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日本の情報通信メーカーの業績回復が遅れる理由(COLUMN)
 韓国経済は、2009年4~6月期の実質GDPが前期比2.3%増に回復し、ウォン安による輸出増などで5年半ぶりの高い成長率となった。情報通信大手のサムスン電子、LG電子はいずれも08年10~12月期の赤字転落の後、2四半期連続で黒字を確保し、サムスン電子の営業利益は前年同期比で5%増と、世界同時不況以前の水準に戻した。薄型テレビや携帯電話などの世界的な需要回復の波頭をとらえ、韓国勢が業績回復で日本勢に先行している。
 一方、「エコポイント」による内需喚起で活力を取り戻しつつある日本の情報通信メーカーは、薄型テレビなどのデジタル製品で世界シェアが高いにもかかわらず、なぜ業績回復が遅れているのだろうか。その一因を探るために、日本の情報通信関連機器の輸出入動向を分析してみよう。
■対アジアのデジタル製品の輸出と輸入が同時に増加
 パソコン、通信機器、テレビ・ビデオ、事務用機器など情報通信関連の機器を製造する部門(情報通信関連製造業)における1995年以降の地域別輸出入額を比較してみた。北米や西欧との輸出入額が横ばいまたは低下しているのに対し、アジアとの輸出入額は上昇傾向を続け、特にアジアからの輸入が急増している。なお、アジア域内で国別にみると、中国との輸出入、特に輸入が急上昇している。
 次に、個別のデジタル製品をみてみよう。「ビデオ機器」を例とし、地域別輸出入額の推移をみてみた。輸出では対アジアが急増し、対北米、対西欧と肩を並べる規模になってきているが、輸入では対アジアだけが伸び続けている傾向にある。これを国別にみると、やはり中国からの輸入が急増している状況にある。
 このように、日本とアジアとの間では、デジタル製品の輸出と輸入が同時に増加する傾向がみられる。
■アジア域内での産業内貿易が深化
 なぜ同じ製品なのに、輸出と輸入が同時に伸びる現象が起こるのだろうか。
 国際貿易論では、「産業内貿易」という考え方がある。産業内貿易とは、同一産業内に属する製品が各国間で同時に輸出入される取引を指す。グローバル化が進展し国際分業が複雑化するなかで、アジア域内でこの産業内貿易が増加しつつある。2006年版通商白書によると、デジタル製品を含む電気機械では、部品(中間財)と最終財のいずれもこの産業内貿易が東アジア地域内で増加している。また、これらの産業内貿易は、日本と海外で生産工程を分割する垂直分業が中心であるものの、日本と海外で部品や完成品を相互に取引する水平分業も活発化しつつある。つまり、アジア域内では、
(1)単純で労働集約的な部品を生産して輸出
(2)高度な部品を生産して輸出
(3)高度な部品を輸入し、パーツやロースペックの完成品を組立・加工して輸出
(4)ハイスペックな完成品を生産して輸出
などといった産業内での水平・垂直分業が著しく深化し、技術力や賃金水準などに応じて国際的な分業構造が形成されていると推測される。日本は主として(2)や(4)を担い、ビデオ機器の例でいえば、日本からの輸出は光素子などの高度な部品やDVDレコーダー、ブルーレイ・ディスク(BD)レコーダーなどのハイスペック機器が中心と考えられる。
 国際的な分業が進むということは、デジタル製品の国内生産が輸入に依存する比率が高まるということでもある。日本における主なデジタル製品の国内自給率の推移をみてみると、前述のビデオ機器の国内自給率は2007年時点で28.7%まで低下している。同様に自給率の低いパーソナルコンピューター(パソコン)、電子計算機本体(除パソコン)、電子計算機付属装置でも、アジア地域との輸出入が同時に上昇する傾向が見られる。
■国際分業が進み日本企業は高付加価値品に特化
 デジタル製品の国内自給率は、価格とも密接な関係がある。2000年を100とした場合の2007年の価格指数でみると、ビデオ機器は38.6、パソコンは15.5、電子計算機本体(除パソコン)は24.5、電子計算機付属装置は58.3で、4~8割強の価格低下となる。
 アジア域内の国際分業を構築するうえで、日本企業は前述の(2)や(4)といった高付加価値部分の生産を担うことで競争優位を確保してきた。しかし、賃金格差を武器に生産拠点を獲得して工業化に成功した新興国は、先進国から労働集約的で他産業との結びつきが弱い工業品(部品等)の生産を徐々に獲得しながら、関連する産業の熟度を高め、より技術水準の高い工業品を生産するような発展プロセスをとる。
 その結果、中国などは、前述の(1)や(3)といった低付加価値品の生産で競争力を発揮し、韓国や台湾は日本企業と同様の高付加価値品で競争力を発揮するようになってきた。日本企業は、これらの高付加価値品での価格競争に対処しながら、さらにハイスペックの製品群の生産に徐々にシフトし、利益を確保しようとする。アジア域内の国際分業の深化は、このような形で日本企業の得意としてきたデジタル製品に価格競争を持ち込んだ。
 ここに世界同時不況が発生し、必需性の低いものから支出を削られることとなった。高画質・高機能のテレビから映るだけのテレビへと需要が低付加価値品にシフトし、日本が生産する高付加価値品は、中国や韓国、台湾よりも大きな打撃を受けた。世界的な需要回復の恩恵も、最後に巡ってくることになるだろう。
 しかし、人口減少下で外需に依存せざるを得ず、賃金格差を考えれば高付加価値品に特化するしかないなかで、ほかに良い選択肢があっただろうか。
 「エコポイント」で一息ついている日本の情報通信メーカーは、次の一手をどう打つべきか。米アップルのように追随を許さない高機能品の開発にかけるか、国内自給率をさらに落としてコストを削減し、新興市場向けの低価格品で勝負するか、IBMのようにサービスにシフトするか、それとも大胆な合従連衡に動くのか。いずれにせよ、現在の延長線上に解がないことだけは間違いなさそうだ。



川崎重工、二輪の国内生産縮小…タイに移管
 川崎重工業は22日、中・大型二輪車の生産を2010年度以降、段階的に人件費が安いタイ工場に移管し、国内生産を縮小する方針を固めた。
 先進国が主要な市場である大型車の生産を新興国に切り替えるのは、国内大手では初めて。二輪業界は世界同時不況で販売不振が続いており、最大手のホンダも中型車の生産を国内からタイ工場へ移す検討を始めている。今後、二輪車生産の新興国への移管が広がりそうだ。
 川崎重工は現在、主力の明石工場(兵庫県明石市)で、排気量251cc以上の中・大型車を中心に生産し、タイ工場は小型車と一部中型車を生産している。
 川崎重工は、09年3月期連結決算で、二輪車を中心とする汎用機部門の売上高が前期比22%減の3364億円、営業利益は101億円の赤字に転落した。10年3月期は営業赤字がさらに拡大する見通しで、生産費削減が急務となっていた。



製造業大手、アジアで収益急回復 4~6月、中国けん引
 製造業のアジアでの収益が急回復している。2009年4~6月期の主要30社の地域別損益を集計したところ、アジアなど新興国の営業利益は1~3月期の19倍に伸びた。中国政府などの財政出動の効果で需要が増加した自動車、電機で改善が目立つ。欧州や日本では赤字が続き、北米でも利益水準は低い。企業業績の回復はアジア頼みの構図が鮮明になっている。
 自動車、電機、精密、機械の4業種について、主要30社の4~6月期決算から地域別損益を集計した。「アジアなどその他地域」の営業利益は合計で約2200億円。前年同期比では53%減だが、世界的な需要急減が直撃した1~3月期(約117億円)からは急回復した。連結営業赤字が続くなか、アジアへの依存度が増している。



欧米大手、途上国向けに低価格品 低所得層に照準
 日用品大手の英蘭ユニリーバなど欧米大手企業が発展途上国の低所得層に照準を合わせたビジネスを拡大している。先進国向けの高価格帯商品の需要が先細りするなかで、人口が多く購買力の向上が見込める途上国の低所得者層向けに低・中価格帯の商品・サービスを売り込む戦略だ。同時に所得向上につながる仕事を提供し、貧困削減と新市場獲得の両立を狙う。日本でも経済産業省が8月に研究会を発足させるなど途上国市場開拓の動きが目立ち始めた。
 ユニリーバはインド農村でのシャンプーや洗剤の訪問販売を拡大する。小容量化で低所得層でも買いやすい価格としたほか、販売員に地元女性を採用することで自立支援につなげる。昨年末に約4万5千人だった販売員を2010年末までに10万人に増やし、対象の農村も10万超から50万カ所に拡大する。同社のインドでのシャンプー売り上げの5割を農村での販売が占める。



「テレワーク」1千万人に 国交省推計
 インターネットなどの情報技術(IT)を活用し、本来の職場ではない自宅や取引先などで働く「テレワーク」に週8時間以上従事している人が、平成20年度で就業者の15・2%、約1千万人に達していると推計されることが22日、国土交通省の調査で分かった。
 就業者に占めるテレワーカーの比率は17年度の前回調査から4・8ポイント上昇。1千万人のうち330万人は短時間でも自宅で働く「在宅型」とみられる。同省は「ブロードバンドや携帯端末が急速に普及し、在宅勤務を取り入れる企業も増えたため」と分析している。



日経社説 レアメタル確保へ備蓄・開発の強化急げ(8/23)
 経済産業省は希少金属(レアメタル)の安定確保に向け、備蓄やリサイクル、資源開発などを柱とする強化策をまとめた。ほぼ全量を輸入に頼るレアメタルはハイブリッド車、電気自動車など日本の成長を担う製品に欠かせない。新戦略も十分とはいえず、一段の強化を求めたい。
 ここ数年で需要が急増したレアメタルには、液晶テレビに使うインジウムや発光ダイオード向けのガリウム、ハイブリッド車の駆動モーターをはじめ高性能磁石原料の希土類などがある。
 ネオジムなど希土類と呼ばれる鉱物の産出は、中国が世界の97%を握る。しかし中国は鉱石の輸出を抑制し、自国で付加価値の高い製品にする戦略を進める。輸入が不足すれば自動車だけではなく、パソコンのハードディスク駆動装置(HDD)、洗濯機など高性能磁石を使う幅広い製品に影響する。
 だが1983年に始まった希少金属の備蓄制度は、鉄鋼生産に使う7金属を対象にしており、コバルトも最近の需要変化でリチウムイオン電池などの比重が高まったにすぎない。産業構造の変化や省エネルギー型商品の成長に合わせ、対象品目の見直しと備蓄量の拡大は急務だ。
 経産省の強化策は、インジウムとガリウムを備蓄対象に加えたものの、希土類や自動車の排ガス処理触媒に使うプラチナなどは検討品目にとどまる。地球環境に配慮した自動車や家電製品を経済成長のけん引役と位置づける一方で、政府は生産の根幹を揺るがしかねない資源不足への危機感が足りない。
 中国は希少金属など資源備蓄の目的を「国家非常事態に備える」とし、企業買収などで海外の権益確保も急ぐ。だがインジウム消費の世界シェアが8割に及ぶ希少金属の輸入大国でありながら、日本の確保戦略は甘さが否めない。民間企業がどれだけ保有しているのか、在庫統計さえない金属が多いのは問題だ。
 住友商事がカザフスタンでウラン鉱石から希土類を取り出す事業に参入するなど企業主導で資源確保の動きは進む。ただ市場規模が小さい割に投資額は大きく、地政学リスクも負う希少金属の資源開発に政府支援は欠かせない。
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