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任天堂の低迷は携帯ゲーム人気のせいか(COLUMN)
 携帯電話などで手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」の人気が高まり、家庭用ゲーム機市場にも影響が及んでいるのではないか――。ゲーム関連企業の業績推移からそんな仮説も取りざたされるなか、ソーシャルゲームのユーザー動向を知ることができる格好の調査結果が現れた。果たして携帯電話ゲームは家庭用ゲーム機市場のパイを奪っているのか。
足元の業績は明暗くっきり
 ディー・エヌ・エー(DeNA)の2010年1~3月期決算によると、携帯電話向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「モバゲータウン」の売上高は139億円で、09年9~12月期の68億円から倍増した。増加分のほとんどは今年1月から本格展開しているアイテム課金方式を基本としたソーシャルゲームなどのゲーム事業だ。
 同じく携帯電話向けSNS「GREE」を展開するグリーも、09年9~12月期に81億円だった売上高を10年1~3月期には92億円へと順調に伸ばしている。やはりソーシャルゲームの利用拡大による有料課金収入の伸びが大きい。グリーの最近2年ほどの売上高は四半期ベースで右肩上がりの成長を続けている。
 一方、任天堂の10年3月期決算は、売上高が前の期比22%減の1兆4343億円。「ニンテンドーDS」「Wii」の販売台数はともに発売以来初めて減少に転じた。
 もっとも3社の業績の明暗から、家庭用ゲーム機のユーザーがソーシャルゲームに流れていると拙速に結論づけることはできない。09年12月発売の「New スーパーマリオブラザーズ Wii」は360万本もの大ヒットとなり、これに牽引される形でWiiは安定的に売れている。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3」向けソフト「ファイナルファンタジーXIII」も185万本を売り上げる結果を出した。もちろん、家庭用ゲーム機市場ではヒット作とそうでないものの格差が大きく広がったのは事実だが、日本の家庭用ゲーム機市場の縮小がソーシャルゲームにユーザーを奪われた結果だと単純に言い切ることはできない。
SNSのゲームで遊んでいるのはだれか
 ソーシャルゲームの人気を支えるユーザーとはどのような層なのか。その実態をうかがい知ることができるのが、アスキー総合研究所が09年11月に実施した大規模調査「MCS(メディア&コンテツ・サーベイ)2010」だ。全国の12~69歳の男女を対象にインターネット経由で実施し、1万580件の有効回答を得た。
 この調査では、ユーザー層を(1)普段ゲームを遊んでいない「一般ユーザー」、(2)「電撃オンライン」といったゲームメディアを読んでいてアクティブなゲームユーザーと考えられる「ゲーム情報サイト読者」、(3)「週刊アスキー」などの「PC誌読者」――の3つに区分し、それぞれのSNS向けゲームの利用状況を調べている。
 それによると、「SNS上(1人用を含む)のゲーム」を「過去半年以内に利用した」人の比率は一般ユーザーが48.7%で最も高く、他のユーザー層を10ポイント近く引き離している。SNSゲームを「利用したことはない」という回答も、一般ユーザーが34.9%ともっとも少ないのに対し、他の2つのユーザー層は50%超と明らかな差が出ている。
 SNSのユーザー同士で交流する機能を備えた「SNS上のソーシャルゲームの利用状況」でも傾向は同じだ。「過去半年以内に利用した」は一般ユーザーが19%で、他のユーザー層のほぼ2倍に達する。
 一方、SNS上のソーシャルゲームを利用したことのない人に「認知度」を聞いた質問では、「知らなかった」という一般ユーザーが48.4%でもっとも高く、逆に「内容まで知っていた」という一般ユーザーは6.7%と、他のユーザー層の半分程度の比率にとどまっている。ソーシャルゲームで遊んでいる一般ユーザーは多いが、知らない人はまったく知らないという状況が見えてくる。
 この調査が行われた昨年11月は、ミクシィが他社サービスの参入を認めた「mixiアプリ」を本格展開し始めた時期で、グリーも自社開発のSNSゲームで攻勢をかけていた。一方、DeNAはまだ他社に開放するオープン戦略を始める前であり、現時点とは市場環境が異なることは考慮する必要がある。

 それでもこのデータからは、ゲームを普段遊び慣れているユーザーはSNSのゲームにそれほど高い関心を払っていないという傾向が読みとれる。一方、一般ユーザーはSNSのゲーム自体をあまり知らない人も多いが、SNSでゲームをやるようになった人の割合もまた一番多い。何かをきっかけにして、それまでゲーム機などでゲームを遊んでいなかったユーザーがソーシャルゲームを遊び始めているのだ。
04年ころに起きた「ゲーム離れ」の原因
 そもそも家庭用ゲーム機は、04年ころにはすでに一般に遊ばれなくなる傾向が出ていた。Benesse教育研究開発センターが04年に実施した「第1回子ども生活実態基本調査報告書」によると、一日に「ゲームをほとんどしない」という子どもは、中学生男子で20.8%、高校生男子で42.2%。女子はさらに多く、中学生女子で55%、高校生女子では80.6%に達していた。
 04年は「iモード」などにより携帯電話が一気に普及したタイミングであり、「ゲーム離れ」が言われた時期でもある。ところが、同じBenesse教育研究開発センターが09年に実施した「第2回子ども生活実態基本調査報告書」では、この数字が大きく変わっている。
 1日に「ほとんどゲームをしない」という子どもは男女ともに減り、中学生男子では13.2%、高校生男子でも28.5%まで低下した。女子も中学生で34.8%、高校生で57.5%と20ポイント近く下がっており、この5年間でゲームで遊ぶ子どもが急激に増えたことを示している。
グリーのウェブサイト画面
 この調査では、ゲームの定義を「テレビゲーム(パソコンゲーム、携帯型ゲーム機、携帯電話のゲームを含む)」として質問しており、どのゲームで遊んでいるかまでは把握できない。ただ、分析では背景として「携帯型のゲーム機や携帯電話を用いたゲーム」の台頭を挙げており、特に女子がゲームで遊ぶ時間が増えたと指摘している。
 日本でソーシャルゲームを展開している各社とも、主要なプラットフォームはパソコンではなく携帯電話向けだ。10年3月末現在の携帯電話のページビュー比率は、ミクシィが84%(総会員数1985万人)、グリーが99%(1843万人)、DeNAは100%(1813万人)である。
 しかも、3社とも現在の会員の年齢構成比の中心は20代が担っている(ミクシィ52%、グリー35%、DeNA42%)。このことから、04年ころから携帯電話を持ち始め、家庭用ゲーム機で遊ぶ習慣がほとんどなかった10代後半から20代前半のユーザー層が現在のソーシャルゲームの受け皿になっているのではないかと推測できる。さらに、今の10代の子どもたちがその予備軍として携帯電話のゲームで1日の何分かを使っている。
ゲーム機以外の市場に影響か
 そう考えると、ソーシャルゲームは国内家庭用ゲーム機市場と直接競合するというより、今までアプローチできなかった潜在ユーザーを取り込むことで急成長したととらえることができる。ソーシャルゲームが好調でありながら、家庭用ゲーム機でヒットタイトルが登場していることも不思議でないことになる。
 ただ、当然のことながら、ソーシャルゲームで遊ぶユーザーが増えれば、相対的に別の活動に使う時間が減少することになる。アスキー総合研究所の遠藤諭所長は、ソーシャルゲームの人気は、「家庭用ゲーム機というよりも雑誌やコミックなどの他のメディアの売上げに影響が出ているのではないか」と分析している。



【日本発 アイデアの文化史】携帯音楽プレーヤー
  先鋭化されたウォークマンの哲学
 昭和22年の創刊以来、60年以上にわたって戦後日本のジャズ文化を牽引(けんいん)してきたジャズ専門誌「スイングジャーナル」が、部数低迷や広告収入の減少を理由に来月発売号で休刊する。ソニーの小型カセットプレーヤー「ウォークマン」が発売されたのは31年前のこと。老舗雑誌の休刊と、ウォークマン以降の革命的な音楽環境の変化は、因縁めいたものを感じる。
 ウォークマン以来、各企業はより軽く、より小さく、より多くの音楽を求めて新端末の開発に心血を注いできた。デジタル技術の発達に伴い、音楽を収納する「入れ物」もまた、レコードからカセット、CD、MD、ハードディスクに小型メディア…とめまぐるしく姿を変えた。
 「昔はレコードを丁寧に袋から出して、そっとターンテーブルに置いて、慎重に針を落とす…そういう茶道の世界のような一連の作法がありました。昔を知る者としては、懐かしくもありますね。最近はCDも買わない人もいるようですから」
 ソニーの広報担当者のそんな言葉は印象的だった。
                  ◆◇◆
 米アップルの携帯デジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」と、コンテンツ管理ソフト「iTunes(アイチューンズ)」は、音楽のデジタル化とインターネットの普及に伴う大きな「発明」といえる。iPodは2001年の発売以来、世界中で約2億5千万台を販売、10年のうちに急速にシェアを伸ばしてきた。ウォークマンは31年で4億台である。
 アップル・ジャパン広報は「端末のiPodばかりが注目されがちですが、iTunesというソフトウエアが優れていたこともユーザーに広く受け入れられた大きな理由でしょう」と強調する。設定を変えることも可能だが、確かにiTunesの使い方は基本、シンプルだ。
 ネットに接続されたパソコンにCDを入れると、曲名などの情報とともに、音楽がiTunesを通じて自動保存される。あとはiPodをケーブルでパソコンにつなぐだけで音楽が転送、音楽を持ち歩ける状態に。
 「子供でも分かる直感的な使いやすさが特徴」と広報担当者。レコードやラジオからせっせとオリジナルテープを作っていた時代とは、隔世の感がある。
 「iTunesの新しさは、簡単に音楽をパソコンで管理できるということを提示したところにある」
 デジタルメディア評論家で津田塾大講師の麻倉怜士(59)はそう語る。
 「レコードからカセットへ、CDからMDへといったそれまでの変換、管理が容易になり、自分の『棚』をそのまま持ち歩く感覚になった。大容量化によって、もはや自分だけのベスト版を作る必要もなくなった」
                  ◆◇◆
 音楽を楽しむのに、今や大仰なステレオは必ずしも必要ない。あるいは専用端末さえ必要なく、携帯電話単独でだって音楽に触れることができる。
 背景には、ネットなどを通じた音楽配信の成長がある。音楽のほか動画、ゲームなども扱うアップルのコンテンツ配信サービス「iTunes Store(アイチューンズ・ストア)」は、楽曲販売で全米1位を記録。国内でも携帯電話向けの音楽配信サービス「着うた」をはじめ、音楽配信は順調に定着している。
 音楽配信は実際の店舗に足を運ぶこともなく、音楽を曲単位で買い、持ち歩くことを可能にした。これだけが理由ではないにせよ、CDは一方、国内では平成10年をピークに年々、売り上げを落としている。レコード会社はビジネスモデルの変革を迫られ、広告収入の減少やネットの普及などで、老舗雑誌が休刊を余儀なくされている。
 「今やCDを買うこと自体が一種のフェティシズム(物的愛着)になりつつある」。メディアジャーナリストの津田大介(36)は、そう語る。「利便性を追求していく中、インフラやネットの発達で音楽の流通も人々が音楽を知る経路も変わってきた。こうした変化はいい悪いではなく、必然」
 「時間や場所を問わず、好きな音楽を良い音で聴く」というウォークマンの基本哲学は、31年かけて先鋭化されてきた。そして、その先で、いや応なく失われていくものもある。
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