KDDI、LTE開始まで綱渡りの2年間 高速化競争の勝者は

KDDI、LTE開始まで綱渡りの2年間 高速化競争の勝者は
 KDDIが次世代携帯通信サービス「LTE」を開始するのは、NTTドコモから2年遅れの2012年12月。高速化競争ではNTTドコモやイー・モバイルに大きく引き離され、向こう2年間はUQコミュニケーションズの高速データ通信サービス「WiMAX」との連携が生命線となる。14年までにNTTドコモを上回る約5150億円をLTEに投資して一気の追い上げを狙うが、KDDIの次世代移行は綱渡りが続く。
“逆襲”のなかの「地味な」サービス
 10月18日、KDDIが開いた今秋~来春商戦の新製品発表会。スマートフォン3機種をはじめ計23機種をそろえ、スカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)との提携も発表して、「KDDIの逆襲」をアピールした。このとき併せて発表したのが、高速データ通信サービス「WIN HIGH SPEED」だ。
 通信速度は下り方向で最大毎秒9.2メガビット、上り方向で最大毎秒5.5メガビット。当初はスマートフォン2機種を含む7機種が対応し、端末の発売と同時に大都市圏や県庁所在地からサービスを開始する。KDDI商品開発統括本部の湯本敏彦モバイルネットワーク開発本部長は「これまで毎秒1メガビット程度だったEZwebの実効速度を、毎秒3.7メガ程度に高められる。全体の7~8割の地域で高速化のメリットを得られる」と説明する。
 ただ、KDDI次期社長の田中孝司専務が発表会見で「ちょっと地味」と口を滑らせたように、WIN HIGH SPEEDはこの日の主役ではなかった。というのも、最大速度が他社の新サービスに比べ大きく見劣りするうえ、対応機種が当初は音声通話端末に限られるからだ。
 NTTドコモが今年12月24日に開始するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」は、最大速度が下り毎秒37.5メガビット(屋内など一部は毎秒75メガビット)、上り毎秒12.5メガビット(一部は毎秒25メガビット)。また、イー・モバイルが11月19日に開始するDC-HSDPAと呼ぶ技術を使った「EMOBILE G4」は、最大速度が下り毎秒42メガビット、上り毎秒5.8メガビットだ。両社ともサービス開始時はパソコンなどに接続するデータ通信端末を発売する。ソフトバンクモバイルも2011年2月下旬以降、DC-HSDPAのサービスを始める。
 LTEは3.9世代(3.9G)携帯電話システムに、DC-HSDPAは3.5世代(3.5G)を高度化させた技術に分類される。一方、KDDIがWIN HIGH SPEEDで採用した「EVDOマルチキャリア」はそれらよりも前の世代の技術にとどまる。次世代通信の主戦場となるデータ通信端末では自社の手駒がないことになる。
なぜLTE開始が遅れるのか
 肝心のLTEをKDDIが開始するのは12年12月の予定。この遅れの背景には、KDDIがLTEの基盤周波数に800MHz帯を使おうとしている事情がある。
 800MHz帯は電波の浸透率が高く全国カバーに適しているが、800MHz帯は総務省の政策に基づき周波数の再配置作業が続いている。そのためKDDIは再配置が完了するまであえてLTEの開始を先送りし、総務省から3.9Gサービスのために割り当てられた1.5GHz帯周波数は、800MHz帯で賄いきれない回線容量の補完帯域として活用しようとしている。
 ただ、携帯電話ネットワークのトラフィックは急増を続けており、高速化へのニーズは高まる一方だ。パソコンはもちろん、最近急増しているスマートフォンや米アップルの「iPad」をはじめとするタブレット端末、カーナビゲーションシステムなど端末も多様化している。これらの新型端末とネット経由でソフトやサービスを提供するクラウドコンピューティングを連携させるサービスも育ち始めた。
 こうした需要が他社に流れるのを防ぎ、LTEまでの2年間をつなぐ技術としてKDDIが見込むのが、UQコミュニケーションズのWiMAXサービス「UQ WiMAX」だ。09年7月に正式サービスを開始し、最大速度は下り毎秒40メガビット、上り毎秒10メガビットと速度では遜色(そんしょく)ない。KDDIはUQの経営権は持たないものの出資比率は45%で、携帯電話4社のなかでは唯一、UQの回線を借りるMVNOとしてWiMAXサービスを扱っている。
 LTEが携帯電話の進化型であるのに対し、WiMAXは無線LANなどのデータ通信から派生した技術。データ通信に限れば、LTEと同じ新型の変調方式を採用するなど高速化手法は近いが、音声通話に対応していないなど根本的な思想がLTEとは異なる。
 KDDIは今年6月、1台で3Gデータ通信とWiMAXの両方を使えるデュアルモードのデータ通信端末を4機種投入した。この端末はWiMAXを使えるエリアでは高速なデータ通信を利用でき、それ以外の地域は従来の3Gで通信する。
KDDIのLTE実験用基地局
 NTTドコモも、サービス開始当初は3GとLTEを連携させ徐々にLTEのエリアを拡大していく。使う技術は異なるものの、端末側が複数の通信方式をサポートするサービスである点は共通している。
 KDDIはデュアルモード端末で個人向けとビジネス向けの2種類の料金メニューを用意した。個人向けは月額最大5750円、ビジネス向けは最大6580円で、価格設定は他社の新サービスとさほど変わらない。
開始は1年半先行したが・・・
 WiMAXは当初はつながりにくさが指摘されたが、UQはこの1年あまりで改善を進めてきた。「開始以来、実際の環境でサービスを提供しながらチューニングしてきた。これから始まる他社のサービスに対するアドバンテージになる」(UQの野坂章雄社長)。
 ただし、KDDIにとっていくつかの懸念材料もある。6月に発売したデュアルモード端末は、3GとWiMAXを自動的に切り替える機能にトラブルが発生した。法人ユーザーのVPN(仮想私設網)ソフトやそのバージョンによって、ネットワークの切り替え時にリンクが切断する事例が発生。「その場合は、ネットワークを手動で切り替えることを勧めている」(KDDI)。一部のケースに過ぎないことを割り引くとしても、携帯電話がベースの3Gとデータ通信用のWiMAXの連携が技術的に容易でないことがうかがえる。
 しかもWiMAXで使う2.5GHz帯周波数には直進性が強い特性があり、屋内に電波が入りにくいという課題が付いて回る。この問題をクリアするため、UQは電波が届きにくいオフィスや会議室に電波を中継する機器を用意して、エリア整備に当たっている。それでも「サービス開始時のエリアの狭さは、いまだにユーザーの記憶に残っており、顧客獲得の足を引っ張っている」と野村総合研究所コンサルティング事業本部情報・通信コンサルティング部長の桑津浩太郎主席コンサルタントは指摘する。
 海外の動向も不安の一つだ。米国の主要WiMAX事業者であるクリアワイヤがLTE導入の検討を具体化させたことなどがきっかけとなり、「WiMAX陣営の勢いが一気に失速してきた」と情報通信総合研究所グローバル研究グループの岸田重行主任研究員は語る。商用化で先行したこの2~3年で市場を取っていれば状況は違ったかもしれないが、多くの通信事業者が携帯電話と親和性が高いLTEの採用に動いたため、データ通信がベースのWiMAX陣営は劣勢となっている。事業者数が少なければ海外で使える地域は限られ、端末価格も高止まりしてしまう。
 国際電気通信連合(ITU)は10月下旬、次々世代の超高速データ通信となる4G携帯電話システムの国際規格に、LTEの発展型である「LTE-Advanced」とWiMAXの発展型である「WirelessMAN-Advanced」をともに採用すると決めた。国際規格を定める標準化機関からは将来のお墨付きを得たかたちだが、通信事業者などが選ぶ業界標準としてWiMAXの存在感をどう高めるかは、UQのみならずKDDIにとっても大きな課題となる。
LTEの「垂直立ち上げ」は成功するか
 KDDIはLTEを開始する12年12月から14年度末の約2年間での巻き返しを狙っている。NTTドコモの1.5倍に当たる5150億円をつぎ込んで、人口カバー率で96.5%を目指す。さらにサービス開始時点で音声通話端末も販売し、データ通信以外の用途にも拡大する。
 しかし、先行するドコモも11年には音声端末を投入する。WiMAXで料金競争を挑むなど大胆な方策をとらないと、LTEをはじめとする他社サービスに市場を奪われ、LTEで勝負をかける12年には、その場所は既になくなっているかもしれない。



会談実現、まだ出発点
 オバマ米大統領の歴訪に同行してアジアを巡った。汚い長屋の隣に最新デザインのビルが建ち、そこらじゅうで道路工事の音が騒がしい。どこからわいたかと思うほどの数の子どもたち。インド12億人の半数以上は30歳未満だ。風景は高度経済成長期の日本と重なる。
 最後の訪問地・横浜にはかつてのようにせかせか歩く人はいなかった。時間が止まったような日本にふさわしく、オバマ氏と菅直人首相の会談はごく和やかだった。
日本は視線の外
 鳩山前政権のときのようにオバマ氏が「普天間移設が進展していない」と詰問する場面はなかったし、11日の米韓や米中の首脳会談みたいに経済摩擦を巡り双方が声を荒らげることもなかった。
 日米に続き、菅氏は実現が心配された中国やロシアとの首脳会談も無事こなした。「周到な準備をされましたね」。胡錦濤主席にはねぎらいの言葉をかけられた。相次ぐ外交失点で支持率を落とした菅氏は胡主席を送り出した直後、「ふ~」と大きく息を吐いた。
 台頭する中国と渡り合うには日米連携が欠かせない。米国は過去1年余りの日米対立を棚上げしたのか。オバマ氏に近い米民主党の関係者に聞くと、答えはイエスでもノーでもなかった。
 米側からみると、何かとふらつく菅氏の外交姿勢はかなり危うげだ。だが、喫緊の課題は対中包囲網づくりのカギを握るインドや東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の引き寄せ。多くの場合、日本は視線の外だ。
 「やはり一番大事だからな」。米側の事情を知ってか知らずか、一連の外交日程に先立つ勉強会で菅氏が熱心に耳を傾けたのが日米関係だった。
 英語が不得手で、国際会議の社交の場では1人で手持ちぶさたにしていることが多いのに、今回はソウルで勇気を奮ってオバマ氏に「横浜で会うのを楽しみにしています」と話しかけた。
 問題はやる気と裏腹に日本外交の戦略が描けていないことだ。
 首脳会談をしたといっても中国ともロシアとも懸案が片付いたわけではない。メドベージェフ大統領は今後も北方領土を占有すると言い切っており、事態はむしろ一段と悪化した。言葉で日米重視を打ち出せば、中国の東シナ海進出は止まるのか。ロシアは再び領土交渉の席に着くのか。外交はそれほど単純ではあるまい。
米中は備え厚く
 米政府にTPPへの参加検討を内々に伝えた際、日本政府関係者は驚いた。キャンベル国務次官補が「この件ですでに中国と話している」と明かしたからだ。
 シンクタンク新米国安全保障研究所のクローニン上級顧問はいう。「中国に触れずにアジアを語ることはできない」。にらみ合いつつ、組むときは組み、切るべき仁義は切る。米中とも外交は二枚腰、三枚腰だ。
 そもそも菅氏が公約した日米重視はきちんと中身が伴っているのか。
 10月、ワシントンでのセミナー。「気候変動、新エネルギー対策などで日米協力を重ね、同盟を再軌道に乗せよう」。日米の有識者の議論にボーイング社幹部が割って入った。「普天間はコア・イシューだ」。これを解決しない限り、日米改善はない、と指摘され、会場はしんとした。
 菅氏は6月に普天間に関する日米合意の履行を約束したが、風向きが悪くなると代替施設の建設工法の8月決定などの段取りをほごにした。今回もオバマ氏に28日の沖縄県知事選後に「最大限の努力をする」と明言。もはやその場しのぎの口約束では済まされない。菅氏には一息入れている余裕など全くない。
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ラジオ番組ネット配信の新会社、電通などが設立へ

ラジオ番組ネット配信の新会社、電通などが設立へ
 電通とラジオ局13社はラジオ番組のインターネット配信を事業化する。ネット配信の事業会社を12月1日に設立し、電波での放送と同時にパソコンと高機能携帯電話(スマートフォン)に無料配信する。配信エリアは首都圏と関西に限定するが、将来的には他地域のラジオ局の参加も検討する。ネット配信に伴う広告の拡大で収益の幅を広げるのが狙い。
 新会社の社長や出資比率は現在調整中。ニッポン放送や文化放送など首都圏7局と関西6局は今年3月から「radiko(ラジコ)」と呼ぶ共同サイトを通じて同サービスの試験配信を始め、年内の実用化を目指していた。試験期間中はサイト画面に企業の広告枠を設けていなかったが、12月からの本格配信に合わせて広告も付く。
 来年以降には首都圏、関西以外のラジオ局の参加やNHK番組の配信も視野に入れる。また通常の携帯電話への番組配信やミニブログ「ツイッター」と連動したサービスなども検討する。
 ネット配信によるラジオ番組は、都市部のビル陰など電波が届きにくい場所でも音質がきれいに聞こえる利点がある。また受信機自体を持っていない若年層らにネットで番組を聴く機会を提供し、新たな聴取者を掘り起こす狙いがある。



KDDI、オンキヨーのタブレット端末を高速無線付きで販売
 KDDI(au)はオンキヨーが開発したタブレット型情報端末と高速無線通信端末をセットにして、19日から販売する。米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を搭載した国内メーカー初のタブレット端末で、ビジネス需要が見込めると判断。価格も抑えめにして米アップルや韓国サムスン電子のタブレット端末を販売するソフトバンクやNTTドコモに対抗する。
 KDDIが売り出すタブレット端末はオンキヨーが近く発売する「TWシリーズ」の最上位機種で、液晶画面は11.6型。メモリーを増設するとともにタッチパネル式のボタン表示を大きくした独自仕様にし、高速無線「WiMAX」と携帯電話回線でインターネットが利用できる通信端末を付けて販売する。通信端末はUSB接続する。
 KDDIが販促費として4万2000円を負担し、店頭料金は3万円を下回る見込み。家電量販店より割安に購入できるという。ただ月1925~6695円の定額料金プランの契約が条件になる。ビジネスマンや企業向け需要を見込み、携帯販売店「auショップ」930店で販売する。



サイバーエージェント、採用に交流サイト活用
 サイバーエージェントは交流サイト(SNS)などソーシャルメディアを使った採用活動を本格的に始める。世界最大のSNSである米フェイスブック経由の採用枠を設けるほか、インターネット上の仮想空間で会社説明会や面接を実施。SNSは就職面でも情報交換の場として利用が増えており、全国各地から有能な新卒・中途採用者を確保するねらいだ。
 日本語版フェイスブックに、採用活動専用のサイトを近く開設する。2012年度の新卒採用で予定する計160人のうち、10人をフェイスブック枠に設定。11年度の中途採用でも10人をフェイスブック経由とする。
 採用サイトには社員インタビューやオフィスの様子などを公開。学生らが掲示板に質問を寄せると、社員が回答する。11年初頭には東京都内でフェイスブック利用者に限定したイベントも開く。
 一方、12月にはフェイスブック経由以外の採用も対象に、利用者同士が交流できるサイバーエージェントの仮想空間サービス「アメーバピグ」内のドームで採用説明会を実施する。志望者は事前にリクルートの就職情報サイト「リクナビ」を通じて登録。約1000人が参加でき、簡単な質疑応答も実施するという。
 サイバーエージェントなどネット企業が注力するアプリケーションソフトの開発分野では、有能な技術者の獲得競争が激化。地方や海外在住者を対象とするウエブ面接も始めている。



ビックカメラが免税専門店 秋葉原で外国人客争奪戦
家電製品やアニメグッズも
 ビックカメラは今月中に東京・秋葉原に訪日外国人客向けの免税専門店を開く。免税品はこれまで店内に設けた専用売り場で扱っていたが、中国人をはじめとした外国人客の増加を受けて採算に合うと判断した。近隣地区ではラオックスやヨドバシカメラも専用売り場を強化しており、訪日客を巡る家電量販店同士の争奪戦が激化する。
免税店への改装を進めるソフマップ店舗(東京・千代田)
 11月中旬をめどに、子会社のソフマップが秋葉原に持つ「パソコン総合館」を改装する。店名は「アキバデューティーフリーズ」。同店の売り場面積は約2100平方メートル。地上7階建て店舗の1~4階で、海外の電圧などに対応したカメラ、炊飯器、パソコンなどの家電製品を扱う。このほか、外国人にも人気のアニメグッズやつめ切りといった日用雑貨などもそろえる。
 免税店は6カ月以内の短期滞在の旅行者が対象。商品購入の際にパスポートを提示すると1度の会計額が1万500円超であれば、消費税分の5%を実質的に割り引く。
 販売員の3分の1は中国語や英語、韓国語で接客できる人材を配置する。1階部分には今後、訪日客向けの観光案内コーナーを設け、近隣の飲食店などの紹介サービスも始める。団体客の誘致を狙い、旅行会社などへも売り込む考えだ。
 ビックは10月に外国人客専用のポイントカードの発行を大手量販で初めて開始。中国人客の増加などを見込み、「外国人の囲い込みを進める」(宮嶋宏幸社長)方針だ。
 日本政府観光局(JNTO)によると、9月の訪日外客数(推計)は71万7800人で前年同月比34%増えた。羽田空港の国際化などを受け今後も増加傾向が続くとみられる。海外でも電気街として有名な秋葉原には多くの訪日客が訪れており、ヨドバシの秋葉原店を訪れる外国人客数は前年から2~3割増えているという。
 他社も訪日客向けの対策を強化している。中国・蘇寧電器(南京市)傘下のラオックスは、買い物目当ての外国人観光客が多く集まる東京・銀座の百貨店、松坂屋銀座店(東京・中央)内に20日出店する。免税専門館である東京・秋葉原の本店も9月下旬に改装し、品ぞろえを拡充した。ヨドバシは秋葉原店で、中国語などが話せる人材を今年に入り2.5倍に増やした。
 省エネ家電の購入を促す家電エコポイント制度などの恩恵を受け、家電量販各社の業績は上向いている。ただ政策効果を除けば市場の飽和感は強まっており、各社は将来の成長策が急務。外国人旅行客の取り込みはそのための一手となる。



オラクルとアップル、Java技術で連携
 【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手のオラクルとアップルが12日、プログラミング言語「Java(ジャバ)」技術で連携すると発表した。オラクルは10月に宿敵IBMと同様の連携を発表する一方、グーグルに対しては8月にジャバ関連の特許侵害で提訴。同様にグーグルと対立するアップルを自陣営に引き込み、グーグル包囲網を強化する形になった。
 両社が協力するのは、「オープンJDK」と呼ばれる開発キットに関する技術。従来、アップルは自社の基本ソフト(OS)「マックOS」向けに、ジャバ技術を使える開発キットを自社開発してきた。
 今回の連携により、アップルは現行ソフトの提供を続けながら、オラクル主導のオープンJDKの枠内でマック版を開発・提供する。両社はオープンソース(無料公開)環境でソフトを作る技術者が開発しやすい条件を整えることで、ソフト開発者の支持を集め、中長期的に自社のソフトやデジタル機器の販売につなげる。
 ジャバを巡っては、世界的にスマートフォンへの搭載が進んでいるグーグルのOS「アンドロイド」が、オラクルが持つジャバの技術を侵害しているとして、オラクルが8月にグーグルを提訴。IBM、アップルの有力2社を味方に引き入れたオラクルと、グーグルの対立は長期化が避けられない状況だ。



航海士処分、海保まだ本格検討せず…議論は今後
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件は、映像流出を告白した神戸海上保安部の主任航海士(43)の取り調べが中断しており、逮捕するかどうかの判断は週明け以降に持ち越された。
 過去の国家公務員法違反のケースでは、秘密を漏えいした職員が懲戒処分を受ける一方、起訴を免れているケースも多く、処分の仕方が今後、議論になりそうだ。
 ◆懲戒処分の行方◆
 主任航海士の懲戒処分について、海上保安庁はまだ本格的な検討をしていない。幹部は「捜査で事実関係が固まらないと、議論しようがない」と言う。
 国家公務員法では、同法やその他の職務上の義務に違反した場合に、懲戒処分を行うことができるとしており、過去の秘密漏えい事件では停職や免職になっているケースが目立つ。
 元総務事務次官の増島俊之氏(74)は、「個人情報なども多数取り扱う官公庁で、個々の職員が『公開すべきと思った』という理由で、組織として非公表としている情報を公表してしまったら、秩序を保つことはできない。懲戒処分を行うことは、公務員組織としては当然だ」と指摘する。
 ただ、増島氏は、「刑事処分に問うかは別だ」とする。2007年には、受刑者の経歴などをブログに書き込んだ徳島刑務所の看守部長が、停職3か月とされる一方、徳島地検が「懲戒処分で社会的制裁を受けた」として不起訴(起訴猶予)としている。



【産経主張】日中首脳会談 禍根残した友好第一主義

 横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、日中首脳会談が行われたことは前向きに受け止めたい。だが、菅直人首相が尖閣問題で「日本の確固たる立場を伝えた」のに対し、胡錦濤国家主席も「中国の立場」を表明したという。首相は尖閣についての日本の主張を繰り返したにすぎない。
 わずか20分余りの会談で、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の本質が日本の主権の侵害であるという肝心の点が強調できたのか。首脳の顔合わせという友好の演出が優先され、「戦略的互恵関係」の促進というお題目の表明にとどまった印象は否めない。
 北方領土問題で議論が平行線に終わった日露首脳会談と同様、マイナス点をつけざるを得ない。
 9月7日の漁船衝突事件から2カ月余、菅政権は「尖閣諸島は中国領土」と強弁する中国政府に振り回され、悉(ことごと)く対応を誤った。その根幹は中国漁船と乗組員を早々に送り返し、公務執行妨害容疑で逮捕した船長を処分保留で釈放したことだ。その措置を「検察の判断」としたのも問題だ。
 事件の様子を記録した海上保安庁撮影のビデオ映像もごく一部を少数の国会議員に限定公開したにすぎない。中国側への過剰な配慮としかいえない弱腰姿勢が、海上保安官によるビデオ映像の流出を招いたのは言うまでもない。
 この間に中国側が示した威圧的な対抗措置は枚挙にいとまがない。東シナ海ガス田共同開発に関する日中両政府の条約締結交渉会合の延期▽ガス田への掘削用とみられる機材の搬入▽ハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)の事実上の輸出制限-などである。こうした肝心の課題について明確な方向性も出さずに首脳会談が終わったのは残念だ。
 日本側は数日前から「30~40分程度」の会談実現を要望していた。しかし中国側は回答せず、直前になって応諾したものの実質的な議論ができないような短時間の設定となった。日本側の駆け引きの稚拙さにも苦言を呈したい。
 一方、日露首脳会談では、菅首相はロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問について、「わが国の立場、日本国民の感情から受け入れられない」と抗議したという。尖閣諸島の問題でも、中国に対して、同様の毅然(きぜん)とした姿勢を貫くべきである。
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