((((;゜Д゜)))新聞

台湾メディア、「日本=ソニー、韓国=サムスン、中国は何があった?」
 台湾メディア・連合晩報は、中国には国際的に有名なブランドが存在せず、中国が「強国になる」という夢をかなえるのは簡単なことではないと指摘する文章を掲載した。中国新聞網が伝えた。
 連合晩報は、ワシントン・ポストの記事を引用したうえで、「世界の人びとは、日本といえばソニーを、メキシコといえばビールブランドのコロナを、ドイツといえばBMWを、韓国といえばサムスンを連想するだろう。一方、中国は?と問われれば、人びとは答えに詰まってしまうだろう」と指摘。そして、世界に誇るブランドがないことこそ、中国が現在直面している問題であるとした。
 2009年、中国はドイツに代わって世界最大の輸出国となり、2010年度には日本を抜いて世界第二位の経済体になることが確実視されている。記事では、中国にとって世界的に知られるブランドがないことは、中国はいまだに廉価な労働力に依存する「世界の工場」でしかないと指摘。
 続けて、米国ブランドで世界的に有名なアップル社とナイキ社を例に挙げ、「iPhoneのほとんどが中国で製造されているが、750ドルの販売価格のうち、中国側の利益は1台あたりわずか25ドル、ナイキにいたっては中国側の利益は1足あたりわずか4ドルしかない」とし、技術のイノベーションがないことこそが、中国が「世界の工場」の地位から脱却できない原因であると分析した。



菅内閣15閣僚固まる、11閣僚再任へ
 菅新首相は5日夜、民主党役員・閣僚人事について、官房長官に仙谷由人国家戦略相、党幹事長に枝野幸男行政刷新相、国会対策委員長に樽床伸二衆院環境委員長をそれぞれ充てることを明らかにした。
 党代表選で菅氏に敗れた樽床氏の起用は党内融和を図る狙いがある。選挙対策委員長には安住淳衆院安全保障委員長、幹事長代理には細野豪志副幹事長を起用する。夏の参院選が迫っていることから、新たな入閣は、消費者・少子化相に内定した蓮舫参院議員らにとどめ、11人の閣僚を再任する方向だ。
 玄葉光一郎衆院財務金融委員長、海江田万里選挙対策委員長代理も閣僚か党の要職で起用する方向だ。
 菅氏は5日夜、首相官邸で記者団に対し、仙谷、枝野、樽床3氏の起用を明らかにしたうえで「人事は、官邸の一体性、内閣の一体性、党として全員が参加できる(態勢をつくる)という考え方で進めたい。参院選をしっかり戦える形をとりたい」と語った。
 小沢幹事長に距離を置く枝野氏の起用については「何々外しとは考えていない。選挙の顔としてふさわしい」と強調した。小沢氏に関しては「政治とカネや普天間問題で民主党から支持が離れており、それを巻き返すことも大きな課題だ。受け継ぐものは受け継ぎ、新たにやらなければいけないものは新たにやる」と述べた。自らを本部長とする参院選対策本部を発足させる考えも示した。
 また、枝野氏は5日夜、首相官邸で記者団に、自らの役割について「民主党の政策を有権者に分かりやすく伝えることに持ち味を出したい」と語った。
 菅氏はこれに先立ち、党本部で枝野、仙谷両氏と会い、人事の最終調整を進めた。7日の両院議員総会で党役員を正式に決め、新内閣は8日に発足する。
 閣僚人事では、赤松農相が口蹄疫(こうていえき)被害拡大の責任を取りたいとして再任を否定しており、後任には、山田正彦農水副大臣や筒井信隆衆院農水委員長が浮上している。



財政・成長重視を継続 経済閣僚固まる、再建へ国民負担求める
 主要な経済閣僚が5日ほぼ固まり、経済産業相、金融担当相など経済政策を担う閣僚の多くは再任の見通しとなった。新しい財務相も財務副大臣の野田佳彦氏を起用する方向で「財政健全化や成長戦略など重要政策の継続性が保たれる」(政府関係者)とみられる。政府は5日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、財政健全化目標を6月中に打ち出すと表明、国民負担を求める厳しい姿勢で臨む考えを示した。
 G20財務相・中央銀行総裁会議で、峰崎直樹財務副大臣は菅直人新首相が目指す経済政策について「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体で実現する」と紹介した。
 さらに、閉幕後の記者会見で峰崎副大臣は「新内閣は財政と成長の両立という課題にしっかり取り組んでいく」と表明。財政再建目標を含む財政運営戦略を今月下旬のG20首脳会議(金融サミット)前に策定する方針を示すと同時に、「大変厳しい目標になる」として達成には「国民の負担は避けて通れない」と述べた。
 政府は今後3年間の予算の骨格となる「中期財政フレーム」や、財政再建目標を盛り込んだ「財政運営戦略」をまとめる予定。新しい財務相に野田氏が起用される見通しとなったことで、財政運営をになう財務省の幹部は「深刻な財政状況を理解している首相と財務相が誕生すれば、停滞していた財政再建が進む」と語る。
 日銀の白川方明総裁はG20会議後の会見で、新政権に「日本経済が抱える様々な課題の克服に向けて適切な政策を進めることを期待している」と指摘。「物価安定の下での国民経済の健全な発展に努めるという姿勢は変わらない」と語り、政府と協力しながら経済の安定に努める考えを強調した。
 政府は経済政策のもう一つの要である新成長戦略も月内に策定する予定。戦略策定の中心となってきた直嶋正行経産相も再任の見通しで、「大きな政策変更はない」(政府関係者)との見方が多い。政府は郵政民営化路線を見直す郵政改革法案も今国会での成立を目指すとみられ、亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相はそろって再任される見通しだ。



【G20】法人税引き下げ競争に歯止めを 峰崎副大臣
 峰崎直樹財務副大臣は5日、20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議で法人税率の引き下げ競争が国際的に激しくなっているとして、G20や国際機関で一定の税率の幅を取り決め、歯止めをかける必要性があると問題提起したことを明らかにした。閉幕後の記者会見で述べた。
 峰崎氏は「引き下げ競争は一定の幅に収束する方が望ましいのではないか」と発言したと説明。菅直人新首相も同様の問題意識を持っているとして「6月下旬に開かれるカナダ・トロントの首脳会合で同じ話が出るかもしれない」と述べた。
 また、G20への財務相欠席が相次いでいることについては「(今回は)大きな政局の中でやむを得なかった。国際的に重要な会合で、出席してほしいと語った。



NTT、電子看板の映像を携帯で切り替え 光回線契約増狙う
 NTTは店舗などで使うデジタルサイネージ(電子看板)で9日に新サービスを始める。携帯電話を使い配信映像を切り替えたり、店舗側に映像を蓄積して時間ごとに一括で切り替えたりできるようにする。NTT東日本、西日本、コミュニケーションズなどグループ各社を通じて営業し、光回線の契約者増につなげる。初年度に2000件の契約を目指す。
 新機能を付加するのはインターネットにつないだ液晶テレビを使い、スーパーや銀行の店頭で販売促進情報を表示する「ひかりサイネージ」。配信する映像を利用者側で自由に切り替えられるようにすることで、営業時間内はキャンペーン情報、閉店後は社員向けの掲示板として使うといった使い分けも可能になる。
 ネットワーク経由でサービスを提供する方式を取り入れ、導入に300万円以上かかる自前の配信用サーバーを不要とした。
 初期費用は約30万円、月額利用料は1万円前後に抑えた。NTTは2月に電子看板事業に参入。機器と回線を一括して提供している。



ギリシャやポルトガル、緊縮財政で企業活動に影
消費減退と株価下落、悪循環の懸念
 欧州の財政不安は、発端となったギリシャなどの財政再建策が企業活動に影を落とす一方、ハンガリーの財政懸念浮上で中・東欧への飛び火も懸念され始めた。各国の緊縮財政が消費も圧迫して欧州景気を下押しする悪循環になりかねないとの見方も出ている。ハンガリーなど中・東欧はユーロ加盟国ではないが、ドイツなどと経済的結び付きも強く、市場は警戒を強めている。
 ギリシャやポルトガルでは緊縮財政を受けて国民が支出を絞り、内需型産業を中心に企業業績が悪化する構図が生まれている。輸出産業に乏しい各国の株式相場も落ち込む。企業業績の悪化による失業率上昇や消費減退がさらに景気の足を引っ張るという悪循環に陥れば、財政問題が一段と長期化する恐れもある。
 ギリシャでは5月以降発表の1~3月期決算で最終損益の悪化が続出。同国の時価総額上位には銀行や通信、娯楽産業など内需型産業が多く、国内景気の影響を受けやすい。4月の新車販売台数(乗用車)は前年同月比で13%落ち込んでおり、個人が支出を絞る動きも徐々に表面化し始めた。
 同国通信最大手OTEの同四半期の純利益は前年同期比76%減と大幅に減った。国内を中心に通話を控える人が増え、同社は「緊縮財政を受け、(顧客の)通信への出費は減りそうだ」と警戒。経費削減のためニューヨーク証券取引所の上場を年後半にも取りやめる。



出版不況が叫ばれるなか、アニソン雑誌続々発刊
 アニソン、特に声優アーティストにフォーカスした雑誌が増えている。これまでは、充実したインタビューページで人気の『アニカンR-MUSIC』(MG2)や、「本邦初のアニメソング専門誌」のうたい文句で登場した『アニソンマガジン』(洋泉社)等がアニソン系雑誌メディアとしては先んじていたが、09年のアニメ『けいおん!』人気や水樹奈々のセールス的成功、そして若手人気声優の台頭により、さまざまな出版社がアニソン、声優アーティスト・メディアに参入し始めたのだ。
 音楽専門情報誌『WHAT's IN?』でお馴染みのソニーマガジンズは、『けいおん!!』を表紙にした『リスアニ!』を刊行。『アニソンマガジン』のスタッフも多く関わり、ボリューム感のあるインタビューページと、読み応えのある評論、考察ページで話題を集めている。また、新人発掘プロジェクトとしてアリス☆クララというアマチュアの中学生ユニットをフィーチャー。そのオリジナル楽曲のCDを付録にするなど、雑誌メディアから発展的にアーティストを育成するような展開も試みている。
 また、ヴィジュアル系アーティストを多く取り扱う音楽誌として、確固たる地位を確立している『FOOL'S MATE』は、アニメソング版として『アニソンMATE』を発刊。既存の声優誌では見られない新しい切り口のグラビアページや、読み込みたくなるような魅力的な考察ページがアニソン・ユーザーにウケている。
 アイドル・グラビアを中心としたテレビ情報誌『B.L.T.』を発行している東京ニュース通信社は、今年1月より声優のグラビアにフォーカスした『VOICE GIRLS』を刊行している。『B.L.T.』で培ったグラビアページの凝った構成と、既存の声優誌との差別化を図った読み応えのあるインタビューで、一気に業界内での知名度を上げた。
■各メディアの特性を活かした新たな切り口がヒットのカギ
 これらの新雑誌の発刊ラッシュは、出版不況が叫ばれ、雑誌の休刊や廃刊が相次ぐ昨今では、珍しく活況であると言えるだろう。音楽市場のなかで堅調なセールスを続けながら、徐々にシェアを広げつつあるアニソン、声優アーティスト関連作品の好調に雑誌メディアが応えた形だが、ヒットを生むアニメ作品、声優アーティストが限られる業界ゆえに、誌面作りの差別化が難しいジャンルでもある。各社、ユーザーの嗜好性やトレンドにアンテナを張りながら、独自のカラーを打ち出していかなければ生き残りは難しいだろう。
 雑誌以外のメディアでは、NHKのアニメソング、声優アーティストに対する取り組みが、ユーザーからの評価が高い。NHK-FMで5月5日に放送された『今日は一日“帰ってきたアニソン三昧”』がTwitterのハッシュタグ「#anisonzanmai」の利用率が世界一になったことからも、アニメソング・ユーザーのネット・リテラシーの高さが窺える。
 それらを踏まえたうえで、さらにアニメソング、声優アーティスト系にフォーカスしたメディアが求められている現状は、ネット上の情報では満足できない、コアな情報を尊ぶマニアックなユーザー心理を反映しているのかもしれない。果たして新刊した雑誌のうち、何誌が生き残ることができるのか。競争はしれつさを増している。



菅・新首相 景気と財政再建の両立を図れ(6月6日付・読売社説)
 景気を安定軌道に乗せ財政も立て直す――。
 日本経済のかじ取りで菅直人新首相に課せられた使命である。
 鳩山内閣が陥った政権公約(マニフェスト)至上主義を脱し、柔軟な発想で、成長と財政再建の両立を図るべきだ。
 新首相は、民主党代表選に向けた会見で、「無限に借金が増えるような方向性は正していく」と、財政健全化に意欲を示した。ならば、2011年度予算でさっそく具体化する必要があろう。
 副総理・財務相在任当時から、菅新首相はすでに布石を打っていた。11年度予算における国債の新規発行額を、10年度の44兆円以下に抑えたい、と述べたことだ。
 国債発行に一定の歯止めをかけなければ、10年度末で862兆円に達する国と地方の長期債務の膨張が続き、国債の信用が失われかねないのが現実だ。
 財務相として一連の国際会議に出席し、我が国の財政事情の深刻さを再認識させられたことも背景にある。「国債発行44兆円以下」発言を一応は評価したい。
 だが、これでも当初予算の国債発行額としては史上最高だ。44兆円を上限に、これをどう減額していくかが肝要である。
 最初に取り組むべきは、歳出の抑制だ。10年度予算は、マニフェストに盛り込まれた政策が歳出を膨らませた。子ども手当、農家に対する戸別所得補償、高校授業料の実質無償化などである。
 こうしたバラマキを続けることは不可能だ。マニフェストへのこだわりを捨て、真の無駄減らしに取り組む必要がある。
 歳入確保の面では、消費税率の引き上げが避けられない。毎年、1兆円規模で増え続ける社会保障費を賄う財源としても、消費税は極めて重要だ。
 増税による景気への影響も懸念されるが、新首相は、増収分を医療・介護の充実などに回せば雇用が創出され、景気は良くなるとの見方を示している。
 そう言う以上、夏の参院選で消費税率引き上げの是非を国民に問うてはどうか。理解を得たと判断すれば、景気動向に目配りしながら、具体案作りに入るべきだ。
 参院選の公約取りまとめ作業と並行して進む、「中期財政フレーム」と「財政運営戦略」という二つの指針作りも重要である。
 前者は11年度から3年間の予算の大枠を決め、後者は中長期的な財政運営の道筋を描くものだ。二つの指針の中身次第で、新首相のやる気が判断されよう。



提唱者が見る「G2」 米中摩擦、多国間で解消
ピーターソン国際経済研究所所長 フレッド・バーグステン氏
 間もなく国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界2位の経済大国となる中国。国際社会での発言力が高まるにつれ、国益重視の姿勢への批判も広がっている。米中関係は対決へとかじを切るのか。2年前、米中が連携して世界の政治・経済を主導するよう提唱したピーターソン国際経済研究所のフレッド・バーグステン所長は、最近の米中摩擦の解消には国際通貨基金(IMFなど多国間の枠組みでの論議が必要だと訴える。
 ――米中連携論は反響を呼びました。
 「米中で世界を主導するG2という考え方を提唱した理由は極めて単純だ。今日の世界では米中の合意なしに物事は決まらない。多角的通商交渉ドーハ・ラウンドも、気候変動も、通貨システムもそうだ」
 「まず米中が合意するなり、溝を小さくすれば、国際合意は得やすくなる。G2論は合意づくりへの非公式な土台を提供するためのものであり、G8やG20やIMFに取って代わるというのではない」
 ――ハーバード大のファーガソン教授は現在の米中関係をチャイメリカと呼びます。G2論と同じものですか。
 「チャイメリカは米中の絡み合いを経済面で説明している。米国は消費者かつ借り手。中国は生産者かつ貸し手だ。彼は『長続きしない関係だ』と言っていた。G2はより規範的な概念だ。米中の経済は絡み合っていようといまいと世界経済の主要な部分を占めており、効率化のために協力すべきだ、ということだ」
 ――最近はむしろ米中の摩擦が目立っています。
 「それでフォーリン・アフェアーズに新たな論文を発表した。金融危機の結果、米国への信頼は低下し、中国の地位は高まった。もともとそうなる傾向にあったが、危機により変化が加速した。米中の力関係が大きく変わり、中国は非協調的になった」
 「金融危機を力強く乗り切ったのに人民元相場は固定したまま。国産品の愛用を打ち出す一方で、著作権保護に関する国際協定には従わない。『中国は持ちつ持たれつが分からない』というのが米政府の今の気分だ」
 ――中国は今後、独善的な方向に進みますか。
 「中国の市場開放度はGDP比でみると、米国の2倍、日本の3倍だ。中国は極めて開放的な市場だし、世界経済と一体化している点は指摘しておきたい。金融危機で中国は輸出が減少し、経済成長率は年率10%から6%に下がった。6%成長だって大したものだが、中国には打撃だった」
 「世界経済を損なう政策を選ぶと中国自身が不利益を被る。最も被害を受けるのは発展途上国だが、中国は途上国の代表を名乗っており、これらの国をむげにはできない」
 ――中国は経済問題を政治的に扱いすぎていませんか。
 「大統領補佐官だった当時のキッシンジャー氏に『あらゆる経済摩擦には政治的原因があり、成果を出すには政治取引が必要だ』と提起したことがある」
 ――中国共産党の一党独裁は続くのですか。
 「共産党支配が崩壊すると中国経済を文字通り崩壊させ、国際経済にも悪影響を及ぼす。専制体制から自由体制への緩やかな変化が望ましい。移動や職業選択の自由など、中国人の自由さは以前に比べて格段に高まった。言論の自由だって、最近の中国人はグーグル問題を盛んに論議している。ただ、台湾、チベット、共産党の問題は駄目だ。だから『軟着陸した』とはまだ言えないが、専制支配ではなくなりつつある」
 ――中国はアジア市場における独占的な地位を得ようとしています。
 「その通りだ。アジア自由貿易圏やアジア通貨基金には至らないだろうが、方向としてはアジア経済ブロックが形成され始めている。私はアジア太平洋経済協力会議(APEC)の生みの親の一人だが、アジア太平洋の経済統合は歓迎する。だが、アジアの発展に寄与してきた欧米、とりわけ米国を排除するのであれば認められない。アジアから締め出されれば米国経済への影響は計り知れない。カギを握るのは日本の動向だ」
 ――米中摩擦はどうすれば改善しますか。
 「中国市場の一段の開放だが、簡単ではない。最後は人民元相場の問題になるからだ。1971年のニクソン・ショックに先立ち、米政府が貿易に課徴金をかけ、円切り上げにつなげたことを日本人なら覚えているはずだ。85年のプラザ合意も事例として似ている。米下院で25%の課徴金の法案が可決されていた。仕組みとして欧州にも適用されるが、標的は日本だった。中国を標的とした第3の事例が起きるかもしれない」
 ――摩擦を激化させるだけではないですか。
 「だからIMFと世界貿易機関(WTO)で活発に論議すべきだ。市場開放には多国間の手続きが必要だ。第1、第2の事例と異なるのは、中国との貿易赤字を抱えるのは欧州や日本も同じという点。米国は中国に対峙(たいじ)するグループづくりに真剣に取り組むべきだ。欧米、日本、韓国だけでなく、他のアジアの国を参加させることができれば最適だ」
 ――中国の経済成長はいつまで続くとみていますか。
 「控えめに見ても、向こう10年間は年率8~10%成長が続く。中国には農村部に豊富な労働力がまだまだいる。30年前に70%だった農村人口は現在は50%だが、長期的には20%ぐらいになるだろう。日本が3%ほどで韓国が8%だから、もっと減るかもしれない。1次産業から2次、3次産業に移行すると1人当たりの生産性は15倍になる」
 「国有企業の民営化もまだ半分程度だ。民営化すれば従業員の生産性は2倍になる。エネルギーの自給率低下、環境汚染、貸し倒れ増加などの問題は出てくるだろうが、成長の二大要素はマイナスを補ってあまりあるとみている」
 ――農村人口が減ると食糧を賄えますか。一人っ子政策による急速な高齢化も予想されます。
 「中国政府も10年前までは食糧自給を掲げていたが、今や誰も言わなくなった。付加価値の高い野菜や果物を生産し、小麦は輸入する方針に転換した。100年前の米国とほぼ同じ変化が起きている。農村人口の都市部への移動は30年ほどかかり、その間は高齢化も目立たない。向こう20年ぐらいは影響ないだろう」
 「もちろん共産党支配が吹っ飛べばどんな変化が起きるか分からず、この予想はすべて成り立たなくなるが」
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