(((゜Д゜;)))新聞

ゲームソフト「脱専用機」 携帯向け強化、クラウド活用型も
 米ロサンゼルスで開かれていた世界最大規模の家庭用ゲーム見本市「E3」は17日(日本時間18日)に閉幕したが、目立ったのがゲームソフト各社による携帯電話を中心とした家庭用ゲーム機以外へのソフト供給の動きだ。スマートフォン(高機能携帯電話)などゲームを楽しめる機器の拡大に加え、日本や欧米などゲーム先進国では市場飽和で専用機の爆発的な市場拡大が見込みづらいこともソフト各社の背中を押している格好だ。
 ◆高い成長性期待
 「スマートフォン向けゲームソフト配信はまだ勃興(ぼっこう)期で、今後も高い成長性が期待できる」
 カプコン傘下で北米を中心に携帯電話向けゲーム配信事業を手がけるカプコン・インタラクティブ(本社・ロサンゼルス)の湯浅緑社長は、携帯向け事業の将来性に自信をみせる。カプコンはE3で、米アップルのスマートフォン「アイフォーン」向けゲームを展示するなど事業強化を打ち出した。
 なかでも期待が高いのが、スマートフォン向け「ソーシャルゲーム」だ。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した交流機能を持つゲームで、日本や欧米で急速に市場が拡大している。カプコン・インタラクティブは今秋をめどに、同社初となるソーシャルゲームを米国で4作品発売する計画で、湯浅社長は「ゲーム専用機ではカバーできなかったライトユーザーを取り込める」と既存事業の補完を強調する。
 一方、セガとコナミデジタルエンタテインメントは、アップルが4月に北米で発売した新型情報端末「アイパッド」向けゲームをE3で展示。セガの鶴見尚也常務は「アイパッドは画面が大きいのでゲーム利用に向いている。スマートフォン向けと合わせ収益拡大の原動力になる」と強調する。
 ◆新種「オンライブ」
 新たな“ゲーム機”の登場も話題になった。米カリフォルニア州に本社を置くベンチャー企業が手がける「オンライブ」というサービスだ。ネットワーク経由でソフトなどを利用する「クラウドコンピューティング」の手法を活用する。パソコンやテレビなどでゲームをダウンロードするため、高価な専用機などがなくても高品質のゲームを楽しめる。17日にパソコン向けにサービスを開始し、テレビ向けも近く始める予定だ。日本での展開は「現時点では不明」(担当者)という。
 ソフト会社の注目も高く、米エレクトロニック・アーツや、カプコンやセガなど日本の大手も協力会社として名を連ねる。セガの鶴見常務は「ソフト会社としても注意しておかなければならない存在」と、ソフト供給先拡大の重要性を強調する。専用機で楽しんでいたゲームも、機器多様化が進みそうだ。



ソニー、金脈は広告収入 ネット・テレビ、510億ドル市場に食い込む  ソニーのストリンガー会長兼社長は18日、東京都内のホテルで開かれた定時株主総会で、今期はネットワークサービスや3D(3次元)関連製品に力を入れる考えを明らかにした。同会長は「グーグルと共同発表したインターネットテレビに大きな期待を寄せている」と語った。
 ◆不採算部門の挑戦
 アンテナやケーブルテレビ(CATV)回線ではなく、インターネットに接続されたテレビやレコーダーを通じて、映画やテレビ番組、音楽を楽しめる次世代の「インターネット・テレビ」が今後数カ月にわたり、ソニーをはじめとする家電メーカーから登場するとみられている。
 消費者は、インターネット・テレビによって、テレビ用の接続をせず、自分だけの専用チャンネルを、より簡単に設定できるようになる。これは、すでに多くの人々が「ユーチューブ」や「フル」といったネット上の動画サイトを利用して、コンテンツ(情報の内容)を楽しんでいる姿とよく似ている。
 違うのは、ソニーなどのメーカーが、加入契約による収入や視聴した番組ごとに課金するペイ・パー・ビュー方式の視聴手数料のほか、広告収入などにも狙いをつけているところだ。ブルームバーグ・ビジネスウイーク誌(6月21日号)が報じている。
 消費者は、毎日のテレビで回線料がかかるコンピューターや携帯端末を使わないですむようになるが、製品は高価なうえ、広告収入などでソニーなどのメーカーを潤すことになる。
 ソニーにとってインターネット・テレビ用は可能性を秘めた新製品だ。同社は、事業再編コストなどにより、過去2年で14億ドル規模の赤字を計上。ソニーにとって、テレビ事業は不採算部門となっている。米調査会社アイサプライによれば、ソニーはテレビ市場で3位に転落。韓国のサムスン電子と米ビジオの後塵を拝している。
 ◆年末商戦に新兵器
 ストリンガー会長は、人々が居間でテレビを見る時間が減っており、業界は視聴方法の変化に素早く対応する必要があるとの見方を示し、ソニーは先月、米グーグルと提携し、インターネットを利用して動画や音楽を楽しめるテレビ機器の試作品を公開した。これは、今年の年末商戦に登場するとみられている。
 米広告大手インターパブリック・グループの調査部門マグナ・グローバルによれば、ケーブルテレビと放送局は2010年、510億ドルの広告収入を得るとみられている。この広告市場に食い込むことがテレビメーカーの究極の目標だ。
 ソニーは今年に入り、液晶テレビ「ブラビア」とブルーレイプレーヤーを組み合わせて視聴する動画配信サービス「Qriocity(クリオシティ)」を開始している。
 郵送DVDレンタル大手の米ネットフリックスもパソコンなどで映画を見られるサービスを提供しており、会員は無料で視聴できる。一方、ソニーのクリオシティでは映画1本につき2.95ドル(約270円)以上の視聴料がかかる。
 ソニーは傘下にコロンビア・ピクチャーズやトライスターといった映画制作会社を抱えているが、他の制作会社と作品公開後すぐに最大30ドルで視聴者が映画を楽しめるよう交渉を行っている。
 米調査会社パークス・アソシエーツによれば、ゲームを除いたインターネットのビデオ配信の市場規模は、2010年の1億8000万ドルから、14年には8億ドルにまで拡大する見通しだという。



フェラガモ・カルティエ… ブランド消費底入れか
 海外高級ブランドの国内販売に一部で底入れの兆しが出てきた。伊サルヴァトーレ・フェラガモや仏カルティエは今年に入り、売上高が前年比1割近く増加。景気持ち直しに伴い富裕層の一部が戻っているほか、中国人客が急増している。ただ仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは前年割れが続くなど、全体ではなおデフレと消費低迷の逆風にさらされている。
 2008年秋のリーマン・ショック以降、海外ブランドの日本事業はおおむね前年比2ケタ減が続いていた。今年1~4月にフェラガモの国内売上高は前年同期比8%増と07年以来のプラスに転じ、カルティエも4~5月は1割近く増加。仏クリスチャン・ディオールも今年は増収ペースだ。
 いずれも固定客の消費が回復し、低価格の投入で客層も広がった。フェラガモのバッグは革製の10万~20万円程度が中心だったが、今年は布製の10万円以下をそろえた。日本での消費意欲が旺盛な中国人観光客も下支えしており、カルティエはここ3年で中国人の購入額が10倍に増えて売上高の5%を占めている。
 一方、最大手LVMHの日本事業(年商は2000億円前後)の1~3月は、前年同期に比べて7%のマイナス。もともと手ごろな商品もそろえる同社は一般のOLなどの顧客も多く、こうした層の消費は冷え込んだまま。09年1~3月(08年同期比18%減)から持ち直しているとはいえ、苦戦が続く。消費は力強さを欠いているだけに、ブランド間の優勝劣敗が鮮明になりそうだ。



トヨタ21位に転落、神話崩壊 フォード5位躍進 米新車品質調査
 米調査会社JDパワー・アンド・アソシエーツが発表した2010年のブランド別自動車品質調査は、日米の主力メーカーの間で明暗が分かれる結果となった。米大手のフォードが初めてトップ5入りを果たしたのに対し、トヨタ自動車の量販ブランドは同調査開始以来最も低い順位に沈んだ。
 この初期品質調査は、新車購入者から寄せられた購入後90日以内の不具合情報をもとに毎年実施される。前回調査で6位だったトヨタは今年21位に転落した。JDパワーでグローバル車両部門の責任者を務めるデビッド・サージェント氏は、「トヨタの不具合の大半は、大規模リコール(回収・無償修理)で問題となった部品に関するもの。品質の改善により来年以降はまた順位を上げてくるだろうが、ある程度ブランドイメージが損なわれることは避けられない」と指摘する。
 一方、他の米国ブランドが軒並み順位を落とすなか、フォードの量販ブランドは独ポルシェを初めとする高級車ブランドに次ぐ5位に食い込んだ。この躍進についてサージェント氏は、「9年間にわたる改善の取り組みが実を結んだ」と分析した。



ドワンゴ、絵文字が使える携帯電話向けTwitterクライアント「twitbeam」公開
 ドワンゴは携帯電話向けのTwitterクライアント「twitbeam」を提供開始した。
 各キャリアの絵文字が利用できたり、画像を使用してメニュー機能をわかりやすく表示したりするなど、携帯電話で使いやすい機能を盛り込んだTwitterクライアント。初心者向けに「はじめてのツイッターガイド」というTwitterの説明ページも用意されている。



ANAが格安航空会社を新設へ…国際線は半額
 全日本空輸が、国内に低コストで運営する格安航空会社(LCC)を新設し、関西国際空港を拠点に国際線と国内線の運航に乗り出す方向で検討に入ったことが19日、明らかになった。
 国際線は大手航空会社の半額程度、国内線は高速バス料金並みの片道1万円以下の運賃を目指す。急速に台頭するアジアのLCCに対抗する狙いがあり、早ければ来年度中にも運航を始めたい考えだ。
 新設する子会社は、ANAとは別ブランドとする案が有力で、国際線は中国などアジアを結ぶ路線が中心になると見られる。
 200人前後の中小型機を利用して短距離を中心に運航頻度を増やし、航空機の回転率を上げる一方、機内サービスは簡素化し、パイロットには外国人を雇用するなどして人件費を抑え、コスト削減を図る。
 施設利用料が安い簡素なLCC専用の旅客ターミナルビルの建設を検討するなど、LCCを積極的に誘致している関空に拠点を置く方針。
 国土交通省は5月にまとめた成長戦略で、日本へのアジアの観光客誘致にはLCCの参入促進が不可欠として、空港の着陸料引き下げや規制緩和などを進める方針を打ち出した。さらに関空の抜本再建策を検討する考えを示しており、全日空はLCCの事業化に向けた条件が整いつつあると判断した。
 ◆LCC=Low Cost Carrier(ロー・コスト・キャリアー)の略。機内食を有料にするなど運航経費を削り、既存の航空会社に比べて運賃が大幅に安いのが特徴。国際航空運送協会によると、2009年の航空会社別旅客数では、首位のサウスウエスト航空(米国・1億133万人)、5位のライアンエアー(アイルランド・6528万人)などLCCが上位に入っており、世界の航空輸送市場シェア(提供座席数)の約2割を占めている。



たちすくむ政治 世論と市場の反目、深刻
 「“金融”で民主主義が崩壊するかもしれない」。6月上旬、欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は労働組合幹部らに言い放った。ギリシャやスペインが財政危機への対応を誤れば、軍事クーデターや反乱が起こりかねないとの警告だ。
 民主主義は時間がかかる。様々な国民の声を聞きながら議会審議を経て多数決で政策を実現するからだ。一方、金融市場は「迅速な回答」を求める。時には暴力的に。企業であろうと、銀行であろうと、国であろうと、弱みを見せればすぐに売り込まれる。
 アテネの中心地シンタグマ広場を見下ろすギリシャ財務省ビル6階の執務室。パパコンスタンティヌ財務相はこう語った。「当然、抗議活動はある。憲法上の権利であり、それが民主主義だ」
 昨年10月に財務相に就任。それから半年、財政緊縮策に反発する国民世論と早期実施を迫る市場の声の板挟みにあった。
不機嫌な世論
 ギリシャを支援する側のドイツも同じ悩みを抱えた。
 「これは政治家と市場との戦いだ」。5月19日、メルケル独首相は国債空売り禁止などの規制策を公表した。EUに対する根回しはなかった。市場への突然の「宣戦布告」は、世論の反発が強い財政赤字国への緊急金融支援について議会の同意を取り付けるための政治取引という見方が多い。
 世論の反発でギリシャ支援が後手に回り、市場の攻撃にあったユーロ圏。市場が求める対策の議会承認を得るために、さらに厳しい対策を取り、また新たな混乱を招く。
 金融危機後、どこの国でも国民は不機嫌だ。銀行の不始末になぜ血税を使うのか。なぜ我々の職は脅かされるのに銀行幹部は高額報酬をもらうのか。不満を和らげようと、指導者は金融機関に厳しい政策を打ち出す。ボーナス規制、金融取引課税、空売り規制――。
 市場主義の盟主・米国も例外ではない。5月20日。米上院は金融機関の自己勘定での高リスク取引制限などを盛り込んだ規制改革法案を可決した。リード上院院内総務は「自分たちを守ってほしいという米国民の声に従った結果だ」と胸を張った。法案は実に1500ページ。オバマ政権も世論には抗しきれない。
 国際金融協会(IIF)の試算では、世界的な金融規制強化の影響で2011年からの5年で日米欧の実質成長率は年率0.6%低くなる。とりわけユーロ圏への影響が大きく、押し下げ効果は年率0.9%になる。
 米国が浮足だったころ。「ボルカー・ルールが欧州危機を深刻にしないか」。日銀幹部は気をもんだ。銀行の高リスク取引を制限する規制導入で米銀が資金供給を減らせば、欧州銀の資金繰りが苦しくなりかねない。
規制強化のワナ
 各国の国民世論におされる形で、規制をむやみに積み上げていけば、市場を通じた円滑なお金の配分が滞る恐れもある。「規制導入にはマクロ経済の実態にあわせた行程表づくりが重要」。英大手銀HSBCのグリーン会長は警戒感を示す。
 市場も民主主義も不可欠だ。東西冷戦終結後。市場経済化と民主化は車の両輪として機能した。その歯車がかみ合わなくなり、市場と民主主義が反目する。
 再びギリシャ財務相に聞いてみた。どうすればこの問題を解決できるのか。「厳しい緊縮策でも、長い目でみれば利益になることを国民に理解してもらうしかない」
 民主主義の手続きを踏んで、市場の求める厳しい改革を断行するという難しい道。それは財政赤字を抱える日本を筆頭に、先進国の政治指導者にとって共通の課題だ。



老いる団塊 堺屋太一さんに聞く
中高年が金使う楽しみを 習い事も社交気分で
 団塊の世代が、不安にさいなまれている
 勢いづく中国、韓国に対し、閉塞(へいそく)感に満ちた日本。日本が最も成長した時代に青春時代を過ごし、仕事をした団塊世代も、還暦を過ぎ、政治にも失望し、先の不安にさいなまれている。
 「国としての日本は既にアジア唯一の先進国の座から滑り落ちようとし、進んだ国の一つではあるがアジアの代表ではなくなっているのに、その当時の意識が今も抜け切れていない」。『団塊の世代』の名付け親、堺屋太一氏は語る。
 「平穏に生きようとするならば、『明日は今日より豊かにせねばならぬ』という追われる気持ちをなくすことだ」というのが、氏の見立てだ。
 「1982年以前に生まれた人は、日本を『アメリカの次』ととらえるのに対して、83年以降生まれの人は『日本をアジアでトップ』とさえも考えない。なぜかと言えば、学校教育なんですね。82年以前の世代は野球だったが、それ以降はサッカーになった。サッカーで韓国に勝つのは容易なことではない」
 「サッカーが主流になったのは、学校教育が反映している。野球は4番バッターと8番バッター、投手と外野手という『格差』がある。最近は『なぜ、うちの子が8番なのか』などと教師に苦情を寄せる父母が少なくない。一方、サッカーはゴールキーパーを除けば順番などはないから教師にとっては楽だ。格差を避けた結果、誰も苦労も冒険もしない雰囲気が醸成された」
 「国の将来は老後の生活にも影響を与えるだろうが、国全体が浮き沈みするわけだから、個人としてそんなに焦る必要はない。振り返ってみて、大阪万博が開かれた昭和45年(1970年)ころ、そんなに生活が苦しかった記憶があるだろうか。一方、バブル経済真っ盛りの80年代後半、それほど良い思いをしたかといえば、そうでもない。個人によって収入などに違いはあるが、年金にプラスいくらかあれば、その時代の豊かな生活は送れるでしょう」
 1400兆円という膨大な個人金融資産の活用が日本の将来を左右する
 「子孫に美田を残す」発想はもはや意味がないという。
 「子どもにお金を残しても仕方がない。というより、子どもはそれほど喜んでくれません。親が思うほど子どもは感謝しない。10の価値ある贈り物をしても、受け取る方は3ぐらいにしか感じない。だからお返しは3。今度はお返しをもらった方が1くらいにしか見ない。これが『ため一割』。関西では結婚のお祝いなどのお返しは1割。おため返しと言っています」
 「誰しも1400兆円などと聞くと、自分には関係ないと思ってしまう。しかし、積み立て中の生命保険とか銀行預金、郵便貯金その他もろもろの金融資産を子細に点検してみると、意識しないうちにそれなりのものになっていることが多いのです。以前、知り合いに聞いてみた。すると10人が10人『やっぱり思うてたよりあったわ』という答えだった。人生の棚卸しをする中で資産評価をしてみることが大事。そして資産の中身をよく見極め、使えるものは使った方がよい」
 そのためには、お金を使っても構わないと思える楽しみを見いだす必要がある。
 「しかし、今の日本には高齢者向けの物品やサービスは実に乏しい。子ども向けにはいろいろ考案されてきた。本なら絵本や童話、歌なら童謡唱歌。お子様ランチや軟式テニス、野球などがあります」
 「一方、高齢者向けは本も歌もファッションもない。高齢者向けの新サービスといえば、介護であったり認知症の老人施設などばかりで、7割いる健常者のための新サービスはほとんどありません。若者と同じ旅程を組まれたら疲れるのは当然。楽しいはずの旅行がしんどいものになってしまう」
 楽しみを見いだすことと、中高年が誇りを持てる環境づくりが重要だ
 「中高年にとっては、教育も楽しめるものでなくてはいけません。これまでの教育は子どもにばかり注目が向けられてきた。子ども教育は、一に天才的なプロフェッショナルになるかもしれない、二に熱心に通うと褒められる、三に親がお金を払う――の3点に特徴があった。中高年はどれもその逆。天才になんかなれっこないし、熱心に通うと『変わり者』と言われる。お金はむろん自分で払う」
 「中高年にとっての教育はいわば社交なんです。だから、バイエルを使って基礎からピアノの鍛錬をする必要などさらさらない。名曲の3曲でも弾ければ十分。日本には師範学校以来の『型』にはめる教育しかなかった。中高年が楽しめる教育市場を創成しなければいけません」
 「それに加えて、中高年が誇りを持てるような環境を整える必要がある。たとえば寄付制度です。寄付というと所得控除のことばかりが論議されるが、日本では再評価利益に対する課税がひどい。無名だったころに買った画家の絵が、30年後には有名になって何十倍、何百倍の値段になったとします。それを財団法人に寄付すると値上がり分を所得とみなして税金を払え、となる。評価益に対する課税は即刻やめるべきです。税制調査会の委員でもこれについては意外に知らない」
 なぜ、そうなのか。
 「官僚は自分たちほど上手に国のためにお金を使える者はいないと思っている。だから寄付より課税となるのです。生涯を通して営々と働き、会社を育てて財産を築いた人の誇りを踏みにじる。官僚は誇りにも平等を求める。これでは高齢社会は活性化しない。100倍も寄付の多い米国では、美術館も大学も研究機関も寄付をもとに人文科学の研究を大きく前進させている。実にうらやましい」



【中日説】
貸金業法改正 再出発は相談窓口から
2010年6月19日
 改正貸金業法が十八日、完全施行された。多重債務問題解決の特効薬と期待されるが、借入枠の制限などで混乱の恐れもある。法の周知は当然だが、問題を抱え込まず、相談窓口を訪問してほしい。
 改正法は四年前、全会一致で成立し、段階的に施行されてきた。今回は、貸し出しの上限金利を29・2%から20%に引き下げるとともに、年収の三分の一を超える貸し付けを原則禁止する「総量規制」などが導入された。多重債務者を出さないために、完全施行を歓迎したい。
 心配なのは、今借りている人への影響だ。緩和措置として、金利の低いローンへの借り換えは新規でも認めたほか、個人事業者を総量規制の対象外にしたが、改正で借りられなくなる人もいる。
 金融庁の調査では、貸金業の利用者は昨年十二月現在、千三百七十六万人。日本貸金業協会の調査では、利用者の約半数が年収の三分の一以上借りており、さらにその約半数が生活維持のために新たな借り入れが必要と答えた。これに従えば、約七百万人が借りられず、三百数十万人が生活に困ることになる。また、専業主婦(夫)は今後、配偶者の同意書などが必要となるが、家族に内緒にしている人も少なくないという。
 ところが法律の周知は進んでいない。同協会の調査では、認知率は利用者全体の49・2%、専業主婦(夫)では37・0%だ。業界、金融庁、消費者庁はもちろん、地方自治体も協力し、周知に全力を挙げてほしい。
 消費生活センターや弁護士会、司法書士会などが相談窓口を設けている。借金の整理や自己破産などの手続きを通じ、生活再建を助けてくれる。困った人は相談してほしいが、足踏みする人もいる。
 滋賀県野洲市は二〇〇四年度から、各課連携で多重債務の救済に取り組む。例えば、生活保護の申請者が多額の借金をしていることが分かると、消費者相談の係につなげ、借金の解決方法をアドバイスする。多重債務者は公共料金などを滞納することもあるため、今は市民生活相談室を中心に税金、水道料、学校給食費などの担当課が情報を共有し、相談の掘り起こしをしている。
 多重債務者の中には、買い物症候群など精神面の問題も指摘される。カウンセリングも必要だろうが、ぜひ再出発をし、周りも見守ってほしい。違法なヤミ金融は潜行するかもしれない。くれぐれも用心したい。
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(゜Д゜)っ/凵⌒☆チンチン新聞

携帯大手4社の通信料収入、データ音声を逆転へ
 携帯電話大手の収益構造が転機を迎えている。2011年3月期は大手4社合計の通信料収入でデータ通信が音声を初めて上回る見通しだ。スマートフォン(高機能携帯電話)で先行するソフトバンクが連続営業最高益となる一方、出遅れ気味のKDDIは苦戦が続くなどデータ通信が成長力を左右する傾向が強まっている。
 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクにイー・アクセス傘下のイー・モバイルを加えた大手4社合計で、今期の移動体通信料収入は6兆7千億円弱と前期に比べ小幅減の見通し。データ通信が3兆3千億~3兆4千億円と1割伸びる一方、音声は3兆3千億円と1割落ち込みそう。
 09年3月期に4割だったデータ通信の比率は前期に46%程度まで上昇。今期通期では両者がほぼ均衡する見込み。下期にはデータ通信の比率は52%前後まで高まる公算が大きい。
 通信料収入のデータと音声の逆転は世界初とみられる。米AT&Tなど欧米大手ではデータ通信の比率は2~3割どまり。日本は従来型の端末でも情報サービスの利用頻度が高く、スマートフォンの普及が重なって成長が加速している。
 iPhone(アイフォーン)や多機能携帯端末iPad(アイパッド)を擁するソフトバンクは今期、データ通信の比率が52~53%程度まで上昇する可能性が高い。「ユーザー数が増えればそのまま増収、増益につながる」(孫正義社長)。ソフトバンクは今期の営業利益を前期比7%増の5000億円と見込む。新型iPhoneの売れ行き次第で上ぶれ余地が出てきそうだ。
 NTTドコモは「iモード」などデータ通信で約1100億円の増収を見込むが、音声の落ち込みが約2000億円と大きく、補いきれない。KDDIはデータ通信の増収幅が400億円前後にとどまり、全体に占める割合も46%程度となる見込み。音声と合わせた減収幅が1100億円強に膨らみ、携帯電話事業は減収減益が続く。



「コミックバンチ」休刊へ
 人気漫画「北斗の拳」の過去を描いた「蒼天の拳」などを連載している週刊漫画誌「コミックバンチ」(新潮社発行)が8月27日発売号で休刊することが18日、分かった。
 編集業務を担当している「コアミックス」(東京都武蔵野市)によると、同誌は平成13年に創刊。創刊号は70万部以上を発行して話題を集めたが、日本雑誌協会の統計では、現在14万部前後と低迷していた。
 コアミックスでは秋に新しい漫画誌の創刊を検討しているという。



タッチパネル汚れ防ぐ保護剤 ダイキンが増産
 ダイキン工業はタッチパネルなどの汚れを防ぐフッ素コーティング剤を増産する。2012年以降、日米の生産設備を増強するほか、中国での生産も検討、スマートフォンなどの需要増へ対応を急ぐ。15年度に生産能力を現在の2倍程度まで引き上げ、売上高は10年度計画比3.3倍の約50億円を目指す。
 フッ素コーティング剤「オプツール」はタッチパネル向けなどとして指紋の付着防止や、ふき取りを容易にするために使われる。今後、音楽プレーヤーやパソコン向けなどにも需要が広がるとみている。
 増強を予定しているのは淀川製作所(大阪府摂津市)と米国のディケーター工場(アラバマ州)。大金フッ素化学中国公司(江蘇州)での生産も予定している。



ジーンズメイト、最大100人の希望退職募集 正社員の3割
 カジュアル衣料専門店のジーンズメイトは18日、最大100人の希望退職者を募集すると発表した。正社員の約3割に上り、同社の希望退職では過去最大になる。売上高の減少に歯止めがかからないため、固定費の削減を急ぐ。
 今回の対象者は11月20日時点で満30歳以上の正社員など。募集期間は8月2日~10月20日で、退職者には特別退職一時金を支給するとともに、希望者には再就職の支援も実施する。
 同社は衣料品需要の低迷により、業績が低迷している。2011年2月期は、売上高が前期比約7%減に踏み切る。11年2月期は閉店数も期初予想比で倍増させ、10前後とする。



パイロット、新興国でボールペン生産増
 筆記具国内最大手のパイロットコーポレーションは新興国での現地生産を拡大し、同市場を本格開拓する。年内にも、主力商品である油性ボールペンのインドネシアでの年間生産量を1億本に倍増。2011年以降、ブラジルやインドでも生産を始める。海外売上高比率は6割を超えるが、主力の欧米市場が成熟するなか、現地生産で各市場に適した商品を増やし新興国需要を取り込む。
 インドネシアでは現地の既存工場に、群馬県伊勢崎市にある工場の製造設備の一部を10年中に移設し、生産能力を高める。従来はペン先などの部品を日本から送り、現地では組み立てるだけだったが、今後は部品から生産。マレーシアなど東南アジア諸国への輸出拠点にする。
 油性ボールペンは売り上げの3割強を占める。だが従来、新興国向けは日本からの輸出が多く、現地の販売価格が200円程度になることもあった。現地生産に切り替え、50円前後と新興国でも大衆向けの価格帯に抑え、先行する世界大手の仏ビックや独ファーバーカステル、中国メーカーなどに対抗する。



大阪のタクシー、9割が禁煙に…7月1日から
 大阪タクシー協会(大阪市)は18日、協会に加盟する171社の計1万4495台について7月1日から全面禁煙にすると発表した。
 協会未加盟の初乗り500円タクシーや個人タクシーなどの多くも同調する見通しで、大阪府内を走るタクシー約2万2500台のうち約9割が禁煙になる。近畿運輸局は今後、残る独立系の事業者などにも、禁煙の実施を促していく。
 全国乗用自動車連合会(東京)によると、すでに39都府県で全面禁煙の取り組みが進んでいる。大阪府では、客離れを懸念する声もあったが、同協会内で足並みをそろえることを条件に賛同を得たという。



トヨタの中国主力工場生産停止、部品工場ストで
 トヨタ自動車は18日、中国天津市のトヨタ系部品メーカー工場で発生したストライキの影響で一部の部品が調達できなくなり、中国の主力工場の天津工場で生産を停止したことを明らかにした。
 ストは継続しており、週明けの21日以降も、生産が停止する可能性がある。
 ストが発生したのは、トヨタグループの豊田合成の現地工場で、自動車の運転席周りなどのプラスチックパネルを生産している。従業員が賃上げを求めて17日にストを起こし、豊田合成は労使交渉を続けている。



ロシア、外資誘致を促進
ITや原子力など5分野、脱・資源依存へ税優遇や基金創設
 【サンクトペテルブルク=石川陽平】ロシアのメドベージェフ大統領は18日、税制優遇策の導入や官民合同の基金創設などにより投資環境を整備する方針を打ち出した。政権が掲げる「国家の近代化」実現へ、IT(情報技術)やエネルギー効率化など5分野を重点に外国企業の誘致や国内企業の育成を強化。「今後10年間で(研究開発や技術革新を軸とする)イノベーション経済に移行する」と述べ、資源依存型経済からの脱却を目指す姿勢を強調した。
 国内第2の都市サンクトペテルブルクで開幕した国際経済フォーラムで演説した大統領は税制優遇策について、2011年から長期直接投資のキャピタルゲイン課税を廃止すると言明。さらに革新的技術を持つ企業への新たな免税措置を導入するほか、「法人税の負担軽減策も検討する」と述べた。
 今後の重点分野として大統領は、IT(情報技術)やエネルギー効率化、宇宙、原子力、医薬品の5事業を指定。この5分野を中心にモスクワ郊外に研究開発施設を集積する「ロシア版シリコンバレー」計画を進めていることに触れ、「革新技術導入のため特に意義を持つ」と強調した。
 政府と民間の資金を組み合わせイノベーション経済への移行を促進する事業や民間企業に投資する仕組みづくりも検討する。「近代化では民間の力を生かす必要がある」として、軍需産業や港湾などインフラ関連の戦略的企業を208社から41社に、その他の国営企業も230社から159社に減らす計画も示した。



欧州、財政再建へ公務員大幅削減
ポルトガル7.3万人 仏は人件費10%、労組の反発根強く
 【パリ=古谷茂久】財政赤字が膨らんでいる欧州諸国が公務員や公的部門の大幅人員削減に着手する。解雇は避けるが、退職者の補充を抑制して公務員の定員を減らすほか、公営企業の民営化を通じて公的部門を縮小する。公務員の人件費削減は各国の財政再建策の柱のひとつとなっているが、組合の反対も根強く実行には困難が伴っている。
 仏政府は公務員2人の退職に対し当面は1人しか採用しないことを決めた。計算では毎年約3万4千人の削減になる。公務員の人件費を2011~13年の間に10%減らす。10年の財政赤字は国内総生産(GDP)比で約8%に達する見込みで、財政不安が広がるスペインやポルトガルの水準に近い。仏政府はこの比率を13年までに欧州連合(EU)が求める3%に圧縮する目標を掲げている。公務員の人件費削減は歳出削減の2~3割を占めるとみられ、財政再建の柱となっている。



IVS 2010 Spring:
「ソーシャルゲームという言葉は消える」 Zynga、EA幹部が語る「ソーシャル」
 新興ベンチャーキャピタルのインフィニティ・ベンチャーズLLP(小林雅・田中章雄・小野裕史共同代表パートナー)は6月10~11日、IT・ネット・モバイル系のテーマについて国内外のベンチャー経営者らが講演・討論する招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2010 Spring」を札幌市で開催した。毎回さまざまなテーマが取り上げられるが、今回は、ソーシャルゲームやソーシャルメディアなど、まさにソーシャル一色に染め上げられていた。参加者も、SAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダー)を中心に急増、400人超と過去最多になった。
 初日のオープニングセッションでは、「ソーシャルゲームの王者たち~Facebookでトップを狙う経営手法」をテーマに米Electronic Arts(EA)のソーシャルゲーム事業部門「Playfish」のゼネラルマネージャーを務めるクリスティアン・セゲルストラレ氏と、米Zyngaの開発担当シニアバイスプレジデントのロバート・ゴールドバーグ氏の2人が講演した。両者はソーシャルゲームに関する持論を述べつつ、将来の日本市場参入についても言及していた。
 Zyngaのゴールドバーグ氏が長期的な成長戦略として掲げたのは「パートナーシップを組んでいくこと。最初のパートナーはYahoo!だったが、今後もやっていきたい」と強調した。同社は2007年の設立。FacebookをはじめとするSNS上で動作するゲームアプリの開発で先行しており、現在月間1億3000万人のユーザーを獲得している。さらに、拡大するために今年5月下旬、米Yahoo!と提携した。この枠組みを活用して、「ほかの企業との提携も進めていく」と発言した。
 「(ソーシャルゲームの)成長率はただのオンラインゲームより成長率は高い」。ゴールドバーグ氏はこう言い切った。同氏がZyngaに入社した2008年12月のデイリーユーザーは400万人だったが、09年4月には600万人、10年5月には5600万にまで増えたという。
 規模を生かして、オフラインの提携による事業も進めている。「10日ほど前にローンチしたばかりだが、全米の1万4000店のセブン-イレブンとプライベートブランド商品で、ソーシャルゲームとコラボレーションしている。期待はしていたが、飲料や食品などの売れ行きは、これまでセブン-イレブンが映画やDVDとコラボレーションした時よりも効果が大きいようだ。ゲームカードの売り上げも上がった」。
 「最後に指摘しておきたいのは、われわれには、何かしら社会に貢献したいという思いがある、ということ。起業家支援に加え、Zinga.orgという非営利の活動にも注力している。最初に行ったチャリティー活動はハイチの地震の際の募金。バーチャルグッズをつくり、150万ドルを集めることができた。募金額としてはもっとも早いスパンで集めた例だ」。ゲームを作るだけでなく、「ゲームを通じて世界を、人々をつないでいくのが目的だ」と企業姿勢を強調していた。
 EAのセゲルストラレ氏は「いずれ、ソーシャルゲームという言葉は語られなくなる」との衝撃的な見方を披露した。その真意は「2~3年ですべてのゲームがソーシャルになる」ということだ。同氏は長年、SNSにかかわり、2007年にPlayfishを共同創業。その後、昨年11月にゲーム大手のEAに買収された自らのキャリアがそう言わせるのだろうか。
 「ソーシャルゲームは、進化のスピードが既存のゲームより速い。ユーザーとのインタラクションを通じて、イノベーションが進む」と説明する。「ゲームの価値はライフタイムバリューで決まる。ゲーム開発会社とユーザーとの長期的な関係性が重要になる」と指摘した。
 両社ともまだ、日本市場には参入していない。そうした中、今回の講演で、ゴールドバーグ氏は「日本での事業展開を準備している」と語った。一方、セゲルストラレ氏は「日本ではソーシャルゲームが大きな成功を収めている。参入には連携するパートナー企業が重要だ」と話していた。ミクシィやディー・エヌ・エー、グリーが相次いでプラットフォームとしてオープン化を進めており、近々、両社のゲームがお目見えすることになりそうだ。SAP同士の競争もますます激しくなりそうだ。



買収防衛策の存廃、株価も左右
 3月期決算企業の株主総会が来週以降、ピークを迎える。買収提案が相次ぎ、2007年の総会で多くの企業が導入した買収防衛策(ライツプラン)が更新時期を迎え、今年の総会では継続に関する議案が目立つ。一方で、更新を機に防衛策を取り下げる企業も出てきている。経営者の保身につながりかねないと投資家の批判が根強く、株価に悪影響を与えているとの調査もある買収防衛策は、大きな転機を迎えている。
 M&A助言のレコフによると、5月末時点で防衛策を導入している企業は551社。今年の株主総会で新たに導入するのは4社と200社を超えた07年に比べると大幅に減る。ただし、買収防衛策は期限付きが多く、ハウス食品やシャープなど更新を迎える企業の総会では今年も議案として決議される。
 逆に今年に入って防衛策を継続しないことを決めた企業はロート製薬や東洋シヤッターなど21社。金融商品取引法で買収者に対する情報提供などのルールが整備されたことで「導入当初に比べて必要性が小さくなった」(ロート製薬)と判断したところが多い。
 企業の判断は分かれてきているが、市場は07年当時から一貫して防衛策には否定的だ。防衛策によって企業価値を向上させる買収者まで排除される可能性があり、経営者の保身につながるとの懸念が背景にあるからだ。法整備が進んだことなどもあり「国内の機関投資家も賛同へのハードルを上げるなど、導入当時より見る目は厳しくなっている」(野村証券の西山賢吾シニアストラテジスト)という。
 既に2月期決算企業の総会では防衛策を巡るせめぎ合いが起きている。松屋に対して筆頭株主の投資ファンドが買収防衛策の導入禁止を株主提案。総会当日にはファンドの代表が、法整備が進み必要性が薄れていることや「防衛策が入っていることで、株価が上がらない」と主張した。結局、株主提案は否決され、防衛策は継続が決まったが、既存株主が防衛策による株価への悪影響を懸念していることは明らかになった。
 防衛策を導入している企業としていない企業に分けて、3年間の株価騰落率を比較してみた(グラフ参照)。導入時期などに差があり厳密ではないが、08年の金融危機で株価が全体的に下落している中でも、導入している企業の方が導入していない企業に比べて下げが大きい。投資家が導入企業を敬遠している様子がうかがえる。
 さらに詳しく買収防衛策が株価押し下げ要因になっているという実証研究もある。青山学院大学経済学部の白須洋子教授らが05~07年度のデータを基に、株価収益率への影響を分析。株式市場がライツプランを導入している企業に対してマイナス評価をしているという調査結果(金融庁金融研究研修センターの3月のFSAリサーチ・レビュー=金融庁の公式見解ではない)が出た。特に「持ち合い株比率が高い企業はマイナスの影響が大きく、市場は2重3重の過剰防衛と判断し、厳しい評価をしている」(白須教授)という。
 今年から総会での議決権行使結果の開示が義務付けられるほか、有価証券報告書では株式保有状況の開示が拡充される。企業間の持ち合い関係があぶり出されれば、総会での“基礎票”も明らかになる。たとえ総会で防衛策が可決されても、議決権行使結果での防衛策への賛成比率が低く、持ち合いに支えられたということがわかれば、市場からの視線はさらに厳しさを増すことだろう。



【産経主張】成長戦略 何より実行力が問われる
 政府が2020年度までに実現を目指す経済政策を盛り込んだ新成長戦略を閣議決定した。成長が見込まれるアジア市場の開拓を支援するなど、日本企業の国際競争力を強化する狙いがある。
 日本経済を再び安定的な成長軌道に乗せるには、企業活動の活性化が何よりも重要だ。だが、この成長戦略では企業に対する十分な支援策は盛り込まれておらず、需要の創造にどこまで結びつくかは不透明だ。
 また、戦略を実行する具体的な財源や手順も示されておらず、イメージ先行の印象は否めない。
 政府は必要に応じて内容を見直したり、優先順位をつけて政策支援を追加するなど、「絵に描いた餅(もち)」に終わらないよう着実な実行につなげていかねばならない。
 政府は成長戦略の基本方針を昨年末に決定しており、今回はその具体策として20年度に達成すべき数値目標を設定した。来年度中にデフレから脱却し、名目で年平均3%、実質で同2%の成長を目指すという。潜在成長率が1%程度の現在の日本にとって夢のシナリオで終わらせないでほしい。
 日本経済を苦しめるデフレをどう克服するかという具体策にも触れていない。日銀も、来年度中には消費者物価が前年比水準でプラスに転じると予想しているが、デフレ脱却を確かなものにするため、日銀との協力を含めて明確な政策を打ち出す必要がある。
 また、環境・健康・アジア・観光の主要4分野で123兆円の市場と500万人の雇用創出を見込んでいるが、規制緩和の具体策は一部にとどまっている。企業の創意工夫で市場を開拓するためにも政府による規制緩和に向けた不断の取り組みが欠かせない。
 法人税の実効税率を引き下げる方針を打ち出したことは評価できる。国際競争力を強化するために現在40%の実効税率を主要国並みの30%以下に引き下げる必要があるが、具体的な時期や減税幅は示していない。租税特別措置の見直しによる課税ベースの拡大とセットで段階的な引き下げを早急に検討しなければならない。
 菅直人首相は18日、日本経団連の米倉弘昌会長ら経済3団体のトップと首相官邸で初会談し、成長戦略を説明した。経済界と距離を置いて分配戦略を講じてきた政府だが、今後は、経済界との対話を続けて成長戦略の実効性を高める必要がある。
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