ヾ(゜Д゜)ノ"新聞

任天堂・岩田社長 無料ゲームとは「競合しない」
 任天堂が6日発表した2010年3月期の連結決算は、純利益が前期比18%減の2286億円となった。今期も据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」の販売台数減少などで減収減益の見通しだが、大阪市内で記者会見した岩田聡社長は「勢いのあるソフト1つで変わる」と保守的な予想であることを強調した。米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」などが提供する無料ゲームについては「競合しない」との認識を示した。決算会見での主なやりとりは以下の通り。
 ――2期連続の減収減益予想になります。
 「Wiiの販売が減るのは(普及が進み)簡単には買ってくれない層にまで(販売の対象が)広がっているためだ。ただ3、4月は世界で昨年より勢いがある。今年は5月末から6月初めに『スーパーマリオギャラクシー2』が出て、その後もソフトの発売が続いていく。勢いのあるソフトが出せるかで状況は大きく変わる。4年目に入る据え置き型機で1800万台という販売目標は決して少ない数字ではない」
 ――今期中に3次元(3D)対応の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(仮称)」を発売します。
 「従来のニンテンドーDSと大きくターゲットは変えない。そもそもゲーム人口の拡大を目指す任天堂にはターゲットを絞り込むという発想がない。対応ソフトは6月中旬にロサンゼルスで開催するゲーム展示会『E3』でいくつかお見せする」
 ――既存のDSの買い控えが起こる可能性は。
 「現在、DSを買っている客は今やっとDSに興味を持ち買っている人なので影響は限定的だろう。国や地域により移行に差は出るが、3DSと普通のDSはしばらく併売していく形になるだろう」
 ――新興国市場の開拓方針は。
 「米欧市場はまだまだ余地があるが、いずれ頭打ちになる。人口の多い新興国でも拡販したいが、娯楽は必要不可欠なものではないので、その国の人たちが受け入れるツボを見つけてアピールしないとだめだ。今期はここ、次の期はここという形でやっていく」
 ――iPhoneやiPad(アイパッド)などゲームが楽しめる携帯端末は競合になりますか。
 「存在として異質で競合とは思っていない。他社は多機能の端末でゲームもできると言うが、任天堂はゲームありきでハードをつくっている。他社と比べてどうこうしていくのではなく、客が飽きる前に任天堂がユニークなことを提案できるかが重要だ。むしろ客に時間とお金を使ってもらえる、あらゆるおもしろい娯楽がライバルだ」
 ――4月末に米グーグルと共同開発したソフトを発売した。グーグル以外とも協業を進める考えは。
 「客の『飽き』のスピードは年々早まっている。スピード感のある展開が必要だが、社内だけでできることは限られているし得意分野も会社ごとに異なるので、協業は積極的にやっていく」



ゲームコンテンツ争奪戦激化 ハードの垣根超え
 世界のゲームビジネスの競争軸は様変わりした。米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」でゲームを楽しむ人が増えているほか、人脈サイト(SNS)最大手の米フェースブック向けのゲーム開発も勢いを増している。日本勢が強みとしてきた「ゲームはゲーム機で」とする従来の垣根は崩れ、顧客の争奪戦は激しさを増すばかりだ。
 急成長を続けるiPhoneの累計販売台数は5000万台を突破し、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の携帯型ゲーム機の出荷台数(昨年末時点で約6000万台)に迫る。iPhone向けソフト配信サービス「アップ・ストア」には20万種類近いソフトがそろい、累計ソフト配信は40億件以上。ランキング上位には、ゲームソフトがずらりと並ぶ。
 ゲーム機のライバルは、iPhoneだけではない。SNS最大手のフェースブック向けには4億人を超える利用者を目当てに、米ベンチャーなどが相次ぎゲームを開発する。国内でも、携帯向けSNS大手のディー・エヌ・エー(DeNA)などがゲーム開発者との連携を進める。
 テレビ画面の前で家族全員が遊べる家庭用ゲーム機には、携帯やパソコンには無い強みもある。「ゲーム機ならでは」の楽しさをいかに提案できるかが、生き残りのカギを握りそうだ。



<Wii>7000万台突破でファミコン抜く 任天堂家庭用ゲーム機で
 任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」の出荷数が7093万台となり、同社の「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」を抜いたことが6日、同社の決算発表で明らかになった。
 Wiiは、従来のコントローラーとは異なり、専用リモコンを使った直感的な操作が特徴のゲーム機。スポーツを楽しむ「Wiiスポーツ」シリーズの最新作「Wiiスポーツリゾート」が世界で1614万本、健康ソフト「Wiiフィット」シリーズの最新作「Wiiフィットプラス」が1265万本を出荷している。
 任天堂は、携帯ゲーム機「ゲームボーイ」と「ニンテンドーDS」でいずれも1億台を突破しているが、据え置きの家庭用ゲーム機ではこれまで「ファミコン」の6191万台が最高だった。



NY株、一時最大の下落 1万ドル割れ
 6日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、欧州の信用不安がギリシャから他国にも拡大するのではないかとの懸念が広がって一時暴落し、大台の1万ドルを割り込んだ。下げ幅は一時1千ドルに迫り、ダウ平均を算出するダウ・ジョーンズ社によると、2008年9月のリーマン・ショック後の下落幅を上回って過去最大となった。
 財政危機のギリシャでこの日、財政緊縮策に関連する法案が可決されたものの、デモなど社会的混乱が続いていることや、ポルトガルなどでも資金繰り不安が浮上していることを嫌気。朝方から幅広い銘柄で売られ、午後に入るとパニック売りの様相となり、下げ幅は一時1千ドル近くまで拡大した。その後は下げた銘柄への買い戻しが入り、下げ幅は縮小した。
 またニューヨーク外国為替市場ではユーロが急落。対円では一時01年12月以来の円高水準となる1ユーロ=110円台をつけた。米株安につられて円高ドル安も加速、一時、今年1月以来となる1ドル=87円台まで円高が進んだ。



地デジ関連製品、海外普及へ連携 総務・経産省やメーカー
 地上デジタル放送に対応したテレビや携帯電話などを海外市場で普及させるため、総務省や経済産業省、電機メーカーなどが情報交換で連携する。ブラジルなど南米諸国では地デジの日本方式の技術規格が採用されているにもかかわらず、テレビなど対応製品の普及では日本製品は韓国勢に押されており、官民で対応策などを協議する。
 総務省・経産省のほか、外務省と日本貿易振興機構(ジェトロ)、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行、電機メーカー、放送事業者などが参加する。関税障壁や現地市場の動向、地デジの普及計画などの情報を交換し、日本製品の拡販策を探る。
 南米では6カ国が地デジについて日本方式の導入を決め、ブラジルとペルーで放送が始まった。放送設備は日本製が採用されているが、テレビや携帯電話はサムスン電子やLG電子などにシェアを奪われている。



所得税収、27年ぶり低水準へ 09年度、13.4%減
 国の税収が低迷を続けている。財務省が6日発表した3月の税収実績によると、2009年度初めからの一般会計税収の累計は前年に比べ17.2%減の28兆9681億円となった。世界的な金融危機の影響などで、法人税が6割強の減収となったうえ、所得税収も13.4%減と大幅に落ち込んだのが主因。所得税収は09年度累計が約27年ぶりの低水準となることがほぼ確実となった。
 09年度の税収実績は4月に納税される確定申告分の所得税収や、3月期決算企業が法人税を納める5月分の法人税収などを累計したうえで7月ごろに判明する。政府は09年度当初に約46兆1030億円としていた税収見積額を昨年12月に約36兆8610億円に減額修正していた。最終的な税収実績は、一般会計税収に確定申告分などが加わるため、財務省は「(見積額の達成に向けて)順調に進ちょくしている」(主税局)とみている。
 主な税目の内訳をみると、所得税収は3月末までの累計で10兆9910億円となり、前年3月末時点の累計に比べると13.4%減少した。所得税は3月に確定申告した分が4月に預貯金口座から振替納税されるため、1兆円規模の追加税収が見込まれる。それでも最終的な09年度の所得税収は、1982年度(12兆8000億円)以来、27年ぶりに13兆円を下回るのが確実な情勢だ。
 景気動向に左右されにくいとされる消費税収は同5.0%減の6兆9673億円。法人税収は世界的な金融危機に伴う企業収益の悪化で同63.7%減の2兆4018億円にとどまった。
 所得税を巡っては政府税制調査会の専門家委員会からも「税収調達機能が低下している」(神野直彦委員長)との声が出ている。国が直接税と間接税の比率を見直すため、所得税率の累進性を緩和し、87年に70%だった最高税率を40%まで下げてきたことが税収減の背景にあるとの指摘だ。
 鳩山由紀夫首相は2月に最高税率を引き上げて高所得者への課税を強化する姿勢を表明しており、今後の税制改正でどこまで見直しが進むかどうかが焦点となる。



ユニクロまで不振 天候不順で春夏衣料低迷
 今春の予期せぬ天候不順が、春夏衣料の販売に影を落としている。高島屋や三越など大手百貨店4社の4月の既存店売上高は気温低下による春物衣料の不振の影響で、全社が前年同月を下回った。6日に発表した“勝ち組”ユニクロの4月の既存店売上高も、前年同月比12・4%減と2カ月連続で大幅減だった。ただ、5月に入り気温が上昇していることから「客足、売り上げともに復調が見込める」(高島屋)と期待をかけている。
 大手百貨店4社の4月の既存店売上高は、2・0~13・5%減だった。例年に比べて雨の日や気温の低い日が続いたため、ワンピースや薄手のジャケットなど春物・初夏向けの衣料品が振るわなかったことが大きく響いた。
 不振を極めていた百貨店業界は、今年に入り売り上げが回復の兆しを見せ始めており、3月以降、宝飾品の売り上げが前年を上回るケースも出ていた。だが、そこに低温多雨という逆風が吹き、「春夏衣料の最盛期であるはずの4月が低調のままだった」(三越伊勢丹ホールディングス)。
 一方、ファーストリテイリングが6日発表したカジュアル衣料店「ユニクロ」の4月の国内販売実績(速報)も、既存店売上高(666店舗)が前年同月に比べて12・4%減となり、2カ月連続で前年実績を大幅に下回った。百貨店同様、春夏衣料の販売の伸び悩んだ。
 ただ、5月に入って気温が急上昇し、春夏衣料の販売が動き始めた。高島屋は「婦人服は前年同期比2けた増。予断は許さないが、手応えはいい」(広報・IR室)という。
 一方、ユニクロも6日、ブラジャーとカップを一体化した春夏向けのカジュアルウエア「ブラトップ」の新商品を発表。大笘直樹取締役COO(最高執行責任者)は「天候が本来の季節感を取り戻せば、消費者も開放的になってくる」と期待感を示した。



「デフレ23年度も」「参院選争点は消費税」 エコノミストアンケート
 産経新聞がエコノミスト10人に実施した景気アンケートで、景気は着実に上向きつつあるものの、来年度もデフレが続くとの見通しが大半を占めた。一方、今夏に迫る参院選の争点としては、消費税の引き上げを含めた財政再建を挙げる声が目立っている。
 国内景気は「回復途上」(バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミスト)との見方が大勢を占めた。先行きについても「製造業主導の回復が内需に及ぶ」(野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコノミスト)などと回復のすそ野が広がるとみる声が出ている。
 逆に厳しい声もあり、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員は、今後について「個人消費や公共事業の減少」などを指摘。このほか政府の景気対策効果が一巡する可能性もあり、日本総合研究所の藤井英彦調査部長は「4~6月期以降は減速する」と答えた。
 景気の先行きに不透明感を与えている大きな原因がデフレの長期化だ。全国消費者物価指数の前年度比の伸び率を予想してもらったところ、平成22年度は全員がマイナスと答えた。23年度もプラス予想としたのは10人中わずか1人で、23年度中にプラス転換すると予想する日銀と同じ見方は極めて少数にすぎない。
 デフレの脱却時期についても、早ければ23年度とみるのは3人だけで、早くても24年以降と答えたのが6人。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「需給ギャップが解消されない限り、物価上昇に転じるには時間がかかる」と分析している。
 景気回復とデフレ脱却に必要な要素については、大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストが「政府(の財政政策)と日銀(の金融政策)の連携の強化」と指摘したほか、中長期的な課題として「社会保障の充実と投資環境の整備」(JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト)などを政府に促す声もあった。
 一方、参院選の争点については、8人が消費税の見直しを含めた財政再建を挙げた。白川氏は「消費税は努力目標では意味がなく、増税時期など突っ込んだ議論が交わされるべき」と注文。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「子ども手当や高速道路などマニフェスト(政権公約)全部をやると財政がパンクする」として、公約修正もポイントになると予想している。



KDDI 成長シナリオ描けず低迷
 KDDIの株価がさえない。6日には昨年11月以来の45万円割れとなり年初来安値を更新。1月15日に付けた年初来高値55万3000円からの下落率は約2割に達した。
 足元の株価低迷は4月16日に2010年3月期の連結業績見込みを下方修正してから。利益の下振れは携帯電話が予想以上に売れて代理店への販売手数料の支払いが増えたため。いわば前向きなコストで、本来なら継続した売り材料にはならない内容だ。
 それでも株価が上がらないのは、23日の決算発表を受けて向こう数年の利益成長への期待がしぼんだためだ。
 11年3月期の営業利益は前期比微増の4450億円の見通し。固定通信は黒字転換しそうだが、主力の携帯電話は割安な料金プランの浸透などで通信料収入の目減りが続く。純利益こそ最高を更新する見通しだが、迫力不足は否めない。UBS証券の乾牧夫アナリストは「ARPU(契約当たり月間収入)が上向いて本格的な成長軌道に戻れるのは13年3月期以降」とみる。ジュピターテレコムとの相乗効果も時間がかかりそうで、成長シナリオが描きにくい。
 連結株価収益率は8倍台と割高感はなく、下値不安は小さそう。だが、注目のスマートフォン(高機能携帯電話)商戦でもソフトバンクやNTTドコモより出遅れている感は否めず、当面は上値の重い展開が続きそうだ。



配信の成長鈍化 携帯不振背景、新端末に期待
 「『アンドロイド』が音楽配信の将来を占う」。音楽業界関係者の間で最近、こんな声が上がる。アンドロイドとは米グーグルの基本ソフト(OS)のこと。このOSを搭載した携帯電話端末が4月から、NTTドコモの「Xperia(エクスペリア)」として売り出された。音楽配信のレコチョク(東京・渋谷)などはエクスペリアの発売日当日から配信サービスを開始した。
 音楽配信は1曲から購入できる手軽さが受け、若年層を中心に利用が拡大してきた。かつてはCDが売れなくなるとして音楽配信に慎重だった業界だが、今やCD市場の3分の1の規模にまで成長。じり貧のCD市場とは対照的に、毎年2ケタ成長を続けてきた。潮目が変わったのは昨年。年間の販売数量が前年比で初めて減少し、販売額も909億円と横ばいにとどまった。
 成長鈍化の背景を探ると、携帯端末の売れ行きに左右される実態が浮かぶ。2009年の出荷台数(PHS含む)は前年比25%減と過去最大の下げ幅を記録。消費不況で端末の買い替え需要が鈍ったためだ。出荷減少に伴い、「端末の買い替え時に曲をダウンロードし直す動きが滞った」(日本レコード協会)。さらに無料でダウンロードできるゲームの普及によって、暇をつぶすなら「有料の音楽より無料のゲーム」というムードが広がったという。
 だからこそ、アンドロイド端末を含むスマートフォンの需要拡大に寄せる期待が大きいのだ。もちろん、ヒット作を生み出す知恵と工夫が今まで以上に業界に問われているのは言うまでもない。



読売経済提言 政策を一新し停滞を打開せよ(5月7日付・読売社説)
 経済効果の少ないばらまきで財政を悪化させ、成長回復に向けた確かな処方箋(せん)もない。鳩山政権による経済運営の無策ぶりは、もはや看過することができない――。
 経済政策を大転換するよう求めた読売新聞の緊急提言は、こうした問題意識に基づいている。
 選挙の勝利を優先する大衆迎合政治と、マニフェスト(政権公約)至上主義が、鳩山政治の最大の問題といえよう。
 21世紀を通じて日本の経済社会を安定させ、持続的な成長が可能となるよう、鳩山首相は本社提言に沿った責任ある経済政策を実施すべきである。
 ◆公約が政治をゆがめる◆
 日本経済は、世界同時不況の荒波を乗り切り、ようやく景気が持ち直してきた。だが、つかの間の明るさに安心してはならない。
 マクロ経済全体で需要は30兆円足りない。物価に下落圧力がかかり、デフレが慢性化している。
 エコカー減税など、前政権が残した景気対策もそろそろ息切れして、今年半ば以降には成長が減速するとの見方も強い。
 今こそ、景気下支えに万全を期さねばならないのに、肝心の経済政策は的はずれだ。公共事業を罪悪視した「コンクリートから人へ」は、その典型といえる。
 今年度予算で景気刺激効果の高い公共事業を2割も削った。公共事業を頼みとする地方経済への打撃は大きいだろう。
 反面、子ども手当など、ばらまき型給付に巨額の予算を割いた。家計への直接給付は貯蓄に回り、景気浮揚の即効性は期待しにくいのに、恒久的な財源のあてもないまま、公約実現を優先させた。
 交通網の高度化や学校の耐震化など、インフラ(社会基盤)投資は成長や生活の安全・安心につながる。無駄なハコ物と同一視せず、整備を進める必要がある。
 そのための財源確保の一策として、無利子非課税国債の活用はどうか。相続税を減免するものの利払い負担がないため、財政を悪化させることもない。約30兆円とされるタンス預金を吸い上げて必要な事業に使えば、一石二鳥の効果が期待できよう。
 ◆安心は雇用の安定から◆
 国民の最大の不満は「経済的なゆとりと先行きの見通しがない」ことだという。内閣府の世論調査で、ほぼ半数がそう答えた。
 手当をばらまくだけでは、不安は解消しない。働きたい人に仕事を用意し、自ら生計を立てられるようにすることが、安心の第一歩だ。雇用が安定すれば、消費拡大など経済活性化にもつながる。
 高齢化でニーズの高まる医療・介護分野は、雇用拡大の面でも有望だ。しかし、仕事がきついうえに、給料が安すぎるとして、現場を去る人が多く、慢性的な人手不足に陥っている。
 魅力のある仕事にするため、処遇改善が求められる。公費による支援の拡充などを図るべきだ。
 病気や高齢で働けない人を支える社会保障制度の強化も急がねばならない。制度の青写真をきれいに描いても、裏付けの財源がなければ絵に描いたモチだ。
 少子高齢化のため、黙っていても社会保障費は毎年1兆円ずつ増える。これを賄い、持続可能な制度に改めるには、税収の安定している消費税率の引き上げは避けられない。
 鳩山首相は「消費税率凍結」を撤回し、早急に具体的な論議を開始すべきだ。税率は現在の5%から、まずは10%への引き上げを目指す必要がある。
 ◆新興市場でどう稼ぐ◆
 日本の国際競争力や、1人あたりの国内総生産(GDP)は、1990年代前半には世界のトップクラスだった。しかし、今はともに20位前後に沈んでしまった。
 高齢化と人口減少で、今後ますます経済規模の縮小が進む恐れもある。衰退を防ぐには、まず外需でしっかり稼がねばならない。
 狙うべきは新興国で拡大する新たな中間所得層や、鉄道や発電などのインフラ整備だろう。
 昨年末、中東・アラブ首長国連邦(UAE)の原子力発電所建設をめぐる受注競争で、政府の全面支援を受けた韓国企業に日本勢が敗れた。官民が協力して新興国市場を攻略する新たな通商戦略を練らねばならない。
 中国をはじめとした新興国企業の台頭は著しく、日本企業の勝ち残りは容易ではない。現に、先行していたはずの薄型テレビで、韓国メーカーにシェア(市場占有率)を奪われている。
 海外よりも高い約40%の法人税の実効税率が企業の活力を奪っている。欧州や中韓なみの30~25%を目安に、引き下げるべきだ。
 省エネや環境など日本が得意とし、成長が期待できる分野の活性化が重要だ。投資・研究減税などで企業の努力を後押ししたい。
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