(つд⊂)ゴシゴシ…新聞

ドコモで「iPhone」が使えるようになる日
 NTTドコモの山田隆持社長は7月14日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した無線技術関連の展示会「ワイヤレスジャパン2010」で基調講演に登壇した。山田社長は2011年4月以降に出荷する全機種を「SIMロック」解除対応にする方針を表明しているが、講演でも改めて解除に向けて前向きな姿勢を示した。
 「11年4月以降に発売される端末にSIMロック解除機能を搭載していく。いまの端末は解除できないが、導入以後はドコモショップに来てもらえれば対応する。ただし、周波数や通信方式、サービスなどが対応しないことも多いので、そのあたりの説明をきっちりとして、納得してもらったうえで解除する」
 端末を特定の携帯電話会社だけで使えるように制限するSIMロックについては、総務省が今年6月、携帯電話会社が自主的に解除に取り組むことを要請するガイドラインを公表済み。山田社長は講演で、解除に向けた顧客対応などについて語った。
 「iモード」機能などを備える一般の携帯電話端末は、SIMロックを解除してしまうと、メールや公式サイト、「おサイフケータイ」機能などが使えなくなってしまう。現在は、そうしたデメリットが一般ユーザーに必ずしも伝わっておらず、「顧客の奪い合いが激化して料金競争が起き、安くなった他社に移行できる」といった偏った情報が広がっている印象がある。そうした誤解を解くうえでも、店頭でデメリットを説明したういえで、それでも解除したい人に限って対応するという状況に持っていきたいようだ。
「Xperia」の取り扱いは?
 基調講演後、山田社長に囲み取材をし、NTTドコモのSIMロック解除に対する様々な考え方を聞くことができた。
 まず、疑問として浮かぶのがスマートフォンの取り扱いだ。iモード対応機などにはそもそもSIMロック解除機能が搭載されていないので、すぐには対応できない。しかし、スマートフォンであれば、ソフトウエアのバージョンアップでSIMロック解除機能を追加できそうなものだ。
 これに対し、山田社長は「スマートフォンであっても、同じ来年4月以降の導入を考えている。(ドコモの人気スマートフォン「Xperia」の場合は)来年4月以降に発売されるかもしれない後継機種からになる。現行機種をSIMロック解除対応にするには、ユーザーから端末を預かる必要などがあり、不便をかけることになってしまう」と述べ、Xperiaの現行機種では対応しないことを明らかにした。
「料金プランはこれから詰める」
 今回、NTTドコモはSIMロック解除に積極的な態度を示したが、導入の条件として「4キャリア同時展開」を総務省に提示している。「6月に総務省からSIMロック解除に関するガイドラインが出たが、やはり4事業者同じスタンスでの導入でなければならない。パブリックコメントでも表明したが、これはぜひ総務省にお願いしたいところ」と山田社長は強調した。
 確かにNTTドコモだけがSIMロックを解除しても何の意味もない。通信方式が異なるKDDIは対象外としても、ソフトバンクモバイル、さらにはイー・モバイルにもSIMロック解除を求めるのは当然だろう。イー・モバイルの人気の携帯型無線LANルーター「ポケットWi-Fi」は現在、国内では1.7GHz帯の周波数でしかつながらないが、端末仕様上はNTTドコモなどが使用する2.1GHzにも対応している。
 NTTドコモから見れば、自社ユーザーがドコモの端末のまま他社に乗り換えることもある一方で、他社ユーザーがSIMロックを解除した端末のままNTTドコモと契約することも可能になる。ではそのとき、NTTドコモはどんな料金プランを用意するのか。「それに関してはまだ詰め切れておらず、これから考えないといけない。ただ、基本的にはいまの料金プランが適用されるようにしていきたい」と山田社長は語る。
 他社のスマートフォンでも、NTTドコモと契約すれば、同社の「パケ・ホーダイダブル」のスマートフォン定額である5985円が適用される、というのがユーザーとしては望ましいだろう。
香港版iPhoneも使えるようになる?
 これは何も他の携帯電話会社の端末に限った話ではない。メーカーが独自にSIMロック解除端末を販売すれば、NTTドコモはそれに応じたプランを出す、ということになる。つまり、米アップルが海外と同様に、日本でも直販店「アップルストア」や家電量販店でSIMロックフリー版「iPhone」を販売すれば、NTTドコモで使える可能性が出てくるということだ。
 海外製の「SIMフリースマートフォン」への対応も気になるところだ。海外では日本では販売されていない魅力的なスマートフォンがいくつも販売されている。それらを何らかの手段で購入し、NTTドコモのネットワークで使うことも可能になるのか。この疑問に対し、山田社長は「技適マークがどうなっているか次第。それもこれから詰めていくことになる」と語る。
 「技適マーク」とは特定無線設備の技術基準適合証明等のマークのことで、電波法令で定める技術基準に適合している無線機であることを証明するものだ。日本の携帯電話会社が国内で販売している端末はこの「技適マーク」をきちんと取得している。しかし、日本での販売を前提にしていない海外の製品は、技適マークをほとんど取得していない。
 香港などで売られているSIMロックフリー版のiPhoneは、本体背面に技適マークがないが、設定画面のなかに「認証」という項目があり、そこを開くと技適マークを表示できるようになっている。これまでは本体の外側に技適マークが見えるように刻印する必要があったが、10年4月28日に総務省が「技適マークをディスプレーに表示できれば問題ない」とする改正省令を施行。これにより、香港版SIMロックフリーiPhoneを日本で使用しても法的に問題がなくなった。来年4月以降は、香港版iPhoneをNTTドコモのネットワークにつなぎ、ドコモのスマートフォンとほぼ同等の料金で使うことが可能になるもしれない。
 もっともiPhoneの16GBモデルは、ソフトバンクモバイルで購入して2年間使い続ければ、本体の実質的な負担額が0円となる。本体価格が数万円もする高価な香港版をわざわざ購入してドコモと契約するのは現実的でないかもしれない。
 とはいえ、NTTドコモがiPhoneの販売権を得られない状態がこのまま続いたとしても、アップル自身がSIMロックフリー版を販売したり、輸入業者が海外版を日本に持ち込んだりすれば、NTTドコモで使えるiPhoneが日本で出回ることになるだろう。ソフトバンクモバイルは、iPhoneのSIMロック解除をかたくなに拒むだろうから、こちらのほうが現実的といえそうだ。
自信を深めるドコモ
 SIMロック解除については、携帯電話会社間の取り決めなど、まだまだ調整しなくてはならないことが多い。山田社長は「例えばドコモ端末のSIMロックを外して他社に行った場合に、壊れたときの修理をどちらがやるべきかという問題がある。(これから事業者間で)制度を決めていかないとならない」と指摘する。
 ユーザーの選択肢が増えて端末と回線を自由に選べるようになる一方で、故障やサービスが使えなくなったときに十分なアフターサービスを受けられないのであれば、かえって消費者の不利益になる可能性もある。それらの問題をいかにつぶしていくかが肝心となってくるだろう。
 最後に山田社長は「(SIMロック解除によって)ユーザーの選択の幅が増える。(ドコモは)料金やネットワークエリア、品質がいい。解除によって受けられるサービスは変わってくるが、そこはしっかりと説明する。とにかく、ドコモショップに来てもらいたい」と語った。NTTドコモはネットワーク品質の高さを武器に、来るSIMロック解除時代に向けてますます自信を深めているように見える。



KDDIとソフトバンク、SKテレコムが連携 決済サービスなどで
 KDDIは15日、ソフトバンク傘下のソフトバンクモバイル、韓国の携帯電話会社SKテレコムと、日韓両国で利用できる携帯電話を使った決済サービスで連携すると発表した。これまでは携帯電話をかざして財布代わりに決済する場合、通信方式の違いによって日本国内で利用する端末を韓国内で使うことはできなかった。今回の連携により、設備の相互利用や両国で利用可能なサービスなどを検討する。



NTT、南アIT大手を3000億円で買収
システム事業世界展開
 NTTはロンドン証券取引所に上場する情報システム大手、ディメンション・データ(南アフリカ・ヨハネスブルク)を買収する方向で最終調整に入った。合意すれば来月にもTOB(株式公開買い付け)を実施、完全子会社化する。買収総額は3000億円弱になる見通し。ディメンション社は約50カ国でシステム構築やデータセンター事業を手がけており、NTTは同事業を世界規模で展開する。
 ディメンション社の時価総額は約2320億円(14日時点)。NTTは3000億円弱の買収資金を用意しているもよう。ディメンション社も交渉を受け入れ、友好的TOBになる見通し。
 NTTでは子会社のNTTデータやNTTコミュニケーションズが情報システム事業を手がけているが顧客の多くは日本企業にとどまっていた。ディメンション社が持つ欧米アジアの有力企業に顧客層を広げる。
 NTTはグループ各社とディメンション社との連携を進める。情報システムに不可欠な通信技術をNTTが提供。NTTデータの国内拠点とディメンション社の海外拠点を結び、グローバル企業のシステム受託を目指す。ネットワーク経由でソフトやシステム機能を提供する「クラウドコンピューティング」事業も拡大する方針。NTTドコモの技術を生かし外出先から社内情報を閲覧できるサービスも検討する。
 NTTは今年度までの3カ年計画で海外売上高を2000億円から4000億円にする計画だが、買収により一気に7000億円規模になる。
 NTTは2000年前後、積極的に海外企業に出資。01年までにNTTドコモが米AT&Tワイヤレスなど携帯会社に総額1兆9000億円を投じた。NTTコムも米インターネット大手ベリオを6000億円で買収した。しかし、IT(情報技術)バブルの崩壊などで投資先の財務体質が悪化、撤退や巨額の損失計上を迫られ、失敗に終わった。最近、改めて投資を再開している。
 現在、NTTは通信会社に限らず、情報システムにも対象を広げる投資戦略をとっている。通信事業はインフラへの投資や各国の許認可の影響を受けやすく、リスクが高い。情報システムやデータセンターの運営は安定した収入が見込めるため世界各国での事業展開に乗り出す。



東芝、中国にテレビ販売会社設立 TCL集団と合弁
 東芝は15日、中国家電大手のTCL集団(広東省)と合弁で、中国での液晶テレビ拡販に向けた販売会社「東芝ビジュアルプロダクツ(中国)」を設立すると発表した。2012年度の現地のテレビ市場が09年度比で2倍近くまで拡大すると予測しており、TCLの販売網を活用して沿岸部の大都市に加えて内陸の中規模都市でも売り込む考えだ。
 新会社の資本金は5000万元(約6億3000万円)で、東芝が51%、TCLが49%出資。本社を広東省恵州市に置き、9月から営業を始める。東芝の中国の自社拠点での生産に加えて、TCLからのOEM(相手先ブランドによる生産)調達によって商品群を拡充。販売網も12年度までに1万店以上に増やす方針だ。



「MSN産経」を「iPhone」で
 産経デジタルとマイクロソフトは、パソコン向けのニュースサイト「MSN産経ニュース」を米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で快適に閲覧することができるアプリ「MSN産経ニュース for iPhone」の提供を始めた。
 MSN産経ニュースが提供する毎日約300本の最新ニュースや、写真などを無料で楽しめるほか、地下鉄などネットに接続できない環境でも、あらかじめダウンロードしておいた最大15本の記事を閲覧することができる。気になるニュースをアプリ上からツイッターに投稿することも可能だ。
 さらに、産経新聞の紙面を閲覧できる既存のアプリ「産経新聞iPhone版」へワンタッチで移行できるボタンもついた。
 一日のニュースがまとまった“紙面”は「産経新聞iPhone版」で、速報ニュースは「MSN産経ニュース for iPhone」でと、目的に応じて使い分けられる。



「日本は消費税上げを」IMF提言14~22%
 【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する年次審査報告を発表し、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を始めるべき」と提言した。
 特に税率について、「(消費税率を)15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4~5%(20兆円程度)の歳入増が生じる」などと言及している。IMFが税率や引き上げ時期などを詳細に示して増税を日本に求めるのは初めてだ。
 報告は、「ギリシャの財政危機に端を発した欧州の信用不安を背景に財政再建の緊急性が増している」と強調した。そのうえで、日本の消費税率について、14~22%まで引き上げる案を提示。税率引き上げで短期的には「当初の3~5年間は、成長率を0・3%程度押し下げる」と推計した。しかし、中長期的には、「老後の不安などで蓄えていた貯蓄が消費に回る効果が見込める」として「毎年0・5%ずつ成長率を押し上げる」と結論付けている。
 また、報告は、消費税率引き上げとともに、諸外国に比べて高い法人税率を引き下げ、雇用や投資を刺激する成長戦略も組み合わせることを求めている。日本銀行にも「景気回復が弱まった場合は追加緩和策が必要」との見解を示した。
 さらに、日本の構造的な基礎的財政収支(PB)について、「今後10年間にわたり、年平均で(5兆円程度にあたる)GDP比1%分ずつ削減する目標設定が望ましい」とした。
 世界20か国・地域(G20サミット)首脳会議は6月、日本を、各国が合意した財政再建目標の例外扱いし、菅首相が示した財政再建策を尊重する方針を決めた。しかし、報告は、GDP比で約180%(10年度末見込み)まで膨らんだ債務残高を抱える日本の財政に深刻な懸念を抱いていることを示している。



記者の目◇良品計画が中国で「勝ち組」になる条件
 良品計画が中国展開に本腰を入れ始めた。国内では「カテゴリーキラー」と呼ばれる専門店が台頭するなか、総合雑貨店「無印良品」は苦しい状況が続く。シンプルな統一感を強みにしてきた無印ブランドだが、決して格安路線ではないこともあって節約志向の高まりにあらがうのは難しいようだ。ただ、中国に活路を見いだそうとするのは他の小売企業も同じ。各社がこぞって中国に進出する中で勝機をつかむには、かつて日本の消費者の心をつかんだように、現地消費者の価値観に訴求できるかどうかがカギとなる。
 良品計画が9日に発表した2010年3~5月の連結決算は、純利益が前年同期比26%減の21億円だった。食品や生活雑貨の販売は堅調だったものの、高利益率の衣料品が10%強も落ち込んだ。春先の天候不順の影響も一部あったが、衣料品販売はネット通販でも15%減少。金井政明社長は同日の記者会見で、「客単価が上がらない。堅実で価格に敏感な消費が続いている」と、価格重視の消費動向に対応できていない状況を厳しい表情で振り返った。
 国内の閉塞(へいそく)感が強まるなか、収益源確保のために急ぐのが中国事業の拡大だ。店舗運営のシステムや物流面のインフラを築いた後、13年に目指す100店体制の構築に向けて大量出店に踏み切る考えだ。
 良品計画にとって中国事業の本格スタートは苦い経験を伴ったものだった。香港の企業が衣料品などを対象に「無印良品」を無断で商標登録し、本家であるはずの良品計画は衣料品や履物に「無印良品」ブランドが使用できなかった。訴訟が決着し全商品を「無印良品」ブランドに切り替えたのは08年になってからだった。苦労も多かっただけに経営陣の意気込みも強い。
 ただ消費市場が拡大する中国といえども、スウェーデンの「ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)」やスペインのインディテックスが展開する「ZARA」、ファーストリテイリングのユニクロなど世界的な専門店チェーンはすでに先手を打って進出している。商標問題で出遅れてしまったハンディは少なくない。今後は出店立地の争奪戦や人件費の上昇など、収益圧迫要因も急速に増すことも予想される。良品計画はどう巻き返すつもりなのか。
 「中国や東南アジアなど新興市場の消費者は、約8割が環境問題に関心を持っている」――。金井社長が中国戦略を語る際に引き合いに出すのが、大手広告代理店が実施した意識調査の結果だ。所得が伸びている中国では「簡素さがむしろ美しく、慎ましさが生活者の誇りにつながる」という無印良品のコンセプトを受け入れてくれる消費者層も一定以上存在するとみている。実際、都市部の比較的所得の多い層では、無印良品のファンもできつつあるという。
 無印良品のコンセプトをより中国の現地事情に合わせたデザインに落とし込むための取り組みも始めた。5月には中国で現地のクリエーター約600人を集めた展覧会を開催。食器などの商品のデザインや使用素材の現地化を進める考えだ。
 「中国でも次は、環境や生産者への配慮を打ち出した業態が伸びる」。こう読んだ金井社長の読みは功を奏するのか。中国でのブランド戦略の成否に注目が集まる。
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DeNAとバンダイナムコ、携帯ゲーム配信サイト共同運営
 携帯電話向け交流サイト(SNS)運営のディー・エヌ・エー(DeNA)とバンダイナムコゲームスはSNS向けゲーム事業で連携する。共同でゲームサイトを運営、年間12タイトル以上を配信する。バンダイナムコの往年の人気タイトルを集中的に投入することで、家庭用ゲーム機に親しんできた層を開拓、競合するSNSとの差別化を図る。
 DeNAはSNS「モバゲータウン」で自社開発のゲームに加え、他社が提供するゲームを配信している。バンダイナムコとは専用のサイトを設ける。ミクシィやグリーといったSNS運営会社も他社のゲーム配信サービスを展開しているが、特定のゲーム会社とゲームを共同で配信・開発するのは珍しい。
 アクションゲーム「パックマン」「ゼビウス」といった家庭用ゲーム機で人気のタイトルを毎月1タイトルのペースで無料で配信する。今後、共同で開発した新規タイトルなどを有料で配信する計画だ。
 モバゲータウンの会員数は2千万人弱の水準に達しているが、20代などの若者が多い。ゲーム開発で実績があり人気タイトルを多く抱えるバンダイナムコと組むことで、30代以上の携帯ゲームに親しんでいない層を取り込む狙いだ。



携帯各社トップの発言ににじむLTEへの温度差
 7月14日に東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した無線技術関連の展示会「ワイヤレスジャパン2010」では、2010年12月に国内で始まる次世代携帯通信サービス「LTE(long term evolution)」が中心テーマの1つとなった。携帯電話各社のトップが登壇した基調講演でもLTEが話題となったが、位置づけについては各社の温度差が目に付いた。
キラーアプリはARや自動翻訳
 10年12月に先陣を切って商用サービスを開始するNTTドコモの山田隆持社長は、「ネットワークトラフィックの増大に向け、周波数効率のいいLTEをなんとしても導入したい」と意気込みを示した。今後3年で3000億円を投資する計画については、「当初は5年で3400億円の予定だったが、トラフィックの状況を見て前倒しした。今後はHSDPAの設備増設との兼ね合いになるが、基本的にLTEでやっていきたい」と述べた。
 LTEの利点については屋外で毎秒37.5メガビットと高速なことに加え、遅延が低い点を強調。それを生かした具体的なアプリケーションとして、端末が収集したセンサー情報をネットワークで処理して返答するAR(拡張現実)を挙げたほか、将来的なサービスとして自動音声翻訳にも言及した。
トラフィック対策にはLTEだけでは不足
 一方、KDDIの小野寺正社長兼会長は、12年に商用サービスを開始する予定のLTEをインフラ強化策の一部として説明した。今後のトラフィックについて、「これまではITU-R(国際電気通信連合の無線通信部門)の予測にほぼ乗ってきたが、スマートフォンの普及で15年ころには現在の約10倍になる可能性もある」と予測。「すべてをLTEにすると(ネットワーク)容量は5倍になるが、それにしても足りない」と述べ、周波数そのものの追加やそれぞれの基地局の電波が届く範囲である「セルサイズ」を小さくするなどの対策が必要との見方を示した。
 そのうえで小野寺社長は「中野区の全世帯に毎秒30メガビットでサービスすると、48.8GHzの周波数が必要になる」と具体例を示しながら、モバイルだけでブロードバンドを実現することの限界を強調。小型基地局(フェムトセル)や無線LAN基地局をCATVや光ファイバー加入者線(FTTH)に接続するなど、固定通信ネットワークと連携することの重要性を改めて訴えた。
 ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長は、LTEの導入時期について「13年ころにはLTEに対応するチップも安くなるだろうから、それからでも遅くない」と述べた。さらに1.5GHz周波数帯は「LTEにはいかずHSPA+でいく」と明言し、その理由を「速度面ではほとんどLTEと一緒で従来技術の延長線上にあり、端末価格は安く音声サービスもできる」と解説した。
 同社は700MHz帯や900MHz帯の周波数を取得できればLTEを導入する意向。ただ基調講演の説明資料には、「LTEに妥当性があれば、1.5GHz帯や2GHz帯もアップグレードする」との記述があり、1.5GHz帯での移行にも含みを残している。
 イー・モバイルのエリック・ガン社長は10年10月に開始する下り最大毎秒42メガビットの「DC-HSDPA」サービスを中心に説明した。「ネットワークはこのままでも、MIMO(multiple-input,multiple-output)技術を使えば下り毎秒80メガビットのサービスも展開できる」と述べ、現行技術による高速化に自信を示した。
 また、下りが最大で毎秒40メガビットのWiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズの野坂章雄社長は、「音声サービスから進化したLTEより、データ専業のWiMAXの方が高速性が求められる端末には向く」と強調。WiMAXの後継技術で下りが最大で毎秒330メガビットの「WiMAX2」の導入計画を説明するとともに、同技術のデモンストレーションを10年10月に開催される展示会「CEATEC JAPAN 2010」で実施する予定を明らかにした。



国内広告費6.2%増に 10年度、日経広告研が予測
 日経広告研究所は、2010年度(10年4月~11年3月)の国内広告費が前年度比6.2%増えるとの予測をまとめた。今年1月には同4.0%減との見通しだったが、景気の回復基調を反映して増加に転じる。ただ、過去のピークだった07年下期の水準まで回復したとはいえない。媒体別広告費ではインターネット広告費が2ケタ台の伸びを見込む以外は高い伸びは期待できない。
 国内広告費は08年秋のリーマン・ショック以降世界的な景気悪化で08年度、09年度と2年連続で前の年度を下回った。特に09年度は同13.0%減と大きく落ち込んだが、10年度は同6.2%増と回復する。新聞、雑誌、テレビ、ラジオのマス4媒体広告費は同4.8%増える(09年度は12.4%減)。このうち、新聞1.2%増(同16.2%減)、雑誌2.9%減(同27.3%減)、テレビ6.9%増(同9.3%減)、ラジオ2.6%減(同14.4%減)の見通し。テレビはスポット広告の回復が寄与し、増加に転じる。新聞は持ち直すものの伸びは小さい。雑誌、ラジオは低落傾向が続く。
 一方、今回からマス4媒体以外でインターネット、交通、折込・チラシの3媒体の広告費も予測した。インターネットは17.3%増(09年度は6.1%増)。08年度以来の2ケタ成長を見込む。交通0.6%増(同17.7%減)、折込・チラシ6.8%増(同11.4%減)といずれも回復基調にある。



半導体、激しい「世界大戦」に スマートフォンなどの需要増で
 供給過剰で価格下落を招く恐れもある中、世界の半導体トップメーカーが増産に走り出した。世界シェア3位の東芝が14日、四日市工場(三重県四日市市)の新棟建設に着手したほか、2位の韓国サムスン電子も半導体の設備投資や研究開発に今年1年間で11兆ウォン(約8000億円)を投じる。新興国を中心とする電子機器の販売拡大や先進国で好調なスマートフォン(多機能携帯電話)の売れ行きを背景に、拡大する需要を取り込む構えだ。
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 東芝は四日市工場の新棟で、携帯電話や携帯音楽プレーヤーなどの記憶装置に使われる「フラッシュメモリー」を生産する。来夏にも稼働を始め、平成23年度末の生産能力は21年度末比で3割程度高まる見通しだ。
 当初は昨春の着工を計画していたが、市況悪化を受けて延期。ところが昨年半ば前後から需給が逼迫(ひつぱく)状態となり、今年の正月や5月の大型連休中はフル稼働で対応に追われた。今後3年間で新棟建設を含めて4千億~5千億円を投じ、半導体全体の生産能力を拡充する。
 半導体市場は好況時には需要増で価格が上がり、各社が増産に乗り出すと供給過剰で市況が悪化する好不況を繰り返してきた。
 だが、ここ数年で相次いだメーカーの再編・淘(とう)汰(た)により、市場の寡占化が進行。フラッシュメモリーはサムスンと東芝の2強で世界シェアの計8割近くを占め、「暴落する状況にはない」(東芝)と悪夢の再現を否定する。新たな需要が半導体全体の活況をもたらしていることもあり、「大きな値崩れは考えにくい」(エルピーダメモリの坂本幸雄社長)という見方も強い。
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 米国半導体工業会(SIA)によると、5月の世界半導体売上高は前年同月比48%増の246億5000万ドル(約2兆1600億円)となり、2カ月連続で単月の過去最高を更新。世界トップの米インテルが13日発表した4~6月期決算も売上高が前年同期比34%増で過去最高の107億6500万ドルとなるなど、平成20年秋の世界金融危機後に落ち込んだ需要の急回復に業界は沸いている。
 需要をリードするのは欧米などで好調なパソコンやスマートフォン。「中国をはじめとする新興国で需要が伸びている」(シャープの片山幹雄社長)という薄型テレビなど電子機器の存在も大きい。
 もっとも、米系調査会社アイサプライ・ジャパンの南川明副社長は「欧州で景気が後退して世界的に波及すれば、電子機器の買い控えにつながり、10月ごろに調整局面に入る可能性もある」と指摘する。
 東芝は四日市工場の新棟建設を計画の1期分にとどめており、「生産のスピードアップと設備投資は状況をみながら行う」(小林清志執行役上席常務)など、需給の変化に柔軟に対応する構えもみせている。



半導体回復、装置に波及 東京エレクトロン・4~6月受注3倍
 世界的な半導体の需要増加を受け、半導体装置メーカーの受注が回復している。世界大手の東京エレクトロンは2010年4~6月期の受注額が前年同期比3倍となり、研削装置最大手のディスコは今期に1~2割増産する。半導体はパソコン・携帯端末向けや新興国需要の増加を背景に米インテルの業績が急回復、東芝も14日に三重県四日市市の工場で新棟に着工した。製造装置といったすそ野の産業に投資などの波及効果が広がりそうだ。
 東京エレクトロンは半導体製造工程のうち塗布・現像装置などで高いシェアを持つ。近年の半導体部門の受注額(四半期ベース)の底は09年1~3月期で、204億円まで落ち込んだ。それが今年1~3月期は1236億円と6倍超に伸び、4~6月期は1500億円近くに達した。エッチングや洗浄装置の受注も好調で、洗浄装置開発に十数億円を投じる。
 装置に使用するガラスや金属の消耗品需要も急回復し、中古装置の販売や保守・点検事業の受注額も足元で3割近く伸びているという。ただ水準は08年秋のリーマン・ショック前の8割程度にとどまっており、「本格的な回復に向かうのか、まだ判断できない」(同社)と今のところ慎重だ。
 研削装置で世界シェア7割を握るディスコは、10年3月期の受注が663億円と前の期に比べ4割増。広島県の呉工場(呉市)で新棟を建設中で、今期に生産量を全体で1~2割増やす。
 島津製作所は半導体製造装置に組み込んで真空状態をつくる「ターボ分子ポンプ」の11年3月期の売り上げ見込みが100億円以上と前期比4割超増える。4月からは約20社だった同ポンプの外注先を3社増やした。
 堀場製作所はマスフローコントローラーと呼ばれる半導体向けの計測装置が好調だ。10年12月期の売上高は前期比84%増の230億円を見込む。シリコンウエハー表面にコーティングするガスの流量を制御するもので、京都工場(京都市)などの生産ラインを増設し、全体の生産能力を5割引き上げた。
 世界の半導体市場はリーマン・ショック後、電機各社の在庫調整や設備投資抑制を受けて急速に悪化した。しかし昨年後半から中国など新興国市場を中心にネットブックと呼ばれる低価格小型パソコンやスマートフォン(多機能型携帯電話)向けなどに需要が急回復。
 今年に入ると、電子機器の記憶装置に使うNAND型フラッシュメモリー最大手の韓国サムスン電子が10年に過去最大の26兆ウォン(約2兆1000億円)の投資を決定するなど、世界で大型投資が再び動き出した。半導体世界最大手のインテルの10年4~6月期決算も、純利益が28億8700万ドル(約2550億円)と前年同期の赤字から大幅黒字に転換した。
 日本半導体製造装置協会(SEAJ)は10年の日本製の半導体製造装置の販売が1兆2277億円と前年比88.1%増えるとみており、1月時点の予測を約4600億円上方修正した。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が14日に発表した10年の世界の半導体製造装置の販売も前年比104%増の325億ドル(2兆9000億円弱)。11年には355億3000万ドル(約3兆円)に達すると予測している。



富士フイルム、液晶用フィルム3割増産 新興国需要が拡大
 富士フイルムは液晶パネルの中核材料である保護フィルムを増産する。熊本県の生産拠点に新棟を建設し、2011年10月に稼働させる。既存工場の設備更新も実施し、生産能力は枚数換算で約3割増える。総投資額は400億円。同社は保護フィルムの世界シェアの約8割を持つ。新興国を中心とする液晶テレビの市場拡大を受け、日本勢が高いシェアを握るパネル材料の増産投資が広がりそうだ。
 増産するTAC(セルローストリアセテート)フィルムは液晶用偏光板を保護したり、画面を見やすくしたりする。熊本や神奈川県南足柄市、静岡県吉田町の3拠点の計15ラインで生産している。
 熊本県菊陽町の子会社工場に4カ所目の新棟を建設し、11年10月に1ラインを稼働させる。棟内にはもう1ライン増設する余裕を設け、市場動向を見ながらさらなる能力増強を検討する。
 新棟建設に先行して、熊本と神奈川で既設の計2ラインの生産設備を更新する。熊本の新棟も含め、画面サイズが40インチ以上の大型パネル用フィルムを効率的に生産できる設備を導入する。



タカラトミー、業務用ゲーム機強化 内容変更容易に
 タカラトミーは量販店の玩具売り場などに設置する子供向けの業務用ゲーム機事業を強化する。ソフトや外装を手直しするだけでゲーム内容を変えられるゲーム機を今月中旬に投入、機動的に新ゲームを出せる体制を整える。玩具と同じキャラクターをゲームで使用することで認知度を上げ、玩具販売を底上げする。同事業の売上高を3年後に150億円と現在の5倍に引き上げる。
 ゲーム機は100円を入れ、音楽に合わせてタイミング良くボタンを押すなどして遊ぶ。人気アイドルグループが登場する女児向けゲームを月内から投入するのを手始めに、順次ゲームの種類を増やして3年で9千台を投入する。
 機械を作り替えるコストをかけず、数カ月ごとにゲームのプログラムを更新して新たな内容を加えたり、動向を見て別のゲームに変えたりして売上高の目減りを防ぐ。玩具はアニメと同じキャラを使って認知度を上げるのが一般的だが、ゲームも連動させてさらに幅広い層に広げる。玩具市場の縮小に対応して、玩具以外の収益源を育てる。



ホンダ、投資を効率化 高級車から小型車シフト
 ホンダは建設を凍結していた寄居工場の稼働と軽自動車の新工場建設中止を決め、事業の再構築に一挙に踏み込む。ハイブリッド車や小型車などの環境対応車に経営資源をシフトする一方、軽自動車や高級車、大型車の商品ラインアップは絞り込む。車種の選択と集中に合わせて生産体制を組み直し、一段の効率化を目指す。
 ホンダは日本メーカーの中では、元々少ない車種で販売台数を稼ぐ効率経営で知られる。今年6月の国内販売では、小型車「フィット」「フリード」など主力3車種でホンダの全体販売(軽自動車除く)の約7割を占めた。トヨタや日産自動車の場合、トップ3車種の比率は約4割にすぎない。ホンダがさらに効率を追求する姿勢を鮮明にすることで、他社も車種構成や生産体制の見直しを迫られそうだ。
 ホンダは寄居工場をハイブリッド車など環境対応車を中心とした生産基地に位置付ける計画。将来の主力車種を集中的に生産し、投資効率を上げる狙いだ。
 ホンダの国内車両生産能力は約130万台。2010年度の生産計画は約100万台で、30万台分の余剰能力を抱える。寄居工場を稼働させる一方、既存工場の能力削減に取り組む考えだ。寄居工場と同じ埼玉地区にある埼玉製作所(埼玉県狭山市)内の車両工場「狭山工場」の生産能力を縮小することが有力案となっている。
 一方、軽自動車については年々、販売シェアを落としており、09年度は9.6%と10%を切るまでになった。国内市場に限定される軽自動車に経営資源を割くのは得策ではないと判断。今後は軽自動車の新規開発を一部車種にとどめ、新工場の建設計画も白紙に戻す。
 ホンダの国内販売(軽自動車除く)の約7割を小型車が占めており、高級車や大型車の新規開発も見直す。車種を絞り込むと1つの新車開発の成否が経営に与える影響は大きくなりがちだが、当面の削減対象は販売台数の限られる国内中心の車種で、メリットの方が大きいとみている。経営資源を集中する主力車種は新興国を含め幅広い市場に展開するため、新車の当たり外れによるリスクも減っている。
 環境対応車の開発には莫大な投資が必要で、主戦場となりつつある新興国では、利幅の薄い低価格車の市場が拡大している。自動車業界の収益環境が厳しさを増すなか、いかに効率良く投資し、素早く回収できる体制を組めるかが課題となっている。



iPhone4はビスタの二の舞? MS幹部が皮肉
 【ワシントン=岡田信行】「『iPhone(アイフォーン)4』は、アップルの『ビスタ』になるかもしれない」――。米マイクロソフト(MS)のケビン・ターナー最高執行責任者(COO)は14日、普及が進まなかったMSの前世代のパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ビスタ」を例に、「iPhone4」の受信トラブルで揺れるアップルを自虐的に皮肉った。
 MSが米ワシントンで開いた「世界パートナー会議」で基調講演したターナーCOOは、アップルを「強力な競合相手。製品も素晴らしい」と称賛。そのうえで、高機能ながら動作の遅さが敬遠されて普及しなかったMSの前世代OS「ビスタ」の“失敗”を引き合いにiPhone4のトラブルを皮肉り、130カ国から集まった取引先や社員ら約1万4000人を沸かせた。
 ターナーCOOは「IT)関連の主要15分野のうち、13分野で昨年よりもシェアが高まった」と指摘。伸び悩んだ携帯電話とブラウザー(インターネット閲覧ソフト)の2分野は、すでに発表済みの新製品投入で巻き返しが可能だとした。



総務省、V-High帯利用の全国向け「携帯端末向けマルチメディア放送」でヒアリング
 総務省は2010年7月14日、携帯端末向けマルチメディア放送の実現に向けて、V-High帯(207.5MHz~222MHz)を使用する特定基地局の開設計画の認定にかかわるヒアリングを2010年7月21日に実施すると発表した。
 総務省は同放送の特定基地局開設に関する指針などを2010年4月23日に制定し、5月6日から6月7日までの間に、開設計画の認定申請を受け付けた。その結果、1枠に対して、マルチメディア放送およびメディアフロージャパン企画の2者が開設計画の申請を行った。
 ヒアリングには、電波監理審議会の委員も同席し、申請者の申請内容について質疑などを行う。「申請内容には当該法人の経営に係る情報など、公にすることによって申請者の正当な利益を害するおそれがある事項が含まれる」という理由から、ヒアリングは非公開で行う。
 なお総務省は6月25日に、携帯端末向けマルチメディア放送の実現のための開設計画に関する公開説明会を実施している。



「マーチ」常識覆す 主力車生産も海外へ 価格帯下げ規模で稼ぐ  世界の自動車産業の競争軸が大きく変わり始めた。主役はハイブリッド車や電気自動車だけではない。安さと低燃費を追求する小型車だ。ホンダは小型車と環境車へのシフトを前提にした国内工場の再編を決め、日産自動車は新型「マーチ」の生産を海外に移した。世界大手や中国、インド勢も狙う小型車市場でいかに稼ぐか。日本メーカーが新たなビジネスモデルの構築に挑む。
新型マーチの車台はセダンや多目的車にも活用する
 日産が13日に発売したタイ製のマーチ。国内向け標準モデルの価格は123万円弱、燃費も1リットルあたり26キロメートルと同型車種の中でトップレベルだ。トヨタ系部品メーカー首脳は「驚いたのは価格や燃費じゃない。業界の常識を覆した日産の割り切りだ」と関心を寄せる。
 日産は「主力車の生産は国内」の原則を転換。マーチ全量を海外、しかも新興国を中心に生産する。志賀俊之最高執行責任者(COO)は「世界を狙う小型車を日本から輸出していては利益は出ない」と言い切る。
 マーチはタイに続きインド、中国、メキシコで量産。日立製作所の部品納入遅れで国内4工場が14日から3日間、操業を停止したが、マーチは影響を受けない。
 日産は薄利の小型車を規模で稼ぐ戦略も明快にした。カギを握るのはクルマの骨格となるプラットホーム(車台)だ。
再編の触媒に
 日本メーカーの多くは同じ名前のクルマでも北米、欧州、新興国など地域別に車台の大きさや仕様を変えてきた。市場ごとにきめ細かく対応するためだが、これと決別。開発効率を優先し、世界のニーズを1枚の設計図に落とし込んだ。
 コストを3割下げたマーチ用の車台で、2012年までにセダン、多目的車(MPV)と他の小型車を相次ぎ商品化。志賀COOは「早期に160カ国・地域で年100万台を“量販”する」と宣言する。
 世界の自動車メーカーも布石を打つ。小型車事業の強化を狙い、昨年末には欧州最大手の独フォルクスワーゲン(VW)がスズキと資本提携。今春には独ダイムラーが仏ルノー・日産連合と手を結んだ。業界再編も小型車を軸に進む。
 米調査会社IHSオートモーティブによれば、1800cc級以下の小型車販売台数は16年に5700万台超と07年比で54%増。同じ期間の自動車全体(大型商用車を除く)の伸び率(34%)を大きく上回る。
新興国で競う
 成長をけん引するのは新興国。ハイブリッド車や電気自動車は価格が下がりにくく新興国では主力商品にならない。小型ガソリン車で稼がなければ、これからの成長戦略は描けない。
 新興国の価格競争は異次元に入りつつある。インドのタタ自動車が昨年発売した「ナノ」は20万円強。低価格化が新興国の小型車需要をさらに加速させる。日産も15日からインドで売り出すマーチは装備を簡略化、最低価格を売れ筋の70万円台にして対抗する。
 1980年代、大型車一辺倒だった米国に低燃費・低公害型の小型車を投入し、世界展開のきっかけをつかんだ日本メーカー。いつの間にか1台あたり100万円以上の利益が期待できる高級車や大型車に頼る収益構造が染みついた。低価格化で少ない利幅がさらに縮まりがちな小型車。日本メーカーはビジネスモデルを進化させ続ける必要がある。
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