(ノ゜Д゜)ノホレホレ新聞

LTE導入機運、世界の情勢は? NECの宮原主席技師長に聞く
 2月15日にスペイン・バルセロナで始まったモバイル業界の国際会議「Mobile World Congress 2010(MWC 2010)」の目玉の1つは、次世代携帯規格「LTE」関連の展示だ。日本でもNTTドコモが2010年内にサービスを始めるが、日本はかつて第3世代携帯電話(3G)規格の「W-CDMA」が出始めたとき、突出して導入を進めたために世界と歩調がずれたという苦い経験がある。LTEの世界での導入状況はどうなっているのか。NECの宮原景一モバイルネットワーク事業本部主席技師長に話を聞いた。
■欧州は2グループに分かれる
――W-CDMAでは日本と世界で開始時期にかなりの差があった。LTEではどうか。
 海外では、W-CDMAのとき以上に温度差が広がっているかもしれない。理由はいくつかある。
 まず、海外では3Gでのデータ通信サービスが普及しきっていない。日本ではNTTドコモやKDDIが率先してネットワークを整備したこともあり、データ通信が日常的に使われている。ところが海外ではデータ通信のトラフィックのうち、6~7割はまだテキストベースのSMS(ショート・メッセージ・サービス)だ。残りは主にパソコンでのモバイル通信に使われている。最近は北米を中心に「iPhone」のようなブローバンド通信を前提とした機器が増えているが、欧州ではまだようやく広がり始めた程度に過ぎない。
 そのため、LTEの導入を「投資に見合うだけのリターンはあるのか」と不安視している通信事業者が多い。欧州では2012~13年の段階で、いち早くLTEを導入する事業者と、3Gを使い続ける事業者という2グループに分かれそうだ。
――ほかにも理由があるのか。
 日本にも言えることだが、LTEの利用に有効な周波数帯が空いていないという事情がある。ある程度の周波数帯域幅を使えば100Mbpsの速度を出せるというが、すぐに使える周波数帯がある国は限られている。仮に空き帯域があっても、周波数オークションで落札するには多額の投資が必要になる。その投資に見合う回収ができるのかと躊躇する通信事業者が少なくない。
――日本でもLTEに割り当てられた周波数帯域はかなり狭く、このままではLTEの実力を引き出せそうにない。LTEの技術仕様を生かすだけの周波数帯域の確保は世界的にもかなり難しいのか。
 日本も難しいことは変わりないが、今後は(第2世代の)PDC方式で使っている帯域が空いてくるので状況は改善する。しかし、欧米ではこの先10年、GSM方式のサービスが終了することは考えにくく、周波数帯域を別に確保しなくてはならない。最近はWiMAXが使っている2.5GHz帯や3.5GHz帯をLTEに活用するシナリオを検討している。このほか700MHz帯や400MHz帯なども候補になっているようだ。
■先頭集団はNTTドコモなど3社
――LTEではなく、HSDPAからHSPA+へとW-CDMAを高速化する路線を進める通信事業者も一部にはいる。
 既存の設備を拡張していくシナリオ、つまり、「W-CDMAからHSDPA、さらにHSPA+という進化は効率がいい」と通信事業者を説得する機器メーカーが多い。しかし投資額をトータルで見れば、LTEに一気に進む方が安くなるはずだ。欧米企業は四半期ベースの収益を気にするので、(一度に多額の投資が必要ない)HSPA+を選択する事業者が多くなる。
――NTTドコモは3G導入時の反省を踏まえ「先頭集団の中でLTEを推進する」と話している。機器メーカーから見て、今はどの通信事業者が先頭集団を走っているのか。
 10~11年の時点では、NTTドコモ、米ベライゾン、KDDIといった顔ぶれではないか。商用サービスとなるとこの3社になる(KDDIは12年にLTEのサービスを開始する予定)。ほかの通信事業者はトライアルとしていくつかの都市で導入しているが、その後にきっちりと商用化してくるかは見えてこない。
 3Gを早く導入したからといってLTEもいち早く開始するとは限らない。実際、英ボーダフォンは世界で早期に3Gを展開したが、LTEでは足踏みをし始めた。
――海外ではベライゾンを中心にLTEに音声通話を載せる「one voice」という仕組みが検討され始めている。この動きをどう見ているか。
 欧州はGSM網を持っていて、3G網にも投資している。しかし、音声通話ではGSMであろうと3GやIP電話であろうと音質はあまり変わらない。このためLTEにまで同じように音声サービスを搭載しても意味がない、と否定的なキャリアが多い。
 しかし、既存のネットワークが逼迫しているためLTEに本格移行したいと考える通信事業者もいる。彼らはいずれLTEをデータ通信にも音声通話にも使うという考えを持っているようだ。欧州や中国では、当初はLTEをデータ通信に特化させ、普及が進めば音声通話もLTEに移して既存のネットワークを巻き取るという戦略もあり得る。
■中国メーカーが脅威な理由
――中国では「TD-LTE」という規格の準備が進んでいる。
 チャイナモバイル(中国移動)の動きには注目している。TD-LTEでサービスを提供するというが、中国でユーザーが増え設備投資が進んでいくと、劇的にコストが下がる可能性がある。中国は3Gでは独自仕様だが、LTEではその状況が変わってくる恐れがある。
――TD-LTEと既存のLTEに技術的にどれくらいの差があるのか。
 無線の世界から見ると、極端な差異はない。FDD(周波数分割複信)方式のLTEを作れば、8割ぐらいTDD(周波数時分割複信)方式のLTEを作ったのと同じことになる。
――ファーウェイやZTEなど中国の機器メーカーの台頭をどう見ているか。
 MWCの「ホール8」(世界の大手企業が集う主要会場)の奧はかつてはエリクソンやノーテル、ノキア、シーメンス、アルカテルといった欧米大手のGSM陣営が軒を連ねた一等地だった。しかし、今年は様子が違っている。彼らが一等地からいなくなり、韓国サムスン電子やZTE、ファーウェイが陣取っている。
 特にファーウェイはかなり前から様々なビジネスを展開している。10年前は横目で見ていたが、最近は着々とユーザーを増やし、多くの国に市場を広げている。同じやり方を真似はできないが脅威に感じている。
――同じ機器メーカーとして彼らの凄さはどこにあるのか。
 技術力で、日本メーカーは負けていない。最も大きく違うのは財力と政治力だろう。機器を通信事業者に納入したあとは数カ月後に支払いを受けるのが一般的だが、ファーウェイは全額ではなく何年かの分割で受け取るようにしている。メーカーが通信事業者に融資している格好になる。中国企業の背後に政府系銀行がついていて、そういった融資をしているようだ。それをやられるとなかなか対抗するのは難しい。
――LTE時代に向けて、NECは世界でどうやって存在感を示していくのか。
 3Gの時は、NTTドコモ向けに機器を投入したという先行優位性を海外展開に生かしてきた。しかし、LTEは導入がゆっくりになるという前提に立つと、先行優位性だけでは勝負できない。インフラだけでなく、通信事業者がLTEを活用するために、パートナーとしてソリューションを提供していく。
 NTTドコモやKDDIは自分たちですべてを開発できるリソースがある。しかし、海外通信事業者のほとんどは技術陣が少なく、自社ではサービスを開発できない。NECとしては、通信事業者がLTEでクラウドコンピューティングやクラウドサービスを導入できるよう手伝う考えだ。LTEやWiMAXなどのインフラにITとソリューションを組み合わせて海外展開を進めていくつもりだ。



DVDバブルが崩壊、頭を抱える映像ソフト業界――音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル(COLUMN)
 販売用DVDも売り上げは減り続けている。日本映像ソフト協会によると、2009年は1568億円(速報値)と05年のピーク時から4割減少した。
 市場が縮小している最大の理由は洋画の不振にある。DVDの売り上げは劇場での興行収入とほぼ連動するが、劇場での洋画離れは深刻。
 日本映画製作者連盟によると、洋画の興行収入は02年の1434億円をピークに減少。09年は887億円まで落ち込んで、それと歩調を合わせるように新作DVDの販売減が続いている。
 「03~05年はバブル的な雰囲気があった」(日本映像ソフト協会の上田直子管理部次長)という指摘もある。その引き金となった要因の1つが、過去の作品(旧作)の廉価版の存在だ。
 02年ごろからワーナー・ホーム・ビデオなど米ハリウッド系のビデオ会社が「期間限定」で旧作を大幅に値下げするキャンペーンを多発。1本500円で買える作品が登場するなど各社が価格競争を繰り広げ、それに消費者も食いついた。
 ところが、旧作の購入が一巡すると値段を下げても売れなくなり、バブルはあっけなく崩壊。新作の低迷も重なって、洋画は冬の時代に突入したのだ。
深夜アニメ制作減少の打撃
 日本を代表するコンテンツであるアニメ産業も、DVDの苦戦に頭を抱えている。特に厳しいのが、深夜に放送される一般向けアニメのDVD作品。
 アニメ放映の5割超(制作時間ベース)は深夜帯が占めている。「不況で財布のひもは固い。2~3年前は萌え系、ロボット系ならどんな作品でも売れていたが、今はお客さんが作品を選別するようになった」(アニメ制作会社幹部)。動画投稿サイトなどを使った違法配信の問題もあり、事業環境は悪化する一方だ。
 実は、深夜アニメは収益の大半をDVDに依存している。ビデオ会社はテレビ局におカネを払って作品を放送。知名度や人気を高めたうえでDVDを販売し、投資を回収する仕組みだ。つまりDVDが売れないと、大きな損失を被ることになる。
 加えて厄介なのは「作品制作そのものが難しくなる」(同)こと。
 アニメの制作費は1話30分で1000万~1300万円といわれ、放送枠の購入費用も上乗せになる。そこで、リスク分散すべく「制作委員会」方式が使われる。出版社や制作会社、映像ソフト販売会社、玩具メーカーなど広く出資者を募って制作費に充て、出資比率に応じて収益を分配する方式だ。
 だが、深夜アニメはことのほかニッチな市場。収益が期待しづらいとなれば、たとえヒットの可能性がある作品でも、出資者が集まらない。
 「持ち込まれる企画の数が数年前の半分近くに減った」と、あるテレビ局の幹部は渋い顔で話す。
 巡り巡って、深夜アニメDVDの販売低迷はテレビ局をも苦境にさらす。視聴者の少ない深夜帯に、制作費をかけずスポンサー収入が得られる実入りのよい商売なのだ。企画の持ち込みが減らないように、放送枠を値下げするなど対策を打った局もあるが、その効果は不透明だ。
ブルーレイへの期待は大きいが…
 DVDの縮小が続く中、業界関係者はブルーレイ(BD)の普及に期待をかける。09年の売り上げは前年比2.5倍増の227億円と、ようやく市場が立ち上がりつつある。
 その一方で、「(画質やメディアのサイズの小ささなど)VHSからDVDに変わったときほどのインパクトはない。単にDVDがBDに置き換わるだけで、市場が再び盛り上がるのかは疑問」(前出のアニメ制作会社幹部)という冷ややかな声が聞こえてくる。
 違法配信の対策もメドは立っておらず、映像ソフト産業の先行きは依然として厳しそうだ。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:moblog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

(#゜Д゜)/英字新聞( ´゜д゜`)新聞 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。