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電子書籍「日の丸連合」 ソニーは米国勢に勝てるか
 ソニーが日本で電子書籍事業に再び挑む。凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の3社と共同で書籍配信の事業企画会社を7月1日をめどに設け、専用端末を年内に売り出す。「日の丸」連合を組んで、先行するアマゾン・ドット・コム、アップルの米国勢に対抗するが、不安材料もある。
 「ソニーは日本のメーカー。電子書籍ビジネスをスタートするにあたっては、日本の文化を継承していこうという意志を持った方々と一緒にやりたい」。ソニーなど4社が5月27日に都内で開いた記者会見。ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは、事業企画会社への出資企業がオールジャパンとなった理由を説明した。凸版など同席した3社の幹部も「日本の出版文化の発展に寄与したい」と日の丸を前面に掲げた。その2カ月前、伏線ともいえる出来事があった。
 3月24日、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館。出版大手31社をメンバーとする「日本電子書籍出版社協会(電書協)」の設立総会が開かれた。記者会見では、代表理事に就いた講談社の野間省伸副社長が「日本と米国の出版市場は環境がだいぶ異なる。日本独自の電子書籍市場を構築したい。紙(の書籍)との共存共栄も図る」と発言。31社の代表者が一人ずつ紹介され、全員で集合写真に収まり、業界の結束をアピールした。
 その後の記念パーティーでは、新潮社の佐藤隆信社長のあいさつに続き、数人が来賓としてスピーチした。最も威勢がよかったのは、内藤正光・総務副大臣だった。「好むと好まざるとにかかわらず、(アマゾン、アップルという)2強が日本を席巻してくる。これを許したら日本の文化を守れるだろうか」
 市場縮小に悩む出版業界は、新たな商売の機会と電子書籍に期待する半面、IT(情報技術)企業のアマゾンやアップルに主導権を握られることを警戒している。配信する作品の選択から値決めまで牛耳られれば経営基盤は揺らぐ。IT企業と作家が直接、契約するような事態となれば、存在意義さえ問われる。電書協設立は米国から来る「黒船」へのけん制であり、個別に出版社がアマゾンなどに急接近する「抜け駆け」を防ぐ相互監視の意味合いもあるとみられる。
 独自端末、独自サービスを出版業界に突きつける米国流の急進的な手法に対し、ソニーは出版業界の理解を得ながら前に進む穏健路線をとる。「日本の文化を守る」をモットーに出版社の懐に入り込み、書籍コンテンツ集めをアマゾンやアップルより優位に進めようとの戦略だ。事業企画会社設立に関する報道資料には、講談社の野間副社長の賛同コメントを載せ、小学館、集英社、文芸春秋も賛同していると強調した。
 しかし、紙の書籍事業の温存や、配信価格の下落防止などが出版業界の本音だろう。ソニーがそれに引きずられた発想を持てば、消費者をうならせる画期的なサービスを生み出しにくい体質になりはしないか。
 ソニーは2004年にも日本で電子書籍事業を始めたが、うまくいかなかった。専用端末「リブリエ」を発売し、主要出版社との共同出資会社で配信も手掛けたが、紙の書籍の売れ行きが鈍るのを恐れてか、コンテンツを読める期間を2カ月に限定。中途半端なサービスとの印象をぬぐえず、消費者の心をつかめなかったのだ。
 アップルの音楽配信、グーグルのネット広告、ユーチューブの動画共有、そしてアマゾン、アップルの電子書籍……。世界的な注目を集めるサービスは既存の業界地図を塗り替える破壊力を秘め、価格決定などを巡りコンテンツ会社と衝突する場面が少なくない。いずれも技術を駆使した便利さ、面白さで消費者の支持を勝ち取り、それを武器に存在感を高めている。
 6年ぶりの仕切り直しとなるソニーの電子書籍事業も、単に米2社の物まねではなく、新鮮味のある工夫が成功の条件になる。出版業界との共同歩調にこだわるあまり、意思決定が遅れたり、角の取れた無難なサービスしか打ち出せなかったりすれば、先行組の追撃は難しい。
 講談社が京極夏彦氏の新作を紙の書籍の価格を下回る料金でiPad向けに配信するなど、出版社も日の丸連合に義理立てしてくれるとは限らない。ソニーが第一に力を注ぐべきは、消費者を味方にできる魅力的な仕組みをつくることだ。それができれば、出版業界での求心力もおのずと高まる。出版業界の反発を避けて優等生的な動きに終始すれば、「リブリエの悪夢」がよみがえりかねない。



国と地方の債務残高初の1千兆円突破 時価ベースの日銀統計
 日銀が17日発表した2010年1~3月期の資金循環統計(速報)で、2010年3月末(09年度末)の国と地方を合わせた債務残高の合計が、前年度末比4・8%増の1001兆7715億円となり、初めて1千兆円を超えたことが分かった。
 景気対策により国債の発行が増加したことが主因。債務残高のうち国債と地方債の合計である「株式以外の証券」は、前年度末比6・5%増の795兆7735億円になった。
 日銀の統計は、国債などの有価証券を時価で評価しており、簿価を基準に財務省が発表する債務残高とは一致しない。財務省では、国と地方の長期債務残高が09年度末で約825兆円になるとの見通しを発表している。



成長戦略・財政規律重視を前面に 民主が公約発表
 民主党は17日夕、参院選公約を発表した。昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で触れていなかった財政再建や成長戦略を全面に打ち出したのが特徴。消費税を含む税制抜本改革は早期の結論をめざして超党派の協議を始める方針を明記。成長戦略の一環として、法人税率引き下げや官民連携によるインフラ輸出促進などを盛り込んだ。
 財政再建では3段階の目標を提示。短期目標は2011年度の国債発行額が10年度(44.3兆円)を上回らないよう全力をあげ、中期では15年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字の対国内総生産(GDP)比を10年度の半分以下にする。長期目標で20年度までにプライマリーバランスを黒字化するとした。
 財源捻出(ねんしゅつ)策として、ムダ使い削減を続ける方針は掲げたが、前回マニフェストで示した13年度に16.8兆円を生み出すとした工程表は削除した。
 成長戦略では首相や閣僚のトップセールスによる原発などのインフラ輸出促進を明記。特定の業界を優遇する租税特別措置の見直しなどを前提にした法人税の引き下げも示し、国際競争力の強化を図った。
 子ども手当に関しては1人あたり月額2万6千円の満額支給を見送り、10年度の1万3千円を「上積みする」と表記するにとどめた。高速道路を原則無料化する方針は実施時期や財源の規模の明示を見送るなど、財政規律への配慮をにじませている。
 政治改革では国会議員の定数を衆院は比例代表の80、参院では40程度の削減を明記。外交・安全保障政策では、日米同盟の強化に加え、米軍普天間基地の移設問題を5月28日の日米合意に基づき進める方針を盛り込んだ。同時に地元・沖縄県の負担の軽減に「全力を尽くす」とうたった。



富士通と東芝、携帯事業統合 正式発表  「競争力あるスマートフォン提供」
 富士通と東芝は6月17日、携帯電話事業を統合することで基本合意したと発表した。7月末をめどに最終的な契約を締結。10月1日をめどに新会社を設立し、東芝の携帯電話事業を移管した上で、富士通が新会社の株式の過半を取得する。
 統合により開発基盤を強化し、競争力ある端末を開発、国内シェアナンバーワンを目指す。両社の技術を融合し、スマートフォン市場に競争力の高い商品をタイムリーに提供するとしている。
 富士通はNTTドコモ向けに端末や携帯電話プラットフォーム技術を提供しており、防水防塵・指紋センサーなど独自機能が売り。東芝はKDDI(au)を中心に、ドコモ、ソフトバンクモバイルにも端末を提供しており、映像技術やスマートフォン技術、海外生産によるコスト効率が強みとしている。



日航、旅行2子会社統合へ JALツアーズとジャルパック 更生計画案に盛る
 会社更生手続き中の日本航空は17日、旅行子会社であるJALツアーズとジャルパックの2社を経営統合する方向で検討に入った。それぞれ国内旅行と海外旅行を手掛けており、旅行業を巡る環境が厳しい中、間接部門の集約などで経営を効率化する。月内にジャルパックの大西誠社長(60)がJALツアーズの社長を兼任し、統合に向けた連携を進める。
 JALツアーズは28日に開く株主総会後の取締役会で、大西ジャルパック社長の社長就任を決定する。山崎寛社長(61)は退任する見通し。両社は来春の統合を目指し、当面は経費削減などで連携していく。
 JALツアーズは旅行業で9位。ジャルパックはそれ以下の中堅だが、日本で初めて海外パックツアーを扱い、知名度がある。2社の2009年度の旅行取扱高を単純合算すると1899億円で、旅行業8位になる。
 統合後は幹部ポストの整理や本社一元化による合理化効果を見込む。日航は一時は旅行事業の売却も検討したが、グループにとどめた方が座席の販売にも寄与し、本業の収益下支えや競争力維持につながると判断した。
 日航は2月に稲盛和夫会長が就任して以来、管財人である企業再生支援機構の指導のもと抜本的な再建策作りに着手。現在は8月末期限の更生計画案の取りまとめに向け、主力銀行団との交渉に入っている。日航は2社の統合を更生計画案に盛り込みたい考え。
 不採算路線と人員の大規模な削減、老朽航空機の整理に加え、膨張した子会社群の整理は再建へ銀行団の協力を得る上で重要になっている。ホテル子会社をホテルオークラに売却する方向で最終調整に入るなど、リストラを本格化している。



永谷園、大相撲懸賞から撤退検討 不祥事連発でスポンサー離れ 
 永谷園が、野球賭博問題に揺れる大相撲の懸賞の取り止めや大幅削減を検討していることが17日、分かった。新弟子死亡事件や力士の大麻事件に続く相次ぐ不祥事で、かえってイメージダウンになりかねないと判断したとみられる。
 永谷園はひと場所あたり200本以上の懸賞をかける大口スポンサー。不祥事が後を絶たない懲りない相撲界からのスポンサー離れが加速するのは必至だ。
 永谷園では、「(野球賭博は)大きな問題と考えており、成り行きをみながら検討中」としている。同社は、大麻事件が起きた際にも、2008年秋場所で、懸賞の本数を大幅に減らしたことがあるが、その後も不祥事が続いたことから、今回は、削減よりもさらに厳しい対応に踏み切る可能性がある。
 永谷園は、02年から懸賞を出し始めた。ちょうど若貴ブームが去り、相撲人気にかげりが出てきたころで、相撲界にはまさに救世主だった。お茶漬けのりの袋をデザインした懸賞旗は、いまや大相撲には欠かせない存在になっている。また人気力士の高見盛をCMにも起用するなど、単なる宣伝ではなく、「応援」の側面も強い。
 懸賞は1本6万円で、うち5000円が手数料として相撲協会の取り分となる。永谷園が撤退すれば、相撲界として1場所あたり1200万円の収入を失うことになる。
 大相撲の懸賞などのスポンサーには、森永製菓や日本マクドナルドなど、消費者と直接触れ合う企業も多い。懸賞を出しても、イメージダウンになるなら本末転倒で、撤退や削減の動きが広がりそうだ。



楽天、仏最大のネットショップ会社買収 240億円で欧州進出 
 楽天は17日、フランス最大のEC(電子商取引)サイトなどを運営するプライスミニスター(本社パリ)の全株式を取得すると発表した。買収額は2億ユーロ(約240億円)。楽天は、先月も米ネット通販会社を2億5000万ドル(約230億円)で買収したばかり。中国などアジアへの進出も加速しており、プライスの買収で、新たに欧州参入を果たす。
 プライスは2000年発足で、フランスを中心にイギリスやスペインでEコマース事業を展開。旅行価格比較サイトや不動産情報サイトなども運営している。同社の主力サイトは会員数が約1200万人で、取扱商品は160万点に上り、月間サイト訪問者数はフランス国内でトップ。
 楽天は08年に欧州法人を立ち上げ、参入を検討してきたが、各国のEコマース市場の成長が続いていることに加え、消費者の厳しい選択眼など日本との共通点が多いことから、プライス買収を決めた。
 日本の「楽天市場」で培ってきたネット・ショップの運営や出店者の開拓・サポートなどのノウハウを活用し、プライスの事業をさらに強化する考えだ。
 楽天は、先月も米国で1400万人の顧客基盤を持つBuy.com(バイ・ドット・コム)を買収すると発表。今年に入り、中国に百度と合弁会社を立ち上げたほか、インドネシアでも合弁会社を設立する計画で、海外進出を急加速。プライス買収で、欧米アジアにまたがるネットワークを構築する。



JCOM株取得に「高額すぎる」 KDDI株主総会で異論噴出 
 KDDIの定時株主総会が17日、都内で開かれ、約3600億円を投じたケーブルテレビ国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)の株式取得に対し、「高額すぎるのでは」などの質問が相次いだ。
 総会では、株主が「当時の市場価格の約5割増しの単価でJCOM株を取得したのに、結果として拒否権すら取れていない。高かったのではないか」と質した。
 これに対し、両角寛文専務は「買い取り価格は妥当な価格だと考えている。JCOMへの資本参加は戦略的パートナーシップを結ぶのが目的であり、拒否権がないことは特段問題ではない」と回答。しかし、株主かたは「答えになっていない」と非難する声が上がった。
 JCOMをめぐっては、KDDIが2月に約30%の株式を持つ筆頭株主となったが、JCOMの設立以来の大株主である住商が反発し、TOB(株式公開買い付け)で対抗。保有割合を約40%に引き上げて筆頭株主の座を奪い返すなど、経営権をめぐって主導権争いを繰り広げた経緯がある。KDDIと住商、JCOMの3社は今月10日に放送・通信分野での業務提携に関する覚書を交わした。
 総会で、小野寺正社長兼会長は住商との関係について、「過去に何があったかではない。今後も協力してやっていくことが確認できた。共同で事業を運営していく上で、懸念はない」と理解を求めた。



任天堂「3DS」試してみた! 目に優しい自然な立体映像に好印象
 【ロサンゼルス=三塚聖平】当地で開かれている世界最大規模の家庭用ゲームの見本市「E3」で、最も注目を集めたのが、任天堂の3D(3次元)対応携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」だ。さっそく立体ゲームを体感してみた。
 3DSのサイズは、134×74×21ミリで、2006年に発売した「DSライト」とほぼ同じ大きさ。現行のDSと同様に2つのディスプレーを搭載しており、そのうち上が3D映像の表示、下は画面を直接触って入力するタッチパネル操作に対応している。
 「専用メガネ不要」が最大の売りだ。実際、裸眼でもはっきりと奥行きを感じる。専用メガネを使用する3D対応テレビなどと比べると奥行き感は乏しい部分もあるが、かえって自然で目が疲れにくく感じる。
 特に、普段かけているメガネと専用メガネの「ダブル・メガネ」の煩わしさがないのも好印象だ。
 試してみて驚いた機能が、3D画像の表示を強めたり弱めたりする「3Dボリューム」だ。本体の右側についているつまみを上下させると、3D効果が音量のように変化させることができる。3D画像に疲れたりした場合に使う機能のようだ。
 背面に設置した2つのカメラを使って3Dの画像を撮影できる機能も搭載しているが、将来、携帯電話にも転用されるのは確実だ。
 遊んでみた感想は、「3D映像を自然に楽しめる」というもの。3Dが目になじまないという人でも、“ボリューム”調整があるので問題はない。現時点では価格が不明だが、ヒットの可能性は高そうだ。



中国の広告市場、14年に倍増で日本に匹敵 米調査会社が予測
 中国(香港含む)の広告市場が2009年から14年までに約1・8倍に拡大し、日本とほぼ肩を並べる水準に達するとの予想を米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PWC)が17日までにまとめた。
 中国の堅調な経済成長が広告市場の拡大を支えるためで、世界トップの米国を日本と中国が追う形となる。経済の成熟化が進む日本の広告市場が将来にわたって中国への優位を保つのは難しそうだ。
 2009年の市場規模は中国本土が207億3600万ドル(約1兆9千億円)、香港が25億1900万ドルで、合計額で米国、日本に次ぐ世界3位につける。日本や米国など先進国で頭打ちとなっているテレビや新聞広告も順調に増加するほか、インターネット向けも急増するため、14年には中国本土が390億3800万ドル、香港は32億2千万ドルに拡大する。
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ヤフー 先行者利益守る巨象ではない?
自前主義捨て新たな収益目論む
 創業から現在まで増収増益を続け、日本最大級のIT企業に成長したヤフー。その収益モデルは盤石なものがある。しかし、盤石だからこそ進出できない分野もあり、それが次代の成長の足かせになる可能性もある。大企業ゆえの意思決定の遅さもささやかれるなか、同社が取ったのは自前主義との決別だ。
「ツイッター機能が付いてないとケータイとは呼べない時代がくる」
 2010年5月、ソフトバンクモバイルの新商品発表会の壇上、孫正義社長は突如、ツイッター機能を全携帯電話に標準搭載することを明かした。ソフトバンクはヤフーに38.6%出資する親会社。ヤフー側にとって「寝耳に水」(川邊健太郎メディア企画部長)のことだった。
 今、インターネットではツイッターやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といったソーシャル系サービスが流行している。個人が日記を書いたりなにかをつぶやいたりすることで、他者とつながる仕組みだ。
 海外ではツイッターやフェースブックが人気で、日本でも無料ゲームとSNSを組み合わせて提供しているミクシィ、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリーが急成長した。3社の会員数はそれぞれ、2000万人前後と多く、ツイッターの日本での月間利用者は1000万人に迫るともいわれている。
 じつは最近、ヤフー社内では30代の女性ユーザーがわずかながら減っていると大騒ぎになった。その原因について川邊部長らの見立ては、「ツイッターの普及」だった。
 30代の女性といえば、ツイッターの利用層とも重なる。ソーシャル系サービスは病みつきになる利用者も多い。サービスを提供する会社もそれを承知しているため、コミュニケーション機能に加えてニュースやその他の情報も提供している。
 そのため、これまで多くのインターネット利用者が最初に見る画面だったポータルサイトは、ソーシャル系サービスが取って代わる可能性もある。
 ただ、ヤフーもSNSに関心がなかったわけではない。2006年には「Yahoo!360°」を開始している。だが、市場ではまったく存在感がない。新興の専業事業者に比べれば、力の入れ方も覚悟も足りなかったことは否めない。
 そして、それらの事実をもってIT業界から「先行者として得た既得権にしがみつく巨象にすぎない」(SNS企業幹部)という趣旨の声も聞こえてくる。
 既得権と呼ぶかは別として確かに安定成長の基盤は築けていた。たとえば、ソフトバンクモバイルがほぼ全機種に「Y!(ヤフー)ボタン」を搭載しているおかげで、携帯電話ユーザーをヤフーに誘導しやすい。これなどは左うちわを決め込むには十分な仕掛けだった。
 ところが、そんな状況のなか、孫社長がソーシャル系サービスの最右翼であるツイッターを標準搭載すると発表してしまったのだから、仰天するのも無理はない。「孫さんの決断は速い。今後も何が起こるかわからない」(ヤフー幹部)。
 一方、検索の分野では、グーグルというライバルがいる。
 検索技術に優位性があり、必要な情報により早くたどり着けるという点では定評がある。すでに多くの国でヤフーはシェアを逆転されている。日本でグーグルがテレビ広告を始めた2009年末、業界関係者は「グーグルもヤフー追撃に本腰を入れるのか」とつぶやいた。
 前門には将来の収益源になりそうなソーシャル系サービスで成功した企業が、後門には現在の収益源を奪いかねないグーグルが、控えている──。2兆円近い時価総額で、IT企業としては日本最大級となるまで企業価値を高めてきたヤフーだが、さすがにここにきて曲がり角を迎えているのか。
 そう言い切るのは早計だろう。じつはこうした構図をいちばん理解しているのはヤフー自身だからである。
 前出の川邊部長は、ソフトバンクモバイルへのツイッター機能搭載を例にとり「これは危機だぞ」と社内に発破をかけている。
 1974年生まれで35歳の川邊部長は青山学院大学在学中の95年に「電脳隊」という企業を設立し、早くからインターネットビジネスを手がけてきた。ほかにも若い幹部は多く、IT業界の素早い構造の変化を肌で理解している。
 米国で急激に拡大しているフェースブックに対しても川邊部長は「フェースブックはポータルサイトの地位を揺るがしかねない」と言って憚らない。現状分析はしっかりできているのだ。
 井上雅博社長を含めてほとんどの幹部が、ヤフーがソーシャル系サービスで出遅れたことを自覚し、問題意識を共有している。曲がり角どころか、そこにこの会社の“強さ”すら見ることができる。
 そもそもヤフーには過去の危機を乗り越えて今の強固な収益モデルを構築したという歴史がある。
1日平均15億PV
総合力で首位独走
 現状ではヤフーの収益構造は盤石というほかない。2009年度決算では、売上高が2798億円、経常利益は1433億円。栄枯盛衰の激しいインターネット業界で、13期連続増収増益を記録している。
 リーマンショック以降、伸びが減速した広告収入も復調しつつあり、2010年10月には一部の広告料金の10%値上げに踏み切る予定だ。値上げは限られた広告スペースに対して、需要が多いという結果による。値上げしてもコストは増えないから、10%はそのまま利益増に貢献する。
 なぜ、これほどまで好調が続いているのか。その背景にはヤフーの総合力がある。
 ヤフーには検索以外にも日本最大のニュースサイトであるヤフートピックスがある。「読売新聞」や「産経新聞」などがニュースを提供している。そして動画配信サービス「GyaO!」にはすべての在京民放キー局が参加し、2010年1~3月期には初の四半期黒字化を達成した。そのほかにもトラベルや不動産など130以上のサービスがある。
 数多くのサービスを用意し、それぞれを日本の利用者のために「細かくチューニングすることで支持を得ている」(村上臣R&D統轄本部フロントエンド開発本部EveryWhere開発部部長)のだ。
 たとえば、地図のサービス一つ取っても、ヤフーの場合、ライバルのグーグルが表示していない地下鉄の出口の番号までしっかり表記している。また、天気予報も地域ごとやアニメーションでの予測など、他のポータルサイトに比べてもきめ細かく表示している。
 その結果、ヤフーは1日平均のページビューが延べで15億を超え、重複を除いた1ヵ月当たりの閲覧数は1億9000万にもなる。
 調査会社ネットレイティングスが発表した2010年4月の延べの検索利用者数はヤフーが4223万人、グーグルが2923人とヤフーがまだ優位である。
 これらの莫大な利用者に対して、広告を表示する。その広告主から得る広告収入と、オークション利用などで得る手数料収入などが収益の大きな柱となっている。
専業vs総合
買収と提携が加速
 じつは、ヤフーがソーシャル系サービスに本腰を入れてこなかったのには訳がある。
 SNSなどでは個人がそれぞれ情報発信するから、個人や企業に対していっせいに非難の声が上がる、いわゆる炎上も起きる可能性がある。
 そういう場に、企業は「広告を出しにくい」と考えている。つまり、大黒柱である広告収入が減少してしまう可能性があるのだ。
 もっとも、出遅れたのは広告主を気にしただけではないと口さがないライバル企業は言うかもしれない。大きくなり過ぎたがゆえの動きの鈍さだ。
 ヤフーは数百のサービスを抱えるが、それぞれに専業のライバルがいる。たとえば、ショッピングのライバルは、楽天になる。検索ならグーグル、ソーシャル系ならDeNAやグリー、ミクシィなどだ。天気予報やトラベルなどにもそれぞれ専業の会社がある。
 勢いのある新興企業もあれば上場を果たした大企業もある。規模はさまざまだが、共通しているのは、ある分野で専業であるということ。これらのライバルと“総合百貨店型”のヤフーは戦わなければならない。
 総合力は強みでもあるが、一つ間違えれば社内のリソースが分散するという弱みにもなる。また、規模は往々にして意思決定のスピードを削ぐ。その点は井上社長も認めるところだ。
 ただ、「過去にも難しい局面はあり、新しい収益源を見つけることで、それを打開してきた」(武藤芳彦メディア事業統括本部長)。
 じつは、2000年のITバブル崩壊までは、ヤフーの収益源はバナー広告が中心だった。ところが、バブル崩壊で広告の価格にかげりが見え始め、新たな収益源を探す必要があった。
 そこで、バナー広告以外にも検索連動型広告を加えた。いまや、広告収入1413億円のうち、検索連動型などバナー以外の広告は6割以上を占める。
 加えて、それまで無料だったオークションの出品利用と落札利用の手数料を2002年に導入、各種手数料、会費からの収入は現在、753億円になっている。
 それだけに、今回も2000年当時と同じように、新たな収益源を加えることができるのかが鍵となる。
 その解となりそうな大型の提携が5月にあった。
 ヤフーとDeNAは晩夏に向けサービスを互いに提供し合うことを決めた。ヤフーはソーシャル系で出遅れているし、DeNAは携帯電話向けに強くパソコン向けに弱いので補完関係が築ける。
 ヤフーはこれまで、ニュースや動画といったコンテンツを、メディア企業から受け自身のプラットフォームで表示してきた。そこでは、広告主からの収入から一定額を胴元であるヤフーが抜き、残りをコンテンツ提供事業者間で配分していた。しかし、DeNAとはそのプラットフォーム自体を一緒につくる、つまり一緒に胴元になる提携なのだ。
「ここまで拡大すると自分たちの力だけで今までと同じペースで利用者を拡大させていくことは難しい。外部の力を借りる」(ヤフー幹部)。自前主義との決別だ。
 すでにヤフーは2007年からオープン化戦略を開始している。
 ヤフーの会員がクレジットカード情報などを登録し、ショッピング時などに簡単に決済ができる「Yahoo!ウォレット」がある。このサービスを他のインターネットショッピングを提供する企業などに開放している。
 他社は手数料をヤフーに支払う代わりに、自前の決済システムを構築する必要がなくなり、2000万人のヤフー会員を潜在顧客として獲得することができる。
 今後、投資や大型の提携も加速する。井上社長が今年は出資や買収を加速していくと明言すれば、川邊部長は「フェースブックとの提携も模索できないか考えている」とも明かす。
 なにしろ、ヤフーは現金で370億円を持っている(2009年度末)。もしかしたら、今年、ヤフーは新しい段階に入るかもしれない。



新成長戦略、外資のアジア拠点誘致
来年度から補助金や税優遇 法人税率「主要国並みに下げ」
 政府は月内に閣議決定する新成長戦略で、経済成長に貢献する21の政策を「国家戦略プロジェクト」として打ち出す。日本に外国企業のアジア本社や研究開発拠点を誘致するため税制など外資優遇策の2011年度の新設を検討。国内外企業に対する法人実効税率は現在の約40%から「主要国並みに引き下げる」と明記した。原子力発電などのインフラ輸出へ首相がトップの特別委員会の設置も盛り込んだ。 新成長戦略では「環境・エネルギー」や「健康」など7分野を柱として個別の政策と具体的な成果を例示。政策の数が約250と多いため、力を入れる21政策を選び優先順位を明確にした。
 同戦略は、日本をグローバル企業の「アジア拠点」とするため、新たな進出企業への優遇を掲げた。一定期間の法人税減免や入国手続きの簡素化、大型投資への補助金などを柱とする。進出済みの外資による研究開発拠点の新設なども優遇する方向で検討する。
 年内に優遇措置の具体策や対象となる企業の認定制度づくりに着手。11年度からの開始を目指す。これによって外国企業の対日直接投資を倍増し、雇用を現在の75万人から20年度に200万人に増やす目標も示した。
 法人実効税率について、成長戦略は「主要国並みに引き下げる」と明記した。租税特別措置など抜本的に見直し、課税ベースの拡大で財源を確保。段階的に税率を下げる。時期は明示していないが「緊急の課題」と位置付け早期実現をにじませた。閣議決定文書に明記されることで、実現する公算が大きくなった。
 インフラ輸出拡大に向けて首相をトップとする「国家戦略プロジェクト委員会」を設置し、重点分野やトップセールス手法などを議論する。大使館などに「インフラプロジェクト専門官」を指名し、案件を発掘する。



富士通と東芝、携帯事業統合で合意 10月にも新会社
 富士通と東芝は携帯電話機事業の統合で合意した。10月にも共同出資の新会社を設立、富士通が過半を出資する。携帯電話やスマートフォン(多機能携帯電話)の製造、開発、販売機能を一本化、アジアなど海外市場に本格進出する。両社の国内シェアは合計約19%で、シャープに次ぐ第2位メーカーが誕生する。
 17日に発表する。新会社は東芝の携帯電話機事業部門を切り離したうえで富士通が出資する。富士通が開発陣などを新会社に送り込み、製品開発の一体化を進める。富士通の出資比率は7~8割とみられる。
 富士通は「らくらくホン」や防水機能、指紋認証機能を持った携帯電話で強みを持つ。国内ではNTTドコモにのみ端末を供給し、シェアを拡大してきた。
 東芝はKDDI(au)向けの端末が主力。スマートフォンに強みがあり、KDDIのほかNTTドコモなどにも供給。欧州でも年間約10万台を販売している。
 富士通は国内メーカーの中でスマートフォン戦略でやや出遅れており、東芝との統合で事業強化につなげる。
 携帯電話の機能は年々高度化し、開発費は膨らんでいる。東芝は携帯電話の国内生産から撤退、海外企業に生産委託するなどコストを削減してきたが2009年度は赤字だった。富士通は黒字を確保しているが、海外攻勢をかけるためには事業基盤を強化する必要があると判断した。
 両社は09年秋にも、東芝が富士通のハードディスク駆動装置(HDD)部門を買収、関係を深めていた。



モバゲータウンに“モンスターハンター”初登場 
 カプコンと、携帯電話向けSNSサイト「モバゲータウン」を運営するDeNAは16日、累計1100万本を出荷したカプコンの人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズの新作ソーシャルゲームを8月上旬からモバゲータウン向けに配信すると発表した。
 通称モンハンのシリーズがソーシャルゲームに登場するのは初めて。DeNAは、人気タイトルの新作で新たな会員の獲得を目指す。一方のカプコンは、会員数1900万人超にまで成長しているモバゲータウンで、モンハンの新規ユーザーを開拓したい考えだ。
 配信されるのは「モンハン日記 モバイルアイルー村」で、モンハンに出てくる猫のキャラクターを主役とした新作のスピンオフ作品。基本プレーは無料だが、アイテム課金制となる。



瀬名秀明氏ら作家8人、書き下ろし作品を電子書籍で配信
 累計150万部を発行したSFホラー小説「パラサイト・イブ」で知られる瀬名秀明氏ら作家8人が、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」など向けに、未発表の新作を集めた「電子文芸誌」を刊行する。書き下ろしの小説や評論文、エッセーを持ち寄って1冊にまとめ、350円で有料配信する。
 17日から配信する電子書籍「AiR」には、瀬名氏が約80ページの中編小説「魔法」を提供。ライトノベル作家の桜坂洋氏や脳科学に関する著作が多い前野隆司慶応大学教授らも執筆陣に加わり、すべて読み切り作品で構成した。
 ベストセラー作品を持つ作家が出版社を介さず、自ら電子書籍事業に乗り出すのは日本では珍しい。作家のほかはスタッフ3人で編集と制作、宣伝をこなし、少額投資でも電子書籍事業が成り立つかどうかを実験的に探るという。
 収益は、米アップルが徴収する手数料を除き作家とスタッフで分配。5000部以上を販売できれば「仕事量に見合った対価を払える」(作品を寄稿した著述家の堀田純司氏)。瀬名氏や桜坂氏らは紙の書籍向けの執筆活動も続け、出版社との関係も維持するという。
 iPadに加え高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けにも配信。7月からは掲載作品を増やし、価格も600円に改めて配信する予定。



「借りられない」ATMではや混乱 改正貸金業法、18日から完全施行
 貸金業者に対する規制を強化する改正貸金業法が18日に完全施行されるのを目前に控え、早くも借り手に混乱が広がっている。一部の消費者金融が規制対象となる顧客への融資を前倒しで中止し始めたためで、借り入れを断られて初めて制度改正に気づく顧客も多い。政府は業界に対し、激変緩和措置として顧客の当面の資金繰りを支援するよう求めているが、対応は後手に回っている。(藤沢志穂子)
 「制度改正は知っていたが、まさか自分が借りられなくなるとは…。何とかしてほしい」。大手消費者金融プロミスのコールセンターでは6月に入り、顧客からの切羽詰まった問い合わせが急増している。件数は前月比2倍の勢いだ。
 多重債務者問題への対応策として18日に完全施行される改正貸金業法は、顧客への融資を年収の3分の1以下に抑える総量規制と上限金利の引き下げが柱。高金利での過剰融資に歯止めをかける狙いがある。
 主婦は門前払い
 これを先取りし、プロミスは6月以降、総量規制に引っかかる顧客に対し現金自動預払機(ATM)での融資を中止。アコムも同様の措置を取り始めた。
 各社とも、総量規制に引っかかる恐れのある顧客に対してはできる限り事前に連絡し、理解を求めようとしてきた。ただ、消費者金融には取引を他人に知られたくない顧客が多いため郵送通知は難しく、電話で連絡のつかない例も多い。
 そんな顧客がATMで借りられなくなったことを知り、慌てて連絡してくるのだという。「ひたすらおわびするしかない」とプロミス担当者はため息をつく。
 情報調査機関の日本信用情報機構によると、消費者ローンの利用者は3月末時点で約1420万人。金融庁は、半数の約700万人には年収の3分の1超の借り入れがあるとみている。
 問題は改正法の認知度が低いことで、日本貸金業協会が4月にまとめたアンケートでは、3分の1超の借入残高がある利用者のうち総量規制を把握していた人は48・8%にとどまった。
 中でも影響が大きいのが専業主婦だ。今後は、夫の同意書や年収証明書を提出しなければ融資を受けられなくなるが、消費者金融大手のほとんどは、こうした事務手続き上のコスト負担を嫌い、専業主婦への融資自体を中止する方針だ。
 東京情報大の堂下(どうもと)浩准教授は「専業主婦が生活苦からヤミ金業者に走るのは間違いなく、すでにその傾向が出ている」と話す。
 政府の対応後手
 金融庁は11日、制度改正に伴う当面の資金繰りに困る顧客を支援するため、3カ月返済を条件に最大10万円を融資する「特定緊急貸付」を総量規制の対象外とすることを決め、消費者金融各社などに同貸付を実施するよう求めている。



メキシコ湾原油流出事故 BP、1兆8千億円拠出で合意か
 【ワシントン=渡辺浩生】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日(日本時間17日未明)、米南部メキシコ湾の原油流出事故を起こした英メジャー(国際石油資本)、BPが被害補償のための基金として、200億ドル(約1兆8300億円)を拠出することで米政府と合意したと報じた。
 被害補償の全額拠出を求めるオバマ米大統領とスバンバーグBP会長が16日、ホワイトハウスで会談、オバマ大統領がBP側に基金設立を求めていた。



5年で国防予算9兆円削減 米国防長官が議会証言
 ゲーツ米国防長官は16日、上院歳出委員会の小委員会で証言し、国防予算を2012会計年度(11年10月~12年9月)から5年間で総額千億ドル(約9兆1400億円)以上削減する方針を示した。既に内局や各軍に削減案の策定を求めたという。
 ゲーツ氏は「装備調達の手法を変えないといけない」と指摘。また組織運営の諸経費を大きく削減する考えを示し「国防長官の部署も含めて例外はない」と述べた。
 最新鋭戦闘機F35の代替エンジン開発費は「無駄」と重ねて強調、議会が予算計上した場合に「大統領は拒否権を発動する」とけん制した。



点検 注目材料株◇任天堂、「3DS」効果の持続性は
 16日の大阪株式市場では任天堂が商いを伴って買われた。終値は前日比5%高の2万6520円で、売買高も1552万株と前日の2倍近くに膨らんだ。米ロサンゼルスで15日(日本時間16日未明)に開幕したゲーム見本市「E3」で、新型携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を公開したことが材料視された。対ユーロでの円高一服も追い風。
 3DSは専用の眼鏡をかけなくても3次元(3D)の立体映像が見られるのが特徴だ。携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズとしては、約6年ぶりの新型機となる。
 お披露目された3DSの機能はほぼ事前の想定通りだったようだが、スクウェア・エニックスの「キングダムハーツ」やコナミの「メタルギア・ソリッド」など、人気タイトルの開発が進んでいる。ゴールドマン・サックス証券は16日付のリポートで「ソフトウェアのラインアップは想定以上に強力であり、発売直後のスタートダッシュは期待できそうである」と指摘した。
 任天堂の2011年3月期の連結純利益は前期比13%減の2000億円と、2期連続の減益見通し。06年に発売した据え置き型ゲーム機「Wii」の販売が伸び悩むほか、円高も響く。同社は欧州売上高比率が3~4割と高く、特にユーロ安が減益要因になる。足元では1ユーロ=112円台と、やや円安方向に戻したが、想定為替レート(1ユーロ=120円)とは開きがある。
 国内運用会社のファンドマネージャーは「ニンテンドー3DSの影響はわからないが、買い替えが進む期待はある。今期業績はユーロ安による下方修正リスクがあり、現状での投資判断は中立。だが、来期以降は収益回復を予想しているため、今期の悪材料が出尽くした場面では買ってもよい」と話す。
 短期的には「ここしばらくで2万6000円台を固められれば3万円を目指す展開」(中堅証券ディーラーの久米隆嗣氏)との声がある。ただ、「明日(17日)の出来高が今日(16日)の7~8割程度ならこの流れが続きそうだが、5割程度まで戻ってしまうと上昇は長続きせず、再び下落する可能性が高い」(久米氏)という。松井証券の土信田雅之マーケットアナリストは「09年のレンジ相場の上限である2万7000円に近づいているため、戻り待ちの売りに対する警戒感がある」と指摘する。
 任天堂の株価は新型ゲーム機が発売された年は、E3の後から年末にかけて上昇する傾向があるという。ニンテンドーDSが発売された04年やWiiが発売された06年がそれにあたる。今回も同様かどうかは、DSやWiiが家族でゲームを楽しむ需要を作り出したように「3DSで新たなゲーム層を開拓できるかにかかっている」
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