(つд⊂)ゴシゴシ…新聞

GPS運用 米欧で一体化
ナビなど精度向上に期待 衛星受注で日本企業に商機
 【ワシントン=大石格】車や船舶のナビゲーションなどに利用される米国の全地球測位システム(GPS)と欧州連合(EU)が開発中の欧州版GPS「ガリレオ」の運用が一体化される。米国務省が30日、両システムの「相互運用の確保」についてEUと合意したと発表した。共通の電波信号を使い1つのナビで双方の電波を利用できるようにするもので、相互補完効果でサービスの利用範囲や精度向上を期待できそうだ。
 米国務省はGPSとガリレオ以外のシステムとの連携も呼び掛け、世界標準を確立することも歓迎するとしており、新興国などの衛星需要に追い風が吹くと想定される。商用の小型人工衛星などへの参入を目指すNECはシステムに一部変更が必要になっても「大きな投資にならない」とみており、日本企業の商機が広がる可能性もある。
 現在、米欧以外の測位システムの分野では、既に独自システムを持つロシア、独自システムの構築を目指すインド、独自のシステムを視野に入れつつガリレオとの連携も探ってきた中国などの動きがある。先行する米国と追う欧州の二大システムの運用一体化は、こうした新興国にも影響を与え、測位システムの勢力図に変化が起きそうだ。
 米EUは2004年から両システムの互換性を模索。今回、米EUと関係国が「GPSとガリレオの共用受信機の相互運用と機能向上に関する初期段階の結論」と題した共同声明を作成し、運用一体化を決めた。具体的には、競合関係だったため周波数を異にしていたGPSとガリレオの衛星の電波の周波数を合わせることになりそうだ。
 機能面では将来、1つの受信機で複数のシステムを利用できるようになれば、干渉などで電波状態の悪い場所でも、より多くの衛星情報を総合することで正確に位置を特定できる。米国務省によると、GPSのシステムでガリレオのシステムを利用して試した結果、GPS単独型に比べて建物や樹木、地形などが電波を遮る場所で高い機能がみられたという。
 カーナビゲーションなど消費者向けでは、今後も買い替えなどは必要ないもよう。だが、船舶や航空機の運航補助など産業用ナビ分野では「航路選択機能の向上につながる」(IHIグループで船舶製造を担うアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド)との期待が強い。
 米EUは10月に開く地球ナビゲーション衛星システム国際委員会(ICG)の会議に実験結果を報告し、新製品開発などに役立てる考え。携帯電話などの位置情報サービスにも活用されそうだ。



米欧がGPS運用一体化、世界標準に前進 欧州の無料化が焦点に
 米国の全地球測位システム(GPS)と欧州連合(EU)が開発中の欧州版GPS「ガリレオ」の運用一体化は、インターネットに続く21世紀の情報インフラといわれる測位システムで世界標準を作る道を開くものといえる。精度向上の限界も指摘されていた米側と、資金難から開発が遅れていたEU側の利害一致が背景だ。ただ具体像はなお明確でなく、無料のGPSに合わせて有料のガリレオを無料化するかどうかなどが今後の焦点となりそうだ。
 測位システムは米国が1970年代からGPSの整備を開始し、衛星を打ち上げてきた。外国にも利用を認め、カーナビゲーション(カーナビ)などの民生利用が進んだが、米国の軍事利用が優先されるので、位置情報の精度が落ちたり利用が制限されたりする。最近では米議会の行政監査院(GAO)が2009年、GPS衛星の老朽化を指摘。精度低下に陥る懸念も示しており、打開策を探っていた。
 一方、ガリレオは軍事併用の米国に対抗し、EUがGPS以上の機能を追求して開発に取り組んできたシステム。GPSと異なり民生利用のみを想定し、約30基の衛星を打ち上げる構想で、利用者は自分がどこにいるのかという位置情報を高精度に得られることが売り物だった。
 だが、EUは資金難に直面。当初は「10年ころ」のシステム構築を目指したが、衛星打ち上げ計画が遅延。日本に協力を打診したが折り合わず、サービス開始を14年に延期していた。
 双方の事情から米EUは「共存」に方針転換。今回はガリレオの信号がGPSの軍事信号と干渉して妨害しないよう両者の周波数を調整。双方が妨害電波を発しないことなどでも合意した。
 今後は共同作業班で協力体制の詳細を検討する。実際のサービスがどう変わるかはまだ見えないが、ガリレオの利用が有料とされている点への対応が課題となる。米側は有償の情報提供に難色を示し、GPSに合わせて無料化するよう求める構えだが、EU側は明確な態度を示していないといわれる。日本の関連企業などからは「一体運用で新たなコストが発生するのは避けてもらいたい」(クラリオン)と、ガリレオの利用が無料化されない事態への懸念も出ている。



広がる車離れ、世帯あたり保有台数が初の減少
 総務省が30日に発表した2009年の全国消費実態調査によると、1世帯(2人以上)あたりの自動車の保有台数(09年10月末時点)は1・414台で、5年前の前回調査より2・2%減少した。
 自動車を調査対象に加えた1964年以降、初めての減少となる。
 世帯主の世代別では、50歳代以下でいずれも減少しており、車離れは若年層だけでなく中高年層にも広がっている。
 都道府県別では、神奈川が7・7%減、千葉が7・5%減、埼玉が7・2%減、東京が6・9%減など、特に南関東で車離れが進んでいる。



イメージアップ 米英でCM放映 中国政府出資で制作
 中国の国際的なイメージアップを狙い、中国政府の出資で制作されるテレビCMが、9月に米CNN放送と英BBC放送で放映される。中国紙チャイナ・デーリーが30日、このCM制作を手掛ける会社の関係者1人の話を基に報じた。
 同紙によると、国務院新聞弁公室が提案し資金を提供する同CMには、バスケットボールの姚明選手や香港の資産家、李嘉誠氏ら中国の有名人が登場する。また、広告代理店の上海ロウ・アンド・パートナーズの社長補佐、ワン・リジュン氏の話を引用して、同社が30秒のCMのほか、中国に関する15分の映画を制作すると、同紙は伝えた。



英国、インドに大訪問団 急成長市場、関係強化に腐心
 インドを訪問したキャメロン英首相は29日、シン首相とニューデリーで会談し、経済など幅広い分野での連携強化で合意した。インドの産業界が世界で存在感を増しているなか、英国にとっても、インドの重要性が高まりつつあることが示された。
 保守党と自由民主党による英連立政権は、シン政権に対し、インドとの関係強化が外交政策の最優先課題であるとの合図を送っていた。それを裏付けるかのように、キャメロン首相が率いる訪問団には、50を超える企業の経営幹部をはじめ、ヘイグ外相やオズボーン財務相など主要閣僚も同行している。
 英国にとって、インドの重要性は増している。インドのタタ・グループは鉄鋼や自動車メーカーの買収を通じて、英国民を最も多く雇用している民間企業の一つとなった。
 インドのハイテク企業は、西欧での事業拡大に向けて英国での進出先を探している。英金融街「シティー」は今後もインド企業による株式上場の継続を望んでいる。
 英訪問団は、急速に拡大するインド市場における投資機会の確保を目指している。インド市場では、多国籍企業の参入と、国内の大手コングロマリット(複合企業)の存在によって競争が激化している。それでも、英国企業が狙っている分野は、保険や小売り、航空宇宙分野だ。
 キャメロン首相らの今回の訪印で、英印両国はインド軍が英防衛大手BAEシステムズからホーク練習機57機を購入する7億ポンド(約943億円)規模の契約を結んだ。
 英国は、インドに対し、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)の締結を行うよう促している。
 キャメロン首相はまた、原子力技術の民生利用についてもインドと協力することを明らかにした。これにより、原子炉部品の製造大手である英ロールス・ロイスといった企業に輸出の道が開かれることになる。
 英政府はかつて、1974年のインドによる核実験などを受けて、軍事利用と民生利用の区別がついていないとして輸出を禁止していた。しかし、2008年にインドが米国と原子力の民生利用について協定を結んだことで状況が変わった。世界各国の原子力発電関連企業は、インドの原子力に対する熱意を利用する道を探っている。
 英国はインドとの間で、ビザ(査証)の発給やイランに対する対応といった点で足並みが乱れる可能性は残されている。しかし、今回の訪印は時宜にかなったものといえるだろう。



デフレ脱却議連が目標設定 「今後10年で経済成長70%」
 民主党の有志議員でつくる「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)は30日、総会を開き、今後10年間で70%の経済成長を目指す「デフレ脱却・経済成長プログラム」を可決した。同連盟はこの目標を達成するため、日銀による積極的な金融緩和策を求めていく。
 プログラムでは、日本の潜在成長率を実質で年率2.5%と仮定し、2.5%の物価上昇が続くことを前提に、2020年度末までに名目で約70%強の経済成長が実現できると試算している。
 こうした経済成長を実現させるため、国家戦略局や内閣官房が経済政策の司令塔になる必要性を強調した。
 雇用の需給の逼迫(ひっぱく)がみられる間は、デフレから脱却できていないとみなし、日銀に一定の物価上昇の実現を求める「インフレ目標」の導入も提言している。物価上昇率は年率2~3%を目標とする。
 同議連の松原仁会長は「参院選での民主党の敗北は、具体的な政策を出さずに増税議論を持ち込んだことが原因」とした上で、「増税を否定するわけではないが、日銀は(経済成長に必要な)すべての手段を取っていない。経済の復興は日銀の真剣な金融政策から始まる」と話した。



姦通罪女性に「石打ち」死刑判決、イランに批判
 【テヘラン=久保健一】イランで、姦通(かんつう)罪に問われた女性に「石打ち刑」による死刑判決が下り、波紋を呼んでいる。
 イラン当局は今月、刑執行を見合わせると発表したが、イランの司法制度をめぐる国際的批判が広がっている。
 死刑判決を受けたのは、イラン北西部タブリーズに住む女性(43)。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、婚外の「不適切な関係」があったとして「姦通罪」の嫌疑に問われた。女性は否認したが、2007年5月、「石打ち刑」による死刑が確定した。
 女性の弁護士からの情報で、「アムネスティ」は先月、死刑の執行中止をイラン政府に要請。司法当局は今月11日、「人道的見地」から、刑の執行を一時延期したとイラン国営通信が報じた。執行法の変更も検討しているとの報道もある。
 姦通罪は、イランの刑法にあたる「イスラム処罰法」で規定され、最高刑は死刑。死刑は通常絞首刑だが、姦通罪については特に「石打ち刑」と明記される。被告を胸まで地中に埋め、判事や証人などの投石で公開処刑するものだ。
 欧米から「石打ちは中世の刑罰。現代には無用のもの」(ヘイグ英外相)といった批判が相次ぎ、30か国以上で女性の死刑撤回を求める抗議集会が開かれた。
 「アムネスティ」によれば、イランでは02年以降、少なくとも6人が「石打ち刑」に処せられた。イラン以外では、サウジアラビアでも適用されている。



2011年新設予定の大学・学部 目立つ医療系、多い“日本初”
 少子化による大学全入時代到来が間近に迫ってきた。そのような厳しい状況にもかかわらず、来年も数多くの大学や学部が新設される予定だ。
 新設される私立大と主な学部をまとめた。
 人材不足が懸念される医療系の学部を新設する大学が多いことが分かる。看護やリハビリテーションの学科が目立つ。新設大学6校中4校が医療系。その中で、福岡に新設予定の純真学園大は、2007年から学生募集を停止した東和大を擁していた学校法人が、同じキャンパスに新しく開学する。
 来年は“日本初”となる新設学部が多いのも特徴だ。
 日本映画大は日本初の映画の大学。映画学科は既に日本大などに設けられているが、「映画学部」は初めて。専門学校が母体で映画教育には実績がある。
 さらに、工学院大と近畿大に新たに設置されるのが「建築学部」だ。工学部や理工学部、さらには芸術系の学部にも、建築“学科”はある。金沢工業大に「環境・建築学部」が置かれているが、建築学部はなかった。
 京都華頂大の「現代家政学部」、宇都宮共和大の「子ども生活学部」も初めて登場する。児童教育系の学部・学科は最近、設置が増えている。不況の影響もあって、資格を取得していると就職を有利に運べることから人気が高い。武蔵野大や中村学園大の教育学部にも、児童教育の学科を新設する予定だ。
 このほかに関西外国語大の「英語キャリア学部」、広島国際大の「医療経営学部」も新しい。また、京都女子大は女子大初の法学部を設ける。
 近畿地区の人気総合大は来年も学部新設が活発だが、関東には予定がない。
 これまで両方の地区で盛んだったが、18歳人口の減少が底を打ってから、東西の大学で大学改革の方向性が異なってきているといえそうだ。



橋下知事また私立小中の助成削減方針…私学反発
 財政悪化に苦しむ大阪府の橋下徹知事が、「財政構造改革」の目玉として、来年度からの私学助成の見直しを打ち出し、私学関係者が危機感を募らせる。
 焦点は私立小中学校への助成金で、橋下知事は「義務教育は公立の受け皿がある。私立に行くなら保護者が対価を支払うべきだ」と大きく切り込む構えだ。知事就任直後の2008年度に25%カットしたことにより、私立小中への助成は全国最低水準になっており、私学側は「これ以上削減されれば、経営が立ち行かない」と戦々恐々。授業料値上げが相次ぐ可能性も高く、保護者からも反対の声が上がる。
 ◆「仕方ない」◆
 「そもそも私立小中への助成は必要か」「(授業料が上がり)大阪は私立小中に通わせにくいと言われても、仕方がない」。府庁で今月中旬に開かれた会議では、橋下知事から削減を示唆する発言が相次いだ。
 景気低迷による財政悪化で、府は来年度以降の3年間で475億円をひねり出す財政構造改革案を策定中。8月上旬の発表に向け、今年度予算で総額約680億円に上る私学助成も、議論の俎上(そじょう)に上がった。
 ◆予算を高校へ◆
 私学助成は、橋下知事の就任直後の08年度にも削られ、10年度までの3年間で計169億円がカットされた。今回の削減幅は未定だが、府幹部は「私立小中への助成は全廃という意見もある。知事も相当切り込むつもりだ」と明かす。
 私立小中への助成削減分は、今年度から年収350万円未満の世帯を対象に実施している私立高授業料無償化制度に予算を回し、対象を年収680万円未満にまで広げる方針という。
 府内では09年度、公立小に通う児童数は約48万8000人で、私立小は約8000人。中学では、公立の生徒数約22万2000人に対し、私立は約2万4000人。「小中で私立に通う子供は1割以下しかいない。高校は、公立入試に落ちて、私立に通うことを余儀なくされる生徒もいる。高校の対策が最優先」というのが橋下知事の理屈だ。
 ◆「撤回を」◆
 府によると、私立中の生徒1人当たりの平均的な教育費は年約80万円。うち4分の1を助成で、残りを授業料収入で賄っており、私学にとって助成削減は大きな打撃となる。
 08年度からの削減で、府の私立小中に対する経常費助成額は、児童・生徒1人当たりで小学校が18・3万円、中学校は21・4万円と、近畿の他府県より3~10万円低い。大阪私立中学校高等学校連合会は「なぜ大阪だけ極端に減額されるのか」と、削減撤回を求めていく方針だ。
 08年度の削減時には、府内の私立中の半数を超える34校が授業料と入学金を合わせ平均5万8500円の値上げを実施した。大阪私立中学校高等学校保護者会連合会の田尻忠邦顧問は「いじめや不登校を理由に私立に転校する子供もいる。ある程度は保護者負担に配慮してほしい」と主張する。



国家公務員試験に社会人枠…2012年度導入へ
 人事院は2012年度から実施する国家公務員の新たな採用試験に、社会人経験者や大学院修了者などを対象とする採用枠を新設する方針を固めた。
 優秀な大学新卒者が外資系企業や大学院などに流れている現状を食い止める狙いがある。8月の人事院勧告に合わせた報告に盛り込む予定で、来春にも人事院規則の関連規定を改正する方向だ。
 新たな試験制度の導入自体は、08年に成立した国家公務員制度改革基本法で決まっている。従来のキャリア制に基づく試験を廃止し、政策の企画立案能力を重視する「総合職」、的確な事務処理の能力を見る「一般職」、特定分野の専門的知識を重視する「専門職」に区分するという内容だ。
 「経験者採用試験」は、この制度改正に合わせて新たに設けるもので、民間企業などで経験を積んだ人が対象となる。合格者は係長級以上に採用する。大学院や法科大学院、公共政策大学院の修了者が対象の「院卒者」試験は総合職の採用枠の中に新たに導入する。
 人事院は06年から各省と共同で「経験者採用システム」を実施。志望者は年々増加していることから、経験者採用試験として、本格的に導入することにした。



【東京新聞社説】
ねじれ国会開幕 まずは信頼の構築から
2010年7月31日
 民主党の参院選惨敗を受けた「ねじれ国会」が幕を開けた。与野党が角を突き合わせるだけでは何も生まれない。国民生活に必要な政策の実現へ、与野党は信頼関係を築くことから始めてほしい。
 参院本会議場の与党席は半分に満たない。民主、自民両党が攻守を入れ替え、約十一カ月ぶりの「ねじれ国会」の再現だ。
 しかも、与党は衆院で三分の二に満たず、首相指名、予算、条約以外は与党単独で成立させられない「真性ねじれ」でもある。
 新しい状況をどう打開し、国政の停滞を避けるのか。与野党が知恵を出し合わねばならない。
 菅直人首相は記者会見で、ねじれ国会を「マイナスとばかりとらえるのではなく、与野党が合意する政策は、かなり困難を伴う政策でも実行が可能になると前向きに受け止めたい」と述べた。
 念頭にあるのは、一九九八年参院選後のねじれ国会で、民主党など野党側が提出した金融再生法案を、小渕恵三首相がそのまま受け入れ、金融危機を回避した例だ。
 首相は、民主党代表として倒閣に走らなかった当時の判断の正しさを強調し、今回も野党側に協力するよう求めたのだが、より重要なのは、与党側が野党提案を「丸のみ」した決断ではないか。
 野党に譲歩を迫るのではなく、首相が、野党側の提案を受け入れる度量を見せる方が先決だ。
 初当選組を迎えた参院では、議長に、民主党の西岡武夫議院運営委員長が選出された。
 前議長の江田五月氏は、菅首相問責決議案などを採決せずに前国会を閉会し、野党側が与党寄りだと批判して交代を求めていた。
 民主党がこれまでの国会運営の不手際を陳謝し、議長交代を受け入れたことは、与野党間の信頼構築に向けた前進と受け止めたい。
 ただ自民党は、西岡氏が議運委員長として三年間続けた強硬な国会運営は承服できないとして、議長選挙では白票を投じた。
 自民党の言い分も分からないではないが、報復合戦が続けば、国民はいずれ愛想を尽かす。
 西岡氏は選出後「新たな局面を迎えた(参)院の円滑な運営に努めたい」とあいさつした。その言葉を違(たが)えず、議事運営を通じて野党側の信頼を得るしかあるまい。
 参院選で改選第一党になった自民党は参院で議運委員長ポストを取り戻した。国会運営の要だ。自らが担う責任も、より重くなったと肝に銘じるべきである。

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(゜Д゜)っ/凵⌒☆チンチン新聞

任天堂、「誤算」の背景
 任天堂の2010年4~6月期の連結最終損益が252億円の赤字(前年同期は423億円の黒字)となった。04年に携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」を発売して以来、快走を続けてきた同社のまさかの失速。最終赤字計上はいくつかの誤算が重なった結果といえる。
 29日の決算発表はホームページなどでの資料開示のみ。自ら記者会見を開いて業績について説明することが多い岩田聡社長も、今回は姿を見せなかった。いまの胸の内は推測するしかないが、ここまでの収益の落ち込みは想定外だったに違いない。
 最大の誤算は円高。「どんな経営をしても、これ(だけの急激な円高)でも大丈夫なようにするのは無理だと思う」。岩田社長は6月に日本経済新聞の取材に応じた際、欧州の経済不安に伴う大幅なユーロ安についてこうこぼしていた。同社の連結海外売上高比率は8割を超す。円高で売上高が100億円以上目減りするなど収益低下の一因となった。
 さらに痛手だったのは外貨建てで保有する資産の為替差損だ。6月末時点で保有する現預金はドル建てが約26億ドル、ユーロ建てが約30億ユーロ。8億ドルと4億ユーロの売掛金もあった。一方、買掛金は2億ドル弱で、3月末に比べて対ユーロで円相場が17円の円高となったことなどを受け705億円もの為替差損が発生した。
 豊富な現預金を持つのは任天堂の伝統的ともいえるスタイル。浮き沈みの激しいゲーム産業にあって、取引先からの信頼確保など事業基盤の安定に一定の役割を果たしてきた。ただ短期にこれだけの円高が進むと今回のように為替差損が膨らんでしまう。以前は金利の高い外貨建てで預金を持つ利点も大きかったが、今後は見直しも必要になりそうだ。
 本業の不振も想定内とはいえそうにない。「特別な眼鏡なしに完全な3D(3次元)表示をお見せします」。6月中旬、岩田社長は米ロサンゼルスで開かれた世界最大のゲーム見本市「E3」でこう宣言し、任天堂として約6年ぶりとなる新しい携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を公開した。
 具体像が明らかになったことで3DSへの期待が膨らんでいるが、皮肉にもそのことが既存のDSシリーズへの関心を薄れさせている可能性がある。4~6月期のDSの販売台数は315万台と前年同期でほぼ半減。対応ソフトも23%減の2242本と振るわなかった。
 ゲーム機の端境期を迎えた現在は、過去数年と比較して任天堂にとって最も苦しい局面。4~6月期は売上高が1886億円、営業利益は233億円にとどまった。現段階で期初の業績予想は変えていないが、9月中間期の見通しを達成するには7~9月期に売上高で4~6月期の2倍の約3600億円、営業利益で4倍の約960億円を達成しなければならないことになる。
 3DS向けにはスクウェア・エニックスやカプコンなども人気ソフトの供給を決めており、ユーザーの期待は高い。現在の苦境を乗り越えて再び浮上できるのか。任天堂の底力が問われる。



高精細パネルにアップル特需 iPad、iPhone4向け利益率高く 技術前面、国内勢巻き返しへ
 高精細な中小型液晶パネルの需要が伸びている。けん引役は米アップルの新端末。多機能携帯端末「iPad」、高機能携帯電話「iPhone4」に使うパネルは従来品より高性能で単価が高い。生産規模で韓国や台湾のメーカーに押される日本メーカーには技術力を生かし、利益率を高める好機になりそうだ。
 韓国のLGディスプレーは京畿道坡州市の工場で、斜めからでも画面が見やすい高精細なIPS液晶パネルを増産する。同社がiPad向けに出荷しており、アップルへの供給が間に合わないうえ、端末メーカーの注文が殺到しているためだ。
 米アイサプライによると、iPadに使う9.7インチのIPS液晶パネルの価格は1枚65ドル。一方、低価格パソコンのネットブックに使う標準的な10インチパネルは30ドル台前半のため、ほぼ倍になる。高い技術が必要なため生産効率は落ちるが、メーカーの利益率は高い。
 アップルが6月に発売したiPhone4にはLGディスプレーのほか東芝モバイルディスプレイがパネルを供給している。同製品に使う3.5インチパネルの価格は1枚28.5ドル(アイサプライ調べ)と、大量生産される2.2インチの携帯電話用パネルの3倍以上だ。旧世代のiPhone3Gに比べても5割高い。
 アップルに触発され、端末各社はiPadのようなタッチパネル付きで板状のスレートパソコンや高機能携帯電話の新機種を来年から本格投入する。その中で高精細な中小型パネルの需要拡大は確実視される。「新製品はハード面でアップルと同等以上を求められる。特に一目で差が出るディスプレーの美しさは大事になる」(米ディスプレイサーチの早瀬宏ディレクター)ためだ。
 汎用品と同様、高精細パネルも単価下落は続きそうだ。「高機能携帯電話向けパネルも年率3~5%の値下がりは避けられない」(国内パネル大手)。アップルはブランド力と大量調達に加え、複数のパネルメーカーを競争させることで値下げを求める可能性がある。
 それでも積極投資や大型ライン転用で増産を進める韓台勢の攻勢を受ける日本メーカーにとって、高精細パネルの市場拡大は巻き返しの好機だ。アップルの新製品向けに最も早い時期にパネルを供給したのは日本メーカーとされる。各社は3次元などの新技術で市場をリードする構えだ。
 日立ディスプレイズは7月、台湾の奇美電子に中型パネルの生産を委託する一方、IPS液晶の技術を供与することを決めた。「自社の生産設備が不足するなかで供給を増やす」(日立ディスプレイズ)。今年度中にも供給を始める。アップル特需で火が付いた高精細パネルの競争は技術だけでなく、価格や数量の面でも激しさを増す。



コールセンター業務、クラウド使い1000人在宅勤務
アデコとNTT東が遠隔支援
 人材サービス世界大手のアデコ(スイス)とNTT東日本は、インターネットを使った在宅人材サービスを年内に日本で始める。在宅の主婦や高齢者をネットで結び、自宅でコールセンター業務などができるようにする。人材サービス大手のパソナグループも参入する。働き方の多様化につながり、少子化に伴う労働力不足を補う効果も期待される。
 ネット経由でソフトウエアや情報システムを提供するクラウドコンピューティングの技術を活用する。自宅に高性能コンピューターがなくてもオフィスと同じ作業ができ、セキュリティーの確保も容易になる。
 アデコはクラウドを使い、分散した在宅勤務者の労働状況を遠隔で管理する。問い合わせ内容が難しい場合は、対応をアデコ本部の熟練オペレーターに切り替える。
 年内に事業を始め、3年以内に約1千人の在宅勤務者との契約を目指す。企業のコールセンターのほか、データ入力の仕事が多い官公庁やネット通販会社の需要を見込んでいる。
 企業や官公庁は現在、これらの業務で、仕事量のピークに合わせた人員を抱えている。在宅人材サービスを使えば、仕事量が増えたときに対応人数を増やし、閑散期の人件費を抑制できる。
 クラウド型の業務システムはNTT東日本と開発する。システムは在宅勤務者のパソコンに組み込む専用ソフト、本人認証用装置、企業の本部と映像でやりとりできるテレビ電話システムなどで構成し、光ファイバー通信回線を介して利用する。
 NTT東はアデコの顧客に対し、クラウド技術の導入を支援する。利用者が増えれば、ブロードバンド(高速大容量)通信サービスの需要を喚起できる。
 パソナは子会社のパソナテックを通じて今夏にもコールセンター向けにクラウド型の在宅人材サービスを開始する。同社が運営するコールセンターの業務の一部をネット経由で在宅の契約社員に割り振り、繁忙時の人手不足を補う。初年度200人前後と契約する。
 IT(情報技術)ベンチャーのブロードアース(東京・渋谷、中岡聡社長)が開発したクラウド技術を使う。
 高速インターネットやスマートフォン(高機能携帯電話)の普及により、パソコンや携帯電話を使ってオフィス外で働く人の割合が増えている。しかし高性能コンピューターがない自宅では、セキュリティー上の問題があり、業務内容に限りがあった。
 クラウドを使った在宅人材サービスはこうした制約が少なく、自宅で短時間なら働ける主婦や高齢者の労働力を企業が活用できる。



DeNA、驚異の急成長、上期売上高500億円に 「グローバルナンバーワン」目指す
 「非常に順調です」――ディー・エヌ・エー(DeNA)が7月30日に発表した2010年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比2.7倍の241億円、営業利益が同3.8倍の119億円と急成長をとげた。ソーシャルゲームの急拡大によるもので、売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。
 2010年度上期(4~9月)の業績予想は、売上高が500億円、営業利益が240億円。前期1年間の売り上げ(481億円)を半期で上回る計算だが、「これも単なる通過点」と、南場智子社長は冷静だ。
 ソーシャルゲームのグローバルナンバーワン企業を目指し、マルチプラットフォーム展開や世界展開を進めていく。10月にはPCサイト「Yahoo!モバゲー」をスタートするほか、年内に「モバゲータウン」をスマートフォン対応させる計画だ。
ゲーム順調、アバター回復 PVは「本当にクレイジーなレベル」
ソーシャルメディア事業の伸び
 主力の「モバゲータウン」では、内製のソーシャルゲームと他社製のオープンゲームがどちらも順調で、成長のエンジンとなっている。アイテム課金やゲーム内広告、mixiアプリへ提供している内製ゲームの売り上げなどを合わせた、4~6月期のソーシャルゲーム売上高は、前四半期比1.5倍の159億だった。
 「怪盗ロワイヤル」など内製ゲームは毎月売上高の最高記録を更新しているという。オープンゲームは7月27日現在でタイトル数が350、パートナー企業が154社に拡大。オープンゲームでの仮想通貨「モバコイン」の1日当たりの消費高は、1月からの半年間で11倍に伸びた。今後「信長の野望」「モンスターハンター」など有名ゲームも投入予定だ。
 低迷していたアバター販売は「V字とまで言えるかどうか(分からない)」が回復基調に。1~3月期の売上高は18億円だったが、4~6月期は20億円となった。オープンゲームでのアバター利用もスタートしており、回復は「ユーザーのアクティビティレベルが向上した」ためと見ている。
 ソーシャルゲーム人気でページビュー(PV)も増加し、6月の1日当たり平均23.8億に。国内の携帯電話サイト全体のPVのうち、モバゲーが約2割を占めていると南場社長は説明し、「本当にクレイジーなレベルにいっている」と話した。
 今後は、モバゲーのマルチプラットフォーム展開を進める。PCサイト「Yahoo!モバゲー」を10月にスタートするほか、年内にスマートフォンに対応する予定だ。
 海外展開にも注力する。ソーシャルゲームと、ゲームを提供するプラットフォーム両方を持っている点を「ユニークな強み」として生かしていく方針だ。「ソーシャルゲームのグローバルナンバーワン企業になる。現実的に非常に近いポジションにいると思う」と話した。



電波利用料、携帯電話の負担割合を軽減 総務省が基本方針案
 総務省は30日、2011年度に改定する電波利用料の基本方針案を提示した。携帯電話端末など無線局ごとにかかる電波利用料の負担割合を軽減。携帯電話事業者が払う利用料が下がれば、基地局整備などが進む可能性がある。電波を入札で割り当てるオークション(競売)制度を巡っては「十分検討に値する」とし、導入に向けた方向性を打ち出した。
 電波利用料は電波の有効利用に向けた研究開発や監視などに使う目的で、携帯電話事業者や放送事業者などから徴収しており、3年ごとに改定する。今回の見直しでは使い道に関し、周波数の再編に伴って発生する費用の一部を支援したり、電波の共同利用実現に向けた環境整備に充てたりする方針を盛った。
 内藤正光総務副大臣は電波競売について「これまで行政は門前払いしてきたが、方向性を出せた」と指摘。専門の研究会などで本格的に議論する考えを示した。



三洋電機元会長、井植敏氏インタビュー
 パナソニックによる完全子会社化が決まり、「SANYO」ブランドが原則消滅することになった三洋電機。創業者、井植歳男氏の長男の敏氏はトップとして20年間君臨し、同社を2兆円企業に押し上げた。その後の経営不振から一線を引いたが、5月に経営評論家の片山修氏と共著「三洋電機よ、永遠なれ!」(PHP研究所)を出版、過去の総括を始めている。昨年末に三洋がパナソニック傘下となってから初のインタビューに応じた。
 --三洋のパナソニックグループ入りをどう思う
 「本のタイトル(三洋電機よ、永遠なれ!)の通りだ。他に何もない。パナソニックはライバルと思って必死で競争してきた。私よりも、現場で戦ってきた人たちにとっては何とも言えない気持ちだろう。しかし、それが最善の道ならそうせざるをえない。社員が路頭に迷うことは避けなければならない」
 --父親が創業した会社が他社の傘下に入ることには
 「そんなことを思うぐらいならば、上場しなければいい。この企業規模で(創業家が)経営権を握るのは無理だ。創業した会社が後につながり、三洋の心をしっかりと持ち続けてほしいことぐらい。ウォームハート(温かい心)の会社であってほしい」
 --上場企業における創業家はどうあるべきか
 「オーナー経営をできる人はやればよい。だが、求心力にならないのなら辞めなければおかしい。社員が幸せになるためにどうしたらいいかということだ」
 --半導体部門など三洋の“事業切り売り”が進む
 「今の時代ではせざるをえない。国内の電機メーカーは過剰で、世界のマーケットを狙える状態にない。日本市場で消耗戦のようなことをしている。再編は日本の中だけではダメだ。アジア連合などを構想しないと生き残れないのでは」
 〈トップ在任中、中国の家電メーカー、ハイアールと業務提携した。アジア企業の台頭に、国内電機業界の再編は避けられないと感じたという〉
 --ハイアールとの提携のきっかけは
 「2000年ごろドバイなど中東へ行ったとき、日本メーカーの商品はほとんどなく、ハイアールなんていう聞いたことのない商品があふれていた。ハイアールに視察に行くと、生産規模がわれわれと比較にならないほど巨大で、工作機械も最新だった。国際競争に勝つには(事業の)整理が必要と思った」
 --どんなビジョンをもっていた
 「太陽電池などエネルギーに注力しようとしていた。白物家電は負けると思ったね。海外市場を切り開かないと、三洋は伸びないが、その力はない。このため大日(大阪府守口市)にあった冷蔵庫工場を閉めて縮小整理を始めた。三洋の販売店でハイアールの商品を売ってもらい、何年かかけてシフトしていこうと思った。(社内の反発などで)おかしくなってしまうから、社員にはすべてを話さなかったけど。でも、それぐらいのスピードが必要と考えていた」



スマートフォン、ウイルスにご注意! 基本ソフト公開で感染拡大
 米アップル社の「iPhone(アイフォーン)」をはじめとする高機能携帯電話「スマートフォン」の人気が高まる中、コンピューターウイルス感染が懸念されている。従来の携帯電話に比べ、スマートフォンは基本ソフトの技術情報が公開されており、ユーザーが自由にアプリケーションをダウンロードして機能を拡張できる。このため、安易にダウンロードすれば感染の恐れがある。普及が進む海外では被害も報告されており、専門家は警戒を呼びかけている。
これまでに700個
 「スマートフォンについては、これから非常に危険な状態になってくるでしょう」。平成14年から携帯電話のセキュリティーに取り組んでいるマカフィー(東京都渋谷区)のモバイルエンジニアリングプログラムマネジャー、石川克也さんはこう語る。
 同社によると、これまで見つかった携帯電話を狙ったウイルスは約700個。初期のころは画面に不適切な画像を表示するなどいたずら的なものが多かったが、近年ではユーザーを悪質なウェブサイトに誘導して個人情報を盗もうとするウイルスも確認されている。日本に比べ、スマートフォンが普及している海外ではウイルス感染は頻繁だという。
 なぜ従来の携帯電話に比べ、スマートフォンのほうが危険性が高いのか。従来の携帯電話と異なり、スマートフォンは基本ソフトの技術情報がある程度公開されている。
 このため、アプリケーションソフトを作りやすい環境となっており、悪意を持った人間が有害なソフトを作成し、ユーザーがダウンロードする危険性が高まっているという。
 さらにスマートフォンの場合、携帯電話用のサイトではなく、多くの人に開かれたインターネット上のサイトに接続することが多い。携帯電話通信社ごとの閉じられたネットワークと異なり、開かれたインターネットには有害なサイトがあふれている。石川さんは「開かれたインターネットに直接接続できるのはユーザーにとって利便性は高いが、裏にはセキュリティーリスクが隠されている」と指摘する。
疑うことが大切
 平成12年ごろから携帯電話対象のウイルス対策に取り組むエフセキュア(港区)のテクノロジ&サービス部長、八木沼与志勝(よしかつ)さんも「スマートフォンは持ち歩くコンピューターなのでリスクは高い」と話す。
 両社ともスマートフォンの普及が進む海外では、すでにスマートフォン対象のウイルス対策ソフトを販売。日本でも発売を検討している状況という。
 八木沼さんは「アプリケーションをダウンロードをする前に、そのサイトは安全なのかなどを確認してほしい。一番大切なのは疑ってかかることです」と話す。個人の危機管理意識を高めることが何よりも重要といえそうだ。



記者の目◇東芝、戻ってきた勝ちパターン
 「電子デバイスが売り上げ、利益ともに想定以上に回復した」。東芝が29日発表した2010年4~6月期決算。村岡富美雄副社長の発言は、電子デバイス部門の好調に支えられた決算内容を象徴するものだった。
 東芝にとって4~6月期は本来なら電力など社会インフラが不需要期なこともあり、利益が出にくい期間。しかし、今年は本業のもうけを示す営業利益が295億円と2000年度途中から四半期決算の開示を始めて以来、4~6月期としては過去最高となった。
 けん引したのはフラッシュメモリーや中小型液晶パネルなど電子デバイス部門。原子力を核とする社会インフラと半導体を2本柱とする東芝の勝ちパターンの姿がおぼろげながら見えてきた。
 主力のフラッシュメモリーが好調だ。米アップル向けの供給が高水準で推移したもよう。メモリーカードやデジタル家電向け以外の用途も拡大しており、需給がタイトな状況が続いている。事実上、韓国サムスン電子との2グループ体制であるため市況も安定。微細化進ちょくでコスト競争力も増し半導体事業の営業利益は従来計画よりも約70億円上振れし250億円となった。
 今4~6月期の特長は、従来まで不採算だったデバイスの改善も業績を下支えしたことだ。代表的なのが中小型液晶パネル。スマートフォン(高機能携帯電話機)やカーナビ向けなどが伸び、生産が需要に追いつかない状況が続いている。コスト削減活動も寄与して7四半期ぶりに営業黒字に転換。半導体のシステムLSIの赤字幅も縮小し目立って足をひっぱる事業が減った。
 今後のポイントの1つはこのデバイス活況がどこまで続くのか。村岡副社長は「半導体はこれからもっとよくなり、中小型液晶も黒字が続く」と話し、電子デバイスの一段の業績拡大に自信を見せた。仮に4~6月期の調子が年間を通して続けば電子デバイス部門だけで軽く1000億円(計画は900億円)の利益が出る計算。7~9月期決算時には通期業績(営業利益計画2500億円)の上方修正も視野に入ってくる。
 ただし、上方修正にはもうひとつ条件がある。社会インフラ事業が確実に利益を出すことだ。やや気になるのは4~6月期に社会インフラが11億円の営業赤字に転落した点。原子力は好調だったものの、前年度の受注低迷の影響を受け売り上げが減少し、営業損益は前年同期に比べ76億円悪化した。「7~9月以降は増収に転じる」(村岡副社長)としているが、今後の回復はどの程度なのか。欧米など景気の先行き不透明感が強まる中、稼ぎ時の1~3月期までにできるだけ利益を上げておきたいものだ。
 11年3月期は始まったばかりとはいえ、4~6月期決算で2本柱とする成長シナリオの復活は見えてきた。この流れを確実なものにできるかどうか。ポイントは半導体と原子力の競争力強化だけではない。
 改善傾向にあるとはいえ、もはや飛躍的な利益拡大が期待できない中小型液晶パネルやシステムLSIなど課題事業の抜本策をどう打ち出すのか。追い詰められてからではなく、課題事業が改善傾向にある今こそ、選択と集中を進め2本柱への経営資源シフトを加速する時期なのかもしれない。



エコカー支援 補助金打ち切りは時期尚早だ(7月31日付・読売社説)
 せっかく効果を上げている景気刺激策を、なぜやめるのか。
 政府は30日、省エネ性能に優れたエコカーを購入する際に支給する補助金を、期限である9月末で打ち切ることを決めた。
 直嶋経済産業相は「臨時、異例の措置としてやってきた。自動的に9月末で終了することになる」と述べた。
 しかし、最近は、景気回復の足取りがもたついている。消費の下支え策をなくすには、タイミングが悪いのではないか。経済界にも存続を求める声が強い。
 経済危機対応のため今年度予算に盛り込まれた1兆円の予備費を使えば、財源の手当ては可能だ。政府は、補助金の支給を当面続けるよう、再考すべきである。
 エコカー補助金は、麻生政権が今年3月末までの時限措置として導入した後、鳩山政権も予算を追加して6か月延長した。
 乗用車で最大25万円をもらえる内容が好評で、省エネ家電のエコポイントとともに、消費拡大に高い効果を上げてきた。
 支援の財源として2009年度の補正予算で約6000億円が計上された。これで450万台分の購入支援が可能となり、すでに300万台分の利用が決まった。
 補助金は1000億円ほど残っており、期限切れまで、まだ2か月あるが、影響はすでに出始めているようだ。
 新車登録が9月末に間に合わないと補助金の対象にならないが、人気車は契約から納車まで2か月以上かかることも珍しくない。
 販売店の説明で、今すぐ買っても補助金がもらえない恐れがあると知り、購入をあきらめる客もいるという。
 今後、補助金制度の終了で、本格的に自動車の販売が落ち込むことが懸念される。
 昨年1月に新車購入支援制度を導入したドイツでは、9月に予算を使い果たして制度が廃止された。その後、新車の販売台数は、支援の実施中より2割以上も落ち込んだまま低迷が続いている。
 終了後の販売減少を見込んで、トヨタ自動車は国内生産を、10月から2割ほど減らす。主要産業の自動車が減産に動けば、回復のペースが落ちてきた工業生産が、さらに冷え込みかねない。
 財政は厳しいが、打ち切りは景気への副作用が大きい。対象車種を絞って支援規模を縮小するなど、財政と景気の両面に配慮しながら補助金を継続させる知恵を出してほしい。
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Y(゜Д゜)Y新聞

ドコモが使える日本通信「SIMカード」はこうして実現した
 山田隆持NTTドコモ社長の「全面対応宣言」以降、注目の的となっている携帯電話の「SIMロック解除」。NTTドコモは来春以降に発売する全機種を他の通信会社の回線でも使えるようにする方針だが、それを先取りして仮想移動体通信事業者(MVNO)大手の日本通信がSIMロック解除端末向けのSIMカードを7月30日に発売する。
 日本通信が7月23日に発表した「talkingSIM」は、データ通信と音声通話サービスを利用できるスマートフォン向けSIMカードだ。同社はこれまでもデータ通信のみのSIMカードを販売していたが、今回はそれに音声サービスを組み合わせてきた。
 日本通信はtalkingSIMの通信回線として音声、データ通信ともにNTTドコモのネットワークを使う。つまり、契約上は日本通信のサービスだが、実際はNTTドコモの強力な通信インフラをそのまま使えることになる。
 基本料金は月額3960円。これでデータ通信が使い放題(通信速度は上下300kbps程度の制限あり)となり、音声通話も1050円分まで無料で使える(超過分は30秒21円)。他社の同様のサービスが6000~7000円程度であることを考えると、かなり割安と言える。「スマートフォンユーザーは2台持ちの人が多い。2台目用のコスト負担が少ないサービスとして、talkingSIMを提供したい」と日本通信の福田尚久最高執行責任者(COO)は語る。
「iPhone」も利用可能
 このSIMカードを使うには、ユーザーは当然ながらSIMロック解除端末を自分で用意しなくてはならない。しかし、talkingSIMの仕様はNTTドコモのSIMカードと同一で、実質的には同じように使える。そのため、NTTドコモが販売している「Xperia(ソニー・エリクソン製)や「T-01A」(東芝製)などのスマートフォンでも利用可能だ。それらの中古品を安く手に入れれば、talkingSIMで使うことができる。
 しかし、最も需要が大きいのはアップルの「iPhone」シリーズだろう。香港などで売られているSIMロック解除版の「iPhone3GS」は、問題なく利用できることを日本通信自身が確認し、同社ホームページで動作確認端末の一覧として掲載している。ユーザーが香港などで購入してtalkingSIMを装着すれば、日本で電話もデータ通信も使えるようになるわけだ。
 現在は品薄状態が続いている最新機種の「iPhone4」は、通常のSIMカードより小さなmicroSIMカードを採用している。日本通信は「現状ではmicroSIMカードを使ったSIMロック解除端末が世の中に多く出回っていないため用意しなかった。しかし、今後流通するようであれば、積極的に対応してきたい」(福田COO)という。
 ちなみに、SIMロック解除版のiPhone4はすでにフランス、英国などでも普通に購入できるようだ。香港でも7月30日にiPhone4が発売される。日本でもSIMロックがかかっていないiPhone4の流通が徐々に始まることだろう。
番号ポータビリティーに対応
  今回のtalkingSIMで特に目を引くのは、番号ポータビリティー制度(MNP)に対応している点だ。現在は別の携帯電話会社を利用している人が電話番号をそのまま持ち運んでtalkingSIMに乗り換えられる。「MNP対応は各通信事業者との準備もあって苦労した部分。この調整に時間がかかってしまった」(福田COO)。
 また、talkingSIMは電話番号同士でメッセージを送るSMS(ショート・メッセージング・サービス)にも対応する。相手はNTTドコモユーザーに限られるが、それでも使用機会はかなり多いだろう。ほかにも、キャッチホン、留守番電話、転送サービス、国際電話サービスをカバーする。国際ローミングも「NTTドコモと同等の国・地域で使える」(福田COO)という(ただし、音声通話のみ。データ通信はローミング非対応)。
ドコモとの契約締結で実現
 日本通信はもともとNTTドコモのネットワークと相互接続をしており、2009年4月には音声通話に関して卸役務契約を結ぶことでも合意した。今回のサービスはこれらの契約関係のうえで実現している。日本通信は音声サービスの主軸をIP電話と捉えているが、現状でユーザーのニーズを満たすには、一般的な音声通話サービスを提供するのが不可欠と考え、今回のサービス提供に至ったという。
 ユーザーの立場からすれば、300kbpsという通信速度制限はあるにせよ、月額4000円弱でスマートフォンを所有できる魅力は大きい。しかも、いままで使っていた電話番号をそのまま引き継げるメリットもある。来年以降、SIMロック解除端末が増えてくれば、ユーザーの関心はさらに高まることだろう。
 300kbpsの通信制限について福田COOは、「当社には通信速度に制限がなく通信時間で課金するサービスもある。今後はそうしたサービスとの様々な組み合わせも検討していきたい」と語る。talkingSIMはあくまで第一弾商品であり、今後もユーザーのニーズに合わせて製品群を拡充することを検討しているようだ。
「ライバル」から「パートナー」へ
 日本通信とNTTドコモは、傍目には必ずしも友好関係にあるようにはみえない。つい最近も日本通信が「NTTドコモは法人向け取引で不当廉売している」との意見書を総務省に提出するなど、NTTドコモの「独占」を激しく追及している。しかし、福田COOは「talkingSIMの実現にあたり、NTTドコモにはいろいろと対応してもらった。むしろ我々の存在に理解があり、いい関係といえる」と明かす。
 実はNTTドコモにとって、MVNOはありがたい存在になりつつある。なにより、新規契約者数を稼いでくれるため、ソフトバンクモバイルやKDDIとの競争にプラスに働く。昨年以降、NTTドコモが契約者数でソフトバンクモバイルからトップを奪還する月があるが、それもNTTドコモから回線の提供を受けているウィルコムや日本通信が契約で貢献したからこそとも言われている。
 大手携帯電話会社のなかにも、かつては「MVNOはライバル」と語る幹部が見受けられたが、最近は「重要なパートナー」との認識が広がりつつある。NTTドコモの山田社長は「LTE(サービス名称は「クロッシィ」)でも、MVNOには回線を提供していく」と語っており、MVNOとのいい関係は今後も継続されていきそうだ。
 航空業界に大手と格安航空会社(ローコストキャリア)があるように、日本の携帯電話業界にも様々な選択肢が出てきた。スマートフォンの広がりとともに、SIMロック解除の機運がさらに高まれば、業界内に新たな競争が起こっていきそうだ。



YouTube、投稿ビデオの長さを15分に延長――著作権技術の向上で可能に
 米Google傘下のYouTubeは7月29日(現地時間)、一般ユーザーによる投稿動画の長さ制限の上限を10分から15分に延長したと発表した。動画再生時間の延長は、ユーザーからの最も多いリクエストだったという。
 YouTubeは立ち上げ時には動画の長さに制限を設けていなかったが、10分以上の動画には著作権を持つ映画やテレビ番組などの違法な投稿が多かったことから、2006年に1本の動画の長さを10分間に制限した。
 今回10分から15分に延長したのは、同社が著作権保有者に提供している「Content ID」をはじめとするコンテンツ管理ツールの性能が向上し、採用するパートナー企業も増えたためにコンテンツの保護が可能になったからとしている。Content IDは、投稿された動画を著作権保有動画のデータベースと照合し、著作権を侵害しているかどうかを自動判定するツール。違法と判定した場合は著作権を保有するパートナー企業に通知する。通知を受けた企業は、対象となった動画を削除するか、その動画に広告を掲載することで収益を上げることもできる。現在、米国の主要な映画会社と音楽レーベル、世界の1000以上の著作権保有企業がContent IDを利用しているという。
 YouTubeはメディア大手Viacomから、ユーザーによるコンテンツの無断アップロードを容認しているとして起訴されていたが、この6月に勝訴している。
 YouTubeは制限時間延長を記念して、「15 minutes of fame」(アンディ・ウォーホルの「誰でも15分で有名になれるだろう」という言葉にちなんでいる)というキャンペーンをスタートした。8月4日までに「yt15minutes」というタグを付けて15分間の動画をすると、YouTubeが優秀作品を特設コーナーに掲載する。
 この秋にはテレビでインターネットのコンテンツを視聴できるプラットフォーム「Google TV」対応テレビが発売される予定だ。今回の制限時間延長は、7月12日に発表された4K2Kビデオのサポート同様に、Google TV普及に向けたコンテンツの充実を狙ったものとみられる。



「ぴあ関西版」10月休刊へ
 エンターテインメント情報誌「ぴあ関西版」(隔週刊)が10月7日発売号を最後に休刊することが30日、分かった。
 同誌は、発行元のぴあによると、1986年創刊。94年には約25万部を発行していたが、最近は4万部程度に低下していた。年内にチケット情報などを掲載する新メディアをつくるという。 



au、800MHz再編で回線交換のデータ通信を終了
 KDDI、沖縄セルラーは、auにおける回線交換方式のデータ通信サービスを終了すると発表した。800MHz帯の周波数再編に伴うもので、同周波数帯の再編完了までに終了する。
 auにおける回線交換方式のデータ通信サービスは、1999年のCDMA方式導入当初から提供が開始された。CDMA 1X、CDMA 1X WIN EVDO、CDMA 1X WIN EVDO Rev.Aの各方式におけるパケットデータ通信サービスの提供に伴って、2005年秋モデルから順次、回線交換方式のデータ通信サービスには非対応となっていた。
 今回のサービス終了は800MHz帯の周波数再編に伴うもので、再編が完了すると回線交換方式のデータ通信サービスは利用できなくなる。KDDIでは、具体的な日時は今後発表する予定、再編完了までにサービスを終了すると案内している。
 なお、KDDIによると、回線交換方式のデータ通信サービスに対応した端末の加入者数は2010年6月末時点で1400件。このうち多くは法人契約のユーザーになるという。



「モバツイ」の想創社、取締役にペパボ家入氏や金剛地武志氏ら
 携帯電話向けTwitterクライアントサービス「モバツイ」を運営する株式会社想創社は、9月1日に社名を「株式会社マインドスコープ」に変更するとともに、取締役に株式会社paperboy&co.の創業者である家入一真氏ら3人を迎え入れることを明らかにした。
 代表取締役社長兼CTOには引き続き藤川真一氏が務め、今後は携帯電話向けのモバツイ拡充と、バナー広告売り上げの拡大に向けて開発陣頭指揮を執るという。マインドスコープという社名は、「ネット上の人々を覗くための入り口」という意味。
 取締役には、藤川氏のかつての上司でもあるという家入氏に加えて、「シーマン」の開発者としても知られるゲームクリエイターの斎藤由多加氏、タレントの金剛地武志氏の3人が就任する。
 家入氏は宣伝戦略およびコーポレートデザイン、インターフェイスを含むトータルデザイン、斎藤はスマートフォン向けインターフェイスやコンテンツなど、金剛地氏はモバツイのエンターテインメント性向上の象徴および広報担当役員として活躍してもらう考え。
 想創社は、モバツイを開発した藤川氏が2010年1月に創業。2010年7月には、「モバツイランド」という名称でコンテンツ配信を実験的に開始した。モバツイの登録会員は86万人以上、バナー広告の導入実績は30社以上という。
 今回の組織変更の背景について藤川氏は、「モバツイをもっともっとおもしろくしたい」という希望があったと説明。新任取締役が持つノウハウやアイデア、開発物を取り入れることで、「劇的におもしろくて使いやすいサービスを実現したい」としている。
 想創社では、モバツイのユーザーからの意見を聞き、将来のモバツイの仕様を決めるという「モバツイ2.0キャンペーン」を開催する。8月には特設サイトを開設し、藤川氏自らも意見を交換していくという。
 9月にはTwitterアカウントを含む連絡先を検索できる「モバツイ電話帳(仮)」を開始する。藤川氏によれば「ネット上の104番号案内を目指した」サービスで、開始時点でモバツイに登録されているTwitterユーザー情報が「モバツイ電話帳」移行される。検索時に表示される情報は、本人が設定できる。



ゲーム介した友人づくり 日本から世界へ 守安功・DeNA取締役
 米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などスマートフォン向けのアプリ開発に参入する動きが相次いでいる。開発講座が人気を集め、家電向けの組み込みソフトを開発していた企業がアプリ開発へと転身を図る。
 アイデアひとつで誰もが平等に世界に飛び出せる「ソーシャル」の時代。初心者でもダウンロードランキング1位に輝くことができる。
 加速するアプリ開発競争を受けて、今、ネットの世界では優良ソフト技術の囲い込み競争が激しさを増している。
 
 瞬時に情報を共有できるソーシャルメディアの世界。ゲームなどのコンテンツが人と人とのつながりを支える磁力のような存在になり始めている。新たなネット空間の普及に合わせてゲームなどのコンテンツはどう変わるのか。携帯電話向けSNS(交流サイト)「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の守安功取締役に聞いた。
 ――ソーシャルメディアの普及はゲームなどのコンテンツにどんな影響を及ぼすのか。
 「人がたくさん集まっているからこそ会話が生まれ、新しいサービスが生まれる。ソーシャルが加わることでインターネットのサービスも変わる。そうした空間を作り上げるために、人と人が交流するソーシャルゲームという新しいジャンルが生まれた」
 ――既存の家庭用ゲーム市場への影響は。
 「ゲーム産業も変革期を迎えている。これまでは家庭用ゲーム機向けのパッケージ型ゲームとゲーム好きを対象にしたパソコン向けのゲームがあった。その二つの中間に登場したのが、簡単に遊べるカジュアルなソーシャルゲームだ」
 「利用料が無料でアイテムを購入して自分好みのキャラクターを作っていくことを友人と競い合うといった手法が、ゲームを今までしなかった層に受け入れられた。当社でも会員数が2000万人規模になっている」
 ――無料ゲームをベースにどう収益モデルを築いているのか。
 「例えば月100万人利用するゲームの場合、その内の10%がアイテムを平均で月1000円購入すれば1億円の売り上げになる」
 ――ゲームを利用する層に変化があるのか。
 「モバゲーの利用者は10代、20代が多く40代以上は少ない。若年層が多いのは国内ではソーシャルゲームは携帯電話での利用が多いためだろう」
 「だが、(サービス開始から3年以上たった)米フェースブックでは、ソーシャルゲームの利用者が40代が主流になっている。日本でも今後、パソコンなど様々なデバイスに広がることで、ソーシャルゲームを利用する年齢層も高まっていくだろう」
 ――開発の手法に変化はあるのか。
 「従来は5000円、6000円程度のパッケージを売り切るモデル。だが、ソーシャルゲームの利用料は無料。ユーザーを飽きさせないために、絶えずゲームのクオリティーやリピート率を高めなければならない」
 「そのため、開発のスピードを高めることが必要だ。今までのように数年かけているのではなく、数カ月で制作しなければならない。例えば、当社の宝物探しゲーム『怪盗ロワイヤル』は2人で制作した」
 ――ゲーム業界に必要な人材も変わるのか。
 「今までのゲーム業界は企画、グラフィックなど分業していたが、我々はそれだけでなくマーケティング、販売も含め総合的な視野をもった人材が必要だと考えている」
 ――フェースブックなど様々なSNSと競合することになるのか
 「フェースブックや国内のミクシィは実名で友人と交流することが主体。我々はアバター(ネット上の分身)を活用したバーチャルな交流が中心だ。つまりゲーム内で知り合った友人。こういったソーシャル性は海外ではなく、日本の特有のものだ。海外でも新しいソーシャルの形として海外でも勝負していける要素だと考える」



ツタヤのネット宅配、会員100万人突破 2年で倍増
 映像音楽ソフトのレンタル事業「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは30日、ネット宅配レンタルサービス「ツタヤディスカス」の会員が100万人を突破したと発表した。昨年10月に携帯電話からの会員登録を可能にしたことで大幅に伸びた。
 ツタヤディスカスは、ネットを通じて指定したソフトを送料無料で自宅に取り寄せ、郵便ポストから返却できるサービスで、2002年にスタート。ほぼ全国で翌日配送される利便性などから、08年に会員数50万人を達成した。
 現在、携帯電話からの入会申し込みが全体の約3割を占めるという。携帯電話での料金の支払いもできるなど、さらに便利になったことから、約2年で会員数を倍増させた。



エコカー補助金、9月末終了を決定 直嶋経産相「対策必要ない」
 直嶋正行経済産業相は30日午前の閣議後の記者会見で、環境対応車への買い替え・購入に対するエコカー補助金制度について、当初の予定どおり9月末で終了することを正式決定したと明らかにした。
 直嶋経産相は、景気動向を注視する必要があるとして、延長の可能性に含みをもたせてきた。打ち切りについて、「9月からさらに引き続いて何らかの対策が必要という状況ではない」と説明した。
 これに合わせ、経産省は同日、エコカー補助金の申請期限を10月29日とすると発表した。
 エコカー補助金をめぐっては、小沢鋭仁環境相が「経済状況から延長は必要」と発言していたほか、日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)も、延長に期待を示していた。



記者の目◇ソニーが決算短信に込めたメッセージ
 ソニーが29日発表した2010年4~6月期の連結決算は、営業損益が670億円の黒字(前年同期は257億円の赤字)だった。期初の会社予想(200億~300億円の営業赤字)や直近の市場予想の平均(ゼロ~100億円の営業黒字)から考えれば、想定以上の好決算。リーマン・ショック前の、今より円安だった08年4~6月期(営業利益734億円)に近い水準に回復し、評価の声が聞かれる。そして、今回の決算におけるもう一つのサプライズが11年3月期通期の見通しを上方修正したことだ。
 「先行きにはアップサイドもあればリスク要因も考えなければいけないが、この勢いを伸ばしていこうというのが我々の考え方だ」。通期の見通しを上方修正した理由について、この日が記者会見デビューとなった加藤優・最高財務責任者(CFO)は強調した。
 新しい通期の営業利益見通しは前期比5.7倍の1800億円。好調だった4~6月期を反映させたうえで、7月以降の対ユーロの想定レートを円高に変更したことによる目減り分を差し引いた。上方修正額はわずか200億円。従来予想からの上乗せは修正ルールで定められた3割に達せず、世界景気の動向が不透明な中であえて予想を変える必要はない。そもそもソニーは大半の営業利益を10~12月期に稼ぐ。まだ4~6月期が終わっただけで、先行きを見通すのは簡単でない。それでも上方修正したのは、成長を再び取り戻そうというソニーのメッセージだ。
 4~6月期の営業損益が計画より約900億円上ぶれしたうち、最も貢献したのはエレクトロニクス分野だ。液晶テレビやイメージセンサーのほか、ゲーム機、パソコンが好調だった。長く不振が続いていた液晶テレビ、ゲーム、携帯電話の3事業はいずれも営業黒字に転換。ゲームは3四半期連続で、携帯電話は2四半期連続で営業黒字となり、ようやく安定してきた。
 最大の課題だった液晶テレビ事業も大幅に改善した。05年3月期から6年連続で営業赤字を計上していたが、4~6月期は30億円の営業黒字(前年同期は80億円の営業赤字)に浮上。第1四半期の営業黒字は8年ぶりだ。販売台数が6割増の510万台とLG電子に並ぶ水準となり、懸念されていた年間の販売計画(前期比6割増の2500万台)の達成も不可能ではなくなってきた。昨年は世界シェアが9.6%と大きく落としたが、約2割のシェアを持つサムスン電子にもう一度挑戦する余地が出てきた。
 前期は3300億円のコスト削減や5000億円弱の材料費削減など構造改革に取り組んできたが、商品の競争激化や価格下落、円高でその効果が吹き飛んでしまった。対して今回の四半期決算では、加藤CFOからは多くの前向きな言葉が発せられた。「今期はテレビなどで良い商品がそろってきた」「エレクトロニクス分野の4~6月期の売上高は新興国で40%伸びている」「これからは成長に向けて投資をしたい」――。
 もっとも、懸念材料は数多い。液晶テレビは高付加価値商品向けの液晶パネルやLED(発光ダイオード)の調達が十分でなく、一部で機会損失が出ている。テレビ事業の営業黒字は販売促進費の抑制や期ずれの影響もあり、手放しでは喜べない。ゲームは市場で減損リスクを懸念する声がなお根強い。携帯電話は平均単価を上げるのに成功したが、販売台数シェアは4%にまで低下した。「構造改革はまだ続けるべきだ」(外資系証券)との声も聞かれる。米アップルなどは次々と競争力のある商品やサービスを投入しており、競争条件がどんどん変わっている。
 ソニーの株価は3月に年初来高値(3645円)を付けたが、その後約3割下落。PBR(株価純資産倍率)は1倍割れの指定席に戻ってしまった。市場では「過去に何度も業績を下方修正したことで、ソニー神話のプレミアムがはげ落ちた」「最近はインデックス投資の投資家が中心で、じっくり個別材料や投資尺度をみて売買する投資家が少なくなった」との声も聞かれる。
 決算短信で示した業績予想の上方修正に込めたメッセージを具現化し、投資家のソニーに対する関心を呼び戻すことができるのか。4~6月期の好調を一過性に終わらせず、持続できるだけの経営力が問われている。
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(#゜Д゜)/新聞

電波割り当て競売浮上 次世代通信など対象
 総務省は電波の割り当てを巡り、オークション(競売)方式を解禁する検討に入る。30日に同省で開く電波利用料に関する調査会で方向性を示す。次世代の高速通信など新サービス導入時を念頭に置いており、公開入札で最高額を提示した事業者に免許を与える。国の裁量で電波を割り当てる現状を改め、透明性を高めるのが狙いだ。
 現状は有限資源である電波について国が管理し、利用を希望する事業者を総務省が審査。これを通った事業者に同省が無償で割り当てている。同省はこれまで競売方式だと落札額が高騰し、利用者に負担が及びかねないとして消極的だったが、調査会では「選択肢から排除しない」などとして事実上、方針を転換する姿勢を示す見通しだ。
 背景にあるのが政権交代。民主党は昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で同方式導入の方針を掲げた。原口一博総務相もかねて「限りある電波を有効利用し、国民にしっかりと還元していく責任は重い」と述べてきた。競売方式にすれば国が収入を得られることもあり、財政面からも後押しする声がある。
 競売の対象とする電波など詳細については今後議論する。将来、新しい無線通信サービスなどを導入する際に競売を採用する案などが出ている。
 現行の携帯電話の周波数を広げる場合では、割り当て方式で獲得した既存業者と競売方式で参入する業者との間の不公平が表面化しかねないと判断。当面は競売方式の対象にしない方針だ。
 同方式の本格実施には電波法改正も必要。衆参ねじれ国会の下では実現は困難との見方もある。自民党政権時代は競売方式は実現しなかった。
 競売方式に対しては「経営資本が潤沢でない企業の新規参入の障壁となる」(ソフトバンクモバイル)などの声もある。海外ではIT(情報技術)バブルなどと軌を一にして落札額が急騰、負担に耐えられずに事業を断念した例もあった。
 経済協力開発機構(OECD)加盟国では3分の2以上がオークションを導入済み。米国では1994年の開始から2009年3月までに携帯電話などで70回以上を実施、合計落札額は8兆4千億円に達した。



孫正義社長の後継者求む! ソフトバンクアカデミアが開講
 7月28日午後6時、東京・汐留のソフトバンク本社で、孫正義社長の後継者発掘・育成を目的にした「ソフトバンクアカデミア」の第1回講義が開かれた。
 現在52歳の孫社長は60代のうちに後継者に社長の座を譲ることを明言している。今回の講座は来るべき10数年後に備え、その候補を選抜、育成するためのものだ。この日集まったのは、グループ会社を含め社内から志願した約1000名。20~30代の若手社員が半数を占めた。
 「皆さんにこれから20~30年間伝授していくことを1ページで表すとこの25字になる」。自ら教壇に立った孫社長は「我こそは」と野心と熱意でぎらつく聴衆に向け、まずこの日のテーマを掲げた。
 道天地将法
 頂情略七闘
 一流攻守群
 智信仁勇厳
 風林火山海
 これは、孫社長がかねてより「孫の二乗の法則」と呼んでいる経営哲学。古代中国の思想家、孫子の兵法に自身の独自の解釈を付け加えたものだ。
 「この25字を片時も忘れたことはない。新しい事業をやるとき、試練にぶつかったとき、新しいビジョンを立てるとき、つねにこの25字にマッチしているかを自問自答しながらやってきた」。いわば、孫社長の経営思想のエッセンスが凝縮された25字だ。約2時間半にわたる講義では、この1字1字について、自身の解釈をかみくだいて解説してみせた。
 ここでは、そのなかから一部をかいつまんで紹介しよう。
 この日、孫社長が再三にわたって強調したのが、撤退する勇気の重要性だ。孫社長は「七」の項で、事業進出は七割方成功するという公算が立ったタイミングですべしという持論を展開した。3割以上のリスクを冒さない、また進出後も3割以上組織を痛めないうちに撤退するという考えだ。
 「五分五分の勝率で勝負を仕掛けるのはバカがやることだ。武田勝頼になる。『このまま行くと負けるぞ』という状況で、突っ込んで負けてしまう。退却ができないヤツとは、クルマで言えば、ブレーキのできないクルマ。私が勝頼の状況なら、恥も外聞もなく逃げる。勝頼は3割失った時点で、『これで退いたらもったいない。取り戻さないと』と、意地になってしまったのだろう。これはバカの典型だ。意地で会社をやると、会社をつぶすことになる。株式投資でもそう。失敗するのは撤退の時機を見きわめられなかったときだ」
 孫社長は「退却は10倍の勇気がいる」とも強調した。
 「僕は過去おびただしい数の退却をしてきた。(退くとなったら)僕は早いよ。メディアにめちゃくちゃに書かれます。恥ずかしい思いをする。これに耐える勇気を身に付けないと、リーダーにはなれない。うまく行っているときはいい。皆が割れ先にと、飛び出していくから。だが、退却の決断はトップしかできない」
 「流」の項では、避けなくてはならない失敗のパターンについて触れた。それは流れに逆らった経営のあり方だ。斜陽産業に自ら進出することは決してしてはいけないと孫社長は言う。次の流れを読んで、仕掛けて待つ。これが経営の本流だという。
 「かつて富士通がパソコンのOS(基本ソフト)にマイクロソフトを選ばず、(80年前半までのパソコン黎明期に主流だった)CP/Mを選んだことがあった。そのとき僕は役員にバカだと言いました。そうしたら、『孫さん、あなた技術のことはわからないだろうけど、CP/Mはここがこう優れていてね……』と枝葉末節のことを説明する。しかし、そんなものはすぐに追いつかれる。事業家は、時代の流れの王道を進まければ失格だ。通信方式でも同じ。CDMA2000を選んだ事業者(au)がいる。悲しいばかりの失敗。(高速通信で)一時的に先行する、成功する……ただそれだけのために、最後までメインになれないところを選んだ。沈みゆくもの、枝葉になるものを選んではいけない」
 ハイテンションの孫社長は2時間半の講義中、立ちっぱなし。毎週水曜日に開催していくこのアカデミアでは、今後入校生各自にプレゼンテーションを行わせ、互いの採点をさせる予定だ。
 最初の課題は「社長在任の10年で、どうやって時価総額を5倍にするか」に決まった。どの事業領域で、どんな方法で、資金調達をどう工面して……これらを具体的に論じさせる。下位10%を半年ごとに入れ替える形で選考を進め、10数年後までに後継者を選ぶ壮大な計画だ。年商3兆円近い企業の社長候補を半ば公開の形で選考していくという、ソフトバンクの新たな試み。最終的にどんな人物が選ばれることになるのか。今から楽しみだ。



東芝の日野工場閉鎖、市が影響を調査 商業も含め対策検討
 富士通との携帯電話事業の統合に伴い、東芝が日野工場(東京都日野市)を来年3月末に閉鎖すると発表したことで、日野市は対応策の検討を始めた。今後、取引のある地元の中小企業への影響を調査する。関係会社を含めると従業員1100人の転勤が必要になるとあって、商業も含めた対策を検討する。工場跡地の利用方法など東芝との交渉も必要になる。
 東芝日野工場は1964年に設立。携帯電話機の開発や設計、品質保証、アフターサービスなどを手がけている。従業員の一部は富士通と東芝が共同出資する新会社(川崎市)をはじめ富士通グループへ出向、転籍する。残りは東芝の他の事業所に異動となる。
 日野市にとって大規模な工場の閉鎖は、86年に自動車部品メーカー、千代田自動車工業(現ソーシン)が埼玉県入間市に移転して以来。日野市によると、移転する人は千代田自動車工業の場合、数百人程度だったが、今回はけた違いに多い。日野市在住者は東芝本体だけで140人おり、日野市外からの通勤者も含め、地元商業に与える影響は大きい。
 工場周辺で日野工場と取引している中小企業は数社あり、日野市は今後こうした企業の売り上げへの影響などを調べる。
 ただ、日野工場からの法人税収は2009年度に300万円で、市財政へ影響は軽微にとどまる見通しだ。
 今後は約9万7580平方メートルという広大な敷地の活用が焦点となるが、東芝は「売却するか再利用するか、まだ何も決めていない」(広報室)としている。



楽天、生保に本格参入 アイリオ生命への出資引き上げ
 楽天はアイリオ生命保険と資本・業務提携を結び、生保事業に参入する。30日に発表する。楽天がアイリオの筆頭株主のエキスパートグループホールディングス(東京・中央)から保有株式の一部を取得。出資比率を33.89%に引き上げ、役員も派遣する。楽天の生保事業参入で、ネットを通じた生保販売が広がる可能性がある。
 アイリオは生保に近い共済事業から2008年に生保会社に移行して発足。医療保険や生活習慣病保険などを取り扱っている。資本提携を受けて、両社はインターネットで簡単に契約手続きができるネット専用の生命保険を開発し、ホームページを通じて販売する。
 また、楽天が傘下の金融事業などの顧客にアイリオの保険商品を紹介。契約を希望する顧客をアイリオの販売代理店約7700店に紹介するなどの相乗効果も見込む。
 株式の譲渡価格は20億円前後とみられる。楽天は子会社が運営するファンドを通じてアイリオにすでに20億円を出資。発行済み株式の16.95%を保有している。出資比率の引き上げに伴い、楽天はアイリオに2人の役員を派遣し、経営に関与する。エキスパートグループは50%超の出資比率を維持する。




「iPad、iPhoneの最強アプリ」と孫社長 ソフトバンクとZynga合弁、年内にサービス開始
 「Zyngaのゲームは、iPhoneとiPadの最強アプリになるのでは」――ソフトバンクの孫正義社長は7月29日の決算会見で、ソーシャルゲーム大手・米Zynga Game Networkと合弁新会社を設立することに触れ、期待を述べた。
 新会社は「ジンガジャパン」という名称。日本のソーシャルゲームプラットフォーム向けに、PC/携帯電話向けゲームを年内に投入する計画だ。プラットフォームが対応次第、iPhone/iPadゲームも提供したい考えだ。
 Zyngaは2007年の創業以来、急成長を続け、世界最大級のソーシャルアプリプロバイダー(SAP)となっている。Facebook(世界5億ユーザー)向けアプリで人気上位を独占。月間アクティブユーザー数は2億3000万人に上り、一番人気の農場ゲーム「FarmVille」は6200万ユーザーが利用しているという。
 ソフトバンクはZyngaに1億5000万ドル(約137億円)を出資。ジンガジャパンは、両社の折半出資となる。新会社のCEOには、Zyngaのロバート・ゴールドバーグ氏が就任する予定だ。
 年内に、国内の複数のソーシャルアプリプラットフォームにソーシャルゲームを投入するとしており、mixiやGREE、モバゲータウン(Yahoo!モバゲー)などに、PC/携帯電話向けゲームを提供していくとみられる。「iPhone/iPadにも対応していきたい」としており、プラットフォームの対応にあわせてiPhone/iPadゲームを投入していきたい考えだ。
 ソフトバンクは米国のソーシャルゲーム大手RockYouにも出資。RockYouと合弁で昨年2月、日本法人ロックユーアジアを設立し、日本や韓国、中国向けにソーシャルゲームを提供している。



統合や買収遅れる日本勢、収益力強化急ぐ
 電機業界で再編が止まらない。パナソニックや日立製作所は戦略子会社の完全子会社化に動き、経営資源を中核事業に集め始めた。携帯電話機や半導体でもライバル同士が事業統合に踏み切る。日本の電機産業が国際競争力を失い始めて十数年。過剰なプレーヤーの解消など、失地回復に向けた基盤固めは待ったなしだ。
 再編の一つの潮流がグループ企業の完全子会社化だ。ちょうど1年前、日立製作所は「脱・総合電機」を掲げ、日立プラントテクノロジーなど上場5社の完全子会社化を決定。2557億円を投じて日立本体に取り込み、中核事業の社会インフラや情報通信分野などを強化した。
 富士通と東芝は29日、携帯電話事業を10月に統合することで最終合意した。新会社は国内出荷シェアでシャープに次ぐ2位に浮上、海外市場開拓も狙う。世界3位の半導体メーカーとして4月に発足したルネサスエレクトロニクスは同日、従業員4000人の削減を発表した。収益力強化に向け構造改革を急ぐ。いずれもグローバルな競争を視野に入れた取り組みだ。
 海外では、選択と集中による経営体質の強化で先行してきた欧米、アジアの企業が立ちはだかる。
 欧州を代表する電機メーカー、独シーメンスは発電システムや医療機器などを主力にするが「過去10年間、非中核事業の売却と中核事業の買収を年間50件ペースで繰り返し収益力を強化」(ATカーニーの竹村文伯氏)してきた。09年度の最終損益は、シーメンスが約2800億円の黒字。これに対し、日立は1069億円、東芝も197億円のそれぞれ赤字だった。
 ただ、ここ数年のリストラ効果で国内各社の資金余力は高まっており、M&A(合併・買収)をテコに巻き返しを狙う環境は整いつつある。半導体から重電まで幅広い事業領域で、グローバル競争に耐えうる経営基盤をつくる――そんな再編を模索する経営者が確実に増えている。



経営トーク◇ソニー決算会見速報、加藤優CFO「業績改善のトレンド変わらず」
 ソニーが29日発表した2010年4~6月期の連結決算(米国会計基準)は最終損益が257億円の黒字(前年同期は370億円の赤字)だった。加藤優・最高財務責任者(CFO)は記者会見で、「液晶テレビが国内外で販売が好調だったうえ、事業構造改革の成果も利益を押し上げた。業績改善トレンドは変わっていない」と強調。同時に11年3月期の連結純利益が600億円になる見通しだと発表した。従来見通しを100億円上回る。主なやり取りは以下の通り。
 ――欧州経済の見通しは。
 「ギリシャ危機の発生後、経済が停滞するのではないかという見方が多い。ソニーの売上高のうち25%程度を欧州が占めるが、4~6月期は商品によっては想定を上回る販売となった。足元では(欧州は)不安材料ではない。ただ、先行きは予断を許さない状況ではある。強い商品を出すことが重要で、そうすればマーケットのなかで勝ち残れると思う」
 ――通期の設備投資額は2300億円と100億円上乗せしました。
 「主にデジカメの心臓部分のイメージセンサーの需要が増えており、半導体分野で追加投資をする。外販もしており、引き合いが強い」
 ――パナソニックが三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化します。ライバルの動きをどう見ますか。
 「他社の動きについての言及ははばかられる。業界は変化が激しい。ソニーは映画、音楽、エレクトロニクス、金融など多様な事業を持つ。お互いが連携を取りながら事業を進める。(企業や事業を)売り買いするのは選択としてあるが、内部で連携を取りながら事業を展開する」
 ――通期見通しを上方修正した理由は。
 「4~6月期は(想定より)上振れした。通期では連結営業利益が従来予想を200億円上回り1800億円になる見通し。先行きは慎重に見ているが、強い商品力でがんばるしかない。為替の影響を除くと(液晶テレビなど)コンスーマー・プロフェッショナル&デバイス分野が上振れするかという感じだ。プレイステーションも堅調で、ネットワークプロダクツ&サービス分野も堅調だ」
 ――第1四半期の結果と通期の上方修正幅を考慮すると、第2四半期以降は当初見込みより業績が悪くなるという想定になります。
 「為替の影響が大きい。ドルの想定レートは変えていないが、ユーロは従来の1ユーロ=125円から110円と円高に修正した。1ユーロ1円動くと、損益に約70億円の影響が出る。大まかにいって、年間通して為替の影響は約900億円程度と見ている。第2四半期から第4四半期は(為替で)800億円強影響を受けると見ている。4~6月期は想定より(営業利益で)900億円の業績上振れがあるのにもかかわらず、年間で200億円にとどまるのは、大半は為替の影響だ。為替の影響を除くと、(環境は)だいたいは想定通り」
 ――テレビ好調の理由は。
 「良い商品を出している。昨年は少し他社に後れを取った。今年はデザインも変え、発光ダイオード(LED)バックライトを使った商品や3D(3次元)テレビも投入した。材料費や固定費の削減など継続したコスト対策の効果が出ている。4~6月期はテレビの供給の方が逼迫(ひっぱく)していた。パネルの供給がタイトになった面もある。販売面では日本は増加、北米は見通しより下回った。それ以外の地域は予定通りだった」
 ――テレビは年間で2500万台を計画していますが上方修正の可能性は。エレキ分野の業績も回復の兆しがありますが、エレキの拡大策は。
 「2500万台は昨年(の販売台数)1500万台と比較すると6割を超えるアグレッシブな目標だ。2500万台を掲げたのは、失ったシェアをもとのレベルまで盛り返すためだ。まずはこの目標をきっちり達成する。そのためテレビのラインアップをそろえた。年末商戦をすぎると、来年には新モデルが出てくる。そこで手応えを確かめたい。目標を上げる見通しは今のところはない」
 「成長投資に関しては、リーマン・ショックもあり過去数年は収益に結びつかない時期があった。まずは赤字部門を黒字に転換することだ。テレビ、ゲーム関連を黒字化する。昨年後半から良い商品も投入してきており、(業績拡大への)モメンタムを作ってきた。前期は資金・財務面で緊張感のある時期だった。キャッシュフローも改善しており、少し余裕が生まれ、攻めに入れるようになった。これからは成長に向けて投資をしたい。経営方針説明会で説明したように、3D関連を幅広に展開したい。テレビやカメラ、ゲーム、劇場用ディスプレーなどを持っており、3Dの収益源だ。ネット社会に応じたハードやソフト、サービスを拡充し投資も進めたい」
 ――電子書籍端末の需要拡大をどうみますか。
 「電子書籍はiPad(アイパッド)が発売されて、マーケットが広がっている。競争をどう勝ち抜くか。いろいろな見方があるが、多機能な携帯タブレットが伸びるのではないか。読みやすい端末やコンテンツの豊富さなどニーズは多様。読みやすさに関しては、(ソニーは)使いやすさなど特徴のある商品を出せるのではないか。ニュースを素早く見るのと、読み物をじっくり読むのとでは状況が違う。ニーズに合わせて商品やサービスを出していく」
 ――今期も資産売却を続けるとのことでした。方向性や業績への影響は。
 「工場の数は1年前は57程度あったが、現在は42まで減らす意向を示している。今後も売却する方向だが、これまでと同じペースというわけにはいかない。どことは具体的には言えない」
 ――年末にエコポイントが終わります。来年には地デジが始まります。この影響をどう見ますか。
 「液晶テレビの販売は、北米が2割弱、欧州が3割半ば、日本その他が約5割を占める。日本の市場は4~6月は想定より若干上にいっている。エコポイントがなくなると影響は出てくるだろうが、補って余るだけの良い商品を出す」
 ――リチウムイオン電池で、自動車事業への参入計画は。
 「検討中だ。車載バッテリーは遅れているという指摘もあるが、新しい産業領域の立ち上がりの時期にある。それなりに特徴のある技術や商品をそろえたい。来年など短期ではなく、5年、10年でソニーらしいマーケットの入り方を検討している」
 ――エレキ分野は新興国でどのくらい伸びていますか。
 「エレクトロニクス分野では新興国で前年同期比40%伸びている」
 ――ソフトとハードの融合を打ち出しています。その戦略が業績に反映されていますか。
 「今後の戦略として、ハードやコンテンツをつなげて魅力的な商品やサービスを出すことだ。まだ道半ば。たとえば、コンテンツを1回買えば、家のテレビだけでなく携帯端末でも楽しめるなどの仕組みを作るというのが目標だ。個別の商品はあるが、全体としてはできあがっていない。ネットワークサービス関連はここ数年、売り上げが上がってきている。前期はこうしたネットワーク関連の売上高は400億円弱までになっている。毎年成長を続けている。今期は倍になると見ている。ただ、収益に大きく貢献しているとはいえず、来期以降に成果が出てくると見ている」



(日経社説)「100メートル走の経営」に挑むパナソニック
 パナソニックが、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社にする。「SANYO」ブランドは原則なくなり、「Panasonic」に一本化される。3社合計で売上高が9兆円近くにのぼるだけに、経営展開は日本の産業を占う試金石になる。
 完全子会社化の狙いは2つだ。ひとつは意思決定のスピードを上げ、設備投資などで韓国や中国のメーカーに負けない体制をつくること。「世界の同業他社は100メートル競走の速さで変革している。我々は中距離走のスピードだったのではないか」(大坪文雄パナソニック社長)との危機感が背景にある。
 もうひとつは消費者の要望にまるごと応えられる製品やサービスのラインアップ作りだ。同社はそれを「家まるごと」戦略と呼ぶ。
 例えば、各社のテレビ、音響機器や照明を単品で売れば、厳しい価格競争に陥る。だが設計や施工、保守点検をまとめて売り込めば、消費者にとっても便利だし、グループ全体の相乗効果も高まる。
 「家やオフィスビルの内部を一括して引き受ける、一種のソリューション(問題解決型)事業」を進めるには、意思決定をひとつにする必要があったわけだ。「2018年に電機業界で売り上げ世界一になる」との目標を達成できるかどうかは、内外で相乗効果を発揮できるかどうかにかかってくる。
 日本は市場規模の割に家電や自動車などの社数が多く、メーカーは国内勢同士の競争で体力を消耗しているといわれてきた。この点で、パナソニック以外の電機メーカーも、生き残りを懸け事業の選択と集中に取り組みだしたことが注目される。
 日立製作所は三菱重工業と水力発電機で提携、東芝は原子力発電と半導体に投資を集中し、ソニーは映画や音楽などのコンテンツ事業に独自性を打ち出そうとしている。
 そうした経営の変革を通じ、世界の標準になるような製品やサービスを次々と生み出していくことが重要だ。最近の電機の成長分野はスマートフォンや電子書籍、インターネット経由でソフト機能を提供するクラウドコンピューティングなどだが、日本にはそうした領域で世界の主役企業がない。
 原子力発電、リチウムイオン電池、太陽光パネルなど、日本にも先端分野はある。問題は世界でどう稼ぐかの経営モデルだ。大きな見取り図を描き、大胆な意思決定で新技術を生かし、新興市場を切り開く。どのメーカーもそんな気概を持ち、企業変革に取り組んでほしい。
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((((;゜Д゜)))新聞

ドコモ、LTEのサービス名は「Xi(クロッシィ)」
 NTTドコモは、2010年12月から開始予定のLTEサービスのブランド名「Xi(クロッシィ)」を発表した。
 「Xi」は、ドコモが展開するLTEのサービスブランド名称。3Gにおける「FOMA」と同じ位置づけになるもの。「X」は、「人、物、情報のつながり」や「無限の可能性」と意味し、「i」は「イノベーション」や「私」を意味している。
 サービスロゴは「Xi」を複合的にデザインしたもので、つながりを直感的に感じさせるとともに、そこから生まれる無限(∞:インフィニティ)の可能性を表現したという。
 ドコモでは、Xiのサービス開始当初の通信速度を下り最大75Mbpsとしている。ただしこれは一部の主要屋内施設のみで、ほかのエリアは下り最大37.5Mbpsとなる。東名阪からサービスが開始され、都市部へとエリア拡大が図られる予定。対応端末や料金プランについては今後発表される。



米ソーシャルゲーム大手Zynga、日本参入 ソフトバンクと合弁で
 ソフトバンクと、米国の大手ソーシャルゲームメーカーZynga Game Networkは7月29日、日本でソーシャルゲーム事業を展開する合弁会社「ジンガジャパン」を設立することで合意したと発表した。
 Zyngaは2007年に創業したベンチャー企業で、Facebook向けアプリで急成長。今年5月時点で月間1億3000万ユーザーをかかえている。ソフトバンクはすでに、Zyngaに1億5000万ドル(約137億円)を出資している。
 Zyngaは合弁新会社を通じて日本市場に参入。新会社は「ソフトバンクの先進的なモバイル・Web技術を活用することで、最高のソーシャルゲームを提供する」としている。
 ソフトバンクの孫正義社長は「Zyngaはソーシャルゲーム界のリーディングカンパニー。ジンガとパートナーシップを組み、彼らのゲームを日本に紹介できることを大変嬉しく思う」とコメント。
 Zyngaのマーク・ピンクスCEOは「ソフトバンクとパートナーシップを組むことで、Zyngaの提供するソーシャルゲームを日本で展開し、日本市場から新たな洞察や視点を得られることを、大変楽しみにしています」とコメントしている。



ソフトバンク社長、グーグルとの提携「ヤフーのサービスに1番いい」
 ソフトバンクの孫正義社長は29日の決算発表記者会見で、傘下の日本のヤフーが米グーグルとの提携を決めたことについて「マイクロソフト(MS)の検索サービス『ビング』の日本語版はまだ十分に準備ができていなかった」と指摘した。その上で「グーグルの検索サービスには定評があり、日本のヤフーのサービスを提供するには(グーグルとの提携が)1番よいと判断した」と述べた。



任天堂4~6月期、最終赤字252億円
 ゲーム機不振 任天堂が29日発表した2010年4~6月期の連結決算は、最終損益が252億円の赤字(前年同期は423億円の黒字)だった。ゲーム機の価格下落や円高進行が収益を押し下げた。為替差損が705億円に膨らんだことが響いた。
 売上高は前年同期比26%減の1886億円。新作ソフトウエアの発売が少なかったことのほか、家庭用ゲーム機「Wii」や携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の販売が低迷した。経常損益は460億円の赤字(同648億円の黒字)となった。
 11年3月通期の連結業績は従来予想を変えなかった。今期に発売予定の3次元(3D)対応の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の収益効果などを見込んでいるという。



NTTドコモ社長、端末販売増「エクスペリアの寄与度大きい」
 NTTドコモの山田隆持社長は29日の決算発表記者会見で、4~6月期に端末販売台数が前年実績比でプラスに転じたことについて「スマートフォン(高機能携帯電話)の『エクスペリア』の寄与度が大きく、9割くらいある」と説明した。そのうえで「(iモードのアドレスなどを使える)SPモードの開始にあわせ、もう一度キャンペーンを打ちたい」と話し、新端末の販売に今後も注力する方針を示した。
 スマートフォンなどデータ端末の拡充で注目されるデータ通信料の先行き見通しについては「第4四半期くらいに音声通信収入を追い抜くのではないか」と述べた。



【インタビュー】カプコン・インタラクティブ社長 湯浅緑さん   
 ■北米でソーシャルゲーム事業拡大
 --北米市場を中心に携帯電話向けゲームソフト配信事業を手がけている
 「親会社のカプコンは北米でも家庭用ゲーム機向けソフトで多くのファンを持っているが、当社はあまり熱心にゲームをやらない“ライトユーザー”の開拓に力を入れている。そのため、提供ソフトも過去にカプコンが家庭用ゲーム機に投入したものの移植ではなく、人気テレビ番組や映画をベースとしたオリジナルソフトといった家族層を狙ったラインアップにしている。欧米でもスマートフォン(高機能携帯電話)の普及で携帯電話向けゲームソフト配信は利用者数を伸ばしており、とりわけ米アップルの『iPhone(アイフォーン)』は活況だ。アップルが4月に発売した多機能情報端末『iPad(アイパッド)』もライトユーザーのゲーム利用が見込まれ、専用ゲームの投入も考えていきたい」
 --携帯電話向けはソフト単価の安さがネックだ
 「1ドルを超えると一気にダウンロード件数が落ちるなど、確かに低価格圧力は厳しいものがある。そういったことから、無料で利用者を増やし、その後に課金をして元を取るといった工夫が欠かせない。クイズゲームでは新たな質問を有料でダウンロードするなど、長く遊んでもらうための仕組み作りが重要だ。また、携帯電話向けソフトは『一物一価』ではなく価格設定が自由にできるので、最も効果的な値段を探る努力も必要だ」
 --今後の成長が期待できるゲームジャンルは
 「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した交流機能を持つ『ソーシャルゲーム』だ。北米では2009年に市場として立ち上がったが、今後も拡大の一途をたどるのは間違いなく、当社も今秋をめどにソーシャルゲーム4作品を初投入する計画だ。ただ、米EA(エレクトロニック・アーツ)など大手ソフト会社の参入が進むなど競争環境は一気に激化している。ゲームの数も飽和に向かっており、1年半後をめどに淘汰(とうた)の動きが進むとみている。その中で埋没しないように利用者数を拡大させ、生き残りが可能な市場ポジションを確保することに全力を注ぐ」
 --携帯電話向けのソーシャルゲームは既存の家庭用ゲーム機の市場を圧迫することになるのか
 「携帯電話向けに飛びついているのは、従来ほとんどゲームをやっていなかった人が多く、家庭用ゲーム機との競合はほとんどないから、ゲーム市場のすそ野を広げているという側面が強い。ただ、家庭用ゲーム機でもカプコンの人気ソフト『モンスターハンター』は通信機能を使って友人と一緒に遊べることがヒット要因となるなど、家庭用でも交流機能をいかに取り込めるかがヒットの鍵になるとみている」



パナソニック、SANYOブランドを廃止 三洋電子会社化で
 パナソニックは29日、傘下の三洋電機の「SANYO」ブランドを原則として廃止し、「Panasonic」に統一すると発表した。ブランド同士の競合を防ぐほか、宣伝費など維持コストの削減にもつなげる。事業や地域によっては「SANYO」を継続する。



ソニー4~6月期、ゲーム・AV好調で黒字に転換 通期利益も上方修正
 ソニーが29日発表した2010年4~6月期連結決算は営業損益が670億円の黒字(前年同期は257億円の赤字)、最終損益は257億円の黒字(同371億円の赤字)となり、黒字転換を果たした。11年3月期の業績見通しも、営業利益を当初予想の1600億円から1800億円に上方修正した。
 液晶テレビやデジタルカメラなどのデジタル製品の販売台数が大きく伸びたほか、生産の効率化でコストが大幅に低下した。パソコンやゲームの売上げも増加した。



Amazon.comがFacebookと連携、Facebookプロフィール使った商品お勧め機能
 米Amazon.comが、米大手SNSのFacebookと連携したお勧め機能のテストを開始した。Facebookのプロフィール情報を基に、お勧め商品を提示する。
 この機能は、ユーザーのFacebookプロフィールの「好きなもの」欄に基づいてお勧めの商品を提示したり、Facebook上の友人の間で人気のある商品を表示する。また、誕生日の近いFacebook上の友人のAmazonのほしい物リストや、その友人のプロフィール内容に基づいたお勧めギフトも表示する。
 この機能を利用するには、Amazonのサイト上で、AmazonアカウントとFacebookアカウントをリンクさせる必要がある(米Amazonn用のアカウントが必要)。お勧めページから「Your Amazon Facebook Page」にアクセスして、お勧め情報を見ることができる。
 Amazonは、ユーザーのAmazonアカウント情報、Amazonでの購入履歴がFacebookに渡されることはないとしている。



NTTドコモの4~6月期、純利益4%減 営業費用が増加
 NTTドコモ(9437)が29日発表した2010年4~6月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比4%減の1421億円だった。割賦販売の導入など端末販売方法を見直したことに伴い、ポイント付与を強化したため営業費用が増加した。
 売上高に相当する営業収益は前年比ほぼ横ばいの1兆892億円だった。スマートフォン(高機能携帯電話)やパソコン向けのデータ通信端末が伸び、端末販売の純増数が2年半ぶりに前年同期を上回った。データ通信料は伸びたものの、低料金プランの導入で音声通信料が苦戦し、通信料収入は低迷が続いた。
 記者会見した山田隆持社長は「4~6月期業績は、当初計画に対し想定通りで進んでいる」と話した。
 11年3月期通期の見通しは変更しない。



記者の目◇コマツ 「世界在庫ゼロ」のすごみ
 コマツの業績が急回復している。28日に発表した2010年4~6月期の連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比6.5倍の540億円。中国に加え、インドネシアで鉱山や林業用の機械が想定以上に売れているためだ。一方で在庫を減らし資産効率も改善した。販売拡大局面での在庫圧縮は製品の供給不足に陥りそうなものだが、需要の伸びに応じて製品を供給できるのがコマツの強み。需要状況を慎重に見極めて効率経営を追求する。業績回復の背景には「世界在庫ゼロ」を掲げるすごみが見え隠れする。
 「あそこは在庫圧縮の反動があるから」。コマツの首脳は一足先に発表した米キャタピラーの決算内容を見てつぶやいた。連結営業利益は9億7700万ドル(約850億円)と前年同期の2.8倍。アジアや中南米などで販売を伸ばし、生産性が改善した。利益規模はコマツより6割大きいが、販売代理店が減らした在庫を元の水準に戻せば、メーカーの売り上げは実需以上に増えやすいという側面がある。対してコマツ。販売代理店が持つ流通在庫の把握を進め、極限までの効率化を目指す。世界の流通在庫「ゼロ」が目標で、実際に中国や日本では達成している。
 流通在庫を減らす効果は大きい。販売代理店は在庫を抱えすぎると値引き販売で在庫を減らそうとする。製品の販売価格が下がり、コマツの利益率低下にもつながる。生産計画も流通在庫を勘案しなければ立てにくい。
 在庫圧縮にはリスクもある。流通在庫は需要と供給の間でクッションの役目を果たす。需要の増加に供給能力が追いつかなければ、販売機会を逸する。アジアや中南米で激烈なシェア争いをする中、ある程度の流通在庫は生産の調整弁になる。
 つまり、流通在庫をゼロにすることは、需要に応じた柔軟な生産に自信が無ければできない芸当だ。コマツは頻繁に開く需要予測会議で、先々の販売台数を慎重に検討。その上で生産計画を決定する。事前の予測を超えて販売が伸びている中国市場で、コマツの流通在庫はゼロ。それでも「目立った機会損失は起きていない」と木下憲治最高財務責任者(CFO)は話す。
 「部品供給の遅れなどで、マーケットの伸びに生産が追いつかなかった」。27日に決算を発表した日立建機は収益を伸ばしきれなかった理由を説明した。同社の4~6月期の営業利益は43億円。24億円の赤字だった前年同期より大幅な改善ではあるが、業績拡大のカギを握る中国で市場シェアは低下したもようだ。営業利益率で比較するとコマツは12%、世界最大手の米キャタピラーは9%。日立建機は3%程度にとどまっており、収益力の差は開いている。
 コマツはアジア市場の好調を受けて2010年4~9月期(上期)の業績計画を上方修正した。しかし下期の業績計画は据え置いている。「下期の需要動向が見えない」(木下CFO)との理由だ。流通在庫を極限まで圧縮したコマツにとって、販売現場の実需は売上高の増減に直結する。市場動向が読めなければ業績予測も立てにくいだろう。
 現時点でインドネシアや中東、中南米での建機需要は期初想定を上回って推移している。中国市場は7月も販売が好調だった。市場の伸びが業績に直結するなら、コマツの下期業績は上ぶれすると考えた方が自然だろう。



【東京新聞社説】
BPの教訓 日本も脱石油を急げ
2010年7月29日
 メキシコ湾で原油流出事故を起こした英石油大手BPのトップが引責辞任する。生態系への打撃は計り知れない。深海油田の安全性強化や自然エネルギーへの転換など、日本も教訓を生かすときだ。
 BPの石油掘削装置爆発から三カ月。海底千五百メートルからの原油流出は米国史上最悪の被害を招き、漁業にも深刻な影響を及ぼしている。正常に機能しなかった暴噴防止装置など、安全を軽視した結果、四~六月期決算は一・五兆円もの赤字に転落した。ヘイワード最高経営責任者の引責辞任は当然といえる。
 原油流出を単なる事故として片づけてはならない。石油に依存してきた人類に重い教訓を残したと受けとめるべきだろう。具体的には、深海開発の信頼性をいかに保つか、今後も石油をエネルギーの主役に据えるべきか-などだ。
 かつて米エクソンモービルやBPなどのメジャー(国際石油資本)が世界をまたに手掛けてきた油田開発は、資源国自らが主導する時代に入り、安くて大量の原油を調達してきた「石油の時代」は幕が下ろされつつある。追いやられたメジャーの目線は深海へと移り、世界の原油生産量の三分の一を海底に頼るようになった。
 国際エネルギー機関は、事故の影響を織り込んで「二〇一五年の原油生産は日量八十万~九十万バレル減少」と予測する。安全基準がより厳しくなり、開発費がかさんで生産が制約されるとの分析だ。
 すでに米国のオバマ政権はメキシコ湾の鉱区入札中止などを決定し、「代替エネルギーの必要性が高まった」と電気自動車の普及促進など脱石油政策にも重点を置き始めた。欧州連合も海洋開発の認可を厳しくする方針という。
 日本はどう向き合うべきか。政府は海外油田の自主開発比率を、現在の16%から三〇年までに40%に引き上げる目標を掲げた。中国などの大量消費に目をやれば、もちろん安定確保は欠かせないが、日本のエネルギー供給に占める化石燃料の割合が83%に達している事実に目をそむけてはならない。
 風力発電などを積極導入しているドイツやフランスを上回り、「日本は環境先進国」と胸を張れなくなった。化石燃料に過度に頼らない均衡のとれたエネルギーの組み合わせこそが求められている。
 出遅れ感が否めないエネルギー転換を推し進め、二酸化炭素の排出を抑え込む。日本がメキシコ湾事故から学ぶべき教訓だろう。
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(゜Д゜)新聞

ドコモ版アプリマーケットの立ち上げを急ぐ理由 ドコモ山田社長インタビュー

─近々、ドコモでも、携帯電話で米アップルの「AppStore」のようなアプリケーションソフトの販売も考えているそうだが、どのようなものになるのか?
 この11月に、個人のコンテンツクリエーターが開発したドコモの携帯電話(iモード端末)向けのアプリを消費者が売買できる場として“ドコモ・マーケット”を立ち上げる予定だ。
 これまでは、iモード端末にアプリを提供できるのは法人のコンテンツプロバイダに限られていたが、これからは「iモード体系」に個人のクリエーターも参加してもらいたいと考えている。
─具体的には、どのようなイメージになるのか?
 端的に言えば、iモード体系の中に、AppStore的な販売形態を取り込んでいきたいということだ。今後、アンドロイド端末などのスマートフォン用に提供する“オープン型のアプリ”を、iモード端末にも提供してもらえるようにしていきたい。
 そのためには、クリエーターの負担を軽減し、ドコモ側でサーバを用意してコンテンツを管理したり、クリエーターのコストを減らしたりして、将来的には大きな“市場”に育てていく。
 この夏から、個人のコンテンツクリエーターの皆さんと話し合いを始める。11月のサービス開始までに約1000本のコンテンツを集めて、ドコモ・マーケットに参加しやすくなるように出品料金はアップルの取り分の30%より低くすることも検討中だ。
 このような取り組みを通じて、音声通信が漸減傾向にあるなかで、将来的に伸びるデータ通信のARPU(1ヵ月当たりの平均収入)の水準を引き上げていく。
スマートフォンの数は今年度中に100万台
─ところで、08年の冬商戦から、縦軸に“機能”、横軸に“感性”と区切り、端末のラインナップを生活スタイル別に、四つの分類に分けた。成果は出ているか?
 たとえば、「スタイル」(ファッション性を重視する機種)のデザインに力を入れたことで、今では「プライム」(最上位機種)よりも売れていることがある。
 もともと、プライムシリーズは、かつての旧900シリーズ(最新の機能を詰め込んだ“全部入り携帯”)の流れを汲むものだが、それより機能をしぼって価格を下げた旧700シリーズが発展した現在のスタイルシリーズのほうが消費者に支持されるようになった。
 たとえば、今年の夏モデルでは、スタイルシリーズの5機種で、女性に人気の複数のブランドとコラボレーションしたモデルを揃えて販売が好調だったことから、社内の雰囲気が少し変わってきた。
 というのも、かつては「機能がよければ売れるはずだ」と考えていた携帯電話の開発者チームが、デザインというものは機能と同じくらい重要なのだと認識するようになったからだ。小さなことに思えるかもしれないが、08年に私が社長になってから続けてきた“変革”の成果だととらえている。
─ところで、「プロ」(専門家向け)として4つのシリーズのうちの1つに収まっていたスマートフォンは、現在ではそれだけで別のカテゴリーに成長しつつある。
 私たちも試行錯誤してきたが、スマートフォンは、裾野が広く、今後も成長の余地がある。
 実際に、ドコモショップでは、スマートフォンだけを店の一角に集めて、新しい位置づけの商品として販売するようになった。今年の冬商戦では、当初予定の5機種から7機種に増やす。タブレットタイプの端末も含まれる予定だ。
 ドコモとしては、スマートフォンの成長性に期待している。今年の4月に発表したアンドロイド端末は、あえて「SO-01B」という型番ではなく、“エクスペリア”という名称を付けた。今後は、すべてのスマートフォンに、固有の名称を付けていく方針だ。
 2010年度中には100万台の販売を見込む。iPhoneやiPadなども含めて、モバイルの世界は“動画”が伸びる。そこで、3.9G、すなわち次世代携帯電話サービス「LTE」の設備投資を前倒しすることにした。
 総務省には、向こう5年の投資額を約3400億円と報告したが、2年繰り上げ、3年で約3000億円に切り替えた。高速大容量のデータ通信の拡大を前に、ドコモは“受け皿”として基地局の整備を急ぐことで対応していく。



パナソニック、三洋・パナ電工を完全子会社化
年内にもTOB、環境事業を世界展開
 パナソニックは28日、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化する方針を固めた。年内にも株式公開買い付け(TOB)や株式交換を実施する。買収総額は9000億円規模になるとみられる。パナソニックは2009年に三洋を、04年にパナ電工を子会社化した。全株式を取得することで経営を一体化し、電池や住宅周辺事業に経営資源を集中。AV(音響・映像)機器から、環境・エネルギー分野に主力事業を切り替え世界展開を加速させる。
 パナソニックは三洋株の50.2%を、パナ電工株の52.1%を保有している。両社を100%子会社化する際の買収額は、時価に対する上乗せ率を3割とした場合、三洋が4700億円、パナ電工が4500億円にのぼる。パナソニックはTOBの実施に向けて増資も検討している。
 パナソニックは08年に三洋電機の買収を発表、09年にTOBを実施して発行済み株式の50.2%を取得した。三洋に副社長を送り込むなどして、半導体事業や物流事業など低採算・非中核部門を相次ぎ売却した。
 完全子会社化に踏み込むことで事業構造改革を加速させると同時に、ブランドを統一するなどして成長戦略のスピードを上げる。まずは三洋の白物家電事業など、不採算事業の売却・撤退を進める。あわせてリチウムイオン電池や、太陽電池など三洋が得意とする成長事業を拡大する。
 パナソニックは、こうした環境・エネルギー分野に12年度までに累計3000億円の設備投資を実行する計画。
 また、パナソニック電工の完全子会社化により、家電製品から住宅回りの照明や住設・建材まで「家まるごと」で供給する事業にも注力する。住宅全体の消費電力量を適切に管理し、世界最高レベルの省エネ住宅の実現を目指す。
 パナソニックは創業以来、家電製品など消費者向け事業を主体としてきた。だが、AV機器や白物家電製品は中国や韓国メーカーがアジアなど新興国で高いシェアを持っており、大きな成長は望めないと判断。12年度に09年度比35%増の売上高10兆円を目指しているが、増加分の約半分を環境・エネルギーなど新規分野で稼ぐ計画だ。



パナソニック、戦略分野を機動的に 2社完全子会社化
重複・分散を解消
 パナソニックが三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化を決めた背景には、成長分野と位置付けるリチウムイオン電池やLED(発光ダイオード)照明などでの世界的な競争激化がある。3社は創業時からお互いに関係が深いが、それぞれに独立意識も強く組織は別建てで動いてきた。パナソニックは両社の経営権を完全に掌握することで重複や分散を解消、グループ一丸となった環境戦略のスピードを一気に上げる。
 電気自動車やハイブリッド車、住宅の蓄電システム向けなどで需要が急拡大しているリチウムイオン電池ではパナソニックと三洋電機が個別に事業を手掛けるが、完全統合によりグループで一体運営できる体制に切り替える。
 2009年のリチウムイオン電池の世界シェアはパナソニックと三洋の合計で約40%と世界首位。ただ韓国のサムスン電子やLGグループが増産を進めており、競争が激化している。国内でも東芝や日立製作所などが世界の自動車メーカーなどへの売り込みを強めている。パナソニックは三洋の経営資源を取り込むことでトヨタ自動車などへの安定供給体制を築き、シェア首位を堅持する。
 次世代の省エネ照明として成長が期待されるLED照明では、パナソニック本体が電球とLED素子、パナソニック電工が照明器具と担当分野が分散している。今後は一体運用が可能になる。3社で住宅関連の機器・システムを共同開発したり販路も相互乗り入れしたりするなど「家丸ごと戦略」を加速する。
 パナソニックグループは昨年12月に子会社化した三洋電機の太陽電池を、国内で今年7月からパナソニックとパナソニック電工で販売を始めた。ただ、少子高齢化で内需は縮んでおり、今後は新興国などグローバル市場で強固な足場を築く必要がある。パナソニックは創業100周年となる2018年にエレクトロニクス業界で世界一になることを目指しており、スピードを最優先にする。



富士通が8割出資、東芝との携帯統合 国内シェア25%目標
 携帯電話端末で国内3位の富士通と同8位の東芝は29日、同事業の統合について正式契約する。事業統合会社を10月にも設立して富士通が8割を出資、2011年度に国内販売台数約750万台、シェア25%(現在は単純合計で19%弱)を目指す。同日に発表する。国内市場でパナソニックを抜いてシャープに次ぐ2位に浮上、販路拡大や開発力強化を通じて海外市場開拓も急ぐ。
 統合は東芝が携帯電話端末事業を切り離して新会社を設立し、ここに富士通が8割、残りを東芝が出資する。東芝は同事業の富士通への完全売却も検討したが、端末の主な供給先であるKDDI(au)に配慮して2割分の出資を残すことにしたとみられる。同事業の従業員は富士通が約1600人、東芝が360人。新会社の人員は東芝の開発陣などを中心に300人前後になる見通し。
 新会社は両社の生産や調達の機能を統合する。統合はスマートフォン(高機能携帯電話)も含めるが、両社が開発中の電子書籍型端末は対象としないもよう。当面、富士通が同社の主要供給先であるNTTドコモ向けの端末、新会社がKDDI向けの端末をそれぞれ開発する体制とする。
 事業統合をテコに海外市場を積極開拓する。東芝はテレフォニカやオレンジなど欧州の通信大手にスマートフォンを販売しており、「東芝の販路を足がかりに海外販売を拡大する」(富士通の佐相秀幸副社長)。富士通は通信関連装置を米通信大手のベライゾンやAT&Tに供給。新会社はこの販路も活用し、北米でスマートフォンなどの端末供給につなげる考え。
 09年度の携帯電話端末の国内市場は約3100万台とピークの00年度から4割減少。各社が端末を安く売る原資となっていた販売奨励金を総務省の指針を受けて削減したことに加え、消費不振や買い替えサイクルの長期化で今後は年3000万台を割る可能性もある。
 海外に目を向けると、年間11億台の世界市場はフィンランドのノキアが4億5000万台、韓国のサムスン電子が2億台、LG電子が1億台を占め、量産によるコスト競争力とブランド力で席巻。高機能端末でも米アップルの「iPhone(アイフォーン)」やカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)が世界で支持を得ている。
 一方、日本勢は海外で苦戦。中国などの海外戦略で先行するシャープも、米マイクロソフト(MS)と共同開発した高機能携帯電話「KIN(キン)」の欧州での発売が取りやめとなった。海外大手との規模・資金力の格差がますます開く中、世界での生き残りに向けた道のりは険しい。



富士通・東芝、携帯統合29日正式契約 電機再編、道半ば
 富士通と東芝の携帯電話端末事業の統合により、2000年頃には約10社あった国内のメーカーは大手5社を中心に集約され、ある程度再編が進むことになる。だが事業環境が急速に悪化する中でも今回の統合は合意までに紆余曲折を経ており、電機大手がスピード感を持って「選択と集中」を進めることの難しさを浮き彫りにした。
 携帯電話端末の再編は01年にソニーがスウェーデンのエリクソンと事業を統合したのを手始めに、三菱電機が08年に撤退した。同年に、京セラが三洋電機の事業を買収。今年6月にNEC、カシオ計算機、日立製作所が事業を統合した。
 かねて東芝は事業再編に向け、あらゆる組み合わせを模索した。だが、半年以上交渉を重ねたパナソニックとの統合は破談。提携を持ちかけたNECもカシオと日立の事業統合会社に合流した。
 「最後の相手」と言える富士通との間では、東芝が得意なスマートフォンを統合に含めるのかどうかで足踏みし、交渉そのものが頓挫しかける局面もあった。さらに米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」の登場で、電子書籍型の端末を統合の対象に含めるかについて統合の合意直前まで交渉が続いた。
 交渉がすんなり進まない要因の1つに、総合電機メーカーの中ではテレビ事業などに比べて規模の小さい携帯端末事業は権限が小さいこともある。ノキアのような専業が投資を集中できるのに対し、総合電機にとっては一部門にすぎず「大胆な戦略を取りにくい」(端末メーカー幹部)。
 海外でも米モトローラが携帯電話のインフラ事業をフィンランドの通信会社に売却するなどの動きも出てきた。再編は国内から世界全体に広がりつつあり、日本勢も身を投じる可能性がある。



ルネサス、社員4000人削減 米・台2社に生産委託
 半導体大手、ルネサスエレクトロニクスは2010年中に従業員約5万人のうち1割弱の人員削減など大規模なリストラに踏み切る。生産体制を見直すほか、最先端システムLSI(大規模集積回路)の製造を米国と台湾の2社に委託する。リストラに伴う構造改革費用700億円を11年3月期に特別損失として計上、12年3月期の最終黒字転換を目指す。
 同社はルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが4月1日に経営統合して発足。約3カ月で人員適正化や生産体制の再構築など統合後の体制を固める「100日プロジェクト」でリストラ案を検討してきた。収益力の強化にメドが立ったとして29日に発表する。
 人員削減の対象となるのは4千人とみられる。ルネサス本体の社員については早期希望退職の適用を検討する。ルネサスに計9割出資するNEC、日立製作所、三菱電機の3社には管理・事務系社員を中心に数百人規模の人員引き受けを交渉している。そのほか設計や生産、販売などグループ外への委託業務を減らし人件費を抑制する。
 生産体制ではシステムLSI分野の不採算事業から撤退。競争力が高い自動車や携帯端末向けの最先端LSIに特化する。同LSIの生産は台湾の台湾積体電路製造(TSMC)、米グローバルファウンドリーズの2社に生産委託する。TSMCはファウンドリー(半導体受託生産会社)で世界シェア首位、グローバルは同3位。両社のコスト競争力を生かす。
 シリコンウエハーの直径が150ミリメートル、125ミリメートルと小口径の旧式生産ラインを閉鎖。一方で、300ミリメートルに対応した鶴岡工場(山形県)、那珂工場(茨城県)など大口径設備を持つ工場は電子機器を制御するマイコンなど主力半導体の生産拠点に役割を切り替える。
 そのうえで両工場の資産価値を減損処理、来期以降の減価償却費負担を軽減して業績回復につなげる。



ルネサス、国内でリストラ 海外売上高比率6割に
 ルネサスエレクトロニクスは国内の大規模なリストラで固定費を減らす一方で、海外市場に攻勢をかける。中国市場の開拓を加速するため、10月に専門の事業部を設立する。次世代半導体の製造技術で米IBMと提携するなど製品の国際競争力も強化。現在は4割前後にとどまる海外売上高比率を早期に6割に引き上げる戦略だ。
 中国では電子機器の頭脳の役割を果たすマイコンを核に市場開拓を進める。ルネサスはマイコンで世界首位のシェアを握り、家電や自動車向け製品の技術力で強みを持つ。今後の主戦場となる中国でもいち早く取引先と太いパイプをつくる。
 専門事業部は製品企画から開発、販売、生産までを一貫して統括する。事業部のトップには市場動向に精通する中国人を配置する考えだ。
 新興国市場で競争力を高めるため、低コスト生産体制の確立も急ぐ。米国や台湾の半導体の受託生産会社(ファウンドリー)に生産委託するほか、回路線幅22ナノ(ナノは10億分の1)メートル以降の最先端システムLSIの製造技術についてはIBMが主導する企業連合との共同開発に一本化する。
 経営統合前は旧ルネサステクノロジがパナソニックと、旧NECエレクトロニクスがIBM陣営と28ナノメートル品までの共同開発を進めてきた。IBMとの連携拡大で研究開発の重複投資を避ける。
 さらに統合前の2社でばらばらだった設計開発の手法などについても一本化を進める。一連の技術開発力の向上策を通じ、携帯端末向けシステムLSIの開発スピードを引き上げる。
 ルネサスは半導体の販売不振と固定費負担が重荷となり、2010年3月期に旧2社の単純合算で最終損益が1378億円の赤字になった。11年3月期も2期連続で最終赤字が続く見通し。固定費削減策で統合効果を十分に引き出し、投資余力を海外での拡販に振り向ける。12年3月期に最終黒字転換を目指す。



ウェブマネー、携帯コンテンツの決済業務に参入 異業種で初
 電子マネー運営のウェブマネーは、音楽やゲームなどのコンテンツを携帯電話サイトで購入する際の決済サービスに参入する。第1弾としてグリーなど2社が運営するNTTドコモの公式サイトで29日から、ウェブマネーの電子マネーを利用できるようにする。公式サイトの決済業務は携帯各社が独占しており、異業種の参入は初めて。利用者は決済手段の選択肢が増え、利便性が高まる。
 ウェブマネーは主にコンビニエンスストアの情報端末で1ポイント=1円で購入できるプリペイド(前払い)方式の電子マネー「ウェブマネー」を発行している。グリーのSNS(交流サイト)と、フェイス・ワンダワークス(東京・港)が運営する着信メロディーサイトの利用者は、決済画面にウェブマネー購入時に受け取るID番号を入力するだけで支払いができるようになる。
 ウェブマネーは購入時にクレジットカード番号など個人情報を入力する必要がなく、若年層を中心に利用が増えている。現在はパソコンのオンラインゲームを中心に2000以上のサイトで採用されている。まずは2011年3月末までにドコモの公式サイトだけで300サイトでの採用を目指す。
 携帯コンテンツ市場は09年に5000億円を突破。サイトで購入したコンテンツの支払いはごく一部を除けば、消費者は携帯各社が毎月請求する通信料と一緒に支払う以外の選択肢がなかった。




ゲーム大手、アジア攻める 中韓で「オンライン」展開
 国内のゲーム大手が、パソコンなどのオンラインゲームでアジア市場に本格参入する。セガは韓国通信最大手と提携し中国、韓国などでスポーツゲームを配信、ガンホー・オンライン・エンターテインメントは中国で冒険ゲームを展開する。アジアではパッケージ型ゲームソフトの不正コピーが横行しているが、サーバーを通じたオンライン配信では不正利用を防げると判断、ネット利用が急拡大するアジア市場を開拓する。
セガは人気のサッカーシミレーションゲームをアジアで展開
 セガは韓国通信最大手KTの子会社でオンラインゲーム事業を手掛けるKTHとライセンス契約を結んだ。
 セガが英国で展開しているサッカーシミュレーションゲーム「フットボール・マネジャー」を韓国語などに書き換えるなどKTHと共同開発。KTHが自社のオンラインゲームのサイトで2011年秋にも提供する。利用料は無料で、ゲームを有利に進めるためのアイテムをダウンロードする際に課金する。
 KTHは韓国だけでなく中国、台湾などのゲームサイトにも自社開発のゲームを提供している。セガはKTHを通じて得意とするスポーツゲームをアジアで展開する。
 ガンホーはキャラクターが冒険するロールプレイングゲーム(RPG)を年内にも中国で初めて配信する。ゲームなどのコンテンツを中国向けに開発するアクセスブライト(英領バージン諸島)を通じて配信する。
 中国では本格的なRPGを手掛ける会社が少ない。日本のアニメに対する人気も高いことから、高精細なキャラクター画像やゲーム性を高めたソフトを提供する。
 コーエーテクモゲームスは家庭用ゲーム機向けの人気ソフト「信長の野望」を来年中にも中国でパソコン向けに配信する。現地のゲームサイトに提供する予定。中国では三国志などを含め歴史をテーマにしたソフトの人気が高いことに対応する。バンダイナムコゲームスは韓国で携帯電話向けに本格的なRPGなどを配信している。
 家庭用ゲーム機市場は国内で伸び悩んでおり、欧米でも急激な成長は見込みづらい。中国や韓国などアジアではコピー問題などを背景に家庭用ゲーム機が普及していないが、インターネットカフェを中心にオンラインゲームの利用者が急増している。



後継者育成学校を開校=孫社長自ら校長に―ソフトバンク
 ソフトバンクは28日、孫正義社長の後を次ぐ経営トップたちを育成する「ソフトバンクアカデミア」を開校した。初代校長に就任した孫社長は、「ぼくは60歳代でアカデミアのだれかに(社長の)バトンを渡したい。引退後はアカデミアの校長がぼくの本業になる」と語った。
 ソフトバンクグループ社員のアカデミア受講志願者は約1000人に上った。孫社長は志願者に、「今から社長になったつもりで10年で企業価値を5倍にする方法を考えろ」とハッパを掛けた。
 志願者は今後、2回の審査を経て、270人に絞り込まれる。このほか社外からも30人を公募、すでに約3700人の応募がきているという。 



日経社説
ヤフー・グーグル提携で競争損なうな
 インターネット情報サービスで国内最大手のヤフーが、米ネット検索最大手のグーグルと提携する。検索やネット広告配信で、グーグルの技術を使う。両社を合わせた国内検索シェアは9割を超える。今回の提携で健全な競争が阻害されないように、目を凝らす必要がある。
 米ヤフーも2年前にネット広告事業でグーグルと提携しようとした。その際、米司法省が独占禁止法違反を理由に反対し、提携を断念した経緯がある。日本のヤフーの発表を受け、同業他社や海外のネット広告代理店の団体からは提携に対する反対の声が上がっている。
 日本の公正取引委員会は静観している。「ヤフーが採用するのはグーグルの検索技術であり、別々に検索サービスや広告事業を営むことに変わりはない」との判断からだ。
 合併や事業統合ではないとしても、健全な競争が保たれるか注視していく必要があろう。ネット事業における検索技術は自動車でいえばエンジンにあたる。日本のヤフーが中核技術の提供を受ければサービスの中身も似てくるだろうし、両社間で情報の多重活用もあり得るだろう。
 疑問に対しヤフーは「ネット競売情報を強化するなど、自社の検索サービスに独自色を出す」といい、競争関係は損なわれないと強調する。
 仮にサービスの中身はそうだとしても、広告事業で両社がどのように足並みをそろえるかが注目される。
 例えば、両社が同じ配信システムを使う結果、手数料をすり合わせるようなことはないだろうか。グーグルにとってヤフーのポータル(窓口)サイトは新しい広告媒体。両社の提携によりネット広告の単価が決められるといった可能性はあり得る。
 提携を機に検索技術の開発でグーグルの優位性は一段と増すだろう。マイクロソフトは独自の検索技術を持つが、日本でのシェアは3%にも満たない。第4位のNTT系の検索サービスはすでに7年前にグーグルの技術に切り替えている。
 検索は広告以外にも電子商取引など様々な分野で必要な技術だ。それが外国企業1社に集中するのは、産業競争力という点で得策でない。
 日本ではネット検索のための情報の複製が著作権法違反になるとされ、技術の開発を阻んできた。法改正で今年から認められたが、そうした行政の対応が重要になっている。
 ヤフーとグーグルの提携が本格的に動き出すのはこれからだが、影響は極めて大きい。ネット市場の健全な競争を保つためにも公取委は両社の行動を注視していく必要がある。
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((((゜Д゜)))新聞

モバイルアプリの業界団体「WAC」と「JIL」が統合
 世界の通信事業者により設立された非営利団体「The Wholesale Applications Community」(WAC)は27日、法人化すると発表した。あわせて、ソフトバンクなどが設立した合弁会社「Joint Innovation Lab」(JIL)が合流することも明らかにされている。JILとの統合は9月に完了する見込み。
 WACは、今年2月に設立された組織で、日本からはNTTドコモ、ソフトバンクモバイルが参画するほか、AT&Tやチャイナ・モバイル、KT、ボーダフォン、Orange、ドイツ・テレコム、テレフォニカ、テレノール・グループなど世界の主要通信事業者が名を連ね、オープンな携帯電話向けアプリケーションの開発環境構築などを目指していた。設立当初から、JIL(ソフトバンク、チャイナ・モバイル、ベライゾン・ワイヤレス。ボーダフォンが設立)が推進する仕様などを採用する方針が示されていた。
 今回、非営利団体として設立されたWACの法人化、およびJILの合流が発表された。JIL CEOのPeters Suh氏がWACのCEOに任命され、「我々の目標は、開発者による革新的なアプリ配信と世界中のユーザーへサービスを提供するための、エコシステムの構築」とコメント。ボードメンバーの議長として、ボーダフォンヨーロッパのCEOを務めるMichel Combes氏を、副議長としてフランステレコムCEO代理のJean-Philippe Vanot氏を任命している。日本からは、NTTドコモ執行役員マーケティング部長の永田清人氏や、ソフトバンクモバイル取締役副社長の松本徹三氏がボードディレクターとなっている。
 WACではアプリケーション配信のビジネスモデルに関しても案内している。それによれば、通信事業者が通信料と合算して請求できる課金代行サービスを手がけ、開発者はアプリケーションの価格を設定して、その収益は通信事業者との間で分配され、さらにその一部はWACにももたらされる。いわゆるレベニューシェアモデルだが、将来的にはアプリ内課金、広告、位置情報の利用といった機能拡充を図る。WACではSDKや仕様書を11月にも提供する。仕様は、W2Cの標準にのっとったもので、リッチなモバイル向けWebアプリケーションになるという。今回合流するJILでは既に、モバイル向けウィジェットの仕様を公開していたが、WACが提供するものはJILの仕様、および携帯向けプラットフォームの技術を検討するOMTP(Open Mobile Terminal Platform)が進める「BONDI」の仕様と互換性を持たせたものになるという。詳細な開発者向けロードマップやプレビューは9月にも利用できるようになる。
 ドコモでは「プラットフォームや端末に依存しないアプリの提供と、開発者の増進といったエコシステムの構築というWACのコンセプトに同意して参画してきたが、今後もWACの中で積極的に活動を推進したい」とコメント。WACの仕様を導入する時期は未定ながら、1年以内に何らかの動きがある見込みという。どういった端末に採用するかは未定なものの、WACとしてはオープンな組織として展開する方針とのこと。今年2月のWAC設立時には、企業が協力しあうアライアンスという形態か、法人の設立か定まっていないところがあったものの、約5カ月経過して、何らかの組織が存在したほうが事務的な手続きが進めやすいといった背景もあり、法人化することにしたという。またJILの合流について、ソフトバンクモバイルでは「WACとJILで同じことを行っても、ということで一緒にやることになた。JILで行ってきたことは引き継がれる」としている。
 ドキュメントの日本語化や、日本の開発者向けコミュニティの推進といった面については、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルともに何も予定はないとのこと。



グーグルがオンラインゲーム会社と協議、フェースブックに対抗へ
 [ニューヨーク 27日 ロイター] 米グーグルは、米ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブックに対抗する新サービス開発のため、複数のオンラインゲーム会社と話し合いを行った。27日付ウォールストリート・ジャーナル紙が関係筋の話として報じた。
 協議に参加したのはプレイドム、エレクトロニック・アーツ>傘下のプレイフィッシュ、ジンガ・ゲーム・ネットワークなどのオンラインゲーム開発会社。
 同紙によると、新サービスの開始時期は未定。
 グーグルはすでにSNSサイト「Orkut」を所有・運営している。同社のコメントは得られていない。



米ディスニー、ゲーム開発会社買収へ 最大670億円
 米メディア大手のウォルト・ディズニーは27日、ゲーム開発会社の米プレーダム(カリフォルニア州)を買収すると発表した。買収額は最大7億6320万ドル(約670億円)。米フェースブックなど交流サイト(SNS)を通じて遊ぶソーシャルゲームが人気を集めており、ディズニーはプレーダム買収でこの分野を強化する。
 プレーダムの既存株主に5億6320万ドルを支払うほか、業績に応じて追加的に最大2億ドルを拠出する。買収は当局の承認を前提としており、今年9月までに手続きを完了する見通し。
 プレーダムは2008年にサービスを始め、現在は月間4200万人が利用している。ディズニーのロバート・アイガー最高経営責任者(CEO)は「ディズニーやABCなど当社のブランドとプレーダムの能力を組み合わせることで成長の可能性が高まる」との声明を発表した。
 ソーシャルゲームを巡っては今月、この分野の大手である米ジンガ(カリフォルニア州)に米グーグルが1億ドル以上を出資したと米メディアが報じている。フェースブックの利用者数が5億人を超えるなどSNSの普及が加速しており、関連ビジネスを巡る合従連衡も活発になっている。



KDDI、データの取り込み時間を2割短縮 携帯の品質向上へ
 KDDIは28日、携帯電話の通信品質を向上させる取り組みについて都内で説明会を開いた。基地局を増強することや、利用者の動向に合わせて基地局の性能を高めることに加え、携帯電話のCPU(中央演算処理装置)の高速化を進め、データをやりとりする時間を短縮した。音楽配信「着うたフル」など大容量のデータをダウンロードする時間は、2009年4月に比べると10年6月時点で約2割短くなったという。
 希望の多かった地下鉄駅でのインターネット接続や鉄道でのメール送信時間も短縮した。1台の携帯電話で複数の電波を同時に利用できる新技術「マルチキャリア」を導入。これまで使い切れていなかった電波の空きを有効活用し、時間の短縮化につなげる。NTTドコモが現在提供している第3世代通信規格で最速とされるHSDPAと同等かそれを上回るスピードを実現できるという。10年の秋冬モデルから対応する機種を投入する。
 出席した湯本敏彦モバイルネットワーク開発本部長は「これまで培った技術はスマートフォンにも適応させていきたい」と述べた。



多くの途上国「人民元は割安」の認識にNO
 【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は27日、対中国年次審査報告書に関するIMF理事会の意見書を公表した。
 人民元相場が過小評価されているとの認識について、24の理事国の一部が「同意する」としたが、多くの国は「同意しない」との意見を表明した。関係者によると、不同意の多くは開発途上国といい、今後の人民元切り上げ論議に影響が出そうだ。
 ロイター通信によると、報告書は「5~27%過小評価されている」と指摘し、大幅な切り上げの必要性を示唆している。
 意見書では、過小評価に同意しない理由として、中国の経常黒字の見通しが不透明だという点を挙げている。経常黒字額はこのところ伸び悩んでおり、人民元がドルやユーロに対して不当に安いことが輸出を押し上げているとは言い切れないというわけだ。
 ただ、多くの国は、「長い時間をかけて人民元が強くなることが、輸出や投資主導の経済から、内需主導の経済への転換を促す」と、中長期的にみると人民元相場は上昇するとみている。
 IMFは2009年の意見書では、「複数の国が、大幅に過小評価されているとの見方を支持する」と指摘しており、明確な反対意見は掲載されなかった。
 しかし今回は、「大幅に」という部分を削除した上、理事会の意見も割れた。
 米議会にはなお強硬意見が強いが、中国に対する切り上げ圧力は、米国の思惑通りの同調を得られない可能性がある。
 審査報告書そのものは、対象国の同意を経て公表される。中国は人民元相場への言及などを嫌っているとみられ、07年から報告書の公表に同意していない。



韓国・LG電子第2四半期は営業利益90%減、TVや携帯電話が不振
 [ソウル 28日 ロイター] 韓国のLG電子が28日発表した第2・四半期決算は、営業利益が前年比90%減と、予想よりも悪化した。テレビや携帯電話機の販売が振るわなかった。
 米アップルや韓国のサムスン電子などとの競争が激化するなか、スマートフォンの品ぞろえの弱さが今年下半期も引き続き、LG電子の業績の足を引っ張るとみられている。
 SK証券のあるアナリストは「業績は第3・四半期もさえないだろう。しかしアンドロイドを搭載したスマートフォンが発売されるため、第4・四半期には一定の回復が見込まれる」との見方を示した。
 営業利益は1260億ウォン(約1億0660万ドル)。前年同期の1兆2400億ウォンから減少した。トムソン・ロイターがまとめたアナリスト12人の予想コンセンサスは2100億ウォンだった。
 テレビ部門が不振。第2・四半期にユーロが対ドルで10%近く下落したため、薄型スクリーンやその他資材のドル建て決済コストが膨らんだ。LG電子はテレビの売上高の約40%を欧州で稼いでいるとみられている。
 携帯電話機部門は、営業損益が1200億ウォンの赤字となった。前年同期は6200億ウォンの黒字だった。
 テレビ部門の利益率は前年同期の5.9%から0.5%に急低下。
 この日のLG電子株は、スマートフォン事業に対する根強い懸念を背景に約3%安で取引を終えた。
 同社は、携帯電話機市場でノキアやサムスン電子の後塵を拝している。薄型テレビ市場では、ソニー、パナソニックと競合している。



二輪4社、原付二種の普及策提言 免許取得の負担軽減を具体化
 ホンダやヤマハ発動機など国内の二輪車メーカー4社は28日、東京都内で共同会見を開き、125ccの原付き二種クラスの普及拡大を目指して、免許取得制度の簡易化のほか、駐車場の整備や高速道路の独自料金設定などを警察庁に提案する方針を示した。
 4社は昨年も警察庁に同様の要望を出している。今年の提言では、現行制度で免許取得に必要な「技能検定試験」を「判定講習」に置き換えるなど具体策に言及。負担軽減イメージとして、短縮される取得時間・日数などの数字を盛り込んだ。
 ヤマハ発動機の柳弘之社長は「国内二輪車市場は10%の落ち込みが予想されるなど厳しい環境にある。原付き二種は社会で特に有用性の高い乗り物。制度の整備を多くの人に地道に訴えていく」と述べた。



“マイクロソフト化”進むグーグルのジレンマ
 パソコン基本ソフト(OS)で実質的独占を築いたマイクロソフト(MS)を「悪」に見立て、「悪にならない」ことを社是に掲げてきたグーグルの行動様式が、結果的にMSに似通ってきていると感じるのは筆者だけだろうか。
 過去5年、グーグルが新規に参入してきた市場を羅列してみよう。ウェブメール、ワープロ、表計算、プレゼン用スライド、スケジュール管理グループウエア、動画配信、地図ソフト、翻訳・辞書、携帯端末OS、パソコン用ブラウザー、パソコンOS・・・。
 すべての分野で検索機能が有効で、検索技術の利便性をあらゆるネット利用者に届ける試みという点では、「世界中の情報を整理し、アクセス可能にする」という企業ミッションをまさに地で行っている。しかしそれぞれの市場には既存企業がおり、それなりの雇用を生み、ビジネスモデルを築いてきた。グーグルはそれらの市場に検索との連動性と「フリー(無料)」を売り物に土足で踏み込んでいるのもまた事実だ。ワープロや表計算、グループウエアなど、それぞれ独立したプレーヤーがそれなりの市場を築いてきたソフトウエアの各分野に、資本・開発力とOSとの連動性を武器に次々に乗り込んでいった80~90年代のMSと驚くほど似た展開だ。
 特にこの1~2年は企業買収攻勢が加速し、「あれもこれもやりたがる」傾向に拍車がかかっている。この7月だけでも、トピック別データベースをネット上で運営する米メタウェブと、航空会社やネット旅行予約サイトの情報基盤となっている航空運行情報ソフト会社ITAを買収した。それ以前にも、ネット広告の米インバイト・メディア、ネット音楽共有ソフトの英シンプリファイ・メディア、音声・映像ネット処理のグローバルIPソリューションズなど、今年に入ってから10件以上の買収を決めている。
 2009年はスマートフォン向け広告配信最大手のアドモブの買収決定が大きな話題を呼んだ。同社はアップルのスマートフォン「iPhone」アプリ向け広告配信のパイオニア。グーグルによる買収は、グーグル対アップルの敵対関係を確定付けた。そのほかにも動画圧縮技術のOn2など、昨年も6社を買収した。
 焦燥感さえ感じさせる買収攻勢に出ているのはなぜか。理解できる1つの軸は、グーグルの特徴である「1つの検索エンジンですべての種類の情報をまとめて検索する」というやり方だけでは、人々の本当のニーズに応えられないというジレンマ。買収企業のいくつかはバーティカル(分野ごとの)検索の企業だ。
 もう一つは急速に利用者が増えているiPhoneの世界でのプレゼンスの確立だ。今後は携帯端末経由のネット利用が、従来のパソコン経由に比べはるかに大きな市場に育つ。しかしiPhone向けアプリや広告はアップルの支配下だ。これを打開するにはiPhone向け広告で急成長しているアドモブの買収は非常に魅力的だ。ネット広告ですでに高シェアを確立しているグーグルによるアドモブの買収は米独禁当局の調査対象になったが結局、携帯向け広告という枠組みでのシェアがそれほど高くないことから今年5月になって承認された。いずれにしろ、iPhoneの世界でアップルの支配力が固まる前にくさびを打ち込もうと、必死に関連企業買収を急いでいるようにみえる。
 つまり相次ぐ買収は営利上場企業であるグーグルの行動パターンとしては非常に合理的な判断といえる。しかし、グーグルが標榜(ひょうぼう)してきた「悪にならない」という企業理念との折り合いはどうだろう?
 日本ではヤフーが今後、検索と検索連動広告のエンジンにグーグルを採用することに決めた。これで日本のネット検索、検索連動広告の市場はグーグルの独占状態になる。「独占企業」のイメージが少なくとも企業社会の中では今後ますます強まりそう。グーグルは今後、企業として競争に勝とうとすると、社是の考え方からどんどん乖離(かいり)してしまう矛盾にますます悩むことになるだろう。



株、「好業績と円安」で心理好転 リスク緩和の流れも楽観は禁物
 28日前場の日経平均株価は178円高と反発した。27日発表の1~6月期決算が大幅増益となったキヤノンなど主力企業の好業績が確認されたところに為替の円安基調が追い風となり、幅広い銘柄に買いが入った。企業業績などミクロ面は好調な半面、米国の景況感に下振れがみられるなど、マクロ面では不透明感が残る状況は変わらない。投資家心理の好転が続くかどうかは未知数と言える。
 キヤノンは前場、4%強上昇した。売買高も前場で313万株に達し、27日の日通し売買高(327万株)に迫った。キヤノンは下期(7~12月)の想定為替レートを対ユーロで15円も円高方向に見直した。下期だけで営業利益を約400億円下押しする要因となるが、その上で10年12月期通期の業績予想を据え置いており、年後半の景気回復ペースの鈍化による企業収益への圧迫懸念をやや緩和する内容と市場は受け止めた。
 円の対ドル相場は1ドル=87円台と、主力企業の多くが想定する為替レート(90円)を上回る円高水準だが、過度に警戒する雰囲気が和らぎつつあるとの声も聞かれる。足元で投資家のリスク回避姿勢の緩和を示唆する動きが見られるためだ。例えば金先物相場の動き。景気の先行き不透明感が強い局面では安全資産とされる金に資金が集まりやすいが、27日の米金先物は3日続落し、一時は5月以来の安値水準を付けた。
 金融引き締め策を受け調整色を強めていた中国・上海株も7月後半にかけて戻り歩調にある。日興コーディアル証券の小林久恒シニアマーケットアナリストは「政策を平時に戻す『出口戦略』に動く(中国など)新興国で引き締めスピードの『緩和』も見え始め、市場環境は少しずつ改善している」と話す。出口戦略の「出口」が見えつつあるという訳だ。「投資家のリスク許容度が回復すれば、少なくとも円高圧力は薄まる」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)。
 ただ、最近のリスク回避姿勢の緩和は好調な企業業績などミクロ面に依存している点は否めない。7月の米消費者信頼感指数は市場予想以上に悪化したが、要因は内訳の期待指数が低下したためだ。大和証券投資信託委託の長野吉納シニア・ストラテジストは「そろそろ米企業の4~6月期決算発表も一巡し、今後はマクロ面の動向に関心が向かう可能性が高い。その局面で下振れる指標が相次げば、投資家心理が再び萎縮するリスクはある」と話す。市場心理は移ろいやすいだけに、楽観は禁物だろう。



【東京新聞社説】
欧州の銀行 甘い検査で大丈夫か
2010年7月28日
 欧州が域内銀行の健全性を調べた特別検査(ストレステスト)の結果が金融市場に不透明感を残している。検査基準が甘かったためだ。円相場をはじめ、しばらく神経質な局面が続きそうだ。
 今回の検査は、ギリシャの財政危機を受けて、欧州の銀行監督委員会(CEBS)が欧州の銀行九十一行を対象に実施した。
 欧州連合(EU)の成長率が見通しよりも落ち込むなど景気悪化を想定して、銀行の経営がどうなるかを調べた。
 金融市場ではドイツやフランスの銀行などが不安視されていたが、ふたを開けてみると、資本不足を指摘されたのはドイツの不動産金融会社やギリシャの農業銀行、スペインの貯蓄銀行など、わずか七行にとどまった。
 資本不足の合計額も三十五億ユーロ(約三千九百億円)と少なく、EUが用意している最大七千五百億ユーロ(約八十四兆円)の金融支援枠からみて十分に対応可能だった。金融市場はひとまず結果を好感して、ユーロやドルの為替相場や株式市場も落ち着いている。
 ただ、これでひと安心とはいかない。そもそも欧州が特別検査を実施したのは、ギリシャ危機で国債の債務不履行懸念が浮上し、国債を大量保有する域内銀行の健全性に黄色信号が灯(とも)ったためだ。
 ところが、今回の検査は銀行が顧客と取引する国債だけに限定し、銀行自身が満期まで保有する国債は対象から除いた。
 実際には、銀行保有分の割合がはるかに大きい。市場関係者の間には「今回の検査は当局のアリバイづくり。十分とはいえない」という批判的見方が広がっている。
 市場が好感したといっても、一時的な動きにとどまり、再び欧州の財政金融問題に焦点が当たれば、新たな不安材料になる可能性は残っている。
 銀行の健全性が問題になるのは、資産劣化が景気に大きな影響を及ぼすからだ。ある銀行が危ないとみられると、疑心暗鬼が広がって銀行間取引が収縮する。その結果、各行が融資に慎重になって貸し渋りが起きる。
 企業は設備投資削減を余儀なくされ、やがて景気が落ち込む。これは日本がかつて経験した事態だ。悪循環を防ぐために、銀行の健全性チェックが重要になる。
 欧州の銀行は日本や米国に比べても、経営の情報公開が不十分と指摘されてきた。監督当局には今回のテストで一件落着とせず、引き続き監視の強化を望む。
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(ノ゜Д゜)八(゜Д゜)ノ新聞

急成長続けた米ソーシャルゲーム市場に変調の兆し
 米シアトルで7月19日から3日間、「Casual Game Connect」という商談イベントが開催された。2006年にスタートしたこのイベントは日本ではほとんど知られていないが、パソコンを中心とした手軽な「カジュアルゲーム」や交流機能を持つ「ソーシャルゲーム」の国際商談会として急拡大している。今年は世界35カ国から632社、2000人が参加したが、ここで明らかになったのはソーシャルゲーム市場に起きつつある「異変」だった。
 Casual Game Connectが他のゲームイベントと違うのは、参加企業のほとんどが1人から数人の小さな開発会社である点だ。シアトルにはパソコン向けのゲームコンテンツ配信事業者や販売会社が集積しており、会場はリラックスした雰囲気ながらも商談に熱が入っていた。なお、今回の取材は、日本貿易振興機構(ジェトロ)と福岡市の委託による産業地域クラスター(集積)調査の一環として行ったことをお断りしておく。
Facebookで起きた「アタリショック」現象
 ゲーム産業は今、事業構造の急激な変化に見舞われている。その最大の要因は「フリー(無料)」を前提としたビジネスモデルの台頭にある。米Facebook(フェースブック)に代表されるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて配信される無料ゲームが急成長し、従来型のパッケージ販売モデルを揺るがしはじめた。今回のイベント参加企業もそうした新興勢力なのだが、急成長を続けてきたはずのFacebook市場に変調の兆しが出ているという。
 世界で3億人のユニークユーザーを抱えるFacebookは、プラットフォームをオープン化する戦略をいち早く採用した。その結果、ゲーム開発会社などの参入コストが下がり、08年に約5万種類だったアプリケーション数は今年1月には55万種類へと急増した。
 しかし、Facebookのユーザー数がこの半年間で14%増加したにもかかわらず、アプリの利用率は20%低下し、毎日特定のアプリを利用しているユーザー数も13%減少したという。トップ3のゲーム会社のゲームに毎日アクセスするアクティブユーザーも10~50%低下している。一体、何が起きたのか?
 「Facebookのプラットフォームとしての性質がこの半年間で大きく変化した」。英大手ソーシャルゲーム会社PlayFishのダン・フィデン氏はこう指摘する。これまではSNSの口コミで情報が広がりユーザーが求めるタイトルを見つけ出すことができた。しかし、供給が適正水準をはるかに超えたことで「市場がスパム状態になってしまった」とフィデン氏はいう。ゲーム業界では1980年代に米アタリ社のゲーム機向けソフトが乱造され、「アタリショック」と呼ばれる急激な販売不振を招いたことがある。今回のケースも構図はアタリショックと同じだ。
 フィデン氏はこうした状況に懸念を示しつつも、「常に多くの友人とつながることのできるゲームを注意深くデザインし、Facebookだけでなくスマートフォンなどにも展開していけば、人気を保つことはできる」と前向きな見通しを語った。しかし、米Inside Social Gamesの調査によると、PlayFishのアクティブユーザーは今年6月から7月にかけて約200万人減少している。5000万人規模のユーザー数からすれば減少幅は微々たるものだが、わずか1年前までソーシャルゲーム各社は飛ぶ鳥落とす勢いでユーザー数を増大させていた。市場は予想を超える速さで動いている。
資本力で勝負する段階に
 米ベンチャーキャピタルNorwest Venture Partnersのティム・チャン氏も、Facebook上のアプリ市場に起きている変化を別の観点から指摘する。チャン氏は「Facebookというお菓子はもう甘くない」と語る。
 ソーシャルゲームはこれまで、「急速な成長(チョコレート)と収益(ピーナッツバター)を享受できる最高の市場環境」だった。しかも、Facebookには口コミ効果が期待できるという特典もあった。しかし、「もはや、無料のチョコレートは存在しないのではないか。ピーナッツバターを得るためには、プロモーションなどさらなるコストが必要になっているのではないか」とチャン氏は指摘する。
 特に北米市場では今後、プラットフォーム間の資本力による競争が本格化するとみられる。エレクトロニックアーツやアクティビジョンなど既存の大手ゲーム会社が市場に入り込もうとしているうえ、映画会社のディズニーやテレビネットワークのABCなどメディア系の大型資本も参入を狙っているからだ。
 北米以外の地域の企業も存在感を増している。チャン氏が名前を挙げたのは、韓国NHNやドイツのGame Fuel、ロシアのDSTなどだ。それぞれが国内のソーシャルゲーム市場で成功し、海外に目を向けている。
 ソーシャルゲーム市場ではこれまでFacebookの急成長の波に乗ることで、ユーザー数2億人のZyngaや4000万人のPlaydomといった新興勢力が成長を謳歌(おうか)してきた。しかし、大手企業が資本力や資本効率を競うような段階に入れば、こうしたサクセスストーリーも今後は見ることができなくなるだろう。
日本企業の動向にも関心
 チャン氏の講演で興味深かったのは、日本の携帯電話を中心としたソーシャルゲーム市場の急成長にも言及していた点だ。ミクシィ、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリーの3社のほか、アップルの「iPhone」を持ちゲーム企業との提携に積極的なソフトバンクにも注目しているという。
 日本のSNSは会員規模でみれば2000万人以下とFacebookに比べてはるかに小さいが、アイテム課金などの売り上げが伸びており収益性は高い。それらの企業の海外進出に伴い、「国際提携が広がる可能性がある」とチャン氏は予測する。
 一方、現在は高成長を続けている日本のソーシャルゲーム市場にも、いずれFacebookで起きたような現象が訪れるリスクはある。ソーシャルゲーム市場の変化はあまりに急速で、昨日の勝者が明日も勝者であり続ける保証はどこにもない。



孫社長の後継、一般公募を開始 ソフトバンク
 ソフトバンクは28日、孫正義社長の後継者の一般公募を始めた。後継者の発掘・育成を目的に同日開校する育成機関「ソフトバンクアカデミア」の募集要項は年齢が20~50歳で人数は30人。応募に必要なインターネット上での登録期間は28日~8月20日。9月1日~2011年2月中旬にかけて選考し、メールで合否を連絡する。
 登録後は3回のプレゼンテーションと、孫正義社長による最終審査を経て合格者を選定する。プレゼンテーションのテーマや表現方法は自由。ソフトバンクは6月に長期的経営戦略となる「新30年ビジョン」を示した。その中で後継者を育成するための機関設立を宣言していた。



【インタビュー】NTTドコモ社長・山田隆持さん(62)
 ■LTE提供開始へ 基地局投資前倒し
 --総務省は6月末、携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除を求めるガイドライン(指針)を決定した
 「来年4月1日から販売する携帯電話端末は原則、SIMロック解除機能を搭載する方向で準備を進める。来年の夏モデル以降になる。今はSIMロックが簡単にはずれないようになっているが、利用者が端末をドコモショップに持ち込めばソフトウエアを修正してSIMロックを解除できるようにする。基本的には(ドコモにKDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルを加えた)携帯電話4社で足並みをそろえる必要がある」
 --今年12月には次世代高速データ通信規格「LTE」の商用サービス提供が始まる予定だ
 「12月にデータ端末を、来年からは携帯電話端末を提供する予定だ。LTEの特徴は高速・大容量・低遅延で、周波数効率がいい。需要の高い東京・名古屋・大阪から導入を始め、5年後に51%のエリアカバー率を目指す。これまでは基地局整備に2010~14年度の5カ年で約3500億円の投資を計画していたが、これを少し前倒しして、10~12年度の3カ年で3000億円程度の投資を行いたい。(積極投資で)LTEへの移行を促していく」
 --KDDI陣営と一騎打ちとなっている「携帯端末向け次世代マルチメディア放送」では、総務省が8月中旬にも1陣営のみを事業者として認定する見通しだ
 「ドコモ陣営の強みは3つある。1つ目は、各放送局が出資しているので優良なコンテンツを多く集められることで、これは事業の成功に欠かせない。2つ目は、首都圏で東京スカイツリー(建設中)を活用するなどしてインフラ投資を抑制し、リーズナブルな料金水準が可能となること。(ドコモの動画配信サービスである)『BeeTV』の月額315円と同程度の水準にしたい。3つ目は、ソフトバンクモバイルも陣営に加わっているので対応端末数が多いこと。現状、ワンセグ(携帯端末向け地上デジタル放送)は携帯電話端末の8割程度に搭載されているが、それぐらいの搭載率を目指したい」
 --成長が見込まれるスマートフォン(高機能携帯電話)の戦略は
 「スマートフォン市場は拡大していくだろう。今年度の市場規模は300万台程度とみているが、ドコモとしては100万台の販売を目指す。ゆくゆくはシェア5割に近づけたい。4月に発売したソニー・エリクソン製の『エクスペリア』は10月以降にOS(基本ソフト)のバージョンアップを予定している。また、今年の冬モデルではこれまで5機種の投入を予定していたが、7機種程度に増やしたい。廉価版やワンセグを搭載したもの、タブレット(平板)型などを考えている」 



全国一律のサービス義務、IP電話も選択肢 総務省方針
 総務省は全国一律のサービス提供義務である「ユニバーサルサービス」の対象に、新たに光ファイバーを使ったIP(インターネットプロトコル)電話を加える検討に入った。現在、ユニバーサルサービスの義務を負っているNTT東西はメタル回線を全国一律で展開しなければならない。IP電話が加われば、光ファイバーかメタル回線のいずれかを提供すれば済むようになる。
 27日の情報通信審議会(総務相の諮問機関)に諮問した。審議会は今後、通信事業者へのヒアリングを通じて、サービスの対象に加える光IP電話の種類や料金水準などについて議論する。12月にも最終答申をまとめる見通しだ。
 ユニバーサルサービスは過疎地など採算をとりにくい地域にも、都市部と同様のサービスの提供を求める制度。サービスを維持するためのコストは基本的に事業者などが負担する。実態的には携帯電話などの利用者も1カ月当たり8円を負担金の一部として支払っている。
 固定電話の回線数は昨年度末に3792万に落ち込んだ。これに対して、2003年度にゼロだった光IP電話は1453万回線に増えており、12年度には両者の回線数は逆転するとみられている。
 ユニバーサルサービスの義務を負っているNTT東西では、毎年3000~4000キロ分のメタル回線を新敷してきた。光ファイバーとの選択が可能になれば、二重投資を回避できるほか、光ファイバーの敷設コストの補てんとして交付金を受け取ることもできる。政府内には15年にブロードバンド網の普及率100%を目指す「光の道」構想の実現につなげる狙いもある。



デジタル教材協議会発足 15年までに電子教科書導入
 パソコンなどの電子端末を使って読む電子教科書の普及を進める「デジタル教科書教材協議会」が27日、東京都内で発足した。米マイクロソフト(MS)日本法人やソフトバンクなどIT(情報技術)関連企業や出版社など約70社が参加。実証実験などを通じて電子教科書普及のための課題整理を行い、文部科学省などに提言する。雑誌や書籍に続いて、教科書でも電子化をめぐる動きが本格化しそうだ。
 協議会は、電子教科書に適した端末の標準機能のガイドラインの策定のほか、学校向けに普及・啓発活動を行う。ガイドラインの有効性を検証するために実際に学校で実証実験を行う計画だ。
 協議会の会長を務める小宮山宏・三菱総合研究所理事長は同日のシンポジウムで「世界で電子教科書の取り組みが進む中で、ピッチを上げないと間に合わない」と述べ、2015年までに全国の小中学校などへの電子教科書の導入を目指すとの考えを示した。
 発起人として名前を連ねるソフトバンクの孫正義社長は「日本の競争力を取り戻すためにも、学生と教師に無料で電子教科書を配らないといけない」とし、電子教科書を利用する上で必要な通信回線などを無償提供するなどの支援を行うと述べた。MS日本法人でも、ソフトウェアの提供を検討する。



ヤフーをなびかせたグーグルの“つぶやき”
動画も含め検索新技術で大差
 日本のポータル(玄関)サイト最大手であるヤフーは27日、米グーグルの検索エンジンを採用すると発表した。日本では50%を超える検索シェアを維持しているヤフーだが、技術力や資本力で他を圧倒するグーグルとは、すでに検索サービスの内容で大きな差が付いていた。
 ヤフーは現在、米ヤフーが開発した検索エンジン「ヤフー・サーチ・テクノロジー」を基盤として使い、日本語や日本の市場環境に合わせて改良して検索サービスを提供している。基本的な検索技術はグーグルと同じ「ロボット型検索」で、ウェブサイトをロボットが巡回してデータを収集し、それをインデックス化して検索キーワードに最も適した検索結果として表示する。
 ただ、検索サービスに詳しいSEM総合研究所の渡辺隆広所長は「世界で過半数のシェアを握るグーグルに比べると、ヤフーの検索サービスは技術開発力はもちろんインフラの規模やスピードの点で大きく見劣りしていた」と指摘する。
 例えば最近は、ミニブログ「ツイッター」のようにリアルタイム性の高い情報への検索ニーズが高まっているが、ヤフーはグーグルに比べて対応が遅れていた。また、動画の中の音声を認識して検索結果に反映させる「動画検索」などの新技術でも、グーグルとは差が付いている。検索キーワードに応じて広告を表示する検索連動型広告でも「配信時間や地域の指定などでグーグルに比べて使いにくい面があった」(渡辺所長)という。
 ヤフーがいずれ他社の検索エンジンに乗り換えることは既定路線だった。2009年に米ヤフーが米マイクロソフトと提携し、2012年までに世界規模でマイクロソフトの検索技術「Bing」に切り替えることを決めていたからだ。ただ、Bingは日本向けに最適化するための開発が遅れ気味といわれており、Bingの検索サービスと対になる検索連動型広告「MS アドセンター」も日本ではまだ始まっていない。
 一方、米ヤフーの検索技術もエンジニアの流出などで開発や維持に滞りが出ており、ヤフーがこのまま今の技術を使い続けることも難しくなっていた。日本のヤフーはソフトバンクが株式の約4割を保有しており、米ヤフーとは一線を画してこのタイミングでグーグルの検索エンジンを採用することを決めたようだ。
 ただ、今回のグーグルとヤフーの提携により、日本市場ではグーグルの検索エンジンが単純合計で9割のシェアを握ることになる。ネット業界では「これまでは検索結果に不満があればグーグルとヤフーを比較できたが、これからはグーグルの結果に頼るしかなくなる。両社の競争がなくなることで日本向け開発における技術革新が停滞する可能性もある」との指摘が出ている。



ドコモ、高速携帯の通信技術を初めて提供 台湾半導体大手に
 NTTドコモは27日、年内にサービス開始を予定している高速携帯電話サービスの通信技術を台湾の半導体大手メディアテック社に提供すると発表した。同技術を外部に供給するのは初めて。ライセンス収入を見込むとともに、ドコモが次の成長の核に据える高速携帯電話サービスをアジア地域で広げるのが狙い。
 提供するのはLTEと呼ばれる現行の携帯電話の約5倍の通信速度を可能にする次世代携帯サービス。ドコモは12月に国内各社に先駆けてサービス開始を予定している。
 メディアテック社はドコモにライセンス料を支払ってLTEの技術を自社の半導体に組み込み、中国の携帯端末メーカーなどに販売する。
 同日開いた記者会見でメディアテック社の蔡明介会長兼最高経営責任者(CEO)は「今後ドコモとの提携をさらに拡大していきたい」と話した。



広告団体が懸念表明 グーグル、ヤフー提携で
 インターネットで広告や販売などを手掛ける海外企業で組織する団体「ICOMP」(本部・英国)は27日、日本のヤフーと米グーグルが発表した提携について「日本のオンライン市場の健全な発展を阻害し、独禁法上の観点から阻止されるべきだ」との見解を表明した。
 ICOMPは、提携により両社が日本のネット検索市場で占めるシェアが約9割に達すると指摘。競争が阻害されることにより、ネット上の出版社や広告主、消費者に不利益をもたらすと主張している。



エコポイント年末終了、家電量販が早くも特需対策
 省エネ家電の購入を後押しするエコポイント制度が今年末に終了するのをにらみ、家電量販各社が早くも駆け込み特需の対策に動いている。中堅のノジマは年末商戦に向けて物流施設を一時的に増強。セールの開始時期を秋に前倒しする動きもある。年末は薄型テレビの売れ行きが例年の数倍に達するとの予想が多く、混乱回避に力を入れる。
 ノジマは神奈川県愛川町に約6600平方メートルの物流倉庫を借りた。近隣にある既存の物流センターとほぼ同規模で、年末特需用の在庫積み増しに備える。アルバイトなどの短期販売員も増強。昨年の2倍強の約1000人とする計画で、10月から募集を始める。
 コジマはエコポイント終了をにらんだ買い物需要を分散させるため、年末セールを秋スタートに前倒しすることを検討している。また、ビックカメラは全国約30店でテレビ売り場の相談カウンターを2~3倍に拡大。エコポイント申請についての顧客の相談に迅速に対応できるようにして、買い物しやすい環境を整える。
 エコポイント制度はテレビ、エアコン、冷蔵庫を対象に昨年5月にスタート。今春にはテレビの対象機種の基準変更で駆け込み需要が発生し、3月の販売台数が前年の3倍を上回った店舗もあった。購入や配送手続きに混乱が生じたケースもあったことから、各社は年末商戦の準備を入念に進めることにした。



プリウス次期モデル 16年投入、海外生産も視野
 トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)「プリウス」の次期モデルを2016年をめどに投入し、北米など海外での生産にも踏み切る方針であることが27日、分かった。
 現行のプリウスは国内で生産し、海外に輸出しているが、為替変動による収益リスクがある。
 トヨタはカムリのHVなどについてはアメリカの現地工場などでも生産している。ただ、ハイブリッド専用車であるプリウスについては、愛知県豊田市の堤工場など国内でしか生産していない。
 プリウスはモーターやバッテリーなどのユニットに先進的な技術が使用されており、改良が続いている。そうした段階で、海外生産に踏み切れば、生産設備の変更などのコストが後で生じる可能性があるからだ。
 一方、トヨタは需要のある地域や国での生産を拡大する姿勢を打ち出している。市場に合った商品を投入できるほか、日本で生産した車を海外に輸出する場合、為替の変動リスクや関税などのコストアップ要因があるためだ。
 このため、4代目となる次期プリウスからは生産技術も進展するとみており、海外生産にも踏み切る方針だ。
 プリウスの今年上期(1~6月)の国内販売台数は約17万台で、6月まで13カ月連続で新車販売のトップに立っている。



(日経社説)新携帯放送はニーズ優先で
 来年7月の地上アナログ放送の終了に伴い、総務省は空いた周波数帯の電波を新しい携帯端末向けの放送に割り当てる。NTTドコモとKDDIの2陣営が免許を申請中だ。電波の有効利用は重要な課題だが、「ワンセグ放送」に加え新しい携帯放送を始めるからには、国民に真に役立つサービスにしてほしい。
 新しい携帯放送は有料を予定。一方的に映像を流す従来型の放送のほか、視聴者が端末に情報を蓄積して見る形など様々な使い方を想定している。フジテレビジョンなど民放やドコモが推す「マルチメディア放送」と、KDDIなどの「メディアフロー」の2方式が競っている。
 民放とドコモによる方式は地上デジタル放送の延長技術で、大きな出力で広い地域を一度にカバーする。新設する「東京スカイツリー」など放送用の送信設備を活用できるので事業者にとっては専用の基地局への投資が少なくて済む。
 KDDIなどの方式は米通信技術会社のクアルコムが開発した技術で米国の携帯電話会社がすでに採用している。専用の基地局を数多く設けることで、ビルの陰や屋内でもよく映るようにした。その分、設備投資にかかる費用は多い。
 総務省は技術と経済性の両面から8月半ばに事業者を選ぶ考えだが、重要なことは利用者が本当に使えるサービスかどうかだ。ワンセグ放送は屋内など映らない場所がある。新しい携帯放送は放送にとどまらず、電子書籍端末などへの情報配信手段としても使えるようにすべきだ。
 ドコモは国産、KDDIは海外の技術を使うが、世界に開かれた方式かどうかも重要だ。日本メーカーが海外に端末を売れなければ携帯電話の二の舞いとなりかねない。
 携帯放送は地デジ移行で生まれる新サービスだけに、総務省は2012年春の開始を期待している。だが空いた周波数を拙速で割り当て、利用者の要望に沿わないサービスを始めても意味がない。過去に「モバイル放送」など衛星技術を使った携帯端末向け放送で失敗例もある。
 両陣営による公開での技術説明会を開いた総務省の試みはよいが、もっと聞かなくてはならないのは利用者の声である。
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(゜Д゜)y─┛~~新聞

日本のヤフー、米グーグルの検索エンジンを採用
 インターネット検索国内最大手のヤフーは27日、米グーグルと提携し、日本国内のインターネット検索サービスについてグーグルの検索エンジンを採用すると発表した。ヤフーは現在、大株主の米ヤフーが開発した検索エンジンを採用しているが、米ヤフーが米マイクロソフトとから検索エンジンの提供を受けることを決めたため、対応を検討していた。日本のヤフーは国内の検索サービスでシェア5割以上を握っており、同3割程度のグーグルとの提携により、日本の検索市場を両社でほぼ独占することになる。
 グーグルの検索エンジンの採用時期は未定。ヤフーはグーグルから検索エンジンだけでなく、検索連動型広告配信システムの提供も受ける。一方、ヤフーはオークション、ショッピングなどの提供サービスに関するデータをグーグルに提供するという。
 日本のヤフーは米ヤフーが34・7%を出資しているが、筆頭株主は38・6%を出資するソフトバンク。



HTC、スマートフォンにソニーのスーパー液晶 有機EL不足で
 HTCが一部のスマートフォンで、ディスプレイをAMOLED(アクティブマトリックス有機EL)からSLCD(スーパー液晶ディスプレイ)に変更する。SamsungのAMOLED生産が間に合わないためで、SLCDはソニーから調達するという。HTCは、SLCDは視野角が広く、コントラストがはっきりしていて、「カラーバランスが自然」で、ほかのLCD技術よりも電力効率がいいとし、「新しいSLCD技術で高い需要に応えて、生産を増強できる」としている。SLCDはAndroid携帯のHTC DesireやNexus Oneなど「さまざまな」デバイスに採用するという。
 例えばHTC Desireは、日本では既に予約分だけで販売を終了すると発表し、有機ELを液晶ディスプレイに差し替えたバージョンを発表している。



ラジオアプリ「radiko.jp」のAndroid版登場
 IPサイマルラジオ協議会は、在京7局、在阪6局のラジオ放送が聴けるAndroidアプリ「radiko.jp」の配信を開始した。Android Marketから無料でダウンロードできる。
 radiko.jpは、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)、2府2県(大阪、京都、兵庫、奈良)の2府2県において、3GおよびWi-Fi回線でラジオ放送が楽しめるAndroidアプリ。放送波で提供されているラジオ放送をインターネット網で配信するIPサイマル放送となる。これまでにパソコン版やiPhone版(iPod touch/iPad含む)などが登場している。
 AMおよびFMのどちらの放送も聴取可能。対応放送局は、1都3県ではTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオNIKKEI、InterFM、TOKYO FM、J-WAVEの7局、2府2県では、朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪、FM COCOLO、FM802、FM OSAKAの6局となる。
 iPhoneアプリと同様に、番組表や番組情報なども配信され、放送中の楽曲情報なども表示される。また、お気に入りの楽曲をメモしておくことも可能。一部のアプリケーションなどを除いて、音楽再生と同様にラジオもバックグラウンド再生できる。
 なお、auの「IS01」には非対応となる。IPサイマルラジオ協議会では、「広くAndroid端末に対応するように開発しているが、中にはキャリア側の特殊パッケージを採用したモデルもある」としている。現時点で非対応だが、協議会としては広く対応していく方針という。NTTドコモの「LYNX SH-10B」については非対応とは案内していない。
 radiko.jpは、パソコン向けのradikoガジェットが約90万ダウンロード、iPhone版が60万ダウンロードを突破している。



NHN、ソーシャルゲーム本格参入 外部のソフト作品も受け入れ
 オンラインゲーム事業を手がける韓国系インターネットサービス会社NHNジャパン(東京都品川区)は26日、参加者同士が交流しながら遊べる「ソーシャルゲーム」に本格参入すると発表した。利用者の所在地や天候、時間帯などに応じてゲームの内容が変わる機能などを投入し、利用者間の交流を促進させてユーザー数の拡大を狙う。スクウェア・エニックスなど外部のゲームソフト会社の作品も受け入れる。
[グラフでチェック] 国内ソーシャルゲームの市場規模
 NHNジャパンは2000年に日本で事業を開始。パソコンで利用するゲームサイト「ハンゲーム」は累計登録会員数が3300万件超と業界最大手で、今年5月には国内ポータルサイト大手のライブドアを買収している。NHNジャパンの森川亮社長は同日の会見で「ライブドアの買収で集客力を増し、日本でネット事業を強化する」と述べた。
 事業強化に向けて、これまで自社の作品だけを提供してきた方針を転換し、スクエニなど70社の作品受け入れを開始。主力のパソコン向けのほか、携帯電話、26日から始めた米ネット検索大手グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載機向けサービスなどで、外部のソフト会社の作品を利用できるようにする。
 森川社長は「パソコン向けで培ってきた課金ノウハウなどを活用し、ソフト会社と共存共栄で事業成長を目指す」と強調した。



ソーシャルゲーム、優良コンテンツの獲得競争過熱
 ソーシャルゲーム提供会社による外部ソフト会社の作品受け入れの動きが広がっている。ミクシィが昨年8月に初めて外部メーカーのソフト投入を可能としたのを手始めに、ディー・エヌ・エーが今年1月、グリーが6月にそれぞれ追随している。
 ソーシャルゲームは、ゲームをあまりやらない「ライトユーザー」向けに、サービス提供会社が自社制作した簡単なソフトを供給することで成長してきた。ただ、2009年度の国内市場が前年比8.5倍増の338億円(矢野経済研究所調べ)と一気に拡大する中で、単純なゲームばかりではすそ野が広がるユーザーをとらえきれなくなるとの見方も浮上している。
 野村総合研究所の山崎秀夫シニア研究員は「見せ方を工夫しなければ飽きがきて、今後1~2年で一気に消費者離れを引き起こす可能性がある」と指摘する。ソーシャルゲームのサービスが乱立傾向となる中で、生き残りをかけた優良コンテンツの囲い込み競争が熱を帯びることは間違いない。



「NTT完全民営化も」 原口総務相、「光の道」協力で
 原口一博総務相は27日、閣議後の記者会見で、全世帯にブロードバンド(高速大容量)回線を2015年までに普及させる「光の道」構想にNTTが協力すれば、政府が保有するNTT株を放出し、完全民営化することを認める考えを明らかにした。
 原口氏は構想の意義を強調した上で「政府がNTTの人事や事業計画の承認権限を持ち続けるのは決して良い形ではなく、完全民営化といったことが大事だ」と述べた。総務省は光の道構想に関連してNTTの光回線網を分離する案を検討しており、原口氏の発言はこれに反対するNTTの態度軟化を促す狙いがあるとみられる。



建設投資 33年ぶりに40兆円割れに 建設経済研究所調べ
 建設経済研究所が27日発表した「建設投資の見通し」によれば、2010年度の建設投資額は前年度比6・8%減の39兆3200億円となり、1977年度以来の40兆円割れが避けられない見込みだ。マイナスは、97年度以降14年連続。国の公共投資削減にくわえ、景気低迷を背景に、建設投資の3割超を占める民間の住宅建設が伸び悩むことなどが影響する。90年代前半には安定して80兆円を超えた建設投資額が半減し、建設業界は苦しいかじ取りを迫られている。
 投資の内訳は政府建設投資が18・5%減の13兆7700億円、住宅投資は、リーマンショックによる昨年の激減から0・1%増の13兆7200億円となる見込み。民間の住宅以外の建設投資は、企業の設備投資の若干の回復などから、2・2%増の11兆8300億円を予想している。
 一方、11年度は1・9%増の40兆500億円と、96年度以来、15年ぶりに前年度実績を上回ると予想した。政府の公共事業は依然として減少が続くものの、「民間の住宅着工の回復のほか、非住宅以外の改善が予想されるため」(丸谷浩明研究理事)という。



大日本、凸版印刷2社主導の電子書籍業界団体が発足 89社が参加
 大日本印刷と凸版印刷の印刷大手2社を発起人とする「電子出版制作・流通協議会」は27日、都内で設立総会を開き、正式に発足した。会長には高波光一・大日本印刷副社長、副会長に大湊満・凸版印刷常務が就任。出版や新聞、通信、電機など89社が参加し、日本でも立ち上がりつつある電子書籍市場の流通や規格の整備に乗り出す。
 電子書籍をめぐっては、出版31社による日本電子書籍出版社協会が3月に設立されている。今回の協議会は、出版社側と端末メーカーを含む小売業をつなぐ中間段階での電子書籍ビジネスの整備を目指す。
 電子書籍市場は米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の発売で急速に盛り上がっている。



英BP、原油回収や賠償負担に2兆8000億円計上
4~6月最終赤字1兆5000億円
 【ロンドン=石井一乗】英石油大手のBPが27日発表した2010年4~6月期決算は、最終損益が171億5000万ドル(約1兆5000億円)の赤字となった。前年同期は43億8500万ドルの黒字。4月20日に米メキシコ湾で起きた原油流出事故に絡む原油回収や地域住民などへの賠償負担で今後見込まれる額として321億9200万ドル(約2兆8000億円)を費用計上した。
 1~6月の中間期でも、最終損益は110億ドルの赤字となった。事故の影響を除けば増益だった。



株、市場の「水先案内人」の悩み深く トヨタ売り・BMW買い続く?
 27日前場の日経平均株価は前日終値(9503円)を挟んで一進一退だった。26日のニューヨーク・ダウ工業株30種平均が100ドル高だったにもかかわらず、日本株の動きは鈍く、株式市場の「水先案内人」である証券各社の情報担当者もお手上げ気味だ。
 「私が教えて欲しいくらいだ」。前場中ごろ、ある中堅証券の投資情報部長に日本株の上値が重い理由を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。ダウ工業株30種平均は5月中旬以来、上海総合指数は27日は下落しているものの、26日には6月下旬以来の水準を回復した。外部環境の改善を受け、日本株は買われても不思議ではないが、日経平均はまだ7月14日の戻り高値(9795円)すら回復できない。
 表向きには主要企業の2010年4~6月期決算発表が始まり、「決算内容を見極めたい」という事情があることは間違いない。前期までに実施したリストラ効果とアジアを中心にした売り上げ回復で、4~6月期の増益基調は分かっていても、7~9月期以降の採算確保に確信が持てないためだ。
 最大の理由は円高の長期化観測にある。株式市場には「輸出主導による景気回復を念頭に置く米欧の自国通貨安容認姿勢で日本が割を食う」(明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリスト)との懸念がくすぶっている。
 代表例はトヨタだろう。27日前場は米株高にも反応せず1.1%安。年初来安値(7月1日、3000円)近辺で低迷した。値動きは今春以降、右肩上がりを続ける独BMWと対照的だ。「中国における価格競争力の差を投資家は織り込みに動いている可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)。
 PER(株価収益率)など投資指標でみると割安感があるとされる日本株。日経平均採用全銘柄平均の予想PER(26日時点)は16.3倍と過去10年では低い水準と言える。しかし、「欧米の10倍前後と比較すると決して割安とは言えない」(準大手証券)との指摘もある。過去との比較という縦の線から国際比較という横の線に投資の視線を切り替えると、別な風景が見えるという訳だ。
 こうした「割高・割安論争」は、世界と比べ日本株の出遅れ感が目立つ時に限って広がる傾向がある。「日本企業の1株利益水準は切り上がっているため、(日本株に出遅れ感のある今は)買いの好機」(みずほ証券の北岡智哉シニアストラテジスト)との声もある。
 それでも、国際比較にたけた海外投資家が日本株に魅力を感じなければ、相場に勢いは戻らない。相場の水先案内人の悩みが解消する日は、まだ当分先ということなのだろうか。



日米市場、際立つ温度差(10/07/27)
 27日の東京株式市場で日経平均株価は小反落。ダウ工業株30種平均が約100ドル高となった前日のニューヨーク株式市場とは対照的に、無気力な展開となった。米市場では6月の新築住宅販売などを受けて「景気減速懸念の後退」が取りざたされたが、東京市場の投資家らが冷めたムードから抜け出す気配は感じられなかった。
 米新築住宅販売は年率換算で33万戸で、前月比約24%増と大幅なプラス。増加幅は約30年ぶりの大きさで、市場予想の中央値(31万戸)も上回った。住宅取得支援策の打ち切りの影響が懸念されていただけに、米市場では株高の理由として位置付ける向きが多かった。もっとも、前年同月比では約17%減少し、水準そのものも過去2番目の低さ。しかも、5月実績が速報の30万戸から26.7万戸へと大幅に下方修正され、日本の市場関係者からは「住宅需要の基調を見極めるには、少なくとも向こう数カ月のデータを確認する必要があろう」(シティグループ証券の村嶋帰一エコノミスト)など冷静な声が聞かれた。
 代表的な景気敏感株とされる米貨物大手のフェデックスが業績予想を引き上げたことも米株高を支えた。ただ、こちらももろ手をあげて喜べる内容とは言い難く、6~8月期、2011年5月通期とそれぞれ1株利益の予想値を引き上げはしたものの、通期の利益見通しは市場予想にとどかなかった。東京市場ではフェデックスが業績予想を引き上げた連想から郵船や商船三井、日通、ヤマトHDなどの運輸関連株が物色されたが、他業種にも買いが波及するほどの勢いはなかった。
 景気見通しが「異例なほど不確か」ななかでも、米国の投資家にはさまざまな材料のいい側面に着目し、景気回復の前ぶれを探ろうとする前向きさが残っている。その半面、本格的なバブル崩壊とその後の長期低迷を経験した日本の市場関係者は、どうしても自らの経験にダブらせる形で米景気の長期・構造的な減速を警戒してしまうようだ。米政府財政の悪化を背景に、今後の景気下支え策は金融政策の負担が重くなるのがほぼ確実。その結果、ドル安・円高が日本株の重荷となる構図が続きそうなことも、日米市場での温度差につながっている。
 実際、足元の東京市場では慎重な投資姿勢が目立つ。例えば、メリルリンチ日本証券の菊地正俊株式ストラテジストは26日、「景気鈍化で注目される農業・食品・ヘルスケア産業」と銘打ったリポートを発表。「安心安全な」日本の食品や医療機器への需要が中国を中心とする新興国で増えているのに加えて、「世界経済の不透明性が高まる」なか、ディフェンシブ性の高い食品やヘルスケアが相対的な優位を保つ可能性があるからだ。
 米景気が中長期的にどんな道のりをたどるのかを予測するのは容易ではない。ただ、各市場ごとに投資家心理の動きにはそれぞれ特定のバイアスがかかっていることを意識していないと、市場の反応を見極めるのは一段と困難になってしまう。



【産経社説】
概算要求基準 野党と政策協議を急げ
2010年7月27日
 政府が二〇一一年度予算の概算要求基準(シーリング)原案を決めた。与野党が衆参で入れ替わるねじれ国会の現実を踏まえれば、菅直人政権は予算編成段階から野党との政策協議を急ぐべきだ。
 来年度の予算編成はこれまでになく厳しい状況下にある。まず、そもそも財源に余裕がない。
 政府は来年度国債発行の上限を約四十四兆円、国債費を除く一般会計歳出の上限を約七十一兆円と決めている。
 すると、内閣府の試算では二兆円強の税収増を見込んだとしても、約五兆円の歳入不足になる。
 民主党は新成長戦略や子ども手当の上積みなどマニフェスト政策実施のために二兆円の特別枠を設けるよう求めていたが、政府の原案はそれを「一兆円を相当程度超える額」に圧縮した。
 それでも歳出上限の範囲内に抑えるためには、高齢化に伴う社会保障費の自然増加分一・三兆円と合わせて、三兆円前後を他の予算項目の削減や組み替えで捻出(ねんしゅつ)しなければならない。
 原案は各省庁予算の一律10%削減を求めている。本来、組み替えによる重点化を目指すなら、一律ではなく、めりはりが利いた各省予算の増減があって当然だ。
 一律削減になったのは、各省横並びという霞が関秩序を優先した結果である。政治主導の予算編成どころか、スタートから役所の都合を重んじた「財務省主導」が鮮明になってしまった。
 特別枠の配分について、仙谷由人官房長官は外部の意見を参考にしたり、公開の「政策コンテスト」を実施して決める考えを表明した。予算編成の透明化を進めること自体に異論はない。
 ただ、これまでは既存の予算枠に収めきれなかった分を少し体裁を変えて重点化の特別枠に押し込む例も目立った。「政策コンテスト」に名を借りて、各省の予算分捕り合戦にしてはならない。
 来年度予算編成が難しいのは、財源不足に加えて国会がねじれ状況になっているためだ。政府が自民党はじめ野党の言い分に耳を傾けずに作業を進めても、来年の通常国会で予算案の裏付けになる予算関連法案を参院で可決成立できる見通しはない。
 関連法案が否決されてしまえば結局、予算は執行できない。そんな現実を直視するなら、政府・与党は予算編成段階から野党と政策協議に踏み込むべきではないか。それが政治主導にもつながる。
 菅政権の度量が試される。

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ゲームソフト開発短縮 カプコンやバンダイナムコ
 ゲームソフト各社は人気ソフトの開発期間を短縮する。カプコンは外部委託を積極化し、新作を投入するまでの期間を従来の4年程度から1~2年早める。バンダイナムコゲームスは高機能携帯電話(スマートフォン)向けに人材を集中して数カ月での開発を可能にするなど柔軟な体制に切り替えた。投入サイクルを縮めて業績の変動を抑え、携帯など多様な端末の登場への対応も急ぐ。
 カプコンは「バイオハザード」など人気作品の新作を従来の年2本程度から3~4本に増やす。同社が抱える家庭用ゲームの開発要員は約900人。大型作品の開発には100人以上が必要になるため、年間の開発案件が30~40本に達する現状では、迅速な新作投入が難しい。北米や欧州を中心に外部企業を活用して開発速度を上げる。
 カプコンの2010年3月期の連結売上高は前の期比27%減の668億円、純利益は73%減の21億円となった。人気ソフトの端境期にあたっていたことが主因だという。ソフトの投入を増やして収益を安定させる。
 携帯端末向けなど新たな市場の開拓も進める。8月には交流サイト(SNS)大手ディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」向けに作品を投入し、ソーシャルゲームに参入する。今春には米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」にバイオハザードの配信を始めている。
 バンダイナムコゲームスは同じタイトルのソフトでも据え置き型や携帯型など使う端末によって分かれていた開発、販売などの部隊を統合した。例えば、スマートフォン向けに人員を集中し、家庭用ゲーム機向けの場合で2~3年の開発期間を数カ月に短縮することが可能になるという。
 コーエーテクモゲームスも携帯端末部門とパソコンなどのオンライン部門の開発部隊を統合するなどし、機動的な開発につなげている。



天満屋、広島八丁堀店に大型書店 今秋「丸善&ジュンク堂」
 天満屋(岡山市、伊原木隆太社長)は広島八丁堀店(広島市)の7~8階フロアを改装し10月9日、「丸善&ジュンク堂書店」を開設する。大日本印刷傘下のジュンク堂書店(神戸市)と丸善が共同展開する新ブランドの店舗で、蔵書数120万冊と広島県下では最大規模の店舗になる。八丁堀周辺では唯一の大型書店となり、百貨店の集客力を高める。
 店舗面積は約4000平方メートルで、一般書のほか、豊富な専門書をそろえる。運営はジュンク堂書店が担う。7階には「タリーズコーヒー」も新たに出店、午後10時まで営業し、利便性を高める。投資額は約3億円。
 改装に伴い婦人衣料品売り場は縮小した。今後は書店と食品や衣料品など他の売り場と連携した販売促進イベントも展開する計画だ。



日産、メキシコで低価格車生産 年30万台
北・中南米向け
 日産自動車はメキシコで低価格の新型小型車3車種を年間30万台規模で生産する。2011年初めから小型車「マーチ(海外名マイクラ)」を生産するのを皮切りに、13年までにセダン、多目的車(MPV)を追加する。北米地域や成長が続く中南米諸国にも供給し、メキシコを北・中南米の輸出拠点に位置付ける。新型車の生産に伴う製造設備の入れ替えなどで6億ドル(約520億円)を投資する。
 新型3車種の生産は、小型車「ティーダ」など主に4車種を製造している北部のアグアスカリエンテス工場を中心に手がける予定。ピックアップトラックなど3車種を主体とする南部のクエルナバカ工場でも生産を検討する。両工場の年間生産能力はそれぞれ約35万台と約25万台だが、設備入れ替えの投資後も当面は生産能力を大きく変えない見通しで、製造する車種の入れ替えも視野に入れているとみられる。
 新たに生産する3車種はコスト競争力の高い新型車台「Vプラットホーム」を採用した戦略車。ハッチバック車の「マーチ」の価格は1万ドル(約90万円)前後で調整する。マーチはタイや日本、インドですでに販売しており受注も好調。メキシコでもセダン、ミニバンと品ぞろえを広げ、多様な市場ニーズに応える。
 日産はメキシコを南北アメリカ各国向けの供給拠点に位置付け、ブラジルをはじめ新興国市場で拡大する需要に対応。日本からの輸出に依存しない体制を築く。年間30万台を生産する予定の新型3車種は全体の2割をメキシコ市場で販売し、残りの8割を中南米や北米に輸出する。米国やチリなど周辺国との自由貿易協定を活用してコスト競争力も高める。
 これまで中大型車が中心だった米国でも、燃費規制の強化で今後は低燃費小型車の需要が拡大する見通しだ。経済成長で所得水準の向上が見込める中南米では初めて新車を購入する消費者向けの「エントリーカー」として低価格小型車に関心が集まっている。
 北・中南米で日産はメキシコのほか米国に2つの完成車工場を持つ。ブラジルでは仏ルノーの工場でピックアップトラックなどを生産している。ただ、米国工場は北米市場に向けた中大型車の生産が主体。ブラジルは生産量が限られている。まずは小型車の生産ノウハウがある既存のメキシコ工場を北・中南米の小型車供給拠点に育てる。



共通車台、世界で導入 小型車、効率生産で先行
日産、メキシコなどに
 日産自動車は新興国向けの小型車を中心に、新たに開発した車台「Vプラットホーム」を世界各地で導入する計画を進めている。メキシコのほか、中国、インドなど日本以外の複数国の工場に導入する。この車台は現地で部品を調達することを前提に設計しており、車両の製造コストを約3割下げられる。競争力のある共通車台を素早く世界各地に展開し、需要が膨らむ小型車の分野で先行する。
 日産は量販車種「マーチ(海外名マイクラ)」の生産を日本からタイに移管。タイ製マーチを日本に輸入し、今月から販売している。現地調達する部品の仕様にあわせた車台を独自開発して生産コストを下げ、周辺国に大量輸出する戦略に転換した。円高や原材料高騰などで「マーチクラスの小型車を日本で生産・輸出していては採算が合わない」(幹部)ためだ。
 2013年までに共通車台を使い生産する台数を世界合計で100万台規模に増やす。中国は主に自国向けとみられるが、タイは日本やオセアニア諸国、インドは欧州や中近東・アフリカなどに輸出する。価格は1万ドル(約90万円)前後を軸に、市場動向や装備により各国ごとに定める。
 部品の現地調達率を9割以上に高めて調達コストを削減。輸出を含む大量生産で製造コストも抑える。
 自動車各社は新興国向けの小型車開発を急いでいる。「利幅の小さい小型車でいかに稼げるか」(日産幹部)がカギを握るため、各社とも現地生産を加速させている。



NECライティング、伊那工場閉鎖 140人の雇用維持難しく
 NECの照明子会社、NECライティング(東京・品川)は26日、11月末で伊那工場(伊那市)を閉鎖すると発表した。同工場には従業員が140人いる。今後は他のNECグループ企業への配置転換などを検討するが、地元採用の従業員が多数を占め、雇用維持は難しい状況だ。
 伊那工場は液晶テレビのバックライト光源に使う蛍光ランプを製造するが、パネル製造拠点が中国に集中しているため現地生産の必要性が高まっていた。NECグループへの配置転換や早期希望退職者を募集し、外部企業への再就職を支援する。
 伊那工場は長野日本電気(NEC長野、伊那市)の敷地内にあり2005年から操業。NEC長野の生産規模縮小に伴い、08年に85人がNECライティングに移籍した。このためNEC長野では「従業員を受け入れる余裕はない」(経営企画部)としている。
 NEC長野とNECライティング伊那工場は会議室や食堂を共有するなどの関係はあるが、閉鎖に伴う業務上の影響はないという。



スパンション日本法人、年内にも会社清算へ
 経営再建中の半導体メーカー、スパンション・ジャパン(川崎市)は、2010年内にも会社を清算する方針を固めた。米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)への工場売却が15日に決定。米スパンションからの受託生産事業や残りの債務弁済をTIが引き継ぐことになったためだ。
 スパンション・ジャパンは09年2月の経営破綻後、親会社で同時期に破綻した米スパンションと経営や財務を分離。独立系の受託生産会社(ファウンドリー)となり生き残りを目指した。
 しかし破綻時に約741億円もあった債務が重荷となった。確実な債務弁済を裏付ける顧客の獲得に失敗。自社工場も売却が決まり、清算を余儀なくされる見通しだ。
 TIは日本に新たな生産子会社を設立し、買収する福島県会津若松市の2工場の運営母体とする。TIは会津若松工場の従業員500人の雇用を維持する意向を示している。直径300ミリメートルのシリコンウエハーを使う最先端の生産設備は、TI米国工場の能力増強に活用したり、台湾企業に売却したりする方針。
 スパンション・ジャパンが米スパンションなどから長期契約していた受託生産もTIは承継。残りの契約期間中は、小容量データを保持するNOR型フラッシュメモリーを供給する。契約満了後は自動車向けが中心のアナログ半導体工場に転用する。
 スパンション・ジャパンは足元で300億円程度とみられる債務の弁済に工場売却代金を充てる。弁済残額はTIが引き受ける。
 スパンション・ジャパンの会社清算の背景には、世界の半導体産業の潮流変化もある。金融危機後、国内外の半導体メーカーは固定費負担を減らすため、自前の生産能力を減らす一方で、外部委託への依存度を高めた。
 その結果、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)、米国のグローバルファウンドリーズなど、ファウンドリー業界で巨大企業による寡占化が進んだ。スパンション・ジャパンが、低コスト生産を売り物にしたこれら企業に太刀打ちするのは難しく、顧客を確保できなかった。



バイク てこ入れ加速…国内販売、ピーク時の1割
 二輪車大手各社が、若者の「バイク離れ」などで低迷する国内販売のてこ入れを進める。ホンダは、国内で販売する二輪車約45車種すべての販売価格を、次期改良時から1~3割程度引き下げるほか、ヤマハ発動機の販売店はレンタルサービスで利用者のすそ野を広げる。二輪車の国内販売台数は景気低迷や都市部の駐車場不足などから、ピーク時の10分の1まで激減しているため、あの手この手で顧客を開拓する。
 ホンダは今後3年間で順次、全面改良や一部改良に合わせて販売価格を引き下げる。現在販売中のモデルの価格は維持する。ホンダによると、排ガス規制が強化された06~08年に、燃費性能を高める電子制御式の燃料噴射装置を搭載するなどし、コスト増加分の1~2割を製品価格に転嫁した。低価格の海外製部品の割合を高めるなどし、約10年前の水準まで引き下げたい考えだ。業務用の配送などにも使われる「スーパーカブ50」(排気量50CC)の最廉価モデルは現行20万円強だが、次期モデルは2割程度値下げして16万円前後になる見込みだ。
 値下げで収益が圧迫されないよう、先進国でも売れるやや付加価値の高いモデルを生産コストの低い新興国で生産し、世界戦略車と位置付けて国内に逆輸入することも進める。
 第1弾として3月末に発売した125CCスクーター「PCX」はタイで生産。信号待ちなどの停車時にエンジンを止めるアイドリング・ストップ機能を同クラスで初めて搭載したにもかかわらず、30万円を切る価格に設定。国内で生産すると40万円以上になると見られ、「市場縮小に歯止めをかけるには価格でアプローチするしかない」(ホンダ幹部)と判断した。伊東孝紳社長も「今後もアジア発の世界戦略二輪車を増やす」と話す。
 一方、ヤマハ発動機の東京都内などの12の販売店では7月から順次、二輪車を時間貸しするレンタルサービスを始めている。排気量50CCから1900CC前後の海外専用モデルまでが対象になり、各店舗がそれぞれ5車種以上を用意する。50CCを4時間3100円で貸し出すなど、手軽に二輪車を体験してもらい、顧客のすそ野を広げる考えだ。
 ヤマハ発の柳弘之社長も「引き下げというより価格の適正化はありうるが、どのぐらいの線にするかは今後検討する」と述べ、ホンダ同様、値下げによる顧客へのアプローチが不可欠と見る。
 スズキは、世界で98まで膨らんだモデル数を54まで絞り込み、部品の設計変更などの際にかかるコストや時間を削減するほか、売れ筋車種を積極的に拡販する。
 日本自動車工業会によると、国内の二輪車市場は09年に前年比27.1%減の38万777台で、ピークだった1982年(約329万台)の1割強の水準まで落ち込んでおり、立て直しが急務となっている。



中国、鉄鋼再編を加速 メーカーを4分の1に
 【上海=下原口徹】中国政府は鉄鋼業界の再編・淘汰に乗り出す。約800社ある鉄鋼メーカーを4分の1の200社まで削減する。企業規模、高炉の生産能力、環境対応能力などで鉄鋼会社の存続条件を打ち出し、基準に満たない企業を淘汰する。再編を促す新たな通達を近く出す。
 中国の鉄鋼業界は生産能力と在庫の「2つの過剰」問題に直面している。鉄鋼メーカーの業績が悪化するなか、ようやく再編が本格化しそうだ。
 鉄鋼業界の監督官庁である工業情報化省の陳燕海司長が「連携・再編や立ち遅れた設備廃棄などにより鉄鋼企業数を減らす。800社あるメーカーの再編・淘汰を進め、200社程度にするのを第一目標とする」と語った。同省は鉄鋼メーカーの存続条件として具体的な環境、省エネ基準を盛り込んだガイドラインを定めた。
 それによると、鉄鋼メーカーの再編・淘汰を促すため、1社当たりの最低年産規模を100万トン以上、特殊鋼メーカーでは30万トン以上と規定。省エネ面では高炉での生産1トン当たりのエネルギー消費量を標準石炭換算で446キロ以内に抑えるよう要求。環境面でも鉄鋼生産1トン当たりの排出量を汚水は2立方メートル以下、粉じんは1000グラム以下に抑えるよう求めた。
 陳司長は「我が国には世界に誇る5000立方メートルを超える巨大な高炉がある一方で、300立方メートルに満たない小さな高炉も淘汰されないまま残っている」と指摘。近く鉄鋼企業の合併、再編を奨励する「鉄鋼企業連携再編加速指導意見」という通達を公表し、具体的な行程表を打ち出す。
 中国の鉄鋼メーカー上位5社の粗鋼生産量の合計は全体の30%にも満たない。新たな通達では鉄鋼業界の国際競争力を高めるため2011年までに宝鋼集団、武漢鋼鉄集団など年産能力5000万トン以上で国際的な競争力の高い超大型鉄鋼メーカーを数社、年産能力1000万~3000万トンの大型鉄鋼メーカー数社を育成する計画を実行するよう求める見通し。同一地域内の同業他社との統合加速や中小メーカーの再編に言及する。
 中国鋼鉄工業協会によると、中国の鉄鋼各社は価格低下と需要鈍化を受けて赤字転落の危機にある。中国の鉄鋼現物相場は4月後半に年初来高値に達した後、約15%値を下げた。宝鋼集団と武鋼集団は8月に鉄鋼製品価格を一部引き下げる方針。
 鋼材在庫も6月末で1600万トンに達し、高止まりしたまま。価格に頭打ちの兆しが出ている不動産や、自動車など鉄鋼の主要産業で需要が減退し、多くの鉄鋼メーカーが減産を余儀なくされている。鉄鋼輸出も今年下半期に大幅に落ち込む可能性が高い。中国の鉄鋼企業の経営基盤が小さいことが、高騰する鉄鉱石の仕入れ交渉で中国が価格決定権を握れない要因のひとつとの見方もあり、再編機運が急速に高まっている。



パナソニック、省エネ家電の機種5割増 消費電力を半減
 パナソニックは消費電力を最大で約5割減らせるエアコンなど白物家電の省エネ機種を大幅に増やす。独自のセンサー機能で室温などを検知して電力消費を抑えるタイプで、国内では今夏の商戦で昨年度末比5割増の68機種を投入する。欧州や中国でも順次、発売する計画だ。消費者の関心が強い省エネ性能を強調し、価格競争と一線を画すことをめざす。
 拡充する機種には「エコナビ」と呼ぶ独自の省エネ機能を採用している。エアコンではセンサーで気温や間取り、人の動きなどを感知して運転を自動制御し、冷房時の消費電力を最大50%減らせる。価格は20万円台のエアコン上位機種の場合で、数万円高くなる。
 今夏はエアコンで昨年度末より5割多い34機種、洗濯機と冷蔵庫を加えた白物家電の主要3品目では4割増の47機種へ品ぞろえを増やす。主要3品目の全機種に占めるエコナビの割合は10ポイント程度増え、約55%になる。高効率給湯器「エコキュート」などでも21機種で同機能を搭載する。
 昨春に白物家電に本格参入した欧州での販売も検討。中国の富裕層向けにも投入する計画だ。
 家電エコポイント制度の導入後、消費者は価格が高くても年間電力料金を抑えられる省エネ家電を選ぶ傾向が強まっている。高付加価値の白物家電の販売増が寄与し、同社の2010年4~6月期の営業損益は黒字(前年同期は201億円の赤字)に転換する見通し。
 白物家電の強化に向けてアフターサービスも充実させる。顧客が修理に出してから最短3日で修理し、返却する。



日経社説
太陽光発電に偏っては困る  太陽光や風力など自然エネルギーでつくった電気の全量を電力会社が買い取る新制度について、経済産業省が案を示した。新しい環境産業を育て、温暖化ガスの大幅削減へ踏み出すのに重要な仕組みだが、太陽光発電の後押しに偏っていないか。
 この制度では、電力会社が支払った分は家庭や企業の電気料金に上乗せされる。試算では開始10年目で標準家庭の電気代は月150~200円増す。家庭や企業が不公平感を抱かないように負担増への理解をどう得るか。風力やバイオ発電などもバランスよく後押しするよう、きめ細かな制度設計が必要だ。
 昨年11月、家庭の太陽光発電で余った分を1キロワット時48円で買い取る仕組みが始まった。新制度の買い取り価格はこれと同じ程度で、家庭用では収支トントン。一方で事業目的でつくる電気も買い取りの対象に加える。大規模に発電すればコストが安いので利益が見込め、太陽光発電会社の参入を促す効果がある。
 家庭の太陽光発電は全部を買い取ると電力会社の支払いが膨らみ、電気料金が大幅に上がる恐れがある。それを防ぐため今と同じ余った電気だけを対象としたのは妥当だろう。
 不可解なのは、風力やバイオ燃料、小規模な水力発電などは同15~20円の一律の値で買い取るとした点だ。バイオ発電はコストが同数十円とまだ高く、風力などと同じ条件では不利だ。コストに応じた値で買い取り投資資金を回収しやすくするのが制度の狙いとすれば、発電方式ごとに価格を決めるのが筋である。
 電気料金への上乗せでも細心の制度設計が欠かせない。電力を多く使う電炉業界などには軽減措置があってもよい。家庭向けでも、低所得者層への配慮などが必要だろう。
 太陽光パネルを取り付けた家庭への補助金は、新制度の導入後も続けるという。だが設置場所がないなどの理由で買えない人からは、購入者を優遇しすぎとの不満も出ている。当面は続けるにしても、いずれは縮小や廃止を考えるべきだ。
 政府は2020年までに国内のエネルギー供給の1割を自然エネルギーで賄う目標を掲げる。この制度を上手に使って自然エネルギーの普及に弾みをつけてほしい。
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