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“ノキア・シーメンス+モトローラ”の衝撃 日本のケータイ市場にとっても他人事ではない
 フィンランドのノキアとドイツのシーメンスの合弁会社ノキア・シーメンス・ネットワークス(以下、ノキア・シーメンス)が7月19日、米通信機器大手モトローラの無線インフラ事業の大部分を12億ドルで買収することを発表した。
 モトローラといえば、ケータイ端末、基地局、セミコンのすべてを手がけ、米国では民生のみならず軍需産業をも手がける、総合的な通信機器ベンダーである。日本との付き合いも長く、その名を耳にした人は少なくないだろう。一方のノキア・シーメンスは、本連載の読者なら言わずと知れた、世界第2位のシェアを誇る基地局ベンダーである。
 このところ、基地局やセミコンといった、ケータイ産業を支えるプレーヤーたちの動きが激しさを増しているが、今回の一件は日本のケータイ市場にも直接的な影響を与えることになろう。そこで今回は、この買収が各方面に及ぼす影響を考察しつつ、その背後にある大きな潮流についてまとめてみる。
必ずしも競合ではなかった
 事実関係をおさらいしておくと、今回ノキア・シーメンスは、モトローラの無線インフラ事業の主要部分のほとんどを手にすることになる。この中には、GSM、CDMA、W-CDMA、モバイルWiMAX、LTEなどの方式が含まれる。記者会見でノキア・シーメンスのラジブ・スリCEO(最高経営責任者)はその目的を「顧客基盤の獲得」としており、今回の買収がノキア・シーメンス側の事業拡大を目的としていることがうかがえる。
 確かに買収の目的は、記者会見で説明された通りだろう。先日のルネサスとノキアの買収金額である2億ドルに比べると、そのおよそ6倍の12億ドルという規模の大きさが注目されるが、これは単純にモトローラの事業規模を反映したもの。例えば従業員数を見ても、ノキアの1200人に対してモトローラの7500人と6倍近い。
 基地局という商材には、「規格が一度決まってしまえば後は大規模生産による大量供給」というイメージがあるかもしれない。しかし実際は、国ごとに細かく異なる周波数や通信規格への対応、納入先の通信事業者に割り当てられた周波数への調整、電源や電波塔といった既存資産との摺り合わせ、さらにはノンストップの運用を実現するための保守点検が必要となる。
 そんなきめ細やかな開発・営業体制を必要とする基地局ビジネスを、モトローラは世界展開していた。彼らが有する商圏は、米国はもちろん、中国やインド、あるいは日本にも及び、各地で事業や研究開発を進めていた。その中核は、CDMAと呼ばれる通信規格で、日本ではCDMA方式を採用するKDDIが主要顧客となる。
 こうした市場で、モトローラとノキア・シーメンスとは必ずしも競合しておらず、場合によっては補完関係にあった。そしてモトローラ率いるCDMA陣営は、次世代規格の開発を概ね見送りつつあったため将来性に不安が生じており、業績も低迷していた。モトローラ全体としてみれば、ノキア・シーメンスからの買収提案は、渡りに船というところだろう。
 今回の買収によってモトローラの基地局ビジネスに残るのは、iDENなどの通信関連技術の一部に過ぎない。その詳細は明らかでないが、おそらくはセミコンダクターとの関係性が強い領域と、ナショナルセキュリティに直結する領域を残して、ほぼ全面的にノキア・シーメンスに売却したということになる。モトローラにとっては、市場における立ち位置を抜本的に変える大規模な事業再編ということになる。
エリクソンの狙いを再認識
 一方、ノキア・シーメンスは今回の買収によって、何を手にしたのか。これには、攻守両方の意味があると考えている。
 まず「攻め」のほうでは、世界中の商圏とその先にある顧客基盤の獲得であろう。前述の通り、モトローラは日本を含む世界市場で顧客を有している。そしてそれらの多くはCDMA陣営なのだが、CDMAの発展が止まった現在、KDDIがLTE採用を表明しているように、顧客企業は遠くない将来にLTEをはじめとした次世代技術への世代交代を迫られる。
 しかしLTEは規格の関係上、当面はデータ通信中心の技術であり、音声通信は現世代を利用しなければならない。そのため通信事業者は、CDMA2000とW-CDMAの如何に関わらず、3Gを残しつつオーバーレイの形でLTEの導入を進めることになる。
 おそらくノキア・シーメンスは、その際にCDMAの商流が活きてくると考えたのだろう。LTEの導入が進む一方、当面はCDMAのネットワークも維持しなければならない。ならば、CDMAの保守という既存商流をベースに、LTE移行のソリューションを提案できれば、営業効率が高い。あるいはCDMAとLTEを組み合わせたベンダーファイナンスのような財務を一体化させた高度な営業提案も、おそらく可能となるだろう。
 一方「守り」の意味としては、なんといっても北米市場の確保だろう。ちょうど1年前の本連載で、スウェーデンのエリクソンによるノーテルネットワークスの無線通信関連(CDMAとLTEを含む)の事業買収に触れたが、ノキア・シーメンスはこの巨大市場で昨年より相次いでいたM&A(合併・買収)競争にことごとく破れ、プレゼンスを低下させていた。
 この間、LTEを巡る事業環境は、大きく激変した。昨夏の時点ではまだLTE普及に関するリアリティが不足しており、「本当に普及するの?」という声も業界ではチラホラ聞かれた。しかし年末の頃から急速にLTEが次世代の主流派として台頭し始めた。特に米国では、バラク・オバマ政権下のFCC(連邦通信委員会)が進めるワイヤレス・ブロードバンド環境の整備において、主要技術としてLTEが位置づけられつつあり、急激な盛り上がりを見せている。
 今回の買収により、ようやくエリクソンなどと対等に渡り合えるところまでキャッチアップできたと考えるべきだろう。逆に言えばノキア・シーメンスは、ほぼ1年間にわたって事業機会を損失したということになる。このように考えれば、なぜ昨夏にエリクソンがノキア・シーメンスの提案額の2倍近い金額を提示してノーテルの事業資産を“強奪”したか、しみじみ分かるというものである。
一気に訪れたLTEの波
 では今回の一件は、ケータイ産業全体にとってどのような意味を有するのだろうか。それは大きく2つ挙げられる。
 1つ目は、次世代規格がほぼLTEに収束したということ。これは前述の通りだが、次世代規格を巡るLTE対モバイルWiMAXの戦いは、昨秋辺りから勝敗が見えていた。今回の買収内容の中にはモバイルWiMAX事業も含まれているが、おそらくノキア・シーメンスがこの技術を担いで営業する局面は、皆無とまでは言わないにせよ、既に免許交付や事業化が進んでいる国・地域などを対象とした限定的なものとなろう。
 一方、このモバイルWiMAXの資産継承とも緊密に関係するのが、TD-LTEの台頭だ。技術的な説明は割愛するが、LTEにはFDD(周波数分割複信)とTDD(時分割複信)という2方式がある。現在、世界で事業化に入りつつあるLTEはFDD方式なのだが、やはり昨秋辺りからTDD方式を採用するTD-LTEが台頭し始めた。
 このTD-LTEは、中国で3G規格に採用されているTD-SCDMAと一部互換性があること、また中国移動(チャイナ・モバイル)や華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ=Huawei Technologies)といった中国系通信企業が注力していたことから、中国由来の技術として警戒されることも多かった。確かに開発体制などからはそう思われる側面もあるのだが、ここに来てエリクソンをはじめ欧米系の通信機器ベンダーも商品化を進めており、今回のモトローラもその1社となる。
 そして前述のモバイルWiMAXも、実はTDD方式を採用する通信規格の1つである。そのため、次世代規格競争に敗れたかに見えるモバイルWiMAXだが、TD-LTEへの合流を図ることで起死回生を狙っているとも考えられているのだ。事実、モバイルWiMAXによる通信事業を行う米クリアワイヤも、米国におけるLTE重視という流れを察知し、TD-LTEの採用をほのめかしている。
 このTD-LTEに関しては、実は日本でも他人事ではない。会社更生中のPHS最大手のウィルコムが次世代規格として開発を進めたXGPも、実はTD-LTEと技術的な親和性を有しており、中国企業との交流も以前から活発に行っていた。こうした一連の動きをいち早く感じ取ったソフトバンクは、ウィルコムのXGP資産を引き取りつつあるが、おそらく同社は既に割り当てられている2.5GHz帯でのTD-LTE導入を狙うと目されている。
 もちろんこれは「言うは易し」の話だ。ウィルコムが取得した2.5GHz帯の周波数帯域は、あくまでXGPという技術を前提に割り当てられたものである。そしてXGPもTD-LTEも、それぞれ独立した技術としてITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)での標準化が完了している。ITUの判断が日本のみならず世界的にも電波政策・通信政策の基盤である以上、現実的には不可能に思える。
 それでも、2012年に控えた周波数再編という電波政策の一大イベントを控え、何が起こるか分からないのも事実。特にLTEの波がこの1年で一気に訪れたことを考えると、M&A競争で苦汁をなめたノキア・シーメンスとしては、KDDI周辺はもちろん、それ以外のあらゆる方面にも商機を見出したいところだろう。
ノキアの新しい姿が見えてきた
 そして今回の一件がケータイ産業全体に与えたもう1つの意味は、ノキアの新しい姿が見えてきたということだと、筆者は考えている。
 本連載でもやんわり触れてきたが、実はノキアはここ数年重大な曲がり角に入ってきており、一部の資本市場筋では「ノキア再編」に向けた議論がとっくに行われていたところである。その大きな理由は、競争環境の変化である。
 GSM時代に安価で気の利いたデザインによる端末販売で急速に成長したノキアだが、3Gへの移行が進むにつれて付加価値市場での競争力を欠くようになった。現在は、出荷台数こそ新興国のGSM市場を中心に圧倒的な数字を記録しているが、スマートフォン市場では完全に遅れを取っており、2010年第1四半期の数字では、前年同時期に比べスマートフォンの端末販売価格が20%近く下落している状態にある。
 こうした中、ノキアは数年前から、事業形態の大幅な転換を目指していたように思える。その大きな方向性が、知財管理と資本管理を主体とした事業体への緩やかな転換だ。
 前回の本連載で触れた、ルネサスへのワイヤレスモデム事業部門の売却も、おそらくこの一環だろう。ルネサスという従来から商流を構築していた企業に、売却することで、緩やかに時間を稼ぎながら新たな姿に移行しようとしているのだろう。これは推測だが、この売買が予想よりも安価だったのは、こうしたノキアの意向をルネサス側が何らか汲んだからではないかと思われる。
 そして今回のノキア・シーメンスの強化も、筆者にはこうした動きの1つだと思える。というのは、ノキア・シーメンスは、財務上の位置づけこそノキアの連結子会社だが、現場の動きとしては概ねシーメンスの会社と思われるからだ。すなわち、シーメンスが実質オペレーションする子会社の成長戦略の一環としてM&Aを行い、親会社たるノキアはあくまでその果実を獲得する、という姿である。
 実はこの買収劇に並行する形で、7月20日付けのウォール・ストリート・ジャーナルに興味深い記事が載っていた。「ノキアがオリペッカ・カラスブオCEOに変わる新たな経営者を登用する可能性がある」と報じたのだ。現時点でノキアはその事実関係を認めていないが、明らかに経営判断のミスや事故などでもない限り、こうした経営者交代に関する新聞辞令的な観測気球が打ち上がる時は、事業構造や組織の抜本的な変革を意図していることが少なくない。
 もちろんこれも「言うは易し」の話だ。本当にそんなに都合よく話が進むとは限らないし、実際に格付け会社のフィッチは、そもそもの競争激化はもちろん、今回の事業買収・統合に係るリスクも厳しく評価しており、長期社債の格付けに影響を及ぼす可能性を指摘している。フィッチは2010年下期、つまり今後半年の動きが極めて重要だと指摘しており、ノキア・シーメンスは早々の成果やビジョンの明確化が求められている。
 いずれにせよ、ここ最近の目まぐるしい動きは、ケータイというビジネスが抜本的に変革していることを如実に表している。そして今回のような世界的な再編が進むとなれば、上位2社の通信事業者がLTEの導入を進めようとしている日本市場においても、影響必至であろう。新たな重商主義が求められる日本経済において、こうした海外企業の動きが国内市場に重大な影響を与えるという姿で「脱ガラパゴス」が進むのが本当に望ましいのかは、大いに議論の余地があるところだが、いずれにせよ状況を注視したい。



日本人有効旅券保持者、4年で400万人減少 海外旅行市場の縮小傾向鮮明
 日本人が保有する有効旅券(パスポート)の数が、2009年には4年前に比べ約400万人減少したことが、外務省の旅券統計から分かった。政府は観光立国の推進を成長戦略の柱に位置づけ、海外からの観光客受け入れだけでなく、日本人観光客の海外渡航拡大にも力を入れている。しかし、日本人の海外旅行市場は縮小傾向にあるのが実態で、政府や旅行業界は抜本的な対策が求められそうだ。
 有効旅券数は、旅券統計の公表を始めた2005年末には約3493万人だったものが、09年末には約3088万人と、この4年間で405万人も減った。09年の一般旅券の発行件数は、前年より約5.6%多い約401万件だったものの、失効した旅券はこれを100万件以上上回った。有効期限を迎えた旅券を更新したり、初めて旅券を持とうとする人が減っているといえそうだ。
 有効旅券が減少している要因について、ツーリズム・マーケティング研究所の磯貝政弘主席研究員は、(1)少子高齢化(2)経済情勢の悪化(3)地方路線の減少-と指摘しており、減少傾向については「公表前の01年ごろから始まっていた可能性もある」とみている。
 実際、観光庁によると、09年に海外旅行に出かけた日本人は前年比3.4%減の約1544万人と3年連続で減少した。直近のピークである05年からは200万人近く減った計算だ。最近では景気後退や新型インフルエンザの流行などが影響したが、旅券を持っている人の数が減ってきていることも響いたとみられる。
 旅行各社も海外旅行市場の縮小傾向を感じており、最大手のJTBでは「海外旅行マーケットのすそ野は着実に狭まっている」と危機感をあらわにする。
 政府は今年度中に、日本人の海外旅行者数の2000万人達成を目標に掲げているが、09年実績からみれば実現しそうにない。旅行業界には魅力的な商品提案が求められると同時に、政府には旅券を取得しやすい環境整備なども求められそうだ。



【東京新聞社説】
経済財政白書 希望が見えてこない
2010年7月24日
 二〇一〇年度経済財政白書が閣議に報告された。家計支援だけではデフレ脱却は難しく、企業が活動しやすい日本にすべきという。どう実現するのか。豊かさを支える成長への希望が見えない。
 経済財政白書は日本経済の課題を分析し、経済運営の方向を客観的に示すことが目的だ。しかし本年度の白書は長期債務が国内総生産(GDP)の二倍近くに膨張した窮迫財政を背景に、家計支援の余裕はなくなったという国民向けメッセージに力点を置いたと見るべきだろう。
 昨年の政権交代後、鳩山前政権は子ども手当や高校の実質無償化など、家計負担を軽くして可処分所得を押し上げ、需要を掘り起こす政策に軸足を置いてきた。しかし、来年度からの子ども手当全額支給は、財源五・五兆円の見通しすら立っていない。
 そこで白書が登場させたのが、企業が日本でビジネスをしやすくする「居心地」論だ。最終章を「企業が居心地のよい国は、家計にも居心地がよいはずだ」との記述で結んでいる。財政支援に代わって、企業に需要創出の旗振り役を担わせるという台本だ。
 企業が生み出す付加価値はGDPの半分の二百六十兆円に上り、全労働人口の七割が企業で働いている。日本に進出した外国企業も含め、収益の拡大が期待できれば給料が上がり、需要を喚起してデフレからの脱却も見えてくる。
 しかし、企業が活動しやすい日本にするために白書が挙げているのは、外国企業の対日投資を妨げている語学の専門家不足の解消や、世界的にみて水準の高い法人税率を引き下げて外国企業の誘致を図る、などに限られている。
 いずれも、これまで再三議論されてきたテーマであり、それだけで需要の創出を期待するというのでは、あまりにも戦略に乏しいと言わざるを得ない。
 雇用にしても、企業の居心地のよさを追い求めるよりも、まずは女性や高齢者らを働きやすくさせる方が実現可能性が高い。
 育児のため通勤できない女性が働けるよう保育所を整備することも立派な成長戦略であり、より現実的といえる。勤労意欲が旺盛な高齢者に就労を促すこともデフレ脱却を後押しするだろう。
 菅政権は需要の創出を掛け声だけで終わらせてはならない。
 国会論戦などを通じ、国民が納得する力強い需要創出の戦略を、分かりやすく、もっと具体的に提示すべきだ。

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ツイッター:利用者数約1000万人に
 簡易型ブログ「ツイッター」の日本語版を運営するデジタルガレージ(東京都渋谷区)は23日、利用者向けのイベント「ツイートアップ サマー2010」を開き、日本のツイッター利用者が約1000万人(ネットレイティングス調べ)に達したと発表した。
 東京都目黒区で開かれたこの日のイベントには、米ツイッターの共同創業者、エバン・ウィリアムス最高経営責任者(CEO)が来日して参加した。ウィリアムスCEOは「ツイッターはこの2年間で素晴らしい成長をした。特に日本で伸びている」とあいさつ。サッカーのワールドカップ南アフリカ大会中の会話数をグラフ化したところ、日本・デンマーク戦後の日本語の会話が1秒あたり3283ツイートで世界最多を記録したという。
 また、イベントには音楽家、坂本龍一さんの娘で、同じく音楽家の坂本美雨さんが参加し、「父に勧められてツイッターを始めた。みんなが気軽に書いてくれるので、だんだん素の自分を出せるようになった」と話した。
 会場にはツイッター利用者など500人以上が集まった。



ヤマダ、出店投資3分の1 国内飽和、大型店抑制に転換
エディオンも3割減
 家電量販店最大手のヤマダ電機は2010年度に、出店投資を前年度比3分の1の350億円に減らす。出店数も今期は25店と2割以上減らし、投資のかさむ都市部での大型店を抑制。2位のエディオンも投資を今年度に3割減らす。各社の大量出店で市場が飽和しつつあるところに、年末のエコポイント制度終了に伴いテレビなどの販売が失速すると判断、出店抑制にカジを切る。
 ヤマダは06年以降、大阪・ミナミや東京・池袋などへの出店を加速。出店関連が大半を占める設備投資額は09年度に1100億円まで膨らんでいた。今春の新宿(東京)進出で大都市部での大型店立地はほぼ一巡、今後の国内出店は原則、郊外とする。投資が年間500億円を下回るのは04年度以来、6年ぶり。
 出店も減速する。今年度の直営店出店は昨年度の33から25に減らす計画。ここ数年は年40店前後の新規出店が続いており、20店台は03年度以来となる。
 ヤマダは「国内での成長には限界がある」(山田昇会長)と見ており、今年12月をメドに中国・瀋陽市に1号店を開業する。海外に進出するのは初めてで、来年以降は年に2店程度のペースで同国に出店していく考えだ。
 エディオンも10年度の直営店出店を5店と、09年度の13店から半分弱に減らす。設備投資額も3割減の180億円とする。今春には中国などアジア地域での出店を検討する専門部署を新設しており、具体化を急ぐ。
 昨年5月に始まった省エネ家電の購入を促すエコポイント制度(対象はテレビ、エコアン、冷蔵庫)の追い風を受けて、家電量販各社は全般的に販売好調だった。だが制度開始から1年が過ぎると、その押し上げ効果は薄れてきた。
 全国の量販店の販売動向を調査するBCN(東京・千代田)によると、大半がポイント対象となる薄型テレビの売上高は4月まで16カ月連続で前年同月を上回っていたが、5月と6月はマイナスに転じた。来年7月に地上デジタル放送へ完全移行すると、テレビ特需もなくなる。ヤマダなどは経営環境が悪化すると判断、投資を抑制して店舗の効率運営や海外展開に力を入れる。



大量出店モデル 転換点 空白地少なく TVに続く主役不在
 大量出店で成長してきた家電量販店のビジネスモデルが転換期にさしかかっている。都市部・郊外を問わず複数のチェーン店が同じ商圏で競合するのは当たり前となり、有望な空白地はほとんど残っていない。テレビに続くけん引役が見あたらない中、消費不振と値引き競争激化も追い打ちをかけており、収益環境は厳しくなりそうだ。
 家電量販各社は1990年代から2000年代にかけ郊外中心に出店、フランチャイズチェーン(FC)店を含め上位10社だけで3000店以上がひしめく。だが家電市場は97年以降7兆~8兆円台で伸び悩む。ヤマダ電機、ケーズホールディングスなど主に郊外で展開する4社の合計店舗数を見ると、00年度から10年間の年間平均伸び率は6%台後半だが、10年度計画は3.8%に鈍化する。
 同じく大量出店を事業モデルとするコンビニエンスストアも国内店舗数が4万を超え飽和感も出ており、店舗数の伸びは2%前後にとどまる。小さな商圏で成立するコンビニと異なり、家電量販店は少なくとも5万~10万人規模の商圏人口を必要とするだけに出店余地の減り方は急速だ。仕入れ規模で劣るチェーンの劣勢が鮮明となり、九州地盤のベスト電器は逆に大幅な店舗縮小に追い込まれた。
 量販店は出店攻勢と値引きで大量に集客し、投資を回収しながら成長してきた。だが、ヤマダの10年3月期末の売り場面積は約160万平方メートルと5年前の2倍強になったのに対し、同期間の連結売上高は83%増にとどまる。店舗などの資産を使って効率的に利益を生み出しているかを示す総資産利益率(ROA)も前期は6.7%と、5年前に比べ1.5ポイント低下した。
 エディオンの10年3月期の連結業績は増収と最終黒字を確保したが、エコポイント効果のなかった09年3月期の売り上げは前の期に比べ5%減少。店舗閉鎖損などで最終損益は赤字だった。
 80年代以降、ビデオ録画再生機やパソコン、携帯電話、そして地デジ対応テレビと次々と目玉製品が誕生し「売るものに恵まれた業界」(山田昇ヤマダ会長)だった。これからは逆風にさらされることになる。



iPhone4無償で対策品配布 「白」は発売延期 アップル
 米アップル社は23日、電波受信の不具合が報告された新型情報端末「iPhone4」について、対策品の「バンパー」と呼ばれる同社製のケースを無償提供するプログラムを開始した。また、日本では7月中と予定されていた白色モデルの販売時期についても「年内」に延期することを明らかにした。
 iPhone4は、アンテナの構造上、電波受信に問題があると報告されていた。アップル社はこれに対応するため、ユーザーに「バンパー」と呼ばれる本体を覆う純正のカバーもしくは、外部社製のカバーを無償で提供する。同社サイト「AppStore」(アップストア)で申請用のソフトを提供を始めており、ユーザーは同ソフトをダウンロードして申し込む。
 また、日本では当初7月に発売される予定になっていた白色モデルについては「製作が当初の予想よりも困難で、年内まで発売を延期する。黒いモデルの発売については問題ない」と発表した。



マツダ、高機能携帯使い業務効率を改善 社員に貸与
 マツダはスマートフォン(高機能携帯電話)を使った社員の業務効率改善に乗り出す。課長級以上の幹部社員を対象に年内に200~300台を貸与する。通話や通信費用は全額会社が負担する。スマートフォンを使って会議や出張の予定などを管理できるほか、オフィスのパソコンと連動して外出先から、社内外向けの電子メールなどを確認できる。
 すでに役員や出張が多い一部の幹部社員など約60人向けにスマートフォンの貸与を開始。これを年内に3~5倍程度に広げる。マツダが通信会社と法人契約し、社員は無料で通話や通信できる。
 機種は米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の旧モデル「3GS」など2機種から選べる。ソフトバンクモバイルなど通信3社がスマートフォンの機種拡充を計画していることから、マツダも採用機種の拡大を検討する。



熱狂iPad、中国に闇市場 発売未定、香港から大量不正輸入も
 米電子機器大手アップルの多機能情報端末iPad(アイパッド)が23日、香港で発売され、発売を待ちわびた消費者が小売店に押し寄せた。これを機に同社が発売計画を決めていない中国本土に、香港から大量のアップル製品が流れ込み、グレーマーケットが膨張するとみられている。中国の流通業者らはほくほく顔だ。
 ◆アイフォーンで実績
 米国からアップル製品を輸入して販売している北京の電気店の販売員、ワン・ピンダオさんは、多機能携帯電話の新型機iPhone4(アイフォーン4)とアイパッドの中国での発売が1日遅れるごとに、店の売り上げが伸びると話した。
 ワンさんのビジネスはさらに拡大する可能性が高い。アップルはアイパッドの発売に続き、来週中にアイフォーン4を香港で発売するからだ。
 BDAチャイナのアナリスト、フローラ・ウー氏は、アップル製品が香港から、正規の流通経路を通さない中国のグレーマーケットに大量に流れ込むのではないかとみている。実際にワンさんは、香港でアイパッドの低価格モデルを3888香港ドル(約4万3400円)で仕入れ、北京で4300元(約5万5000円)で販売する計画を立てている。
 BDAによると、中国で販売されたアイフォーンの約半数は、ワンさんのような非正規の販売業者が取り扱ったものだという。CIMB・GK証券の調査部門責任者、バートラム・ライ氏は「いつかは対処しなければならない問題だが、今がそのときだ」と話した。同氏は今年の1~6月期に中国のグレーマーケットで販売されたアイフォーンが40万台に達したと説明した。同国で唯一販売を認められたチャイナ・ユニコム(中国聯通)の50万台に迫る勢いだ。
 アイパッドとアイフォーン4の中国本土での発売日はまだ決定されていない。従って、グレーマーケットの需要が香港での売り上げを押し上げるのではないかとの見方が広まっている。調査会社IDCによると、アイフォーンの出荷台数は1~3月期に約10倍に増加した。同社のアナリスト、キャシー・シン氏は、香港の需要が中国によって押し上げられた可能性は否定できないと述べた。
 ◆提携相手決まらず
 新商品の中国での発売が遅れている理由を、ガートナーのアナリスト、サンディ・シェン氏は「アップルは中国をあまり重視しておらず、同国での販売経路や提携相手をまだ決定していないからだ」と説明した。競合するノキア(フィンランド)は同国に10万店舗、レノボ(中国)は1万店舗を超える販売網を構築している。
 一方でシェン氏は、アップルが本格的に中国進出を果たしても、非正規経路で販売される製品の方が安いため、グレーマーケットが駆逐されるとは限らないと指摘する。アイフォーンの3GSで比較すると、チャイナ・ユニコムの販売価格は6999元で、香港で売られているものより約28%高い。米AT&Tの販売価格とは3倍の開きがある。
 法律事務所ラウス・アンド・カンパニー・インターナショナルのホー・ファン弁護士によると、5万元以上の関税を不正に免れた者は刑事罰に問われ、50万元以上の場合は終身刑になる可能性がある。
 それでも当局は販売台数がそれほど多くないとして、これまでアップル製品の不正輸入に真剣に取り組んでこなかった。北京の電気店街でアップル製品を販売するチェンウェイ・ヤンさんは1カ月前にアイフォーン4が米国で発売されてから、同機種を50台以上売り上げた。ヤンさんは「買い手の90%以上は政府当局者か企業だ」と話した。



欧銀、資本不足3900億円 監督委テスト、7行が不合格
 【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)の銀行監督当局でつくる欧州銀行監督委員会(CEBS)は23日、域内の91銀行の健全性を審査した「ストレステスト」の結果を公表した。自己資本比率が不十分で「不合格」となったのは7行だった。ロイター通信によると、資本不足額は35億ユーロ(約3900億円)。今後、公的資金による資本増強が速やかに行われる見通しだ。
 テストは、ギリシャなどの財政不安を受けて、南欧などの国債暴落といった最悪の事態に金融システムが耐えられるかどうかを判断するために行われた。CEBSによると、来年末時点での最大の損失見込み額は全体で5660億ユーロ(約63兆4千億円)を超える。
 審査では、2010~11年に(1)景気回復が続く(2)景気が二番底を打つ(3)銀行が保有する国債が25%下落する-の3つを想定。最悪の場合でも、普通株や優先株などの中核的な自己資本比率が6%を下回らないかをチェックした。
 不合格が7行にとどまったのは審査基準が甘いためとされ、市場関係者は「詳細は各国に任されており、テストの結果をうのみにはできない」としている。



デノミで北朝鮮経済悪化 人権団体調査 米価50倍も
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチで北朝鮮を担当するケイ・ソク調査員が23日、都内で記者会見し、北朝鮮で昨年11月に実施されたデノミネーション(通貨呼称単位の変更)後、米価が高騰するなど経済状況が悪化し「新しい飢餓状態が生まれている」との見方を示した。「米価が50倍になった」との情報もあるという。
 複数の北朝鮮脱出住民(脱北者)などから聞いた情報を基にしたとしており「金正日総書記は経済状況を改善できないなら交代すべきだ」との批判も聞いた、という。
 また、金総書記の後継者に三男ジョンウン氏が内定したとされる情報は北朝鮮国民にも伝わっているものの「素顔など詳細は知られていないようだ」と語った。



高齢者医療制度 拙速な見直しは混乱を招く(7月24日付・読売社説)
 後期高齢者医療の見直しを、それほど急ぐ必要があるのか。
 今は無用の混乱を避けて、現行制度を適切に検証・評価し、議論を積み重ねるべき時だろう。
 現行制度に代わる仕組みを検討している厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」が23日、新制度の骨格案をとりまとめた。
 これを土台として年末までに最終案を確定し、来年の通常国会に法案を提出するという。
 民主党はマニフェスト(政権公約)に「後期高齢者医療制度の廃止」を掲げている。これにこだわって、見直しを急いでいるようだが、あまりにも拙速である。
 現行制度で後期高齢者は都道府県単位の独立した保険に加入しているが、骨格案では、市町村の国民健康保険か、本人や世帯主が勤める企業の健保などに入る。
 ただし、高齢者の8割以上が加入することになる国保では、高齢者の収支は別勘定で運営する。
 その運営は、現行同様に都道府県単位で行う。税金と現役世代の支援金で9割、本人の保険料は1割、という現行制度の負担割合も維持する。
 高齢者が家族とは別の保険証を持つことはなくなる。ただし、膨らみ続ける高齢者医療の負担割合を明確にするため、事実上の別枠方式は残す、という案だ。
 長妻厚労相は、高齢者を区別しない医療制度を作るとの原則を示し、改革会議をスタートさせた。骨格案が原則を守った制度と言えるかどうか、疑問の声も出るのではないか。
 また、再び高齢者が加入する保険を変更するには、相当な準備を必要とし、少なからぬ混乱も生じるだろう。
 さらに問題なのは、財源の議論がまったくないことだ。制度をどういじっても、高齢者の医療費が縮小するわけではない。
 消費税の議論をきっちり詰め、公費の投入をどこまで拡大できるか十分に検討しつつ、制度を練る必要がある。
 現行の後期高齢者医療制度は、呼称などに対する感情的反発が先行したが、負担軽減措置もとられて制度は定着しつつある。
 改革会議で高齢者団体の代表から「現行制度はすでに廃止されたと思っている人が多い」という趣旨の発言まであった。
 手直しするならば、超党派協議で社会保障の財源をきちんと確保した上で、年金や介護などと共に高齢者施策全体を抜本改革する中で進めるべきだ。
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