(#゜Д゜)/新聞

任天堂の低迷は携帯ゲーム人気のせいか(COLUMN)
 携帯電話などで手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」の人気が高まり、家庭用ゲーム機市場にも影響が及んでいるのではないか――。ゲーム関連企業の業績推移からそんな仮説も取りざたされるなか、ソーシャルゲームのユーザー動向を知ることができる格好の調査結果が現れた。果たして携帯電話ゲームは家庭用ゲーム機市場のパイを奪っているのか。
足元の業績は明暗くっきり
 ディー・エヌ・エー(DeNA)の2010年1~3月期決算によると、携帯電話向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「モバゲータウン」の売上高は139億円で、09年9~12月期の68億円から倍増した。増加分のほとんどは今年1月から本格展開しているアイテム課金方式を基本としたソーシャルゲームなどのゲーム事業だ。
 同じく携帯電話向けSNS「GREE」を展開するグリーも、09年9~12月期に81億円だった売上高を10年1~3月期には92億円へと順調に伸ばしている。やはりソーシャルゲームの利用拡大による有料課金収入の伸びが大きい。グリーの最近2年ほどの売上高は四半期ベースで右肩上がりの成長を続けている。
 一方、任天堂の10年3月期決算は、売上高が前の期比22%減の1兆4343億円。「ニンテンドーDS」「Wii」の販売台数はともに発売以来初めて減少に転じた。
 もっとも3社の業績の明暗から、家庭用ゲーム機のユーザーがソーシャルゲームに流れていると拙速に結論づけることはできない。09年12月発売の「New スーパーマリオブラザーズ Wii」は360万本もの大ヒットとなり、これに牽引される形でWiiは安定的に売れている。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3」向けソフト「ファイナルファンタジーXIII」も185万本を売り上げる結果を出した。もちろん、家庭用ゲーム機市場ではヒット作とそうでないものの格差が大きく広がったのは事実だが、日本の家庭用ゲーム機市場の縮小がソーシャルゲームにユーザーを奪われた結果だと単純に言い切ることはできない。
SNSのゲームで遊んでいるのはだれか
 ソーシャルゲームの人気を支えるユーザーとはどのような層なのか。その実態をうかがい知ることができるのが、アスキー総合研究所が09年11月に実施した大規模調査「MCS(メディア&コンテツ・サーベイ)2010」だ。全国の12~69歳の男女を対象にインターネット経由で実施し、1万580件の有効回答を得た。
 この調査では、ユーザー層を(1)普段ゲームを遊んでいない「一般ユーザー」、(2)「電撃オンライン」といったゲームメディアを読んでいてアクティブなゲームユーザーと考えられる「ゲーム情報サイト読者」、(3)「週刊アスキー」などの「PC誌読者」――の3つに区分し、それぞれのSNS向けゲームの利用状況を調べている。
 それによると、「SNS上(1人用を含む)のゲーム」を「過去半年以内に利用した」人の比率は一般ユーザーが48.7%で最も高く、他のユーザー層を10ポイント近く引き離している。SNSゲームを「利用したことはない」という回答も、一般ユーザーが34.9%ともっとも少ないのに対し、他の2つのユーザー層は50%超と明らかな差が出ている。
 SNSのユーザー同士で交流する機能を備えた「SNS上のソーシャルゲームの利用状況」でも傾向は同じだ。「過去半年以内に利用した」は一般ユーザーが19%で、他のユーザー層のほぼ2倍に達する。
 一方、SNS上のソーシャルゲームを利用したことのない人に「認知度」を聞いた質問では、「知らなかった」という一般ユーザーが48.4%でもっとも高く、逆に「内容まで知っていた」という一般ユーザーは6.7%と、他のユーザー層の半分程度の比率にとどまっている。ソーシャルゲームで遊んでいる一般ユーザーは多いが、知らない人はまったく知らないという状況が見えてくる。
 この調査が行われた昨年11月は、ミクシィが他社サービスの参入を認めた「mixiアプリ」を本格展開し始めた時期で、グリーも自社開発のSNSゲームで攻勢をかけていた。一方、DeNAはまだ他社に開放するオープン戦略を始める前であり、現時点とは市場環境が異なることは考慮する必要がある。

 それでもこのデータからは、ゲームを普段遊び慣れているユーザーはSNSのゲームにそれほど高い関心を払っていないという傾向が読みとれる。一方、一般ユーザーはSNSのゲーム自体をあまり知らない人も多いが、SNSでゲームをやるようになった人の割合もまた一番多い。何かをきっかけにして、それまでゲーム機などでゲームを遊んでいなかったユーザーがソーシャルゲームを遊び始めているのだ。
04年ころに起きた「ゲーム離れ」の原因
 そもそも家庭用ゲーム機は、04年ころにはすでに一般に遊ばれなくなる傾向が出ていた。Benesse教育研究開発センターが04年に実施した「第1回子ども生活実態基本調査報告書」によると、一日に「ゲームをほとんどしない」という子どもは、中学生男子で20.8%、高校生男子で42.2%。女子はさらに多く、中学生女子で55%、高校生女子では80.6%に達していた。
 04年は「iモード」などにより携帯電話が一気に普及したタイミングであり、「ゲーム離れ」が言われた時期でもある。ところが、同じBenesse教育研究開発センターが09年に実施した「第2回子ども生活実態基本調査報告書」では、この数字が大きく変わっている。
 1日に「ほとんどゲームをしない」という子どもは男女ともに減り、中学生男子では13.2%、高校生男子でも28.5%まで低下した。女子も中学生で34.8%、高校生で57.5%と20ポイント近く下がっており、この5年間でゲームで遊ぶ子どもが急激に増えたことを示している。
グリーのウェブサイト画面
 この調査では、ゲームの定義を「テレビゲーム(パソコンゲーム、携帯型ゲーム機、携帯電話のゲームを含む)」として質問しており、どのゲームで遊んでいるかまでは把握できない。ただ、分析では背景として「携帯型のゲーム機や携帯電話を用いたゲーム」の台頭を挙げており、特に女子がゲームで遊ぶ時間が増えたと指摘している。
 日本でソーシャルゲームを展開している各社とも、主要なプラットフォームはパソコンではなく携帯電話向けだ。10年3月末現在の携帯電話のページビュー比率は、ミクシィが84%(総会員数1985万人)、グリーが99%(1843万人)、DeNAは100%(1813万人)である。
 しかも、3社とも現在の会員の年齢構成比の中心は20代が担っている(ミクシィ52%、グリー35%、DeNA42%)。このことから、04年ころから携帯電話を持ち始め、家庭用ゲーム機で遊ぶ習慣がほとんどなかった10代後半から20代前半のユーザー層が現在のソーシャルゲームの受け皿になっているのではないかと推測できる。さらに、今の10代の子どもたちがその予備軍として携帯電話のゲームで1日の何分かを使っている。
ゲーム機以外の市場に影響か
 そう考えると、ソーシャルゲームは国内家庭用ゲーム機市場と直接競合するというより、今までアプローチできなかった潜在ユーザーを取り込むことで急成長したととらえることができる。ソーシャルゲームが好調でありながら、家庭用ゲーム機でヒットタイトルが登場していることも不思議でないことになる。
 ただ、当然のことながら、ソーシャルゲームで遊ぶユーザーが増えれば、相対的に別の活動に使う時間が減少することになる。アスキー総合研究所の遠藤諭所長は、ソーシャルゲームの人気は、「家庭用ゲーム機というよりも雑誌やコミックなどの他のメディアの売上げに影響が出ているのではないか」と分析している。



【日本発 アイデアの文化史】携帯音楽プレーヤー
  先鋭化されたウォークマンの哲学
 昭和22年の創刊以来、60年以上にわたって戦後日本のジャズ文化を牽引(けんいん)してきたジャズ専門誌「スイングジャーナル」が、部数低迷や広告収入の減少を理由に来月発売号で休刊する。ソニーの小型カセットプレーヤー「ウォークマン」が発売されたのは31年前のこと。老舗雑誌の休刊と、ウォークマン以降の革命的な音楽環境の変化は、因縁めいたものを感じる。
 ウォークマン以来、各企業はより軽く、より小さく、より多くの音楽を求めて新端末の開発に心血を注いできた。デジタル技術の発達に伴い、音楽を収納する「入れ物」もまた、レコードからカセット、CD、MD、ハードディスクに小型メディア…とめまぐるしく姿を変えた。
 「昔はレコードを丁寧に袋から出して、そっとターンテーブルに置いて、慎重に針を落とす…そういう茶道の世界のような一連の作法がありました。昔を知る者としては、懐かしくもありますね。最近はCDも買わない人もいるようですから」
 ソニーの広報担当者のそんな言葉は印象的だった。
                  ◆◇◆
 米アップルの携帯デジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」と、コンテンツ管理ソフト「iTunes(アイチューンズ)」は、音楽のデジタル化とインターネットの普及に伴う大きな「発明」といえる。iPodは2001年の発売以来、世界中で約2億5千万台を販売、10年のうちに急速にシェアを伸ばしてきた。ウォークマンは31年で4億台である。
 アップル・ジャパン広報は「端末のiPodばかりが注目されがちですが、iTunesというソフトウエアが優れていたこともユーザーに広く受け入れられた大きな理由でしょう」と強調する。設定を変えることも可能だが、確かにiTunesの使い方は基本、シンプルだ。
 ネットに接続されたパソコンにCDを入れると、曲名などの情報とともに、音楽がiTunesを通じて自動保存される。あとはiPodをケーブルでパソコンにつなぐだけで音楽が転送、音楽を持ち歩ける状態に。
 「子供でも分かる直感的な使いやすさが特徴」と広報担当者。レコードやラジオからせっせとオリジナルテープを作っていた時代とは、隔世の感がある。
 「iTunesの新しさは、簡単に音楽をパソコンで管理できるということを提示したところにある」
 デジタルメディア評論家で津田塾大講師の麻倉怜士(59)はそう語る。
 「レコードからカセットへ、CDからMDへといったそれまでの変換、管理が容易になり、自分の『棚』をそのまま持ち歩く感覚になった。大容量化によって、もはや自分だけのベスト版を作る必要もなくなった」
                  ◆◇◆
 音楽を楽しむのに、今や大仰なステレオは必ずしも必要ない。あるいは専用端末さえ必要なく、携帯電話単独でだって音楽に触れることができる。
 背景には、ネットなどを通じた音楽配信の成長がある。音楽のほか動画、ゲームなども扱うアップルのコンテンツ配信サービス「iTunes Store(アイチューンズ・ストア)」は、楽曲販売で全米1位を記録。国内でも携帯電話向けの音楽配信サービス「着うた」をはじめ、音楽配信は順調に定着している。
 音楽配信は実際の店舗に足を運ぶこともなく、音楽を曲単位で買い、持ち歩くことを可能にした。これだけが理由ではないにせよ、CDは一方、国内では平成10年をピークに年々、売り上げを落としている。レコード会社はビジネスモデルの変革を迫られ、広告収入の減少やネットの普及などで、老舗雑誌が休刊を余儀なくされている。
 「今やCDを買うこと自体が一種のフェティシズム(物的愛着)になりつつある」。メディアジャーナリストの津田大介(36)は、そう語る。「利便性を追求していく中、インフラやネットの発達で音楽の流通も人々が音楽を知る経路も変わってきた。こうした変化はいい悪いではなく、必然」
 「時間や場所を問わず、好きな音楽を良い音で聴く」というウォークマンの基本哲学は、31年かけて先鋭化されてきた。そして、その先で、いや応なく失われていくものもある。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:moblog

(゜A゜;)ゴクリ新聞

レナウン、中国大手の傘下に 山東如意が4割出資へ
 東証1部上場の大手アパレルメーカー、レナウンは中国の繊維大手、山東如意集団(山東省)を引受先とする第三者割当増資を実施し、同社の傘下に入る方向で最終調整に入った。山東如意は約40億円で発行済み株式の約40%を握る筆頭株主になる。中国大手の支援を受けレナウンは再建を急ぐ。家電量販店大手の蘇寧電器集団(江蘇省)がラオックスの筆頭株主になるなど中国企業の日本企業へのM&A(合併・買収)が増えている。業績悪化に苦しむレナウンのような老舗が対象になる例も増えそうだ。
 レナウンはワールドなどに次ぐ大手アパレル3位グループの一角。2010年2月期の連結売上高は1290億円で、中国企業の傘下に入る日本企業としては最大規模となる。
 レナウンはブランド売却など大幅リストラで、10年2月期の連結最終損益は109億円の赤字と、4期連続の最終赤字を計上した。今期も経営環境は厳しく、経営体力の強化が不可欠となっていた。
 中国8位の総合的な繊維・アパレル企業である山東如意集団は、現在レナウン株式の25%を持つ投資ファンドのネオラインホールディングス(東京・港)を抜いて筆頭株主になる。
 レナウンを傘下に収めることで日本市場に本格参入するとともに、「ダーバン」など知名度の高いレナウンのブランドを、中国市場で展開できる。レナウンはすでに一部ブランドを中国で販売しているが、山東如意の販売網を活用すれば、早期の事業拡大が見込める。中国での低コスト生産に向けて山東如意の生産拠点も活用できる。
 レナウンは27日に定時株主総会を開く予定だ。筆頭株主のネオラインは今月、レナウンの取締役選任議案に反対する意向を表明するなど、再建の道筋が見えないことに不満を表明していたが、今回の資本増強は了承しているもよう。
 自動車大手のBYD(広東省)は日本の金型大手オギハラの工場の買収を決めるなど、09年以降、中国企業による日本企業へのM&Aが相次いでいる。日本の国内市場が縮小する一方で、日本企業がもつブランド力、経営ノウハウや技術力は、急成長する中国企業にとって活用の余地は大きい。
 これまでは部品メーカーなど中間財を手掛ける企業の買収が目立ったが、蘇寧電器によるラオックスに続き、レナウンも中国企業の傘下入りすることで対象がさらに広がる。08年の世界同時不況以降、日本に比べて中国経済の立ち直りは早く、今後も日本への投資は活発になりそうだ。



10年後「今より良いと思わない」75% 電通総研調査
 10年後の日本が心配――。消費者にそんな意識が高まっていることが、電通総研の調査でわかった。不安感から節約をするようになり、消費が伸び悩む原因にもなっているという。一方で、将来のためには、値段が高くても環境などに配慮した商品を買いたいという人も目立つ。
 全国の18~69歳の男女1千人に3月、インターネットを通じて尋ねた。10年後の日本について「今より良くなっていると思わない」とした人が75.2%に達した。これまでの調査で最高だった1996年の70.7%を超えた。福祉や教育の水準、国内の治安などが悪い方向に向かっていると感じている。



書籍市場は30週ぶりとなる週間200億円割れに
 5月24日付書籍市場の総売上額は184.1億円。対前週比86.6%と先週に引き続いての前週比減を示しただけでなく、下げ幅も拡大。09年10月19日付(183.6億円)以来となる200億円割れとなり、対前年同週比も97.0%に留まった。
 BOOK、コミック、文庫の3部門ともが前週比減、前年同週比減を示しており、特にコミックの週間市場規模は37.5億円で、前週比75.9%と大きく後退。市場を牽引するようなインパクトのある新刊が少なく、前年同週比も97.7%とした。
 出版社別では講談社が週間売上額を14.8億円として、3週ぶりにトップとなったが、同社売上の前年同週比も83.9%と大きく後退したかたちだ。同社の週間実績のうち、BOOKが前年同週比を101.7%とし、文庫も同96.6%に留まったのに対し、コミックは同71.3%。やはり、このコミックの不振が大きく響いたかたちだ。



総務省、政策減税の検証義務化 効果薄ければ廃止
 総務省は企業や個人向けの政策減税である租税特別措置(租特)に効果が出ているかを検証するため、費用対効果などの詳細な評価・分析を各省庁に義務付ける方針を決めた。主に2011年度以降の税制改正で新たに延長・拡充する措置を対象とする。租特を設ければ本来得られるはずの税収が減る。効果が薄い租特を廃止して財源確保につなげる狙いだ。
 租特を巡っては自民党政権下で特定の業界への利益誘導になっているとの批判があり、現政権は10年度の税制改正大綱で抜本的な見直しを打ち出した。今夏の参院選マニフェスト(政権公約)でも民主党は「原則廃止」を盛り込む方針だ。
 総務省は今月末にも政策評価法に関する政令を改正し、政策実施の前に評価・分析しなければならない対象に租特を加える。例年、各省庁は8月末をメドに来年度の税制改正要望を政府税制調査会に提出するが、租特の延長や拡充を求める場合には評価結果をセットで出すように求める。
 これに併せ、総務省は評価の具体的な手法を示したガイドライン案を作成した。(1)税収の減少見込み額(2)減税によって達成する数値目標(3)波及効果など客観的データ(4)政策の緊急性――などを明示させる。各省庁から提出された評価結果は総務省がデータの妥当性などを点検したうえで、税制改正審議の材料とする。



EU、財政規律違反国への制裁強化で合意
 【ロンドン=是枝智】欧州連合(EU)は21日午後、各国の財政悪化を食い止めるため、各国財務相らによる作業部会をブリュッセルで開き、財政規律の協定に違反した国への制裁を厳格化することで大筋合意した。
 制裁金に加え、EU会合での投票権の剥奪(はくだつ)などの「非金融制裁」も科す見通しで、今後、詳細を詰める。
 EUのファンロンパイ常任議長(大統領)が会合後の記者会見で明らかにした。さらに、「ユーロ圏のような効果的な危機対応の仕組みを持つ点でも合意した」と述べた。EU全体で危機対応の基金創設を目指すとみられる。
 EUでは、加盟国に「財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下にする」ことを義務づけている。違反した国はEUの執行機関・欧州委員会から是正を勧告され、数年かけて違反状態の解消を目指す。だが、違反国が制裁金を科せられたことはない。その結果、ギリシャのような財政危機を招いた反省から、制裁発動をより迅速に行うようにし、制裁そのものも厳しくする。
 作業部会はさらに2回会合を開き、6月17~18日のEU首脳会議に報告する。



中国・少数民族政策は「支援」「規制強化」の硬軟両様
 【北京=川越一】中国政府は、新疆ウイグル自治区に関する「中央新疆工作座談会」を初めて開き、生活水準向上などを盛り込んだ支援計画を明らかにした。1980年から計5回同様の会議が開かれているチベット自治区では締め付けが強化されており、民族問題がくすぶる両自治区に対する、政府の対照的な姿勢がうかがえる。
 17~19日、北京で開かれた会議の中で、胡錦濤国家主席は新疆ウイグル自治区を「戦略的に特に重要な地域」と位置づけ、「5年以内にインフラを改善し、発展能力を高め、民族の団結を強化し、社会の安定を堅固なものにしなければならない」と強調した。
 計画では、優遇税制の導入や資源の有効活用を通して、住民一人当たりの国内総生産(GDP)を、5年で全国水準に引き上げることを目標に掲げている。胡主席は、自治区住民に現代的かつ文明的な生活環境を提供し、公共サービスの充実を図っていくため、さらに多くの資金を投入することも約束した。 
 同自治区では昨年7月、ウイグル族による大規模暴動が発生。中国共産党は今年4月、責任を問われていた王楽泉党委員会書記を解任した。権力争いが背景にあるとはいえ、約15年間君臨していた自治区トップの首をすげ替え、住民の不満に対する配慮をアピールした格好になっていた。
 一方、チベット自治区ラサでは、コピー店でコピーを取る際に身分証や文書の内容、部数などの提示を義務づける規定の導入が進められている。
 英字紙チャイナ・デーリーによると、2008年の大規模騒乱の後、ラサの公安当局は、チベット仏教僧らが違法な内容を含んだビラなどを頻繁に配布していたと主張。新規定には、“反乱分子”の宣伝活動を抑える狙いがある。
 インターネット上には、「暴動を起こしたければコピー機を買えばいい」「ラサではコピーは一種の凶器」といった嘲笑(ちようしよう)があふれているが、AP通信によると現地では、チベット語など判読できない言語で書かれた文書のコピーを拒否するなど、当局の意図をくみ取り、罰則回避の自衛策を講じる店舗も現れている。



マンガ業界の“最下層”コンビニコミックの泥沼化
 90年代半ばをピークに長期低落傾向が続く出版業界で、主力商品として期待されてきた“激安商品”がある。「コンビニコミック」と呼ばれる廉価版コミックスだ。90年代後半から小学館が販売を開始し、今ではほとんどの出版社で取り扱っている。ペーパーバック形式の簡素な装丁で、販売チャネルはコンビニの店頭がほとんど。中心価格は300~500円だ。『ゴルゴ13』(リイド社)や『三丁目の夕日』(小学館)など、過去に単行本化された著名作品の再録版から、芸能ゴシップや怪談話などのユルいネタを無名作家に安く依頼して仕上げたものまで、そのラインナップは実に幅広い。
「もともと、『不況でも売れる安いマンガ本をつくってくれ』というコンビニからの要請で生まれた商品なんです。小売の立場が強くて、版元は儲けがなくても断れない。ほかの流通が抱える問題と、構図は一緒ですよ」(編集プロダクション社員)と言う通り、低コストでつくる出版社側の利益も低い。コンビニやスーパーの“強い要請”で、メーカーがプライベートブランドをつくらざるを得ない構図と同じというわけだ。
 一般にコンビニコミックに描く作家のギャラは、「ページ7000円~1万円が相場。最低ラインで3000~5000円くらい」(同)というから、「最低ライン」なら月に20ページ書いても6万円程度。増刷の場合の印税率も、「6%から大手で10%。無名作家なら印税契約なしも普通」(同)とのことだ。こうした「無名作家」で7~8割の紙数をさばき、残り2~3割を人気作家の再録作品を看板にして「抱き合わせで売る」手法も多いという。
 いかに薄利多売とはいえ、この絶望的なまでの出版不況。出版社としても手間のかからないコンビニコミックに期待をかけたいところだが……その売れ行きもここ数年は凋落傾向にあるよう。「最近は規制が厳しくてタブーが全然描けなくなった」というのは、別の編集プロダクション社長のぼやきだ。
「音事協(日本音楽事業者協会)が肖像権侵害にうるさくて、タレントの実名で芸能ネタが全然描けない。商売あがったりですよ」
 音事協とは、バーニングプロダクションやホリプロ、吉本興業といった大手から、中小の芸能プロまで100社以上が加盟している業界団体(ジャニーズ事務所は未加盟)。報道でタレントの名誉が毀損された場合、協会が主導となって民事や刑事での訴訟も辞さないというのが基本姿勢だ。その音事協がここ数年、特に注力しているのがタレントの肖像権というわけである。
 コンビニコミックといえば、古くは田代まさしの盗撮事件から、最近ではのりピー逮捕の裏側など、ゴシップをおもしろおかしくマンガ化するものも多く、怪談や都市伝説モノと並び、コンビニコミックを支える強力な商品カテゴリーだった。にもかかわらず、表紙に写真が使えなくなり、そっくりな似顔絵風マンガも危険……となれば、つくり手側にとって大きな痛手だ。
 もちろん、売り上げが悪ければ、作家のギャラも上がらない。ただでさえ安い賃金で描かされている、「売れない作家」の不満はいかばかりか。特にここ最近、人気のマンガ家が待遇への不満をブログに書き込むなど、版元とトラブルになるケースが続出している。これについて発注する側はどう考えているのだろうか。
「安いというけど、ページ5000円のギャラを8000円にしたら赤字だよ? 経営感覚ないくせに要求だけされても困る。そもそも仕事がない人に『この単価で描けるなら参加してよ』と声をかけてる。普通の社会人なら賃金の格差なんてたくさんありますよ」(前出・編プロ社長)
 結局は、絵がうまくておもしろければ売れる世界。単価に見合った仕事しかできない作家は、そこから抜け出すことも難しいようだ。



(企業収益 回復は続くか)成長への種まきが課題 再び吹く逆風
 企業収益が回復軌道に乗ってきた。上場企業の2010年3月期は経常利益が2年ぶりに増加。新興国の旺盛な需要増を背景に、今期も大幅な増益を見込むが、欧州発の金融市場の変調が回復に水をさす懸念が広がっている。
インドの自動車市場は拡大が続く(日産・ルノーの合弁工場)
先進地域で首位
 上場企業の11年3月期の純利益は7割増になる見通しだ。米トムソン・ロイターの調べによると、10年の米国主要500社の純利益は33%増、欧州主要600社も33%増。日本企業の収益拡大ペースは先進地域で首位に躍り出る。だが、足元で進む急速なユーロ安・円高が大幅増益にブレーキをかける恐れがある。
 「抜本的な対策をやるなら商社でもやって輸入を増やすしかない」とソニーの大根田伸行副社長は嘆く。同社は対ユーロ1円の円高で年70億円の利益が目減りする。ユーロ建ての調達を増やし売上高と相殺すれば、影響は軽減できるが、ユーロ建てで買える部品や材料は少ない。
 対ドルでも円高が進み、輸出企業の多くが想定する1ドル=90円前後まで円が上昇。円相場とともに企業が警戒するのは、金融市場の変調が実体経済へ波及することだ。「中国など新興国の景気減速につながる事態になるか気がかりだ」(コマツの木下憲治・最高財務責任者)
アジア勢が躍進
 リーマン・ショック後の世界不況の中で日本企業はコスト構造改革を進め、収益力を回復した。だが、再び吹き始めた逆風の中で、回復持続には一段のコスト削減を迫られる。さらにグローバル競争の舞台では、新たな課題も浮上している。
 「韓国勢には目を見張るものがある」(日産自動車の志賀俊之最高執行責任者)。日産は中国市場で日本勢トップを走るものの、現代自動車はその上をいく。日本車に比べ3割程度安い小型セダンが好調。中国でのシェアは独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぎ3位だ。インドでも販売を伸ばし、09年度の純利益は2.96兆ウォン(2221億円)とトヨタ自動車(2094億円)や日産(423億円)を上回る。
 日本の大手企業が同業のアジア勢に利益で抜かれる例が相次いでいる。中国で年内にも印刷用紙の生産に踏み切る王子製紙。中国の製紙大手、玖竜紙業控股(ナインドラゴンズ)は純利益では王子と同水準だが、成長期待を映す株式時価総額では約2割上回る。
 アジアの有力企業の多くはオーナー経営者が率いており、迅速な経営判断で果敢な投資に出ている。手をこまぬいていれば、差は一段と開きかねない。
 富士フイルムは4月に新興国戦略室を設立、市場開拓に拍車をかける。写真フィルムで世界に張り巡らしたネットワークを生かし、医療機器、デジカメ、印刷材料などを売り込む。「経営資源を思い切って新興国に投入する」(高橋俊雄専務)
 日本の主要輸出30社の海外売上高の構成比をみると、10年3月期はアジア・その他が40.2%と1年前に比べ2.6ポイント上昇。米州37.1%、欧州22.7%との差を広げた。成長市場を巡る争奪戦はアフリカなど途上国にも広がりつつある。
 金融市場の混乱やアジア勢の台頭など急変する収益環境に向き合いながら、将来の成長へ向けた種をどれだけまけるか。企業には攻めと守りのバランスが求められる。



【産経主張】円高株安 市場の不信拭う意思示せ
 ギリシャの財政危機から始まった欧州の信用不安が拡大し、世界的な株安が日本にも波及した。21日の日経平均株価は今年最安値となった。
 ユーロ安の反動で円高ドル安傾向も強まり、輸出主導で回復しつつある日本経済に冷水を浴びせかねない情勢だ。
 円高株安を協議するため、菅直人副総理・財務相が鳩山由紀夫首相と緊急に会談した。だが、首相は市場動向を注視するよう指示しただけだ。菅財務相も「具体的に何か新たな対応という趣旨のことは一切ありません」と語り、市場へのメッセージを発信しなかった。
 当事者意識が何と希薄なことか。鳩山政権の危機意識の欠如を物語っている。市場を相手に手をこまねいている場合ではない。
 まず、市場の動揺を抑えるため、ユーロ安の是正を欧州に要求し、「日欧米の協調介入も辞さない」との断固たる姿勢を示すべきだ。そのために欧米各国の首脳に電話会議を提案してもいい。
 先進7カ国(G7)による事前の政策協調のすり合わせも欠かせない。株連鎖安のきっかけは、ドイツが他の欧州連合(EU)国に事前通告せずに導入を発表した「空売り」規制と指摘される。
 唐突な規制にフランスや英国などが反発、市場が「EUの足並みの乱れが露呈した」と受け止めて株とユーロ売りが加速した。市場は政策連携の不備を突いてくることを忘れてはならない。
 米上院が可決したばかりの金融規制改革法案についても今後、どのように国際ルールと整合性をとるのかが難題だ。
 規制がかえって円滑な市場の取引を阻害しては元も子もない。日本は金融規制のルールを決める主要メンバーである。それを忘れずに市場の安定に必要な措置をとり、政策協調を進めてほしい。
 財政赤字はいまや欧州だけでなく、景気対策で巨額の財政出動を行った先進国共通の課題だ。財政再建に向けた日本や米国の動向も市場に注目されている。対応次第では投機資金の次の標的になりかねない。先手の対応が必要だ。
 市場防衛には、財政再建や税収を増やす成長戦略が欠かせない。だが、財政健全化法案の今国会提出断念は鳩山政権の無策ぶりを改めて示している。
 打つ手がないのではない。鳩山政権に市場の不信を払拭(ふっしょく)する意思がないのが問題なのである。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:moblog

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。