%増と平均を上回った。ナナコとワオンの決済件数の合計は7810万件で6電子マネーの総決済件数(1億5515万件)の50.3%を占めた。鉄道系の「スイカ」や「パスモ」からシェアを奪った。
 ナナコとワオンに共通するのは、消費者へのポイント還元に力を入れている点。傘下のスーパーやコンビニエンスストアでの買い物でポイントを還元するだけでなく、入会時や入金時にはボーナスポイントを付ける期間限定サービスを行う。
 さらに食品メーカーなどと組み、特定の商品を購入した際にボーナスポイントを付与。電子マネーで購入すると、実質値下げとなる。
 生活防衛志向を強める消費者はポイント還元への関心が高い。ナナコは4月、セブンイレブンなどで新規入会すると200円分のポイント(通常なら買い物2万円で付与)を与えるキャンペーンを実施したところ、会員が1カ月で1割以上に当たる122万人増えた。




ソフトバンクモバイルがフェムトセル受付開始も、総務省はBB回線事業者との協議を要請
 ソフトバンクモバイルは2010年5月21日、全ブロードバンド回線を対象としたフェムトセル利用の申し込み受け付けを開始した。これまでフェムトセルを申し込むには、Yahoo! BB ADSLやNTT東日本のフレッツ光ネクストなど、同社が指定するブロードバンド回線を利用している必要があったが、対象を拡大した。
 その一方で、ブロードバンド回線を提供する事業者から、協議が不足しているという声が上がっている。フェムトセルについては総務省および次世代IPネットワーク推進フォーラムが定めたガイドラインが二つある。総務省ガイドラインは「携帯電話事業者とブロードバンド回線事業者との間の契約などにおいて、通信品質の確保、緊急通報の確保への対応、障害発生時の対応などについて規定することが求められ」との記述があり、総務省は「契約など」には事前の協議が含まれるという立場である。フォーラムのガイドラインも「あらかじめ関係事業者間で技術的条件や費用負担などを含めて協議を行い、合意を得た上でサービスを提供すること」としている。
 ソフトバンクモバイルは2010年5月19日、回線事業者に対して21日から受け付けを開始するという旨の電子メールを送付した。そこには緊急通報時に誤った位置情報を通知しないための措置(位置固定)や、通話品質の確保、保守の一次対応をソフトバンクモバイルが担当することを明言した上で、「二つのガイドラインの要件をソフトバンクモバイルで確保することが可能なため、回線事業者で対応いただく事項はない」と記載していた。
 この電子メールを受け取ったある回線事業者は、「これは一方的な通知であり、技術的検証を含む協議がなければ実際に緊急通報時に携帯電話の通話が確保できるか分からない。このままだと利用者に不利益が生じる可能性がある」と指摘している。
 ガイドラインを定めた立場である総務省は、複数の回線事業者からソフトバンクモバイルの電子メールの内容について問い合わせを受け、内容を知ることになった。総務省は電子メールの内容について、「一方的な通知であり協議ではない。ガイドラインに適合しているとはいえない」と判断した。そこで2010年5月20日にソフトバンクモバイルに対して、回線事業者と協議を実施するように要請した。さらに技術的条件を満たしたとする具体的内容について報告を求めた。
 ソフトバンクモバイルは当初の予定通りに申し込み受け付けを開始した。ただし、これまで指定していたブロードバンド回線を推奨と位置づけ、推奨以外のブロードバンド回線で申し込む場合は2010年9月以降の提供になること、および接続機器や利用環境によって利用できない場合があるとのただし書きを付けた。ソフトバンクモバイルは本誌の取材に対し、「回線事業者との協議は継続する」と回答した。



音楽配信件数、初の減少 09年度国内販売
 音楽配信サービスの成長にブレーキがかかってきた。日本レコード協会が24日発表した2009年度の音楽配信の販売件数は前年比3%減の約4億6187万件で、統計をとり始めた05年度以来、初のマイナスとなった。販売額はほぼ横ばいの約906億円にとどまった。他の配信サービスとの競合が激しく、配信を受ける携帯電話端末の出荷減少も響いた。
 09年度の販売実績の内訳をみると、件数の9割を占める「着うた」など携帯向けは4%減の約4億1451万件で、金額も1%減の約787億円だった。
 パソコン向けは堅調で件数が9%増の約4726万件、金額が11%増の約104億円に上った。携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」など米アップルの携帯機器での利用が増えているとみられる。
 音楽配信は05年度以来、毎年2ケタ成長を記録してきた。1曲から購入できる手軽さが受け、若者を中心に普及している。生産額が右肩下がりで縮小しているCD市場とは対照的に、レコード各社も配信コンテンツの拡充を進めてきた。



放送法改正、与野党合意は決裂の見通し
 衆院総務委員会で審議中の放送法改正案をめぐり、与党3党は24日、改正案のうち総務相の諮問機関「電波監理審議会」(電監審)の権限強化に関する条文を削除する修正案を固めた。
 与党3党は、25日午後の衆院本会議で、同案の通過を目指す。
 自民党と公明党も、電監審の権限強化に反発していた。だが、野党側が求めていたNHK会長の権限強化に関する条文の削除に与党側が応じなかったため、放送法改正案を巡る与野党協議は決裂する見通しだ。



点検 注目材料株◇レナウン、中国企業出資報道で再建期待高まる
 24日の東京株式市場で、大手アパレルメーカーのレナウンの株価が逆行高を演じた。寄り付きから商いを伴って買われ、終値では制限値幅の上限(ストップ高)となる前週末比50円高の191円で引けた。第三者割当増資により中国の繊維大手、山東如意科技集団(山東省)の傘下に入るとの報道が手掛かり。レナウンは同日夕に山東如意との提携を正式発表した。百貨店販売などの低迷で経営再建が急務となっているだけに、中国における山東如意の販売網の活用や資本増強による財務改善が期待されているようだ。
 「国内だけでは変わり切れなかった。海外成長を通して変革を進める」。レナウンの北畑稔社長は、記者会見の場で資本提携を通した経営再建の意義を強調した。「今後も高い成長が見込まれる中国を重点マーケットと位置付け、市場の成長を取り込む」(北畑社長)のが狙いだ。
 中国企業による日本企業への資本参加は増加傾向にある。M&A(合併・買収)助言のレコフによると、2009年の中国企業が日本企業に対して行ったM&Aは20件と、前年から5割強増えた。昨年8月には中国の蘇寧電器集団が家電量販店のラオックスに出資するなど、経営再建中の企業を市場拡大を狙う中国企業が傘下に収める事例も出てきた。ラオックスの傘下入りが報道された昨年6月には、同社の株価が急騰するなど、中国勢の資本参加が注目されつつある。
 市場には「第2のラオックス」として山東如意のレナウンへの資本参加を好感する見方が多い。レナウンとラオックスは業態こそ違うものの共通点が多く「中国企業との提携効果を連想しやすい」(アルフェックス・インベストメンツの高松一郎代表取締役)ためだ。
 第1の共通点は、業界のなかでは老舗に属し、商品販売のノウハウを持った業態であるという点。急激な経済成長を背景に中国人の購買意欲は高まっており、ノウハウを生かした中国市場での市場拡大が望みやすい。レナウンは「ダーバン」など高級ブランドが主力。提携発表の記者会見で、山東如意の邱亜夫董事長は「高級品中心に中国でのレナウンのブランドは知名度が高い」と販売拡大に自信を見せた。
 近年、業績低迷が続いていたのも同じだ。レナウンは現在の筆頭株主の投資ファンド、ネオラインホールディングス(東京・港)のもとで経営再建に取り組んでいる。しかし、消費不振で英高級ブランド「アクアスキュータム」などの主力ブランドの売却を余儀なくされ、11年2月期では5期連続の最終赤字となる見込みだ。国内百貨店向け店舗への依存度が高く、収益改善への道筋が立ちにくいことが課題となっていた。
 ラオックスも10年3月期まで9期連続の最終赤字と低迷していたが、今期は10期ぶりに黒字に転換する見通し。蘇寧電器との提携をテコにした赤字店舗の閉鎖や中国への新規出店を進める効果が出るという。海外成長への道が開け、市場には「(ニューマネーが入ることで)レナウンも当面の危機は脱することができそう」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)との安心感が広がっている。PBR(株価純資産倍率)は1倍を大きく割り込んでおり、割安感に着目した買いも入りやすい状況だ。
 ただ、このまま提携が投資家に歓迎されるかは微妙だ。第三者割当増資に伴い、発行済み株式数は約7割も増える見通し。北畑社長は「(資本提携は)筆頭株主のネオラインに歓迎されるものと信じている」と強調するものの、1株当たり利益の希薄化は大きく不透明感も漂う。
 提携効果で希薄化を上回るだけの利益が出せるかが、市場の評価のカギを握ることになりそうだ。ラオックスの場合、中国人観光客の多い秋葉原に旗艦店舗があるため、そこに経営資源を集中して業績を回復させる余地があった。一方、レナウンの主力ブランドは売り上げ低迷が続く百貨店向け。成長のためには中国への新規出店が不可欠だが、現在はユニクロなど低価格帯の商品が中心となっている中国市場で、どこまで高価格帯が主力のレナウンが伸びるか。復活へのハードルは決して低くはなく、買い一巡後は経営再建の先行き懸念が再燃する可能性もある。



増税は景気を良くしない
 増税することで、むしろ景気が良くなるという議論が出始めた。菅財務大臣はこうした趣旨のことを述べて、消費税引き上げを正当化したいようだ。しかしこうした奇妙な議論は、健全な政策論議をあまりに逸脱している。
 日本の財政状況は深刻であり、いずれ消費税の引き上げが避けられないことは多くの人が認識していよう。財政健全化努力がいまの政府に不足していることは明確だし、そうした努力不足が今後も続けば、経済に破滅的な混乱が起きることだろう。したがって、こうした混乱を避けることによって経済を良くできる、という議論は成り立つ。
 しかし、財政再建に根本的に重要な道筋は、まず成長をいかに確保して税の増収を実現するか、歳出をいかに抑制するか、そのうえで税収をどう確保するか、である。成長戦略がないままに、歳出の膨張を抑えることなく、増税するだけで経済が良くなることはあり得ない。増税とは、民間部門から公的部門への資源の移動であり、その過程で国民の生活水準を引き下げる。
 考えられるひとつのケースは、民間部門が支出を増やさない状況では、公的部門に資源を移し支出することで経済は拡大する、という場合だ。これは、需要不足が存在する場合には正しいし、まさしくケインズが指摘していることでもある。しかし、あくまで短期の限定的な議論だ。
 もうひとつは、社会保障制度などが整備されることで将来への不確実性が低下し、結果的に消費・投資が促進される、という理屈だ。しかし、もし将来への不確実性が本当に家計の障害になっているのなら、個人年金などがもっと拡大しているはずだ。国民が感じる不安の本質は社会保障ではなく、日本経済の競争力低下、さらには自分の所得獲得能力低下への不安である。
 安易な増税理論を振りかざし、安易な増税を実行すれば、大きくて非効率な政府のままで、中長期の成長力はさらに低下する。それは結果的に、国民の将来不安を一層高めることになろう。
 気になるのは、財政制度等審議会でも菅大臣と同様の議論がなされ「増税=景気回復」が示唆されていることだ。役所の隠れみのと言ってしまえばそれまでだが、審議会の有識者たちが成長戦略、歳出削減を十分論じることなく権力にすり寄っているのなら、この国の将来への不安はますます募ってくる。



【産経主張】郵政法案 民営化つぶせば禍根残す
 日本社会の将来に禍根を残しかねない郵政法案に対し、民主党の小沢一郎幹事長が全国郵便局長会の総会で今国会での成立を約束した。
 法案は民営化を通じた経営効率化と規模縮小というあるべき改革の姿からほど遠く、公社時代に逆戻りさせる内容だ。こうした「改悪」をめぐる影響は深刻だ。国会では問題点の徹底的な審議が求められる。
 まず民業圧迫で民間金融をゆがめかねない点が問題だ。亀井静香郵政改革・金融相は「郵政事業がじり貧だから、金融事業で収益を拡大する」と説明する。そのために、郵貯の預入限度額と簡保の保障限度額をそれぞれ倍に引き上げる。がん保険などの新規業務についても金融庁への届け出制にして、経営の自由度を高める。
 しかし、政府が関与したまま限度額を引き上げれば、国民は「暗黙の政府保証」と受け取り、郵貯に預金を移すことが予想される。全国銀行協会など金融機関8団体は今月20日、「競争条件の公平性を阻害する」との声明を発表し、法案の抜本修正を求めた。
 これに対して亀井氏は「競争相手が強くなりそうだから、ギャーギャー言うのはみっともない」などと切り捨てた。金融担当相が業界の懸念を一顧だにしないことに唖然(あぜん)とする。非効率な経営の見直しにはまったく触れず、局長会や郵政労組の権益擁護に腐心しているようにみえる。明確な経営計画を示さないまま、非正規社員の正社員化を打ち出したのは将来の民営化阻止への布石といえる。
 国債以外に運用ノウハウのない郵貯がいま以上に国民の資産を預かることは、それだけリスクが大きくなることを意味する。逆ざやが生じれば、将来、大きな損失が発生するかもしれない。鳩山政権はそうしたリスクがあることも何ら説明していない。
 国際的な信用問題もある。日本と米国、欧州連合(EU)は21日にジュネーブで世界貿易機関(WTO)大使級協議を行った。米欧は郵貯と簡保にこうした経営の自由度を認めることが民間との公平な競争を阻害し、「外国企業に不利な条件を課さない」とのWTOの内国民待遇義務に違反していると主張した。米欧ともWTO提訴も辞さない構えだ。今後、通商摩擦に発展しかねない情勢だ。
 時計の針を逆戻りさせようとしている。官業化と肥大化を急ぐ郵政法案に強く疑問を呈したい。
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ソフトバンクとTBS、ユーストリーム使い新番組
 ソフトバンクグループとTBSは、生中継サイト「ユーストリーム」とミニブログ「ツイッター」を利用したバラエティー番組を30日から放送すると発表した。若手タレントを世界各地に派遣し、ユーストリームを使って生中継する。放送中に視聴者からツイッターで投稿された内容も番組内で紹介する。
 放送時間は日曜夜11時30分から30分間。「夜のウランバートルで朝青龍と出会った」などの生中継を計画。ツイッターを通じ、大物著名人からのコメントも寄せられる予定という。
 24日に都内で開いた記者会見には、孫正義ソフトバンク社長と米ユーストリームの創業者、ジョン・ハム最高経営責任者(CEO)が映像で登場。孫社長は「最近まで誰も知らなかった新サービスがテレビと融合した。視聴者と一緒に番組を作ることでテレビ界に革命を起こしたい」と意気込んだ。
 ソフトバンクは今後、携帯電話の新端末にツイッター対応機能を導入するほか、自ら出資するユーストリームとは合弁会社を設立する計画。新番組の冠スポンサーとなって、両サービスの認知度を高める。



pixiv200万会員突破 1年足らずで倍増
 ピクシブは5月24日、イラストSNS「pixiv」の会員数が5月22日付けで200万を突破したと発表した。2007年9月の開設から約2年8カ月で達成。昨年6月の100万会員突破から1年足らずで倍増した。
 月間ページビューは約15億、作品の投稿総数は約1100万枚。同社はブログで、「運営当初は、ここまで多くのみなさまにご利用いただけるとは、思ってもみませんでした」とコメントしている。



電子書籍端末、出遅れた日本 「出版」の壁ようやく風穴
 米国やアジアのIT(情報技術)企業が電子書籍関連市場に新規参入している。書籍もインターネットの上では音楽や映像同様、IT企業が得意なデジタルデータの一種となるため、参入しやすい。一方、日本勢はIT企業も出版業界も対応に遅れ感が出ている。
■  ■
 電子書籍市場への新規参入を加速させたのが米アップルによる新型多機能端末「iPad(アイパッド)」の開発だ。画面の大きさがB5サイズの本や雑誌のページに近いため、電子書籍に利用しやすい。同社は4月初め、米国内向けにアイパッドを発売すると同時にアイパッド向けの電子書店も自前で開設した。書籍流通市場への新規参入といえる。
 対抗するように米グーグルは6月中にも、電子書店「グーグル・エディション」を開設する。こちらはパソコンでも携帯端末でも、端末の種類にかかわらず利用できるウェブ上のサービスだ。
 韓国ではサムスン電子が同国書店最大手と提携し、電子書籍専用端末を発売する一方で電子書店サービスを立ち上げた。さらに同国政府は2014年までの5年間に約50億円を投入する電子出版産業育成政策を実施するという。
 台湾でも電機大手のベンキューが電子書籍専用端末を発売。日本の電子書店「イーブックジャパン」を運営するイーブックイニシアティブジャパン(東京・千代田)と技術提携し、同端末向けの電子書店を立ち上げた。
 対照的に日本国内の動きは遅れ気味だ。パナソニックやソニーは一度、国内の電子書籍端末市場から撤退。その後再参入のめどが立っていない。富士通フロンテックなどが和製専用端末を開発・販売しているが、大規模な電子書店が出てこない。
 たとえば国内電子書店の草分け、イーブックジャパンがパソコンやスマートフォン向けに配信する書籍はコミックを中心とする3万5000点。電子書籍販売世界最大手、米アマゾン・ドットコムの54万点の10分の1に満たない。
 国内で電子書籍流通市場の形成が遅れている背景には、出版業界が電子書籍の普及に慎重姿勢を続けてきたことがある。電子データには再販制がなじまないことから電子書籍が普及すると書籍の値崩れが起こりかねない。さらに「縦書き、ルビなど日本語独特の文章表示様式に対応する技術がない」(角川歴彦・角川グループホールディングス会長)ことも出版界に二の足を踏ませてきた。
■  ■
 出版業界は電子書籍対応技術の標準化などを進める「日本電子書籍出版社協会」を2月に設立、ようやく前向きに取り組み始めた。講談社もアイパッドなどで京極夏彦氏の新作ミステリー小説を刊行することを決めた。
 これを契機に国内IT企業も日本語に向いたハード、ソフトの技術開発を加速しそうだ。米国やアジアのIT企業に席巻される前に消費者に受け入れられる技術を打ち出せるか。日本企業自身が日本語文化伝承の担い手になれるかどうかは、時間との競争になりそうだ。



三菱電機が経営戦略 海外売上高比率40%、3Dテレビを今夏発売
 三菱電機の山西健一郎社長は24日、都内の本社で開いた経営戦略説明会で、連結売上高に占める海外比率を現在の32%から中長期的に40%に引き上げる方針を明らかにした。成長が見込める中国向けなど新興国を中心に海外戦略を強化する。
 中国では主に、省エネ効果の大きい電力制御用半導体(パワー半導体)を売り上げを1・5倍に引き上げ、鉄道事業は2倍にする計画だ。その上で、従来からの営業利益率を5%以上にする経営目標について、「2012年3月期に達成したい」と述べた。11年3月期は4・0%にとどまる見通し。
 また、3次元(3D)対応のテレビを今夏に発売する計画も明らかにした。テレビ事業に関しては、「大きな規模は追わないが、特徴のある製品を投入する。3Dテレビも当社の特徴を生かしたものになる」と説明した。同社のテレビ事業は低迷が続いたが、ブルーレイ・ディスク(BD)とハードディスクの一体型が伸び、10年3月期に営業黒字に転換した。



競輪補助事業「審査ずさん、廃止」と仕分け判定
 政府の行政刷新会議は24日午前、東京・西五反田の会場で、公益法人などを対象とした事業仕分け第2弾後半の3日目の作業を行った。
 経済産業省所管で競輪やオートレースの運営を手がける「JKA」については、車券収入の一部で行う補助事業を「審査がずさんだ」などとして「廃止」と判定した。
仕分け人からは、〈1〉補助金の支給先の公益法人などの多くに中央省庁の天下りOBが在籍している〈2〉JKAの利益剰余金が約220億円と今回対象とした法人中、最も多い――などを理由に「事業内容が不透明だ」との指摘が相次いだ。
 国土交通省所管の関東建設弘済会など8団体が行っている道路やダムの施設管理などの補助業務については、国交省発注の道路や河川工事など関連事業の入札で、8団体の受注割合が高いとして、応募要件の緩和など民間企業の参入促進の必要性などが論点となった。



鳩山首相、ガチャピン抜いて「日本一」に Twitterフォロワー数
 鳩山由紀夫首相がミニブログ「ツイッター」のフォロワー(つぶやきを追いかける登録者)数で、「日本一」となった。これまで首位だったフジテレビ系子供番組の人気キャラクター「ガチャピン」を抜き去ったという。支持率低迷がウソのような人気に、官邸関係者も苦笑いしている。
 22日午前9時半現在、鳩山首相のフォロワー数は62万811人。これまで日本一とされてきたガチャピンの61万9969人をわずかに上回っている。
 首相は今年元旦以降、ほぼ毎日、原則として朝と夜の2回、自身のスケジュールや政治課題への心構えなどをつぶやき続けてきた。普天間問題を始め発言のブレが指摘され続けている首相だけに、ツイッター上の“本音”に注目が集まったとみられる。



遊べる「パックマン」ロゴ、引き続き公開へ 米グーグル
 米グーグルは24日、同社のホームページ(HP)上で今月22~23日の2日間限定で公開した人気ゲーム「パックマン」の特別版ロゴマークについて、24日以降もインターネット上で引き続き公開していく方針を明らかにした。利用者から、「引き続き公開してほしいという要望が相次いだ」(同社日本法人)ことから継続する。
 パックマンの特別ロゴは、今月22日にパックマンが誕生30周年を迎えたの記念し、公開された。グーグルの企業ロゴとしては初めてゲームを楽しめる仕掛けで、パックマンを1面から256面まで無料で遊べることがネット上で人気を呼んだ。
 24日以降の「パックマン」ロゴのHPアドレスは、http://www.google.com/pacman/



4月スーパー売上高4・9%減 天候不順追い打ち、17カ月連続前年割れ
 日本チェーンストア協会が24日発表した4月の全国スーパーの売上高(既存店ベース)は、前年同月比4.9%減で17カ月連続の前年割れとなった。4月としては、現行の統計方式になった1992年以降、2000年4月の5.2%減に次ぐ過去4番目の減少率。雇用や所得不安に伴う節約志向の根強さに加え、低温多雨という天候不順が販売不振に追い打ちをかけた。
 全店ベースの総販売額は1兆93億円で、商品別では、主力の食料品が4.5%減と15カ月連続のマイナスになった。天候不順による相場高で、野菜の売り上げは伸びたものの、節約志向から果物や畜産品の販売が不調だった。
 衣料品は、天候不順により夏物の肌着などの販売不振が響き、7.9%減と52カ月連続、日用雑貨などの住居関連用品も4.2%減で26カ月連続の前年割れとなった。
 5月については、「4月よりは天候がよく気温が上がっているので、衣料品には動きが出ているものもあるが、全体の基調は変わらない」(日本チェーンストア協会)と厳しさを強調した。



GM対JAL、日米企業の再生競争
 昨年6月1日に連邦破産法の適用を申請した米ゼネラル・モーターズ(GM)が復活しつつある。今年1~3月期決算で約800億円の最終利益を計上し、ほぼ3年ぶりの黒字回復を果たしたと、5月18日付の日経新聞は伝えた。
 同社の幹部は「欧州経済の動向など懸念材料はいくつもある」と慎重な物言いだが、それでも心強いニュースには違いない。昨年の今ごろは2次破綻の恐れが取りざたされていたことを考えると、過去1年でGMをめぐる状況は大きく変わった。
 企業再建とはある意味できわめてシンプルな作業だ。コストを圧縮しつつ、売り上げを伸ばせば、どんな企業でも業績はよくなる。だが、この2つの両立はなかなか難しい。
 GMの場合、コスト削減はかなり徹底した。破産法適用以前に9万1000人いた米国社員は7万5000人まで削減。「ポンティアック」「サターン」「ボルボ」などの事業から撤退または事業売却し、販売チャネルを半減した。法的整理のメリットを生かして、有利子負債を削減したほか、退職者向けの医療費給付の負担も軽くなり、いわゆるレガシーコストの呪縛(じゅばく)から解き放たれた。
 販売面でも追い風が吹いた。もともとGMの経営不振は本国の米国で巨額の赤字が続いたためで、それを除くと事業の地域ポートフォリオは意外に悪くない。伸び盛りの中国では15%、ブラジルでは20%とそれぞれトップクラスのシェアを持ち、日本勢に大きく水を開けている。
「バイ・GM」で米国でもシェア上昇
 肝心の米国でもヒット車に恵まれたうえに、「バイ・GM」のムードが中西部を中心に盛り上がり、市場シェアは若干上昇した。こうしたもろもろの効果で今年1~3月期の同社の売上高は300億ドルを突破し、前年同期比で実に40%も伸びた。背景に世界経済の復調やドル安があるとはいえ、新興国企業と見間違うほどのスピード成長だ。
 さて、最近の日本で最大の法的整理案件と言えば、いわずとしれた日本航空(JAL)だが、日航にGM並みの業績回復が期待できるだろうか。ここでも判断材料は「コスト圧縮」と「売り上げの改善」の両立だ。
 前者については、4月29日付の日経新聞が「日航、年度内に45路線廃止」と伝えている。内外の不採算路線から撤退し、国内線で3割、国際線で4割の縮小となる。同社は特に国内路線について、地元政治家の意向などを受けてリストラが鈍りがちと批判されてきたが、この期に及んでは不退転の覚悟で臨むようだ。
 人員についても、早期退職に予想以上の社員が応募した。日航は今年度末までにグループ人員の3分の1に当たる1万6000人を削減する計画で、数字の上ではGMの削減率を上回る。
 問題は後者の「売り上げの改善」である。路線撤退をこれほど激しくやる以上、売上高そのものの減少は必然だが、それでも供給削減によって客単価などを引き上げ、売り上げの質を向上することは可能だ。自動車でも航空でも企業が過剰在庫、過剰供給に陥れば、巨額の販売奨励金を注ぎ込み、それが収益の重荷となる。この悪循環を断ち切れるかどうかが、日航再生のカギといっていい。
日航の再生、夏休みの旅客動向がカギ
 だが、日航を取り巻く環境はGM以上に厳しい。5月20日付の日経新聞は「日航が株主優待の継続を検討」と報じた。日航株主にとっては朗報だが、国内運賃を半額にする優待券の発行継続は、「安売りしなければ乗客を確保できない」という自信の無さの表れではないか。人の動きが活発になる夏休みシーズンに、どれほどの旅客が日航を選ぶかが(それも大きな値引きなしに)、再生の行方を大きく左右するだろう。
 日航もGMもそれぞれの政府が深く関与し、巨額の公的資金を注ぎこんだ。再生に失敗すれば、国民負担が発生する点でも共通する。GMと日航の再生競争は、日米両国政府の判断が正しかったどうかを映す鏡でもある。



(企業収益 回復は続くか)60兆円どう使う 投資を厳選、効率競う
 光学ガラス大手のHOYAが積極投資に転じる。2011年3月期の設備投資は430億円と前期比5割増やす。投資の目玉はパソコンなどで使うハードディスク駆動装置(HDD)向けガラス基板の新工場だ。
財務改善を進めるパナソニック(7日、新中期計画を発表する大坪社長)
空前のカネ余り
 上場企業の投資意欲が盛り返してきた。業績の回復に加え、手元資金が積み上がり、投資余力が増している。3月末の現預金と短期保有の有価証券を合計した手元資金は63兆円と、決算が連結主体になった00年3月期以降で過去最高を記録。日本の10年度予算の一般歳出(53兆円)を上回り、企業は空前のカネ余り状態にある。
 手元資金が膨らんだのは、金融危機への対応で外部からの調達を増やした面もあるが、投資の抑制、在庫の圧縮などで資金の流出を徹底して抑えたからだ。本業で稼いだ現金収入である「営業キャッシュフロー」は前期に45兆円と過去最高の水準。前の期に比べ47%増え、経常増益率(24%)を大きく上回った。
 この60兆円をどう使うか。大型投資に踏み切る企業はまだ少数派だ。7日に新しい中期計画を発表したパナソニック。設備投資は前期までの3カ年では約1兆3000億円だったが、今期からの3カ年では1兆600億円と約2割減らす。「以前の強固な財務体質を取り戻す」(大坪文雄社長)と投資案件を厳選し財務改善を進める考えだ。
 企業がアクセルを全開にできないのは、過去の投資が重荷になっているためだ。上場企業の前期の連結売上高はピークの08年3月期に比べ19%減少。一方で、設備など有形固定資産は2%しか減っていない。企業は十分な収益を生まない設備を多く抱えている。
 足元の金融市場の混乱も投資を減速させる恐れがある。昭和電工の野村一郎取締役は「現状では計画を変更する必要はないが、顧客の動向は注視していく」と話す。
 激動する経済環境の中で、企業は資金の「賢い」使い方を模索する。
 「従来型の出店競争には加わらない」。ローソンの新浪剛史社長は強調する。同社は従来型のコンビニエンスストアから生鮮食品も扱う小型コンビニへ出店の軸足を移す。設備を軽装備にし、出店費用を既存コンビニの半分から3分の1に抑制。11年2月期のグループの新規出店投資額は前期比24%減らす。
 日立製作所は4月からグループ内の各カンパニーや企業に「社内格付け制度」を導入した。利益率などを基準に、トリプルAからDまでの各段階に分類。高い格付けのカンパニーには投資の自由度を与え、低い格付けのカンパニーには本社が関与して立て直しを急ぐ。「攻めに転じるが、固定費は増やさない」(三好崇司副社長)
海外に重点配分
 企業収益の改善に伴って、底入れした設備投資。もっとも、けん引するのは新興国など海外だ。象徴的なのがトヨタ自動車の今期の設備投資計画。アジアが2.2倍と大きく増えるのに対し、国内は12%増。豊田章男社長は「攻める分野を明確にして資源を最適配分する」と語る。
 外需主導で景気は持ち直しつつあるが、内需は依然として盛り上がりを欠く。企業が海外で稼いだ利益を日本に還流せずに現地で再投資に充てるなら、国内の設備投資や消費は上向かない。企業収益の回復が生活者の実感を伴わないものになる可能能性もある。
 


児童ポルノ ネット画像の遮断も必要だ(5月24日付・読売社説)
 インターネットによる児童ポルノの拡散に歯止めがかからない。
 総務省は、児童ポルノが掲載されている有害サイトの閲覧をネット事業者が自主的に遮断するブロッキングを、本年度中に実施することでネット事業者などと合意した。
 犯罪対策閣僚会議が来月に策定する包括的な児童ポルノ対策に盛り込まれる予定だ。
 ブロッキングは、対象や方法によっては、憲法や電気通信事業法が保障する「通信の秘密」の不当な侵害に当たる恐れがあると懸念されている。
 しかし、欧米では児童保護の観点から導入済みの国が多い。日本の児童ポルノ規制の遅れは、国際社会の批判も招いている。
 総務省は、児童ポルノ以外の情報を遮断しないなど一定の条件が満たされるなら、現行法でも可能だと見ている。
 ネット上には無数の児童ポルノが氾濫(はんらん)しているが、摘発されるのはそのごく一部だ。性的暴行を受ける子どもの画像が繰り返しコピーされ、いつまでも消えない。
 ブロッキングを導入すれば、被害拡大を効果的に防ぐことが出来る。すべてのネット事業者にこれを義務づけるには、新たな立法措置も必要になろう。
 ネットの普及により通信と放送の融合が進む中では、通信も放送と同じように規律の下に置かれるべき場合もあるだろう。
 不当な権利侵害とならぬよう十分に配慮するのは当然だが、子どもを守るための措置は、広く国民からも理解されるはずだ。
 ただし、課題も多い。ブロッキングの対象となる児童ポルノのアドレスリストはどのような団体が作成・管理し、ネット事業者に提供するのか。アドレス管理団体を誰が監督するのか。具体策を詰めなければならない。
 最近は、ファイル交換ソフトによって児童ポルノがパソコン間でやりとりされるケースも多い。ブロッキングは困難で、犯意を立証しにくいため摘発も進まない。
 併せて、児童ポルノの単純所持を禁止することも必要だ。
 児童買春・児童ポルノ禁止法は児童ポルノの有償無償の提供や提供目的の所持を禁じている。法改正で、私的に収集する単純所持も禁止すれば摘発しやすくなる。
 単純所持を禁止する法改正案は昨年夏、民主、自民、公明の3党でほぼ合意していたが、衆院解散・総選挙で審議未了のまま廃案となった。法改正に向けての議論を急がなければならない。
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ナィ(゜д゜=゜д゜)ナィ新聞

iPad向けコンテンツ、一斉配信 ゲームや出版各社
 米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」が28日に国内発売されることを受け、出版社やゲーム各社が対応コンテンツの供給に乗り出す。ネット経由で対戦できたり、書籍の関連映像を提供するなど端末の機能を生かしたコンテンツも用意する。iPadでの将来の顧客獲得につなげる狙いだが、人気書籍や主力ゲームの投入は現時点では限定的で、一部のコンテンツ供給側には警戒感も漂う。
 主婦の友社は自社刊行物を直販するiPad向けの電子書店「主婦の友書店」を5月末にも開設。当初は女性誌「mina」や実用書など約50点をそろえる。
 中堅印刷の広済堂もマガジンハウスやNHK出版など約50社が提供した書籍の販売を6月末にも始める。旅行ガイドは書籍版1050円に対し電子版を600円にするなど、紙の書籍に対して6~8割の価格設定が多い。「旧刊を含め多様な品ぞろえができる」(主婦の友社)と期待する。双葉社などは関連映像をネット経由で配信するサービスも始める。
 電子書籍では海外では米アマゾン・ドット・コムの端末「キンドル」が先行している。だが、iPadにはカラーで配信できたり映像を使用できるなどの利点が大きいと出版業界は見ている。
 米国ではアップルが自社で展開する「iブックストア」で有力出版社の新刊を含め約4万6000タイトルを販売する。日本での書籍は現時点では有力作家の新作は少なく、旧刊が中心だ。
 ヤフーもiPad向けの電子コミック配信サービスに参入する。開始時に最大で約100種類の電子コミックを無料配信する。将来はパソコン向けに展開している約2万6000タイトルのiPadへの配信を目指す。
 ゲーム業界は家庭用ゲーム機向けの人気タイトルを中心に配信する。バンダイナムコゲームスが配信するアクションゲーム「パックマン」は、端末を傾けたり、タッチパネルで操作する機能を活用する。
 ハドソンはiPad専用に開発したアクションゲーム「とある騎士団と幻のお城」など3タイトルを配信する。iPadのゲームコンテンツの価格帯は600~1500円前後が中心。「(無料や数百円の)携帯電話向けゲームよりも高い価格帯を設定できる」(ハドソンの柴田真人執行役員)と、新たなゲーム端末として注目している。
 ただ大手出版社では「まずは様子見」とするところが多く、小学館などiPad向けの供給計画を明らかにしていない社も多い。一部には「値下げ圧力につながりかねない」との警戒感もある。ゲーム機を持つ任天堂は「iPadは存在として異質で競合とは思っていない」(岩田聡社長)とするものの、現時点でソフトを供給する計画は明らかにしていない。



ツイッター発言、広告媒体に活用 オプトなど2社
 インターネット企業のオプトとデジタルガレージはそれぞれ、人気ミニブログ「ツイッター」を使った広告サービスを始める。ツイッター利用者の「つぶやき」を広告媒体として活用し、口コミ効果を狙う。新手の販促手法として注目を集めそうだ。
 ネット広告大手のオプトが始めるのは「つあど」。ツイッター利用者に企業の広告文句をつぶやいてもらい、広告収入を分け合う。多くの購読者を持つなどツイッター上での発言力が大きい利用者には、分け前を多めに支払う。詳細な広告料は未定。
 ネットビジネス支援などのデジタルガレージは大手通販サイトと協力し、利用者の「つぶやき」と商品情報のリンクを合わせて配信し、別の消費者の購入に結びついた場合に、報酬を支払うサービスを始める。ツイッター利用者がつぶやく単語に関連した商品の購入を促す。
 ニールセン・オンラインの調査によると、3月のツイッターのパソコンからの国内訪問者数は750万人を超えた。高成長を続けており、広告媒体としての価値が高まっている。



世界の株式、欧州不安で時価総額630兆円減
 欧州諸国の財政問題の広がりを受け、世界の株式市場の時価総額が大幅に減っている。リーマン・ショック以降のピークである4月中旬からの約1カ月で約14%減少し、7兆ドル(約630兆円)が目減りした。株式相場は昨年春から景気回復期待で上昇基調にあったが、欧州で信用収縮が始まり、投資家はリスク資産の圧縮を加速。追加的な財政出動は難しいとの懸念も強まっている。
 世界の主要取引所が加盟する国際取引所連盟(WFE)の月次の集計データをもとに、代表的な株価指数であるMSCI世界株価指数を用いて、直近の株式時価総額を推計した。それによると、21日時点では43兆ドル強と、4月末時点(約49兆ドル)から大きく減った。
 2008年秋のリーマン・ショックを受け、世界の株式時価総額は09年2月に28兆ドル台まで落ち込んだ。その後、今年4月中旬には約1年9カ月ぶりに50兆ドル台を回復した。国際通貨基金(IMF)が4月に今年の世界経済の成長率予想を4.2%に上方修正し景気回復期待が高まったため。
 日経平均株価は21日に3カ月半ぶりに1万円を下回り、東証1部の時価総額は300兆円割れ寸前まで縮小した。4月の直近ピークと比べると40兆円近く目減りし、年初からの増加分が帳消しになった。マネーが米ドルやユーロを避けて消去法的に円に流入した結果、円高が進み先進国の中で日本株の下落が目立つ。
 21日には米ダウ工業株30種平均も一時1万ドルを割り込んだ。一方、ユーロ安の恩恵で輸出競争力が高まるとの見方から、ドイツなど欧州先進国の株価指数の下落率は小幅にとどまっている。
 欧米の金融規制強化の動きも、投資家が株式や国際商品などリスク資産を圧縮し、相対的に安全性が高いとされる米国債に資金を移す一因だ。ニューヨーク原油先物相場は一時1バレル70ドル割れとなり、8カ月ぶりの安値を付けた。世界資源大手の株価は軒並み軟調で英豪リオ・ティントの株価は4月初旬の高値から3割下落。日本でも三菱商事などの商社株が年初来安値圏にある。一方、米10年国債利回りは約半年ぶりの水準まで低下した。
 主要国は今後、「財政健全化を優先せざるを得なくなり、中長期の経済成長が抑制されかねないとの懸念も株安の一因」(MU投資顧問の森川央シニアストラテジスト)。各国が財政再建にどう道筋をつけるのか、投資家は注目している。



DeNA、ゲーム開発者希望のインターン受け入れ
 携帯電話向け交流サイト(SNS)運営のディー・エヌ・エー(DeNA)は今夏から、ゲーム開発者を目指す大学生をインターンとして受け入れる。同社の開発システムを使い、交流型のゲームを開発してもらう。コンテンツとして実際に配信することも計画している。
 7月に学生向けのコンテストを実施。SNS向けゲームの企画案を公募し8人を選出する。学生と社員が約1カ月半、ゲームの内容の企画、開発をパソコンなどを使って実施する。企画の公募時には、関東・関西でイベントを実施し、SNS向けゲームの構造などを解説する。
 急速に拡大するSNS向けゲームの開発力を高めるためインターンで優秀な人材を確保する。



老いる都市 25年後、高齢者の過半は三大圏に
社会保障の見直し必要
 都市の高齢化が地方を上回るペースで進んでいる。2009年10月1日時点の推計人口によると、65歳以上の高齢者は1年前より78万9000人増え、その63%を三大都市圏が占めた。1960年代に地方から出てきた世代が高齢化しているためで、今から25年後には高齢者の半分以上が三大都市圏に住む時代が来る。「老いる都市」は日本の経済成長の制約要因になりかねない。
 東京都北区の王子本町3丁目。住民1627人の50.7%が高齢者だ。区は築40年以上の都営住宅で暮らすお年寄りを気遣い、職員の声かけ運動に力を入れる。高齢者が人口の半分を超える「限界集落」は中央区や千代田区などにも広がる。
■伸び率は逆転
 総務省がまとめた09年10月1日時点の推計人口によれば、日本の総人口に占める高齢者の割合は過去最高の22.7%にのぼった。島根県(29.0%)や秋田県(28.9%)が高く、東京都(20.9%)や大阪府(22.0%)を上回る。
 だが1年前と比べた高齢者の伸びでは、都市と地方の立場が逆転する。埼玉県(4.9%)や千葉県(4.7%)が上位に並び、下位の秋田県(0.5%)や山形県(0.6%)、島根県(同)を引き離している。
 「高齢化の表舞台が地方から大都市に移る」。法政大の小峰隆夫教授はこう語る。60年代以降に仕事を求めて都市に出てきた世代が次々に65歳を超えるため、今後は地方より急激な高齢化に直面するという。
 国立社会保障・人口問題研究所の予測をみると、35年の高齢者は05年に比べて45%増える。埼玉県83%増、神奈川県82%増、千葉県77%増、東京都68%増、愛知県66%増……。際立つのは都市の高い伸びだ。
 この結果、埼玉県や千葉県では高齢者の割合が34%前後に達し、全国平均の33.7%を超える。三大都市圏に住む高齢者は全体の51.2%に達し、東京圏だけでも28.5%に高まる見通しだ。
■労働力に不安
 高齢化は労働力人口の減少や個人消費の減退などを通じ、日本経済にマイナスの影響を与える。仮に若年層の都市への流入が続いたとしても、こうした負の側面を解消するのは難しい。
 07年度の三大都市圏の実質国内総生産(GDP)は約314兆円で、日本全体の55%を占めた。それだけに都市の高齢化は日本経済の行方を左右しかねない。
 「都市は地方より地価や人件費が高い。医療・介護施設の確保に制約があり、社会保障のサービスが追いつかなくなる恐れがある」。日本政策投資銀行の藻谷浩介氏は予算配分を含めた社会保障制度の見直しも避けられないとみている。



2030年、消費28兆円・企業の国内生産40兆円減る
 実際のところ高齢化は日本経済にどんな影響を与えるのか。経済産業省の試算によると、2007~30年に家計の消費支出が28兆円、企業の国内生産が41兆円減る見通しだ。
 30年の消費支出は07年比10%減の250兆円。7%分が人口の減少、3%分が高齢者世帯の増加によるものだという。この結果、30年の国内生産は同4%減の941兆円にとどまる。
 働き手の減少も深刻だ。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、30年の労働力人口が06年比7%減の6180万人に落ち込む。
 社会保障はどうか。35年には生産年齢人口(15~64歳)1.31人で1人の高齢者(65歳以上)または年少者(0~14歳)を支える計算になる。05年の1.95人に比べ、現役世代の負担は確実に重くなる。
 一方、高齢化で社会保障サービスの需要が拡大すれば、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。みずほ総合研究所の山本康雄氏は「日本経済全体をシニア仕様に衣替えしなければならない。高齢者や女性の就業を促進するだけでなく、医療・介護関連の産業を育成する必要もある」と話している。



日経社説
グーグルに復活賭けるソニー  ソニーはネット家電や携帯端末の開発で米グーグルと提携すると発表した。インターネット経由で映像を楽しめる次世代テレビを開発し今秋にも発売する。音楽や映像のネット配信で先行する米アップルに対抗する狙いで、地盤沈下が続く日本の家電メーカーの巻き返し策といえる。
 両社の計画では、ソニーがグーグルの基本ソフト(OS)をテレビに採用し、動画配信の「ユーチューブ」など様々なグーグルの情報サービスをテレビで利用できるようにする。ソニーはすでに携帯電話でグーグルのOSを使っており、他の家電分野にも広げる戦略だ。
 ソニーがグーグルと組む背景には映像が見られるアップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の登場が見逃せない。ソニーは携帯音楽プレーヤーの市場をアップルに奪われた経験から、映像分野ではグーグルと一緒にネット配信基盤の主導権を握ろうとしている。
 グーグルにとってもソニーとの提携は渡りに船だ。アップルは情報配信から端末開発まで自社で行うが、グーグルには製造部門がない。ソニーと組めば、アップルのような垂直統合型の事業を構築しテレビやゲーム市場にも進出できると考えた。
 実は音楽や映像の情報配信基盤はすでに4つのグループに集約されつつある。独自路線を行くアップル、米マイクロソフトと米ヤフー、フィンランドのノキアと米インテル、それにグーグルだ。日本企業は後じんを拝しており、ソニーは提携によりその一角に入ろうとした。
 ソニーは2010年3月期決算で2期ぶりに黒字化したのを受け、かつての「ウォークマン」のように価格競争に左右されにくい、ソニーらしいユニークな商品作りを復活させようとしている。消費者としても期待されるところである。
 ただ、ネット家電に他社のOSを使うことは、パソコンのOSをマイクロソフトに依存するのに似て、危うい面もある。提携によって主導権をグーグルに奪われれば、かえって収益性を損なう恐れもあろう。
 今回の提携は評価できるが、結果はまだ先。人々の生活を変えるような新製品の開発と収益性確保の両立は決してたやすい話ではない。



(経営の視点)「危機感」ゆえの投資熱 境界なき戦い、柔軟さ不可欠
 1兆9000億円。今月に入り、米国と韓国を代表する企業が打ち出した大型の投資計画は日本円換算するとほぼ同じ金額だった。IBMとサムスン電子だ。
 IBMのパルミサーノ会長は今後5年間に1兆9000億円相当のM&A(合併・買収)を進めると表明した。今春復帰したサムスンの李健熙(イ・ゴンヒ)会長も1兆9000億円を、太陽電池など新規事業を含む5つの成長分野につぎ込む考えだという。
 世界の経営者は平時モードを飛び越え、「投資の時代」へと軸足を移しつつある。米国ではIT(情報技術)関連のM&Aが1~3月期に前年同期の3倍以上に膨らんだ。4月にはヒューレット・パッカードがパームを1130億円で買収。5月も独SAPが米サイベースを5400億円で買収すると発表した。
 米バロンズ紙によれば、米企業の昨年末時点の手元資金は過去最高だったという。サムスンも3月末の手元資金は1年前の1.6倍。米国も韓国も世界金融危機を機に経営体質を筋肉質に変え、それを駆って世界での存在感を再び強めようとしている。
 ただ、単純に強気へと傾いているだけではなさそうだ。例えばパルミサーノ会長は「IBMは5年で激変していないといけない」と語り、危機感をあらわにする。企業買収で狙っているのは価格競争になりにくいITサービスの拡大であり、世界に4000兆円もあるとされる社会インフラ需要にITを結びつけた事業の開拓だ。
 サムスンの李会長は「今後10年は中国が台頭し、サムスンを代表する携帯電話、テレビなどの分野で次々と覇権を奪う」と予言する。だからこそ、投資の比重は太陽電池やバイオ、社会インフラなどに置き、それを起爆剤に売上高を4倍に増やす。「サムスンの形を全く違ったものにする模索」なのだと言う。
 クラウド・コンピューティングやスマートグリッド、スマートフォン……。新しい技術領域は広がるが、IT産業の参入障壁はむしろ低下を続け、中国など新興国企業の台頭も著しい。M&Aを助言する産業創成アドバイザリーの阿部敦代表取締役は「技術やプレーヤーの“境界なき時代”はIBMやサムスンさえも翻弄(ほんろう)してしまう」と指摘する。
 それはIT企業に限った話ではない。米フォード・モーターのある幹部は「近い将来、最大のライバルはグーグルになる」と話す。グーグルは電気自動車とつなぐ充電器の周辺で技術開発やM&Aを繰り返し、日本や欧米企業と異なる「別規格」を世界に普及しようとしている。
 自動車大手が懸念するのは「ドライバーが発する情報がグーグルに吸い上げられる」ということ。付加価値を巡る戦いは、ここでも境界がなくなっていく。
 だれが勝者か見通せなくなる時代。日本企業はそんな変化に対応し、会社の形を柔軟に変えようとしているのか。上場企業の昨年度の手元資金はやはり過去最高だったが、米国などと比べて、M&Aは圧倒的に少ない。積み上がった資金をどう使うか。日本企業だけが静かに感じられるのは、やはり気がかりだ。
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(#゜Д゜)/新聞

任天堂の低迷は携帯ゲーム人気のせいか(COLUMN)
 携帯電話などで手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」の人気が高まり、家庭用ゲーム機市場にも影響が及んでいるのではないか――。ゲーム関連企業の業績推移からそんな仮説も取りざたされるなか、ソーシャルゲームのユーザー動向を知ることができる格好の調査結果が現れた。果たして携帯電話ゲームは家庭用ゲーム機市場のパイを奪っているのか。
足元の業績は明暗くっきり
 ディー・エヌ・エー(DeNA)の2010年1~3月期決算によると、携帯電話向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「モバゲータウン」の売上高は139億円で、09年9~12月期の68億円から倍増した。増加分のほとんどは今年1月から本格展開しているアイテム課金方式を基本としたソーシャルゲームなどのゲーム事業だ。
 同じく携帯電話向けSNS「GREE」を展開するグリーも、09年9~12月期に81億円だった売上高を10年1~3月期には92億円へと順調に伸ばしている。やはりソーシャルゲームの利用拡大による有料課金収入の伸びが大きい。グリーの最近2年ほどの売上高は四半期ベースで右肩上がりの成長を続けている。
 一方、任天堂の10年3月期決算は、売上高が前の期比22%減の1兆4343億円。「ニンテンドーDS」「Wii」の販売台数はともに発売以来初めて減少に転じた。
 もっとも3社の業績の明暗から、家庭用ゲーム機のユーザーがソーシャルゲームに流れていると拙速に結論づけることはできない。09年12月発売の「New スーパーマリオブラザーズ Wii」は360万本もの大ヒットとなり、これに牽引される形でWiiは安定的に売れている。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3」向けソフト「ファイナルファンタジーXIII」も185万本を売り上げる結果を出した。もちろん、家庭用ゲーム機市場ではヒット作とそうでないものの格差が大きく広がったのは事実だが、日本の家庭用ゲーム機市場の縮小がソーシャルゲームにユーザーを奪われた結果だと単純に言い切ることはできない。
SNSのゲームで遊んでいるのはだれか
 ソーシャルゲームの人気を支えるユーザーとはどのような層なのか。その実態をうかがい知ることができるのが、アスキー総合研究所が09年11月に実施した大規模調査「MCS(メディア&コンテツ・サーベイ)2010」だ。全国の12~69歳の男女を対象にインターネット経由で実施し、1万580件の有効回答を得た。
 この調査では、ユーザー層を(1)普段ゲームを遊んでいない「一般ユーザー」、(2)「電撃オンライン」といったゲームメディアを読んでいてアクティブなゲームユーザーと考えられる「ゲーム情報サイト読者」、(3)「週刊アスキー」などの「PC誌読者」――の3つに区分し、それぞれのSNS向けゲームの利用状況を調べている。
 それによると、「SNS上(1人用を含む)のゲーム」を「過去半年以内に利用した」人の比率は一般ユーザーが48.7%で最も高く、他のユーザー層を10ポイント近く引き離している。SNSゲームを「利用したことはない」という回答も、一般ユーザーが34.9%ともっとも少ないのに対し、他の2つのユーザー層は50%超と明らかな差が出ている。
 SNSのユーザー同士で交流する機能を備えた「SNS上のソーシャルゲームの利用状況」でも傾向は同じだ。「過去半年以内に利用した」は一般ユーザーが19%で、他のユーザー層のほぼ2倍に達する。
 一方、SNS上のソーシャルゲームを利用したことのない人に「認知度」を聞いた質問では、「知らなかった」という一般ユーザーが48.4%でもっとも高く、逆に「内容まで知っていた」という一般ユーザーは6.7%と、他のユーザー層の半分程度の比率にとどまっている。ソーシャルゲームで遊んでいる一般ユーザーは多いが、知らない人はまったく知らないという状況が見えてくる。
 この調査が行われた昨年11月は、ミクシィが他社サービスの参入を認めた「mixiアプリ」を本格展開し始めた時期で、グリーも自社開発のSNSゲームで攻勢をかけていた。一方、DeNAはまだ他社に開放するオープン戦略を始める前であり、現時点とは市場環境が異なることは考慮する必要がある。

 それでもこのデータからは、ゲームを普段遊び慣れているユーザーはSNSのゲームにそれほど高い関心を払っていないという傾向が読みとれる。一方、一般ユーザーはSNSのゲーム自体をあまり知らない人も多いが、SNSでゲームをやるようになった人の割合もまた一番多い。何かをきっかけにして、それまでゲーム機などでゲームを遊んでいなかったユーザーがソーシャルゲームを遊び始めているのだ。
04年ころに起きた「ゲーム離れ」の原因
 そもそも家庭用ゲーム機は、04年ころにはすでに一般に遊ばれなくなる傾向が出ていた。Benesse教育研究開発センターが04年に実施した「第1回子ども生活実態基本調査報告書」によると、一日に「ゲームをほとんどしない」という子どもは、中学生男子で20.8%、高校生男子で42.2%。女子はさらに多く、中学生女子で55%、高校生女子では80.6%に達していた。
 04年は「iモード」などにより携帯電話が一気に普及したタイミングであり、「ゲーム離れ」が言われた時期でもある。ところが、同じBenesse教育研究開発センターが09年に実施した「第2回子ども生活実態基本調査報告書」では、この数字が大きく変わっている。
 1日に「ほとんどゲームをしない」という子どもは男女ともに減り、中学生男子では13.2%、高校生男子でも28.5%まで低下した。女子も中学生で34.8%、高校生で57.5%と20ポイント近く下がっており、この5年間でゲームで遊ぶ子どもが急激に増えたことを示している。
グリーのウェブサイト画面
 この調査では、ゲームの定義を「テレビゲーム(パソコンゲーム、携帯型ゲーム機、携帯電話のゲームを含む)」として質問しており、どのゲームで遊んでいるかまでは把握できない。ただ、分析では背景として「携帯型のゲーム機や携帯電話を用いたゲーム」の台頭を挙げており、特に女子がゲームで遊ぶ時間が増えたと指摘している。
 日本でソーシャルゲームを展開している各社とも、主要なプラットフォームはパソコンではなく携帯電話向けだ。10年3月末現在の携帯電話のページビュー比率は、ミクシィが84%(総会員数1985万人)、グリーが99%(1843万人)、DeNAは100%(1813万人)である。
 しかも、3社とも現在の会員の年齢構成比の中心は20代が担っている(ミクシィ52%、グリー35%、DeNA42%)。このことから、04年ころから携帯電話を持ち始め、家庭用ゲーム機で遊ぶ習慣がほとんどなかった10代後半から20代前半のユーザー層が現在のソーシャルゲームの受け皿になっているのではないかと推測できる。さらに、今の10代の子どもたちがその予備軍として携帯電話のゲームで1日の何分かを使っている。
ゲーム機以外の市場に影響か
 そう考えると、ソーシャルゲームは国内家庭用ゲーム機市場と直接競合するというより、今までアプローチできなかった潜在ユーザーを取り込むことで急成長したととらえることができる。ソーシャルゲームが好調でありながら、家庭用ゲーム機でヒットタイトルが登場していることも不思議でないことになる。
 ただ、当然のことながら、ソーシャルゲームで遊ぶユーザーが増えれば、相対的に別の活動に使う時間が減少することになる。アスキー総合研究所の遠藤諭所長は、ソーシャルゲームの人気は、「家庭用ゲーム機というよりも雑誌やコミックなどの他のメディアの売上げに影響が出ているのではないか」と分析している。



【日本発 アイデアの文化史】携帯音楽プレーヤー
  先鋭化されたウォークマンの哲学
 昭和22年の創刊以来、60年以上にわたって戦後日本のジャズ文化を牽引(けんいん)してきたジャズ専門誌「スイングジャーナル」が、部数低迷や広告収入の減少を理由に来月発売号で休刊する。ソニーの小型カセットプレーヤー「ウォークマン」が発売されたのは31年前のこと。老舗雑誌の休刊と、ウォークマン以降の革命的な音楽環境の変化は、因縁めいたものを感じる。
 ウォークマン以来、各企業はより軽く、より小さく、より多くの音楽を求めて新端末の開発に心血を注いできた。デジタル技術の発達に伴い、音楽を収納する「入れ物」もまた、レコードからカセット、CD、MD、ハードディスクに小型メディア…とめまぐるしく姿を変えた。
 「昔はレコードを丁寧に袋から出して、そっとターンテーブルに置いて、慎重に針を落とす…そういう茶道の世界のような一連の作法がありました。昔を知る者としては、懐かしくもありますね。最近はCDも買わない人もいるようですから」
 ソニーの広報担当者のそんな言葉は印象的だった。
                  ◆◇◆
 米アップルの携帯デジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」と、コンテンツ管理ソフト「iTunes(アイチューンズ)」は、音楽のデジタル化とインターネットの普及に伴う大きな「発明」といえる。iPodは2001年の発売以来、世界中で約2億5千万台を販売、10年のうちに急速にシェアを伸ばしてきた。ウォークマンは31年で4億台である。
 アップル・ジャパン広報は「端末のiPodばかりが注目されがちですが、iTunesというソフトウエアが優れていたこともユーザーに広く受け入れられた大きな理由でしょう」と強調する。設定を変えることも可能だが、確かにiTunesの使い方は基本、シンプルだ。
 ネットに接続されたパソコンにCDを入れると、曲名などの情報とともに、音楽がiTunesを通じて自動保存される。あとはiPodをケーブルでパソコンにつなぐだけで音楽が転送、音楽を持ち歩ける状態に。
 「子供でも分かる直感的な使いやすさが特徴」と広報担当者。レコードやラジオからせっせとオリジナルテープを作っていた時代とは、隔世の感がある。
 「iTunesの新しさは、簡単に音楽をパソコンで管理できるということを提示したところにある」
 デジタルメディア評論家で津田塾大講師の麻倉怜士(59)はそう語る。
 「レコードからカセットへ、CDからMDへといったそれまでの変換、管理が容易になり、自分の『棚』をそのまま持ち歩く感覚になった。大容量化によって、もはや自分だけのベスト版を作る必要もなくなった」
                  ◆◇◆
 音楽を楽しむのに、今や大仰なステレオは必ずしも必要ない。あるいは専用端末さえ必要なく、携帯電話単独でだって音楽に触れることができる。
 背景には、ネットなどを通じた音楽配信の成長がある。音楽のほか動画、ゲームなども扱うアップルのコンテンツ配信サービス「iTunes Store(アイチューンズ・ストア)」は、楽曲販売で全米1位を記録。国内でも携帯電話向けの音楽配信サービス「着うた」をはじめ、音楽配信は順調に定着している。
 音楽配信は実際の店舗に足を運ぶこともなく、音楽を曲単位で買い、持ち歩くことを可能にした。これだけが理由ではないにせよ、CDは一方、国内では平成10年をピークに年々、売り上げを落としている。レコード会社はビジネスモデルの変革を迫られ、広告収入の減少やネットの普及などで、老舗雑誌が休刊を余儀なくされている。
 「今やCDを買うこと自体が一種のフェティシズム(物的愛着)になりつつある」。メディアジャーナリストの津田大介(36)は、そう語る。「利便性を追求していく中、インフラやネットの発達で音楽の流通も人々が音楽を知る経路も変わってきた。こうした変化はいい悪いではなく、必然」
 「時間や場所を問わず、好きな音楽を良い音で聴く」というウォークマンの基本哲学は、31年かけて先鋭化されてきた。そして、その先で、いや応なく失われていくものもある。
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(゜A゜;)ゴクリ新聞

レナウン、中国大手の傘下に 山東如意が4割出資へ
 東証1部上場の大手アパレルメーカー、レナウンは中国の繊維大手、山東如意集団(山東省)を引受先とする第三者割当増資を実施し、同社の傘下に入る方向で最終調整に入った。山東如意は約40億円で発行済み株式の約40%を握る筆頭株主になる。中国大手の支援を受けレナウンは再建を急ぐ。家電量販店大手の蘇寧電器集団(江蘇省)がラオックスの筆頭株主になるなど中国企業の日本企業へのM&A(合併・買収)が増えている。業績悪化に苦しむレナウンのような老舗が対象になる例も増えそうだ。
 レナウンはワールドなどに次ぐ大手アパレル3位グループの一角。2010年2月期の連結売上高は1290億円で、中国企業の傘下に入る日本企業としては最大規模となる。
 レナウンはブランド売却など大幅リストラで、10年2月期の連結最終損益は109億円の赤字と、4期連続の最終赤字を計上した。今期も経営環境は厳しく、経営体力の強化が不可欠となっていた。
 中国8位の総合的な繊維・アパレル企業である山東如意集団は、現在レナウン株式の25%を持つ投資ファンドのネオラインホールディングス(東京・港)を抜いて筆頭株主になる。
 レナウンを傘下に収めることで日本市場に本格参入するとともに、「ダーバン」など知名度の高いレナウンのブランドを、中国市場で展開できる。レナウンはすでに一部ブランドを中国で販売しているが、山東如意の販売網を活用すれば、早期の事業拡大が見込める。中国での低コスト生産に向けて山東如意の生産拠点も活用できる。
 レナウンは27日に定時株主総会を開く予定だ。筆頭株主のネオラインは今月、レナウンの取締役選任議案に反対する意向を表明するなど、再建の道筋が見えないことに不満を表明していたが、今回の資本増強は了承しているもよう。
 自動車大手のBYD(広東省)は日本の金型大手オギハラの工場の買収を決めるなど、09年以降、中国企業による日本企業へのM&Aが相次いでいる。日本の国内市場が縮小する一方で、日本企業がもつブランド力、経営ノウハウや技術力は、急成長する中国企業にとって活用の余地は大きい。
 これまでは部品メーカーなど中間財を手掛ける企業の買収が目立ったが、蘇寧電器によるラオックスに続き、レナウンも中国企業の傘下入りすることで対象がさらに広がる。08年の世界同時不況以降、日本に比べて中国経済の立ち直りは早く、今後も日本への投資は活発になりそうだ。



10年後「今より良いと思わない」75% 電通総研調査
 10年後の日本が心配――。消費者にそんな意識が高まっていることが、電通総研の調査でわかった。不安感から節約をするようになり、消費が伸び悩む原因にもなっているという。一方で、将来のためには、値段が高くても環境などに配慮した商品を買いたいという人も目立つ。
 全国の18~69歳の男女1千人に3月、インターネットを通じて尋ねた。10年後の日本について「今より良くなっていると思わない」とした人が75.2%に達した。これまでの調査で最高だった1996年の70.7%を超えた。福祉や教育の水準、国内の治安などが悪い方向に向かっていると感じている。



書籍市場は30週ぶりとなる週間200億円割れに
 5月24日付書籍市場の総売上額は184.1億円。対前週比86.6%と先週に引き続いての前週比減を示しただけでなく、下げ幅も拡大。09年10月19日付(183.6億円)以来となる200億円割れとなり、対前年同週比も97.0%に留まった。
 BOOK、コミック、文庫の3部門ともが前週比減、前年同週比減を示しており、特にコミックの週間市場規模は37.5億円で、前週比75.9%と大きく後退。市場を牽引するようなインパクトのある新刊が少なく、前年同週比も97.7%とした。
 出版社別では講談社が週間売上額を14.8億円として、3週ぶりにトップとなったが、同社売上の前年同週比も83.9%と大きく後退したかたちだ。同社の週間実績のうち、BOOKが前年同週比を101.7%とし、文庫も同96.6%に留まったのに対し、コミックは同71.3%。やはり、このコミックの不振が大きく響いたかたちだ。



総務省、政策減税の検証義務化 効果薄ければ廃止
 総務省は企業や個人向けの政策減税である租税特別措置(租特)に効果が出ているかを検証するため、費用対効果などの詳細な評価・分析を各省庁に義務付ける方針を決めた。主に2011年度以降の税制改正で新たに延長・拡充する措置を対象とする。租特を設ければ本来得られるはずの税収が減る。効果が薄い租特を廃止して財源確保につなげる狙いだ。
 租特を巡っては自民党政権下で特定の業界への利益誘導になっているとの批判があり、現政権は10年度の税制改正大綱で抜本的な見直しを打ち出した。今夏の参院選マニフェスト(政権公約)でも民主党は「原則廃止」を盛り込む方針だ。
 総務省は今月末にも政策評価法に関する政令を改正し、政策実施の前に評価・分析しなければならない対象に租特を加える。例年、各省庁は8月末をメドに来年度の税制改正要望を政府税制調査会に提出するが、租特の延長や拡充を求める場合には評価結果をセットで出すように求める。
 これに併せ、総務省は評価の具体的な手法を示したガイドライン案を作成した。(1)税収の減少見込み額(2)減税によって達成する数値目標(3)波及効果など客観的データ(4)政策の緊急性――などを明示させる。各省庁から提出された評価結果は総務省がデータの妥当性などを点検したうえで、税制改正審議の材料とする。



EU、財政規律違反国への制裁強化で合意
 【ロンドン=是枝智】欧州連合(EU)は21日午後、各国の財政悪化を食い止めるため、各国財務相らによる作業部会をブリュッセルで開き、財政規律の協定に違反した国への制裁を厳格化することで大筋合意した。
 制裁金に加え、EU会合での投票権の剥奪(はくだつ)などの「非金融制裁」も科す見通しで、今後、詳細を詰める。
 EUのファンロンパイ常任議長(大統領)が会合後の記者会見で明らかにした。さらに、「ユーロ圏のような効果的な危機対応の仕組みを持つ点でも合意した」と述べた。EU全体で危機対応の基金創設を目指すとみられる。
 EUでは、加盟国に「財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下にする」ことを義務づけている。違反した国はEUの執行機関・欧州委員会から是正を勧告され、数年かけて違反状態の解消を目指す。だが、違反国が制裁金を科せられたことはない。その結果、ギリシャのような財政危機を招いた反省から、制裁発動をより迅速に行うようにし、制裁そのものも厳しくする。
 作業部会はさらに2回会合を開き、6月17~18日のEU首脳会議に報告する。



中国・少数民族政策は「支援」「規制強化」の硬軟両様
 【北京=川越一】中国政府は、新疆ウイグル自治区に関する「中央新疆工作座談会」を初めて開き、生活水準向上などを盛り込んだ支援計画を明らかにした。1980年から計5回同様の会議が開かれているチベット自治区では締め付けが強化されており、民族問題がくすぶる両自治区に対する、政府の対照的な姿勢がうかがえる。
 17~19日、北京で開かれた会議の中で、胡錦濤国家主席は新疆ウイグル自治区を「戦略的に特に重要な地域」と位置づけ、「5年以内にインフラを改善し、発展能力を高め、民族の団結を強化し、社会の安定を堅固なものにしなければならない」と強調した。
 計画では、優遇税制の導入や資源の有効活用を通して、住民一人当たりの国内総生産(GDP)を、5年で全国水準に引き上げることを目標に掲げている。胡主席は、自治区住民に現代的かつ文明的な生活環境を提供し、公共サービスの充実を図っていくため、さらに多くの資金を投入することも約束した。 
 同自治区では昨年7月、ウイグル族による大規模暴動が発生。中国共産党は今年4月、責任を問われていた王楽泉党委員会書記を解任した。権力争いが背景にあるとはいえ、約15年間君臨していた自治区トップの首をすげ替え、住民の不満に対する配慮をアピールした格好になっていた。
 一方、チベット自治区ラサでは、コピー店でコピーを取る際に身分証や文書の内容、部数などの提示を義務づける規定の導入が進められている。
 英字紙チャイナ・デーリーによると、2008年の大規模騒乱の後、ラサの公安当局は、チベット仏教僧らが違法な内容を含んだビラなどを頻繁に配布していたと主張。新規定には、“反乱分子”の宣伝活動を抑える狙いがある。
 インターネット上には、「暴動を起こしたければコピー機を買えばいい」「ラサではコピーは一種の凶器」といった嘲笑(ちようしよう)があふれているが、AP通信によると現地では、チベット語など判読できない言語で書かれた文書のコピーを拒否するなど、当局の意図をくみ取り、罰則回避の自衛策を講じる店舗も現れている。



マンガ業界の“最下層”コンビニコミックの泥沼化
 90年代半ばをピークに長期低落傾向が続く出版業界で、主力商品として期待されてきた“激安商品”がある。「コンビニコミック」と呼ばれる廉価版コミックスだ。90年代後半から小学館が販売を開始し、今ではほとんどの出版社で取り扱っている。ペーパーバック形式の簡素な装丁で、販売チャネルはコンビニの店頭がほとんど。中心価格は300~500円だ。『ゴルゴ13』(リイド社)や『三丁目の夕日』(小学館)など、過去に単行本化された著名作品の再録版から、芸能ゴシップや怪談話などのユルいネタを無名作家に安く依頼して仕上げたものまで、そのラインナップは実に幅広い。
「もともと、『不況でも売れる安いマンガ本をつくってくれ』というコンビニからの要請で生まれた商品なんです。小売の立場が強くて、版元は儲けがなくても断れない。ほかの流通が抱える問題と、構図は一緒ですよ」(編集プロダクション社員)と言う通り、低コストでつくる出版社側の利益も低い。コンビニやスーパーの“強い要請”で、メーカーがプライベートブランドをつくらざるを得ない構図と同じというわけだ。
 一般にコンビニコミックに描く作家のギャラは、「ページ7000円~1万円が相場。最低ラインで3000~5000円くらい」(同)というから、「最低ライン」なら月に20ページ書いても6万円程度。増刷の場合の印税率も、「6%から大手で10%。無名作家なら印税契約なしも普通」(同)とのことだ。こうした「無名作家」で7~8割の紙数をさばき、残り2~3割を人気作家の再録作品を看板にして「抱き合わせで売る」手法も多いという。
 いかに薄利多売とはいえ、この絶望的なまでの出版不況。出版社としても手間のかからないコンビニコミックに期待をかけたいところだが……その売れ行きもここ数年は凋落傾向にあるよう。「最近は規制が厳しくてタブーが全然描けなくなった」というのは、別の編集プロダクション社長のぼやきだ。
「音事協(日本音楽事業者協会)が肖像権侵害にうるさくて、タレントの実名で芸能ネタが全然描けない。商売あがったりですよ」
 音事協とは、バーニングプロダクションやホリプロ、吉本興業といった大手から、中小の芸能プロまで100社以上が加盟している業界団体(ジャニーズ事務所は未加盟)。報道でタレントの名誉が毀損された場合、協会が主導となって民事や刑事での訴訟も辞さないというのが基本姿勢だ。その音事協がここ数年、特に注力しているのがタレントの肖像権というわけである。
 コンビニコミックといえば、古くは田代まさしの盗撮事件から、最近ではのりピー逮捕の裏側など、ゴシップをおもしろおかしくマンガ化するものも多く、怪談や都市伝説モノと並び、コンビニコミックを支える強力な商品カテゴリーだった。にもかかわらず、表紙に写真が使えなくなり、そっくりな似顔絵風マンガも危険……となれば、つくり手側にとって大きな痛手だ。
 もちろん、売り上げが悪ければ、作家のギャラも上がらない。ただでさえ安い賃金で描かされている、「売れない作家」の不満はいかばかりか。特にここ最近、人気のマンガ家が待遇への不満をブログに書き込むなど、版元とトラブルになるケースが続出している。これについて発注する側はどう考えているのだろうか。
「安いというけど、ページ5000円のギャラを8000円にしたら赤字だよ? 経営感覚ないくせに要求だけされても困る。そもそも仕事がない人に『この単価で描けるなら参加してよ』と声をかけてる。普通の社会人なら賃金の格差なんてたくさんありますよ」(前出・編プロ社長)
 結局は、絵がうまくておもしろければ売れる世界。単価に見合った仕事しかできない作家は、そこから抜け出すことも難しいようだ。



(企業収益 回復は続くか)成長への種まきが課題 再び吹く逆風
 企業収益が回復軌道に乗ってきた。上場企業の2010年3月期は経常利益が2年ぶりに増加。新興国の旺盛な需要増を背景に、今期も大幅な増益を見込むが、欧州発の金融市場の変調が回復に水をさす懸念が広がっている。
インドの自動車市場は拡大が続く(日産・ルノーの合弁工場)
先進地域で首位
 上場企業の11年3月期の純利益は7割増になる見通しだ。米トムソン・ロイターの調べによると、10年の米国主要500社の純利益は33%増、欧州主要600社も33%増。日本企業の収益拡大ペースは先進地域で首位に躍り出る。だが、足元で進む急速なユーロ安・円高が大幅増益にブレーキをかける恐れがある。
 「抜本的な対策をやるなら商社でもやって輸入を増やすしかない」とソニーの大根田伸行副社長は嘆く。同社は対ユーロ1円の円高で年70億円の利益が目減りする。ユーロ建ての調達を増やし売上高と相殺すれば、影響は軽減できるが、ユーロ建てで買える部品や材料は少ない。
 対ドルでも円高が進み、輸出企業の多くが想定する1ドル=90円前後まで円が上昇。円相場とともに企業が警戒するのは、金融市場の変調が実体経済へ波及することだ。「中国など新興国の景気減速につながる事態になるか気がかりだ」(コマツの木下憲治・最高財務責任者)
アジア勢が躍進
 リーマン・ショック後の世界不況の中で日本企業はコスト構造改革を進め、収益力を回復した。だが、再び吹き始めた逆風の中で、回復持続には一段のコスト削減を迫られる。さらにグローバル競争の舞台では、新たな課題も浮上している。
 「韓国勢には目を見張るものがある」(日産自動車の志賀俊之最高執行責任者)。日産は中国市場で日本勢トップを走るものの、現代自動車はその上をいく。日本車に比べ3割程度安い小型セダンが好調。中国でのシェアは独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぎ3位だ。インドでも販売を伸ばし、09年度の純利益は2.96兆ウォン(2221億円)とトヨタ自動車(2094億円)や日産(423億円)を上回る。
 日本の大手企業が同業のアジア勢に利益で抜かれる例が相次いでいる。中国で年内にも印刷用紙の生産に踏み切る王子製紙。中国の製紙大手、玖竜紙業控股(ナインドラゴンズ)は純利益では王子と同水準だが、成長期待を映す株式時価総額では約2割上回る。
 アジアの有力企業の多くはオーナー経営者が率いており、迅速な経営判断で果敢な投資に出ている。手をこまぬいていれば、差は一段と開きかねない。
 富士フイルムは4月に新興国戦略室を設立、市場開拓に拍車をかける。写真フィルムで世界に張り巡らしたネットワークを生かし、医療機器、デジカメ、印刷材料などを売り込む。「経営資源を思い切って新興国に投入する」(高橋俊雄専務)
 日本の主要輸出30社の海外売上高の構成比をみると、10年3月期はアジア・その他が40.2%と1年前に比べ2.6ポイント上昇。米州37.1%、欧州22.7%との差を広げた。成長市場を巡る争奪戦はアフリカなど途上国にも広がりつつある。
 金融市場の混乱やアジア勢の台頭など急変する収益環境に向き合いながら、将来の成長へ向けた種をどれだけまけるか。企業には攻めと守りのバランスが求められる。



【産経主張】円高株安 市場の不信拭う意思示せ
 ギリシャの財政危機から始まった欧州の信用不安が拡大し、世界的な株安が日本にも波及した。21日の日経平均株価は今年最安値となった。
 ユーロ安の反動で円高ドル安傾向も強まり、輸出主導で回復しつつある日本経済に冷水を浴びせかねない情勢だ。
 円高株安を協議するため、菅直人副総理・財務相が鳩山由紀夫首相と緊急に会談した。だが、首相は市場動向を注視するよう指示しただけだ。菅財務相も「具体的に何か新たな対応という趣旨のことは一切ありません」と語り、市場へのメッセージを発信しなかった。
 当事者意識が何と希薄なことか。鳩山政権の危機意識の欠如を物語っている。市場を相手に手をこまねいている場合ではない。
 まず、市場の動揺を抑えるため、ユーロ安の是正を欧州に要求し、「日欧米の協調介入も辞さない」との断固たる姿勢を示すべきだ。そのために欧米各国の首脳に電話会議を提案してもいい。
 先進7カ国(G7)による事前の政策協調のすり合わせも欠かせない。株連鎖安のきっかけは、ドイツが他の欧州連合(EU)国に事前通告せずに導入を発表した「空売り」規制と指摘される。
 唐突な規制にフランスや英国などが反発、市場が「EUの足並みの乱れが露呈した」と受け止めて株とユーロ売りが加速した。市場は政策連携の不備を突いてくることを忘れてはならない。
 米上院が可決したばかりの金融規制改革法案についても今後、どのように国際ルールと整合性をとるのかが難題だ。
 規制がかえって円滑な市場の取引を阻害しては元も子もない。日本は金融規制のルールを決める主要メンバーである。それを忘れずに市場の安定に必要な措置をとり、政策協調を進めてほしい。
 財政赤字はいまや欧州だけでなく、景気対策で巨額の財政出動を行った先進国共通の課題だ。財政再建に向けた日本や米国の動向も市場に注目されている。対応次第では投機資金の次の標的になりかねない。先手の対応が必要だ。
 市場防衛には、財政再建や税収を増やす成長戦略が欠かせない。だが、財政健全化法案の今国会提出断念は鳩山政権の無策ぶりを改めて示している。
 打つ手がないのではない。鳩山政権に市場の不信を払拭(ふっしょく)する意思がないのが問題なのである。
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(ヾノ゜Д゜`)ナイナイ新聞

アップルがアドビを見限る事情 (COLUMN)
 ネット上の動画コンテンツを作成・再生するための技術「フラッシュ」を巡って、アップルと開発元のアドビシステムズが激しく対立している。ともに米シリコンバレーの有力企業。かつて蜜月だった両社の関係になぜひびが入ったのか。対立からは、アップルが抱える2つの「事情」が見えてくる。
蜜月関係の終わり
 「(フラッシュがなくても)当社の携帯機器向けにコンテンツが雪崩のように集まっている。もはやフラッシュは不要との証しだ」(アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者=CEO)
ジョブズ氏がフラッシュに関して出した声明
 「誰でもコンテンツを作って公開でき、いつでもどこでもアクセスできる時代の到来をアップルは妨げている」(アドビ創立者のチャック・ゲシキ、ジョン・ワーノック両氏)
 攻防は、双方の首脳が自社サイトに声明を掲げ、相手を批判する事態に発展している。もともとアップルとアドビはデスクトップ・パブリッシング(DTP)市場を共同で切り開くなど歴史的に関係は良好だった。アップルがアドビに約20%を出資する大株主だったこともある。しかし、現時点で両社が歩み寄る気配はない。
 争いの発端は、アップルが2007年に発売したスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」にフラッシュを搭載しなかったことだ。フラッシュ技術はネット上の動画の75%の再生に使われるとされる事実上の業界標準。しかし、iPhoneでネット閲覧すると、フラッシュ動画がはめ込まれた部分に「?」マークが表れ、動画を見られない。アップルはパソコンの「マック」にはフラッシュを載せており、当初IT(情報技術)業界には「いずれiPhoneにも」との楽観論があったが、期待は裏切られる。アップルが今年1月に発表した多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」もiPhoneと同様、フラッシュに非対応。ジョブズ氏が実演したiPadの画面にも「?」が浮かんでいた。
 アップルはフラッシュ排除の理由について、動作の不安定さやバッテリー消費の激しさ、タッチ操作に対応しにくいなど技術的な問題点を挙げる。アドビに再三、改善を求めたが、聞き入れられなかったという。一方のアドビは「誤った情報が伝わっている」と否定。「巨大企業でもコンテンツやその制作方法を制限する権利はない」と反撃に出た。
 アップルは「フラッシュは100%アドビの独占技術で閉鎖的」と主張。グーグルや他のIT大手も受け入れているオープンな次世代ネット言語「HTML5」を支持する。互換性のない2つの技術が対立したままでは、ソフト開発者はコンテンツ制作で二度手間を強いられ、「利便性が損なわれる」と消費者が反発する懸念もある。影響の大きさから問題は深刻化している。
ジョブズ氏の狙いは…
 例えばユーチューブのようにフラッシュ対応ながら「H.264」というファイル形式でも提供され、iPhoneやiPad で再生できるものも多い。だが、事実上の業界標準を主力製品から外すアップルの判断は、経営リスクを伴うはず。それでもフラッシュを遠のけたい「事情」がアップルにあると考える方が自然かもしれない。浮かび上がる事情は2つだ。
 一つ目は、iPhoneでせっかく築いた技術的リードを失う不確定要素を抱え込みたくないとの考えだ。ジョブズ氏の声明に本音をうかがわせるくだりがある。
 「ソフト開発者がiPhoneやiPod、iPadのための最高のアプリケーションを書けるようにするのがアドビの目標ではない。さまざまなプラットフォーム(基本ソフト=OS)に対応したアプリを書けるようにするのが彼らの目標だ」
 アドビはフラッシュを多くのOSに対応させ、特定企業を優遇しない「等距離外交」を事業拡大の基本に据える。仮にアップルがフラッシュを採用した場合、いくら先進的なOSを開発しても、アドビがそれを生かせるフラッシュ技術をアップルのために用意しなければ、ソフト開発者は優れた動画アプリを作れず、アップル製品の魅力も高まらない。アップルがライバルに差を付けようと技術革新に努めても、フラッシュがブレーキになる――。ジョブズ氏の言い分はこう解釈できる。
ネット広告巡る思惑
 ジョブズ氏がビジネス取引で「特別扱い」を好むことはよく知られている。通常インテルのMPU(超小型演算処理装置)を搭載したパソコンには目立つ所にインテルシールを張るのがルール。しかし「格好悪い」(ジョブズ氏)との理由でマックはシールを免除されている。iPhone発売時には通信大手のAT&Tに専用の留守番電話サービスを開発させた。快走するアップルには名門企業も逆らいにくく、ジョブズ氏の要求をのむ場合が多い。
 しかしアドビはアップルになびかず、ここ数年はソフト製品で競合する場面も目立つ。
 スマートフォンではアップルに対し、グーグルが攻勢をかけ、マイクロソフトの新型機も評判は上々だ。強豪ひしめく市場でアップルも、うかうかしてはいられない。フラッシュを自社製品に組み込んで身動きがとれなくなるより、アドビを悪者にしてフラッシュ排除を正当化する方が得策と判断したとしても不思議はない。
 もう一つ考えられる「事情」は、新たに参入するネット広告市場で主導権を握るのにフラッシュは目障りな存在だということだ。
 「これはすべてHTML5でできる。とても簡単だ」。4月8日、ジョブズ氏は今年夏に提供を始めるiPhone用の次期OSの発表会で、携帯機器向けのネット広告市場への進出を表明。フラッシュがなくてもアニメーションなどで見栄えのする広告が作れると試作品を披露した。
 アップルによると、ネット広告はiPhone用アプリに組み込まれ、広告は同社が売り、アプリ開発者が収入の60%を受け取る。アップルの試算では世界のiPhone利用者に、合計で1日10億件の広告を見せることができる。潜在市場は巨大だ。
 ネット広告でも現在はフラッシュが多用されている。フラッシュに頼らない広告の仕組みをアップルが構築できれば、アプリの配信に加えて広告も一手にコントロールでき、収益機会は膨らむ。
フラッシュ優位に異変も
 アドビも引くに引けない。フラッシュ対応コンテンツを作成するソフトは大きな収益源。「PDF」など電子文書作成ソフトの世界的リーダーとの自負もある。アップルに技術力を公然とけなされることでのイメージダウンは見過ごせない。
 アドビの株価は年初からこれまでに約1割下落し、2割ほど上昇したアップルとは対照的だ。現状を放置すれば株主からの批判が高まる。異例の創立者声明でアップルに反論しつつ、携帯分野でのグーグルとの連携を探り始めた。背景には、強い危機感がある。
 HTML5のアップルか、フラッシュのアドビか。ソフト開発者は踏み絵を迫られる。既存コンテンツの作り替えには膨大なエネルギーが必要で、さしあたりフラッシュが存在感を保つとの見方がIT業界では大勢だ。今後の注目点は5月28日に日本など9カ国でも店頭に並ぶiPadの売れ行きや、ネット広告対応を盛り込んだiPhone用新型OSへの評価となる。アップル製品が大きな支持を集めれば、フラッシュ優位だったネット動画の勢力図は一変する。



携帯からのツイッター 高校生「禁止」はおかしい
高校生のツイッター利用を巡ってネット上で議論が起きている。現状では、フィルタリング機能に邪魔されて、高校生は携帯電話からアクセスすることはできない。そこへ、孫正義ソフトバンク社長が記者会見で「そんなことを許してはならない!」と激怒、この制度への疑問が急浮上した。
高校生の携帯フィルタリングについては、2008~09年に、総務省の要請を受けた携帯キャリア各社がフィルタリングサービス加入対象を「希望者」から「18歳未満の契約者は原則的に加入」に変更。高校生は原則として、出会い系サイトのほか、「コミュニケーションサイト」と言われるカテゴリのサイトにアクセスできなくなった。
「早くから使わせないと一生使えない」
ツイッターもこの「コミュニケーションサイト」に分類されるため、高校生は携帯電話から「つぶやき」の、投稿も閲覧もできない。
こうした状況に対し、2010年5月17日、「ツイッター対応ケータイ」を発表したソフトバンクの孫社長が会見で、「大人と学生がコミュニケートできない、そんなナンセンスなことを許してはならない。そんな決まりがあるのであれば、即刻変えねばならん!」と激怒。現在ツイッター上で議論が広がっている。
高校生ツイッターユーザーとして知られ、ツイッター上で孫社長にもフォローされている梅崎健理さん(16)は、こうつぶやいている。「携帯電話は包丁と同じだ。使いこなせば、便利なツールであり、間違えれば凶器。しかし、早くから使わせないと一生使えない」。ツイッターが使えるか否かの環境の違いで情報格差が生まれることを懸念、フィルタリングの見直しを訴えたものだ。
梅崎さんの意見に対しては「高校生とは言え、もういい大人なんだから情報の選別は自分でするべきだ」と支援するコメントもある一方で、「ツイッターが『出会い系』として使われる可能性もある」といった意見も寄せられている。
「携帯からのツイッター規制、余り意味がない」
また、千葉大学教育学部の藤川大祐教授はツイッター上で、アクセスは禁止してもいいが、高校生には「弱いフィルタリング」を設定して解除するのが現実的だ、とした。「閲覧のみに関してはフィルタリングを通してもいいですね。書き込みについてはデフォルトで通すのはさすがにまずいでしょう」という見解だ。
ITジャーナリストの津田大介さんは取材に対し、ツイッターが規約では13歳から利用できることを指摘したうえで、
「高校生もPCからは使っているわけです。そもそもリアルタイムでコミュニケーションできるサービスは他にもありますし、携帯からツイッターを利用できなくしたところで余り意味がありません」
と語る。
一方で、「ミクシィ」や「モバゲー」といったサイトにはフィルタリングがかけられていない。これは、「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」によって「健全」サイト認定されているためで、ツイッターも認定されればフィルタリング解除される。だが、「パトロール体制」などの細かい項目をクリアする必要があり、津田さんは「ツイッターは海外の会社なのでそうしたインフラを整備するのは現実的に難しいでしょう」としている。



IP電話の通話量倍増 NTT、新技術が国際標準規格に
 NTTは通常の電話回線より割安なインターネットを使う「IP電話」の通話量を2倍に増やせる技術を開発、このほど国際標準規格として採用が決まった。音声データを半分に減らして通信する技術で、標準規格に採用されたことにより家庭や企業の通信機器などに広く搭載される見通し。IP電話は利用者が増えており回線網の増設が課題だが、新技術なら既存の回線網の通話量を簡単に増やせるので設備投資を抑えられるという。
 開発した技術は音声圧縮技術の一種で、音声の特徴をもとに余分な音声データを省き通信量を減らす。通常、電話では毎秒64キロビットの音声データをやりとりするが、新技術では半分に減らしても音質が悪くならない。半減によって、同じ回線網で約2倍の通話を送受信できることになる。
 NTTは新技術を、米シスコシステムズ、米テキサス・インスツルメンツ(TI)、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と国際電気通信連合(ITU)に提案。ノキアなどの技術に競り勝ち標準規格に採用された。今後、家庭のルーターなどに搭載される見通し。通話が増えても回線を大幅増設しなくてすみ、投資を抑えられる。
 IP電話はインターネット用の光回線を使う割安な通信サービス。一般の電話からの切り替えが加速し、国内では2009年末に2231万回線に達している。



グーグルの携帯広告買収、米FTCが承認
 米連邦取引委員会(FTC)は21日、米インターネット検索大手、グーグルが決めた携帯電話向け広告会社の買収について「競争を阻害する可能性は低い」と結論付け、承認した。
 グーグルは昨年11月、7億5千万ドル(約675億円)で米携帯広告の「アドモブ」の買収を決定。同社は携帯広告分野でもともとグーグルとライバル関係にあったため、買収で同分野の競争が妨げられる恐れがあるとみて、FTCが調査を開始した。
 しかし、昨年12月に米電子機器大手アップルが、アドモブのライバルでもある米携帯広告会社「クアトロワイヤレス」を約3億ドルで買収、ことし4月に携帯広告事業への本格参入を発表した。FTCは、アップルとクアトロ連合がグーグルとアドモブ陣営に対抗できる有力な勢力になり、携帯広告分野で競争が維持されると判断した。



外国人客の売上高急増 百貨店、来店8割は中国
 全国の主要百貨店で、中国など外国人観光客の売上高が急増していることが、日本百貨店協会の調査で22日分かった。各社の売上高合計は、2月の春節(旧正月)に前年同月の約2・2倍を記録。4月も37・3%増の24億円となっている。
 高級ブランド品をまとめ買いする客が多く、平均購入額は約7万円。来店客の8割程度を占めるのは中国本土からの観光客で、経済成長に伴う収入増加や、観光ビザの取得要件が昨年緩和されたことが背景にある。
 一昨年秋のリーマン・ショック後は外国人客の売上高も低迷したが、昨年7月の中国人のビザ要件緩和をきっかけに上昇。4月の来店客数は37・6%増の約3万5千人で、台湾、韓国、マレーシア、タイなどの観光客も増えている。
 百貨店協会は、免税対象外の化粧品などを含めた外国人の年間売上高を400億円程度とみており、15年までに1千億円に伸ばす計画。



中国古美術品市場が活況 書画、陶磁器が戻る
 中国の古美術品市場が活況を呈している。世界でいち早く景気回復を果たした中国では、古美術への関心が高まっており、高値が付くため海外に流出していた書画や陶磁器などが戻ってきている。
 中国のオークション最大手、中国嘉徳国際競売が15日から17日にかけて北京で開催した春季オークションでは、かつては故宮の収蔵品でありながら国外に流出していた宋代の絵画が7952万元(約10億5千万円)で落札された。
 欧州の美術関連機関によると、2009年に中国の美術品の市場規模は前年比12%増の42億ユーロ(約4800億円)に達し、世界全体の14%を占めた。中国紙、第一財経日報は「中国のモダンアートのバブルは金融危機ではじけたが、現在は伝統的な書画に資金が流れている」と伝えている。



神戸新聞社説
金星探査機/日本の技術で謎の解明を 
 日本初の金星探査機「あかつき」がきのう、H2Aロケットで鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。約半年かけて金星を回る軌道に到達した後、2年以上、観測を続ける予定である。
 日本の惑星探査は、1998年の火星探査機「のぞみ」以来だ。そのときは火星の周回軌道に乗せることができず、失敗に終わった。あかつきは、世界初の惑星気象衛星で、各国からも注目されている。無事軌道に乗り、ベールに包まれた金星の素顔を伝えてくれることを期待したい。
 金星は、地球に最も近い太陽系惑星だ。大きさや重力が似ており、約46億年前の誕生時期もほぼ同じで、姉妹星と呼ばれる。
 しかし、環境は大きく異なる。地球の大気の主成分は窒素と酸素だが、金星は二酸化炭素(CO2)が96・5%を占め、気圧は地球の約90倍もある。上空は濃硫酸の雲で覆われ、太陽の光の8割近くをはね返す。地表面の温度が460度にも達するのは、CO2による温室効果のためだ。
 金星は自転周期が243日とゆっくり回っているのに、上空では秒速100メートルの「スーパーローテーション(超回転)」と呼ばれる暴風が吹いている。気象学的に説明がつかず、金星最大の謎とされる。
 暴風発生のメカニズムをはじめ、地球との環境の違いがなぜ生まれたのか。原因が分かれば、地球の誕生や気候変動の原因を解明する手がかりになる。地球温暖化の有効な対策につながるかもしれない。
 あかつきは、5台の特殊カメラで大気の動きを連続撮影し、成分や雷の発生、火山活動の有無などを調べる。日本の高い技術力で多くの謎を解明してもらいたい。
 H2Aロケットには、薄い膜を帆にして太陽光で進む宇宙ヨット「イカロス」や、22の大学・高専が共同製作した、コンピューターの耐久性を確かめる実験機など、4機の小型衛星も搭載されている。光の力だけで進むイカロスは、木星など遠い惑星に到達する手段として有望視される。
 ただ、「あかつき」は打ち上げも含め252億円かかり、イカロスの開発費は15億円に上る。こうした投資に対する成果が一般の国民には見えにくいとの指摘がある。国はこの機会に事業の費用対効果を明らかにし、日本が宇宙開発に取り組む意義や今後の方針を明確に示す必要がある。
 日本人飛行士の活躍で宇宙への関心が高まっている。科学者を目指す若者たちの参加を、技術力の発展に結びつけたい。
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