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「Twitter」が日本でブレークするための条件(COLUMN)
 140字以内で互いにささやき合うミニブログサービス「Twitter」が、日本で本格的にブレークするかどうかが議論の的になっている。私も実際に使ってTwitterの可能性を強く感じたのだが、課題は3つあると考えている。
 IT系の新しいテクノロジーやサービスが、「キャズム」すなわちアーリーアダプターからアーリーマジョリティーへの壁を越えるのは難しい。本当にキャズムを越えるのはごく一部であり、大半はその内側で忘れられてしまうのがこの分野の特徴だからである。
 Twitterがどちらにいくのかは、ビジネス価値はもちろん、私たちユーザーがどれだけ時間やリソースを割いていいのかという意味でも興味深い。果たして、Twitterは第2の「セカンドライフ」に終わるのか、あるいは、一部の人が期待しているようにGoogle並みのインパクトをもたらすのか。今回は、Twitterがブレークするための条件と、将来のビジネスへの活用方法を考察する。
■数日で1万人を超えるフォロワー
 私がもともとTwitterの存在を意識したきっかけは、自分の名前で検索する、いわゆる「エゴサーチ」をしているときだった。ここ半年くらい、やたらとよくTwitterのつぶやきやそれを引用したブログに当たるようになった。そこで、今年4月にアカウントを取ってみたのだが、周りにヘビーユーザーがいなく使い方もよくわからなかったため、その後は放置していた。
 ところが、7月下旬にたまたまワシントンとニューヨークを社会起業家の取材に訪れたとき、現地クルーや現地に住む友人と話をして、米国ではTwitterがかなり一般化していることがわかった。それは、大統領選でのオバマ氏、CNNのニュース、ホワイトハウスのプレス案内、プロスポーツ選手や芸能人のつぶやきといったマスメディア機能だけではない。学校の保護者会の連絡のような地域サービスにまで広く使われているのである。
 これはすなわち、キャズムを越えてきているということであり、私もあわてて時間を割いて使い始めた。日本でもブレークするかどうかの検証が必要だと考えたからである。
 まず最初に、実名でなかったアカウントを実名にして自分のブログにリンクし、「かたり」でないことを明らかにした。すると、自分のアカウント「kazuyo_k」に数日で1万人を超えるフォロワーができた。これが、最初の大きな驚きだった。そんなにも多くのアクティブユーザーがいるとは認識していなかったからである。
 さらに、このkazuyo_kが私であるとTwitter内のユーザーに知られていくプロセスにも驚いた。「ReTweet」という他の人の発言を引用する機能や、津田大介さんのような多くのフォロワーを持つハブとなる人物がささやくことで、私の存在がほんの数十分でTwitter内に伝わっていく様を目の当たりにしたのだ。
 Twitter内のユーザーは利用方法についても手取り足取り教えてくれ、ほんの数日であっという間にTwitter特有のさまざまな概念やツールの大半を理解することができた。その巨大なコミュニティー・ラーニング機能は、今後の可能性を強く感じさせるものであった。
■広瀬香美さんの「ヒウィッヒヒー」祭り
 私がたまたま、親しい友人でシンガーソングライターの広瀬香美さんをTwitterに誘ったことで、日本のTwitterコミュニティーには良くも悪しくも大きな変動がもたらされたと思う。
 広瀬さんはある意味アーリーアダプターとは異質だが、芸能人として多くの人に知られている。そういう知名度の高い人がTwitterに入るとメディアとしての効果をもたらすというTwitterのメディア価値を私たちに教えてくれたからだ。それが7月下旬の「ヒウィッヒヒー」祭りである。
 これは何かというと、「twitter」というロゴの「t」の字がカタカナの「ヒ」に似ていることから、広瀬さんがTwitterを日本では「ヒウィッヒヒー」と呼ぼうと、ユーザーに呼びかけた。それがTwitterユーザーのみならずブログその他に広がり、ウェブ系のニュースでも「一夜にして流行語」と取り上げられたのである。
 このエピソードはさらに「Yahoo! JAPAN」のニュースでも掲載され、私はそのあと数日間、会う人ごとにこの話をされた。この「ヒウィッヒヒー」祭りで、身の回りでもTwitterを始める人がずいぶん増えたのである。
■ブレークが難しい3つの理由
 では、Twitterはこのまま順調に日本でもブレークしていくだろうかといえば、私は必ずしもそうではないと考える。その理由は下記の3つである。
理由1)楽しむにはある程度のITリテラシーが必要
 Twitterを楽しむための環境として、さまざまなアプリケーションやツールがオープンソースベースで開発されている。それはたいへん豊富だが、半面、ユーザー自身がサイトを訪れダウンロードをする必要がある。
 ところが、これはITに詳しくない人にはたいへんハードルが高い。ある程度の知識や経験がないと直感的に理解できないのだ。しかも現在はまだ、技術的にいろいろなものが新しく生まれている最中で、それは技術好きにはとてもうれしい環境だが、一ユーザーとして楽しみたい人には、まだ参入障壁が高い状態にある。
 例えば、先に紹介した広瀬さんだが、私が使っていて実際に使い方を説明する機会がなかったら、おそらく利用しはじめるのはもっと遅かっただろう。それに私は、広瀬さんにはTwitter専用のクライアントソフトを導入してもらいたいのだが、そこまではいっていない。自分でパソコンの環境設定などをしたことがない人は、まだそれくらい難しいらしい。
理由2)意外と難しいコミュニケーション
 自分の考えを140字にまとめたり、オンライン上の知らない人と空気を読みながら会話したりするのは、実は簡単なようで意外と高いコミュニケーションスキルを要求される。
 携帯メールのような制限が多いメディアの利用はコミュニケーションスキルを上げるという研究もあるが、Twitterも同じような制限がある文字だけのメディアだ。その結果、日本のTwitterユーザーの平均年齢は意外に高く、10~20代ではなく、30~40代前半が中心となっている。
 これは海外でも同じようである。現在のユーザーのイメージは、ある程度のITリテラシーがあり、高度な概念を操作に転じられる人といった感じである。また、海外ではユーザーの男女比は同じくらいであるが、日本では7割が男性となっている。
 実際、140字制限で面白いコンテンツを作るのはかなり大変である。広瀬さんの発言がユーザーに受け入れられているのは、もともとの作詞家としての強い言語感覚に、他のユーザーが新鮮な驚きを感じているためだということは特筆すべきだろう。
理由3)類似の競合サービスがすでにたくさんある
 日本でTwitterの女性ユーザー比率が低いのは、他の類似メディアにすでに同様のコミュニケーション欲求を満足させるサービスがあるからだろう。例えば、仲間内のコミュニケーションはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「GREE」や「mixi」、あるいは携帯メールで十分である。著名人が自分のメッセージを伝えるなら、ブログとRSSリーダーで代替がきく。
 以上3つの理由の結果、日本では今のところ、「ある程度リテラシーがある人の直接知らない同士の緩やかなつながり」というニッチマーケットにのみ、Twitterの優位性が見いだされているのである。
■質の高いコミュニティーに期待
 とはいえ、それらの課題は今後克服されていく可能性が高いだろう。例えば、私のTwitterのリテラシーは極めて短期間で「幼稚園児から大学院生になった」と称されるほどだ。本当は偽アカウントを使って練習し、後からできるようになったフリをしているのではないかと疑われたくらいである。
 しかし実際は、Twitter内のコミュニケーションによりユーザー同士の学び合いがおきて、一緒にスキルが上がっていくのである。知らない人同士の緩やかなつながりの中での教え合いという点において、私は20年前に親しんでいた初期のパソコン通信に近い雰囲気を感じる。礼儀正しく、教えあったり、注意しあったり、非常に質の高いコミュニティーになっているのだ。
 この学び合いの環境が機能している限り、新しく入る人にとってリテラシーとコミュニケーションスキルの問題は克服できる可能性があると考える。
 さらに類似サービスとの競合についても、Twitterには同時に同じものを感じることができるリアルタイム性、SNSと違い承認を要さない緩やかなつながり、さまざまな情報が同じプラットフォームに乗る多様性といった、他のメディアにはない特徴がある。例えば先日、東京で大きな虹が出たが、多くの人が虹の投稿をして、みなで感動を分かち合っていた。また、8月1日にはさまざまな場所でみながゴミ拾いを自主的に行い、その報告も共有しあっている。
■生放送の番組からTwitter
 ただ、Twitterがキャズムを超えるには、もっと具体的で尖った特徴ある利用シーンが必要だろう。例えばSNSは、連絡がとりにくい友達とのやや強いつながりの場を提供した。一方、その強さが故に「mixi疲れ」のような言葉も生み出した。
 そうした強力なアプリケーションと利用シーンがなければ、他のサービスからのスイッチングを促すことはできない。それが、虹やゴミ拾いだけでは十分といえず、さまざまな試行錯誤の中から「これ」といったものが登場するのかもしれない。
 私自身もさまざまな可能性を試したいと思い、例えば先日、生放送に出演しながら、CMなどの休憩時間にTwitterを流してみた。これは大きな反響を得ることができたが、こういう使い方がよりフォーマルになっていくとユーザーの幅も広がるだろう。
 キャズムを越えるもう1つの可能性は、ユーザーがダウンロードやインストールなしですぐに始められるトータルパッケージを提供することだろう。
 その点でアップルの「iPhone」には面白い可能性がある。私もTwitterを始めてから、他のユーザーの強い勧めでiPhoneユーザーになったが、確かにiPhoneとTwitterはとても相性がいい。iPhoneなどパソコンより安価な端末を使って、ブログを書くのは面倒だけどTwitterなら楽しめるというユーザーをどれだけ取り込めるかが鍵になるのではないか。
■単体でのビジネスモデルは厳しいが・・・
 Twitterがユーザーを集め、メディアとしてブレークしたとしても、どのようなビジネスモデルを組み立てるかは、また別の問題である。実際、さまざまな競合が存在するなか、Twitter単独でGoogleやヤフー並みに大きくなるのはかなり困難だろう。
 可能性があるのは、私がテレビの生放送で試してみたように同時性を使って既存マスメディアと連動し、そのビューを広告や購買につなげるモデルである。実際、アメリカのケーブルテレビではすでに試行が始まっており、私ももっと正式に、自分の出演するテレビ番組などで試していきたいと考えている。また、自分のオンライン連載をもっているサイトなどでも、つぶやきを表示するようにし始めた。
 繰り返しになるが、Twitter単体のビジネスモデルは厳しく、採算はとりにくいだろう。しかし、Twitterの創業者は、もともとGoogleにブログサービスの「blogger」を売却したメンバーであるから、ある程度アクセスが集まったら、あとの収益化はGoogleのようにネット広告ビジネスをインフラ化した事業者にお任せというモデルになる確率が高いと私は考える。
 そして将来は、私たちがなにかつぶやくと、右側にGmailのような連動型広告が出てきて、それをまた消すようなアプリケーションが出てきて、というようになるのかもしれない。
 いずれにせよ、Twitterのようなサービスは、使いながら初めて新しい可能性が見いだされるものでもあるから、まずは事業提供側が前述のような課題をいかに早く克服するか、そのスピード感が問われる。本当にブレークさせたいなら、他のサービスが追いつく前、すなわち年内には何らかの大幅な改善を期待したい。
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