(つд⊂)ゴシゴシ…新聞

GPS運用 米欧で一体化
ナビなど精度向上に期待 衛星受注で日本企業に商機
 【ワシントン=大石格】車や船舶のナビゲーションなどに利用される米国の全地球測位システム(GPS)と欧州連合(EU)が開発中の欧州版GPS「ガリレオ」の運用が一体化される。米国務省が30日、両システムの「相互運用の確保」についてEUと合意したと発表した。共通の電波信号を使い1つのナビで双方の電波を利用できるようにするもので、相互補完効果でサービスの利用範囲や精度向上を期待できそうだ。
 米国務省はGPSとガリレオ以外のシステムとの連携も呼び掛け、世界標準を確立することも歓迎するとしており、新興国などの衛星需要に追い風が吹くと想定される。商用の小型人工衛星などへの参入を目指すNECはシステムに一部変更が必要になっても「大きな投資にならない」とみており、日本企業の商機が広がる可能性もある。
 現在、米欧以外の測位システムの分野では、既に独自システムを持つロシア、独自システムの構築を目指すインド、独自のシステムを視野に入れつつガリレオとの連携も探ってきた中国などの動きがある。先行する米国と追う欧州の二大システムの運用一体化は、こうした新興国にも影響を与え、測位システムの勢力図に変化が起きそうだ。
 米EUは2004年から両システムの互換性を模索。今回、米EUと関係国が「GPSとガリレオの共用受信機の相互運用と機能向上に関する初期段階の結論」と題した共同声明を作成し、運用一体化を決めた。具体的には、競合関係だったため周波数を異にしていたGPSとガリレオの衛星の電波の周波数を合わせることになりそうだ。
 機能面では将来、1つの受信機で複数のシステムを利用できるようになれば、干渉などで電波状態の悪い場所でも、より多くの衛星情報を総合することで正確に位置を特定できる。米国務省によると、GPSのシステムでガリレオのシステムを利用して試した結果、GPS単独型に比べて建物や樹木、地形などが電波を遮る場所で高い機能がみられたという。
 カーナビゲーションなど消費者向けでは、今後も買い替えなどは必要ないもよう。だが、船舶や航空機の運航補助など産業用ナビ分野では「航路選択機能の向上につながる」(IHIグループで船舶製造を担うアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド)との期待が強い。
 米EUは10月に開く地球ナビゲーション衛星システム国際委員会(ICG)の会議に実験結果を報告し、新製品開発などに役立てる考え。携帯電話などの位置情報サービスにも活用されそうだ。



米欧がGPS運用一体化、世界標準に前進 欧州の無料化が焦点に
 米国の全地球測位システム(GPS)と欧州連合(EU)が開発中の欧州版GPS「ガリレオ」の運用一体化は、インターネットに続く21世紀の情報インフラといわれる測位システムで世界標準を作る道を開くものといえる。精度向上の限界も指摘されていた米側と、資金難から開発が遅れていたEU側の利害一致が背景だ。ただ具体像はなお明確でなく、無料のGPSに合わせて有料のガリレオを無料化するかどうかなどが今後の焦点となりそうだ。
 測位システムは米国が1970年代からGPSの整備を開始し、衛星を打ち上げてきた。外国にも利用を認め、カーナビゲーション(カーナビ)などの民生利用が進んだが、米国の軍事利用が優先されるので、位置情報の精度が落ちたり利用が制限されたりする。最近では米議会の行政監査院(GAO)が2009年、GPS衛星の老朽化を指摘。精度低下に陥る懸念も示しており、打開策を探っていた。
 一方、ガリレオは軍事併用の米国に対抗し、EUがGPS以上の機能を追求して開発に取り組んできたシステム。GPSと異なり民生利用のみを想定し、約30基の衛星を打ち上げる構想で、利用者は自分がどこにいるのかという位置情報を高精度に得られることが売り物だった。
 だが、EUは資金難に直面。当初は「10年ころ」のシステム構築を目指したが、衛星打ち上げ計画が遅延。日本に協力を打診したが折り合わず、サービス開始を14年に延期していた。
 双方の事情から米EUは「共存」に方針転換。今回はガリレオの信号がGPSの軍事信号と干渉して妨害しないよう両者の周波数を調整。双方が妨害電波を発しないことなどでも合意した。
 今後は共同作業班で協力体制の詳細を検討する。実際のサービスがどう変わるかはまだ見えないが、ガリレオの利用が有料とされている点への対応が課題となる。米側は有償の情報提供に難色を示し、GPSに合わせて無料化するよう求める構えだが、EU側は明確な態度を示していないといわれる。日本の関連企業などからは「一体運用で新たなコストが発生するのは避けてもらいたい」(クラリオン)と、ガリレオの利用が無料化されない事態への懸念も出ている。



広がる車離れ、世帯あたり保有台数が初の減少
 総務省が30日に発表した2009年の全国消費実態調査によると、1世帯(2人以上)あたりの自動車の保有台数(09年10月末時点)は1・414台で、5年前の前回調査より2・2%減少した。
 自動車を調査対象に加えた1964年以降、初めての減少となる。
 世帯主の世代別では、50歳代以下でいずれも減少しており、車離れは若年層だけでなく中高年層にも広がっている。
 都道府県別では、神奈川が7・7%減、千葉が7・5%減、埼玉が7・2%減、東京が6・9%減など、特に南関東で車離れが進んでいる。



イメージアップ 米英でCM放映 中国政府出資で制作
 中国の国際的なイメージアップを狙い、中国政府の出資で制作されるテレビCMが、9月に米CNN放送と英BBC放送で放映される。中国紙チャイナ・デーリーが30日、このCM制作を手掛ける会社の関係者1人の話を基に報じた。
 同紙によると、国務院新聞弁公室が提案し資金を提供する同CMには、バスケットボールの姚明選手や香港の資産家、李嘉誠氏ら中国の有名人が登場する。また、広告代理店の上海ロウ・アンド・パートナーズの社長補佐、ワン・リジュン氏の話を引用して、同社が30秒のCMのほか、中国に関する15分の映画を制作すると、同紙は伝えた。



英国、インドに大訪問団 急成長市場、関係強化に腐心
 インドを訪問したキャメロン英首相は29日、シン首相とニューデリーで会談し、経済など幅広い分野での連携強化で合意した。インドの産業界が世界で存在感を増しているなか、英国にとっても、インドの重要性が高まりつつあることが示された。
 保守党と自由民主党による英連立政権は、シン政権に対し、インドとの関係強化が外交政策の最優先課題であるとの合図を送っていた。それを裏付けるかのように、キャメロン首相が率いる訪問団には、50を超える企業の経営幹部をはじめ、ヘイグ外相やオズボーン財務相など主要閣僚も同行している。
 英国にとって、インドの重要性は増している。インドのタタ・グループは鉄鋼や自動車メーカーの買収を通じて、英国民を最も多く雇用している民間企業の一つとなった。
 インドのハイテク企業は、西欧での事業拡大に向けて英国での進出先を探している。英金融街「シティー」は今後もインド企業による株式上場の継続を望んでいる。
 英訪問団は、急速に拡大するインド市場における投資機会の確保を目指している。インド市場では、多国籍企業の参入と、国内の大手コングロマリット(複合企業)の存在によって競争が激化している。それでも、英国企業が狙っている分野は、保険や小売り、航空宇宙分野だ。
 キャメロン首相らの今回の訪印で、英印両国はインド軍が英防衛大手BAEシステムズからホーク練習機57機を購入する7億ポンド(約943億円)規模の契約を結んだ。
 英国は、インドに対し、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)の締結を行うよう促している。
 キャメロン首相はまた、原子力技術の民生利用についてもインドと協力することを明らかにした。これにより、原子炉部品の製造大手である英ロールス・ロイスといった企業に輸出の道が開かれることになる。
 英政府はかつて、1974年のインドによる核実験などを受けて、軍事利用と民生利用の区別がついていないとして輸出を禁止していた。しかし、2008年にインドが米国と原子力の民生利用について協定を結んだことで状況が変わった。世界各国の原子力発電関連企業は、インドの原子力に対する熱意を利用する道を探っている。
 英国はインドとの間で、ビザ(査証)の発給やイランに対する対応といった点で足並みが乱れる可能性は残されている。しかし、今回の訪印は時宜にかなったものといえるだろう。



デフレ脱却議連が目標設定 「今後10年で経済成長70%」
 民主党の有志議員でつくる「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)は30日、総会を開き、今後10年間で70%の経済成長を目指す「デフレ脱却・経済成長プログラム」を可決した。同連盟はこの目標を達成するため、日銀による積極的な金融緩和策を求めていく。
 プログラムでは、日本の潜在成長率を実質で年率2.5%と仮定し、2.5%の物価上昇が続くことを前提に、2020年度末までに名目で約70%強の経済成長が実現できると試算している。
 こうした経済成長を実現させるため、国家戦略局や内閣官房が経済政策の司令塔になる必要性を強調した。
 雇用の需給の逼迫(ひっぱく)がみられる間は、デフレから脱却できていないとみなし、日銀に一定の物価上昇の実現を求める「インフレ目標」の導入も提言している。物価上昇率は年率2~3%を目標とする。
 同議連の松原仁会長は「参院選での民主党の敗北は、具体的な政策を出さずに増税議論を持ち込んだことが原因」とした上で、「増税を否定するわけではないが、日銀は(経済成長に必要な)すべての手段を取っていない。経済の復興は日銀の真剣な金融政策から始まる」と話した。



姦通罪女性に「石打ち」死刑判決、イランに批判
 【テヘラン=久保健一】イランで、姦通(かんつう)罪に問われた女性に「石打ち刑」による死刑判決が下り、波紋を呼んでいる。
 イラン当局は今月、刑執行を見合わせると発表したが、イランの司法制度をめぐる国際的批判が広がっている。
 死刑判決を受けたのは、イラン北西部タブリーズに住む女性(43)。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、婚外の「不適切な関係」があったとして「姦通罪」の嫌疑に問われた。女性は否認したが、2007年5月、「石打ち刑」による死刑が確定した。
 女性の弁護士からの情報で、「アムネスティ」は先月、死刑の執行中止をイラン政府に要請。司法当局は今月11日、「人道的見地」から、刑の執行を一時延期したとイラン国営通信が報じた。執行法の変更も検討しているとの報道もある。
 姦通罪は、イランの刑法にあたる「イスラム処罰法」で規定され、最高刑は死刑。死刑は通常絞首刑だが、姦通罪については特に「石打ち刑」と明記される。被告を胸まで地中に埋め、判事や証人などの投石で公開処刑するものだ。
 欧米から「石打ちは中世の刑罰。現代には無用のもの」(ヘイグ英外相)といった批判が相次ぎ、30か国以上で女性の死刑撤回を求める抗議集会が開かれた。
 「アムネスティ」によれば、イランでは02年以降、少なくとも6人が「石打ち刑」に処せられた。イラン以外では、サウジアラビアでも適用されている。



2011年新設予定の大学・学部 目立つ医療系、多い“日本初”
 少子化による大学全入時代到来が間近に迫ってきた。そのような厳しい状況にもかかわらず、来年も数多くの大学や学部が新設される予定だ。
 新設される私立大と主な学部をまとめた。
 人材不足が懸念される医療系の学部を新設する大学が多いことが分かる。看護やリハビリテーションの学科が目立つ。新設大学6校中4校が医療系。その中で、福岡に新設予定の純真学園大は、2007年から学生募集を停止した東和大を擁していた学校法人が、同じキャンパスに新しく開学する。
 来年は“日本初”となる新設学部が多いのも特徴だ。
 日本映画大は日本初の映画の大学。映画学科は既に日本大などに設けられているが、「映画学部」は初めて。専門学校が母体で映画教育には実績がある。
 さらに、工学院大と近畿大に新たに設置されるのが「建築学部」だ。工学部や理工学部、さらには芸術系の学部にも、建築“学科”はある。金沢工業大に「環境・建築学部」が置かれているが、建築学部はなかった。
 京都華頂大の「現代家政学部」、宇都宮共和大の「子ども生活学部」も初めて登場する。児童教育系の学部・学科は最近、設置が増えている。不況の影響もあって、資格を取得していると就職を有利に運べることから人気が高い。武蔵野大や中村学園大の教育学部にも、児童教育の学科を新設する予定だ。
 このほかに関西外国語大の「英語キャリア学部」、広島国際大の「医療経営学部」も新しい。また、京都女子大は女子大初の法学部を設ける。
 近畿地区の人気総合大は来年も学部新設が活発だが、関東には予定がない。
 これまで両方の地区で盛んだったが、18歳人口の減少が底を打ってから、東西の大学で大学改革の方向性が異なってきているといえそうだ。



橋下知事また私立小中の助成削減方針…私学反発
 財政悪化に苦しむ大阪府の橋下徹知事が、「財政構造改革」の目玉として、来年度からの私学助成の見直しを打ち出し、私学関係者が危機感を募らせる。
 焦点は私立小中学校への助成金で、橋下知事は「義務教育は公立の受け皿がある。私立に行くなら保護者が対価を支払うべきだ」と大きく切り込む構えだ。知事就任直後の2008年度に25%カットしたことにより、私立小中への助成は全国最低水準になっており、私学側は「これ以上削減されれば、経営が立ち行かない」と戦々恐々。授業料値上げが相次ぐ可能性も高く、保護者からも反対の声が上がる。
 ◆「仕方ない」◆
 「そもそも私立小中への助成は必要か」「(授業料が上がり)大阪は私立小中に通わせにくいと言われても、仕方がない」。府庁で今月中旬に開かれた会議では、橋下知事から削減を示唆する発言が相次いだ。
 景気低迷による財政悪化で、府は来年度以降の3年間で475億円をひねり出す財政構造改革案を策定中。8月上旬の発表に向け、今年度予算で総額約680億円に上る私学助成も、議論の俎上(そじょう)に上がった。
 ◆予算を高校へ◆
 私学助成は、橋下知事の就任直後の08年度にも削られ、10年度までの3年間で計169億円がカットされた。今回の削減幅は未定だが、府幹部は「私立小中への助成は全廃という意見もある。知事も相当切り込むつもりだ」と明かす。
 私立小中への助成削減分は、今年度から年収350万円未満の世帯を対象に実施している私立高授業料無償化制度に予算を回し、対象を年収680万円未満にまで広げる方針という。
 府内では09年度、公立小に通う児童数は約48万8000人で、私立小は約8000人。中学では、公立の生徒数約22万2000人に対し、私立は約2万4000人。「小中で私立に通う子供は1割以下しかいない。高校は、公立入試に落ちて、私立に通うことを余儀なくされる生徒もいる。高校の対策が最優先」というのが橋下知事の理屈だ。
 ◆「撤回を」◆
 府によると、私立中の生徒1人当たりの平均的な教育費は年約80万円。うち4分の1を助成で、残りを授業料収入で賄っており、私学にとって助成削減は大きな打撃となる。
 08年度からの削減で、府の私立小中に対する経常費助成額は、児童・生徒1人当たりで小学校が18・3万円、中学校は21・4万円と、近畿の他府県より3~10万円低い。大阪私立中学校高等学校連合会は「なぜ大阪だけ極端に減額されるのか」と、削減撤回を求めていく方針だ。
 08年度の削減時には、府内の私立中の半数を超える34校が授業料と入学金を合わせ平均5万8500円の値上げを実施した。大阪私立中学校高等学校保護者会連合会の田尻忠邦顧問は「いじめや不登校を理由に私立に転校する子供もいる。ある程度は保護者負担に配慮してほしい」と主張する。



国家公務員試験に社会人枠…2012年度導入へ
 人事院は2012年度から実施する国家公務員の新たな採用試験に、社会人経験者や大学院修了者などを対象とする採用枠を新設する方針を固めた。
 優秀な大学新卒者が外資系企業や大学院などに流れている現状を食い止める狙いがある。8月の人事院勧告に合わせた報告に盛り込む予定で、来春にも人事院規則の関連規定を改正する方向だ。
 新たな試験制度の導入自体は、08年に成立した国家公務員制度改革基本法で決まっている。従来のキャリア制に基づく試験を廃止し、政策の企画立案能力を重視する「総合職」、的確な事務処理の能力を見る「一般職」、特定分野の専門的知識を重視する「専門職」に区分するという内容だ。
 「経験者採用試験」は、この制度改正に合わせて新たに設けるもので、民間企業などで経験を積んだ人が対象となる。合格者は係長級以上に採用する。大学院や法科大学院、公共政策大学院の修了者が対象の「院卒者」試験は総合職の採用枠の中に新たに導入する。
 人事院は06年から各省と共同で「経験者採用システム」を実施。志望者は年々増加していることから、経験者採用試験として、本格的に導入することにした。



【東京新聞社説】
ねじれ国会開幕 まずは信頼の構築から
2010年7月31日
 民主党の参院選惨敗を受けた「ねじれ国会」が幕を開けた。与野党が角を突き合わせるだけでは何も生まれない。国民生活に必要な政策の実現へ、与野党は信頼関係を築くことから始めてほしい。
 参院本会議場の与党席は半分に満たない。民主、自民両党が攻守を入れ替え、約十一カ月ぶりの「ねじれ国会」の再現だ。
 しかも、与党は衆院で三分の二に満たず、首相指名、予算、条約以外は与党単独で成立させられない「真性ねじれ」でもある。
 新しい状況をどう打開し、国政の停滞を避けるのか。与野党が知恵を出し合わねばならない。
 菅直人首相は記者会見で、ねじれ国会を「マイナスとばかりとらえるのではなく、与野党が合意する政策は、かなり困難を伴う政策でも実行が可能になると前向きに受け止めたい」と述べた。
 念頭にあるのは、一九九八年参院選後のねじれ国会で、民主党など野党側が提出した金融再生法案を、小渕恵三首相がそのまま受け入れ、金融危機を回避した例だ。
 首相は、民主党代表として倒閣に走らなかった当時の判断の正しさを強調し、今回も野党側に協力するよう求めたのだが、より重要なのは、与党側が野党提案を「丸のみ」した決断ではないか。
 野党に譲歩を迫るのではなく、首相が、野党側の提案を受け入れる度量を見せる方が先決だ。
 初当選組を迎えた参院では、議長に、民主党の西岡武夫議院運営委員長が選出された。
 前議長の江田五月氏は、菅首相問責決議案などを採決せずに前国会を閉会し、野党側が与党寄りだと批判して交代を求めていた。
 民主党がこれまでの国会運営の不手際を陳謝し、議長交代を受け入れたことは、与野党間の信頼構築に向けた前進と受け止めたい。
 ただ自民党は、西岡氏が議運委員長として三年間続けた強硬な国会運営は承服できないとして、議長選挙では白票を投じた。
 自民党の言い分も分からないではないが、報復合戦が続けば、国民はいずれ愛想を尽かす。
 西岡氏は選出後「新たな局面を迎えた(参)院の円滑な運営に努めたい」とあいさつした。その言葉を違(たが)えず、議事運営を通じて野党側の信頼を得るしかあるまい。
 参院選で改選第一党になった自民党は参院で議運委員長ポストを取り戻した。国会運営の要だ。自らが担う責任も、より重くなったと肝に銘じるべきである。

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(゜Д゜)っ/凵⌒☆チンチン新聞

任天堂、「誤算」の背景
 任天堂の2010年4~6月期の連結最終損益が252億円の赤字(前年同期は423億円の黒字)となった。04年に携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」を発売して以来、快走を続けてきた同社のまさかの失速。最終赤字計上はいくつかの誤算が重なった結果といえる。
 29日の決算発表はホームページなどでの資料開示のみ。自ら記者会見を開いて業績について説明することが多い岩田聡社長も、今回は姿を見せなかった。いまの胸の内は推測するしかないが、ここまでの収益の落ち込みは想定外だったに違いない。
 最大の誤算は円高。「どんな経営をしても、これ(だけの急激な円高)でも大丈夫なようにするのは無理だと思う」。岩田社長は6月に日本経済新聞の取材に応じた際、欧州の経済不安に伴う大幅なユーロ安についてこうこぼしていた。同社の連結海外売上高比率は8割を超す。円高で売上高が100億円以上目減りするなど収益低下の一因となった。
 さらに痛手だったのは外貨建てで保有する資産の為替差損だ。6月末時点で保有する現預金はドル建てが約26億ドル、ユーロ建てが約30億ユーロ。8億ドルと4億ユーロの売掛金もあった。一方、買掛金は2億ドル弱で、3月末に比べて対ユーロで円相場が17円の円高となったことなどを受け705億円もの為替差損が発生した。
 豊富な現預金を持つのは任天堂の伝統的ともいえるスタイル。浮き沈みの激しいゲーム産業にあって、取引先からの信頼確保など事業基盤の安定に一定の役割を果たしてきた。ただ短期にこれだけの円高が進むと今回のように為替差損が膨らんでしまう。以前は金利の高い外貨建てで預金を持つ利点も大きかったが、今後は見直しも必要になりそうだ。
 本業の不振も想定内とはいえそうにない。「特別な眼鏡なしに完全な3D(3次元)表示をお見せします」。6月中旬、岩田社長は米ロサンゼルスで開かれた世界最大のゲーム見本市「E3」でこう宣言し、任天堂として約6年ぶりとなる新しい携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を公開した。
 具体像が明らかになったことで3DSへの期待が膨らんでいるが、皮肉にもそのことが既存のDSシリーズへの関心を薄れさせている可能性がある。4~6月期のDSの販売台数は315万台と前年同期でほぼ半減。対応ソフトも23%減の2242本と振るわなかった。
 ゲーム機の端境期を迎えた現在は、過去数年と比較して任天堂にとって最も苦しい局面。4~6月期は売上高が1886億円、営業利益は233億円にとどまった。現段階で期初の業績予想は変えていないが、9月中間期の見通しを達成するには7~9月期に売上高で4~6月期の2倍の約3600億円、営業利益で4倍の約960億円を達成しなければならないことになる。
 3DS向けにはスクウェア・エニックスやカプコンなども人気ソフトの供給を決めており、ユーザーの期待は高い。現在の苦境を乗り越えて再び浮上できるのか。任天堂の底力が問われる。



高精細パネルにアップル特需 iPad、iPhone4向け利益率高く 技術前面、国内勢巻き返しへ
 高精細な中小型液晶パネルの需要が伸びている。けん引役は米アップルの新端末。多機能携帯端末「iPad」、高機能携帯電話「iPhone4」に使うパネルは従来品より高性能で単価が高い。生産規模で韓国や台湾のメーカーに押される日本メーカーには技術力を生かし、利益率を高める好機になりそうだ。
 韓国のLGディスプレーは京畿道坡州市の工場で、斜めからでも画面が見やすい高精細なIPS液晶パネルを増産する。同社がiPad向けに出荷しており、アップルへの供給が間に合わないうえ、端末メーカーの注文が殺到しているためだ。
 米アイサプライによると、iPadに使う9.7インチのIPS液晶パネルの価格は1枚65ドル。一方、低価格パソコンのネットブックに使う標準的な10インチパネルは30ドル台前半のため、ほぼ倍になる。高い技術が必要なため生産効率は落ちるが、メーカーの利益率は高い。
 アップルが6月に発売したiPhone4にはLGディスプレーのほか東芝モバイルディスプレイがパネルを供給している。同製品に使う3.5インチパネルの価格は1枚28.5ドル(アイサプライ調べ)と、大量生産される2.2インチの携帯電話用パネルの3倍以上だ。旧世代のiPhone3Gに比べても5割高い。
 アップルに触発され、端末各社はiPadのようなタッチパネル付きで板状のスレートパソコンや高機能携帯電話の新機種を来年から本格投入する。その中で高精細な中小型パネルの需要拡大は確実視される。「新製品はハード面でアップルと同等以上を求められる。特に一目で差が出るディスプレーの美しさは大事になる」(米ディスプレイサーチの早瀬宏ディレクター)ためだ。
 汎用品と同様、高精細パネルも単価下落は続きそうだ。「高機能携帯電話向けパネルも年率3~5%の値下がりは避けられない」(国内パネル大手)。アップルはブランド力と大量調達に加え、複数のパネルメーカーを競争させることで値下げを求める可能性がある。
 それでも積極投資や大型ライン転用で増産を進める韓台勢の攻勢を受ける日本メーカーにとって、高精細パネルの市場拡大は巻き返しの好機だ。アップルの新製品向けに最も早い時期にパネルを供給したのは日本メーカーとされる。各社は3次元などの新技術で市場をリードする構えだ。
 日立ディスプレイズは7月、台湾の奇美電子に中型パネルの生産を委託する一方、IPS液晶の技術を供与することを決めた。「自社の生産設備が不足するなかで供給を増やす」(日立ディスプレイズ)。今年度中にも供給を始める。アップル特需で火が付いた高精細パネルの競争は技術だけでなく、価格や数量の面でも激しさを増す。



コールセンター業務、クラウド使い1000人在宅勤務
アデコとNTT東が遠隔支援
 人材サービス世界大手のアデコ(スイス)とNTT東日本は、インターネットを使った在宅人材サービスを年内に日本で始める。在宅の主婦や高齢者をネットで結び、自宅でコールセンター業務などができるようにする。人材サービス大手のパソナグループも参入する。働き方の多様化につながり、少子化に伴う労働力不足を補う効果も期待される。
 ネット経由でソフトウエアや情報システムを提供するクラウドコンピューティングの技術を活用する。自宅に高性能コンピューターがなくてもオフィスと同じ作業ができ、セキュリティーの確保も容易になる。
 アデコはクラウドを使い、分散した在宅勤務者の労働状況を遠隔で管理する。問い合わせ内容が難しい場合は、対応をアデコ本部の熟練オペレーターに切り替える。
 年内に事業を始め、3年以内に約1千人の在宅勤務者との契約を目指す。企業のコールセンターのほか、データ入力の仕事が多い官公庁やネット通販会社の需要を見込んでいる。
 企業や官公庁は現在、これらの業務で、仕事量のピークに合わせた人員を抱えている。在宅人材サービスを使えば、仕事量が増えたときに対応人数を増やし、閑散期の人件費を抑制できる。
 クラウド型の業務システムはNTT東日本と開発する。システムは在宅勤務者のパソコンに組み込む専用ソフト、本人認証用装置、企業の本部と映像でやりとりできるテレビ電話システムなどで構成し、光ファイバー通信回線を介して利用する。
 NTT東はアデコの顧客に対し、クラウド技術の導入を支援する。利用者が増えれば、ブロードバンド(高速大容量)通信サービスの需要を喚起できる。
 パソナは子会社のパソナテックを通じて今夏にもコールセンター向けにクラウド型の在宅人材サービスを開始する。同社が運営するコールセンターの業務の一部をネット経由で在宅の契約社員に割り振り、繁忙時の人手不足を補う。初年度200人前後と契約する。
 IT(情報技術)ベンチャーのブロードアース(東京・渋谷、中岡聡社長)が開発したクラウド技術を使う。
 高速インターネットやスマートフォン(高機能携帯電話)の普及により、パソコンや携帯電話を使ってオフィス外で働く人の割合が増えている。しかし高性能コンピューターがない自宅では、セキュリティー上の問題があり、業務内容に限りがあった。
 クラウドを使った在宅人材サービスはこうした制約が少なく、自宅で短時間なら働ける主婦や高齢者の労働力を企業が活用できる。



DeNA、驚異の急成長、上期売上高500億円に 「グローバルナンバーワン」目指す
 「非常に順調です」――ディー・エヌ・エー(DeNA)が7月30日に発表した2010年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比2.7倍の241億円、営業利益が同3.8倍の119億円と急成長をとげた。ソーシャルゲームの急拡大によるもので、売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。
 2010年度上期(4~9月)の業績予想は、売上高が500億円、営業利益が240億円。前期1年間の売り上げ(481億円)を半期で上回る計算だが、「これも単なる通過点」と、南場智子社長は冷静だ。
 ソーシャルゲームのグローバルナンバーワン企業を目指し、マルチプラットフォーム展開や世界展開を進めていく。10月にはPCサイト「Yahoo!モバゲー」をスタートするほか、年内に「モバゲータウン」をスマートフォン対応させる計画だ。
ゲーム順調、アバター回復 PVは「本当にクレイジーなレベル」
ソーシャルメディア事業の伸び
 主力の「モバゲータウン」では、内製のソーシャルゲームと他社製のオープンゲームがどちらも順調で、成長のエンジンとなっている。アイテム課金やゲーム内広告、mixiアプリへ提供している内製ゲームの売り上げなどを合わせた、4~6月期のソーシャルゲーム売上高は、前四半期比1.5倍の159億だった。
 「怪盗ロワイヤル」など内製ゲームは毎月売上高の最高記録を更新しているという。オープンゲームは7月27日現在でタイトル数が350、パートナー企業が154社に拡大。オープンゲームでの仮想通貨「モバコイン」の1日当たりの消費高は、1月からの半年間で11倍に伸びた。今後「信長の野望」「モンスターハンター」など有名ゲームも投入予定だ。
 低迷していたアバター販売は「V字とまで言えるかどうか(分からない)」が回復基調に。1~3月期の売上高は18億円だったが、4~6月期は20億円となった。オープンゲームでのアバター利用もスタートしており、回復は「ユーザーのアクティビティレベルが向上した」ためと見ている。
 ソーシャルゲーム人気でページビュー(PV)も増加し、6月の1日当たり平均23.8億に。国内の携帯電話サイト全体のPVのうち、モバゲーが約2割を占めていると南場社長は説明し、「本当にクレイジーなレベルにいっている」と話した。
 今後は、モバゲーのマルチプラットフォーム展開を進める。PCサイト「Yahoo!モバゲー」を10月にスタートするほか、年内にスマートフォンに対応する予定だ。
 海外展開にも注力する。ソーシャルゲームと、ゲームを提供するプラットフォーム両方を持っている点を「ユニークな強み」として生かしていく方針だ。「ソーシャルゲームのグローバルナンバーワン企業になる。現実的に非常に近いポジションにいると思う」と話した。



電波利用料、携帯電話の負担割合を軽減 総務省が基本方針案
 総務省は30日、2011年度に改定する電波利用料の基本方針案を提示した。携帯電話端末など無線局ごとにかかる電波利用料の負担割合を軽減。携帯電話事業者が払う利用料が下がれば、基地局整備などが進む可能性がある。電波を入札で割り当てるオークション(競売)制度を巡っては「十分検討に値する」とし、導入に向けた方向性を打ち出した。
 電波利用料は電波の有効利用に向けた研究開発や監視などに使う目的で、携帯電話事業者や放送事業者などから徴収しており、3年ごとに改定する。今回の見直しでは使い道に関し、周波数の再編に伴って発生する費用の一部を支援したり、電波の共同利用実現に向けた環境整備に充てたりする方針を盛った。
 内藤正光総務副大臣は電波競売について「これまで行政は門前払いしてきたが、方向性を出せた」と指摘。専門の研究会などで本格的に議論する考えを示した。



三洋電機元会長、井植敏氏インタビュー
 パナソニックによる完全子会社化が決まり、「SANYO」ブランドが原則消滅することになった三洋電機。創業者、井植歳男氏の長男の敏氏はトップとして20年間君臨し、同社を2兆円企業に押し上げた。その後の経営不振から一線を引いたが、5月に経営評論家の片山修氏と共著「三洋電機よ、永遠なれ!」(PHP研究所)を出版、過去の総括を始めている。昨年末に三洋がパナソニック傘下となってから初のインタビューに応じた。
 --三洋のパナソニックグループ入りをどう思う
 「本のタイトル(三洋電機よ、永遠なれ!)の通りだ。他に何もない。パナソニックはライバルと思って必死で競争してきた。私よりも、現場で戦ってきた人たちにとっては何とも言えない気持ちだろう。しかし、それが最善の道ならそうせざるをえない。社員が路頭に迷うことは避けなければならない」
 --父親が創業した会社が他社の傘下に入ることには
 「そんなことを思うぐらいならば、上場しなければいい。この企業規模で(創業家が)経営権を握るのは無理だ。創業した会社が後につながり、三洋の心をしっかりと持ち続けてほしいことぐらい。ウォームハート(温かい心)の会社であってほしい」
 --上場企業における創業家はどうあるべきか
 「オーナー経営をできる人はやればよい。だが、求心力にならないのなら辞めなければおかしい。社員が幸せになるためにどうしたらいいかということだ」
 --半導体部門など三洋の“事業切り売り”が進む
 「今の時代ではせざるをえない。国内の電機メーカーは過剰で、世界のマーケットを狙える状態にない。日本市場で消耗戦のようなことをしている。再編は日本の中だけではダメだ。アジア連合などを構想しないと生き残れないのでは」
 〈トップ在任中、中国の家電メーカー、ハイアールと業務提携した。アジア企業の台頭に、国内電機業界の再編は避けられないと感じたという〉
 --ハイアールとの提携のきっかけは
 「2000年ごろドバイなど中東へ行ったとき、日本メーカーの商品はほとんどなく、ハイアールなんていう聞いたことのない商品があふれていた。ハイアールに視察に行くと、生産規模がわれわれと比較にならないほど巨大で、工作機械も最新だった。国際競争に勝つには(事業の)整理が必要と思った」
 --どんなビジョンをもっていた
 「太陽電池などエネルギーに注力しようとしていた。白物家電は負けると思ったね。海外市場を切り開かないと、三洋は伸びないが、その力はない。このため大日(大阪府守口市)にあった冷蔵庫工場を閉めて縮小整理を始めた。三洋の販売店でハイアールの商品を売ってもらい、何年かかけてシフトしていこうと思った。(社内の反発などで)おかしくなってしまうから、社員にはすべてを話さなかったけど。でも、それぐらいのスピードが必要と考えていた」



スマートフォン、ウイルスにご注意! 基本ソフト公開で感染拡大
 米アップル社の「iPhone(アイフォーン)」をはじめとする高機能携帯電話「スマートフォン」の人気が高まる中、コンピューターウイルス感染が懸念されている。従来の携帯電話に比べ、スマートフォンは基本ソフトの技術情報が公開されており、ユーザーが自由にアプリケーションをダウンロードして機能を拡張できる。このため、安易にダウンロードすれば感染の恐れがある。普及が進む海外では被害も報告されており、専門家は警戒を呼びかけている。
これまでに700個
 「スマートフォンについては、これから非常に危険な状態になってくるでしょう」。平成14年から携帯電話のセキュリティーに取り組んでいるマカフィー(東京都渋谷区)のモバイルエンジニアリングプログラムマネジャー、石川克也さんはこう語る。
 同社によると、これまで見つかった携帯電話を狙ったウイルスは約700個。初期のころは画面に不適切な画像を表示するなどいたずら的なものが多かったが、近年ではユーザーを悪質なウェブサイトに誘導して個人情報を盗もうとするウイルスも確認されている。日本に比べ、スマートフォンが普及している海外ではウイルス感染は頻繁だという。
 なぜ従来の携帯電話に比べ、スマートフォンのほうが危険性が高いのか。従来の携帯電話と異なり、スマートフォンは基本ソフトの技術情報がある程度公開されている。
 このため、アプリケーションソフトを作りやすい環境となっており、悪意を持った人間が有害なソフトを作成し、ユーザーがダウンロードする危険性が高まっているという。
 さらにスマートフォンの場合、携帯電話用のサイトではなく、多くの人に開かれたインターネット上のサイトに接続することが多い。携帯電話通信社ごとの閉じられたネットワークと異なり、開かれたインターネットには有害なサイトがあふれている。石川さんは「開かれたインターネットに直接接続できるのはユーザーにとって利便性は高いが、裏にはセキュリティーリスクが隠されている」と指摘する。
疑うことが大切
 平成12年ごろから携帯電話対象のウイルス対策に取り組むエフセキュア(港区)のテクノロジ&サービス部長、八木沼与志勝(よしかつ)さんも「スマートフォンは持ち歩くコンピューターなのでリスクは高い」と話す。
 両社ともスマートフォンの普及が進む海外では、すでにスマートフォン対象のウイルス対策ソフトを販売。日本でも発売を検討している状況という。
 八木沼さんは「アプリケーションをダウンロードをする前に、そのサイトは安全なのかなどを確認してほしい。一番大切なのは疑ってかかることです」と話す。個人の危機管理意識を高めることが何よりも重要といえそうだ。



記者の目◇東芝、戻ってきた勝ちパターン
 「電子デバイスが売り上げ、利益ともに想定以上に回復した」。東芝が29日発表した2010年4~6月期決算。村岡富美雄副社長の発言は、電子デバイス部門の好調に支えられた決算内容を象徴するものだった。
 東芝にとって4~6月期は本来なら電力など社会インフラが不需要期なこともあり、利益が出にくい期間。しかし、今年は本業のもうけを示す営業利益が295億円と2000年度途中から四半期決算の開示を始めて以来、4~6月期としては過去最高となった。
 けん引したのはフラッシュメモリーや中小型液晶パネルなど電子デバイス部門。原子力を核とする社会インフラと半導体を2本柱とする東芝の勝ちパターンの姿がおぼろげながら見えてきた。
 主力のフラッシュメモリーが好調だ。米アップル向けの供給が高水準で推移したもよう。メモリーカードやデジタル家電向け以外の用途も拡大しており、需給がタイトな状況が続いている。事実上、韓国サムスン電子との2グループ体制であるため市況も安定。微細化進ちょくでコスト競争力も増し半導体事業の営業利益は従来計画よりも約70億円上振れし250億円となった。
 今4~6月期の特長は、従来まで不採算だったデバイスの改善も業績を下支えしたことだ。代表的なのが中小型液晶パネル。スマートフォン(高機能携帯電話機)やカーナビ向けなどが伸び、生産が需要に追いつかない状況が続いている。コスト削減活動も寄与して7四半期ぶりに営業黒字に転換。半導体のシステムLSIの赤字幅も縮小し目立って足をひっぱる事業が減った。
 今後のポイントの1つはこのデバイス活況がどこまで続くのか。村岡副社長は「半導体はこれからもっとよくなり、中小型液晶も黒字が続く」と話し、電子デバイスの一段の業績拡大に自信を見せた。仮に4~6月期の調子が年間を通して続けば電子デバイス部門だけで軽く1000億円(計画は900億円)の利益が出る計算。7~9月期決算時には通期業績(営業利益計画2500億円)の上方修正も視野に入ってくる。
 ただし、上方修正にはもうひとつ条件がある。社会インフラ事業が確実に利益を出すことだ。やや気になるのは4~6月期に社会インフラが11億円の営業赤字に転落した点。原子力は好調だったものの、前年度の受注低迷の影響を受け売り上げが減少し、営業損益は前年同期に比べ76億円悪化した。「7~9月以降は増収に転じる」(村岡副社長)としているが、今後の回復はどの程度なのか。欧米など景気の先行き不透明感が強まる中、稼ぎ時の1~3月期までにできるだけ利益を上げておきたいものだ。
 11年3月期は始まったばかりとはいえ、4~6月期決算で2本柱とする成長シナリオの復活は見えてきた。この流れを確実なものにできるかどうか。ポイントは半導体と原子力の競争力強化だけではない。
 改善傾向にあるとはいえ、もはや飛躍的な利益拡大が期待できない中小型液晶パネルやシステムLSIなど課題事業の抜本策をどう打ち出すのか。追い詰められてからではなく、課題事業が改善傾向にある今こそ、選択と集中を進め2本柱への経営資源シフトを加速する時期なのかもしれない。



エコカー支援 補助金打ち切りは時期尚早だ(7月31日付・読売社説)
 せっかく効果を上げている景気刺激策を、なぜやめるのか。
 政府は30日、省エネ性能に優れたエコカーを購入する際に支給する補助金を、期限である9月末で打ち切ることを決めた。
 直嶋経済産業相は「臨時、異例の措置としてやってきた。自動的に9月末で終了することになる」と述べた。
 しかし、最近は、景気回復の足取りがもたついている。消費の下支え策をなくすには、タイミングが悪いのではないか。経済界にも存続を求める声が強い。
 経済危機対応のため今年度予算に盛り込まれた1兆円の予備費を使えば、財源の手当ては可能だ。政府は、補助金の支給を当面続けるよう、再考すべきである。
 エコカー補助金は、麻生政権が今年3月末までの時限措置として導入した後、鳩山政権も予算を追加して6か月延長した。
 乗用車で最大25万円をもらえる内容が好評で、省エネ家電のエコポイントとともに、消費拡大に高い効果を上げてきた。
 支援の財源として2009年度の補正予算で約6000億円が計上された。これで450万台分の購入支援が可能となり、すでに300万台分の利用が決まった。
 補助金は1000億円ほど残っており、期限切れまで、まだ2か月あるが、影響はすでに出始めているようだ。
 新車登録が9月末に間に合わないと補助金の対象にならないが、人気車は契約から納車まで2か月以上かかることも珍しくない。
 販売店の説明で、今すぐ買っても補助金がもらえない恐れがあると知り、購入をあきらめる客もいるという。
 今後、補助金制度の終了で、本格的に自動車の販売が落ち込むことが懸念される。
 昨年1月に新車購入支援制度を導入したドイツでは、9月に予算を使い果たして制度が廃止された。その後、新車の販売台数は、支援の実施中より2割以上も落ち込んだまま低迷が続いている。
 終了後の販売減少を見込んで、トヨタ自動車は国内生産を、10月から2割ほど減らす。主要産業の自動車が減産に動けば、回復のペースが落ちてきた工業生産が、さらに冷え込みかねない。
 財政は厳しいが、打ち切りは景気への副作用が大きい。対象車種を絞って支援規模を縮小するなど、財政と景気の両面に配慮しながら補助金を継続させる知恵を出してほしい。
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