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今だからこそ“ガラケー”にチャンス
 昨今、携帯電話にかかわる話題はスマートフォン一色だ。従来型の携帯電話は「ガラパゴスケータイ」略して「ガラケー」とも呼ばれ、注目を集める機会が激減している。しかしここにきて“ガラケー”逆襲の機運が高まっている。その一つがNTTドコモが決断したiアプリDXのオープン化だ。
 従来は公式コンテンツプロバイダや法人だけに許されていた高度な機能の利用を、個人開発者やベンチャー企業に開放する。NTTドコモが抱える5600万のユーザーに向け、個人開発者やベンチャー企業が温めてきたアイデアを披露するチャンスといえる。
 KDDIもEZアプリの実質的なオープン化を宣言した(関連記事)。アプリケーションの実行環境として、従来のBREWだけでなく、Javaベースの大容量アプリケーションも開発できるようにする。加えて、無料アプリの提供や開発者自身による配信サーバーの設置、KDDIによる検証の撤廃といった新しい施策を打ち出す。スマートフォンのオープンな環境に触発され、従来端末も「開発者に親切なプラットフォーム」に生まれ変わろうとしているわけだ。
 時代の風がスマートフォンに向いて吹いているのは間違いない。今後、端末シェアでスマートフォンが伸び、従来型の端末が減る流れは止まらないだろう。しかし、実際にスマートフォンが多数派を占めるようになるには、相当な時間がかかる。
 例えば調査会社のミック経済研究所は、2014年のスマートフォンの販売数は約800万台と予測する。携帯電話全体の年間出荷台数は約3500万台なので、従来型端末が多数派であり続ける状態はしばらく変わりそうもない。成長率が高いものは実態以上に大きく見え、成長が止まったものは実態以上に小さく見えるのが世の常だ。
 さらに、従来型端末では「コンテンツに対価を支払う仕組みと文化」が完成されている。総務省の調査によると、2009年のモバイルコンテンツの市場規模は5525億円(前年比14%増)、モバイルコマースの市場規模は9681億円(前年比11%増)で、既に巨大な市場が形成されている(総務省調査)。クレイジーワークスの村上福之総裁は自身のブログで「みんなガラケー市場の怖さを知らない」として、スマートフォンばかりに注目するIT業界の風潮に釘を刺している。
ジャイアント馬場を見習え
 「みんなが格闘技に走るので、私、プロレスを独占させていただきます」――。1989年、故ジャイアント馬場氏が率いる全日本プロレスが掲げたキャッチコピーである。当時、格闘技色を強めたプロレス団体であるUWFがファンの注目を集め、全日本プロレスのライバルである新日本プロレスも異種格闘技路線への傾倒を強めていた。取り残されたようにも見えた全日本プロレスが打ち出したのが、開き直りともとれる「純プロレス宣言」だった。
 別にプロレスの話がしたいわけではない。考え方の話だ。あえて世の流行の裏をかくことで、ビジネスチャンスをとらえられる可能性を示している。
 こうした戦略を取るのが、ベンチャー企業のネイキッドテクノロジーだ。同社はNTTドコモ、ソフトバンクモバイルの携帯電話向けにTwitterクライアント「Twittie」を提供している(関連記事)。同社の菅野龍彦社長は「iPhoneの登場が『よく使うWebアプリケーションは、ブラウザよりも専用ソフトで見た方が便利』という使い方を発見させた」と分析。この流れが従来型の端末にも波及すると考え、Twittieを開発したという。
 「携帯電話の新しい流れを作ったのはスマートフォンだが、市場シェアは従来型の端末の方が大きい」。菅野社長は言う。スマートフォンから生まれたムーブメントを、より市場の大きい従来型端末に“輸出”することで新ビジネスの創出を狙う格好だ。今後はTwittieユーザー同士のつながりに向けて、コンテンツ販売や広告を仕掛けていく計画という。
 同社の戦略とそれを支える技術を東京大学エッジキャピタル(UTEC)が高く評価。今年5月、ネイキッドテクノロジーはUTECに対して1億円の第三者割当増資を行った。
開発を再開する「iアプリ卒業生」も
 ドコモマーケットをきっかけに、iアプリの開発を再開しようとするプログラマもいる。ユビキタスエンターテインメント(UEI)R&Dディビジョン第1セクション先端研究グループ研究員の近藤誠氏がその一人だ。
 近藤氏はUEIのメンバーとして、iPhone向けアウトラインプロセッサ「ZeptoLiner」、App Storeでダウンロード数1位にもなった書道アプリケーション「i書道」などの開発を手掛けた。2009年には書籍「iPhone SDK アプリケーション開発ガイド」(オライリー・ジャパン刊)の監訳を担当するなど、iPhone向けアプリケーション開発で活躍している。
 国内のiPhone開発者を代表する近藤氏だが「ドコモマーケットの話には正直ドキドキした」と言う。「iアプリはスマートフォン匹敵するほどいろいろできるのに、公式コンテンツにならないとできないことが多かった」。そうした事情もあり、しばらくスマートフォンに注力していたが、「今回、数年ぶりにiアプリの開発を再開しようと思っている」。
 近藤氏はドコモマーケット向けiアプリで注目する機能として、OpenGL ES、Blutooth通信、ダウンロード元以外とのHTTP通信、アプリケーションの自動起動、アプリケーション間連携、ワンセグ連携、Felica連携などを挙げた。「強力な“キラー”機能があるわけではないが、組み合わせることでいろいろできそうと思える機能開放だ」と評価する。
 iPhoneアプリの開発で成果を出した近藤氏がなぜiアプリの開発を再開するのか。理由を聞くと「iアプリ開発のモチベーションは、自分が作ったアプリを友人や知り合いが楽しんでくれること」と回答した。「スマートフォンは技術的なワクワク感で取り組んだ。ただ、友人たちと一緒に遊ぼう、という観点だとiアプリの方が楽しい」という。
 ユーザー数が多い――単純ながらも極めて強い“ガラケー”のアドバンテージだ。ビジネスの側面でも、開発の楽しさの側面でも、このアドバンテージをしゃぶり尽くす方法はまだまだあるはず。遅まきながらも携帯電話事業者が打ち出した「アプリのオープン化」は、その強力な手段になり得る。この動向を見逃す手はない。
 このような思いを持つ人たちを応援するため、日経BP社はNTTドコモとの共催で、高度なDX機能を開放した新しいiアプリの開発ノウハウを解説するセミナー「iアプリ・デベロッパーキャンプ」を開催することにした。受講料は無料で、東京会場は9月25日(土)、大阪会場は10月2日(土)を予定している。
 ドコモマーケットの全貌や開発ツールの使い方解説、実機を使ったアプリ開発ハンズオンと盛りだくさんの7時間になる予定である。携帯アプリ開発に関心を持った方はぜひご来場いただければと思う。



ミクシィ、興味のある情報を1クリックでマイミクと共有できる「mixiチェック」公開
 ミクシィは9月6日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」で、興味を持った情報を友人と共有できる新機能「mixiチェック」を公開した。
 「mixiチェック」は、ユーザーが興味、関心を持った情報を1クリックでmixi内の友人に共有できる機能。mixiニュースやmixiコレクションなどのほか、mixiチェックに対応した外部サイトにmixiチェック用の投稿ボタンが設置されている。



はてブ、Twitter連携機能を強化、RT回数も表示
 株式会社はてなは6日、ソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」において、Twitterのリツイート(RT)情報を表示する機能を追加した。
 はてなブックマークでは、Twitter連携機能を設定することで、URLをブックマークに登録すると同時にTwitterに投稿できるようになっている。今回、同機能によってTwitterに投稿されたブックマークコメントがリツイートされた回数などを、エントリーページおよび各ユーザーのブックマークページに自動的に表示するようにした。
 リツイートされたブックマークコメントがある場合、コメントの横にリツイートされた回数とともに「RT」と表示。さらに、リツイートコメントも表示する。そのURLやブックマークコメントに対して、Twitter上でどのような反応があったか把握できるとしている。



GoogleとApple、音楽サービスでも対決へ レーベルは歓迎
 Googleは、モバイルユーザーがどこでも音楽を聴ける音楽ダウンロードストアとデジタル音楽ロッカーの計画に向けて音楽レーベルと協議しており、Appleとの対決姿勢を強めている。この件に詳しい筋が伝えている。
 情報筋によると、Googleの新しい音楽サービスがどんなものになるかに関するレーベルとの交渉は、同社のエンジニアリング担当副社長アンディ・ルービン氏が率いているという。
 ルービン氏はクリスマスまでにサービスを開始したい考えだと、2人の事情筋は話している。同氏はモバイルOS「Android」の生みの親だ。
 音楽業界は、携帯電話とデスクトップの覇権をめぐるAppleとGoogleの戦いから利益を得たいと考えている。両社はオンラインのテレビ番組・動画配信、携帯電話、ソフト、さらには広告など、幅広いメディア技術と消費者向け技術で接戦を繰り広げている。
 音楽は両社が激突するであろう新たな分野だ。たとえAppleがiTunes Storeで7年間この分野を支配し、米デジタル音楽販売の70%を占め、Googleよりずっと有利だとしてもだ。
 Googleはまだ大手レーベルとライセンス契約を交わしていないと情報筋は話しているが、それでもレーベルはGoogleがこのビジネスに参入する可能性や、iTunes対抗サービスが業界にもたらす意味に沸き立っている。
 「ついに、音楽を検索とAndroidに融合させて、iTunesの有力なライバルとなれるリーチ力とリソース、能力を持った企業がやってくる」と匿名希望の音楽業界幹部は語る。「音楽業界にとってプラスになる、非常に強力なプレイヤーが市場に現れる」
 Android携帯の売り上げはここ数カ月急増しており、Googleによれば1日に20万台が売れているという。iOSを搭載したAppleのiPhoneとiPadの人気にも匹敵する。
 「今のところコンピュータで利用できる音楽は不足しているわけではないが、それでもGoogleは携帯電話やネット対応デバイスに影響力を及ぼせる」と元Universal Music幹部で、今はLoeb & Loeb顧問のラリー・ケンスウィル氏は言う。
 レーベルは、Appleが2003年にiTunes Storeを立ち上げ、デジタル音楽販売に弾みをつけるのに貢献したことを感謝している。だが、同社が価格設定からデジタルフォーマットまであらゆるものに影響を及ぼすことを次第に懸念するようになっている。
 音楽業界幹部は以前から、ほかにもAppleに対抗する強力なデジタル音楽ストアがあれば、市場を拡大する助けになると考えていた。
 デジタルアルバムの年初来の販売は前年同期から13%増加しているものの、シングル曲の売り上げは横ばいになっていると、Nielsen SoundScanは報告している。
 「Googleは、人々が何の曲を聴き、何の曲を探しているかが分かるデータをYouTubeと検索から豊富に得ている」とロンドンの独立系レーベルBeggars Banquetのデジタル事業責任者サイモン・ウィーラー氏は言う。
 だが、Googleほどの規模と能力を持った企業でも、大きいだけでは不十分だ。大手小売りサイトAmazon.comは2007年にMP3ストアを立ち上げたが、市場シェアは12%にすぎない。
 「慎重ながらも楽観的に見ている。Googleは大規模でリーチも長いが、販売に関しては実績がないからだ」と別のレーベル幹部は、交渉中であることを理由に匿名で語った。
音楽はクラウドへ
 AppleのiPhoneやiPad、GoogleのAndroid携帯のようなネット接続デバイスが、音楽の次の戦場になると、さまざまな業界観測筋は指摘している。
 レーベルは、AppleとGoogleが新しいクラウド型の音楽サービスを導入すれば、ネット経由でどこからでも音楽ライブラリにアクセスしたり、新しい曲を検索・購入できる機能を望む消費者の支持を獲得する大きな追い風になると期待している。
 Appleはクラウド音楽サービス企業Lala Mediaを昨年12月に買収し、4月に閉鎖した。これを受けて、観測筋はAppleブランドのクラウド音楽サービスが立ち上げられると予想していた。だがAppleが9月1日に発表したのはSNS機能付きのiTunesで、一部の業界幹部は今のところやや失望している。
 Googleもリモートメディア企業Simplify Mediaを5月に買収し、すぐに閉鎖している。このタイミングはおそらく、偶然ではないだろう。同社はまだSimplifyの今後の計画を明らかにしていない。
 「Googleがうまくやれば、『所有しなければならない』音楽から、『どこからでもアクセスできなければならない』音楽への消費者の移行が早まるだろう」と元EMI幹部でコンサルティング企業TAG Strategic Partnersを経営するテッド・コーエン氏は語っている。



【産経主張】代表選とバラマキ 大幅見直しに背向けるな
 民主党の代表選で国民が注目し、また期待することの一つは、バラマキと批判される同党の一連の政策が、論戦を通じて大幅に見直されることではなかろうか。
 民主党にとってもバラマキ政策の見直しは、先の参院選大敗という国民が突きつけた結果への答えでもあるはずだ。
 だが、これについては菅直人首相が、財政再建重視の姿勢を見せつつ「身の丈に合わせた」規模縮小の可能性に言及している程度にすぎない。小沢一郎前幹事長に至っては、昨夏の衆院選マニフェストを「国民との約束」だとし、あくまで完全実施する考えを崩していない。
 両候補とも国民の思いをくみ取れないままだとすれば、極めて残念である。
 両候補の「公約」で共通するのは、子ども手当にせよ農家の戸別所得補償にせよ、それが将来の国家基盤にどう生かされるのか、長期ビジョンに立った政策理念の説明が極めて乏しいことである。
 とりわけ小沢氏の「公約」は、財源の裏付けがより希薄な分だけその傾向が強い。
 バラマキの典型とされる子ども手当について小沢氏は、現行の月額1万3千円を来年度は2万円に引き上げ、24年度からは2万6千円を満額支給するとしている。
 これは「平成23年度からの満額支給」という当初公約を、財源不足という現実を前に断念した首相への痛烈な批判だ。
 しかし、その小沢氏も、支給理由については「子育てをめぐる厳しい家庭環境に最大限配慮」としているだけである。両候補ともに、競うべきは子育て支援金額の多寡ではなく、深刻な少子化にいかに歯止めをかけるかの基本政策であるはずだ。
 高速道路の整備は都道府県が行い、国は建設費を支援するという小沢氏の政策にも驚く。これは、「新たなひも付き補助金」(前原誠司国土交通相)にもなりかねない。ひも付き補助金はやめて、一括交付金化するとした本人の公約とも明らかに矛盾する。
 農家の戸別所得補償や高速道路の無料化も、小沢氏が代表に選出されれば、来年度の要求額見直しも含め大幅増額となろう。
 代表選は事実上の首相選びである。菅、小沢両氏は、改めて財源の根拠を含め、責任ある政策を国民に示していく必要がある。
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(ノ゜Д゜)八(゜Д゜)ノ新聞

続く地盤沈下 家電評価、韓国製を下回る
 「うちに置いてあるテレビはソニーだが、今回は初めてサムスンを選んだ。値段が手ごろだし、品質も十分よさそうだ」
 8月中旬、米国の首都ワシントン近郊にある家電ショップ「ベストバイ」を訪れた男性客(42)は韓国・サムスン電子製の液晶テレビを満足そうに買っていった。
 この店では壁一面をLCD HDTV(液晶高精細度テレビ)が埋め尽くす。「売り上げ次第で頻繁に入れ替える」(店員)という約40台の展示商品のうち、半分を韓国メーカーのブランドが占める。「日本ブランド」の強さを示す光景は、そこにはない。
■かすむブランド力
 「米国の消費者は韓国ブランドに『高品質』という印象を持っている。日本ブランドと同じだ。日本人は日本ブランドに優位性を感じるのだろうが、米国の消費者にとっては変わらない。特にテレビのブランド力ではサムスンが日本をしのぐ」
 米消費調査会社PROバイインググループのディビッド・ワークマン専務理事はこう解説する。
 「韓国と変わらない」という日本のブランド力は、売り上げにも表れている。米調査会社NPDグループによると、今年1~6月期に米国で売れた薄型テレビは、サムスンがトップだ。日本のソニー、韓国のLG電子、日本のパナソニック、東芝がそれに続く。
 3日にベルリンで開幕した世界最大の家電見本市「IFA」では、LGの3D対応有機LEDテレビを前に日本メーカー幹部が立ち尽くした。鮮やかな3D映像が浮かび上がったパネルは厚さがたったの3ミリ程度。技術力の高さから目を離せなかった。
 「ヤバいかも」。幹部はうなるしかなかった。
 総務省の国際競争力指標によると、調査した情報通信機器(ICT)関連製品35品目のうち17品目で日本が売り上げシェアを2年前より落とした。液晶テレビは12・3ポイント低下の30・6%、ノートパソコンは5・3%、携帯電話は6・5ポイント低下した。ある業界関係者は「シェアは没落の証明にみえる」とつぶやいた。
■日本に学ぶもの
 「もう日本から学ぶことは何もない」
 今年5月下旬。経済同友会の韓国視察団としてサムスン電子や政府系研究所の施設などを訪ねた帝人会長の長島徹は、意見交換をした韓国の企業関係者からこう通告された。耳を疑いたくなる衝動にかられているところに、別の経済人がこうたたみかけた。
 「日本はもっと先端技術を開発してください。その部品を韓国が買い、組み立て、かっこよくデザインし世界に売ります。だって日本人は内向き志向で、外国に出かけて市場を開拓するガッツがないでしょう」
 反論はしなかった。「共存共栄で」と絞り出すのが精いっぱいだった。
 長島は言う。
 「彼らはずっと日本に追いつこうと、日本のいいところを取り入れたりマネをしたりしてきた。ようやく追いついたと思ったら、低コストで生産し、世界中に売っている」
 韓国は日本の「いいところ」を武器にした。一方で「いいところ」の原産地である日本は息苦しいほどの閉(へい)塞(そく)感に悩む。経済同友会が7月下旬に長野県軽井沢町で開いた夏季セミナーでは、「日本は成長力がない国の代名詞」「意思決定のスピードに欠ける」と否定的な言葉の披露が延々と続いた。
■基幹産業総崩れ
 韓国側の強気は、データが裏付ける。
 日本のお家芸だった液晶パネルが代表的だ。米調査会社のディスプレイサーチによると、2009年の世界生産シェアはサムスン電子とLG電子の韓国勢2社が4割以上をしめる。日本勢はシャープが5位に入るのがやっとだ。
 日本は開発をリードし、高付加価値品として売り出すことに成功した。だが新興国が生産技術を身につけたとたん「汎用品にすぎなくなった」(東芝幹部)。
 液晶パネルの日本の優位が薄れたのは販売や生産だけではない。業界関係者は「価格決定権を握っているのも事実上、サムスンとLG」とささやく。
 太陽電池も05年までは生産量トップ5のうち4社が日本勢だった。しかし新興国の台頭で、10年は上位5位から日本勢が消える見通しだ。
 環境技術で先行するとみられている次世代自動車も「結局は追いつかれ役になりかねない」(エコノミスト)と不安が広がる。
 次世代自動車の部品に不可欠なレアアース(希土類)は9割を中国が供給している。その中国が7月、輸出を規制すると表明した。東京財団の研究員、平沼光は「先進国から環境技術を引き出す戦略物資にしている」とみる。その間にも「供給はいずれ逼(ひっ)迫(ぱく)する」(トヨタ自動車幹部)情勢で、生産や開発の環境は悪化する。
 部品の少なさも逆風だ。部品同士の複雑な調整を得意とする日本は、部品が多いほど他の国と差別化できる。しかし電気自動車の生産に必要な部品はガソリンエンジン車の数十分の一ともいわれる。東大特任教授の妹尾堅一郎は「やがて国内の自動車産業の強みはなくなり、部品メーカーを含め大打撃を受ける。あと15年ほどで産業が壊滅する可能性さえある」という。
■作戦決行いつか
 日本経済はいまや戦略を出し惜しみしている場合ではない。国際競争力は前年の17位から27位に転落し、08年まで10年間の経済成長率は平均値で名目ゼロ%(国民経済計算2010年版)だ。この間、企業や国民が持つ資産から負債を差し引いた「国富」は約260兆円減り、国内の資本や労働力から得られる潜在成長率も1994年以降2%を下回り続け、2009年は0・6%に落ちた。
 日本総合研究所理事の湯元健治はいう。
 「電機や自動車産業など日本の基幹産業が支えてきた輸出依存の成長モデルが通用しなくなった以上、新しい成長の糧を見つけないといけない。そうでない限り、日本経済は静かなる衰退に向かう。政府は成長戦略を作りはした。今問われているのは実行力だ」
 日本経済の地盤沈下を食い止める作戦決行の号砲はいつ響くのか。(敬称略)
     ◇
 日本経済の地盤沈下が加速している。国別の国際競争力ランキングは58カ国・地域中、27位に落ちた。輸出主導の成長モデルは構造的な限界に突き当たった。物価下落の続くデフレがつきまとい、円高対応は後手にまわる。頼みの政治も、民主党の代表選では財源確保策で堂々巡りを繰り返し、具体論に進まない。一方で引き出しの奧から出されていない戦略もある。出し惜しみが許されない日本経済の現状と取るべき作戦を点検する。



豊かなアジア、1人当たりGDPで日本猛追
台湾、購買力平価ベースで日本抜く
 「豊かさ」を示す1人当たりの国内総生産(GDP、購買力平価ベース)で、アジアの新興地域が日本を急速に追い上げている。台湾は2010年が約3万3800ドル(約287万円)と、日本を上回る見込み。韓国も10年間で約1.8倍に増え、日本の水準に迫る。円高の影響もあって名目ベースの1人当たりGDPは日本がまだ上だが、生産性の高い製造業が立地するアジアの生活水準は大幅に向上している。
 購買力平価で表す1人当たりGDPは、各国・地域の実質的な「豊かさ」や生活水準を示す。国際通貨基金(IMF)の推計によると、10年の日本の1人当たりGDPは約3万3500ドルとなる見込みだ。10年前に比べて約1.3倍に膨らんだ。だがアジアの新興地域はこれを上回るペースで伸びている。
10年で1.7倍に
 台湾の1人当たりGDPは07年に3万ドルを超え、今年は初めて日本を上回る見込みだ。「半導体など電子デバイス関連で生産性の高い拠点を多く構える」(第一生命経済研究所の西浜徹氏)ためで、10年間で約1.7倍となった。世界ランキングも10年前の30位から10年には24位に上がる。
 韓国も日本を猛追する。1人当たりGDPは10年に約2万9400ドルとなり、最近10年で格差は半分に縮まった。
 現在のペースで韓国の1人当たりGDPが伸び続ければ、18年ごろには韓国は日本の水準を上回る。日本は1990年代前半にシンガポールに、00年代に入って香港にも抜かれており、アジア各国・地域が「豊かさ」で、次々と日本に追い付いてきた格好だ。
競争力も強く
 実際にアジア各国・地域は国際競争力を急速に強めている。スイスのIMD(経営開発国際研究所)がまとめた国際競争力調査ではシンガポールが1位、香港2位、台湾8位など、アジアが上位を占めている。韓国も23位で、日本の27位よりも順位が高かった。
 名目ドルベースの1人当たりGDPでは日本がなお優位に立つ。10年は日本の約4万1400ドルに対して、韓国は半分の約2万300ドル、台湾は約1万7900ドルにすぎない。中国は日本の1割に満たない水準だ。
 経済的な「豊かさ」に加え、教育水準や平均寿命なども加味した国連人間開発指標では、日本は世界で第10位に位置している。シンガポール(23位)や香港(24位)、韓国(26位)よりも高い。名目GDPで10年中に日本を上回るとみられる中国は、人間開発指標では92位にとどまる。



振動・体温で発電 トヨタなど23社、電子部品を共同開発
リモコン・自動車のセンサー、電源不要に
 トヨタ自動車、パナソニック、NTTデータなど国内23社は、わずかな振動や体温で発電する電子部品を共同開発する。家電のリモコンや自動車に搭載するセンサー、心臓ペースメーカーの電源を不要にするなど幅広い用途が期待され、2~3年後の実用化を目指す。日本企業は電子部品で約4割の世界シェアを持つが、汎用品では韓国などアジア勢がシェアを伸ばしている。共同開発で付加価値の高い次世代電子部品の実用化を急ぎ、国際競争力の回復につなげる。
 NTTデータ系の研究所が発電電子部品の普及を目指す企業連合を設立し、国内23社が集まった。トヨタ、ホンダの研究所やパナソニックの部品子会社、オリンパス、ルネサスエレクトロニクス、村田製作所、旭化成などが参加する。
 共同開発するのは、機器の振動や放熱、人の体温や微弱な光など、わずかなエネルギーを電力に変換する発電機能を持つ部品。センサーやスイッチを電源なしで動かし続けることができる。テレビなどのリモコンに搭載し、ボタンを押したり、上下動させたりした時の振動で発電させれば、電池が不要になる。欧州ではエアコン制御用に壁に埋め込むリモコンなどで一部実用化されている。
 23社は微細加工や先端材料の技術を持ち寄り、発電効率の高い発電部品を開発する。現状では大きさが数センチ角、価格は数千円とみられ、小型化と低コスト化も急ぐ。今秋には発電部品からデータ処理装置に信号を送る無線技術の標準化への取り組みを始め、来春には実証実験に移行する。
 日本で有望視されているのは車載センサーへの応用だ。高級車ではエンジン制御などに150個以上のセンサー部品が搭載され、これらの部品に電気を送ったりデータをやり取りしたりするケーブルの長さは1台あたり1キロメートル以上。ケーブル不要の発電電子部品に置き換え、自動車の軽量化やコスト削減につなげる。
 このほか電池の取り換えが困難な工場のボイラーや心臓ペースメーカーなど様々な分野で応用が期待されている。英国の調査会社によると発電部品の世界市場規模は2020年に44億ドル(約3700億円)と10年の7倍以上に拡大する。
 電子情報技術産業協会(JEITA)によると、世界の電子部品市場における10年の日本企業のシェアは約40%になる見通し。アジア企業の追い上げで06年の約50%から10ポイント低下する。巻き返しに向けて、日立製作所やオムロンなどは11月にも微細な機械構造を組み込む電子部品の共同開発を開始する。これらの次世代電子部品が実用化されれば、それを使う自動車や情報・医療機器などの競争力も高まる。




華為技術:グーグル・ブランドの低価格スマートフォンで欧州強化へ
 中国最大の通信機器メーカー、華為技術は、米グーグルのブランド力と低価格市場をターゲットとしたスマートフォン(多機能携帯端末)で、欧州での売り上げが伸びると見込んでいる。
  華為技術は2日、99ポンド(約1万2900円)のグーグル・ブランドのスマートフォン「Ideos」を発表。同社の西欧担当バイスプレジデント、ティム・ワトキンス氏は、ロンドンでのインタビューで、このスマートフォンの投入が欧州での市場シェア獲得に寄与するとの見通しを示した。Ideosのサービスを最初に提供する通信業者はまだ指名していない。
  米調査会社IDCのアナリスト、フランシスコ・ジェロニモ氏は電話取材に答え、「こうした端末の投入で価格が下がり、スマートフォンへの乗り換えが進む。欧州では特にそうだ」と指摘。「サムスン電子やLG電子といった同業他社もこの低価格傾向に追随する必要があるだろう」と述べた。
  調査会社ガートナーによれば、グーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」の4-6月(第2四半期)の市場シェアは17.2%と、前年同期の1.8%から大幅に拡大し、スマートフォン向けOSで3位となった。一方でアップルの「iOS」は4位に後退している。
  ワトキンス氏は、「スマートフォンで大きく伸びるのはアンドロイドの低価格市場だと考えている」と説明。「華為技術はインフラ面で非常に素晴らしいブランド力を構築してきた」とした上で、その成功を端末市場にも広げる考えを示した。



ITエリート育成、小中高生1000人に特別講座 文科省
 情報通信技術(ICT)で世界をリードする人材を育てようと、文部科学省は小中高校生に高度なプログラム作成技術などを教える特別講座を2012年度に創設する。大学や企業に運営を委託し、年1千人規模の受講を目指す。インターネットやパソコンがある環境で生まれ育った子供の能力を引き出し、将来の日本を支える“ITエリート”を輩出する。
 創設する特別講座「デジタルネイティブ登竜門」の対象は、小学校高学年から高校生。学校の夏休みや冬休み期間中に複数回にわたって集中的に開く。1年限りにはせず、3年程度は続けて講義を受けられるようにする。
 教えるのはコンピュータープログラムやデジタルコンテンツの制作方法など。ICTの基礎知識は身に付けている子供を対象とし、そのうえで高水準の内容に絞って教える。
 運営は各地の大学や企業に委託し、一線の研究者が子供たちを直接指導できるようにしたい考え。受講を有料にするかは今後検討する。
 学識経験者と情報産業、ICTに関連した非営利組織(NPO)などを集めた協議会を11年度に設置。具体的な指導内容や教材、受講者の選抜方法などを決める。11年度の概算要求に経費6500万円を盛り込んだ。
 幼少時からパソコンや携帯電話などに囲まれた環境で育った現代の子供は「デジタルネイティブ」とも呼ばれ、ICT機器を活用する力は高いとされる。
 11年度以降に全面実施される新学習指導要領でも小学校段階からICTを活用する力を育てることが明記されているが、文科省は「素質がある子をさらに伸ばす仕組みをつくり、国際的な競争力の強化につなげたい」としている。



SME、来春新卒採用を追加で募集
 ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は今秋、2011年春の新卒者らを追加募集する。10日から募集を開始し、12月上旬に内定を出す。この時期に追加募集をするのは大手企業では珍しい。採用に対する積極姿勢をアピールし、有望な人材獲得につなげる。
 6日に採用活動を告知する専用サイトを立ち上げ、10日から同サイトで応募用紙をダウンロードできる。1カ月程度募集したうえで10月上旬から面接を始める。対象は4年制大学の卒業予定者に加え、入社日の11年4月1日時点で26歳以下の既卒者も含む。採用数は数人規模を見込む。
 SMEは今春の採用活動で、ほぼ例年並みの16人を内定した。追加募集した内定者を含め、SMEのグループ会社に配属する。



台湾EMS大手、競争激化で5社中4社減益 4~6月
 【台北=新居耕治】台湾のEMS(電子機器の製造受託サービス)大手で、受注競争の激化が各社の利益を圧迫する傾向が強まってきた。主要生産拠点である中国での賃上げも響き、4~6月期決算では主要5社のうち4社が1~3月期比で減益となった。主力製品のパソコンは欧米での荷動きが鈍っており、7~9月期も出荷が伸び悩む見通しが強まっている。
 EMS世界首位の鴻海精密工業は4~6月期の売上高が前の期に比べ20%増えたが、純利益は同11%減。米アップルの「iPad(アイパッド)」や「iPhone(アイフォーン)」の受託生産は好調だったが、携帯電話機を主力とする香港子会社の赤字や、中国での賃上げが響いた。
 鴻海は中国・深センの主力工場での従業員連続自殺を受けた賃上げの第2弾として、10月から中国の従業員の基本給を8割程度引き上げる計画。年末にかけて人件費がさらに利益を圧迫する可能性が高まっている。
 一方、ノート型パソコンの受託を主力とする4社は緯創資通(ウィストロン)を除き、広達電脳(クァンタ)、仁宝電脳工業(コンパル)、英業達(インベンテック)の3社が減益となった。
 ノート型は2009年まで需要拡大をけん引してきた低価格の「ネットブック」市場がiPadに浸食され、全体の出荷も伸び悩んでいる。鴻海が今年からノート型の受託生産に参入し競争が激化したことも、各社が減益となった背景にある。
 仁宝は「米国市場がスローダウンしているほか、欧州も伸び悩んでいる」(陳瑞聡総経理)として、通常なら需要期を迎える7~9月期のノート型の出荷台数が4~6月期比で5%程度減少するとの見通しを発表した。広達も7~9月期の出荷が4~6月期を下回る可能性があるとしている。



「3D対応テレビ 3年後には50%」 ソニー・ヨーロッパ 西田社長
 ソニー・ヨーロッパの西田不二夫社長が、フジサンケイビジネスアイなどの取材に応じ、3次元(3D)対応の液晶テレビについて、「液晶テレビ全体に占める構成比が3年後には50%ぐらいになるだろう」との見方を示した。今年5月の製品投入後、欧州では現状5%程度といい、「見込み通り」との評価を下した。
 ソニーは今年度、世界での液晶テレビ販売で2500万台を目指し、うち10%を3Dテレビとする目標を設定している。北米では景気の低迷から、予想を下回る台数となっているが、「3Dは日本が一番反応がいい」などとして、目標を維持している。
 西田社長は、3Dテレビの普及について、「期待しているのは(家庭用ゲーム機)プレイステーション3のゲームや映画など」と説明。来年には傘下のソニーピクチャーズの作品を含め3Dコンテンツが約30~40作品に達することから、テレビの販売も押し上げられるとの期待を示した。
 3Dテレビでは、薄型テレビで市場をリードする韓国サムスン電子など韓国勢への巻き返しが期待されたが、サムスンは8月、3Dの販売台数が100万台を超えたと発表。西田社長は「(3D以前と)差は変わっていない」とし、今後、3D対応製品を拡充することで追い上げを図るという。
 ただ、足元の円高ユーロ安について「どうにかしないと困る」と不信感を示し、「韓国との差がまたついてしまうし、テレビの利益が出なくなってしまう」と早急な政策対応を求めた。
 一方、今秋から開始する映画や音楽などのコンテンツ配信サービス「Qriocity(キュリオシティ)」は、「ソニーがネットワーク戦略を真剣にやるという意思表示」。ネットワーク上のコンテンツと、対応の製品群を拡充し、電子書籍や写真など総合的な戦略に拡大する考えを示した。サービスの国内投入については、「欧米ではテレビをウェブで見られるのに、日本が一番遅れている状況」と、現時点では白紙段階にあることを明らかにした。



日経電子社説
技術立国担う独創心ある若者を育てよ
 技術立国ニッポンを背負って立つ理工系人材をどう育てるのか。
 中国など新興国が急速に技術力をつけ、日本は今まで以上に付加価値の高いモノづくりが求められる。環境や医療など成長産業の種を早く生み出さなければならない。原子力や水処理、鉄道などインフラ輸出に携わる国際感覚のある人材も要る。将来の科学技術を担う若い世代の挑戦心をはぐくみ、独創性に富む研究者や技術者を育てる仕組みが必要だ。
柔軟な頭脳を鍛えよう
 千葉大学が12年前に始めた「飛び入学コース」から、今春までに39人が巣立った。うち38人が大学院に進み、情報科学や新素材など最先端分野の研究者を志す。日沼洋陽さん(28)は大学院にも飛び入学し、米マサチューセッツ工科大で博士号を取得。今は米国で次世代の電池材料を研究するが、「いずれ日本企業で製品化するのが夢」だ。
 科学技術の優れた成果は20、30歳代の柔らかい頭脳から生まれやすい。意欲ある学生に早くから専門分野を学ばせる仕組みを広げたい。
 飛び入学は学校教育法で認められているのに、「特別な教程が必要で学校側の負担が重い」などの理由で広がらず、理工系で導入したのは千葉大など4校だけだ。大学や、生徒を送り出す高校が努力すれば、この制度はもっと活用できるはずだ。
 一方で、研究者の卵たちには先行きへの不安感が漂う。ポストドクター(博士研究者)の多くが就職難に直面しているからだ。
 ポストドクターとは博士号を取得後、3~5年の任期で教授らを手伝いながら、研究者として腕を磨く制度である。文部科学省が若手を即戦力にしようと「支援」に力を入れ、1995年度の4千人から2008年度には1万8千人まで増やした。しかし、大学の正規教員の枠は増えず、35歳をすぎて次の職探しに苦労する研究者が3割を超える。
 その対策として、民主党政権は新成長戦略で「博士号取得者の完全雇用」を打ち出した。奨学金の返済に苦労するポストドクターへの経済支援は必要だろう。だが、身分が安定したからといって、優れた研究が生まれるわけでは必ずしもない。
 まず取り組むべきは、年功序列が根強い大学の人事制度を見直し、若手を積極的に登用することだ。
 東大の工学系研究科は「スーパー准教授」という制度をつくり、29歳の准教授が誕生した。上役の教授はおらず、研究室運営の一切を若い准教授が仕切る。米国の大学のポストドクターから採用された加藤雄一郎さん(33)は年4千万円近い研究費を差配し、ナノテクノロジーの研究に携わる。こうした仕組みは若手支援の好例だ。
 博士が企業に就職し、活躍できるようにすることも大事だ。それには企業の取り組みに加え、博士課程の見直しや学生の意識改革も要る。
 大阪大は今年10月、大学院で2つの学位を同時に狙える学科を新設する。新薬の研究では生物学と化学、情報科学では数学と物理という具合に複数分野の知識が不可欠になっている。「専門が狭い博士を採っても機敏な事業展開に即応できない」と、博士の採用に二の足を踏む企業の不満に応える狙いもある。
 既存の学問分野を越える成果が生まれれば、「知の拠点」である大学の活性化にも役立つだろう。
大学も「選択と集中」で
 独創性や挑戦心をもつ若者は、教える側の価値観や文化が同質な環境からは育たない。米ハーバード大やエール大では教員のうち外国人の比率が25%、英ケンブリッジ大やオックスフォード大では40%を占める。一方、日本の大学では外国人教員は3.5%(08年度)しかいない。
 政府はアジアなどからの留学生を13万人(09年度)から、20年度までに30万人に増やす目標を掲げる。英語による授業など留学生向けの教育環境を整えようと、東大が外国人教員の比率を20年度までに10%以上、慶大が同12%などと、数値目標を打ち出す大学も出てきた。だが何を目的に大学の国際化を進めるのか、戦略が見えてこない。
 世界の有力大学は「選択と集中」を掲げ、内外から優秀な教員や学生を集めようと競争を繰り広げる。アジアではシンガポール国立大がバイオテクノロジー、香港科技大が経営工学を戦略的に強化し、国外からノーベル賞級学者を引き抜くのも珍しくない。日本の有力大も大学経営にたけた外国人を学長に起用するぐらい大胆な改革が必要ではないか。
 日本が技術立国を続けるには「理系離れに歯止めを」といった後手の発想ではだめだ。上の世代が大学改革などでリスクを取ってこそ、挑戦をいとわない若者が育つ。
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