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モバイルアプリの業界団体「WAC」と「JIL」が統合
 世界の通信事業者により設立された非営利団体「The Wholesale Applications Community」(WAC)は27日、法人化すると発表した。あわせて、ソフトバンクなどが設立した合弁会社「Joint Innovation Lab」(JIL)が合流することも明らかにされている。JILとの統合は9月に完了する見込み。
 WACは、今年2月に設立された組織で、日本からはNTTドコモ、ソフトバンクモバイルが参画するほか、AT&Tやチャイナ・モバイル、KT、ボーダフォン、Orange、ドイツ・テレコム、テレフォニカ、テレノール・グループなど世界の主要通信事業者が名を連ね、オープンな携帯電話向けアプリケーションの開発環境構築などを目指していた。設立当初から、JIL(ソフトバンク、チャイナ・モバイル、ベライゾン・ワイヤレス。ボーダフォンが設立)が推進する仕様などを採用する方針が示されていた。
 今回、非営利団体として設立されたWACの法人化、およびJILの合流が発表された。JIL CEOのPeters Suh氏がWACのCEOに任命され、「我々の目標は、開発者による革新的なアプリ配信と世界中のユーザーへサービスを提供するための、エコシステムの構築」とコメント。ボードメンバーの議長として、ボーダフォンヨーロッパのCEOを務めるMichel Combes氏を、副議長としてフランステレコムCEO代理のJean-Philippe Vanot氏を任命している。日本からは、NTTドコモ執行役員マーケティング部長の永田清人氏や、ソフトバンクモバイル取締役副社長の松本徹三氏がボードディレクターとなっている。
 WACではアプリケーション配信のビジネスモデルに関しても案内している。それによれば、通信事業者が通信料と合算して請求できる課金代行サービスを手がけ、開発者はアプリケーションの価格を設定して、その収益は通信事業者との間で分配され、さらにその一部はWACにももたらされる。いわゆるレベニューシェアモデルだが、将来的にはアプリ内課金、広告、位置情報の利用といった機能拡充を図る。WACではSDKや仕様書を11月にも提供する。仕様は、W2Cの標準にのっとったもので、リッチなモバイル向けWebアプリケーションになるという。今回合流するJILでは既に、モバイル向けウィジェットの仕様を公開していたが、WACが提供するものはJILの仕様、および携帯向けプラットフォームの技術を検討するOMTP(Open Mobile Terminal Platform)が進める「BONDI」の仕様と互換性を持たせたものになるという。詳細な開発者向けロードマップやプレビューは9月にも利用できるようになる。
 ドコモでは「プラットフォームや端末に依存しないアプリの提供と、開発者の増進といったエコシステムの構築というWACのコンセプトに同意して参画してきたが、今後もWACの中で積極的に活動を推進したい」とコメント。WACの仕様を導入する時期は未定ながら、1年以内に何らかの動きがある見込みという。どういった端末に採用するかは未定なものの、WACとしてはオープンな組織として展開する方針とのこと。今年2月のWAC設立時には、企業が協力しあうアライアンスという形態か、法人の設立か定まっていないところがあったものの、約5カ月経過して、何らかの組織が存在したほうが事務的な手続きが進めやすいといった背景もあり、法人化することにしたという。またJILの合流について、ソフトバンクモバイルでは「WACとJILで同じことを行っても、ということで一緒にやることになた。JILで行ってきたことは引き継がれる」としている。
 ドキュメントの日本語化や、日本の開発者向けコミュニティの推進といった面については、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルともに何も予定はないとのこと。



グーグルがオンラインゲーム会社と協議、フェースブックに対抗へ
 [ニューヨーク 27日 ロイター] 米グーグルは、米ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブックに対抗する新サービス開発のため、複数のオンラインゲーム会社と話し合いを行った。27日付ウォールストリート・ジャーナル紙が関係筋の話として報じた。
 協議に参加したのはプレイドム、エレクトロニック・アーツ>傘下のプレイフィッシュ、ジンガ・ゲーム・ネットワークなどのオンラインゲーム開発会社。
 同紙によると、新サービスの開始時期は未定。
 グーグルはすでにSNSサイト「Orkut」を所有・運営している。同社のコメントは得られていない。



米ディスニー、ゲーム開発会社買収へ 最大670億円
 米メディア大手のウォルト・ディズニーは27日、ゲーム開発会社の米プレーダム(カリフォルニア州)を買収すると発表した。買収額は最大7億6320万ドル(約670億円)。米フェースブックなど交流サイト(SNS)を通じて遊ぶソーシャルゲームが人気を集めており、ディズニーはプレーダム買収でこの分野を強化する。
 プレーダムの既存株主に5億6320万ドルを支払うほか、業績に応じて追加的に最大2億ドルを拠出する。買収は当局の承認を前提としており、今年9月までに手続きを完了する見通し。
 プレーダムは2008年にサービスを始め、現在は月間4200万人が利用している。ディズニーのロバート・アイガー最高経営責任者(CEO)は「ディズニーやABCなど当社のブランドとプレーダムの能力を組み合わせることで成長の可能性が高まる」との声明を発表した。
 ソーシャルゲームを巡っては今月、この分野の大手である米ジンガ(カリフォルニア州)に米グーグルが1億ドル以上を出資したと米メディアが報じている。フェースブックの利用者数が5億人を超えるなどSNSの普及が加速しており、関連ビジネスを巡る合従連衡も活発になっている。



KDDI、データの取り込み時間を2割短縮 携帯の品質向上へ
 KDDIは28日、携帯電話の通信品質を向上させる取り組みについて都内で説明会を開いた。基地局を増強することや、利用者の動向に合わせて基地局の性能を高めることに加え、携帯電話のCPU(中央演算処理装置)の高速化を進め、データをやりとりする時間を短縮した。音楽配信「着うたフル」など大容量のデータをダウンロードする時間は、2009年4月に比べると10年6月時点で約2割短くなったという。
 希望の多かった地下鉄駅でのインターネット接続や鉄道でのメール送信時間も短縮した。1台の携帯電話で複数の電波を同時に利用できる新技術「マルチキャリア」を導入。これまで使い切れていなかった電波の空きを有効活用し、時間の短縮化につなげる。NTTドコモが現在提供している第3世代通信規格で最速とされるHSDPAと同等かそれを上回るスピードを実現できるという。10年の秋冬モデルから対応する機種を投入する。
 出席した湯本敏彦モバイルネットワーク開発本部長は「これまで培った技術はスマートフォンにも適応させていきたい」と述べた。



多くの途上国「人民元は割安」の認識にNO
 【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は27日、対中国年次審査報告書に関するIMF理事会の意見書を公表した。
 人民元相場が過小評価されているとの認識について、24の理事国の一部が「同意する」としたが、多くの国は「同意しない」との意見を表明した。関係者によると、不同意の多くは開発途上国といい、今後の人民元切り上げ論議に影響が出そうだ。
 ロイター通信によると、報告書は「5~27%過小評価されている」と指摘し、大幅な切り上げの必要性を示唆している。
 意見書では、過小評価に同意しない理由として、中国の経常黒字の見通しが不透明だという点を挙げている。経常黒字額はこのところ伸び悩んでおり、人民元がドルやユーロに対して不当に安いことが輸出を押し上げているとは言い切れないというわけだ。
 ただ、多くの国は、「長い時間をかけて人民元が強くなることが、輸出や投資主導の経済から、内需主導の経済への転換を促す」と、中長期的にみると人民元相場は上昇するとみている。
 IMFは2009年の意見書では、「複数の国が、大幅に過小評価されているとの見方を支持する」と指摘しており、明確な反対意見は掲載されなかった。
 しかし今回は、「大幅に」という部分を削除した上、理事会の意見も割れた。
 米議会にはなお強硬意見が強いが、中国に対する切り上げ圧力は、米国の思惑通りの同調を得られない可能性がある。
 審査報告書そのものは、対象国の同意を経て公表される。中国は人民元相場への言及などを嫌っているとみられ、07年から報告書の公表に同意していない。



韓国・LG電子第2四半期は営業利益90%減、TVや携帯電話が不振
 [ソウル 28日 ロイター] 韓国のLG電子が28日発表した第2・四半期決算は、営業利益が前年比90%減と、予想よりも悪化した。テレビや携帯電話機の販売が振るわなかった。
 米アップルや韓国のサムスン電子などとの競争が激化するなか、スマートフォンの品ぞろえの弱さが今年下半期も引き続き、LG電子の業績の足を引っ張るとみられている。
 SK証券のあるアナリストは「業績は第3・四半期もさえないだろう。しかしアンドロイドを搭載したスマートフォンが発売されるため、第4・四半期には一定の回復が見込まれる」との見方を示した。
 営業利益は1260億ウォン(約1億0660万ドル)。前年同期の1兆2400億ウォンから減少した。トムソン・ロイターがまとめたアナリスト12人の予想コンセンサスは2100億ウォンだった。
 テレビ部門が不振。第2・四半期にユーロが対ドルで10%近く下落したため、薄型スクリーンやその他資材のドル建て決済コストが膨らんだ。LG電子はテレビの売上高の約40%を欧州で稼いでいるとみられている。
 携帯電話機部門は、営業損益が1200億ウォンの赤字となった。前年同期は6200億ウォンの黒字だった。
 テレビ部門の利益率は前年同期の5.9%から0.5%に急低下。
 この日のLG電子株は、スマートフォン事業に対する根強い懸念を背景に約3%安で取引を終えた。
 同社は、携帯電話機市場でノキアやサムスン電子の後塵を拝している。薄型テレビ市場では、ソニー、パナソニックと競合している。



二輪4社、原付二種の普及策提言 免許取得の負担軽減を具体化
 ホンダやヤマハ発動機など国内の二輪車メーカー4社は28日、東京都内で共同会見を開き、125ccの原付き二種クラスの普及拡大を目指して、免許取得制度の簡易化のほか、駐車場の整備や高速道路の独自料金設定などを警察庁に提案する方針を示した。
 4社は昨年も警察庁に同様の要望を出している。今年の提言では、現行制度で免許取得に必要な「技能検定試験」を「判定講習」に置き換えるなど具体策に言及。負担軽減イメージとして、短縮される取得時間・日数などの数字を盛り込んだ。
 ヤマハ発動機の柳弘之社長は「国内二輪車市場は10%の落ち込みが予想されるなど厳しい環境にある。原付き二種は社会で特に有用性の高い乗り物。制度の整備を多くの人に地道に訴えていく」と述べた。



“マイクロソフト化”進むグーグルのジレンマ
 パソコン基本ソフト(OS)で実質的独占を築いたマイクロソフト(MS)を「悪」に見立て、「悪にならない」ことを社是に掲げてきたグーグルの行動様式が、結果的にMSに似通ってきていると感じるのは筆者だけだろうか。
 過去5年、グーグルが新規に参入してきた市場を羅列してみよう。ウェブメール、ワープロ、表計算、プレゼン用スライド、スケジュール管理グループウエア、動画配信、地図ソフト、翻訳・辞書、携帯端末OS、パソコン用ブラウザー、パソコンOS・・・。
 すべての分野で検索機能が有効で、検索技術の利便性をあらゆるネット利用者に届ける試みという点では、「世界中の情報を整理し、アクセス可能にする」という企業ミッションをまさに地で行っている。しかしそれぞれの市場には既存企業がおり、それなりの雇用を生み、ビジネスモデルを築いてきた。グーグルはそれらの市場に検索との連動性と「フリー(無料)」を売り物に土足で踏み込んでいるのもまた事実だ。ワープロや表計算、グループウエアなど、それぞれ独立したプレーヤーがそれなりの市場を築いてきたソフトウエアの各分野に、資本・開発力とOSとの連動性を武器に次々に乗り込んでいった80~90年代のMSと驚くほど似た展開だ。
 特にこの1~2年は企業買収攻勢が加速し、「あれもこれもやりたがる」傾向に拍車がかかっている。この7月だけでも、トピック別データベースをネット上で運営する米メタウェブと、航空会社やネット旅行予約サイトの情報基盤となっている航空運行情報ソフト会社ITAを買収した。それ以前にも、ネット広告の米インバイト・メディア、ネット音楽共有ソフトの英シンプリファイ・メディア、音声・映像ネット処理のグローバルIPソリューションズなど、今年に入ってから10件以上の買収を決めている。
 2009年はスマートフォン向け広告配信最大手のアドモブの買収決定が大きな話題を呼んだ。同社はアップルのスマートフォン「iPhone」アプリ向け広告配信のパイオニア。グーグルによる買収は、グーグル対アップルの敵対関係を確定付けた。そのほかにも動画圧縮技術のOn2など、昨年も6社を買収した。
 焦燥感さえ感じさせる買収攻勢に出ているのはなぜか。理解できる1つの軸は、グーグルの特徴である「1つの検索エンジンですべての種類の情報をまとめて検索する」というやり方だけでは、人々の本当のニーズに応えられないというジレンマ。買収企業のいくつかはバーティカル(分野ごとの)検索の企業だ。
 もう一つは急速に利用者が増えているiPhoneの世界でのプレゼンスの確立だ。今後は携帯端末経由のネット利用が、従来のパソコン経由に比べはるかに大きな市場に育つ。しかしiPhone向けアプリや広告はアップルの支配下だ。これを打開するにはiPhone向け広告で急成長しているアドモブの買収は非常に魅力的だ。ネット広告ですでに高シェアを確立しているグーグルによるアドモブの買収は米独禁当局の調査対象になったが結局、携帯向け広告という枠組みでのシェアがそれほど高くないことから今年5月になって承認された。いずれにしろ、iPhoneの世界でアップルの支配力が固まる前にくさびを打ち込もうと、必死に関連企業買収を急いでいるようにみえる。
 つまり相次ぐ買収は営利上場企業であるグーグルの行動パターンとしては非常に合理的な判断といえる。しかし、グーグルが標榜(ひょうぼう)してきた「悪にならない」という企業理念との折り合いはどうだろう?
 日本ではヤフーが今後、検索と検索連動広告のエンジンにグーグルを採用することに決めた。これで日本のネット検索、検索連動広告の市場はグーグルの独占状態になる。「独占企業」のイメージが少なくとも企業社会の中では今後ますます強まりそう。グーグルは今後、企業として競争に勝とうとすると、社是の考え方からどんどん乖離(かいり)してしまう矛盾にますます悩むことになるだろう。



株、「好業績と円安」で心理好転 リスク緩和の流れも楽観は禁物
 28日前場の日経平均株価は178円高と反発した。27日発表の1~6月期決算が大幅増益となったキヤノンなど主力企業の好業績が確認されたところに為替の円安基調が追い風となり、幅広い銘柄に買いが入った。企業業績などミクロ面は好調な半面、米国の景況感に下振れがみられるなど、マクロ面では不透明感が残る状況は変わらない。投資家心理の好転が続くかどうかは未知数と言える。
 キヤノンは前場、4%強上昇した。売買高も前場で313万株に達し、27日の日通し売買高(327万株)に迫った。キヤノンは下期(7~12月)の想定為替レートを対ユーロで15円も円高方向に見直した。下期だけで営業利益を約400億円下押しする要因となるが、その上で10年12月期通期の業績予想を据え置いており、年後半の景気回復ペースの鈍化による企業収益への圧迫懸念をやや緩和する内容と市場は受け止めた。
 円の対ドル相場は1ドル=87円台と、主力企業の多くが想定する為替レート(90円)を上回る円高水準だが、過度に警戒する雰囲気が和らぎつつあるとの声も聞かれる。足元で投資家のリスク回避姿勢の緩和を示唆する動きが見られるためだ。例えば金先物相場の動き。景気の先行き不透明感が強い局面では安全資産とされる金に資金が集まりやすいが、27日の米金先物は3日続落し、一時は5月以来の安値水準を付けた。
 金融引き締め策を受け調整色を強めていた中国・上海株も7月後半にかけて戻り歩調にある。日興コーディアル証券の小林久恒シニアマーケットアナリストは「政策を平時に戻す『出口戦略』に動く(中国など)新興国で引き締めスピードの『緩和』も見え始め、市場環境は少しずつ改善している」と話す。出口戦略の「出口」が見えつつあるという訳だ。「投資家のリスク許容度が回復すれば、少なくとも円高圧力は薄まる」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)。
 ただ、最近のリスク回避姿勢の緩和は好調な企業業績などミクロ面に依存している点は否めない。7月の米消費者信頼感指数は市場予想以上に悪化したが、要因は内訳の期待指数が低下したためだ。大和証券投資信託委託の長野吉納シニア・ストラテジストは「そろそろ米企業の4~6月期決算発表も一巡し、今後はマクロ面の動向に関心が向かう可能性が高い。その局面で下振れる指標が相次げば、投資家心理が再び萎縮するリスクはある」と話す。市場心理は移ろいやすいだけに、楽観は禁物だろう。



【東京新聞社説】
欧州の銀行 甘い検査で大丈夫か
2010年7月28日
 欧州が域内銀行の健全性を調べた特別検査(ストレステスト)の結果が金融市場に不透明感を残している。検査基準が甘かったためだ。円相場をはじめ、しばらく神経質な局面が続きそうだ。
 今回の検査は、ギリシャの財政危機を受けて、欧州の銀行監督委員会(CEBS)が欧州の銀行九十一行を対象に実施した。
 欧州連合(EU)の成長率が見通しよりも落ち込むなど景気悪化を想定して、銀行の経営がどうなるかを調べた。
 金融市場ではドイツやフランスの銀行などが不安視されていたが、ふたを開けてみると、資本不足を指摘されたのはドイツの不動産金融会社やギリシャの農業銀行、スペインの貯蓄銀行など、わずか七行にとどまった。
 資本不足の合計額も三十五億ユーロ(約三千九百億円)と少なく、EUが用意している最大七千五百億ユーロ(約八十四兆円)の金融支援枠からみて十分に対応可能だった。金融市場はひとまず結果を好感して、ユーロやドルの為替相場や株式市場も落ち着いている。
 ただ、これでひと安心とはいかない。そもそも欧州が特別検査を実施したのは、ギリシャ危機で国債の債務不履行懸念が浮上し、国債を大量保有する域内銀行の健全性に黄色信号が灯(とも)ったためだ。
 ところが、今回の検査は銀行が顧客と取引する国債だけに限定し、銀行自身が満期まで保有する国債は対象から除いた。
 実際には、銀行保有分の割合がはるかに大きい。市場関係者の間には「今回の検査は当局のアリバイづくり。十分とはいえない」という批判的見方が広がっている。
 市場が好感したといっても、一時的な動きにとどまり、再び欧州の財政金融問題に焦点が当たれば、新たな不安材料になる可能性は残っている。
 銀行の健全性が問題になるのは、資産劣化が景気に大きな影響を及ぼすからだ。ある銀行が危ないとみられると、疑心暗鬼が広がって銀行間取引が収縮する。その結果、各行が融資に慎重になって貸し渋りが起きる。
 企業は設備投資削減を余儀なくされ、やがて景気が落ち込む。これは日本がかつて経験した事態だ。悪循環を防ぐために、銀行の健全性チェックが重要になる。
 欧州の銀行は日本や米国に比べても、経営の情報公開が不十分と指摘されてきた。監督当局には今回のテストで一件落着とせず、引き続き監視の強化を望む。
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急成長続けた米ソーシャルゲーム市場に変調の兆し
 米シアトルで7月19日から3日間、「Casual Game Connect」という商談イベントが開催された。2006年にスタートしたこのイベントは日本ではほとんど知られていないが、パソコンを中心とした手軽な「カジュアルゲーム」や交流機能を持つ「ソーシャルゲーム」の国際商談会として急拡大している。今年は世界35カ国から632社、2000人が参加したが、ここで明らかになったのはソーシャルゲーム市場に起きつつある「異変」だった。
 Casual Game Connectが他のゲームイベントと違うのは、参加企業のほとんどが1人から数人の小さな開発会社である点だ。シアトルにはパソコン向けのゲームコンテンツ配信事業者や販売会社が集積しており、会場はリラックスした雰囲気ながらも商談に熱が入っていた。なお、今回の取材は、日本貿易振興機構(ジェトロ)と福岡市の委託による産業地域クラスター(集積)調査の一環として行ったことをお断りしておく。
Facebookで起きた「アタリショック」現象
 ゲーム産業は今、事業構造の急激な変化に見舞われている。その最大の要因は「フリー(無料)」を前提としたビジネスモデルの台頭にある。米Facebook(フェースブック)に代表されるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて配信される無料ゲームが急成長し、従来型のパッケージ販売モデルを揺るがしはじめた。今回のイベント参加企業もそうした新興勢力なのだが、急成長を続けてきたはずのFacebook市場に変調の兆しが出ているという。
 世界で3億人のユニークユーザーを抱えるFacebookは、プラットフォームをオープン化する戦略をいち早く採用した。その結果、ゲーム開発会社などの参入コストが下がり、08年に約5万種類だったアプリケーション数は今年1月には55万種類へと急増した。
 しかし、Facebookのユーザー数がこの半年間で14%増加したにもかかわらず、アプリの利用率は20%低下し、毎日特定のアプリを利用しているユーザー数も13%減少したという。トップ3のゲーム会社のゲームに毎日アクセスするアクティブユーザーも10~50%低下している。一体、何が起きたのか?
 「Facebookのプラットフォームとしての性質がこの半年間で大きく変化した」。英大手ソーシャルゲーム会社PlayFishのダン・フィデン氏はこう指摘する。これまではSNSの口コミで情報が広がりユーザーが求めるタイトルを見つけ出すことができた。しかし、供給が適正水準をはるかに超えたことで「市場がスパム状態になってしまった」とフィデン氏はいう。ゲーム業界では1980年代に米アタリ社のゲーム機向けソフトが乱造され、「アタリショック」と呼ばれる急激な販売不振を招いたことがある。今回のケースも構図はアタリショックと同じだ。
 フィデン氏はこうした状況に懸念を示しつつも、「常に多くの友人とつながることのできるゲームを注意深くデザインし、Facebookだけでなくスマートフォンなどにも展開していけば、人気を保つことはできる」と前向きな見通しを語った。しかし、米Inside Social Gamesの調査によると、PlayFishのアクティブユーザーは今年6月から7月にかけて約200万人減少している。5000万人規模のユーザー数からすれば減少幅は微々たるものだが、わずか1年前までソーシャルゲーム各社は飛ぶ鳥落とす勢いでユーザー数を増大させていた。市場は予想を超える速さで動いている。
資本力で勝負する段階に
 米ベンチャーキャピタルNorwest Venture Partnersのティム・チャン氏も、Facebook上のアプリ市場に起きている変化を別の観点から指摘する。チャン氏は「Facebookというお菓子はもう甘くない」と語る。
 ソーシャルゲームはこれまで、「急速な成長(チョコレート)と収益(ピーナッツバター)を享受できる最高の市場環境」だった。しかも、Facebookには口コミ効果が期待できるという特典もあった。しかし、「もはや、無料のチョコレートは存在しないのではないか。ピーナッツバターを得るためには、プロモーションなどさらなるコストが必要になっているのではないか」とチャン氏は指摘する。
 特に北米市場では今後、プラットフォーム間の資本力による競争が本格化するとみられる。エレクトロニックアーツやアクティビジョンなど既存の大手ゲーム会社が市場に入り込もうとしているうえ、映画会社のディズニーやテレビネットワークのABCなどメディア系の大型資本も参入を狙っているからだ。
 北米以外の地域の企業も存在感を増している。チャン氏が名前を挙げたのは、韓国NHNやドイツのGame Fuel、ロシアのDSTなどだ。それぞれが国内のソーシャルゲーム市場で成功し、海外に目を向けている。
 ソーシャルゲーム市場ではこれまでFacebookの急成長の波に乗ることで、ユーザー数2億人のZyngaや4000万人のPlaydomといった新興勢力が成長を謳歌(おうか)してきた。しかし、大手企業が資本力や資本効率を競うような段階に入れば、こうしたサクセスストーリーも今後は見ることができなくなるだろう。
日本企業の動向にも関心
 チャン氏の講演で興味深かったのは、日本の携帯電話を中心としたソーシャルゲーム市場の急成長にも言及していた点だ。ミクシィ、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリーの3社のほか、アップルの「iPhone」を持ちゲーム企業との提携に積極的なソフトバンクにも注目しているという。
 日本のSNSは会員規模でみれば2000万人以下とFacebookに比べてはるかに小さいが、アイテム課金などの売り上げが伸びており収益性は高い。それらの企業の海外進出に伴い、「国際提携が広がる可能性がある」とチャン氏は予測する。
 一方、現在は高成長を続けている日本のソーシャルゲーム市場にも、いずれFacebookで起きたような現象が訪れるリスクはある。ソーシャルゲーム市場の変化はあまりに急速で、昨日の勝者が明日も勝者であり続ける保証はどこにもない。



孫社長の後継、一般公募を開始 ソフトバンク
 ソフトバンクは28日、孫正義社長の後継者の一般公募を始めた。後継者の発掘・育成を目的に同日開校する育成機関「ソフトバンクアカデミア」の募集要項は年齢が20~50歳で人数は30人。応募に必要なインターネット上での登録期間は28日~8月20日。9月1日~2011年2月中旬にかけて選考し、メールで合否を連絡する。
 登録後は3回のプレゼンテーションと、孫正義社長による最終審査を経て合格者を選定する。プレゼンテーションのテーマや表現方法は自由。ソフトバンクは6月に長期的経営戦略となる「新30年ビジョン」を示した。その中で後継者を育成するための機関設立を宣言していた。



【インタビュー】NTTドコモ社長・山田隆持さん(62)
 ■LTE提供開始へ 基地局投資前倒し
 --総務省は6月末、携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除を求めるガイドライン(指針)を決定した
 「来年4月1日から販売する携帯電話端末は原則、SIMロック解除機能を搭載する方向で準備を進める。来年の夏モデル以降になる。今はSIMロックが簡単にはずれないようになっているが、利用者が端末をドコモショップに持ち込めばソフトウエアを修正してSIMロックを解除できるようにする。基本的には(ドコモにKDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルを加えた)携帯電話4社で足並みをそろえる必要がある」
 --今年12月には次世代高速データ通信規格「LTE」の商用サービス提供が始まる予定だ
 「12月にデータ端末を、来年からは携帯電話端末を提供する予定だ。LTEの特徴は高速・大容量・低遅延で、周波数効率がいい。需要の高い東京・名古屋・大阪から導入を始め、5年後に51%のエリアカバー率を目指す。これまでは基地局整備に2010~14年度の5カ年で約3500億円の投資を計画していたが、これを少し前倒しして、10~12年度の3カ年で3000億円程度の投資を行いたい。(積極投資で)LTEへの移行を促していく」
 --KDDI陣営と一騎打ちとなっている「携帯端末向け次世代マルチメディア放送」では、総務省が8月中旬にも1陣営のみを事業者として認定する見通しだ
 「ドコモ陣営の強みは3つある。1つ目は、各放送局が出資しているので優良なコンテンツを多く集められることで、これは事業の成功に欠かせない。2つ目は、首都圏で東京スカイツリー(建設中)を活用するなどしてインフラ投資を抑制し、リーズナブルな料金水準が可能となること。(ドコモの動画配信サービスである)『BeeTV』の月額315円と同程度の水準にしたい。3つ目は、ソフトバンクモバイルも陣営に加わっているので対応端末数が多いこと。現状、ワンセグ(携帯端末向け地上デジタル放送)は携帯電話端末の8割程度に搭載されているが、それぐらいの搭載率を目指したい」
 --成長が見込まれるスマートフォン(高機能携帯電話)の戦略は
 「スマートフォン市場は拡大していくだろう。今年度の市場規模は300万台程度とみているが、ドコモとしては100万台の販売を目指す。ゆくゆくはシェア5割に近づけたい。4月に発売したソニー・エリクソン製の『エクスペリア』は10月以降にOS(基本ソフト)のバージョンアップを予定している。また、今年の冬モデルではこれまで5機種の投入を予定していたが、7機種程度に増やしたい。廉価版やワンセグを搭載したもの、タブレット(平板)型などを考えている」 



全国一律のサービス義務、IP電話も選択肢 総務省方針
 総務省は全国一律のサービス提供義務である「ユニバーサルサービス」の対象に、新たに光ファイバーを使ったIP(インターネットプロトコル)電話を加える検討に入った。現在、ユニバーサルサービスの義務を負っているNTT東西はメタル回線を全国一律で展開しなければならない。IP電話が加われば、光ファイバーかメタル回線のいずれかを提供すれば済むようになる。
 27日の情報通信審議会(総務相の諮問機関)に諮問した。審議会は今後、通信事業者へのヒアリングを通じて、サービスの対象に加える光IP電話の種類や料金水準などについて議論する。12月にも最終答申をまとめる見通しだ。
 ユニバーサルサービスは過疎地など採算をとりにくい地域にも、都市部と同様のサービスの提供を求める制度。サービスを維持するためのコストは基本的に事業者などが負担する。実態的には携帯電話などの利用者も1カ月当たり8円を負担金の一部として支払っている。
 固定電話の回線数は昨年度末に3792万に落ち込んだ。これに対して、2003年度にゼロだった光IP電話は1453万回線に増えており、12年度には両者の回線数は逆転するとみられている。
 ユニバーサルサービスの義務を負っているNTT東西では、毎年3000~4000キロ分のメタル回線を新敷してきた。光ファイバーとの選択が可能になれば、二重投資を回避できるほか、光ファイバーの敷設コストの補てんとして交付金を受け取ることもできる。政府内には15年にブロードバンド網の普及率100%を目指す「光の道」構想の実現につなげる狙いもある。



デジタル教材協議会発足 15年までに電子教科書導入
 パソコンなどの電子端末を使って読む電子教科書の普及を進める「デジタル教科書教材協議会」が27日、東京都内で発足した。米マイクロソフト(MS)日本法人やソフトバンクなどIT(情報技術)関連企業や出版社など約70社が参加。実証実験などを通じて電子教科書普及のための課題整理を行い、文部科学省などに提言する。雑誌や書籍に続いて、教科書でも電子化をめぐる動きが本格化しそうだ。
 協議会は、電子教科書に適した端末の標準機能のガイドラインの策定のほか、学校向けに普及・啓発活動を行う。ガイドラインの有効性を検証するために実際に学校で実証実験を行う計画だ。
 協議会の会長を務める小宮山宏・三菱総合研究所理事長は同日のシンポジウムで「世界で電子教科書の取り組みが進む中で、ピッチを上げないと間に合わない」と述べ、2015年までに全国の小中学校などへの電子教科書の導入を目指すとの考えを示した。
 発起人として名前を連ねるソフトバンクの孫正義社長は「日本の競争力を取り戻すためにも、学生と教師に無料で電子教科書を配らないといけない」とし、電子教科書を利用する上で必要な通信回線などを無償提供するなどの支援を行うと述べた。MS日本法人でも、ソフトウェアの提供を検討する。



ヤフーをなびかせたグーグルの“つぶやき”
動画も含め検索新技術で大差
 日本のポータル(玄関)サイト最大手であるヤフーは27日、米グーグルの検索エンジンを採用すると発表した。日本では50%を超える検索シェアを維持しているヤフーだが、技術力や資本力で他を圧倒するグーグルとは、すでに検索サービスの内容で大きな差が付いていた。
 ヤフーは現在、米ヤフーが開発した検索エンジン「ヤフー・サーチ・テクノロジー」を基盤として使い、日本語や日本の市場環境に合わせて改良して検索サービスを提供している。基本的な検索技術はグーグルと同じ「ロボット型検索」で、ウェブサイトをロボットが巡回してデータを収集し、それをインデックス化して検索キーワードに最も適した検索結果として表示する。
 ただ、検索サービスに詳しいSEM総合研究所の渡辺隆広所長は「世界で過半数のシェアを握るグーグルに比べると、ヤフーの検索サービスは技術開発力はもちろんインフラの規模やスピードの点で大きく見劣りしていた」と指摘する。
 例えば最近は、ミニブログ「ツイッター」のようにリアルタイム性の高い情報への検索ニーズが高まっているが、ヤフーはグーグルに比べて対応が遅れていた。また、動画の中の音声を認識して検索結果に反映させる「動画検索」などの新技術でも、グーグルとは差が付いている。検索キーワードに応じて広告を表示する検索連動型広告でも「配信時間や地域の指定などでグーグルに比べて使いにくい面があった」(渡辺所長)という。
 ヤフーがいずれ他社の検索エンジンに乗り換えることは既定路線だった。2009年に米ヤフーが米マイクロソフトと提携し、2012年までに世界規模でマイクロソフトの検索技術「Bing」に切り替えることを決めていたからだ。ただ、Bingは日本向けに最適化するための開発が遅れ気味といわれており、Bingの検索サービスと対になる検索連動型広告「MS アドセンター」も日本ではまだ始まっていない。
 一方、米ヤフーの検索技術もエンジニアの流出などで開発や維持に滞りが出ており、ヤフーがこのまま今の技術を使い続けることも難しくなっていた。日本のヤフーはソフトバンクが株式の約4割を保有しており、米ヤフーとは一線を画してこのタイミングでグーグルの検索エンジンを採用することを決めたようだ。
 ただ、今回のグーグルとヤフーの提携により、日本市場ではグーグルの検索エンジンが単純合計で9割のシェアを握ることになる。ネット業界では「これまでは検索結果に不満があればグーグルとヤフーを比較できたが、これからはグーグルの結果に頼るしかなくなる。両社の競争がなくなることで日本向け開発における技術革新が停滞する可能性もある」との指摘が出ている。



ドコモ、高速携帯の通信技術を初めて提供 台湾半導体大手に
 NTTドコモは27日、年内にサービス開始を予定している高速携帯電話サービスの通信技術を台湾の半導体大手メディアテック社に提供すると発表した。同技術を外部に供給するのは初めて。ライセンス収入を見込むとともに、ドコモが次の成長の核に据える高速携帯電話サービスをアジア地域で広げるのが狙い。
 提供するのはLTEと呼ばれる現行の携帯電話の約5倍の通信速度を可能にする次世代携帯サービス。ドコモは12月に国内各社に先駆けてサービス開始を予定している。
 メディアテック社はドコモにライセンス料を支払ってLTEの技術を自社の半導体に組み込み、中国の携帯端末メーカーなどに販売する。
 同日開いた記者会見でメディアテック社の蔡明介会長兼最高経営責任者(CEO)は「今後ドコモとの提携をさらに拡大していきたい」と話した。



広告団体が懸念表明 グーグル、ヤフー提携で
 インターネットで広告や販売などを手掛ける海外企業で組織する団体「ICOMP」(本部・英国)は27日、日本のヤフーと米グーグルが発表した提携について「日本のオンライン市場の健全な発展を阻害し、独禁法上の観点から阻止されるべきだ」との見解を表明した。
 ICOMPは、提携により両社が日本のネット検索市場で占めるシェアが約9割に達すると指摘。競争が阻害されることにより、ネット上の出版社や広告主、消費者に不利益をもたらすと主張している。



エコポイント年末終了、家電量販が早くも特需対策
 省エネ家電の購入を後押しするエコポイント制度が今年末に終了するのをにらみ、家電量販各社が早くも駆け込み特需の対策に動いている。中堅のノジマは年末商戦に向けて物流施設を一時的に増強。セールの開始時期を秋に前倒しする動きもある。年末は薄型テレビの売れ行きが例年の数倍に達するとの予想が多く、混乱回避に力を入れる。
 ノジマは神奈川県愛川町に約6600平方メートルの物流倉庫を借りた。近隣にある既存の物流センターとほぼ同規模で、年末特需用の在庫積み増しに備える。アルバイトなどの短期販売員も増強。昨年の2倍強の約1000人とする計画で、10月から募集を始める。
 コジマはエコポイント終了をにらんだ買い物需要を分散させるため、年末セールを秋スタートに前倒しすることを検討している。また、ビックカメラは全国約30店でテレビ売り場の相談カウンターを2~3倍に拡大。エコポイント申請についての顧客の相談に迅速に対応できるようにして、買い物しやすい環境を整える。
 エコポイント制度はテレビ、エアコン、冷蔵庫を対象に昨年5月にスタート。今春にはテレビの対象機種の基準変更で駆け込み需要が発生し、3月の販売台数が前年の3倍を上回った店舗もあった。購入や配送手続きに混乱が生じたケースもあったことから、各社は年末商戦の準備を入念に進めることにした。



プリウス次期モデル 16年投入、海外生産も視野
 トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)「プリウス」の次期モデルを2016年をめどに投入し、北米など海外での生産にも踏み切る方針であることが27日、分かった。
 現行のプリウスは国内で生産し、海外に輸出しているが、為替変動による収益リスクがある。
 トヨタはカムリのHVなどについてはアメリカの現地工場などでも生産している。ただ、ハイブリッド専用車であるプリウスについては、愛知県豊田市の堤工場など国内でしか生産していない。
 プリウスはモーターやバッテリーなどのユニットに先進的な技術が使用されており、改良が続いている。そうした段階で、海外生産に踏み切れば、生産設備の変更などのコストが後で生じる可能性があるからだ。
 一方、トヨタは需要のある地域や国での生産を拡大する姿勢を打ち出している。市場に合った商品を投入できるほか、日本で生産した車を海外に輸出する場合、為替の変動リスクや関税などのコストアップ要因があるためだ。
 このため、4代目となる次期プリウスからは生産技術も進展するとみており、海外生産にも踏み切る方針だ。
 プリウスの今年上期(1~6月)の国内販売台数は約17万台で、6月まで13カ月連続で新車販売のトップに立っている。



(日経社説)新携帯放送はニーズ優先で
 来年7月の地上アナログ放送の終了に伴い、総務省は空いた周波数帯の電波を新しい携帯端末向けの放送に割り当てる。NTTドコモとKDDIの2陣営が免許を申請中だ。電波の有効利用は重要な課題だが、「ワンセグ放送」に加え新しい携帯放送を始めるからには、国民に真に役立つサービスにしてほしい。
 新しい携帯放送は有料を予定。一方的に映像を流す従来型の放送のほか、視聴者が端末に情報を蓄積して見る形など様々な使い方を想定している。フジテレビジョンなど民放やドコモが推す「マルチメディア放送」と、KDDIなどの「メディアフロー」の2方式が競っている。
 民放とドコモによる方式は地上デジタル放送の延長技術で、大きな出力で広い地域を一度にカバーする。新設する「東京スカイツリー」など放送用の送信設備を活用できるので事業者にとっては専用の基地局への投資が少なくて済む。
 KDDIなどの方式は米通信技術会社のクアルコムが開発した技術で米国の携帯電話会社がすでに採用している。専用の基地局を数多く設けることで、ビルの陰や屋内でもよく映るようにした。その分、設備投資にかかる費用は多い。
 総務省は技術と経済性の両面から8月半ばに事業者を選ぶ考えだが、重要なことは利用者が本当に使えるサービスかどうかだ。ワンセグ放送は屋内など映らない場所がある。新しい携帯放送は放送にとどまらず、電子書籍端末などへの情報配信手段としても使えるようにすべきだ。
 ドコモは国産、KDDIは海外の技術を使うが、世界に開かれた方式かどうかも重要だ。日本メーカーが海外に端末を売れなければ携帯電話の二の舞いとなりかねない。
 携帯放送は地デジ移行で生まれる新サービスだけに、総務省は2012年春の開始を期待している。だが空いた周波数を拙速で割り当て、利用者の要望に沿わないサービスを始めても意味がない。過去に「モバイル放送」など衛星技術を使った携帯端末向け放送で失敗例もある。
 両陣営による公開での技術説明会を開いた総務省の試みはよいが、もっと聞かなくてはならないのは利用者の声である。
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