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新春インタビュー:NTTドコモ 辻村氏に聞く2 新たな10年で変わるモバイルビジネス
 モバイルIT業界が大きな転換期を迎えた2010年。これから日本のモバイル業界が向かうべき道はどこなのか。引き続き、業界のキーパーソン、NTTドコモの代表取締役副社長 辻村清行氏に聞く。
-2010年以降のモバイル業界のトレンドはどのようになっていくと予測されていますか。
辻村氏 いくつかのトレンドがあるとは思いますが、その中で重要なのは「ユーザーを取りまくスクリーン」をどう捉えるか、です。
 これまで「テレビ」「PC」「ケータイ」が(ユーザーの周りにある)3大スクリーンだったわけですが、私はここに「デジタルフォトフレーム」と「カーナビ」が重要なスクリーンとして加わると考えています。
 まず、デジタルフォトフレームですが、これは9~10インチのサイズで、単なるアルバム代わりだけでなく、(モバイル通信を通じて)ネット上のさまざまなコンテンツを表示したり、タッチパネルを搭載して電話などのコミュニケーションサービスを利用するような用途も考えられます。それは1つの(ネットサービスの)ウィンドウになり、ケータイの3インチ画面の小ささを補う存在になるでしょう。
 そして、カーナビは言うまでもありませんが、クルマでの(ユーザーの)移動を支えるという点で重要なスクリーンになります。
-今までは3スクリーンだったものが、5スクリーン時代になる、と。
辻村氏 そう、5スクリーンです。そして、それらはFTTHや3Gによってインターネットにつながり、クラウドサービスで連携していきます。
-そのような時代に、ドコモはどのようなビジネスやサービスを考えるのでしょうか。
辻村氏 こうした複数の端末を利用する時代になると、UIやパーソナルデータの同期がとても重要になります。個々の端末でサービスのUIが異なったり、電話帳や写真などのパーソナル情報がバラバラに管理されていたりしたら、ユーザーにとっては使いにくいですよね。
 そう考えますと、このようなマルチデバイスの環境で、いかに使いやすいクラウド型のサーバサービスを提供するかが重要になります。ここがドコモの仕事として大切になっていくのです。
-通信インフラのサービスだけでなく、ユーザーのパーソナルデータを預かったり、通信メディアや端末の違いを超えてデータやサービスを連携させる領域に踏み出す、ということですね。
辻村氏 そのとおりです。LTE時代になれば、サーバ側に多くのデータやコンテンツを保管し、ユーザーはそれをTPOに合わせてさまざまな端末から利用できるようになります。そう考えますと、モバイルのインフラをしっかりと構築しつつ、そういった(マルチデバイスが)連携する仕組みも作らなければなりません。ユーザーが5スクリーンのどの端末を使っても操作感が統一されており、パーソナルデータの同期がしっかりと取れている必要があります。
-まさしくクラウドの世界ですね。そこで重要になる要素は何でしょうか。
辻村氏 やはり確実で安全なユーザー認証技術ですね。そこで鍵になるのは、携帯電話の認証情報だと考えています。お客様が1人ずつ持っている回線契約に紐づく形で個人認証を行うのです。携帯電話は究極の個人認証番号を持っており、(その認証情報は)なりすましや不正利用ができません。ここがマルチデバイス時代における携帯電話キャリアの強みになっていくでしょう。
-マルチデバイス以外に、今後のモバイルビジネスで重要になる分野とはどのようなものでしょうか。
辻村氏 そうですね。まず最近話題のAR(拡張現実)は、今後さらに重要な分野になっていくでしょう。しかし、ここで重要なのは、ARは「広義のAR」と「狭義のAR」に分けて考えるべきだということです。
 狭義のARは、ドコモでいう「直感検索」や「直感ナビ」のように、携帯カメラで撮影した映像にデジタルタグの情報が重なり合うようなものです。これはARの歴史では、とてもクラシカルなものですね。ビューワー的なARとでも言いましょうか。
-iPhoneなどで展開されている「セカイカメラ」もその範疇ですね。では広義のARとは?
辻村氏 広義のARは、現実空間の「見える部分」だけでなく、ユーザーの実空間での行動そのものを補強・強化していくものです。例えば、おサイフケータイやiコンシェルで、ユーザーの行動履歴を通じて提供される情報の最適化や選別を行う。これもまたARなのです。
-なるほど。実空間での行動を、サーバから提供されるコンテンツやサービスが支援する。これが広義のARというわけですね。しかし、そう考えますと、2004年のおサイフケータイ登場以降のドコモの取り組みの多くが、この広義のARに向かっていると言えそうです。
辻村氏 まさにそれを言いたいのです(笑) もちろん、直感検索・ナビのようにビューワー型のARも今後さらに進化し、さまざまなビジネスのチャレンジが起きるでしょう。しかし、実空間を補強するというARの本質的な可能性で考えますと、そういったビューワー型のサービスだけでなく、もっと広くARの可能性を捉えておいた方がいいと思います。ドコモはビューワー型のサービスにも取り組みますが、(おサイフケータイやiコンシェルを通じて)これら広義のARの開発に注力していきます。
-いよいよ2010年になり、新たな10年期が始まります。これまでの10年は1999年のiモード開始を受けた「iモードの時代」だったわけですが、次の10年はどのような時代になるとお考えですか。またモバイルIT業界はどのような姿勢で、この新たな時代を迎えるのでしょうか。
辻村氏 いくつか重要な視点があります。
 まず、1つは“ネットワークを流れる情報量が爆発的に増えている”ことです。コンテンツやコミュニケーションのリッチ化が進んでおり、トラフィックの指数関数的な伸びは止められません。ですから、この爆発的に増えるデータ通信量をしっかりと受け止めるネットワークや周波数管理が必要で、それを実現するのがLTEです。LTEによるモバイル通信インフラの強化は不可避で、ドコモはこれを確実に行います。そして、LTEの立ち上げによって、クラウド型サービスやコンテンツサービスの世界観が大きく変わり、(モバイルインターネットのビジネスやサービスは)一歩先に行くことになるでしょう。
 2つめは“リアルとの連携”です。おサイフケータイやiコンシェルはまさに代表的なものですが、今後(のモバイルビジネス)はリアルの事業者との連携が重要になっていきます。それにより広義のAR分野が開拓され、実空間とネットの世界が密接に結合していきます。これは2010年以降のモバイルビジネスにおける大きな特長になるでしょう。
 そして3つめが“グローバリゼーション”ですね。例えばドコモでは、フランスやインドでiチャネルを提供したり、欧州で電子コミックの事業に取り組むなど、海外との連動を重視した施策をとっています。これからは日本で培ったモバイルビジネスの要素を、グローバルに展開できるチャンスなのです。
 そこではiチャネルのようなシンプルなものもあれば、将来的にはおサイフケータイやiコンシェルといったものも考えられます。海外のスマートフォンやモバイルフォンの市場構造は、日本市場に近づいてきているのです。ですから、今まで日本でやってきた取り組みを、先行優位性を捉えて、その上で構築したビジネスやサービスの「どれを海外で展開していくか」という考え方が重要になってきます。
-日本の先行性を海外市場とどのように連動させるのか。その手綱を取ることが重要になりそうですね。
辻村氏 そうです。そこで重要なのは、日本のモバイル業界はこの10年で(独自の発展という)先行優位性を持っているということです。そのノウハウを、中国やインド、台湾をはじめとするアジア諸国や、欧米市場で、現地のパイプ(通信インフラや端末)を使って現地のビジネスとして提供する。コンテンツやアプリケーションの海外展開は十分に可能性がありますし、ドコモとしてもそれをサポートしていきたいと考えています。
 コンテンツやモバイルサービスの先行性や優位性は明らかなので、日本のモバイルIT業界は海外市場と向き合う姿勢が大切です。この(海外進出の)動きはドコモも支援していきます。



新聞社系ポッドキャスト 採算合わず相次ぐ撤退(COLUMN)
5年ほど前から話題を呼んできたポッドキャスティングが、曲がり角を迎えつつある。ポッドキャスティングでニュース配信に取り組んできた中では「老舗」とも言える読売新聞社が撤退を表明したのだ。採算が合わないことが大きな理由とみられるが、有料化に舵を切り、活路を見いだしているケースも見られる。
インターネット上に公開されている音声ファイルを携帯オーディオプレーヤーにダウンロードして聴く「ポッドキャスティング」の名前が広まったのが2005年頃。既存の番組を容易に流用できるラジオ局に続いて、新聞各紙も、相次いで参入した。
「聴く日経」は採算ベースには乗る
読売新聞社では、05年10月、新聞記事の内容を吹き込んだものを平日朝に配信するサービスを開始。日経新聞でも、06年4月、関連会社の「ラジオNIKKEI」が同様のサービス「聴く日経」をスタートした。
ところが、「老舗」であるはずの読売新聞が、09年12月になって、12月29日を最後に、サービスを休止することを発表した。この理由が、
「最近の経済情勢を受けて事業の見直しを進める中で、当初の目的は達成できたと考えた」
というもの。事業が採算ベースに載らなかったことが背景にあるとみられる。
他社に目を転じても、苦戦している様子だ。
毎日新聞では、英字紙「毎日ウィークリー」の記事からコラムや英会話のレッスンを抜粋して配信する程度にとどまっており、事実上日本人読者のアクセスは望めない状況だ。また、朝日新聞では、06年に週刊朝日の山口一臣編集長が、取材の裏話などを披露する番組の配信をスタートしていたが、いつの間にか番組ページが消滅。遅くとも08年初頭には、サービスを終了したものとみられる。
一方、独自の展開で生き残りをかける社もある。
例えば前出の「聴く日経」は、無料だったコンテンツを09年4月から有料化(月額525円)。オーディオブックの制作を手がけ、「聴く日経」の配信を行っているオトバンク(東京都千代田区)によると、無料で利用していた人のうち、有料化後も10%が利用を続けているという。同社では、
「利用者は5000人を超えており、十分に採算ベースには乗っています。30代後半~50代前半の幅広い層にご利用いただいています。広告モデルでの運営が厳しい中での成功事例のひとつなのでは」
と話している。
動画の「産経新聞コレクション」も苦戦?
音声ではなく、動画配信を試みる社もある。産経新聞では、同社のブログ「iza!」の中に、「産経新聞コレクション」として、記者会見などの動画を掲載。「.wmv」という形式のファイルをダウンロードして、携帯ビデオプレーヤーで楽しめるようになっている。ただし、この「産経新聞コレクション」09年10月までは、ほぼ毎日更新されていたのだが、11月の入ってからの更新は、わずか1回。やはり、苦戦している様子だ。
これ以外にも、中国新聞(広島市)が「音声ニュース」として同様のサービスを行っているが、各社とも「ニュースを読む」という形でのサービスは、見直しを迫られる可能性もありそうだ。なお、前出のオトバンクによると、ポッドキャスティングでは、最近は「ノウハウ本、一般教養、文芸」(の内容を吹き込んだもの)が売れ筋なのだという。
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