日本発アプリが世界のトップに 日本アンドロイドの会・会長 丸山氏インタビュー

日本発アプリが世界のトップに 日本アンドロイドの会・会長 丸山不二夫氏インタビュー
■“ジャパナイズ化”が本格的な普及のカギを握る
 この秋、次々と新機種が発表され、盛り上がりを見せる「Android」に対し「この程度の反響はまだ小爆発ですよ」と丸山氏は話す。「ユーザーはまだ『Android OS』だからでなく使い勝手のよさやデザインでケータイを選んでいます。それは決して悪いということではない。スマートフォンが便利なのはインターネットに“ダイレクト”につながるという点で高機能のフィーチャーフォンに慣れている日本人にとってもこれまでにない新しい経験になるはずです。
 また、スマートフォンの優れたUIやカスタマイズ性の高さは、日本のユーザーに急速に受け入れられていくでしょう。今後スマートフォンは日本でも爆発的に普及していくと思います」
 今後、Android端末が普及するのは確実だが日本独自のケータイの機能を取り入れた“ジャパナイズ化”が進み、おサイフケータイやワンセグなどの機能がデフォルトになると、丸山氏は言う。「Androidだけでは結果的にどの端末も差がなくなってしまいます。デザインや新しい機能の追加による差別化で本当の競争が始まるでしょう」
■マーケットの充実がアプリ開発を加速させる
 スマートフォンなどのデバイスと合わせて注目すべきなのがアプリケーションだ。AndroidアプリはiPhoneアプリのように審査が厳しくないため自由度が高いといわれている。Androidアプリの登録数は最近10万を超え、登録数30万以上のiPhoneアプリに負けない成長を見せている。一方で、現在のAndroidマーケットではアプリが探しにくかったり、購入のために別の契約が必要という問題もある。そのため、本家GoogleのほかBIGLOBEやGMOといった企業が、独自にアプリのマーケットを作る動きが進んでいる。「今年に入り、日本のキャリアがAndroid端末への取り組みを本格化させた影響もあり、日本アンドロイドの会の会員数も急増し、Androidの勉強会は毎週のように全国で開催されています。日本のケータイ開発者はJavaの扱いに慣れているため、Androidへの対応は難しくないでしょうし、日本発のアプリが世界のトップに入るまで増えていくはずです」
 また、Androidはテレビや家電など様々なデバイスに組み込まれていくことが予想される。今後あらゆる情報がネットワーク上で共有されるクラウド時代が本格的に到来すると、デバイスの開発はAndroidを中心に進んで、クラウド対応デバイスの代名詞になるだろうと丸山氏は予測する。「Androidが普及すれば、コミュニケーションや情報の共有はもっと活発になり、個人と個人がAndroid端末などを通じてクラウド上でつながる新しいネットワーク・メディアが誕生すると思います。それこそが21世紀という時代の新しい特徴になると考えています」
 とはいえ、Androidは現時点ではまだ、課金システムやOSの進化といった課題をたくさん抱えている。急速な利用者拡大に伴うセキュリティーの整備や情報管理のルール作りもその一例だ。こうした点については、国と企業と開発者が一丸となって整備していく必要があると丸山氏は指摘する。Androidは今まさに、日本ではスタートを切ったばかり。今後の進化から目が離せない。



大型リストラ奏功 採算改善、バブル後最大
 上場企業は歴史的な円高に見舞われた2010年4~9月期(上期)決算で予想以上の業績を収めた。連結経常増益率は期初予想の前年同期比70%増を上回り、2.4倍に拡大。利益水準は金融危機前08年上期の96%、最高益だった07年上期の8割まで戻った。だが先行き不透明感は強く、下期も回復軌道を維持できるか予断を許さない。
 ウシオ電機は3次元(3D)映画ブームを陰で支える。「10年前に年3台しか売れなかった」(大島誠司取締役)映画館向け3D映写機は、今期の販売が7500台まで伸びる見通し。今や世界シェアの6割を握る。
 不振続きの米国事業に光明が見えてきたのはリコーだ。買収先の米企業に販売ノウハウを徹底的に移植し、年明けには14四半期ぶりに「利益を出せるところまでもってきた」(近藤史朗社長)。
新興国向け好調
 目を凝らせば、日本企業のあちらこちらで新しい収益の芽が膨らんでいる。コスト削減、新興国需要という二大増益要因に隠れがちだが、各社の粘り腰の経営は今決算を底辺で支えた。
 日本企業を利益の出やすい体質に変えたのは、金融危機後の猛烈なコスト削減だ。製造業は昨年度、人件費などを削り、利益の確保に必要な売上高(損益分岐点売上高)を13%も引き下げた。下げ率は比較可能な25年で最大。実質的に戦後最大のリストラといえた。
 手綱は今期も緩めていない。上期に最高益だった日立製作所の営業増益要因は、増収とコスト削減などの要因が半々だ。効果はてきめんで、日本企業の上期の売上高営業利益率は5.6%に跳ね上がり、バブル経済崩壊後で最大の改善幅(2.8ポイント)となった。利益率自体も07年上期の5.8%に迫る最高水準だ。
 売り上げは新興国、とりわけアジア需要がけん引した。コマツの増収率は33%だったが、中国に限れば58%。日産自動車もアジアの増収率が64%と、全体の増収率28%を大きく上回った。
 現地の消費者目線で開発した製品がよく売れ、新興国戦略の深化も印象づけた。ソニーは機能を絞った割安な薄型テレビをインドに投入し、同国市場で韓国サムスン電子から初めてシェア首位を奪った。
不安心理消えず
 問題は下期以降だ。通期の予想経常利益に対する上期の達成率は、下期見通しが慎重なほど高まる。今上期は、01年上期の米同時テロ直後(55%)を上回る57%。経営者の不安心理がにじむ。
 政策効果の息切れや円高、戻りの鈍い先進国景気。不安材料は多いが、克服への足掛かりもある。上期決算で光った新しい収益の芽を早く、大きく実らせることがその一つだろう。自社を取り巻く環境の変化に適応し、技術を磨いて新境地を開けるかもカギになる。
老舗も新事業に挑戦(東京都内にある小津産業の植物工場)
 紙卸の小津産業は創業356年目で、新事業の植物工場に挑んだ。紙の需要が減るなか、「食の安全という時代の風」(山本行高常務)を追う。
 ニッパツはハードディスク駆動装置(HDD)の磁気ヘッドを支える新型サスペンションの量産を始めた。世界シェアの45%を握るが、制御精度を数倍に高めた次世代品でライバルを突き放す。
 上場企業の手元資金は9月末に64兆円強と再び過去最高を更新した。戦略の選択肢は一段と広がっている。日本企業の底力が試される局面だ。



キヤノン会長 御手洗冨士夫氏 アジアでの競争出遅れ 成長取り込む政策必要
 ――「失われた20年」の原因をどう考えるか。
 「バブル崩壊で設備・雇用・債務の3つの過剰を抱え、その処理にもたついてしまった。成長に向けた改革も進まなかった。例えば税財政の一体改革。歳出面で一定の成果を上げたが、歳入面では課題を残した。社会保障制度が揺らぎ、国民が将来に不安を感じ始めた。消費が抑制され、企業の活力をそいだ」
 「アジアの新興国はグローバル化に合わせ、経済発展競争を繰り広げた。例えば1997年の国際通貨基金(IMF)ショック後の韓国やシンガポールは法人税の引き下げを競った。日本の政府や企業は完全に取り残された」
革新生む力健在
 ――日本企業の競争力は今、どんな状況か。
 「停滞した20年の間も日本企業は液晶テレビやデジタルカメラ、ハイブリッド車などを真っ先に世界の市場に送り込んだ。韓国や中国の企業に逆転された分野もあるが、技術革新を生む力は衰えていない」
 「例えば環境やインフラの技術だ。韓国や中国が急速に迫っているが、日本の投資や技術に期待する新興国は多い。アジアでは何兆円という規模でインフラ整備が進む。官民一体で発展に協力すべきで、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加で障壁を取り除く必要がある。もっと世界をみて、日本に成長を取り込む政策判断が必要だ」
 ――産業の新陳代謝も必要なのでは。
 「規制緩和や官民の国家プロジェクトは必要だ。新産業やベンチャー企業を育てる一方、世界の頭脳が日本に集まる仕組みを構築する。最近は出ていくばかりの外国企業が、もう一度日本に投資したくなる環境を整えていきたい」
TPP加盟急げ
 ――政府には今、何を求めるか。
 「現在のように基本的な部分でハンディを背負った状態が続けば、企業のイノベーション(技術革新)投資は鈍る。まず法人税を近隣国並みに引き下げ、企業の国際競争力と国内投資意欲を高める。そして社会保障の充実で国民の安心を担保する。消費税率の引き上げは待ったなしだ」
 「TPPの加盟も急ぐべきだ。貿易圏が広がり、ヒト、モノ、カネが活発に動けば、国内市場が広がるのと同じ。少子高齢化を乗り越えるには経済的に孤立してはいけない。農業を保存する保護政策はだめ。生産性を高め、輸出産業を育てる戦略と覚悟を持ち、開国の時代に備えるべきだ」
 ――企業の経営はどう変わっていくか。
 「新興国が多極的に台頭する時代には、一つ一つの市場により深くかかわっていく。為替変動への対応だけではない。マザー工場的に新しい生産技術を磨く場所であり続けるべきだ。だが事業戦略自体は各国・地域で考え、『まず日本から導入する』という制約なしに展開する。先端の生産技術も海外にどんどん出す。地産地消の市場完結型の経営だ。日本の多国籍企業も大きく変わるだろう」



野村ホールディングス会長 氏家純一氏 リスク取らぬ金融機関 産業として自立意識を
 ――この20年の金融機能の衰えをどうみるか。
 「必ずしも衰える一方ではなかった。銀行融資はほぼ横ばいだが、社債の発行額は膨らんだ。大企業に限れば、間接金融から直接金融への移行が確実に進んだ」
 「もっとも日本の金融機関が新しい産業を見つける能力を鍛錬してきたのかと問われれば、答えはノーだろう。銀行は不良債権処理に追われ続け、野村証券をはじめとする大手証券も固定手数料制の規制に守られてきた。自らの判断でリスクを取るという努力が欠けていた」
運用会社育たず
 ――市場経済で重要な役割を果たすはずの機関投資家が育っていない。
 「日本の大手資産運用会社は銀行や証券会社のグループ企業ばかりだった。我々は傘下の運用会社を育てようと努力を続けてきたが、十分に満足できる結果を出せたかと問われれば、答えは必ずしもイエスではない」
 ――98年の「日本版ビッグバン」を機に規制緩和が進んだが、産業へのリスクマネー供給は十分といえない。
 「規制緩和が進んだ半面、複雑な手続きが残り、お金が流れるべきところに流れないのではないか。例えば未公開企業への投資を税制面で後押しする『エンジェル税制』。対象になる企業の条件が細かく列挙され、すんなり頭に入らない。貿易で関税を撤廃しても、通関手続きが厳しければ、実際にモノは動かない。それと似たことがマネーにも起きている」
人の国際化急げ
 ――世界的に通貨問題が焦点に浮上している。海江田万里経済財政相も「円の国際化」に関する検討を開始する意向を示した。
 「過去に何度か議論されてきたテーマだが、『円の国際化』が目指しているものがよく分からない。『基軸通貨』のイメージなのか、それとも『主要な決済通貨』という程度の意味なのか。少なくとも前者ではないだろう」
 ――東京金融市場の国際化についても、これまで何度となく議論されてきた。
 「これまでインテリジェントビルや総合取引所をつくるといったハード(箱物)の議論ばかりが先行してきた。それも大切だろうが、法務や会計の専門家を育成したり、英語を話す人材を増やしたりといったソフト(人)の対応を急ぐべきだ」
 「金融は機能であると同時に、重要な産業だ。こうした意識を国全体として共有できるだろうか。基軸通貨のドルを持つ米国や国際通貨のポンドを擁する英国は、金融自体が雇用と税収をもたらす産業として自立してきた」
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かつて世界を制覇した日本半導体産業の凋落

かつて世界を制覇した日本半導体産業の凋落
 1980年代の末に刊行された『Made in America』は、日本の製造業を高く評価した。特に絶賛したのは、半導体産業である。
 確かに、その当時の日本の半導体メーカーの活躍ぶりは目覚ましかった。90年における半導体の売上高の世界シェアを見ると、NEC、東芝、モトローラ、日立製作所の順であり、日本のトップ3社で、世界の約3割のシェアを占めていた。
 ところが、現在のトップ3社は、インテル、サムスン電子、テキサスインスツルメントだ。この3社で、世界シェアの約4分の1になる。
 これほど顕著な変化が、この20年の間に生じたのだ。これは、日本の地盤沈下を象徴する変化である。
 日本の凋落を論じるとき引き合いに出されるのは、一人当たりGDPの相対地位の低下などのマクロ的指標だ。これは確かに重要ではあるが抽象的である。したがって、なぜ変化が起きたのかをとらえにくい。
 それに対して、半導体産業における敗北は、具体的な事象であり原因の所在も確かめやすい。そこで、以下ではそれについて考えてみよう。
 最初に注意すべきは、『Made in America』が絶賛した日本企業の特性(短期利益に左右されない、人材が企業から離れない、銀行との間で株式の持ち合いがある、など)は、今でも続いていることだ。それにもかかわらず、逆転現象が生じたのである。それはなぜだろうか?
 日本の産業競争力が低下した理由として、企業再編が進まなかったことが指摘されることがある。しかし、半導体分野では再編が進められた。DRAM(メモリ素子)については、NECと日立が99年にエルピーダメモリを設立し、システムLSIについては、日立と三菱電機が03年にルネサステクノロジを設立した(10年にはNECも加わり、ルネサスエレクトロニクスとなった)。しかし、日本の劣勢を挽回することはできなかった。異なる企業の人材がうまく融和できなかったということもあるが、より大きな原因は、従来のビジネスモデルを変えられなかったことだ。
 日本企業の特性は変わらなかったのだが、80年代にはプラスに作用したその特性が、90年代からは逆向きに作用したとしか考えようがない。
 実際、以下で述べるように、90年代に技術体系と世界経済の大きな変化が生じたのである。この変化は、半導体ビジネスに大きな変化を要求するものであった。それにもかかわらず、日本企業は、それまでのビジネスモデルを継続したのである。
 日本企業の長所は短期的利益に左右されないことだと言われた。それはその通りなのだが、実は的確な長期的視点を持っていたわけでもなかった。単に市場の条件変化に反応しないというだけのことだったのだ。
先端的製品と低価格製品の両面で敗北
 80年代から90年代にかけて、技術体系に大きな変化が生じた。それは、ITの登場である。これは、二つの要素を持っている。一つは大型コンピュータからPC(パソコン)への変化であり、いま一つは電話からインターネットへの変化だ。
 DRAMにおいて日本が覇権をとったのは、大型コンピュータ用のものだ。ここでは、信頼性の高い製品が求められる。ところが90年代になって、PC用のDRAMの需要が増えた。これは大型コンピュータ用ほどの信頼性は要求されず、その代わりに、価格が安いことが求められた。
 この変化が生じたとき、日本は韓国、台湾のメーカーに太刀打ちできなくなったのだ。これらの国・地域の賃金は日本より低く、それゆえ低価格の製品を作ることができる。サムスンは、それに加えて、巨額の設備投資によって製造単価を引き下げた。なお、新興国メーカーが伸びたのは、為替レートの影響もある(もっとも07年までは円も安くなったから、日本のメーカーも為替レートの恩恵を受けたわけだ)。
 MPU(PCで用いられる超小型演算処理装置)は、半導体のチップだが、そこに書き込まれている計算回路の設計が重要な意味を持つ。インテルは、すでに80年代にDRAMから撤退し、MPUに特化した。
 DRAMのように製造工程が重要な製造業において日本は強いが、MPUのようにソフトウエア的要素が重要な製造業では日本は弱い。つまり日本は、ブルーカラー的製造工程には強いが、ホワイトカラー的な設計過程では弱いのである。
 こうして、日本は低価格製品が必要となったDRAMで新興国に敗れ、ソフトウエアの比重が高いMPUでアメリカに敗れた。結局、日本が強かったのは、基本的な技術が確立されている高性能製品を、効率よく生産することだったのだ。
 ところで、以上で述べたことは、半導体産業に限ったことではない。同じことが、今後自動車について起こる可能性がある。従来のガソリン車やハイブリッド車は機械的に複雑な製品であり、こうした製品の製造過程での「すり合わせ」に日本は強い。しかし、今後主流になる可能性がある電気自動車は、これらとは異質の製品だ。それはバッテリーなど個々の部品には先端技術が必要とされるが、機械的には単純な製品なのである。そして個々の部品に関しては、シリコンバレーなどのベンチャー企業が強い。したがって、MPUでインテルに負けたのとの同じことが、自動車でも起こる可能性がある。
 他方で、新興国での需要は、低価格車が中心だ。この面では、PC用のDRAMで韓国や台湾に負けたように、中国の自動車メーカーに負ける可能性がある。
 こうして、技術的にきわめて高度なものと、廉価品の大量生産という二つの分野に自動車が分離する可能性がある。そうなれば、自動車産業が半導体の二の舞になる可能性は、決して否定できない。
ソフトウエア産業に弱い日本
 MPUではソフトの比重が高く、この分野は日本が得意でないと、上で述べた。これは、製造業の範囲内の問題だが、もう少し視野を広げてIT一般を見ると、ソフトウエア産業の比重の増加は、きわめて顕著だ。そして、この分野で日本は大きく立ち遅れた。
 PCのOS(基本ソフト)に関して、マイクロソフトのウインドウズが標準的なものとして確立された。こうなると、それまでPCの「国民機」と呼ばれて日本市場を制覇したNECの9801のようなPCは、劣勢に立たされることになった。
 インターネット面では、日本の立ち遅れはさらに顕著だ。この面では、シリコンバレーのベンチャー企業の活躍が目覚ましい。『Made in America』は、「サンフランシスコ地域のベンチャーキャピタルが成熟企業からの人材の離脱を促すので問題」と言ったのだが、まさにそれらの人材がIT革命を実現したのだ。
 1990年にブラウザを提供するベンチャー企業ネットスケープが彗星のごとく登場し、ゴールドラッシュがカリフォルニアに再来したことを人々に実感させた。スタンフォード大学を中心とするシリコンバレーで、ベンチャー企業がITという新しい産業を立ち上げたのである。
 他方日本では、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、アマゾンのようにソフトウエアに特化した先端的企業は、結局のところ現われなかった。こうして日本は、ITにおいて決定的な遅れをとることになったのである。



製造設備「高齢化」進む
金融危機後、企業が国内投資抑制 経済成長の足かせに
 製造業が保有する設備が老朽化し始めている。工場や機械が稼働してからの年数を示す設備年齢は2010年に8.6年となり、2年連続で延びる見通しだ。リーマン・ショック後の世界的な需要の減少で企業が設備の更新を手控えたことが背景。円高に伴う設備投資の海外シフトにも歯止めがかからず、投資を原動力とする日本経済の成長力が高まらない要因になっている。
東海圏など顕著
 内閣府の統計などをもとに日本政策投資銀行が試算したところ、製造業の設備年齢は08年の8.2年を底に高齢化に転じ、10年時点で8.6年となった。04年の8.7年をピークに若返りが進んだがリーマン・ショック後に再び高齢化に転じている。
 金融危機で需要が急減した自動車業界などで設備投資を抑制する傾向が強まっている。地域別の設備年齢を見ると、自動車産業が集積する愛知県など東海圏では10年に8.1年と08年と比べ0.7年延びる見通し。首都圏は10年に10.0年で08年と比べ0.5年延びる。一方でシャープのテレビ用液晶パネル工場(堺市)投資などで関西圏は金融危機後も「若返り」傾向を維持し、10年は8.6年となる。



英エコノミスト「未知の領域に踏み込む日本」
 20日発売の英誌エコノミスト(本紙特約)は「未知の領域に踏み込む日本」と題した日本特集を掲載した。
 少子高齢化が、日本経済の再活性化やデフレ脱却の大きな障害になっており、日本はこの問題に最優先で取り組む必要があると警告した。
 同誌の本格的な日本特集は、「日はまた昇る」と日本経済の再生に明るい見通しを示した2005年以来だ。
 対照的に今回は、若者が新卒で就職できないと一生厳しい状況が続く「一発勝負」の雇用の現状や、企業に残る階層構造など解決すべき課題は山積していると指摘した。その上、日本の「穏やかな衰退」を食い止めるには生産性の向上や女性の活用など「文化的な革命が必要」と結論付けた。



ガンホー、高機能携帯向け交流サイト運営
 オンラインゲーム開発のガンホー・オンライン・エンターテイメントは12月をメドに、高機能携帯電話(スマートフォン)向け交流サイト(SNS)の運営を始める。ソフトバンクが販売している米アップルのiPhone(アイフォーン)などに対応する。自分の写真やネット上の自分の分身(アバター)を使い友人と交流できる。同事業をゲームに次ぐ新たな収益源にする。
 ミニブログのツイッターと連携しアバターやゲームなどのアイテムを使った交流を楽しめる。利用料は無料だが、アイテムに課金する。将来はNTTドコモなどのスマートフォンにも対応する予定。



成田空港、着陸料を最大半減 ハブ化へ競争力強化
時間延長も検討
 成田国際空港会社は来年3月末にも、航空会社の国際線の新規就航・増便分の着陸料を最大で半額にする方針だ。まず1年程度実施し、その後延長するかを検討する。韓国の仁川空港など空港同士の国際競争が激しくなる中、着陸料を大幅に値下げして、海外の航空会社を呼び込み、拠点(ハブ)空港化を目指す。運航時間の延長も検討する。
成田空港は、国際ハブ空港化を目指して機能強化を図っている
 成田空港会社は国際線に新たに就航したり、既存路線を増便したりする航空会社から徴収する着陸料について、通常の3~5割を割引する方向で調整している。割引は格安航空会社だけでなく、既存の航空会社も対象となる。期間は1年程度が有力だ。3年間にする可能性もある。



政府、NTT株3%売却へ 来年度予算の財源に
 政府は保有するNTT株の約3%を売却する方針を固めた。約1800億円の収入を見込んでおり、来年度予算の財源として活用する方針だ。NTTは今月、発行済み株式の7.97%を消却したためNTT株数が減少し、政府保有の持ち株比率が33.7%から、36.6%に上昇した。政府は法律でNTT株の3分の1以上の保有を義務付けられており、今回の持ち株比率上昇で3分の1を上回った余剰分を売却する。
 すでにNTTは株式を買い取る意向を打診しており、市場に放出しない「立会外取引」でNTTが自社株買いを行う方針。19日の終値(3860円)で換算すると、売却額は約1840億円となるが、政府は売却のタイミングを株価など市場の動向を見ながら決める。
 政府によるNTT株の売却は、2005年以来。来年度の予算編成で財源の捻出(ねんしゅつ)が難航するなか、売却収入を財源としたい考えだ。
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