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NTT東、公衆無線LANを業界最安値の月200円に
 NTT東日本は6月にも飲食店や駅で高速インターネットに接続できる公衆無線LAN(構内情報通信網)サービスの価格を大幅に引き下げる。これまで光ファイバー回線「フレッツ光」契約者に月800円で提供してきたが、業界最安値の200円にする。28日に発売される米アップル製「iPad(アイパッド)」など、高機能携帯端末の需要拡大を取り込む。
 25日に発表する。値下げするのは公衆無線LANサービス「フレッツ・スポット」で全国9100カ所に接続拠点を持つ国内最大級のサービス。小型モバイルルーターをレンタルする場合に200円で提供する。ルーターのレンタル料は300円とする。
 公衆無線LANを利用できるエリアも拡大する。これまで飲食店や地下鉄の駅など9100カ所で接続できたが、JR東海の東海道新幹線「N700系」の車内でも利用できるようにする。
 ipadやスマートフォン(高機能携帯電話)などの普及で、大容量データ通信の需要が高まっており、通信各社は公衆無線LANの利用が急増するとみている。KDDIは6月2日からデータ通信の利用者向けに公衆無線LANの利用料を月1500円から300円に値下げする。
 ソフトバンクは「iPhone(アイフォーン)」利用者向けに、月490円で提供していた公衆無線LANサービスを現在は無料で提供。接続できる場所も1、2年後に現在の約4倍の1万8000カ所に拡大する計画。NTT東が価格を大幅に引き下げることで、通信各社の価格とエリア拡大競争は一気に激化しそうだ。



キヤノン、家庭用SEDテレビ開発凍結 業務用に照準
 キヤノンは新型の薄型表示装置、SED(表面電界ディスプレー)を搭載した家庭用テレビの開発を凍結する方針を固めた。液晶やプラズマに対抗する薄型テレビとして商品化を目指していたが、テレビ市場の価格下落の勢いに製造コスト低減が追いつかないと判断した。今後は、高精細で消費電力が低いSEDの特長を生かし、業務用の開発に力を入れる。
 SEDはブラウン管と同じ原理で画面に映像を表示する。ブラウン管は1本の電子銃で映像を映すが、SEDは無数の微細な電子銃を平面に配置する。消費電力を抑えつつ高画質を実現できるが、低コストの量産技術の確立が困難とされていた。
 キヤノンは1999年に東芝とSEDの共同開発に着手。2004年に両社の折半出資でSEDの開発・生産会社を設立し、薄型テレビ市場への参入を表明した。
 しかし、量産技術の開発が難航。SED技術を持つ米国企業から特許関連訴訟も起こされ、商品化時期を何度も延期してきた経緯がある。キヤノンは東芝との折半出資会社を完全子会社化してSEDテレビの商品化の道を探っていたが、競争が激しい家庭用テレビでは採算がとれないと判断した。
 SEDの量産技術開発は継続し、画像診断機器や教育向け機器など業務用ディスプレーとしての用途開発を目指す。



サムスンなど、曲がる大型ディスプレー
炭素素材で開発、ポスターやパソコンに
 韓国サムスングループと名城大学の飯島澄男教授などは薄く、折り曲げられる大型のディスプレー材料を開発した。材料は入手が容易な炭素で、液晶テレビの軽量化、太陽電池の発電性能の向上や新たなディスプレーの商品化など幅広い用途が見込める。飯島教授はナノテクの権威でノーベル賞候補者。サムスンが日本の最先端の研究成果を活用し、日本の電機大手との競争力の差を広げる可能性がある。
 飯島教授とサムスングループのサムスンテックウィン、韓国・成均館大学は炭素素材「グラフェン」を使い透明で折り曲げ可能な大型ディスプレー材料の開発に成功した。大きさが30インチ(対角線長が約76センチメートル)と世界最大級の透明導電性フィルムで、タッチパネルにできる。



韓国勢、日本の研究成果をいち早く吸収
 安くて折り曲げ可能な大型ディスプレーの商品化が近い将来、韓国勢によって実現しそうだ。成功の背景には、日本の有望な成果や研究者を積極的に取り込む韓国の戦略がある。
 共同研究グループを束ねる飯島澄男・名城大学教授はナノテクの権威で、韓国側はその研究成果に注目した。成均館大学は先端炭素材料の実用化を急ぐため、飯島教授を2005年から学内のナノテクノロジー先端技術研究所長に招へいした。研究費の一部は、高機能機器への応用を狙うサムスングループが負担している。
 韓国は日本の研究成果に広く注目している。東京工業大学の細野秀雄教授らが発見し、04年に英科学誌ネイチャーで紹介した透明な酸化物半導体に注目したのはサムスン電子。この半導体はシリコンよりも電子が早く流れる特徴があり、同社は細野教授らに接触。高精細な次世代の液晶テレビや有機ELテレビへの応用を目指している。
 サムスンはこのほか、九州大学の菊池裕嗣教授が02年に開発した液晶材料にも注目。動画を鮮明に再生する基盤部品になるとみて、菊池教授の成果をヒントに研究を続けているという。菊池教授は「日本の研究成果に注目して製品に結びつけようとするのは日本企業よりもサムスンなど韓国企業が早い」と語る。



ノキア、ヤフーと提携 ネットサービスを実質統合
グーグルやアップルに対抗
 【シリコンバレー=岡田信行】携帯電話機最大手であるフィンランドのノキアと、インターネット検索大手の米ヤフーは24日、インターネットメールなどの事業で提携し、今年後半からネットサービスを実質的に統合すると発表した。老舗2社の連合で、同分野に強い検索最大手の米グーグルや米アップルに対抗する。
 ノキアとヤフーは今年後半から共同ブランドでネットメールや地図などの提供を始める。提供する地域や分野を順次広げて、2011年には全世界で共同展開する体制に移行する。ノキアの携帯電話ユーザーとヤフーの利用者はどちらかのネットサービスに登録していれば、もう一方の会社のサービスも同じ登録IDで利用可能になる見通しだ。



朝日新聞社、初の営業赤字 10年3月期
 朝日新聞社が24日発表した2010年3月期連結決算は、営業損益が41億円の赤字(前の期は34億円の黒字)となった。営業赤字は連結決算の公表を始めた00年3月期以降で初めて。新聞の広告収入減少が響いた。最終損益は33億円の赤字(前の期は139億円の赤字)となり、2期連続の赤字だった。
 売上高は前の期比12%減の4703億円。5期連続の減収となった。連結子会社数の減少が主因という。



電子マネー決済シェア、流通系が5割超え ポイント還元策効く
 流通系の電子マネーが決済件数のシェアを伸ばしている。4月の主要6電子マネー(前払い式)の決済件数では、セブン&アイ・ホールディングスの「ナナコ」とイオンの「ワオン」の合計シェアが初めて5割を超えた。消費者の節約志向が強まるなか、メーカーなどと組んだポイント還元策が利用者の囲い込みにつながっている。
 4月の総決済件数は前年同月比38.6%増。ナナコは同44.8%増、ワオンは同76.1%増と平均を上回った。ナナコとワオンの決済件数の合計は7810万件で6電子マネーの総決済件数(1億5515万件)の50.3%を占めた。鉄道系の「スイカ」や「パスモ」からシェアを奪った。
 ナナコとワオンに共通するのは、消費者へのポイント還元に力を入れている点。傘下のスーパーやコンビニエンスストアでの買い物でポイントを還元するだけでなく、入会時や入金時にはボーナスポイントを付ける期間限定サービスを行う。
 さらに食品メーカーなどと組み、特定の商品を購入した際にボーナスポイントを付与。電子マネーで購入すると、実質値下げとなる。
 生活防衛志向を強める消費者はポイント還元への関心が高い。ナナコは4月、セブンイレブンなどで新規入会すると200円分のポイント(通常なら買い物2万円で付与)を与えるキャンペーンを実施したところ、会員が1カ月で1割以上に当たる122万人増えた。




ソフトバンクモバイルがフェムトセル受付開始も、総務省はBB回線事業者との協議を要請
 ソフトバンクモバイルは2010年5月21日、全ブロードバンド回線を対象としたフェムトセル利用の申し込み受け付けを開始した。これまでフェムトセルを申し込むには、Yahoo! BB ADSLやNTT東日本のフレッツ光ネクストなど、同社が指定するブロードバンド回線を利用している必要があったが、対象を拡大した。
 その一方で、ブロードバンド回線を提供する事業者から、協議が不足しているという声が上がっている。フェムトセルについては総務省および次世代IPネットワーク推進フォーラムが定めたガイドラインが二つある。総務省ガイドラインは「携帯電話事業者とブロードバンド回線事業者との間の契約などにおいて、通信品質の確保、緊急通報の確保への対応、障害発生時の対応などについて規定することが求められ」との記述があり、総務省は「契約など」には事前の協議が含まれるという立場である。フォーラムのガイドラインも「あらかじめ関係事業者間で技術的条件や費用負担などを含めて協議を行い、合意を得た上でサービスを提供すること」としている。
 ソフトバンクモバイルは2010年5月19日、回線事業者に対して21日から受け付けを開始するという旨の電子メールを送付した。そこには緊急通報時に誤った位置情報を通知しないための措置(位置固定)や、通話品質の確保、保守の一次対応をソフトバンクモバイルが担当することを明言した上で、「二つのガイドラインの要件をソフトバンクモバイルで確保することが可能なため、回線事業者で対応いただく事項はない」と記載していた。
 この電子メールを受け取ったある回線事業者は、「これは一方的な通知であり、技術的検証を含む協議がなければ実際に緊急通報時に携帯電話の通話が確保できるか分からない。このままだと利用者に不利益が生じる可能性がある」と指摘している。
 ガイドラインを定めた立場である総務省は、複数の回線事業者からソフトバンクモバイルの電子メールの内容について問い合わせを受け、内容を知ることになった。総務省は電子メールの内容について、「一方的な通知であり協議ではない。ガイドラインに適合しているとはいえない」と判断した。そこで2010年5月20日にソフトバンクモバイルに対して、回線事業者と協議を実施するように要請した。さらに技術的条件を満たしたとする具体的内容について報告を求めた。
 ソフトバンクモバイルは当初の予定通りに申し込み受け付けを開始した。ただし、これまで指定していたブロードバンド回線を推奨と位置づけ、推奨以外のブロードバンド回線で申し込む場合は2010年9月以降の提供になること、および接続機器や利用環境によって利用できない場合があるとのただし書きを付けた。ソフトバンクモバイルは本誌の取材に対し、「回線事業者との協議は継続する」と回答した。



音楽配信件数、初の減少 09年度国内販売
 音楽配信サービスの成長にブレーキがかかってきた。日本レコード協会が24日発表した2009年度の音楽配信の販売件数は前年比3%減の約4億6187万件で、統計をとり始めた05年度以来、初のマイナスとなった。販売額はほぼ横ばいの約906億円にとどまった。他の配信サービスとの競合が激しく、配信を受ける携帯電話端末の出荷減少も響いた。
 09年度の販売実績の内訳をみると、件数の9割を占める「着うた」など携帯向けは4%減の約4億1451万件で、金額も1%減の約787億円だった。
 パソコン向けは堅調で件数が9%増の約4726万件、金額が11%増の約104億円に上った。携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」など米アップルの携帯機器での利用が増えているとみられる。
 音楽配信は05年度以来、毎年2ケタ成長を記録してきた。1曲から購入できる手軽さが受け、若者を中心に普及している。生産額が右肩下がりで縮小しているCD市場とは対照的に、レコード各社も配信コンテンツの拡充を進めてきた。



放送法改正、与野党合意は決裂の見通し
 衆院総務委員会で審議中の放送法改正案をめぐり、与党3党は24日、改正案のうち総務相の諮問機関「電波監理審議会」(電監審)の権限強化に関する条文を削除する修正案を固めた。
 与党3党は、25日午後の衆院本会議で、同案の通過を目指す。
 自民党と公明党も、電監審の権限強化に反発していた。だが、野党側が求めていたNHK会長の権限強化に関する条文の削除に与党側が応じなかったため、放送法改正案を巡る与野党協議は決裂する見通しだ。



点検 注目材料株◇レナウン、中国企業出資報道で再建期待高まる
 24日の東京株式市場で、大手アパレルメーカーのレナウンの株価が逆行高を演じた。寄り付きから商いを伴って買われ、終値では制限値幅の上限(ストップ高)となる前週末比50円高の191円で引けた。第三者割当増資により中国の繊維大手、山東如意科技集団(山東省)の傘下に入るとの報道が手掛かり。レナウンは同日夕に山東如意との提携を正式発表した。百貨店販売などの低迷で経営再建が急務となっているだけに、中国における山東如意の販売網の活用や資本増強による財務改善が期待されているようだ。
 「国内だけでは変わり切れなかった。海外成長を通して変革を進める」。レナウンの北畑稔社長は、記者会見の場で資本提携を通した経営再建の意義を強調した。「今後も高い成長が見込まれる中国を重点マーケットと位置付け、市場の成長を取り込む」(北畑社長)のが狙いだ。
 中国企業による日本企業への資本参加は増加傾向にある。M&A(合併・買収)助言のレコフによると、2009年の中国企業が日本企業に対して行ったM&Aは20件と、前年から5割強増えた。昨年8月には中国の蘇寧電器集団が家電量販店のラオックスに出資するなど、経営再建中の企業を市場拡大を狙う中国企業が傘下に収める事例も出てきた。ラオックスの傘下入りが報道された昨年6月には、同社の株価が急騰するなど、中国勢の資本参加が注目されつつある。
 市場には「第2のラオックス」として山東如意のレナウンへの資本参加を好感する見方が多い。レナウンとラオックスは業態こそ違うものの共通点が多く「中国企業との提携効果を連想しやすい」(アルフェックス・インベストメンツの高松一郎代表取締役)ためだ。
 第1の共通点は、業界のなかでは老舗に属し、商品販売のノウハウを持った業態であるという点。急激な経済成長を背景に中国人の購買意欲は高まっており、ノウハウを生かした中国市場での市場拡大が望みやすい。レナウンは「ダーバン」など高級ブランドが主力。提携発表の記者会見で、山東如意の邱亜夫董事長は「高級品中心に中国でのレナウンのブランドは知名度が高い」と販売拡大に自信を見せた。
 近年、業績低迷が続いていたのも同じだ。レナウンは現在の筆頭株主の投資ファンド、ネオラインホールディングス(東京・港)のもとで経営再建に取り組んでいる。しかし、消費不振で英高級ブランド「アクアスキュータム」などの主力ブランドの売却を余儀なくされ、11年2月期では5期連続の最終赤字となる見込みだ。国内百貨店向け店舗への依存度が高く、収益改善への道筋が立ちにくいことが課題となっていた。
 ラオックスも10年3月期まで9期連続の最終赤字と低迷していたが、今期は10期ぶりに黒字に転換する見通し。蘇寧電器との提携をテコにした赤字店舗の閉鎖や中国への新規出店を進める効果が出るという。海外成長への道が開け、市場には「(ニューマネーが入ることで)レナウンも当面の危機は脱することができそう」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)との安心感が広がっている。PBR(株価純資産倍率)は1倍を大きく割り込んでおり、割安感に着目した買いも入りやすい状況だ。
 ただ、このまま提携が投資家に歓迎されるかは微妙だ。第三者割当増資に伴い、発行済み株式数は約7割も増える見通し。北畑社長は「(資本提携は)筆頭株主のネオラインに歓迎されるものと信じている」と強調するものの、1株当たり利益の希薄化は大きく不透明感も漂う。
 提携効果で希薄化を上回るだけの利益が出せるかが、市場の評価のカギを握ることになりそうだ。ラオックスの場合、中国人観光客の多い秋葉原に旗艦店舗があるため、そこに経営資源を集中して業績を回復させる余地があった。一方、レナウンの主力ブランドは売り上げ低迷が続く百貨店向け。成長のためには中国への新規出店が不可欠だが、現在はユニクロなど低価格帯の商品が中心となっている中国市場で、どこまで高価格帯が主力のレナウンが伸びるか。復活へのハードルは決して低くはなく、買い一巡後は経営再建の先行き懸念が再燃する可能性もある。



増税は景気を良くしない
 増税することで、むしろ景気が良くなるという議論が出始めた。菅財務大臣はこうした趣旨のことを述べて、消費税引き上げを正当化したいようだ。しかしこうした奇妙な議論は、健全な政策論議をあまりに逸脱している。
 日本の財政状況は深刻であり、いずれ消費税の引き上げが避けられないことは多くの人が認識していよう。財政健全化努力がいまの政府に不足していることは明確だし、そうした努力不足が今後も続けば、経済に破滅的な混乱が起きることだろう。したがって、こうした混乱を避けることによって経済を良くできる、という議論は成り立つ。
 しかし、財政再建に根本的に重要な道筋は、まず成長をいかに確保して税の増収を実現するか、歳出をいかに抑制するか、そのうえで税収をどう確保するか、である。成長戦略がないままに、歳出の膨張を抑えることなく、増税するだけで経済が良くなることはあり得ない。増税とは、民間部門から公的部門への資源の移動であり、その過程で国民の生活水準を引き下げる。
 考えられるひとつのケースは、民間部門が支出を増やさない状況では、公的部門に資源を移し支出することで経済は拡大する、という場合だ。これは、需要不足が存在する場合には正しいし、まさしくケインズが指摘していることでもある。しかし、あくまで短期の限定的な議論だ。
 もうひとつは、社会保障制度などが整備されることで将来への不確実性が低下し、結果的に消費・投資が促進される、という理屈だ。しかし、もし将来への不確実性が本当に家計の障害になっているのなら、個人年金などがもっと拡大しているはずだ。国民が感じる不安の本質は社会保障ではなく、日本経済の競争力低下、さらには自分の所得獲得能力低下への不安である。
 安易な増税理論を振りかざし、安易な増税を実行すれば、大きくて非効率な政府のままで、中長期の成長力はさらに低下する。それは結果的に、国民の将来不安を一層高めることになろう。
 気になるのは、財政制度等審議会でも菅大臣と同様の議論がなされ「増税=景気回復」が示唆されていることだ。役所の隠れみのと言ってしまえばそれまでだが、審議会の有識者たちが成長戦略、歳出削減を十分論じることなく権力にすり寄っているのなら、この国の将来への不安はますます募ってくる。



【産経主張】郵政法案 民営化つぶせば禍根残す
 日本社会の将来に禍根を残しかねない郵政法案に対し、民主党の小沢一郎幹事長が全国郵便局長会の総会で今国会での成立を約束した。
 法案は民営化を通じた経営効率化と規模縮小というあるべき改革の姿からほど遠く、公社時代に逆戻りさせる内容だ。こうした「改悪」をめぐる影響は深刻だ。国会では問題点の徹底的な審議が求められる。
 まず民業圧迫で民間金融をゆがめかねない点が問題だ。亀井静香郵政改革・金融相は「郵政事業がじり貧だから、金融事業で収益を拡大する」と説明する。そのために、郵貯の預入限度額と簡保の保障限度額をそれぞれ倍に引き上げる。がん保険などの新規業務についても金融庁への届け出制にして、経営の自由度を高める。
 しかし、政府が関与したまま限度額を引き上げれば、国民は「暗黙の政府保証」と受け取り、郵貯に預金を移すことが予想される。全国銀行協会など金融機関8団体は今月20日、「競争条件の公平性を阻害する」との声明を発表し、法案の抜本修正を求めた。
 これに対して亀井氏は「競争相手が強くなりそうだから、ギャーギャー言うのはみっともない」などと切り捨てた。金融担当相が業界の懸念を一顧だにしないことに唖然(あぜん)とする。非効率な経営の見直しにはまったく触れず、局長会や郵政労組の権益擁護に腐心しているようにみえる。明確な経営計画を示さないまま、非正規社員の正社員化を打ち出したのは将来の民営化阻止への布石といえる。
 国債以外に運用ノウハウのない郵貯がいま以上に国民の資産を預かることは、それだけリスクが大きくなることを意味する。逆ざやが生じれば、将来、大きな損失が発生するかもしれない。鳩山政権はそうしたリスクがあることも何ら説明していない。
 国際的な信用問題もある。日本と米国、欧州連合(EU)は21日にジュネーブで世界貿易機関(WTO)大使級協議を行った。米欧は郵貯と簡保にこうした経営の自由度を認めることが民間との公平な競争を阻害し、「外国企業に不利な条件を課さない」とのWTOの内国民待遇義務に違反していると主張した。米欧ともWTO提訴も辞さない構えだ。今後、通商摩擦に発展しかねない情勢だ。
 時計の針を逆戻りさせようとしている。官業化と肥大化を急ぐ郵政法案に強く疑問を呈したい。
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