(Д)゜゜!!新聞

流出する雇用を取り戻すには
 米インテルを創業した一人、アンドリュー・グローブ氏が米誌への寄稿でこう書いていた。「新しい製品や技術があればまず米国で量産化を、と昔は考えたものだ。最近は始めに中国ありきだ」
 「フラット化する世界」などの著者トーマス・フリードマン氏が米紙に書いたコラム「(雇用をつくるのは)起業家精神」に反論した記事だというが、実際は最近のシリコンバレー経営者への批判だろう。起業家のアイデアが事業へと飛躍する過程で「量産化という重要なノウハウが米国から消えていく」と繰り返し嘆いている。
 記事によれば、アップルやヒューレット・パッカード、デル、IBM、マイクロソフト、ソニーの製品を受託生産している台湾企業、鴻海(ホンハイ)精密工業は雇用者総数が80万人と、日米6社の従業員数の合計を上回る。中でもアップル製品をつくる中国の工場は、アップルの米従業員数を10倍も上回る雇用を生んでいる。
 もはや、中国を抜きに世界のエレクトロニクス産業は成立しない。それはグローブ氏にも当然わかっているはずだが、技術や雇用が流出し続けている現実を看過していていいのか、との主張はもっともだ。米国人の多くは「アップル製品の多くがホンハイで生産されている事実を知らない」との調査結果もあり、本国にどんな機能を残し、流出した雇用はどんな方法で国内に取り戻すのか。やはり国民的な議論は必要だろう。
 それは日本にとっても同様かもしれない。中国や東南アジアを「工場」に活用する電機メーカーは日本でも増えている。最近は雇用への波及力がさらに大きい自動車大手が国内の生産能力を減らし、アジアに生産シフトしようと動き出した。トヨタ自動車は1割、ホンダはそれ以上の国内能力を海外に移す可能性があるという。
 円高もあるが、今後10年で2500万台もの新規需要を生み出すとされる新興国市場により近く生産拠点を持とうとの意識が自動車メーカーには強い。では成熟した日本で何をつくるか。最も重要な部分が見えてこないのがもどかしい。



日本から米国へ:「漫画の著作権侵害を停止せよ」
 通常は、米国の政策当局者や企業幹部らが知的財産権の侵害に反対する世界的なキャンペーンを主導する。また米政府はこれまで、音楽と映画の著作権保護が不十分だとして日本を非難してきた。
 しかし、日本からの最も目立った輸出品の一つと言える漫画に関しては、米国はモラルの高い基準を失っているようだ。
 翻訳漫画の出版を手掛ける米バーティカルの編集ディレクター、イオアニス・メンザス氏は「米国では、知的所有権という概念が一般に広まっていると思うだろうが、私の見る限りでは水準は中国と同程度だ」と述べた。
 バーティカルは、6月に多国間漫画著作権侵害対策連合(Multi-national Manga Anti-Piracy Coalition)を結成した日米の出版社42社のうちの1社。同連合は米国の違法な漫画サイトに対して「活動を直ちに止めるよう」求めるとともに、「差し止めによる救済や法的損害賠償を求め」、「違法サイトについては米連邦当局に通知する」と警告している。
 米国ではこのところ、出版社や著作権者の許諾を得ずに漫画をスキャンし、吹き出しなどのテキストを英語に翻訳した「スキャンレーション」がちょっとしたブームになっているようだ。「スキャンレーション」という用語は、「スキャニング(拾い読み)」と「トランスレーション(翻訳)」を掛け合わせた造語で、通常はパラパラと目を通し編集して、翻訳した漫画を指す。こうした方法により、スキャンレーションを集積したサイト、スキャンレーション・アグリゲーターを通して無料で無数の米読者に入手可能となり、以前には日本語だけでしか手に入らなかった漫画本の人気が急上昇することになった。



チケット半分売れ残り、相撲案内所悲鳴
 「営業を始めて以来の大打撃」「来年は存続できないかも」――。
 観戦チケットの販売不振に、名古屋場所で4軒営業している相撲案内所は悲鳴を上げている。
 案内所はチケット料金の10%、飲食代の約30%が収益の柱だ。各案内所が扱う升席券は昨年より15%少ない。それでも、野球賭博や暴力団観戦の騒動で客離れが進み、全体の約半分が売れ残った。ある案内所では「飲食物が売れず、経営が成り立たない」と嘆く。
 相撲協会は案内所で売れ残ったチケットを一定の比率で買い戻す。それでも赤字は免れそうにない。場所前には、各案内所が140万円ずつ負担して建てた仮設小屋が建築基準法違反で市に撤去され、簡易テントに変更されるトラブルもあった。案内所組合の小関義明組合長は「この状況は死活問題。補償してもらえるよう、相撲協会と話し合いたい」と強く訴えた。
 一方、観光への打撃も大きい。昨年は計約200人の観戦ツアーを行った名阪近鉄旅行(名古屋市)は、今年は申し込みがなく中止し、近県の旅行会社でもツアー中止が相次いだ。愛知県体育館近くのホテルでは、ペア15組を募集した観戦プランの半分が売れ残った。別のホテルでは場所前、観戦プラン用に300人分のチケットを用意したが、大半が余るなど、苦戦が続いている。



「携帯放送」バトル 最終章 顧客数のドコモVS.“実績”のKDDI
 来年7月の地上アナログ放送終了に伴う電波の「空き」を使って、携帯電話などに動画や文字情報など多様なコンテンツを届ける「次世代マルチメディア放送」の事業者選びが大詰めを迎えている。NTTドコモとKDDIが、それぞれ協力企業と陣営をつくって総務省に参入を申請し、「1枠」の事業者認定を争っている。原口一博総務相は来月半ばにも選定の結論を出す方針で、まもなく両陣営の勝敗が決する。
 ◆技術に「優劣なし」
 今回選ばれるのは、基地局などマルチメディア放送のインフラ整備を担う事業者で、ドコモ陣営は、国産技術である地上デジタル放送の規格を発展させた「ISDB-Tmm」と呼ばれる放送方式を提案。KDDI陣営は、米無線通信技術大手クアルコムが開発した「メディアフロー」方式を掲げている。
 だが総務省は、両陣営の技術について「優劣がなく、いずれも適切」としている。このため、基地局の整備や対応端末の普及など「事業を成り立たせていく上で計画が適切、確実かどうか」(総務省幹部)が勝敗を分けるポイントになる見込みだ。
 この点について、ドコモの山田隆持社長は「充実したコンテンツ、リーズナブルな料金水準、そして対応する携帯端末の多さが強みだ」と、自陣営の事業計画に強い自信をみせる。
 フジテレビジョンなど民放4社や商社が陣営に参画しているため、ドコモはコンテンツが集めやすい。国産技術の採用に加え、首都圏の約1600万世帯をカバーする「東京スカイツリー(建設中)」を利用し基地局整備などの設備投資を抑えることもできる。放送サービスの利用料金も、ドコモが携帯電話向けに提供している既存の動画配信サービス「『BeeTV』の月額315円と同水準にしたい」(山田社長)という。
ライバルのソフトバンクモバイルが“呉越同舟”で陣営に加わり、放送サービス開始後5年目で5000万台の端末普及を想定するなど、国内の「地盤の厚み」を生かした提案で、事業の採算や展開力で優位性をアピールしている。
 これに対し、KDDI陣営は中規模の基地局を多数設置することで、電波の届きにくい屋内やビル陰といった場所でも受信しやすくするとしている。その分、基地局数や設備投資額はドコモ陣営に比べて大きくかさむが、KDDIの小野寺正社長兼会長は「携帯電話と同じように使える仕組みを整えることが重要」と指摘する。
 また、すでに米国でメディアフロー方式のサービスが提供され、携帯端末も複数メーカーから販売されている“実績”はドコモ陣営にはない強みだ。国内でも沖縄県で実証実験を行っており、現状の端末が試作機のみで、「開発が遅れがち」(関係者)ともいわれるドコモ陣営に対し、「総務省からの認定後、速やかに商用化できる」(同)としている。
 ◆新たな収益源に
 携帯電話市場が頭打ちとなる中、課金モデルでコンテンツを配信できる次世代マルチメディア放送は、軌道に乗れば新たな収益源となるだけに両陣営とも認定取得は譲れない。14日から東京・有明の東京ビッグサイトで3日間開かれた無線技術展示会「ワイヤレスジャパン2010」でも、マルチメディア放送対応端末を多数並べるKDDIと、バラエティー番組さながらのコンテンツサービス体験コーナーを設けるドコモが火花を散らしていた。
 総務省は21日に、両陣営からの非公開ヒアリングを行う予定で、これが双方にとって最後の山場となるとみられる。原口総務相は「透明性や公平性、日本のデジタルコンテンツの発展性などを大事にしながら事業者を決めたい」としているが、両陣営の提案は甲乙つけ難い。どちらに軍配が上がるのか、勝敗の行方は混沌(こんとん)としている。



ジョブズCEO「アップルが韓国企業ならよいのか」
 アイフォーン4の問題についてスティーブ・ジョブズ・アップル最高経営者(CEO)が自ら釈明したが、波紋は収まらない兆しだ。謝罪よりも弁解で一貫したという批判が出ている。
ニューヨークタイムズは17日(現地時間)、 「多くの人々がジョブズから『私のせいだ(Mea culpa)』という言葉を聞くと思っていたが、ジョブズはアンテナ問題をマーケティングイベントに変質させた」と指摘した。
 突然アップルの‘作戦’に引き込まれた競合他社も強く反発している。今回の会見の起爆剤の役割をしたコンシューマーリポートは「保護ケース無償提供は最初の処置としては悪くない」としながらも、長期的な解決策が出てくるまではアイフォーン4を推薦除外対象に分類するという立場を明らかにした。
 ◇競合他社が反論=アイフォーンの競争製品ブラックベリーを生産するRIM(リサーチ・イン・モーション)は17日、共同最高経営者(CEO)名義でジョブズの記者会見内容に反論する公式声明を出した。アイフォーンのアンテナ問題を「すべてのスマートフォン業界が共有する問題」に拡大したジョブズの主張に怒りを表したのだ。
 この声明書でRIMは「アップル自身の問題にRIMを引き込んだのは受け入れられない」と不快感を表した。さらに「ブラックベリーを使う顧客はアンテナ性能を高めるために(アップルのように)ケースを使わない」とし「アップルは他のブランドを引き込もうとせず、自社のデザインに責任を負うべきだ」と指摘した。
 モトローラの共同CEOサンジェイ・ジャも電子メール声明で「すべてのスマートフォンがアイフォーンほどの問題を抱えていると話するのは正直でない」とし「自社の調査の結果‘ドロイドX’は‘アイフォーン4’より性能がより良かった」と主張した。
 ◇デザイン執着が招いた災い?=アップルの製品の場合、デザインが占める比重はかなり大きい。デザインに対するジョブズの執着も格別だ。ジョブズは初めてアイフォーン4を紹介しながら、「私たちが作った製品のうち最も美しい」と紹介したりもした。
 しかしその美しさがむしろ災いを招いたという分析も出てくる。ニューズウイーク電子版は最近、「アップルの受信不良問題は、ジョブズが奇抜で立派なデザインに集中し、機能問題を後回しにした結果であるかもしれない」と指摘した。
 ブルームバーグ通信は最近、「こうした問題は事前に提起されたが、受け入れられなかった」と報じた。アップルのアンテナエンジニアらがすでに昨年、アイフォーン4は受信問題を起こしうるとジョブズに警告したということだ。しかしジョブズは記者会見でこれに関し「全面的に嘘」と強く否定した。
 一方、初期の原因把握と対応に問題があったのではないかという質問が出ると、ジョブズは「人々はうまく行けば足を引っ張ろうとする。グーグルを見よ」と述べた。続いて「私たちが米国企業ではなく韓国企業だったら良いのか」と反問したりもした。アップルに傾いた関心と一部の猜忌が問題を膨らませたということだ。



株価材料の研究 iPad・電子書籍、物色どこまで~意外な大型株も関連銘柄?(10/7/19)
 「電子書籍」が注目を集めている。きっかけは米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。米国では4月の販売開始から3カ月足らずで300万台超が売れ、日本でも5月の販売初日には行列のできた店もあった。国内メーカーも相次ぎ同様のタブレット型端末に参入している。株式市場で「電子書籍」関連とされる銘柄は端末からコンテンツまで数多くあるが、iPadのような人気は続くのか。
 電子書籍とは、本や雑誌のような印刷物ではなく、電子端末で読む「出版物」。通信ネットワークとつながった端末に書籍ファイルをダウンロードするので、いつでもどこでも購読でき、1つの端末にたくさんの本をしまえる。画面を広くしたiPadが人気に火をつけ、日本国内では携帯電話向けの電子コミックを中心に利用されてきた。
 先行していたのは米アマゾンの「キンドル」で、米国では約6割のシェアを握る。キンドルは米国で45万冊、日本で36万冊が利用でき、端末には3500冊まで保存できる。これに続くのがソニーの「リーダー」でシェアは約3割。ここに今年、アップルがiPadを引っ提げて参入し、市場の急拡大が見込まれている。米アイサプライ社の調査によれば、2010年のキンドルやリーダーといった電子書籍の専用端末とiPadを合計した世界の市場規模は約1800万台。12年には2倍強の約3800万台まで膨らむ見通しだ。
 日本でもリーダーの年内発売が予定され、NTTドコモも端末投入の意欲を示している。東芝や富士通も個人向けタブレット型端末に参入する予定だ。
 日本の株式市場で関連銘柄への物色が始まったのは昨年後半から。今春のiPad発売より早かった。
「タッチパネル」は思惑先行、人気は早くも息切れ
 最初ににぎわったのは端末に使われる部品・部材をつくっている銘柄。特に日本写真印刷やワコムといった「タッチパネル」関連は、一時は相場の主役に躍り出た。それが年明け後は急失速。日写印の株価は昨年末の半分になってしまった。実はiPadのタッチパネルに多く使われているのは台湾や韓国勢。日本製品の比率は07年発売の「iPhone」に比べて大幅に下がったという。投資家の期待や思惑が先走りした典型例だ。
 電子部品は日本勢に強みのある分野だが、電子書籍ではあまり地力を発揮できそうもない。というのは、端末の主流になるとみられるタブレット型端末は携帯端末よりサイズが大きく、日本勢が開発を進めてきた超小型・高機能の部品を使う必要がないからだ。結果としてアジア勢の低価格品が多く組み込まれている。
 もちろん、TDKの子会社製の電池など、iPadに採用された日本製部品もあるが、「収益に大きく寄与しそうなのは、グループでコネクタをiPadに提供する第一精工くらい」(バークレイズ・キャピタル証券の越田優アナリスト)だ。肝心の端末本体を手掛けるソニーも、株式市場での人気はいまひとつ。リーダーの価格は1台2万~3万円で、今のところ年間200億~300億円規模の事業。「事業規模がまだ小さいため、今後の展開を見極めたい」と投資家は様子見を決め込んでいる。
 部品・部材に続いたのが、端末に取り込まれるコンテンツ関連。本や雑誌で言えば「出版社」「卸」「書店」などにあたる。
 ライフネット生命の調査(対象1000人、複数回答可)では、iPadで読んでみたい電子書籍のジャンルに「コミック」が「雑誌」に次いで2位。携帯コミックはすでに300億~400億円(08年)の市場規模があり、「携帯電話コミックを手掛けている企業は、電子書籍でも優位」との見方から関連銘柄がはやされた。
 今年前半に人気になったのが、携帯コミックで「書店」にあたる銘柄。フォーサイド・ドット・コム、インフォコムなどがそれだ。一時は株価が昨年末の約3倍まで買い進まれた。ただし、配信事業は競争が過熱気味。着メロ同様、いずれ上位数社に淘汰されるとの指摘がある。
 「印刷」と「取り次ぎ」、つまり「電子卸」にあたるのがパピレス。文字や画像などの素材を組み合わせて電子コンテンツのファイルを作成する「オーサリング」を手掛け、シティグループ証券の山科拓アナリストによれば、同社と凸版印刷系2社、大日本印刷系1社の4社でシェアの大半を占める。パピレスは6月23日に上場したばかり。上場当日に初値がつかない人気ぶりだったが、「印刷会社系に比べると出版社とのつながりが弱く、仕入れの価格競争力が弱い」(国内証券アナリスト)との見方もあり、最近は商いが細ってきている。
 反対に、コンテンツという「宝の山」を抱えていそうな出版社の値動きは鈍い。著作権などの仕組みが複雑で、電子書籍普及の恩恵を受けられるか不透明だからだ。ただし、アルクやベネッセホールディングスなど「学習・教育関連は著作権の問題が少なく、電子化との相性がよい」(山科氏)と期待する声はある。
 あまり話題にはなっていないが、先行き有望だとみられている分野もある。電子書籍の文字の表示装置である「電子ペーパー」だ。白黒の微小な粒子を電気制御してコンテンツを紙のような見栄えにする技術で、需要が急拡大している。
「電子ペーパー」の需要拡大、ブリヂストンも参入狙う
 リーダーやキンドルなど電子書籍端末向けでは、米イーインクが9割以上の圧倒的なシェアをもつとされる。イーインクの電子ペーパー採用端末の多くにはセイコーエプソンの制御用ICチップが搭載されているとみられ、エプソンの貴重な収益源になるとの声がある。富士通子会社の富士通フロンテックは、世界初のカラー電子ペーパー採用書籍端末「フレッピア」を開発。カラー液晶を採用したiPadとは異なる路線で電子書籍のカラー化を目指す。
 電子ペーパーのカラー化という点では、意外な銘柄も連なってくる。タイヤ大手のブリヂストンで、昨年にカラー電子ペーパーの実用化にこぎ着けた。主にスーパーなどで商品の値段などを表示する装置に使われている。同社はもともとプリンターなどに使われるローラーを手掛け、トナーに関する基礎研究で培った粉末や粒子の制御技術を応用した。同社は「電子書籍向けでは事業化していないが、有望な分野とみて開発を続けている」としている。
 ほかにiPadで無料カタログの配布を始めた千趣会、iPad向け電子コンテンツ制作ソフトに参入したスターティアやインフォテリアなど、電子書籍関連と位置付けられた銘柄は数え上げればきりがないほどある。
 もちろん、これらは玉石混交。そもそも電子書籍がどれくらい普及し、長続きするか分からない点も多い。日本では04年のパナソニック(「シグマブック」)やソニー(「リブリエ」)などいち早く電子書籍市場に参入したが、その後は根付かなかった例もある。株価の一時的な上昇に惑わされず、実績を確認しながらじっくり投資するのが無難なようだ。



[FT]当局はグーグルを注意深く監視せよ(社説)
 グーグルは無料の検索技術によって消費者に多大な利益をもたらした革新的な企業である。そして今度は、同社が大きな市場シェアを持つ超高収益企業になった。
 それゆえ、多くの企業(特に中小企業)にとって、自社がグーグルの検索結果ランキングのどこにつけるかが非常に重要になる。グーグルは競争優位を守りたいと考えているため、これらの企業にはグーグルの技術の仕組みを知る術がない。
市場支配力、乱用の可能性
 その結果、グーグルは次第に規制当局から厳しい監視の目を向けられるようになった。欧州委員会は既に、検索市場を対象に非公式な調査を行っている。今のところ、グーグルが市場支配力を乱用している証拠はないが、乱用することは考えられる。
 先日来、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)が報じてきたように、グーグルは2つの分野で論争に見舞われている。1つ目は「検索の中立性」で、規制当局はグーグルの検索アルゴリズムを監督するなり、明確なルールを設けるなりして、同社が編集上、商業上の理由から体系的に偏ることがないよう請け合うべきだとの声が上がっている。
 これは実用的でなく、必要性もない案だ。グーグルの検索部門を率いるマリッサ・メイヤー氏が本紙で論じたように、様々な検索エンジンが最も関連性の高い最高の検索結果をはじき出すべく互いに激しく競争した方が好ましい。グーグルは検索分野で大成功しているかもしれないが、お金をかけずにたった1回クリックした先に競争相手が存在している。
垂直的なサービス、不当な影響力持つ恐れ
グーグルは中国政府とも検索サービスの検閲を巡って衝突した(北京市にあるグーグル中国の本社があるビル=ロイター)
 懸念されている2つ目の分野は、グーグルが検索と連動する垂直的なサービスを提供していることだ。例えば、ユーザーが住所を検索した時にグーグル・マップが表示されたり、誰かがカメラを検索した時にグーグルの買い物データ比較が表示されたりする。これは旅行や電子商取引分野の競合企業に影響を及ぼす。
 エクスペディアとインタラクティブコープの会長を務めるバリー・ディラー氏は先日、グーグルが7億ドルでITAソフトウエアを買収する計画に抗議した。グーグルはフライト情報の表示で不当な影響力を手に入れることになる、というのがその理由だ。ディラー氏は、規制当局が買収計画を慎重に精査し、条件を課すことを求めている。
 これに対してグーグルは、同社は可能な限り有益な情報をユーザーに提供しようとしているのだと弁明する。しかし、垂直的なサービスを検索と連動させることが反トラスト法の違反行為につながる可能性は、明確な懸念を引き起こす。欧州と米国の規制当局はITA買収を利用して、この問題を広範に検証すべきである。
あまりに強大なハイテク企業
 ただ単にグーグルのサービスが競合他社より優れているという理由から、同社が規制当局に力を奪われることがあってはならないが、同社を注意深く監視する必要はある。グーグルは明らかに邪悪なわけではないが、あまりに強大なハイテク企業であり、道を踏み外す可能性がある。
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iPhone 4+ドコモ携帯、負担増ゼロで“2台持ち”するには?
 従来の使い勝手のよさに加え、高解像度ディスプレーにハイビジョン動画撮影など、豊富な機能を取り揃えたことで、予約が殺到するなど高い人気を誇るアップルの「iPhone 4」。だが“スマートフォン”に分類される端末で、通常の携帯電話とは異なる部分も多いことから、購入に躊躇している人も少なくないのではないだろうか。
 そこで「iPhone 4は欲しいけど、携帯電話は手放せない」という人のため、多くの人が所有しているNTTドコモの携帯電話とiPhone 4の2台持ちを前提に、どのような使い方・料金で利用するのがベストかを考えてみよう。
まずはiPhone 4にできないことを見極めよう
 まずはiPhone 4を利用する上で、ネックとなる要素を確認しておこう。代表的な要素としては、ワンセグやおさいふケータイなどが(単体では)利用できないということが挙げられるが、他にも見落としがちな要素がいくつかある。
 例えば“携帯サイト”。QRコードの読み取りなどは、iPhoneに別途アプリケーションをインストールすることで対応できるが、その先の携帯サイトにアクセスできないことも少なくない。お店のクーポンやメールマガジンへの登録などを利用したい場合、この制限に引っかかるケースが意外と多い。
 同様の理由から、携帯電話の公式コンテンツや、モバゲータウンなどのSNSで提供されているソーシャルゲームもほぼ利用することができない。さらにいえば、「iコンシェル」「iチャネル」などのキャリアが提供する情報系サービスももちろん利用不可能だ。
 “赤外線”も見落としがちなポイントである。赤外線はアドレス情報や写真の交換などに広く活用されているが、iPhoneには赤外線端子自体が存在しない。そのため、携帯電話の利用者とアドレス交換ができない。プロフィール情報をQRコード化して相手に読み取らせるアプリケーションなども存在するが、ひと手間かかってしまう。
 また、iPhone 4にしたとしてもどうしても変えたくない要素もいくつかあるだろう。例えば、メールアドレス。電話番号は番号ポータビリティ(MNP)で移行させることができるが、メールアドレスはそれができない。そのため、躊躇してしまう人も少なくないだろう。さらにNTTドコモの方がソフトバンクモバイルより通信インフラが充実していることから、普段、一般的な携帯電話を利用しているのであれば、回線品質に不満を感じるかもしれない。
どの機能を残して、どの機能を移すか?
 こうした要素を考慮した上で、どこまでをiPhone 4に移し、どこまでを携帯電話に残すかを考える必要がある。
 比較的移行しやすいのは、Webサイトやコンテンツ、アプリケーション関連であろう。普段、携帯サイトをあまり利用しておらず、PCサイトの利用頻度の方が高いのであれば、iPhone 4の方が利便性が高い。またゲームやニュース、電子書籍などのアプリケーションも、最近はiPhone向けのものが充実してきている。音楽に関しても、PCや無線LAN経由でiTunesを利用することで代替可能だ。
 またカメラに関しても、iPhone 4では500万画素と大幅に強化され、静止画・動画ともにミドルクラスの携帯電話並みの画質が得られるようになった。デジタルカメラ並みの画質が欲しいというのであれば話は別だが、そうでない人はiPhone 4でもある程度の満足は得られるだろう。
 一方で、ワンセグやおさいふケータイ、赤外線などハード的に対応していない機能は、携帯電話側のものを利用した方がよい。ワンセグなど周辺機器で対応可能なものもあるにはあるが、2台持ちを前提とするのであれば、上手に使い分けた方が荷物を増やさずに済む。
 通話に関しては、NTTドコモの充実したインフラ、そしてiPhone 4の回線品質を考慮すると、やはり従来の携帯電話中心に利用した方が安心だ。また家族がNTTドコモを使っているなら、「ファミ割MAX50」の契約で家族間通話が定額となることから、そちらに合わせた方が安く済むだろう。
 ただしiPhone 4には、ソフトバンクモバイルのホワイトプランにおける定額通話が存在する。ソフトバンクモバイルの携帯電話相手に、21時~翌1時以外の間に通話をするなら、そちらを利用した方がお得。双方を使い分けて料金を節約するという手もあるので、覚えておきたい。 通話に合わせてプランを選択、iモードの解除は慎重に
 こうした要素を考慮すると、Webやアプリケーションなどコンテンツの利用をiPhone 4に移し、通話、そしてワンセグやおさいふケータイなど不足部分を従来の携帯電話で補うというのが現実的な2台持ちのスタイルといえる。それゆえ携帯電話側の料金プランは、純粋に自分の通話利用状況に合わせたものを選ぶのがよい。
 オプションに関してはどうだろうか。通話中心の利用に限定するのであれば、「ケータイ補償 お届けサービス」(月額315円)など補償に関するものや、オプションパック割引(留守番電話、キャッチホン、転送電話、メロディーコールのセット。月額420円)のような通話に関連するものを除き、例えばパケ・ホーダイ ダブルやiチャネル(月額157.5円)、iコンシェル(月額210円)などは外してしまってよいだろう。
 だがiモード(月額315円)に関しては、十分注意する必要がある。携帯電話側でWebやメールを使わないのであれば必要ないように思えるが、おさいふケータイや各種クーポン、メロディーコールの設定などiモードを契約していないと利用できない、あるいは利用しづらいサービスもいくつか存在するためだ。また、そもそも現在のiモードメールのアドレスを維持したいのであれば、iモードの契約は必須だ。
 こうしたことから、iPhone 4と2台持ちをしてからしばらくはiモードの契約を残しておき、その後の自分の利用状況に応じて契約を続けるか否かを判断するというのが現実的だ。もしiモードを契約し続ける場合はパケ・ホーダイ ダブル(月額390~4410円、フルブラウザ使用時は5985円)も契約していた方が安全だが、NTTドコモの場合、万が一パケット代を使いすぎた場合でも、同月内であればあとからパケ・ホーダイ ダブルを適用することも可能なので、覚えておくといいだろう。
実際の料金イメージは?
 これらを踏まえ、実際、現在NTTドコモの携帯電話を持っている人が、iPhone 4との2台持ちに変更した場合、毎月の料金がどのように変化するかを考えてみよう。
 バリューコースでファミ割MAX50、またはひとりでも割50を適用しており、かつ料金プランに一般的な「タイプSS」を選択している場合の基本料は980円となる。これに加えて、iモードやパケ・ホーダイ ダブルなど、量販店で薦められることが多い一般的なオプションを適用した場合、毎月の料金は2787~6807円、フルブラウザを利用している場合は8382円となる(いずれも小数点以下は切り捨て)。ここから先の例に従って「iチャネル」「iコンシェル」「パケ・ホーダイ ダブル」のオプションを外した場合、月額料金は2030円となる。
 一方、iPhone 4の料金プランには「バリュープログラム(i)」と「標準プライスプラン」の2つが用意されている。両者の違いはパケット定額制のオプションと月月割の価格で、前者は「パケットし放題フラット」(月額4410円)、月月割が1920円。後者は「パケットし放題 for スマートフォン」(月額1029~4410円)、月月割が1440円となっている。
 ともに新スーパーボーナス2年契約でiPhone 4(32GB)を購入し、パケット通信をフルに使用した場合、バリュープログラム(i)では「ホワイトプラン(i)」(月額980円)、「S!ベーシックパック(i)」(月額315円)、そして月月割適用後の端末価格(480円)をプラスして6185円、標準プライスプランでは月月割が480円分少ない分、上限がアップして6665円となる。
iPhone 4と2台持ちでの利用と、NTTドコモのみを利用した場合との比較(画像クリックで拡大)
 これらの料金を単純に合計すると、バリュープログラム(i)を選択した場合は8215円、標準プライスプランを選択した場合は8695円ということになる。携帯電話でiモードメールやiモードブラウザのみ使っていた場合は1500~2000円のアップとなるが、フルブラウザを使っていた人の場合は、大きく変わらない料金で利用できるといえる。
 なお、ここで記した例はあくまで一例に過ぎない。16GBのiPhone 4を購入した場合や、端末を一括で購入した場合、分割払いが終了した場合は月額料金がより安くなるし、標準プライスプランで無線LAN主体で使う場合は通信料を大幅に抑えられるだろう。またNTTドコモ側も、オプション・プランを変更することで料金は増減することとなる。ここで上げた事例をベースとしながら、自分なりの2台持ち料金設定を考えてみて欲しい。



改正貸金業法、完全施行1カ月 秋以降は要警戒、特区構想で火種も
 消費者金融などの融資を大幅に制限する改正貸金業法が完全施行されて18日で1カ月。今のところ大きな混乱はないが、秋以降、ボーナスを使い切って資金繰りに困る借り手が増える懸念は高く、専業主婦などが悪質商法に走る恐れも指摘される。事態を重くみた大阪府は法改正前の規制に戻す「貸金特区」構想を示したが、政府は難色を示し、新たな火種となっている。 (藤澤志穂子)
 完全施行後、日本貸金業協会に寄せられた相談の大半は変更点の質問で、「借りられなくなり困った」との声はあまりないという。
 静かなスタートの背景には、6、7月が賞与時期と重なり、資金需要が少ないという事情がある。大手消費者金融幹部は「秋以降が要注意だ。改正法の存在を知っていても内容を知らない人は多く、借りる段階で混乱する可能性がある。そんな利用者が悪質商法に走りかねない」と警戒する。
 消費者庁も最近、トラブルが急増中の6つの悪質商法を公表。特に懸念されるのが、クレジットカードのショッピング枠を悪用して借り手に不正換金させる手口で、東京情報大の堂下(どうもと)浩准教授は「業者の競争が激化し、手数料率引き下げなどで利用者が増える悪循環となっている」と語る。
 そもそも段階的に施行された改正法の狙いは多重債務者問題の解決で、「一定の効果があった」(新里(にいさと)宏二弁護士)とされる。ただ多重債務者が減る一方、生活費や運転資金に困った主婦や零細事業者はなお多く、昨年秋以降、自己破産は前年同月比で増える傾向にある。
 このため大阪府は7月6日、政府に「貸金特区」設立を要望。内容は(1)20万円以内の融資で上限金利を法改正前(年29・2%)に戻す(2)返済能力がある借り手には総量規制を超えて無担保融資(3)専業主婦には50万円まで融資-などだ。
 これに対し、自見庄三郎金融相は「法律違反を認めることになる」と真っ向から批判。日本弁護士連合会も「直ちに撤回を求める」との声明を出したが、借りにくくなった人の有効な受け皿があるわけではない。
 実際、金融庁は信用金庫や信用組合の融資に期待、日弁連は社会福祉協議会などの生活困窮者向け「セーフティーネット融資」の拡充を求めているが、「損失を政府が保証するなどしない限り無理」(信組幹部)との声も漏れる。堂下氏は「改正法を見直し、短期・少額融資の規制を緩和するしかない」と話している。



「オバマ政権はアンチビジネスだ!」米経済界で不満噴出
 【ワシントン=渡辺浩生】医療保険改革法や金融規制改革法案などオバマ政権が次々に打ち出す政策に対し、米経済界から、企業負担を増やす「アンチビジネス」だという不満が噴出している。米商工会議所が「雇用創出という最優先事項を無視している」との書簡を出すなど対立する動きも拡大。中間選挙を控え関係悪化を避けたいホワイトハウスは対応に苦慮している。
 米商工会議所が大統領への公開書簡を出したのは14日。増税や規制強化で「産業界を傷つけている」とした上で、「先行き不安感は経済成長や投資、雇用の敵だが、政府と議会多数派(民主党)は企業の経営判断に多大な不安感を与えている」と攻撃した。
 エマニュエル大統領首席補佐官らは同日、素早く書簡を返信。「われわれは正しい方向に向かっている」とした上で、政府と経済界は雇用回復の目標を共有し「対立することはできない」と火消しに回った。
 先月中旬には、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズのセイデンバーグ最高経営責任者(CEO)が「政府とビジネス界の分断された関係に悩まされている」と述べ、政治不信が投資や雇用を妨げていると強調。同氏は大統領選でオバマ氏を支持しており、その発言は反響を呼んだ。
 オバマ政権は医療保険改革法を今春に実現。金融規制改革法案も近く成立するほか、温暖化対策法案への意欲も捨てていない。大統領の手腕を評価する声もあるが、企業にすれば、医療費やエネルギーコストなど「負担を増やす事実上の増税」(米商工会議所)だ。
 さらに金融危機の発信源となったウォール街や、原油流出事故を起こした英メジャー(国際石油資本)BPを舌鋒(ぜつぽう)鋭く批判する大統領の姿勢が「アンチビジネス」の印象を強めている。
 米企業は利益を設備投資や雇用に回さず、3月末時点で1・8兆ドル(約155兆円)と過去最大規模の現金をため込んでおり、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のシャーク研究員は「将来の増税や規制強化を見極めようと様子見の姿勢になっているためだ」と指摘する。
 もちろん「経営判断は経済情勢に基づいて行われるもので、大統領の好き嫌いとは関係ない」(スタンフォード大経営大学院のフェファー教授)との擁護論もあるが、民主党の資金集めが低調な中、「オバマ対大企業」(米紙ワシントン・ポスト)という図式は避けたいところで、政権は対話促進の糸口を探っている。



エコカー戦線激化 トヨタのPHV、300万円以下で発売へ 安価設定で他社EVに対抗
 トヨタ自動車が、平成23年末に発売予定の家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の価格を、300万円以下とする方向で検討していることが18日、分かった。ハイブリッド車(HV)で得た原価低減などのノウハウを生かすとともに、車載用リチウムイオン電池の量産化で製造コストを下げられると判断した。ライバルメーカーの電気自動車(EV)よりも価格を70万~100万円安く設定することにより、PHVでエコカー分野のデファクトスタンダード(業界標準)を狙う。
 価格を300万円以下とするのは、人気HVの「プリウス」をベースにしたPHV。対抗車種となる他社製EVの価格は、三菱自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」が398万円、日産自動車が発売予定の「リーフ」が376万円。トヨタでは「PHVの普及を考えると、EVのような高い価格を設定できない」(幹部)としており、EVを下回る価格設定とする方針を固めた。
 他社がEVの価格を引き下げれば、その動きに合わせてトヨタも「プリウスPHV」の価格をもう一段階引き下げる可能性もある。
 トヨタは、EV分野で米ベンチャーのテスラ・モーターズ(カリフォルニア州)と提携。27年からは燃料電池車の本格販売も計画している。ただ、トヨタはエコカー戦略について、短距離をEV、長距離を燃料電池車と位置付けているものの、あらゆる走行距離に対応できるPHVを主軸に据えている。
 昨年12月に600台限定で発売した法人向けプリウスPHVの価格は、525万円だった。しかし、PHVをエコカーの主流にするには、大幅な価格引き下げが必要と判断した。
 ただ、昨年5月に発売したプリウス(3代目)の最上級モデルが327万円のため、全体の価格体系維持の点で今後も調整が必要とされ、プリウスPHVの価格が正式決定するのは発売直前になるとみられる。
 100~200ボルトの家庭用電源で充電できるHV。動力源は電池駆動のモーターとガソリンエンジンの2つ。HVよりも電池の容量を増やし、モーターによるEVモードで走れる距離が長い。電池切れになると自動でガソリンエンジンに切り替わる。トヨタ以外にも、米ゼネラル・モーターズ(GM)が年内にPHV「シボレー・ボルト」の発売を計画している。



国内新規上場が低調…景気悪化・高コストなどで
 2010年上半期(1~6月)に国内株式市場へ新規上場した企業が12社にとどまったことが、投資情報サイト「東京IPO」を運営するフィナンテック(東京・港区)の調査で分かった。
 市場環境の悪化に加え、上場時の割高なコストなどが要因で、上場を目指す新興企業などにとっては厳しい状況が続いている。
 国内の新規上場数は06年(188社)以降減り続け、リーマン・ショックが起きた08年は49社まで激減した。09年は19社(上半期は9社)にとどまった。景気悪化による収益の減少で、上場基準に満たない企業が増えているうえ、長引く株式市場の低迷で十分な資金調達が見込めず、上場を見送る企業も少なくない。
 一方で、09年4月に日本企業としては初めて韓国市場に上場したインターネット広告の「ネプロアイティ」のように、成長が見込めるアジア市場に上場を検討する企業が目立っている。上場のハードルが高い国内市場を避け、アジア市場での上場を狙う企業は今後も増加すると予想されており、市場では「国内市場が空洞化する恐れもある」(大手証券)との指摘も出ている。



(日経社説)半導体不足が映すヒット商品の威力
 半導体が世界的に品不足となり、日本にも影響が広がっている。春ごろからパソコンやテレビの生産に遅れが生じ、先週は日産自動車が工場の操業休止に追い込まれた。
 日産ではエンジンなどを制御するための半導体部品が足りなくなり、16日までの3日間、日本の4つの工場が止まった。米国でも2工場が19日まで休業する。
 自動車産業はすそ野が広く、生産を止めた時のコストや雇用への影響が大きい。このため半導体メーカーも「自動車の工場だけは止められない」と最優先で供給をしてきた。
 だが、今回はその余裕もなくなり、スイスの半導体大手、STマイクロエレクトロニクスは取引が比較的少ない日産への供給を減らした。
 品不足を招いているのは主に、半導体メーカーに供給力が足りない、自動車や家電で世界的なヒット商品が増えている、の2つが原因だ。
 半導体産業はリーマン・ショック後に世界での生産能力を2割以上絞り込んだ。需要は今年初めから回復に向かっているが、多くの半導体メーカーは「本物の回復かどうか判断しにくい」と慎重で、設備投資が後手に回った。
 そこにスマートフォン「iPhone」、携帯端末「iPad」、ハイブリッド車「プリウス」などのヒット商品が続いた。光半導体を使ったLED照明やクラウドコンピューティングという新市場も生まれた。
 これらは半導体のかたまりである。スマートフォンに使う半導体は1台100~150ドル、ハイブリッド車も1台700~800ドル相当の半導体を使う。いずれも一般的な携帯電話やガソリン車の3~5倍だ。
 新技術で突破口が生まれ、半導体など電子部材の需要も押し上げる。そんな事実が今回の背景にはあった点を見逃すことはできない。
 半導体の需要拡大は今後も続く見通しで、業界の調査機関である世界半導体市場統計は最近、2010~12年の世界市場予測を「3年連続で過去最高(07年の2556億ドル)を更新する」と強気に修正した。
 日銀も「(半導体など)情報関連材需要の拡大などを背景に輸出や生産は増加を続けている」と指摘した。技術革新が経済に大きな影響を及ぼす点を見事に映した形である。
 ただ、残念ながらプリウス以外の突破口は国外企業によるものだ。ウォークマンで世界を制したソニーはなぜiPadを作れないのか。日本には突破型の技術が減っている原因を突き詰め、製品開発の在り方を見直していく努力も求められる。
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