(っ゜Д゜)っ新聞

アップルはどこまで強気なのか  米アップルがまたまた話題を提供してくれた。4月27日付日経朝刊は、ヤマダ電機やヨドバシカメラなど家電量販店のインターネット通販サイトが、携帯音楽プレーヤー「iPod」、パソコン「iMac」などのアップル社製品の取り扱いを停止していると報じた。28日朝刊は、アップル社には通販サイトでの価格競争を避けたいとの思惑があるという関係者の見方を紹介した。
革新性が売り物の企業がネットの革新性を否定?
 アップルはこの件について正式なコメントを出していないから、その真意はわからない。ただ、ブランドを守りたいとする同社にとって自分たちがコントロールできないところで自社製品が値引きされていることに不快感を抱いていたことは想像に難くない。
 だが、アップルの今回の行為はどこか矛盾をはらんでいるような気がするのは筆者だけだろうか。アップルが復活したのはネットによる音楽配信を前提とした「iPod」の爆発的なヒットがあればこそ。
 インターネット社会がアップルという革新性のある会社を世界的な存在に押し上げたのは間違いない。
 また、カタログが主体の通販がインターネットのインフラを活用して新たな販路としてネット通販が誕生した。ネット通販も革新性の塊だ。店舗も販売員も必要としないネット通販はコスト競争力がある。だから、店舗販売よりも販売価格を低く抑えることが可能となる。
 アップルもネット通販も共にインターネットを軸とする革新性で社会から必要な存在になったはずだ。それだけに取り扱い停止は少し荒っぽいような気がする。
 同社の販売体制を巡っては1989年、99年に公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査した。ほぼ10年周期に訪れるアップルの市場へのメッセージなのだろうか。今回の件も公取委は関心を示している模様だ。
WSJがアップルの戦略に疑問符
 偶然だが、強気な姿勢に日本の家電量販店などが当惑していたその時期にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版(23日付)に興味深い記事が載った。「アップルの株主が注意すべき7つの理由」というタイトルだ。
 株価も最高値の水準にあり、このほど米国で発売された多機能携帯端末「iPad」のヒットを例に出して「アップルがやることはすべてうまくいくように見える」と記事の最初は同社をほめている。
 しかし、その後はタイトル通り7つの問題点を指摘して、投資家への注意を喚起。その中の1つに「誰でも完全であることはない。間違いを犯した場合に誰がそれを止めることができるのか」と、同社の戦略に疑問を投げかける。
 競争相手が次第に少なくなり、いつの間にか寡占的な地位をつかみつつあるアップル。10年ほど前に巨人マイクロソフトを「ビッグ・ブラザー」と批判したこともあったが、今ではアップル自身がその立場にいる。WSJはアップルの親しみを感じる反逆者のイメージがどうなるのか心配している。
アップル・ブランドの価値の源泉とは
 ブランドイメージを守るために販売チャネルを制限したり、価格を下げなかったりする営業スタイルは宝飾雑貨や服飾のラグジュアリーブランドでは一般的。対象の顧客も富裕層で限定的だ。アップルもれっきとしたブランドだが、大衆に支えられているのが同社の強みだ。自社のネット通販サイトを除き、それ以外のネット通販を閉め出すことで店舗まで買いに行くことのできない消費者も閉め出すことになりはしないか。
 リンゴが落下する自然の理(ことわり)があるように、価格も高い所から低いところに下がるのが自然だ。流通業者が作った革新性と利便性を妨げるのではなく、自らの革新性をより発揮してさらに大衆から必要とされる画期的な商品を開発しつづけることがアップルのブランド価値に磨きをかけると思うのだが。



パチンコホール業界は集客力維持と合理化の両立が課題
 パチンコ業界を取り巻く厳しい事業環境が長期化している。「レジャー白書2009」によれば、参加人口の減少傾向に歯止めがかかっているものの、市場規模(貸玉料の総額)は、ヘビーユーザーのパチンコ離れなどから年々縮小している。
 従来は1玉当たり4円が一般的だった貸玉料を1円に下げた低価貸し営業(いわゆる「1円パチンコ」)の普及で、新しいユーザーをある程度取り込んだものの、低価貸し営業は収益性が低く、市場の拡大にはつながっていない。今後も市場規模の縮小傾向は続く可能性が高い、とスタンダード&プアーズでは考えている。また、売り上げ(貸玉料)の減少により、中小零細オペレーターの中には資金繰りが厳しいところも多く、資金力のある大手による寡占傾向がさらに進むことが見込まれる。
低価貸し営業は、市場拡大につながらず
 2006年から本格的に導入された低価貸し営業は、新規ユーザーや休眠層、ライトユーザーを取り込み、ある程度、パチンコ参加人口や遊技機設置台数の下支えにつながったといえる。
 警視庁発表のデータによれば、08年のパチンコ設置台数は、前年と比べ12万2035台増加し、307万6421台となっている。スロットは同時期に18万7087台減の144万8773台となった。ただ減少幅は、前年に比べ縮小しており、09年もこの傾向が続いている。
 一方、スロットは遊技機規制の改正により07年に新規則機(5号機)に完全に切り替わったため、高い射幸性を好むファン層が大幅に縮小したが、低価貸しの導入が徐々に進み、業界全体の遊技機設置台数の大幅減に歯止めをかけていると考えられる。
 ただ、全国のホール数の50%以上が行うようになった低価貸し営業だが、市場の縮小傾向、つまり売り上げの減少を食い止めていない。稼働玉数が増えても、1台当たり売上高は大幅に減少するからである。また、遊技機械代の節約(4円パチンコ用遊技機械の転用など)によるコストメリットはあるものの、低価貸し営業は利益の絶対額も大きく低下する。
 既存ユーザーの減少と低価貸し営業の影響で、ホールオペレーターの収益環境は厳しくなっている。ホールオペレーターは、人件費や景品仕入れの見直しなどのコスト削減をはじめ、低価貸し営業の機械台に中古の機械台を使ったり、ホールごとにユーザーニーズを見極めたうえで異なる機種構成にしたりして、遊技機械費用の軽減に努めている。
 新台の入れ替えスピードの速さはパチンコ業界の有効なマーケティング策の1つであるが、人気のある遊技機械がホールの競争力を決めるため、相対的にパチンコ機メーカーのほうがホールオペレーターよりも機械台価格の交渉力が強い。また、パチンコ機メーカーの遊技機械販売台数の最低ロット数が大きいことや、近年の遊技機械の高機能化による価格高騰もあり、中小零細オペレーターにとっては新台入れ替えのハードルは高く、その結果、大手に比べて店舗の競争力が弱まっている。
 ホールオペレーターは、出玉を絞って、粗利益を確保することが可能である。しかし、出玉の調整による粗利益の確保は、ユーザーに「出ない・大当たりしない」サービスを提供することになるため、中長期的にはある程度の射幸性を求めるユーザー層が離れていく懸念がある、とスタンダード&プアーズでは考えている。特に、パチンコの機種別でシェアが最大であるミドルタイプでは、遊技機械代がかさみやすいなかで、目先の利益確保と、将来的な集客力維持を両立させる対策が課題となるだろう。
 07年4月の大手パチンコホールの破綻、その後の世界的な金融危機から、金融機関やリース会社の与信が縮小しているため、パチンコホール業界は厳しい資金調達環境に直面しており、この傾向は今後も続くと考えている。また、業界内で現在のところ株式を上場しているホールオペレーターもなく、エクイティファイナンスの手段はない。特に、大手よりも中堅以下にとって、資金調達の多様化は重要な課題の1つである。



[FT]日本国債を国内で消化できなくなる日
(2010年5月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 スペイン、ポルトガル、そしてアイルランドに対する仕打ちを見る限り、「債券自警団」は、まだ説得に応じるような雰囲気にない。どんな約束をしようとも、外国から資金を借りすぎている国は問題視されるというのが現状だ。
政府債務残高、GDPの2倍に
 では、国債がすべて国内で消化されていれば問題はないかと言えば、決してそうではない。例えば日本では、政府債務(総額)の約95%が国内で保有されている。国内の投資家に頼りすぎていることから、日本政府は民間部門の貯蓄が減ることと、銀行が国債購入よりも企業などへの貸し出しを優先させることを非常に恐れている。
 借り入れがまだ少なく、人口動態の見通しもさほど悪くない国々であれば、そうした展開は消費と設備投資の回復を示唆する朗報となるだろう。だが日本国債の売り手にとって、これは国債需要の減少にほかならない。
 日本政府は今年、税収を上回る額の国債を発行する。これにより総額ベースの政府債務残高はGDP(国内総生産)の2倍を超える見通しだが、日本国債の市場が飽和する兆しはまだほとんど見られない。
民間の資金余剰、2017年にはゼロに
 ただ、いつまでもノンビリ構えていられるわけではない。バークレイズ・キャピタルの予測によれば、2017年ごろまでには日本の民間部門の資金余剰――現在は、これが公的部門の資金不足を埋めている――がほぼゼロになるという。人口の高齢化に伴って貯蓄が取り崩されるうえ、労働人口における30~44歳の世代(貯蓄性向が最も高い年齢層)の割合が低下するからだ。
 経常収支が赤字になれば、日本は外国の資金を呼び込もうとするだろう(中国の皆さん、こんにちは)。すると、国債間の金利裁定が始まる。
 現在の10年物米国債の利回りは日本国債のほぼ3倍に達しており、全く勝負になっていない。従って日本政府としては、日本国債の実質利回りが相対的に見て十分に魅力のある水準になることを望むしかなくなる。
日本が現実的になる日は近い
 だが、利払い負担が増えれば、政府の収支は一気に悪化する。ただでさえ悪いのだから、一層の悪化など考えたくもないに違いない。菅直人財務相は財政健全化の計画を来月公表する予定だ。増税を抜きにした解決策は想像し難いし、移民の受け入れなど、これまではぐらかされることの多かった問題も避けて通るのは難しいだろう。ギリシャと同様に、日本も現実的になる時期が来たようだ。



【中日社説】
日欧関係 新しい時代築けるか
2010年5月5日
 欧州連合(EU)が統合へ具体的な歩みを始めた戦後の「シューマン宣言」から九日で六十年。先に来日した初代EU大統領は、日欧関係の「新しい出発」を提言した。この好機を生かせるか。
 ファンロンパイ大統領(欧州理事会常任議長)の来日は生憎(あいにく)のタイミングとなった。
 統合欧州の象徴ユーロの信認が揺れるさなか、ギリシャ国債の格下げが報じられ、大統領の出身国ベルギーの政権崩壊も伝えられた。日本側も鳩山政権の支持率が低下、ホスト国として万全の態勢だったとはお世辞にも言えない。
 「西洋の没落をあげつらい、新興国の台頭のなかで、欧州と日本が取り残されているとする論調が散見される」
 神戸大学で講演した大統領は、自ら国際社会の変化に率直に言及しながら、「それでも、日本と欧州が世界で最も豊かで強力な地域であることに変わりはない」と強調し、グローバルな政治的影響力確保のため、日欧がより緊密に協力すべき時だ、と訴えた。
 大統領の発言には十分な根拠がある。欧州の底力は、二十七カ国の国内総生産(GDP)を見ても明らかだ。十八兆ドルの規模は米国の十四兆ドルをしのぎ、域内人口は五億に及ぶ。「統合疲れ」現象は否めないとはいえ、「多様性の中の統一」の理念に込められたダイナミズムは失われていない。
 北欧には、福祉国家と経済的競争力を両立させている国家モデルがある。東欧には、旧社会主義経済から市場経済体制へ移行を進める経験の積み重ねがある。南欧には、イスラムとの共存を含め欧州を欧州たらしめている文明の源泉がある。そして、中欧には独仏の不戦の誓いの原点がある。
 鳩山由紀夫首相は地域政策のモデルとしてEUをあげ、汎ヨーロッパ主義を唱えたクーデンホフ・カレルギー伯が掲げた理念にしばしば言及してきた。大統領は会見でカレルギー伯は「統合の精神的な父親」ではあったとしつつ、現実的統合は戦後、欧州石炭鉄鋼共同体を実現した「シューマン宣言」に始まると指摘し、理念と現実の彼我の差の大きさを再三強調した。
 今回の日・EU定期首脳協議では日欧の「新しい出発」が提示され、政治分野でアフガニスタンでの警察訓練センターの共同建設などで合意した。新たな日欧時代を拓(ひら)く一歩となるのか。鳩山政権の現実的な行動が問われよう。
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漫画家を参考人招致へ 泥沼化する「2次元児童ポルノ規制」で都議会
 子供の過激な性行為を描いた漫画やアニメなど「2次元児童ポルノ」を規制する東京都の青少年健全育成条例改正案で、都議会は今月中に著名な漫画家の参考人招致を実施する。条例案は「健全育成」と「表現の自由」をめぐり、賛成派の自民と修正派の民主が激しく対立。規制に反対する漫画家の招致で、泥沼化する議論の“落としどころ”を探るのが狙いだ。規制対象外となる「小説」との性表現の描写の違いでも意見が交錯し、議論はゴールデンウイーク(GW)明けから再び白熱化しそうだ。
見えぬ着地点
 「(利害関係がはっきりせず)築地市場の移転問題より難しい」。ある民主都議は、条例案の6月議会への先送りが決まった後、そうつぶやき、厳しい表情を見せた。
 全国初の試みとなる条例案で規制するのは、教室での少女強姦(ごうかん)や恋愛と称した近親相姦など社会規範に著しく反した内容の漫画やゲームなど。成人コーナーを設けるなどして、18歳未満の子供への販売抑止を図る狙いだが、「創作活動が萎縮(いしゅく)する」などの考えから反対論も根強い。
 自民側は「作品を見ればこの程度の規制は当たり前」とする。しかし、民主幹部は「(規制対象となる18歳未満と想定できるキャラクター)『非実在青少年』の定義をはじめ、条文のあいまいさを修正する必要がある。場合によっては9月議会で審議してもいい」とし、都側が修正をしない場合には、条例案の再度の先送りも示唆した。
入浴シーンは?
 民主の指摘する「あいまいさ」とはなんなのだろうか。都は先月26日、規制基準を明確にするため、都民から寄せられた疑問点に対する「回答」をホームページに掲出した。
 それによると、藤子・F・不二雄の人気漫画「ドラえもん」に登場する「しずかちゃん」の入浴シーン▽長谷川町子の「サザエさん」のワカメちゃんのパンチラ▽永井豪の「キューティーハニー」の変身シーン-など、裸体や下着姿を描くこと自体は規制の対象外とした。
 また、一般に広く流通しない同人誌は対象とならないとしたほか、「みだりに」や「性的対象として」など、条例案に出てくる抽象的な文言の解説も行った。
 自民側は「作品を見ればこの程度の規制は当たり前」とする。しかし、民主幹部は「(規制対象となる18歳未満と想定できるキャラクター)『非実在青少年』の定義をはじめ、条文のあいまいさを修正する必要がある。場合によっては9月議会で審議してもいい」とし、都側が修正をしない場合には、条例案の再度の先送りも示唆した。
入浴シーンは?
 民主の指摘する「あいまいさ」とはなんなのだろうか。都は先月26日、規制基準を明確にするため、都民から寄せられた疑問点に対する「回答」をホームページに掲出した。
 それによると、藤子・F・不二雄の人気漫画「ドラえもん」に登場する「しずかちゃん」の入浴シーン▽長谷川町子の「サザエさん」のワカメちゃんのパンチラ▽永井豪の「キューティーハニー」の変身シーン-など、裸体や下着姿を描くこと自体は規制の対象外とした。
 また、一般に広く流通しない同人誌は対象とならないとしたほか、「みだりに」や「性的対象として」など、条例案に出てくる抽象的な文言の解説も行った。
 だが、実際に規制対象となるとみられる作品についての具体的な言及はない。都の担当者は「著作権が壁となり、作品名を示すことができなかった。支持を得るには現物を見せるのが一番なのだが…」と弁明に終始する。
小説との違いは?
 規制の対象外となる小説との“格差”を指摘する声もある。
 「コミック表現の自由を守る会」の世話人を務める漫画家、里中満智子さんは、「18歳未満の性体験で言えば『源氏物語』も規制の対象。原作の文学はよくて、漫画化したものは子供に見せられないのか」と疑問を呈する。
 都は小説について、「絵の方が視覚的にインパクトがある。性交や性器を表す言葉は多岐にわたり、どんな子供でもすぐにその意味が理解できるものではない」と説明するが、民主幹部は「文章では絵を上回る表現ができないということか。漫画家はもちろん小説家にも失礼だ」と話すなど異論が噴出した。
 条例成立に向けて課題は山積するが、修正を主張する民主側も具体的なアイデアを持ち合わせていないのが実情。自民側からは「なぜ自分たちで修正案を出さないのか」との批判もある。都議会では漫画家らの参考人招致に向けた準備を急いでいるが、先行きは不透明なままだ。



米グーグルの電子書籍
6月末にも配信開始
 【シリコンバレー=岡田信行】インターネット検索大手の米グーグルは4日、パソコンなどで書籍を1冊丸ごと読めるようにする有料配信サービス「グーグル・エディション」を6月末か7月に始める方針を明らかにした。他社の電子書籍と異なり、閲覧可能な端末を選ばず、料金は各出版社が独自に設定する仕組み。当面は米英など英語圏で始めるとみられる。
 グーグルは書籍の一部を検索するサービス「ブック検索」を展開する計画で、すでに絶版本を含めて1200万冊をスキャナーで読み取って電子データ化済み。この中から出版社の同意を得て1冊丸ごとの有料配信に乗り出す。2010年春に開始したいとして、出版社側と交渉を進めていた。利用者はネットを自由に閲覧できる機器であれば、パソコンでも、パソコン以外の端末でも読むことができる。
 米国を中心に急速に拡大している電子書籍市場では、最大手の米アマゾン・ドット・コムが専用端末「キンドル」に加え、パソコンや携帯電話でも読める専用ソフトを無料配布して配信対象を増やしている。米アップルは4月に多機能端末「iPadを発売し、電子書籍配信サービス「iブックストア」を開始。大手出版社も独自配信を始めるなど競争が激しくなっている。



キヤノン会長「米に開発拠点検討」 日欧と3極に
 キヤノンの御手洗冨士夫会長は3日、米国に基礎研究などを含む技術開発拠点を開設する方針を明らかにした。研究開発は日本国内が中心だったが、日米欧の3極体制づくりを目指す。「日本の研究開発は今まで通り続けるが、米国は世界の『頭脳』が集まる国。そこで新たな技術を開発し、事業の多角展開につなげたい」と強調した。
 ニューヨーク州メルビルに建設する米州本社新社屋の地鎮祭に出席、日本経済新聞の取材に答えた。米国では「当社が手がけていない事業分野の研究開発を進める。候補地は選定中。数年内に開設したい」と述べた。キヤノンは今春、欧州プリンター最大手のオセ(オランダ)を傘下に収め、高速・大型プリンターの技術を獲得している。
 新社屋は2013年に完成する予定。米国は製造業の空洞化が長く指摘されているが、御手洗会長は「技術力は最先端。オバマ政権の輸出拡大方針もあり、製造業は復権する」と指摘した。
 米国は新興国に比べて労務費が高い難点もあるが、「単一国としては世界最大の市場。(労務費を吸収できる)付加価値の高い商品が売れる」と話し、生産体制の拡充にも意欲を示した。



ユニバーサルが企業向け販促サイト 楽曲利用促す
 音楽レコード大手のユニバーサルミュージックは企業向けの販促支援サイトを10日に立ち上げる。楽曲や所属アーティストを活用した商品の開発やサービスの利用を促す。専用サイトを通じて販促支援事業を広くアピールして受注拡大につなげる。音楽市場が低迷するなか、企業間取引を主力事業に育成する。
 サイトには音楽やアーティストの活用案を書き込んでもらうページを用意する。書き込みを踏まえ、ユニバーサルは相手先と企画の内容や予算などを詰める。今後5年以内に、CD販売や楽曲のインターネット配信を除いた企業間取引などの売上高を全体の3割程度に引き上げる考えだ。
 ユニバーサルは1月に企業間取引を担当する専門部署を新設。これまでに飲食店の販促企画用にCDを制作したほか、コンサートチケットを提供した実績がある。新サイトにはこうした事例や事業概要も掲載する。
 レコード会社の企業間取引事業では、ビクターエンタテインメントが伊勢丹の販促企画向けに楽曲を制作した例がある。CDと楽曲のネット配信を合わせた音楽市場は2009年、2年連続の前年実績割れとなる約4075億円にとどまった。今後も新規事業で企業間取引に取り組むレコード会社が相次ぎそうだ。



記者の目◇シャープ、どう生かす「読み間違い」の教訓
 シャープが27日発表した2010年3月期連結決算は、最終損益が43億円の黒字(前の期は1258億円の赤字)となった。主力の液晶テレビや太陽電池の採算が改善。記者会見では片山幹雄社長が「世界的に液晶テレビやパソコン市場の拡大で、来年度まで液晶パネルの足りない状況が続く」との強気な見通しを披露した。ただ記者会見で片山社長が「非常に残念。読み間違えた」と素直に反省の弁を口にした点がひとつある。それは、エコポイント制度の追い風が吹いた3月の国内液晶テレビ需要の急増だ。
 調査会社BCN(東京・千代田)によると、3月に国内量販店で販売された薄型テレビのメーカー別シェア(台数ベース)はシャープが33.4%で首位を守ったが、2月に比べ6.4ポイントもシェアを落とした。3月末を境にエコポイント制度の対象機種が変更されるのに伴う駆け込み需要を背景に薄型テレビ市場が急拡大するなか、ソニーや人気歌手で俳優の福山雅治さんを広告に起用する東芝など、液晶テレビのライバル勢の猛追を受けた格好だ。
 片山社長はシェア急落の原因について「3月の国内市場がここまで膨らむとは思わなかった」と説明する。BCNによると、3月の国内全体の販売台数は前年同月の約2.5倍になったが、これだけの市場拡大に見合う数のテレビをシャープが準備しておらず、量販店の店頭でシャープ製品が“枯渇”状態に陥ったのが真相という。
 もっとも通期でみれば前期の国内液晶テレビ販売台数は前の期比4割増の約550万台に達し、欧米市場での不振を補い世界全体でも2%の販売台数増を確保。特に国内では、利幅の大きい大画面モデルや発光ダイオード(LED)バックライト搭載モデルが好調で、最終黒字確保の立役者となった。
 昨年10月に稼働した液晶パネル主力製造拠点の堺工場(堺市)は、当初計画より3カ月早い今年7月からフル稼働体制に入る。生産能力の増強をバックに、今期の液晶テレビ販売は前期の約1.5倍の1500万台に伸ばす計画だ。
 記者会見では「適材適所で、求めている市場に素早く液晶テレビを送り込むことがシェア確保には重要」と強調した片山社長。今期は国内向けの供給増に加え、これまでコスト削減を目的に抑制していた欧米での販促活動も積極化するという。今回の教訓をバネにシェア奪回を実現できるか、その手腕に株式市場関係者からも熱い視線が注がれることになりそうだ。



金正日訪中 中国は北朝鮮に核放棄を迫れ(5月5日付・読売社説)
 北朝鮮の金正日総書記が、約4年ぶりに中国を訪問している。中朝両国から一切の発表がないままに進行する、いつもながらの異常な北朝鮮の対中首脳外交である。
 金総書記は、北京で中国の胡錦濤国家主席と会談するとみられている。2年前に脳卒中で倒れた総書記が万全ではない体調をおして訪中した狙いは、経済と安全保障の両面で、中国からの支援、支持を取り付けることにあろう。
 胡主席は、首脳会談で、何よりも6か国協議の議長国の首脳として、金総書記に核放棄を強く求めるべきである。
 肝心の6か国協議は、再開のめどすら立っていない。
 いったんは「不参加」を表明した北朝鮮は、その後やや軟化し、経済制裁の解除など条件付き復帰の姿勢に転じた。だが、核兵器保有を含め自らの立場を正当化する姿勢には何らの変化もない。
 胡主席が6か国協議の再開をめぐり、金総書記からいかなる言質をとれるか、が一つの焦点だ。
 北朝鮮は国際社会の警告を無視して、2006年10月と09年5月に核実験を強行した。核拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言し、国連安全保障理事会の制裁決議に背反して核兵器開発を公然と継続している。
 国際社会は、北朝鮮によるこうした危険な核拡散活動を断じて容認することはできない。
 中国には、NPT体制の中核メンバー国として、また安保理常任理事国として、核不拡散体制を強化すべき格別の責任がある。世界の安全を脅かす北朝鮮に、毅然(きぜん)と対処してもらいたい。
 韓国は、海軍哨戒艦の沈没事件に北朝鮮の関与が明白になれば、安保理に提訴する方針だ。金総書記には、事件との関与を否定し、中国の理解を得て、さらなる制裁を回避したい狙いもあろう。
 長年の失政によって、じり貧に陥った北朝鮮の経済は、度重なる核実験や弾道ミサイル発射で、国際社会の経済制裁強化を自ら招いた結果、さらに悪化している。
 北朝鮮にとって、最大の支援国・中国との関係強化は、破綻(はたん)した経済の立て直しに不可欠だ。
 金総書記は、胡主席との直談判で、支援や投資の拡大を要請する可能性がある。北京入りに先立って、中朝貿易の盛んな中国東北部の港湾拠点、大連市を視察したのも、将来への布石とみられる。
 胡主席は金総書記に、核武装と経済発展は両立しないことを、はっきり告げなければならない。
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