(つд⊂)ゴシゴシ…新聞

孫社長「株式の時価総額も世界で上位10位以内を目指す」
 25日、ソフトバンクは株主総会を開催した。代表取締役社長の孫正義氏が議長となってスタート。議決権のある株主数は30万9585名、議決件総数は1081万5404個で、このうち今回の総会で議決権を行使した株主数は7万1784名、議決権行使数が752万8617個となる。
 議案は「余剰金の処分について」というものだけで、質疑応答を経て、賛成多数で可決された。総会冒頭には2009年度の業績や実績を紹介するビデオを上映され、実績を株主にアピールした。
 質疑応答では、「孫さんと一緒に仕事がしたい」「女性取締役を」「Twitterで誹謗中傷が寄せられていると思うが、孫さんの健康は大丈夫か」「(ソフトバンク取締役の1人がファーストリテイリング会長兼社長の柳井氏ということを受け)ユニクロとの共同事業はないか」「今年の冬季五輪後に(フィギュアスケートの)キム・ヨナ選手をCMキャラに起用するよう電話したが、孫社長まで伝わっているのか」といった質問が寄せられた。
 これに対して、柳井氏が「将来的には共同事業の可能性はあるだろうが、事業領域が大きく異なり、ソフトバンクは当面本業に徹されたほうがいいと思う」と回答したほか、孫氏が「Twitterで寄せられる意見に、低俗なものはないと考えている。全て重要な指摘。夜はしっかり寝ている」「(キム・ヨナ選手のCM起用)参考にさせていただきたい……キム・ヨナ、かわいいですよね(笑)」などと回答した。
 また移動体通信事業についても株主から多くの質問が寄せられた。海外でiPhoneを扱う事業者がパケット定額制を撤廃したことに関する質問に対し、孫氏は「米英で定額制が見直され、議論されているが、ソフトバンクモバイルでも常にそういう議論は、何年も前から行っている。1%のユーザーがネットワーク帯域の25%を占有しており、他のユーザーにとって良いことかどうか議論を繰り返しているが、まだ結論は得ていない。今後も引き続き議論したい」と述べた。
  フェムトセルの配布に関して、LTEへの対応を尋ねられると、「新たな周波数が割り当てられるだろうから、万全の体制を採りたい。しかし、最も高価なのは基地局を設置する鉄塔。ネットワーク機器はこれまでと比べれば安くなる。これからも設備投資は継続する一方で、キャッシュフローの増加、有利子負債の削減は実現できる」とした。このほか、iPhone/iPadのセット割引のような施策を実施する考えがないかという質問には、iPadの有用性をあらためて説明したものの、データ通信量が多大になることから、「悩ましい。まだ悩み中」と語り、割安な料金施策の実施には課題があるとした。また自宅付近でソフトバンクの携帯電話が圏外になるという株主に対しては、電波改善宣言を紹介し、基地局増加施策などが展開されていることを説明した。
■ 「30年に一度の大法螺(おおぼら)」、300年先の世界や後継者育成を語る
 株主総会の後には、1年前の株主総会で予告していた「新30年ビジョン」が孫氏の口から語られた。
 創業30周年を迎えたソフトバンクが、今後30年間、どう展開していくのか。Twitterなどで意見を募り、社内でもさまざまな議論を行った上での発表となった今回、孫氏は「為したいことは、『情報革命で人々を幸せに』ということ」と述べてプレゼンをスタート。最初に「人生で最も悲しいこと」「人生で最も幸せなこと」という話題に触れた後、「30年ビジョンを発表すると案内したが、30年では足りない。ついでに300年くらい言っておこう。30年は単なる一里塚」と語り、300年前の歴史上の流れを振り返りつつ、今後もコンピューターが爆発的に発展し、「脳型コンピューター」の実現を語る。またコンピューターにおけるデータとアルゴリズムは、脳にとって“知識”と“知恵”と語る孫氏は人工臓器による長寿命化、微細な機器を使った人体間通信や“テレパシー通信”を紹介する。
 「私はSFの監督や小説家ではなく事業家」という孫氏は、ここで話を30年先の世界に切り替え、「自動翻訳眼鏡(外国語の音声を字幕で表示する眼鏡)」「健康管理する靴」などクラウド化の進展を予言する一方、これらの新サービス/新デバイスは「最も優れたビジネスモデルやテクノロジーは世界中から生まれてくる。彼らと一緒に同志としてやっていきたい」と語り、資本的には20~40%程度の関係にとどめ、理念を共有できる事業者とのパートナーシップを積極的に構築すると説明。株式の時価総額も世界で上位10位以内(200兆円、現在の同社株価70~80倍)を目指すと宣言した。
情報革命を掲げる300年後の世界を描くことからスタート脳とコンピューターの類似性を指摘ク 事業領域は、あくまでも「情報革命」と述べる孫氏は、現在のコンピューターやインターネットに代表される情報関連産業へ今後も注力する方針を示し、300年間ソフトバンクが存続する組織作りを目標の1つにし、現在800社あるというグループ会社を30年後には5000社にするという。
 ただし、孫氏は30年後には80歳を超える。そこで「次世代の経営陣を事前に準備したい。後継者はソフトバンクにとって、ある意味、最大の危機かもしれない」と孫氏は述べ、「ソフトバンクアカデミア」という名称の後継者養成機関の設立を明らかにした。7月より稼働するという「ソフトバンクアカデミア」は、グループ内から270名、グループ外から30名の後継者候補を参加させ、「孫正義2.0をつくる」(孫氏)ために“帝王学”をたたき込まれる場となる。
 プレゼンテーションの最後、孫氏は自らの祖母の写真を示し、苦労の連続だったという生い立ちを語る。祖父母の出自や「絶対、他人様を恨んではいかんばい」という祖母の言葉、あるいは父母の姿や、孫氏自身が若年時に決意した渡米の背景などを涙混じりに述べ、「たった一人の子供にも喜んでもらえたら」という言葉で社会貢献の意欲を示し、プレゼンを終えた。



初日で100万台突破? 「iPhone4」日本皮切り欧米でも発売
 米電子機器大手アップルは24日、新型携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」を日本を皮切りに、米国、英国、フランス、ドイツの計5カ国で発売し、各国とも店舗前に長蛇の列ができる大人気となった。「初日だけで販売が100万台を突破した」(米メディア)との推計もある。
 iPhone4は先代より画面の解像度を4倍に引き上げ、テレビ電話が簡単に楽しめるなど性能を向上させており、旧機種からの買い替え需要を見込む。
 昨年6月に売り出した先代iPhoneは発売直後の3日間で100万台に達した。米ITアナリストは「少なくとも新型の販売台数が3日間で150万台に達するのは間違いない」と話した。



朝の4時58分で41%…W杯日本戦視聴率
 25日早朝に日本テレビ系で生中継されたサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会「日本対デンマーク戦」の後半途中までの平均視聴率(関東地区)が、30・5%だったことが同日、ビデオリサーチの調べで分かった。
 調査時間は午前3時から同5時までで、1995年以降、同時間帯の平均視聴率としては過去最高を記録した。瞬間最高視聴率は同4時58分の41・3%だった。



米、ロシアのWTO加盟を全面支持
首脳会談、9月妥結へ交渉加速
 【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領とロシアのメドベージェフ大統領は24日に会談し、終了後の共同記者会見で、オバマ氏はロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を全面支持する方針を示した。メドベージェフ氏は米ロ間で残る知的財産権などの問題で9月末までの交渉妥結を目標とし、国内法整備も急ぐと表明した。両首脳が今年4月に署名した新戦略核軍縮条約の早期批准を目指すことでも一致した。
 米ロはオバマ氏が掲げる「核兵器なき世界」の実現に向けた新核軍縮条約の締結合意で進んだ協調路線を、今回の首脳会談で一段と加速。協力分野を経済にも拡大していく流れを印象づける形となった。
 オバマ氏は「ロシアのWTO加盟はロシアのみならず、米国や世界経済への利益だ」と語り、米ロ2国間だけでなく多国間の交渉も後押しする姿勢を示した。会談でロシア側が米国産鶏肉の輸入再開で合意したことを明らかにした。
 米ロは2006年秋にロシアのWTO加盟に関する2国間の合意文書に署名し、主な交渉を終えた。だが、知的財産権を巡る問題などは先送りしており「難問解決に向けた作業」(オバマ氏)が必要という。両首脳は残る懸案の交渉加速を担当者に指示したと説明。メドベージェフ氏は会見で、ロシア国内の法整備についても「可能な限り早急に取り組むよう指示している」と語った。



たばこ増税でコンビニ窮地
 10月からたばこの価格が増税を機に大幅に値上げされる。タスポ導入以降、たばこ頼みだったコンビニ業界。駆け込み特需に備えつつも、到来する冬の時代に戦々恐々だ。
 10月に実施されるたばこ税増税。これに伴い、たばこメーカー各社は増税分を上回る大幅値上げを実施する予定だ。日本たばこ産業(JT)は全105銘柄のうち103銘柄を10月から一斉に値上げすることに決めた。1箱(20本入り)当たりの値上げ幅は増税分70円を上回る平均115円で、過去最大。これによって代表的な銘柄、「マイルドセブン」は現在の1箱300円から410円に、「セブンスター」が300円から440円となる。
 JT以外のたばこメーカーは現段階では価格を発表していないが、この動きに追随し、大幅値上げを検討していると見られている。過去最大の値上げは、発売を3カ月後に控えた現段階で、既にコンビニエンスストア各社に波紋を広げている。というのも、たばこはこれまで“孝行商品”としての役割を担っていたからだ。
売り場を変えて、特需に備える
タスポ導入時は、コンビニエンスストア業界は潤っていたが・・・
 一般的にコンビニは売り上げの約3割をたばこに依存する。たばこを購入するために来店したお客によるついで買いも少なくない。2008年から導入された顔写真付きの成人識別カード「taspo(タスポ)」によって、たばこの集客力は改めて実証された。タスポがなければ自動販売機でたばこが買えないため、作製を面倒がる愛煙家がコンビニへと流れ、売り上げを底上げした。
 そんな孝行商品の大幅値上げに、各社とも指をくわえて見ているわけではない。想定しているのが、消費者による大量買いだめだ。値上げの前にたばこを購入しようという消費者心理が働く。この特需に合わせて売り場を見直す動きも出ている。
 コンビニ大手のローソンでは、対象店舗全店に新しい陳列棚を用意する。たばこの棚を増設し、カートン買いに対応する。さらに予約販売も受け付けるという。やはり陳列棚を見直すのはサークルKサンクス。通常、たばこは店員が手渡しして販売しているが、レジ前に陳列棚を置き、セルフ販売に対応する。手軽にカートンが購入できるように促す。一方、たばこメーカーもこうした動きを当て込み、増産体制に入っている。「流通各社からの受注を見込んで、既に工場では増産している」とブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの広報担当者は言う。
 こうした特需は予想できるものの、やはり10月以降の落ち込みは厳しい。JTはこの増税によって、年間25%、販売数量が減ると予測している。大幅値上げをきっかけに禁煙しようとする人も増えそうだ。
 ジョンソン・エンド・ジョンソンの調査では、禁煙・節煙意向のある喫煙者の62.2%が「この機会にたばこをやめたいと思う」と回答した。日本には、将来、禁煙・節煙を考えている喫煙者の数は約1800万人いるという。つまりその62.2%に当たる1100万人が増税を機に禁煙や節煙に動くことが予想される。実際に「禁煙補助剤の売り上げが伸びている」とジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティング本部の太田卓也氏は言う。
 「たばこの販売が伸び悩むと予想できる10月以降が怖い」。大手コンビニ関係者はこう嘆息する。タスポ導入以降、たばこ頼みとなっていたコンビニ業界。その神通力はまもなく消え去ろうとしている。真の商品力が問われる審判の日は近い。



参院選突入ツイッター戦線 議員たちの「つぶやき」は続く
参議院選挙が2010年6月24日、公示された。インターネットの選挙利用解禁は、実現まであと一歩と迫りながら先送りとなる中、ミニブログ、ツイッター(Twitter)では、選挙戦突入後も多くの国会議員たちが「つぶやき」を続けている。
「●●(注:本文は実名等)神社なう」「出陣式です」――ある野党衆院議員は、6月24日朝、ツイッターでこうつぶやいた。
「●時から●駅で街頭演説会」
政治家によるツイッターの更新は、選挙運動に直接触れていなくても、選挙との関係の有無があいまいな部分もある、として総務省選挙課は「即違法とはならないが、水際防止の観点からも更新はしないように」と、問い合わせがあった陣営などには回答している。選挙運動に関する更新が禁じられるのは、候補者だけでなく一般人も対象で、当然候補者以外の国会議員も規制対象だ。
しかし、公示日の24日、実際には多くの国会議員たちが朝からツイッターでの「つぶやき」を始めた。
24日早朝には、ある新党の衆院議員は、ツイッターなどでの「発言」について、「過剰な自主規制に繋がりそうな感じがある」「規制にかかるのは、選挙運動にあたる文言の記載があった場合」と、総務省の「水際」の発想とは異なる主張を展開した。
その後も時間が経つにつれ、様々なツイッター議員・候補らが「つぶやき」続けた。
中にはサッカー・ワールドカップの話題や天気など、参院選に全く関係ない内容を書き込んだ議員もいたが、
「菅総理の第一声は●の●前です」「●時から●駅で街頭演説会」「今日から、参議院選挙です。●時から出陣式」(注:●は本文では実名や数字等)
などと、はっきり参院選関連と分かる書き込みも相当数ある。「暑い中、●人以上の皆さんが駆けつけてくれました。ありがとうございます」と「お礼」の文言も書き込んだ衆院議員もいる。
音声データ更新の候補も
もっとも、候補者本人はおとなしいようだ。前日の23日から24日未明の段階で、「明日が公示日だ」「しばらく休ませて頂きます」などと、選挙期間中のお休み宣言をしている候補が与野党を問わず多い。もっとも、与党候補の中には、音声ツイッターを利用した更新を続けている現職議員がいる。音声を聞いてみると、「今から●で街頭演説をします。応援下さい」などと話している。音声データなら、法が禁じる「(法定外の)文書図画の頒布」には当たらない、という解釈だ。
候補者以外の国会議員による、ツイッターでの演説会告知や「お礼」は問題ないのだろうか。公示日の24日は、総務省選挙課職員は全員各所を飛び回っていて連絡がつかなかった。応援組の総務省職員に質問すると、個別のケースには回答できないので一般論、とした上で、ツイッターでの演説会告知などは「かなり微妙な点を含んでいる、とは言えるでしょう」と歯切れは悪いながら、「問題あり」をにじませる回答だった。
選挙戦2日目以降のツイッター戦線はどう展開するのだろうか。ネットの選挙活動利用を可能にする法改正を待たずに、現実は少しずつネット選挙へ向かって舵を切っているようにも見える。



神戸新聞社説
舌戦スタート/じっくり政策見比べよう 
 参院選が公示され、選挙区と比例代表合わせて全国で438人が立候補した。兵庫選挙区では6党派の7人が2議席を争う。
 昨年夏の衆院選で「政権交代」を選択した有権者にとって、自らの選択の結果を見つめ直す最初の機会がやってきた。
 本来なら審判を受けるべき鳩山由紀夫前首相は退陣し、最大の争点となる消費税増税では民主、自民の二大政党が足並みをそろえる。何を選択の基準にしたらいいのか、迷う人も多いだろう。
 それでも、政権の枠組みを左右し、政策の質を大きく変える可能性を持つ1票である。その重みを自覚し、政策本位で各党の主張を見きわめることが何より大切だ。
 有権者が民主党中心の与党に参院過半数を与えれば、菅直人首相による政策実行を強力に後押しすることになる。
 野党を躍進させ与党の過半数を阻止すれば、ねじれ国会が生じて政策実行は難しさを増す。それを打開するために連立の組み替えや政界再編が起これば、政策の中身も変わらざるを得ない。
 2005年衆院選の「郵政民営化」、09年衆院選の「政権交代」と、一つのキーワードが全体を覆い尽くす選挙が続いた。ムード先行の「劇場型」では、地道な政策論争は置き去りにされがちだ。年金、医療、介護などの社会保障をどう立て直すかといった切実なテーマが正面から論じられる場面は、ほとんどなかったといっていい。
 消費税論議が浮上した今回の選挙戦は、こうした課題について、各党の姿勢を問う絶好の機会になる。
 消費税増税の方針を打ち出す民主、自民などは、社会保障制度改革の全体像を明確に示しているか。無駄の削減にどう取り組むのかも忘れてはならない。
 消費税増税に反対の政党は、破綻(はたん)寸前の社会保障をどうやって維持するのか。増税に頼らない財政再建の方策を明らかにしているかどうかがポイントだ。
 そもそも、二大政党の政策が接近し、選択の幅が狭まる状況に疑問を感じる人もいるだろう。別の突破口を「第三極」に求めるのも選択肢の一つだ。どの政党にも政権参加の可能性があり、小政党でも政策実現の可能性はゼロではない。
 だからこそ、マニフェストを見比べ、街頭での訴えに耳を傾け、立候補者の資質をじっくり見定めなければならない。もし正面切って政策を語らない立候補者がいれば、まず×印を付けた方がいい。

(~゜Д゜)~♪新聞

日本、決勝T進出 3-1でデンマーク破る
 【ルステンブルク(南アフリカ)=W杯取材班】サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の1次リーグE組最終戦、日本―デンマークは24日、ルステンブルクのロイヤルバフォケング競技場で行われ、日本は3―1で勝って2勝1敗(勝ち点6)としてE組2位となり、2大会ぶり2度目の決勝トーナメント進出を果たした。日本は29日の決勝トーナメント1回戦でF組1位のパラグアイと対戦する。
 日本は17分に本田(CSKAモスクワ)、30分に遠藤(G大阪)、87分に岡崎(清水)が得点した。
 前半の2得点はFKを鮮やかに直接決めたものだった。まずは17分。本田が右サイドの遠めの位置から豪快にけり込んだ。ほぼ無回転のボールがぶれながらゴール左隅に突き刺さる得意の左足キックだった。
 さらに30分、大久保(神戸)が倒されて、ゴール正面の絶好の位置でFKを得た。デンマークは本田がけると予想したのだろう。相手がつくった壁の逆をつく形で遠藤がけると、ボールはきれいな弧を描いてゴール右隅へ。日本が前半に完ぺきなFKを2発決めた。
 日本は13分と14分にもチャンスがあった。13分は大久保のクロスに松井(グルノーブル)が飛び込んだものの相手GKがブロック。14分は長谷部(ウォルフスブルク)がゴール右上隅を狙う鋭いシュートを放ったが、惜しくも外れた。
 得点はしたものの、前半はデンマークにボールを支配された。鋭い縦パスをDFの裏に何度も入れられ、トマソンが抜け出るシーンがあったが、相手の詰めの甘さに救われた。
 後半は引き分けでも決勝トーナメント進出が決まることもあって、日本は落ち着いた試合運び。相手の攻めをしっかり受け止めていたが、80分過ぎに長谷部(ウォルフスブルク)が相手選手を倒したとしてPKをとられた。トマソンのキックをGK川島(川崎)はブロックしたものの、はじいた球をトマソンに決められ、1点差とされた。
 しかし、87分日本は突き放した。本田の巧みなパスを受けた岡崎が左足で無人のゴールへ。これで試合は決まった。
 E組のもう1試合、オランダ―カメルーンはオランダが2―1で勝った。E組は勝ち点9のオランダが1位、同6の日本が2位、同3のデンマークが3位、同0のカメルーンが最下位となった。



スマートフォン2強競う 動画充実の「iPhone4」発売 「グーグル」も機種拡充へ
 ソフトバンクモバイルは24日、米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4」を発売した。従来機種に比べ画面を高精細化。処理速度を高め、端末の傾きを感知したり動画撮影機能などを追加した。NTTドコモも米グーグルのOS(基本ソフト)を搭載した機種の拡充を急ぐ。国内のスマートフォン市場は5年以内に5倍に拡大すると見られ、利用者獲得競争が激化する。
 「アイフォーン4」の価格は記憶容量が16ギガ(ギガは10億)バイトの機種で4万6080円、32ギガバイトで5万7600円。だが、ソフトバンクのデータ定額プラン(月4410円)に加入した場合、16ギガで端末の実質負担額が0円、32ギガで1万1520円となる。
 ソフトバンクはアップルとの契約で販売台数目標を取り決めているとみられ、価格を下げるための販売奨励金を大幅投入し、新製品としては異例の「実質0円」で一気に攻勢をかける考えだ。
 MM総研(東京・港)によると、2009年度の国内スマートフォン販売234万台のうち、約7割がアイフォーンだった。人気を支えるのはタッチパネルなどを使った直感的な操作や、世界中で開発されたソフトを配信するサービス「アップストア」で約22万5000本のソフトをダウンロードして自由に機能を拡張できる点だ。
 一方、NTTドコモはアイフォーン対抗馬としてグーグルのオープン型OS「アンドロイド」を搭載したスマートフォンに力を入れる。英ソニー・エリクソンの「エクスペリア」を看板商品として今春発売したほか、今秋には韓国サムスン電子の「ギャラクシー」の発売も予定している。
 「アンドロイド」のソフト数は約6万とアップルに及ばないが、グーグル携帯の強みはソフト開発の自由度だ。
 アップルはスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の意向で米アドビ・システムズの再生ソフト「フラッシュ」を排除して非対応としたほか、アダルトコンテンツなどアップルの意向にそぐわないソフトについては「アップストア」から排除するなどコンテンツの選別が強まっている。
 アップルの選別を嫌い「アンドロイド陣営に流れる開発者も出てきた」(通信業界)との声も出始めた。アンドロイド搭載の携帯電話は世界で毎日16万台のペースで広がるなど普及が拡大している。
 国内では6月にNEC、カシオ計算機、日立製作所の3社が携帯事業を統合し、富士通と東芝も年内の事業統合を決めた。各社は統合により海外で「アンドロイド」を搭載したスマートフォンなどの開発を急ぐ。
 米IDCによると、世界のスマートフォン市場は14年に約4億8000万台と09年比で約3倍、全体の約4割に拡大する見通しで、携帯市場を大きくけん引する。



トヨタ、富士重に小型車 年1万台供給
開発・生産を分担
国内生産下支え
 トヨタ自動車は今秋にも、資本提携先の富士重工業に小型車をOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。トヨタは小型車の供給を国内生産の下支えにつなげ、工場稼働率を高める。トヨタが国内メーカーに完成車を供給するのは初めて。富士重は主力の中型車に経営資源を集中する。国内自動車各社の生産能力は合計年1100万台規模とされるが、2009年度の生産は886万台にとどまった。トヨタはOEM供給でグループ内の開発や生産の役割分担を明確にして、競争力を高める。
 トヨタが供給する車種は小型車「ラクティス」(排気量1300~1500cc級)の次期モデルとみられる。トヨタが実施する全面改良にあわせて、富士重向けに一部の仕様を変更して供給する見通しだ。価格や販売計画など詳細は今後詰めるが、年間1万台規模となりそうだ。
 トヨタは2005年に富士重に出資。08年には出資比率を16.5%に引き上げた。富士重は主力の中型車に集中するために軽自動車の開発、生産から撤退。軽自動車や一部小型車をトヨタ子会社のダイハツ工業からのOEM調達に切り替えている。主力の中型車「レガシィ」などが好調で、群馬県の国内生産拠点ではフル生産が続いている。
 富士重は低価格・低燃費の小型車の需要が今後も高まると判断、トヨタ本体からも調達して品ぞろえを拡充する。OEM調達した車両は富士重の系列販売店で売る。同社は1500~3600cc級の中型車は持っているが、自社では1300~1500cc級の小型車がなかった。
 トヨタは英高級車メーカーに超小型車「iQ」をOEM供給している。ダイハツに小規模な車両供給をしたことはあるが、本格的なOEM供給は富士重が初めて。供給先を広げることにより、低水準で推移する国内工場の稼働率を高められる利点がある。
 富士重との提携は当初、トヨタが拡大する世界販売に対応するため、富士重の生産能力を活用する狙いが強かった。その後のリーマン・ショック以降の市場収縮で、車両供給や開発などグループ全体で役割分担をする体制を明確にする。富士重とは今後、共同開発したスポーツ車を11年末にも両社のブランドで発売したり、トヨタがハイブリッド技術を供与したりする計画を進めている。
 世界の自動車業界ではスズキと独フォルクスワーゲン(VW)が資本・業務提携し、日産自動車・仏ルノー・独ダイムラーが3社連合を形成するなど再編の動きが広がっている。これに対しトヨタは大規模なM&A(合併・買収)と距離を置く一方、従来の提携関係を深める方針を示している。



電子マネー決済最高 5月件数42%増 流通系が過半
 5月の主要6電子マネー(前払い式)の決済件数は前年同月比42.5%増の1億6135万件と、月間ベースで過去最高の伸びとなった。件数も月間として最高を更新した。セブン&アイ・ホールディングスの「ナナコ」とイオンの「ワオン」の流通系が決済件数の過半を占め、スーパーやコンビニエンスストアでの利用がけん引した。
 月間の伸び率が最高を更新するのは、3月以来2カ月ぶり。電子マネー利用でポイントをためる消費者が増えていることも背景にある。2010年度に入って4、5月とも、決済件数の伸び率は09年度(08年度比34.7%)を上回るペースが続く。
 内訳では流通系が総決済件数の約51%を占めた。
 ナナコが前年同月比50%増の4500万件、ワオンは同77.6%増の3800万件だった。ワオンはイオン系のスーパーなどに加え、全国の吉野家や自動販売機などにも展開し、利用のすそ野を広げている。



水晶部品受注、5月は35%増 携帯端末向け好調
 日本水晶デバイス工業会(東京・新宿)がまとめた5月の水晶部品受注量は、前年同月比35.6%増の9億9390万個だった。例年は需要が低迷する時期だが、スマートフォン(多機能型携帯電話)などの携帯端末向けが好調で、高水準の受注が続いている。
 4月比では品目により増減はまちまちで、全体では6%増えた。腕時計などに使う音叉(おんさ)型水晶振動子が前月比9.9%増えたのが目立った。同工業会は「日本製の部品を使う高級時計などにも消費回復の兆しが出ているのではないか」と話している。



ウィルコム、更生計画案の提出時期を3カ月延期
 ウィルコムは、会社更生手続きの開始に伴い策定を進めていた更生計画案について、裁判所に提出期間の伸長を申し立て、決定されたと発表した。新たな更生計画案の提出期間は10月14日までとなる。
 同社は、3月12日に東京地方裁判所より会社更生手続きの開始が決定されたことを受け、事業再建に向けた経営改革と更生計画案の策定に取り組んできた。今回の発表によれば、確実性の高い計画を策定するめ、自助努力策およびスポンサー各社の支援策をできる限り正確に計画に反映させることが必要とし、約3カ月の追加的な期間が必要になったと説明している。
 なお、更生計画案の提出期間が変更されたことを受け、更生債権などの調査も、9月3日~10日までの期間に変更された。



露大統領もツイッター…シリコンバレー視察
 【ロサンゼルス=飯田達人】訪米中のロシアのメドベージェフ大統領は23日、米カリフォルニア州シリコンバレーにあるIT(情報技術)関連のハイテク企業を訪れた。
 インターネット通信機器大手シスコシステムズでは、最先端のテレビ会議システムなどを見学。同大統領がモスクワ郊外に「ロシア版シリコンバレー」を建設する計画を打ち出していることに関連し、同社は今後10年間でロシアに総額10億ドル(約900億円)を投資すると表明した。
 簡易投稿サイト「ツイッター」の本社では大統領が早速、自身のアカウントを開設し、「今、ツイッター社にいます」などと投稿した。アップル本社ではスティーブ・ジョブズ最高経営責任者から携帯電話の最新型モデル「iPhone4」を贈られた。
 同大統領は24日、ホワイトハウスでオバマ大統領との首脳会談に臨む。



ヤフー、ネット通販の出店を不要に 事業者向け
 ヤフーはインターネット通販を自前で手がける外部企業の商品を紹介する事業を始める。同社のモールに出店しなくても、ヤフーのネット通販の会員を集客したい企業の利用を見込む。年末から本格展開し、消費者はヤフーのIDや決済システムを使って商品が購入できるようになる。
 ヤフーは自社のサイトでスーパーなどのネット通販商品を紹介し、消費者がクリックするとその企業のサイトにつながるようにする。手数料はモールに出店する企業と同程度にする見通し。
 ヤフーの会員は現在2400万で、会員はIDなどを使ってネット通販商品を購入している。ヤフーは同社のサイトを通じて外部企業が商品を販売できる仕組みを整え、取扱商品を拡大する。現在、中国タオバオが扱う商品を含めて1億点をそろえているが、2億点に引き上げたい考えだ。



茨城空港の国内便ゼロに スカイマーク、9月から運休
 スカイマーク(東京都)は24日、茨城-神戸の定期便(1日1往復)を9月1日から運休すると発表した。この便は、今年3月に開港した茨城空港(茨城県小美玉市)の唯一の国内定期便として4月16日から運航したばかりだった。
 スカイマークは、運休の理由として、空港を共用している航空自衛隊百里基地との調整が必要なことを挙げている。
 同社によると、搭乗率は当初想定より好調だが、黒字化には1日3便への増便が必要という。7月の航空祭など自衛隊のイベント時に運航ダイヤ変更を求められるなど、自衛隊との調整が必要な現状では、「機体を全国の便で効率的に活用する上で、このままでは茨城空港の増便はできないと判断した」としている。
 スカイマークの撤退で、定期便はアシアナ航空(韓国)のソウル便だけ。春秋航空(中国)の上海便の就航も合意されているが、国内定期便はゼロとなる。



40代女性のセックスレス事情…未婚の有働アナも興味津々
 朝っぱらからNHKの有働由美子アナ(41)が「セックス」「結合」などと連呼していたので、驚いた人もいたのではなかろうか。(夕刊フジ)
 朝の情報番組「あさイチ」(NHK総合、月~金曜午前8時15分)が23日放送の回で、夫婦間のセックスレスを特集した。視聴者ターゲット層の40代女性にとっては身近でマジメな問題だが、朝から取り上げるとは何とも柔軟な編成。お父さんが見られなかった大胆なレディース・トークを再録する。
 番組冒頭では、「40代夫婦の6割がセックスレス」という統計結果をVTRで紹介
 「私も、トウがたっている40代。嫁入り前なんですが、あえて取り上げさせていただきます」と番組キャスターの有働アナが宣言し、ゲスト出演した作家の室井佑月(40)、女優の杉本彩(42)、とよた真帆(42)の3人が意見をぶつけ合った。
 室井は「もっと多いかと思いました。私含めて周りは全員セックスレス」と告白。映画や小説でエロスを追求する杉本は「かなり重症。私は、人が幸せになるためセックスが必要と感じている」と嘆き、とよたは「予想通り。家庭環境の影響も大きいと思う」と冷静に分析した。
 40代のセックスレスの既婚女性3人による覆面座談会のVTRでは、「子供が大きくなって夜するチャンスがなくなった」「女として見られていないのかなと感じてしまう」「『したい』と言えない」といった生々しい声が紹介された。
 杉本は「抑圧を感じますね」とやりきれない様子で感想を述べたが、室井は「できないときもあるじゃない?」とセックスに積極的になれない女性の気持ちを代弁。「すっごくめんどくさい。女は手つないで寝るだけでも幸せ十分感じられるんだけど、男のプライドってアソコに直結してたりするんじゃない?」とも語った。
 番組では、男性の勃起障害(ED)や「したくない」「感じない」「痛い」といった女性性機能障害(FSD)の実態のほか、夫婦間のコミュニケーションでセックスレスを解決した実例も紹介された。
 杉本が「いつもと違う自分を演出して、着飾ってどこかに行く妻はミステリアス」と説くと、とよたは「同感! 変わったと見せるのは重要」。室井は「いーや! 普通に仕事、生活して、それだけで大変」と反論していた。
 性の話題には、未婚の有働アナも興味津々の様子。59歳の妻と月1回セックスし、「妻の負担にならないよう潤滑ゼリーを使用しています」という60歳の男性視聴者のファクスを紹介すると、すかさず、ゲストの泌尿器科医の関口由紀氏に「どこで買えるんですか?」と視聴者に代わって質問していた。
 性の探求に積極的なアラフォー女性たちを前にタジタジだったのが、男性キャスターの柳澤秀夫解説委員(56)とV6の井ノ原快彦(34)だ。特に井ノ原は女優の瀬戸朝香(33)と結婚3年目で、今年3月にパパになったばかり。これからセックスレスに悩む場面があるかも?!
 この日、NHKでは「あさイチ」と連動して、夜は教育テレビ「福祉ネットワーク」(月~木曜午後8時)でもセックスレスを特集する念の入れようで、少子化対策をバックアップか。



液晶部材、豊作貧乏の苦い記憶
 「世界景気はリーマン・ショック前の水準に戻っているとは思わない」。欧州の指導者のコメントではない。2010年3月期から業績が急回復した液晶パネル用光学フィルム最大手、日東電工の経営のカジをとる柳楽幸雄社長の言葉だ。液晶パネル急拡大の追い風が吹いているにもかかわらず、慎重な発言に終始する真意はどこにあるのか。
 日東電が計画する2011年3月期の連結営業利益は前期比12%増の630億円。2ケタ増益だが、市場予想平均(QUICKコンセンサス)を40億円弱下回っており、保守的といえる予想だ。
 特に下期は上期に比べ2割減益と見込む。「上海万博やサッカーW杯の反動が下期にどれだけ出てくるか読み切れないため、好調なうちに上期分の受注を取れるだけ取ってしまう戦略」(柳楽社長)という。
 柳楽社長が“慎重居士”に徹する背景には、4年前の07年3月期の苦い記憶がある。
 需要拡大で世界的に液晶パネルの増産競争が起こった結果、供給過剰から液晶パネルの価格が1年間で3~4割下落。その余波で基幹部材である光学フィルムの採算も悪化した。日東電の連結売上高は9%増を確保した半面、営業利益は23%減の690億円と5期ぶりの減益に転落した。
 パナソニックの姫路工場(兵庫県姫路市)稼働やシャープ堺工場(堺市)の増産などで液晶パネル業界の供給能力が大幅に高まる今期も、当時の状況と似ていなくもない。慎重な先行きへの見方には、デジタル景気の活況期に減益に陥ってしまう“豊作貧乏”を2度と繰り返したくないという、経営陣の心情が透けて見える。
 ただ、それだけではなく、4年前にはなかった不透明要因が浮上しているのも、慎重さの一因だ。液晶パネル大手の一角を占める韓国LG電子が、グループ傘下のLG化学を通じ光学フィルムの内製化に力を入れており、「内製化の技術レベルが高まっている」(日東電の柳楽社長)という。
 液晶部材メーカーを見渡してみると、好調ぶりが目立つのは液晶ガラス業界だ。
 日本電気硝子は22日、10年4~6月期の営業利益が前年同期の約4倍の430億円に拡大する見通しだと発表した。営業利益率は40%と、日東電の通期利益率予想の4倍。大手の旭硝子も今12月期、純利益が最高益見通しと好調だ。「ガラス業界はあまりにも上手に需給を引き締めすぎ」(液晶パネル大手幹部)との声も漏れ、液晶フィルム業界からみるとややうらやましい状況。参入障壁が高く、プレーヤーの数が限られることがこうした好需給の背景にある。
 日本の電機業界は製品のモジュール化、低価格化の進展と、それに連動した韓国、台湾、中国勢など後発の追い上げで、セットメーカーの利幅が薄くなるなか、部品、部材は比較的高い利益率を保ってきた。
 ただ、部品・部材メーカーでも、セットメーカーと似た構図がちらほら見え始めたのは気になるところだ。
 液晶テレビはさらなる大型化と3D(次元)の時代に突き進んでおり、光学フィルムに求められる品質レベルは日増しに高まっている。国内外の主要パネルメーカーとの技術連携に一日の長がある日東電にとって、こうした強みを大いに発揮し、利幅の拡大に生かせる局面だ。
 好調下で見せる柳楽・日東電社長の慎重さは、激化する技術バトルをなんとしても勝ち抜くのだという、日本の電子部材・部品メーカーの気合の表れとも理解したい。



日経社説
「人工生命」をどう育てるか
 自然な生命進化からは生まれなかった新しい生物を人間の手でつくる。そんな「人工生命」の誕生につながる技術の開発に、米国のベンチャー企業が成功した。製薬や環境技術を大きく進歩させる潜在力を秘め、日本でも研究は進む。安全や生命倫理に十分な配慮を払い、役に立つ技術に育てたい。
 米企業の研究者はコンピューターで設計し合成した人工の遺伝子を細菌に入れ、菌がもともと持っていた遺伝子とそっくり入れ替えた。遺伝子を収める器にあたる菌の体(細胞)はつくっていないため「人工生命の創造」とまでは呼べないが、成功の意義は大きい。
 これまでの遺伝子組み換え技術は、細菌や動植物の細胞が持つ数千から数万個の遺伝子のうち、数個に手を加えるのにとどまる。それでも医薬品や新品種の開発に役立ってきた。遺伝子をまるごと入れ替え、望み通りの細菌などをつくれたら、その応用範囲は広いと考えられる。
 実験に成功したベンチャーには、米石油大手のエクソンモービルが資金を出す。二酸化炭素を吸収してバイオ燃料を効率よく生産する藻をつくるのが狙いらしい。米政府もインフルエンザの新ワクチン開発を目指し研究を助けるという。
 人工生命の手法は、細胞や遺伝子など生命の基本的な仕組みを調べるのにも役立つ。国内では慶応義塾大学の板谷光泰教授らが最先端の成果をあげているが、人工生命への肉薄で米国に先を越された形だ。
 生命を操る研究に対しては、例えば「人間が自らに都合のよい生命をつくるのは倫理的に問題だ」など、宗教や伝統に根ざして慎重な対応や禁止を求める声がある。誤って危険な病原菌をつくったりテロに悪用されたりする心配もある。
 かつて遺伝子組み換え技術が誕生した時、科学者が集まって研究や工業化を安全に進めるルールづくりを話し合った。人工生命が抱える課題について、オバマ米大統領は年内に報告をまとめるよう指示した。
 社会の理解を得るには,科学者が研究の意義と成果をよく説明することだ。そのうえで幅広く意見を聞いて社会へ脅威を与えないよう配慮しながら研究を進める必要がある。

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