(゜Д゜;)新聞

ソニー、手本はアップル ハードとソフト融合 PSNを活用
 人々が欲しいと考えもしなかった商品を発明して、業界標準を確立する。それがかつてのソニーだった。携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」や家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」などが代表例だ。こうした才覚によって、ソニーは市場シェアを拡大し、高い製品価格を設定できていた。
 これが米アップルの最近の歴史とかなり似ているとすれば、ソニーのストリンガー最高経営責任者(CEO)にとっての大きな試練は、ソニーがアップル中心の世界で際立つには、どうすればよいのかということになる。ブルームバーグ・ビジネスウイーク誌(7月5日号)が報じている。
 ◆「四銃士」に指令
 ストリンガーCEOはアップルの戦略を手本にしている。ソニーが持つ音楽や映画、ゲームの膨大なコンテンツ(情報の内容)をテレビなどのソニー製品にデジタル形式で直接流し、一体化させていきたい考えだ。
 鍵を握るのはゲーム機「プレイステーション3(PS3)」と無線ブルーレイディスク(BD)プレーヤーだろう。ソニーはこうした製品が、アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」のように、消費者がパソコンを使わずにコンテンツを入手するメディアの中心となるように力を入れている。
 ストリンガーCEOの前任者である出井伸之氏もコンテンツとハードウエアの融合を試みたものの、社内での反発を受けて断念した経緯がある。リセッション(景気後退)に見舞われたことで、ストリンガーCEOには現状を打開する機会が与えられた。同CEOは大幅な人員削減やテレビの生産委託のほか、経営幹部の若返りを断行して、「四銃士」と呼ばれるチームを選出した。注目すべき「銃士」は平井一夫氏だ。PSの普及に寄与した実績を持つ平井氏は現在、ネットワークプロダクツ&サービスグループを統括している。
 以前は、テレビやゲーム、映画それぞれの部門で、独自にウェブサイトにコンテンツを流していた。しかし、平井氏は各部門を統合して、どのソニー製品からも1つのアカウントで音楽や映画などにアクセスすることを可能にした。アップルのオンライン配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」と似た方式だ。
 ◆3Dテレビに競争力
 ソニーは無料ウェブサービス「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」を全社的なモデルに活用したいと考えている。4年前に導入したこのサービスには5000万人が登録し、ウェブ上でビデオやゲーム、音楽ソフトの購入・レンタルができる。ストリンガーCEOは2013年3月末までに、こうしたネットワークにつながる機器3億5000万台を販売し、映画やゲームを含むネットサービスから34億ドル(約2996億円)の売り上げ確保を目指している。
 ソニー・エレクトロニクスの米国マーケティング責任者、マイク・ファスロ氏によると、ソニーが競争上有利なのは3次元(3D)関連かもしれない。ここでも、3D撮影したサッカーワールドカップ(W杯)の映像などのコンテンツを取りそろえ、3Dテレビなどの販売を促す構想となる。
 ソニーは09年3月期と10年3月期が赤字となった。しかし、5月には今期の連結最終損益が500億円の黒字との予想を示した。これはコスト削減で財務基盤が安定化してきたサインだ。
 ストリンガーCEOは今後、これまで長いこと語ってきた事業の相乗効果が実現できることを証明せねばならない。



インド政府、「ブラックベリー」「スカイプ」規制検討 現地報道 通信暗号、解読できず
 2日付のインドの経済紙ミントは、同国政府が携帯情報端末「ブラックベリー」やインターネット経由で無料通話ができる「スカイプ」などの使用を規制する方向で検討に入ったと報じた。ブラックベリーなどが採用している通信の暗号技術を治安当局が解読できず、テロ組織による利用への懸念が高まっているためだという。
 同紙によると、通信・情報技術省は近く「ブラックベリー」と「スカイプ」を手掛ける各社のほか、電子メールのサービスを持つ米グーグルの3社に対し、暗号技術を15日以内に解読可能な方式に切り替えるよう要請。各社が従わない場合は通信の強制的な遮断も辞さない構えだ。
 最新の情報通信サービスを巡っては、中国政府がグーグルの検索事業で検閲を導入している。印政府の動きは狙いが異なるものの、個人情報の保護を損なう恐れがあり、利用者の強い反発を招きそうだ。



高機能携帯で日本をガイド 観光庁、中・韓・英語で旅行情報 端末も貸し出し
 観光庁は外国人向けに、中国語や英語の観光情報を「iPhone(アイフォーン)」などスマートフォン(高機能携帯電話)を使って、発信する。10月にまず、沖縄の名所、飲食店情報の提供を始める。空港などで、端末の貸し出しも受け付ける。「訪日外国人3000万人計画」を進める一環で、京都など他の観光都市にも広げていく。
 スマートフォンは身元証明書の提示などの手続きのうえ、有料で貸与する。空港や駅の旅行会社のカウンターで受け付ける仕組みで、料金はこれから詰める。
 情報は、携帯電話会社が地元の商店や観光協会から提供を受けて、編集・構成する。観光名所やレストラン、ショッピングのほか、ATM・両替所や交通機関など様々な情報を掲載する。外国人が地元住民に日本語で意思を伝えやすいように、自動翻訳機能もつける。
 日本語のほか、英語、中国語、韓国語の3カ国語で始め、フランス語やドイツ語、スペイン語の追加も検討する。
 観光庁は10月以降、京都でも同様のサービスを始める。2020年初めまでに訪日外国人数を2500万人とし、将来は3000万人を目指す目標の達成に向けて、外国人が旅行しやすい環境づくりを進める。



京都の大谷大、人文情報学科の全学生に無料でiPad
 大谷大(京都市北区)は2日、文学部人文情報学科の全学生に、来年度から米アップル社の新型情報端末「iPad(アイパッド)」を無料で配ると発表した。講義資料のデジタル化やリポート提出、出欠記録などに活用する。
 インターネット環境を充実させて情報分野に人材を送り出すことと、最先端の取り組みをアピールして受験者を増やすことが狙い。来春の入学生も含めた同学科の在学生計約480人に配る。購入費は約2400万円。



W杯日本戦のテレビ放映、同じCMばかりだったのはなぜ? 
 2010年ワールドカップ南アフリカ大会では史上初のベスト8進出こそ果たせなかったものの、下馬評を覆し見事決勝トーナメントに駒を進め、日本中を大いに歓喜させてくれた岡田ジャパン。テレビ朝日系で生中継されたオランダ戦の平均視聴率は43.0%(関東地区)、日本テレビ系のデンマーク戦は朝方にも関わらず午前5時からの平均が40.9%(関東地区)。TBS系のパラグアイ戦は57.3%(関東地区、延長前半13分まで)でTBS史上最高の視聴率をたたき出すなど各局を沸かせる結果となった。
 視聴率40%超えともなればCMの宣伝効果は抜群だったはずだが、グループリーグのオランダ戦・デンマーク戦、決勝トーナメントのパラグアイ戦では、三井住友海上の「巨大なゴールキーパー」のCMや自民党など同じ企業のCMばかりが流れていた。しかし放送された局は異なるのに、スポンサーがほとんど同じなのはなぜなのだろうか。
 「ワールドカップの場合は、通常の局ごとでの売り方ではなく、民放連全体でCMのパッケージ売りをしています。パッケージなのでスポンサー料は巨額です」と話すのは某テレビ局関係者。パッケージ売りだから、資本力がある大手企業でないと買い取ることができなかったようだ。
 また別の関係者はスポンサー料についてこう話す。「番組によりますし一概には言えませんが、ゴールデンタイムだと半年契約でスポットCMが300万円くらいが目安ではないでしょうか。今は不況ですし、スポンサーが付きにくい時代です。特に深夜番組はスポンサーが付きにくいです。おおよそですが半年契約で100万円~200万円くらいとゴールデンとはまるで違います。しかし、同じ深夜でもワールドカップはもちろん別格で、15秒CM1本の“価値”はアバウトですが400万円~600万円くらいになるのではないでしょうか」
 ワールドカップ効果はやはり絶大のようだ。日本は惜しくも敗れてしまったが、決勝戦までまだまだ魅力的なカードが目白押しで高視聴率が期待できるだろう。民放各局は4年に一度の祭典を思う存分堪能しているに違いない。



民間のノウハウどう活用 改革手腕、成長力を左右
 人材派遣大手のパソナは昨年から検討してきた農業生産法人を立ち上げる計画を断念した。規制の壁に阻まれた。
 野菜などの販売、畑で働きたい人の研修、ほかの農業生産法人への人材派遣……。パソナが描いていたのは「農業の総合会社」(山本絹子専務)。1年間社内で議論し、役員や社名も考えていた。
課題なお山積
 壁になったのは「農業生産法人は売り上げの過半が農業分野でなければならない」という農地法の規制だ。人材ビジネスと農業を一緒に展開すれば、「サービス分野の売り上げの方が圧倒的に大きくなる。だからといって、農業分野の売り上げを半分以上にしようとすれば、早期の収益拡大は見込みにくくなる」(山本氏)という。一方、農水省は「農業をきちんとやらない事業者が参入すれば、農地が転用されるなどのリスクがある」と主張する。
 政府が先月の閣議で決めた規制改革の対処方針。農業分野では前進した内容もあった。農業生産法人もテーマとして取り上げたが、結果は「2011年度に検討を開始、できるかぎり早期に結論」。規制を緩めるのか、今のまま変えないのか。視界は晴れない。
 民間企業のノウハウや創意工夫を、農業や医療を含めて幅広い分野に生かせないか。規制改革は再び動き出したとはいえ、課題はなお多い。
 例えば、病院への株式会社の参入解禁は今回、協議の俎上(そじょう)にも乗らなかった。一般医薬品のネット販売規制の緩和は意見がまとまらず、対処方針から項目そのものを削除した。外国人労働者の受け入れをどうするかなど、雇用関連では手つかずのテーマが目立つ。
 「とにかく関係がありそうな閣僚や省庁にはすべて行け」。日本経団連の経済政策担当者に昨年末、こんな号令がかかった。担当者らは政治家や官僚を訪ね歩き、規制を見直してほしいと訴えて回った。
 自民党政権では規制関連の要望窓口を規制改革会議に一本化していた。同会議の事務局の官僚と話し合えば、実現性を推し量ることもできた。政権交代で要望をどこに持ちこめばいいのか、経団連内では戸惑いも広がり、ローラー作戦を展開することになったという。
財政出動は不要
 菅直人首相は参院選のマニフェスト(政権公約)で、規制改革の促進を掲げた。蓮舫行政刷新相は規制改革の「公開仕分け」にも意欲をみせる。この先作業を進めるうえで、ビジネスを実際に担う産業界や、消費者の意見を聞き、判断材料にする過程は欠かせない。一方で、水面下での要望受け付けには弊害もつきまとう。多くの人のナマの声をいかに集めるか。政治の工夫のしどころだ。
 「規制改革は成長戦略のカギ。財政を使わずに景気を刺激できる分野は無数にある」(八代尚宏国際基督教大学教授)。残すべき規制と変えるべきものを見極める眼力。できるものは早く実行に移す手腕。これらの有無が日本の成長力を左右する。



石油開発、国家が主導 新エネルギーに追い風も
 英BPの原油流出事故を受けて原油先物価格の先高観が強まっている。米市場では6月以降、2018年引き渡しの先物は1バレル90ドル超の水準が続く。同70ドル台の期近物との価格差は一時、事故発生前の2倍に開いた。深海油田開発のコスト上昇や生産量減退の不安が価格を押し上げている。
OPEC存在感
 国際エネルギー機関(IEA)は最新の石油市場報告で「BP事故は原油供給の構図を変えかねない」と指摘した。原油供給は1990年代にメキシコ湾や南米、アフリカ西岸などで本格化した深海開発の進展で増えてきた。開発リスクを理由に石油会社が深海などへの投資を手控えれば、リスクを気にせず国家予算をつぎ込める「NOC(国営石油会社)への依存が強まる」(IEAのファティハ・ビロール主任エコノミスト)。
 確認埋蔵量の7割を押さえる石油輸出国機構(OPEC)。サウジアラビアなど中東産油国の原油生産コストは1バレルあたり20ドル以下。深海油田は25ドルから40ドルが必要とされ、規制強化がこれを押し上げる可能性がある。深海油田の開発や生産の減速は「陸上や浅い海域などリスクの小さい油田を潤沢に持つOPECの立場を強める」(イタリア炭化水素公社のスカロニ最高経営責任者=CEO)ことになる。
 一方で、新興国の国策石油会社は高リスクの投資にもひるまない。「生産量を5年後に5割増となる日量390万バレルに引き上げる」。ブラジル国営石油会社ペトロブラスのガブリエリCEOはBPが事故処理に追われる最中の6月21日、2200億ドルを投じる強気の中期経営計画を発表した。
開発の手緩めず
 ペトロブラスは深度1000メートル超の深海開発を多数手掛け、ブラジルの資源開発を支える。「我々なら事故は回避できる」。ガブリエリCEOは深海開発の手を緩めるつもりはない。
 急速な石油需要の増大に直面する中国は国内生産量の引き上げと海外での権益確保が最重要課題だ。国有の中国石油天然気集団(CNPC)の上場子会社は今後10年間に600億ドルを投じ、海外での原油・天然ガス生産量を09年の2倍相当(2億トン)まで引き上げる。
 石油開発は国家主導の色彩を強め、限られたプレーヤーによるビジネスへと姿を変えつつある。ただ、OPECや国営石油会社も安穏とはしていられない。BP事故は「安く、大量に入手できる石油の時代の終わりを改めて認識させた。代替燃料の開発機運を高め、原油需要の減少を予想以上に速める結果になりかねない」(ジャドワ・インベストメントのポール・ギャンブル調査部長)。
 「今こそ化石燃料への依存から脱し、クリーンエネルギーをとらえる時だ」。オバマ米大統領は6月15日、国民向け演説で太陽光など再生可能エネルギー導入を急ぐ考えを強調した。米国は「石油の時代」を支える最大消費国。演説を受け米ファーストソーラーや独Qセルズなど欧米の太陽電池や電気自動車関連株が一斉に値上がりした。
 サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は6月、20年までは現在の生産能力上限である「日量1250万バレル以上は必要ないかもしれない」と語った。1500万バレルへの引き上げの用意があると繰り返してきた大産油国の軌道修正は、エネルギー消費構造の変化を浮かび上がらせる。石油ビジネスは大きな転換点にさしかかっている。
 


【東京新聞社説】
中国人ビザ拡大 互いを知るチャンスに
2010年7月3日
 日本に観光でやってくる中国人を受け入れる条件が、大幅に緩和された。中国からの客が飛躍的に増えると期待されている。何かと、ぎくしゃくする両国の国民が互いをわかりあう機会にしたい。
 中国人への観光ビザは、二〇〇〇年に団体旅行向けの発給が始まった。昨年七月から個人向け観光ビザもできたが、対象は年収二十五万元(約三百二十五万円)以上のお金持ちに限られていた。
 七月一日からは対象が大手クレジット会社が年収六万元(約七十八万円)以上に発行する「ゴールドカード」の所持者や、勤め先で役職に就いている人の家族に拡大された。
 外務省によると、これでビザを受けられる対象は現在の十倍の約千六百万世帯に増えるという。
 ビザ条件が大幅に緩和されたのは、経済成長の続く中国から来る観光客の購買力に期待したためだ。昨年は金融危機の影響で外国人訪日客数が落ち込む中でも、中国からの客は約百万人と過去最高を記録した。観光庁はビザ緩和で中国人の訪日客を一六年には六百万人に増やす目標を掲げている。
 往来の広がりで、互いを知り誤解が解けることも期待される。日本を訪れた中国の若者は、よく「日本人が、やさしくてびっくりした」という感想を口にする。
 中国では、いまだにテレビのチャンネルをひねれば、軍服姿の日本人が怒鳴っている姿を、よく目にする。祖父母から聞いた話や社会にも広がる「愛国教育」の影響で「日本は怖い」と思い込んでいる若者は少なくない。
 百聞は一見に如(し)かず。日本を体験すれば日本人が、どれほど平和的で穏やかに暮らしているか、わかってもらえるに違いない。
 日本人にも中国人を知る機会だ。十年ほど前まで、中国の客と店に行くと冷ややかに扱われることがあった。豊かになった中国人への対応はよくなるに違いないが、摩擦は避けられない。
 例えば、中国では店に注文を付けるのは当たり前だ。料理の温め直し、持ち帰り。マニュアルにはない対応が迫られる。
 摩擦が起きても、互いに悪意はなく習慣の違いにすぎないとわかれば不快に思うことはない。
 体験を通し双方が当たり前の人間同士であると実感できるなら、政権やメディアの宣伝で、どれほど反感があおられても効き目はない。それは隣り合う大国が、とげとげしい対立に陥るのを防ぐ最大の防波堤になるだろう。

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情報通信普及へ省庁の規制調整 効果12兆円見込む
 政府は情報通信技術(ICT)の活用を促すため、各省庁にまたがる規制の見直しに乗り出す。省庁間の規制の違いなどで医療や教育など新しい分野での利用が阻まれるケースがあるからだ。総務省はブロードバンド(高速大容量)を使ったICTサービスの利用を全世帯に広げることで、12兆3千億円の経済効果を生み出せるとみている。
 総務省が関係する省庁との調整に近く着手し、2011年の通常国会にも各省庁が所管する規制の見直しを盛り込んだ「ICT利活用促進一括法案」(仮称)を提出する方針だ。
 たとえば過疎地への遠隔医療は、厚生労働省が所管する医師法が対面診療を原則としていることがネックとなっている。情報端末を使う「電子教科書」も、文部科学省が所管する法規制が壁になっており、「教科書」として認められない。海外で導入が広がる「データセンター」を誘致するため、現在の建築基準法の改正を求める声も上がっている。
 総務省はこうした規制が見直されて医療や教育分野などでICTの利用が進めば、利用者への還元効果が大きいとみる。診察の事前予約や医療の最適化が進むと、生産性の向上や医療費の削減などを通じて利用者に年間1兆5千億円程度の利益が生じると試算する。医療機関など提供者側も約1兆9千億円のコスト削減効果が見込めるという。教育・就労分野では約6千億円、行政サービスなど生活分野では約450億円の利益がもたらされるとはじく。
 日本は世帯に占めるブロードバンド網の整備率は9割を超えている。しかし、実際にサービスを契約している割合は6割強にとどまっており、利用拡大が課題。政府の新成長戦略でもICTを新たな技術革新を生む基盤と位置づけ、利用のすそ野拡大を急ぐ。
 総務省は全世帯がブロードバンドサービスを利用するようになると、電子商取引や教育サービス、音楽・映像の購入など個人消費を増やす効果があると分析。利用者への調査をもとに個人消費の増加率を求め、8兆7千億円程度の新規需要を創出できると推計している。部品や素材メーカーなど関連業界への影響を織り込んだ波及効果(3兆6千億円)を合わせると消費押し上げによる経済効果は12兆3千億円になり、名目国内総生産(GDP)を1.5%押し上げるという。



日立・三菱重・三菱電、水力発電機事業を統合
来年新会社、海外を共同開拓
 日立製作所と三菱重工業、三菱電機は水力発電機器事業を統合する。2011年に新会社を設立、3社の事業を集約する。技術や営業ノウハウなど3社の経営資源を組み合わせて大型案件の入札で提案力を高め、海外市場を共同開拓する。水力発電は国内で大型案件が出尽くす一方、海外では二酸化炭素(CO2)を排出しない発電として、新興国を中心に新設計画が相次ぐ。3社連合は高い技術力により、受注で先行する海外勢を追撃する。(関連記事企業1面に)
 日立は水車や発電機など、水力発電システムの主要機器を一貫して生産する。一方、三菱グループ2社は三菱重工が水車を、三菱電機が発電機を担当する分業体制を敷く。3社とも高出力、高効率で、出力調整もできる大型設備を得意とする。
 統合新会社の売上高は海外事業も含め300億円程度となり、国内最大手の東芝と並ぶ規模となる。3社は余剰電力を使ってダムに水をくみ上げ、必要なときだけ発電するシステムを得意としており、世界に売り込む。水力発電は案件ごとに規模や技術方式が異なるため、設計やエンジニアリング分野を含めて統合。海外の大型案件について最適なシステムを構築、受注を目指す。
 国内の水力発電機器市場は年間300億円規模。大型設備は東芝と日立、三菱グループ2社が市場を分け合ってきた。だが、国内は利用可能な水資源の約7割が開発済み。大手が得意とする大型設備は新規案件がほとんどなく、各社とも補修などで事業継続しているのが現状。日立、三菱2社とも水力発電事業の売上高を公開していないが、それぞれ年100億円前後とみられる。
 一方、海外では地球温暖化防止に役立つ発電手段として水力発電が再評価されている。次世代送電網(スマートグリッド)に組み込んで総発電量の変動を少なくする機能が注目されている。利用可能な水資源の2割強しか開発されておらず、水資源が豊富なアジアや北米、中南米で安定した成長が見込める。水力エネルギー需要の伸びは年2~3%と、総エネルギー需要の伸び(1.5%)を上回る。
 現在、年5000億円規模の世界市場は独フォイト・ハイドロ、仏アルストム、オーストリアのアンドリッツの欧州3強が過半を押さえる。東芝も海外市場開拓を急ぐが、日本勢は総じて出遅れている。日立、三菱とも単独で海外市場を開拓してきたが、連合を組み競争力を高める。
 日立と三菱重工は00年に製鉄機械部門を統合した。社会インフラ部門は国内市場に多くのメーカーがひしめき、消耗戦を繰り広げる品目が多い。海外では新興国を中心に旺盛な需要が見込めるため、提携や事業統合などで市場を開拓する動きが、他の製品や企業にも広がる可能性が高い。



LG・サムスン、インド家電市場高価格帯に照準
 【ニューデリー=長沢倫一郎】インドで韓国家電メーカーのLG電子とサムスン電子が高価格帯製品の生産・販売に乗り出した。LG電子は薄型テレビの増産体制を築き、サムスン電子は映像を立体的に見せる3D(3次元)対応テレビの現地生産を開始。中間層の所得増をにらみ高価格帯製品を拡充し、同分野が得意な日本企業の追い上げをかわす。
 LG電子の印現地法人の慎文範社長によると、LG電子は今後3年間で計3億ドル(約270億円)を投資する。首都ニューデリー近郊のウッタルプラデシュ州グレーターノイダと西部マハラシュトラ州プネの2カ所にある工場を増強する。
 LGはテレビで1台7000ルピー(1万4000円)前後のブラウン管型を主力としてきたが、7万ルピーを超える薄型テレビも販売。冷蔵庫でも高価格帯の4万ルピー超の新製品を投入し、「5年後には高機能・高価格帯で3割超のシェアを獲得する」(慎社長)という。
 同社はテレビ、冷蔵庫、エアコンの3部門でシェア首位(2009年度上半期)を走る。2010年の売り上げ目標を前年比30%増の1700億ルピーに設定。その後も年率2割のペースで売り上げを伸ばす計画だ。同社が予定する3億ドルの投資は、パナソニックがエアコン工場の新設で計画している対印投資約150億円の2倍に近い。
 サムスン電子は4月に液晶やプラズマなど異なる技術で10モデルの3D対応テレビを一斉に発売。ウッタルプラデシュ州ノイダの工場で現地生産を開始した。インドで最初に3D対応テレビを投入した宣伝効果をテコに、10年の薄型テレビの販売台数は昨年の約2倍の120万台を目指す。
 同社はエアコンの現地生産体制も急ピッチで拡張。昨年11月に南部タミルナド州スリペルムブドゥールの工場で年産能力60万台のラインを増設したのに続き、今年2月にはノイダ工場でも同60万台のラインを稼働させた。最新型のエアコンにはインドで頻発する電圧の急激な変動を吸収して故障を防ぐ機能を付けた。
 インドの家電メーカーの業界団体CEAMAによると09年度(09年4月~10年3月)の印家電市場の規模は約4000億ルピー。中間所得層の拡大を追い風に、今年度は30%の成長が見込めるという。年収7万1000ルピー~28万5000ルピーの中間所得層は08年度の時点で約1億4000万世帯にのぼり、年収は09年度中に8%程度増えたもよう。
 韓国の2社はこれまでインドでボリュームゾーン(普及価格帯)を集中的に開拓し、エアコン、冷蔵庫、テレビでそれぞれ2~3割のシェアを獲得している。今後は日本企業が得意としてきた高機能・高価格帯の攻略で地位固めを狙うが、巻き返しを目指すパナソニックなど日本勢は逆にボリュームゾーンに照準を合わせる。成長する新興国市場インドでの日韓の競争が激しくなりそうだ。



不採算の半導体事業、米メーカーに売却へ 三洋、リストラ加速で再出発
 三洋電機が不採算の半導体事業を、米国の半導体メーカー、オン・セミコンダクター社に売却する方針を固めたことが2日、わかった。売却額は数百億円規模で調整しており、7月中の合意を目指す。業績不振の“元凶”だった半導体事業を切り離すことで、経営資源を得意の電池事業に集約し、パナソニック傘下での再出発を本格化させる。
 売却するのは、三洋の完全子会社の三洋半導体(群馬県大泉町)で、全株式を譲渡する予定。三洋側は社員の雇用継続を求めている。米通信機器大手・モトローラの半導体部門が独立して発足したオン社は、福島県に製造拠点があり、日本での事業を拡大する狙いがある。
 三洋半導体は、アナログとデジタルの領域が融合した技術に強みがあり、主にAV(音響・映像)機器向けの製品を生産・販売している。パナソニックはデジタル家電向けなどの最先端の半導体製品を手掛けており、三洋とのシナジー(相乗効果)は得られないと判断、事業撤退の対象としていた。
 三洋の半導体事業は、平成22年3月期の売上高が995億円で、営業損益は71億円の赤字。三洋の佐野精一郎社長は半導体やモーターを念頭に、競争力の乏しい事業について、9月末までに今後の方向性を決める意向を示していた。
 もともと三洋は、19年にも投資ファンドなどと半導体事業の売却を協議したが、価格面などの条件で折り合えず頓挫した経緯がある。それだけに、オン社への売却交渉が最終調整に入ったことで、懸案事項の解消が期待される。
 三洋が昨年末にパナソニックの子会社になって以降、事業売却を決めるのは物流部門に続き2例目。競争力強化に向け、リストラを加速させる。



伊藤忠、リチウムを低コストで採取 米で事業参加
地中の熱水から世界産出量の2割生産、EV電池向け
 伊藤忠商事はレアメタル(希少金属)の代表品種であるリチウムを大量生産する事業に参加する。米カリフォルニア州の地中の熱水に含まれるリチウムを独自の技術で低コストで大量に取り出し、主に電気自動車(EV)に不可欠な車載電池向けに供給する。3~4年後に現在のリチウム世界生産の2割弱にあたる年1万6000トンを生産する。
 この技術は米エネルギー省傘下の国立研究所が研究してきたもので、伊藤忠は同研究所から分離し、事業化に取り組んでいるシンボル・マイニング社に約20%を出資した。出資額は数十億円とみられ、インドを除くアジアに販売する独占権を取得した。
 カリフォルニア州南部のソルトン湖近くの地熱発電所でリチウムを作る。発電に使う地下の熱水に含まれるリチウムを特殊なイオン交換技術で回収。脱水・濃縮して出荷する。リチウムはEV普及で需要拡大が見込まれるが、供給は南米の塩湖に偏っており、安定調達が課題になっている。
 シンボル社は熱水の量や採取するリチウムの品質を既に確認しており、高品位を求められる車載電池向けを生産できるという。今後は量産に向けた試験工場を設置する計画だ。
 レアメタルの供給確保への取り組みを進めている経済産業省も今回の計画を後押しする方針。伊藤忠は今回の投資で、経産省所管の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の融資を受ける予定だ。



スクランブル
携帯ゲームとテレビ、共栄関係の持続性は
 携帯ゲーム運営会社とテレビ局が急速に距離を縮めている。携帯ゲーム会社は交流サイト集客のためテレビコマーシャルを展開。会員獲得に成果を出している。テレビ局から見ると、にわかに重要スポンサーに浮上している格好だ。ただ、相互依存ともみえるその関係は、危うさをはらんでいる可能性もある。
 携帯ゲーム企業の広告費はこの広告不況下、急増している。交流サイト「GREE」を運営するグリーの場合、2010年6月期の広告宣伝費は前の期の3倍弱の60億円。「モバゲータウン」のディー・エヌ・エーは1~3月に約15億円をつぎ込んだ。大半はテレビ向けとみられる。
 携帯ゲームは釣りや海賊などのゲームをテレビで周知し、毎月数十万人のペースで会員数を伸ばしている。ゲームは基本的には無料だが、よりゲームを楽しむための「アイテム」の販売による課金収入が収益につながる仕組みだ。
 会員数の拡大で、ディーエヌエの10年3月期の連結純利益は43%増の113億円と、最高益を更新した。グリーの10年6月期も単独税引き利益が過去最高になりそうだ。
 「我々がCMを奪われると言われた媒体がテレビに(広告を)出してもらえるのは良いこと」。日本テレビ放送網の細川知正社長はネット企業全般を頭においてか、こう話す。
 日テレは2月から5月まで、スポット広告が前年同月に比べ2ケタ伸びた。フジ・メディア・ホールディングスも5月が11%増。6月も2%の伸びとなりそう。
 番組提供のタイム広告の回復が遅れ、加えて番組製作費の削減余地も少なくなるなかで、ひとり気を吐くスポット広告。なかでも携帯ゲーム広告の底上げ効果は無視できないとみられ、「交流サイトの広告がなければスポット広告は前年割れしかねない」と、あるキー局幹部は漏らす。
 ただ、この共栄関係の持続性はどうだろうか。気にかかるのは同じキー局幹部が、「瞬間的に会員数を伸ばせても継続的に続くビジネスかは疑問」と、携帯ゲームの現在の隆盛をやや冷めた目で眺めていることだ。
 携帯ゲームは不況下の手軽なレジャーとして需要が拡大してきた面があり、景気の波次第では、勢いが鈍るとの見方がある。
 加えて、消費者の声も懸念材料。
 日本広告審査機構(JARO)や国民生活センターには、無料オンラインゲームに関する相談が相次いでいる。
 国民生活センターには「無料と宣伝していたのに、高額な利用料を請求された」などといった相談が毎月50件程度寄せられている。センターは昨年12月、報道向けにその旨発表したが、以降も相談件数は大きくは変わっていない。
 「1つ5000円のアイテムを娘が大量に購入していた」。「請求書が9万円を超えた」。センターにはこうした相談もあるという。
 グリーもモバゲーも会員はそれぞれ2000万人ほど。両社ともに、利用者1人当たりがどの程度の料金を払っているかや、一定額以上の利用者、あるいは無料利用者の比率などの開示がないので実態はよくわからないが、「会員すべてがまんべんなくというよりは、一部の会員が大量にお金を支払っている」(外資系証券のアナリスト)とみる向きもある。
 懸念されるのは、テレビ広告効果の後押しもあって会員が増えることで、未成年などの高額利用料の問題も一段と増加し、社会の関心も高まっていくような状況だ。そうなれば携帯ゲームビジネスの展開に、向かい風となることも考えられる。
 ビジネスの規模が拡大するにつれ、携帯ゲーム運営会社は生活センターに相談が持ち込まれるような一部のケースに注意深く対処するのはもちろん、それと平行し、常識的な水準の幅広い課金という事業モデルで高収益を実現するという課題の重要性が増してきているようにみえる。



スクランブル
上海市場、大型IPOであく抜け感?=上海
 「まるで2008年相場の再来。投資チャンスは必ずやってくる」。上海総合指数が年初から半年で27%下落し、悲観的な股民(個人投資家)が多い中、一部では上昇局面をうかがう声が聞こえ始めた。中国農業銀行が15日に上海市場に上場し、悪材料が一巡。さらに社会不安を警戒する中国政府が株式相場や景気刺激策に動くはず……。果たして股民らの期待通りになるだろうか。
 上海株式市場は年初から3000ポイント前半で推移していたが、中国政府が4月に2軒目のマンション購入時の頭金の引き上げなど不動産取引規制の発表後に下げ足を速めた。地合いが悪い中、7月に上場する中国農業銀による資金調達が2兆円前後と世界最大の新規株式公開(IPO)になるとの見方が広がり、相場の重荷になった。
 一方、08年。金融引き締めに加え、年初に中国生保大手の中国平安保険が発表した1500億元(約1兆9500億円)と超大型増資計画で需給悪化懸念が拡大。上海総合指数は半年で約5割下落した。08年と10年の株式相場の置かれた環境は似通っている。
 中国経済を取り巻く環境も同じだ。
 08年は米リーマンショックで外需減が追い打ちとなり、上海総合指数は秋に一時1700ポイント台まで下落した。10年も欧州連合(EU)の金融危機再燃や米国経済の鈍化など外需の先行きに暗雲が立ちこめている。中国人民銀行(中央銀行)が6月に実施した人民元の弾力化で人民元は2日終値で1ドル=6.77元台と05年7月の元切り上げ後の最高値水準まで上昇。今後も上昇が続けば輸出企業の採算を直撃しそうだ。
 中国政府は経済の変調に対し、08年は年末にインフラ投資を中心とした4兆元(52兆円)の大型景気刺激策を発表。株式相場は年明けにかけて急回復し、3000ポイント台まで戻した。市場では「状況が同じだけに、秋には大型の景気対策が発表されてもおかしくない」(外資系運用会社幹部)との期待がでている。
 実際、中国政府は危機感を強めている。6月末、温家宝首相は経済学者や企業関係者を集めた座談会を開催。経済の現状についてヒアリングするとともに政策提案を求めた。提案内容は明らかになっていないが、温首相は会合で「国内外の経済状況は複雑になっている」との認識を示した。不動産を中心に引き締め一辺倒だった春先に比べると、温首相の発言は変わってきた。
 ただ、違う点もある。中国平安の増資計画は結局、市場からの猛反発を受けて頓挫した。一方、中国農業銀のIPOは予定通りに進んでいる。市場では「投資家の失望感は大きく、7~8月に上海総合指数は2000ポイント前後まで下落する」(外資系証券)と悲観的な見方も根強い。果たしてIPOが終わった後の上海市場がどうなるのか、注目が集まりそうだ。



【産経主張】大量生活保護申請 食い物にされている日本
 誰がみても怪しいと感じるはずだ。
 2年前に帰国した中国残留孤児の老姉妹を介護するため、と親族と称する中国人48人が、5月から6月にかけて集団で日本にやってきた。在留許可を受けると、すぐさま大阪市に生活保護を申請したのだ。
 この時点で、あるいは入国の段階で、来日の狙いを疑うべきだが、お役所はそうは考えなかったらしい。法律にのっとり、申請に不備はないからと32人に生活保護の受給を認めた。6月分として既に26人に計184万円が支払われ、7月分はさらに6人を加えて計241万円にもなる。生活保護費は日本国民の税金である。あまりにも審査が甘すぎる。
 入管難民法は「生活上、国または地方公共団体の負担となる恐れのある者は上陸を拒否する」と規定しており、入国審査の際には生活を支える身元引受人が必要だ。今回の中国人たちも第三者の身元引受人が用意されていたが、1年以上の在留資格を得た直後に、この身元引受人が扶養を放棄したという。ここからして不自然だ。
 外国人の場合、在留資格があり要保護状態であれば生活保護法を準用するとの国の通達がある。これも問題だが、申請を受けた大阪市は形式的に要件が整っていれば受理せざるをえないという。お役所仕事というしかない。
 最近、路上生活者らに生活保護を受けさせてピンハネする貧困ビジネスが相次いで摘発されている。今回のケースも、組織犯罪的な生活保護費の不正受給が疑われ、大阪府警も注目している。
 大阪市は生活保護の受給率が全国でも群を抜いて高く、受給者は4月現在で14万1672人、市民の20人に1人に達する。外国人の受給者も1万人を超えた。しかも毎月3千件前後の新たな申請があり、審査に十分な人手と時間がかけられないのが実情なのだ。そこに貧困ビジネスがつけこみ、さらに申請が増加する悪循環だ。
 生活保護は困窮者に最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットというが、このままでは制度そのものが破綻(はたん)しかねない。
 大阪入国管理局は今回の中国人グループの入国経緯について再調査を決めた。在留許可の取り消しも含め厳しく対処してほしい。
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