(ノ゜Д゜)八(゜Д゜)ノ新聞

ニコンは、「iPhone」を作れるか
 ニコンは6月29日の株主総会を経て木村真琴氏を社長に据えた新しい経営体制が名実共に発足した。まずは2010年3月期に連結最終赤字に沈んだ業績の立て直しが急務となるが、現状の問題点を把握したうえで社員や投資家が期待を持てる将来ビジョンを打ち立てることも重要だ。新体制は名門ニコンの将来像をどう描いているのだろうか。
 ニコンは総会に先立って中期経営計画を公表している。発表会見を聞いて感じたのは、米アップルをはじめとする新興メーカーへのライバル意識と、自社ブランドへの危機感だ。
 「iPad(アイパッド)やiPhone(アイフォーン)は『アップル』というブランドなしでは、これほど社会にインパクトを与えられなかった」「映像事業の競争は一層激化する。iPhoneであれ、iPadであれ、今後、デジタル商品の境界線はどんどんなくなってくる」
 木村社長はプレゼンの中で2回も米アップルの商品を取り上げ、強く意識していることをうかがわせた。その上で自社のブランドについてはこう分析した。
 「ニコンには先進性があって、たのしく、ワクワクするようなブランドであってほしいとの声がある」
 老舗カメラメーカー、ニコンのブランドイメージといえば「信頼性」「高品質」。アップルにあって、ニコンにないものとは――。木村社長は、信頼性の高さはそのままに消費者にワクワク感を与えることが新たな成長ステージにつながると考えているようだ。
 木村社長の成功体験は、前任の映像部門トップ時代にある。技術主導の製品開発が幅をきかせるニコンで、マーケティングの重要性を説いて回り、社内に根付かせたのは木村氏だった。
 カメラ専門店だけでなく、米ベストバイなど家電量販店ルートの販路を開拓。顧客の声を吸い上げて、新製品の開発に生かすサイクルを構築した。特に成功したのは米国市場。後任の映像部門長に就任した岡本恭幸氏と共に、人気俳優を使った「ニコンらしからぬ」宣伝活動でブランド認知度を高め、10年3月期はコンパクトデジタルカメラのシェアで初めて首位(約20%)に立った。
 シェア拡大とともに、在庫管理の徹底も進めた結果、映像部門の10年3月期の営業利益は前の期比30%増の521億円。木村氏が就任する前(02年3月期)の3.2倍だ。半導体露光装置が不振の精機部門に代わり、ニコンの業績を支える唯一の稼ぎ頭になっている。
 しかし木村社長も認めるように、デジカメ業界の競争環境は厳しさを増している。動画機能の拡充や、インターネットやテレビとの接続など、カメラの楽しみ方が広がるなか、ソニーやパナソニック、サムスン電子などデジタル技術で一日の長がある家電メーカーの存在感が高まっている。
 ニコンは近く既存のコンパクトカメラやデジタル一眼レフカメラとは異なるコンセプトの「新世代カメラ」を投入するとしている。しかし今回の中期計画発表では新世代カメラの中身や、ライバルたちに対抗する具体策の説明は、残念ながら最後まで聞けなかった。
 前社長の苅谷道郎・現会長は5年間の在任中、伝統的な技術力の高さに加え、収益性重視の文化を浸透させて、2008年3月期に過去最高益(1352億円)を達成した。木村新体制による中期計画では、3年後の13年3月期に営業利益は最高益に迫る1200億円を目指す。赤字の精機部門立て直しという大きな課題も背負っておりハードルは高いが、「ワクワクするような楽しさ」を新製品で具現化できた時、ニコンの新たな成長ステージが見えてくるはずだ。



iPhoneアプリ/ソーシャルゲームに本腰 セガ、専門部署で「ライト層」開拓
 ゲームソフト大手のセガが、携帯電話向けのゲーム配信事業を強化している。携帯電話向けにソフト配信事業を行う専門部署を立ち上げたほか、米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」などソフトの供給先を広げている。携帯向けは新たなゲーム市場として今後の成長が期待でき、特にこれまでゲームをあまりやらなかった「ライトユーザー」層の新規開拓を目指す。
 セガは、携帯電話を中心とした既存の家庭用ゲーム機以外へのソフト配信を手掛ける専門部署「モバイルニューメディア事業部」を7月1日付で設立した。国内外などで異なる部署が行っていた事業を集約することで意思決定などを迅速化し、携帯電話向け配信事業を拡大させる考えだ。
 セガでは、日本の携帯電話やアイフォーンのほか、アップルが今年5月に発売した多機能端末「iPad(アイパッド)」向けにソフト配信を開始。セガの鶴見尚也常務は「特にアイフォーン向けは伸びが期待でき、今後もソフト配信に力を入れたい」と強調する。
 さらに、成長の起爆剤として期待しているのが携帯電話向けの「ソーシャルゲーム」だ。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した交流機能を持つゲームで、日本や欧米で急速に市場が拡大している。セガは先月29日にSNS大手・グリーが展開する「モバイル版GREE」向けにソーシャルゲーム2作品の配信を開始。これまでSNS大手・ミクシィ向けに1作品を供給していただけだったが、グリー参入を機に携帯電話向けソーシャルゲームの配信を本格化させる。
 鶴見常務は「ここ数年、ソーシャルゲームは急速に伸びており、セガとしても国内外で本腰を入れて取り組んでいく。新たな市場に的確に対応するため、組織面でも整備を進める」と語り、日本で携帯電話向け専門組織を立ち上げたのに続き、北米市場でもM&A(企業の合併・買収)を視野に入れた組織拡充を図る考えだ。
 既存の家庭用ゲーム機向けのゲームソフト市場が飽和しつつあるのに対し、携帯電話向けは今後も急成長が見込まれる。セガのほか、カプコンやコナミデジタルエンタテインメントなど大手ソフト各社が取り組みを強化しており、成長市場をめぐる競争の激化が必至だ。



ソフトバンク、Twitterフォロワー間で荷物受け渡し可能なサービス開始
 ソフトバンク・フレームワークスは7月5日、メールアドレスだけで全国一律990円で荷物が送れる「メルアド宅配便」に、新たにTwitter ID対応サービスと受取人支払い機能を追加した。これによりTwitterで相互フォローしているユーザー間であれば、住所を知らなくても荷物を受け渡しできるようになった。
 メルアド便は相互の氏名、住所、電話番号といった個人情報を保護したまま荷物が送れるサービスで、メル友やソーシャルネットワーキングサービス、ブログ、オークションユーザー間の商品のやり取りを想定している。
 Twitterでは、ダイレクトメッセージ機能で受取人に荷物受け取りの諾否確認を送信することで、メルアド便と同様のサービスを実現した。
 サービス料金決済手段には「受取人クレジットカード口座課金」を追加し、申し込み時にサービス料金の支払いを差出人または受取人に指定できるようにした。従来のメルアド便ではサービスの支払いが差出人のみに限定されていた。



ドコモ、「ケータイデータお預かりサービス」が1000万契約達成
 NTTドコモは、「ケータイデータお預かりサービス」の契約者数が7月4日で1000万契約を突破したと発表した。
 「ケータイデータお預かりサービス」は、携帯電話に保存されている電話帳や画像、ブックなどをサーバー上にバックアップできるサービス。利用料は月額105円。2006年5月に「電話帳お預かりサービス」としてスタートし、2009年1月に500万契約を突破、2009年11月に現在のサービス名称に変更された。1000万契約は、サービス開始から4年1カ月で達成したことになる。
 なおドコモでは、4月より、画像や動画、メロディのバックアップにも対応する「お預かりプラス」も提供している。こちらの利用料も月額105円。



KDDIデザイニングスタジオ、夏休みに「IS01」を無料貸出
 原宿にあるKDDIデザイニングスタジオ(Kスタ)は、スマートブック「IS01」を貸し出し、「セカイカメラ」などを利用しながら原宿の街を散策できるキャンペーンを実施する。期間は7月20日~8月31日。
 キャンペーンでは、Kスタのスタッフが推薦する原宿の穴場スポット(カフェ、お土産、美容、ショッピングなど)の情報が閲覧できる「IS01」が貸し出される。「セカイカメラ」などのアプリも利用可能で、エアタグとともに撮影できる機能「Air Shot」の写真はプリントアウトできる。
 貸出時間は10時~20時(最終貸出時間は18時)、1グループ最大2時間利用できる。2時間1枠で12台のIS01が用意される。貸し出される端末は1グループにつき1台となる。貸出手続きには、本人確認書類が必要で、未成年の場合は受付時に親権者の承認も必要。



緊急特集
参院選後の経済政策を占う=日経編集委員・三宅伸吾(10/7/5)
 参院選の投開票日まで1週間となった。浮動票の行方次第だが、政権の枠組みは大きく変わらない情勢のようだ。今後の経済関連政策などはどうなるのだろうか。
 経済界で関心が高い法人税の引き下げ問題。6月18日に閣議決定された新成長戦略は「日本に立地する企業の競争力強化と外資系企業の立地促進のため、法人実効税率を主要国並みに引き下げる」と明記した。ただ、下げ幅や実施時期は不明だ。
分配か成長か
 新成長戦略が固まる2週間ほど前の6月3日、経済産業省はその大きな柱となる産業構造ビジョンを公表、そのなかで法人税率の5%程度下げを提案した。「分配論ばかりで成長戦略がない」と批判され、今年に入って急こしらえしたものだ。実はこの日、直嶋正行経産相はこんな国民向けメッセージを同省ホームページの奥の方でひっそり公表している。
 「単なる再配分論ではなく、全体のパイを増やし、それを所得の拡大につなげていく、という好循環を創りださなければならない」
 「『企業を補助するのか、労働者を支援するのか』という内向きの配分論ではない」
 民主党は昨年夏の衆院選では「公平」を連呼し、国際競争力にはほとんど言及しなかった。趣がずいぶん変わった経産相の国民向けメッセージ。この草案は麻生政権時代の首相秘書官が気合を入れ、したためたようだ。経産相もほとんど手を入れなかった。
 しかし、6月11日の所信表明で菅直人首相は法人税引き下げには触れずじまい。経済界では「新成長戦略に法人税緩和の方向は掲げられても、下げ幅が明示されることはない」との見方が大半で、予想通りの展開となった。
 参院選の大きな争点は国民全体に影響を直接与える消費税率の引き上げ。投票日を間近に控え、菅首相は低所得者への負担軽減策を披露、法人税問題は一層、陰に隠れた。
最小不幸社会と資本主義の行方
 ただ、経済人の政府与党に対する最大の関心は実はもっと大きなところにある。それは「日本の資本主義をどうしたいのか」ということだ。
 資本主義の要である起業意欲はこの数年で萎え、様々な足かせや国内新興市場の低迷で、海外への本社機能の移転を真剣に検討したり海外証券市場での株式公開を目指したりする動きが出始めている。大きな流れになってしまってからでは取り返しのつかないことになる。
 参院選に向けた民主党のマニフェストはこう記す。
 改革の目標は、「最小不幸社会」の実現です。幸福は個々人の価値観によって異なり、これは権力が関与すべきではありません。(中略)権力は人々の不幸の原因を取り除くことにこそ使うべきだと考えています――。
 首相は6月8日の就任会見の第一声でも同趣旨のことを述べた。学生時代に読んだオルダス・ハックスリーの小説「すばらしい新世界」(1932年)を反面教師とした表現だ。この小説はおぞましい国家管理のユートピアを描き出していた。
 弱者に手を差し伸べるというメッセージに誰も表立って抗うことは難しい。
 ただ、のけぞった経済人は少なくない。「経済をまず大きくしてみんなで幸せになり、それでも貧困などで苦しむ不幸な人がいればしっかり支援すると言ってほしかった」。経済成長で雇用を生み、所得を引き上げ、税収を確保しなければ、政府が貧困対策などに持続的に手を差し伸べることは難しい。
 政治家の目標の1つは権力の頂点。登り方は、左とか右のルートとかいろいろな道筋があるが、権力を握った以上、「不幸を最小にするためにも、幸福の最大化を目指してほしい」(ある上場企業経営者)。ただ、政治家は過去に発した言葉に縛られる。
衆院選に向け、「従業員指名監査役」
 参院選が終われば菅首相の次の戦いが直ちにスタートする。2013年夏までには必ず実施される衆院選である。政権を離さないためには昨夏の衆院選と同様、連合の強力な支援が欠かせない。
 今年4月発足した法制審議会の「会社法制部会」。これまでの商法部会、会社法部会にこれまで労働界の委員はいなかったが、今回、初めて逢見直人・連合副事務局長が就任した。
 連合の悲願は「従業員指名監査役」制度の実現だ。会社法制部会で、逢見氏は「例えば一定以上の数の従業員がいる上場企業など、社会的に大きな影響力を持っている会社については、従業員が指名権を持つ監査役制度を導入すべきだ」と訴えた。
 被選任資格は退職者であろうと「組合が頼りにしている弁護士」でもよく、大事なことは「従業員の手によって選ぶ監査役がガバナンスに関与する」ことだと強調した。経済界だけでなく会社法の学者の多くも眉をひそめる構想だが、民主党政権が続けば実現の可能性は高いようだ。
 というのも、ガバナンス関連でのもう1つの大きな争点になっているのが独立・社外取締役の拡充問題。これは会社法の改正でなくても上場ルールの見直しでも実現できるが、経済界は規制方法にかかわらず、猛反発している。
 海外の機関投資家からみると、生え抜き役員が大半を占める日本の取締役会は「大学の受験生が、自ら採点している」ようにみえるという。
 このため、議決権行使の助言業界などでも独立・社外の拡充を求める意見がかねて根強い。連合の長年の要望を受け入れ、従業員指名監査役制度の創設を後押しする民主党の関係議員にも、独立・社外取締役比率を3分の1以上などに規制すべきだとの論者が多い。
交渉の常套手段
 交渉に勝つ常套手段は相手が最も嫌がることを持ち出すこと。改正作業に入った会社法のガバナンス論でいえば経済界への「脅し」は独立・社外取締役の拡充。これと、従業員指名監査役どちらかをどうしても選べとつめられれば、後者をのむ経営者が大半だろう。
 6月23日、経産省が会社法制部会で示した政策提言に興味深い部分がある。従業員指名監査役の上場企業への「一律の義務付けには慎重な検討が必要と考える」との表現だ。直嶋経産相が了承し、公表されたこの表現は導入反対論ではない。その逆で、実は選択性での導入推進論だ。
 提案の裏にはこんな仕掛けが潜んでいる。従業員指名監査役は選択性とし、これを選任した場合には独立・社外の数や比率を緩和する案である。ある政府関係者は「まだ、交換レートは決まっていないが、次期衆院選をにらめば従業員指名監査役制度は何らかの形で導入されるだろう」とみる。
 前3月期の有価証券報告書から、役員報酬1億円以上の個別開示規制が始まった。「我が党の政策評価もしてほしい」。ある与党関係者が経団連にこう要請、企業による政治献金の支援を依頼した。経団連がこれを断った直後に新規制案が公表され、形ばかりの意見公募を経て施行となった。
 経団連が断固反対する経済法制が実現するという、政権交代の証しだった。会社法改正作業では「開かれた取締役会」構想に反発すればするほど、別の難題をのまざるをえなくなるのかもしれない。しかし、もっとも懸念すべきは資本主義の行方だ。



デジタル教科書 性急な「導入」には反対だ(7月5日付・読売社説)
 学校で使う教科書や教材を小型のパソコン(PC)や電子端末に納めて「デジタル教科書」にする――そんな構想を政府が進めている。
 2015年を目標に全国の小中学生全員に配備する計画だ。実現すれば、5年後には教室の風景が一変するだろう。
 しかし、最初に「導入ありき」の今の議論には、性急で乱暴な印象が拭(ぬぐ)えない。端末機器の選定をにらんで、PCメーカーや通信事業者などの思惑ものぞく。
 教科書のデジタル化は、昨夏の衆院選に際し、民主党政策集に登場した。原口総務相が暮れに発表した「原口ビジョン」で15年の導入を明言、議論に火がついた。
 総務省は、モデル小学校10校でタブレットPCなどを使った実証実験を、近く始める予定だ。
 学校へのPC、ネットワーク(校内LAN)整備や電子黒板の普及などでICT(情報通信技術)化を進めてきた文部科学省にしてみれば、デジタル教科書で総務省に一歩先んじられた格好だ。
 4月に有識者会議を設置して、来年度予算の概算要求に反映させようと議論を急いでいる。
 両省が競合する中で、肝心の教育面の論議が置き去りにされるようでは本末転倒である。
 デジタル教科書が子供たちの教育にどんな功罪をもたらすか。日常的な使用が心身に悪影響を及ぼさないか。そうした点に、徹底した検証と議論が必要だろう。
 導入推進派は効用を説く。語学でネイティブの発音が聞ける、ドリル学習などが効率的にできる、情報活用力が高まり、学力向上にもつながる。
 そうした利便性が確認されるなら、それを生かす方法を考えるのもいいだろう。
 逆に米国で最近、情報機器の常時使用による「注意力散漫」「ディスプレー中毒」などが問題になっていることを指摘し、子供の体や情緒、姿勢、視力などに悪影響がないかを調査すべきだと主張する慎重派の研究者もいる。
 紙の教科書こそ子供の学びにふさわしいという声も根強い。
 今の教科書は、教科用図書として発行されることを前提に、学習指導要領に則(のっと)って編集され、文科省の検定を受けている。
 機能やコンテンツに拡張性があるデジタル教科書が取って代われば、検定制度の抜本的見直しも迫られるだろう。
 全員に配備というのは海外でも例のない取り組みだ。それだけに慎重な議論が肝要だ。
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(つд⊂)ゴシゴシ…新聞

マイクロソフトよ、いったい何があったんだ? 独自携帯から突如の撤退、発売から2カ月足らずで
 米マイクロソフトが初めて本格的に携帯電話ハードウエアの設計を手がけたという「キン(KIN)」。この5月に米国で発売されたばかりだったが、突如として事業の中止が決まった。
 キンは米携帯キャリア1位のベライゾン・ワイヤレスが販売しているが、在庫がなくなり次第販売を中止する。欧州では英ボーダフォン・グループが今秋発売する予定だったが、こちらも計画を取りやめるという。
端末値下げの直後だった
 開発に2年の歳月をかけ、膨大な広告費もかけて若者層を狙ったマイクロソフトの独自携帯だったが、発売からわずか48日間、あっけない幕引きとなったと欧米のメディアが伝えている。
 この携帯電話は、小型の「KIN ONE」とワイドススクリーンの「KIN TWO」の2モデルがある。いずれもタッチスクリーンとスライド式のキーボードを備えており、ソーシャル・ネットワーキング・サービスなど若者向けに特化した端末だ。
 大規模なキャンペーンを展開したが売れ行きは芳しくなかったようで、ベライゾンは同じ週に端末の大幅値下げを発表していた。
 マイクロソフトの動向に詳しい米Windows IT Pro誌のポール・スロット氏によると、ベライゾンはキンに高額なデータプランの加入を義務づけているため、たとえ端末価格を引き下げてもターゲット層の8~19歳には購入できない。
 また従来の多機能携帯電話とスマートフォンの中間のような製品で、その位置づけが曖昧なため消費者に訴える力がなく問題を抱えていたと指摘している。
マイクロソフトの消費者部門は混乱している?
 米ニューヨーク・タイムズによると、米フォレスター・リサーチのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は「完全に戦略の失敗だ」と語っている。
 同氏によると、マイクロソフトは新製品に執着する企業で、たとえ出足が芳しくなくても何度も改良を重ねていく。それがこれまでの同社のスタイルだという。今回のようなあまりにも素早い撤退は意外だったと同氏は驚いている。
 しかしこれは、マイクロソフトの消費者製品部門が混乱していることの表れだとニューヨーク・タイムズの記事は指摘している。
 マイクロソフトの消費者部門は、米アップルの携帯メディアプレーヤー「アイポッド(iPad)」に対抗すべく「ズーン(Zune)」を市場投入したが、期待通りの実績が出ていない。
 またここ最近は「アイフォーン(iPhone)」や米グーグルの「アンドロイド(Android)」の台頭で苦戦を強いられている。
 マイクロソフトは5月に組織再編を発表している。キンや同社のモバイル基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・フォーン7」を担当するモバイルコミュニケーション事業が、7月1日付でスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の直轄になっている。
 恐らく突然の方針転換はバルマー氏の鶴の一声で決まったのではないかと筆者は見ている。
「マイクロソフトのモバイル戦略は支離滅裂」
 マイクロソフトは今後、キンの開発チームと、ウィンドウズ・フォーン7の開発チームを統合するとしている。同社はウィンドウズ・フォーン7開発の最終段階にあり、今秋にも同OSを搭載する端末が各メーカーから登場する予定だ。
 これについてWindows IT Pro誌のポール・スロット氏は次のように述べている。
 「撤退は正しい決断だ。そもそもマイクロソフトが、ウィンドウズ・フォーンと並行して別のOSの携帯電話を手がけていたことが間違いだった」
 「マイクロソフトのモバイル戦略は戦略と呼べるのもではなく、支離滅裂そのものだ。これでマイクロソフトは状況改善に一歩近づいた」(同氏)



水ビジネス、アジアで拡大 15年後30兆円市場に
仏など欧米勢先行 域内企業も対抗
 【マニラ=遠西俊洋】経済成長や人口増で水不足が続くアジアで、上下水道整備など水関連ビジネスが拡大している。仏GDFスエズなど「水メジャー」が相次ぎ大型商談をまとめ、アジア企業は地元で蓄積したノウハウを生かし対抗し始めた。15年後の年間需要が30兆円超と現在の2倍以上に膨らむとの予想もあり、市場の成長を見越した金融商品も登場した。

 スエズは5月、子会社を通じ、中国重慶市で日量約24万立方メートルの工業用水の供給を受注した。30年契約で下水処理も請け負う。中国国営の新華社によると、総事業費は約75億円。中国でのこの種の商談としてはスエズとして過去最大級という。
 3月には、インドのバンガロール市で市民300万人への飲料水供給を契約。仏ヴェオリア・ウオーターは2007年、中国天津市の水道事業の契約を更新し、70万人に携帯電話で水の使いすぎまで警告する最新サービスを提供している。

 スエズとヴェオリアは合計で世界シェアの約3割を握る水メジャー。両社は次の成長の舞台をアジアに求めている形だ。

 日本と違い、海外では水関連事業に民間が関与する例が多い。独シーメンス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)も中国で相次ぎ水処理関連ビジネスを受注。シンガポールで2日まで開かれた見本市には旭化成、日東電工、東レなど日本の17社・団体が参加し、水処理技術をアピールした。
 アジアの域内企業も事業拡大に動き出した。フィリピン・マニラ東部の水道事業を手掛けるマニラ・ウオーターはベトナムのホーチミン市、インド西部ラジャスタン州で上下水道工事などの事業化調査に入った。

 フィリピンでは住民が水を配管から盗む例が多い。1997年に発足した民営のマニラ社はサービス向上を条件に、水を盗んできた住民と正規の給水契約を結ぶ。漏水を含む配水ロスは1~3月期で13.7%と、03年の50%超から大幅に縮小。このノウハウをテコに海外に本格進出する。

 シンガポールの大手複合企業セムコープ・インダストリーズは4月、中国広西チワン族自治区で水再処理施設の建設を始めた。水資源が乏しいシンガポールは官民挙げて下水再生や海水淡水化に取り組んでおり、そこで蓄積した技術を生かす。
 インド化学大手タタ・ケミカルズは09年12月、井戸水に頼る低所得者層向けの浄水器「タタ・スウォッチ」を発売。容量19リットルの大型水筒タイプで、価格は999ルピー(約1900円)。年間100万台の販売を目指す。

 日本の経済産業省の予想では、アジア大洋州の水ビジネスは25年に07年の2.8倍の年間約31兆1000億円まで増える。中国では年率10.7%、インドは同11.7%の急成長が見込まれる。

 

SNSゲームの配信用サーバー GMOが貸し出し
 GMOインターネットは交流サイト(SNS)でのゲーム配信に適したサーバー貸し出しサービスを8月に始める。利用者が集中するゲーム公開から4日間は無料でサーバー20台分を使えるなど、ゲーム提供者の負担を減らす料金体系を採用しているのが特徴。5日から予約を受け付ける。

 「GMOアプリクラウド」の名称で展開する。利用者数に応じてサーバーの処理能力を柔軟に増強できる。初期費用は無料。従量料金はサーバー1台分の利用で1日399円から。GMOは中小企業向けサーバーレンタルの国内最大手。



【日本の議論】「子供を守る」どこ行った? 大人の都合で“政争の具”へ 漫画児童ポルノ条例をめぐる議論
 東京都議会6月定例会が閉会した6月16日。子供を性的対象にした漫画やアニメといった商品の区分陳列など、販売規制を目指す都青少年健全育成条例の改正案が最大会派の民主などの反対多数で否決された。だが、石原慎太郎知事は9月議会への再提出を目指す考えを明言。「表現の自由」と「子供の健全育成」をめぐって交わされた議論は、いつの間にか“政争の具”に発展してしまった。否決を前提として建設的な議論を避けた民主への批判に加え、都議会や関係先への根回しを怠ってきた都最高幹部や担当部局による“不作為”を指摘する声もある。
“汚い花”を断つと植物全体が滅ぶ
 都条例の改正案をめぐる議論は3カ月にわたって迷走を続けた。発端は今年3月議会の会期中、改正案に反対する著名漫画家のちばてつやさんや里中満智子さんらが都庁で記者会見を開いたことだった。
 「表現で新しいものが起きるときは色んな種類の花が咲く。スミレなどかれんな花も、ジャングルのラフレシアのような花も、根っこですべて繋がっている。この花は汚いと根を断つと植物群全体が滅ぶ」
 ちばさんは、漫画文化を生態系に例えて改正案を批判した。
 この会見により反対運動が一気に拡大した。
 日本ペンクラブや出版倫理協議会などの各団体の反対表明に加え、反対派によるインターネットでの呼びかけで、都だけでなく民主、自民など各会派にメールやファクスで抗議が殺到した。
 議論の焦点は改正案条文の文言の定義と適用範囲だった。規制対象となる漫画などの18歳未満と想定されるキャラクター「非実在青少年」や「青少年性的視覚描写物」など用語の定義のほか、行政による恣意(しい)的な運用を招き、表現の自由を脅かすというのが主な主張だ。
 民主幹部は当時、条文について「まるで警察用語。わざと分かりにくくしているのかと思った」とあきれた。その一方で、改正案を提出した都青少年・治安対策本部の幹部は「『非実在青少年』とは『非、実在、青少年』という意味だ。何が分からないのか、分からない」と余裕の笑みを浮かべていた。
 しかし、実際には3月議会で改正案の可否を問う集中審議はなく、その余裕も都議会にはなかった。
 なぜか-。
 当時、都政で最大焦点となっていた築地市場の移転関連予算を盛り込んだ平成22年度の中央卸売市場会計予算案審議が佳境を向かえていたことが理由だ。賛否をめぐるさまざまな思惑が交錯する中で、改正案は結局、全会一致で継続審議となり、結論は6月議会に持ち越されることとなった。
しずかちゃんの裸はOK
 一方、都庁内には、継続審議となったことで改正案をまとめた担当局の不手際をなじる声も上がった。都幹部の1人は「舐(な)めてかかっていたのではないか。明らかに業界や都民、議会への根回し、説明不足だ」と眉(まゆ)をひそめた。担当幹部も「正直、ここまで反発が強くなるとは思わなかった。事前の説明不足は否めない」と述べる。
 強まる批判に担当者らは巻き返しにやっきとなる。「都民に条例改正の周知が不十分だった」(都担当者)として、「ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンやサザエさんのワカメちゃんのパンチラなどは規制に該当しない」などとする質問回答集を都のHPに掲載。
 また、改正案を象徴する用語となった「非実在青少年」についても「年齢、学年の明確な描写やセリフ、ナレーションで明らかに18歳未満に設定されたキャラクター」と規定し、その「性行為がメーンとなっているもの」が規制対象になることを明記した。
 しかし、5月初旬に起きたある“事件”が情勢を一変させた。石原知事が定例会見で「「(条文は)説明不足。『非実在青少年』という言葉は何だこれ一体? 幽霊の話か? 役人が作るくだらない言葉は世間に通用しない。誤解を受ける文言が悪い。どんどん変えたらいい」と述べたのだ。
 都幹部は「あの発言が条例に反対する民主につけ込む隙(すき)を与えた。記者会見を補佐する知事本局や執行部は、知事答弁の打ち合わせをしていなかったのか…」とため息をつき、公明幹部も「明らかな失言だった」と肩を落とした。
 落とし所を失っていた民主は、これに乗じて反対姿勢をさらに強めていった。「まさに、渡りに船とはこのこと。民主も助かったんじゃないか」と、別の野党幹部は苦笑いを浮かべた。
 都議会総務委員会の参考人招致で民主は反対派の急先鋒(せんぽう)、宮台真司首都大教授(社会学)らを招致。
 宮台教授は「主観だけで何でも規制できる。こんな条例を掲げること自体が東京都の恥」と批判。「非実在青少年」について「設定が問題なら『これは成人コスプレ』と断れば何でもありで、ナンセンスだ」と述べ、都の質問回答集を「法律は条例を含め条文がすべてで無意味だ」と切って捨てた。
 これに対し、条例改正に賛成する自公は改正案の条文作成にかかわった前田雅英首都大教授(法学)を招致した。
 前田教授は「改正案は子供が見にくい場所に置くことはできないかという提案だ」と改正案の趣旨を説明したが、「条文にあいまいな部分がないわけではないが、法律は素人が分かる言葉でできていない」と主張した。
 民主都議の1人は「反対派の主張の方が説得力があった」とニンマリ。「改正案に賛成意見なんて実際はPTAにさえない」と述べるなど、自信をのぞかせる発言が目立つようになっていった。
「民主の方が無責任」?
 勝負となった6月議会。民主幹部は代表質問で早速、「自ら責任を持てないものを議会に提出したのは無責任」と知事の発言を非難し、撤回を受け入れない場合は否決する方針を打ち出した。
 だが、担当局幹部によると、石原知事サイドを無責任となじった当の民主幹部は、改正案を答申した「都青少年問題協議会」に名を連ねながら、一度も会に出席していなかった事実も発覚。
 「最初から関心がなかったことの表れで、どちらが無責任か。一度、議会で受けた議案の撤回要求は責任放棄。民主こそ修正案を出すべきだ」と自民幹部は憤った。また、公明幹部も「民主から民主案について『会派内がまとまらないので今回は出せない』といわれた。これが、最大会派のやることか」と憮然(ぶぜん)とした表情を浮かべた。
 自公は早期成立を求める保護者の署名が約4万5千筆集まったとし、対抗措置として独自の修正案を提出した。「非実在青少年」を「描写された青少年」に、また「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に変更するなど用語を変えた上で、表現の自由を侵害するとの懸念に対して、付則で「条例施行3年経過後に検討の上、必要な措置を講じる」とした。
 ところが、民主幹部は「改正案の文言を変えただけだ。自公が担当局に作らせたに決まっている」と批判、別の幹部は「民主の独自案はできている」と明かしたが、それが白日の下にさらされることは最後までなかった。
 都議会で民主と自公がさや当てを行う一方、石原知事は「7、8歳の女の子をセックスの対象にする漫画を子供の目に触れさせないようにすることがなぜいけないのか」と強調。「反対のための反対で都民が迷惑。ばかなことをやっている。抽象論ではなく具体的な対案を出すべきだ。(出さないなら)『現状を認める』と都民の前で言えばいい」と怒号した。
落としどころは…
 6月議会閉会後、都議会各会派を回った石原知事。民主の控室で「日本語の解読能力がないな、君らは」とチクリ。これに対して大沢昇幹事長は「自分だってそうじゃないか。言われたくないよ」と言い返す場面もみられた。
 改正案に反対する藤本由香里・明治大准教授は「都はエロ漫画に限定しての規制というが、条文では拡大解釈ができるようになっている」と改正案の否決を喜び、賛成派の赤枝恒雄・赤枝六本木診療所院長は「未成年者が漫画の影響でレイプされている現実があることを知るべきだ」と肩を落とした。
 都幹部は「条例規制か、それとも自主規制か。議論はそこで平行線をたどっただけ」と総括。結局、着地点を見いだせないまま時間切れになった格好だ。
 石原知事は、9月議会への再提出を目指す意向だが、インターバルはわずか。「もっと時間がほしいのが本音。誰もが6月議会で流れは否決といった状況を感じていたはずだが、『俺に任せとけ』と言って問題を抱え込んだものの、民主対策を怠っていたにもかかわらず、知事には耳障りの良い情報しか伝えていなかった担当の最高幹部は責任をどう感じているのか」などの“恨み節”も庁内からは聞こえてくる。
 一方、自民幹部も「民主はこの問題を知事選まで引き延ばすつもりだ。再提出は少なくても12月議会まで待った方が良い」とうめいた。
 いつの間にか“政争の具”と化した改正案をめぐる議論に、子供を守るという当初の目的が薄れ始めている。文字通り“非実在青少年”化しているようだ。



日経社説
参院選 政策を問う
首相の「増税で成長」論には無理がある
 増税をしても使い道を間違わなければ経済成長につながる。菅直人首相がこんな議論を繰り返している。増税した分を医療や介護といった分野に適切に回せば、雇用が生まれ、お金がうまく循環して経済が拡大するという理屈である。

 菅首相は参院選で消費税率引き上げの超党派協議を呼びかけている。「増税で成長」の議論は、不人気な増税に対する有権者の反発を抑える思惑もあるのだろう。

 一見、もっともな議論に聞こえるが、それで持続的な成長が実現するというのは単純すぎる。

 政府は本当に適切な使い道を判断できるのか。より大きな政府は民間企業を締め出さないか。介護や医療といった分野に支出しても、良質な科学技術開発のような生産性を高める「将来に生きるカネ」とはなりにくい。首相や民主党がこれらの疑問に答えられなければ、この議論も説得力を持たない。

 首相は消費税などの増税分の使い道として、例えば介護サービスへの支出を1兆円増やす考えだ。賃金水準が仕事の内容に見合っているとはいえない介護士の報酬を引き上げ、担い手が増えれば、介護の潜在需要を伸ばし失業も減るというわけだ。

 従来の景気対策や失業対策と同様に一定の効果はあろう。介護を必要とする人にも当然、恩恵が及ぶ。しかし、もし政府が民間企業が担っているような領域にも事業を広げていくようであるならば、かえって経済の活力をそぐことにもなる。

 また増税を成長につなげるとしても、社会保障分野に回すのが効率的かという疑問は残る。労働力人口が年に0.7%程度ずつ減っていく日本で1%台の成長を実現するには生産性の向上が極めて重要だ。介護や医療への財政支出は投資としての効果が薄く、経済全体の生産性を押し上げる力は相対的に弱い。

 さらに消費税の増税で増える税収のうち、どの程度を社会保障の拡充に充てて、どの程度を現に生じている財政赤字の圧縮に使うかを首相はあいまいにしている。医療、年金、介護に必要な経費のかなりの分は赤字国債で賄っているのが実情だ。

 むしろ社会保障が持続できるように早く制度を改革し、必要な部分に増税分を充てる方が、人々の安心を高め消費拡大にもつながる。当然、財政健全化にも役立つ。不確かな議論をするより、実際の効果を重視した政策を示してほしい。
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