((((;゜Д゜)))新聞

「歴史的変革起こす」「製品というより作品」 iPhone4発売で孫社長
 ソフトバンクの孫正義社長は24日発売した米アップルの新型「iPhone(アイフォーン)4」について、「予想をはるかに上回る需要で、契約者の増加にも貢献する」との期待を示した。孫社長と報道陣の主なやり取りは以下の通り。
 --夏商戦への期待は
 「具体的なボリュームはまだみえないが、予約では予想をはるかに上回る需要だ。アップルも、増産体制を敷いて必死に対応している。われわれの携帯電話契約者数の純増にも貢献するだろう」
 --ソフトバンクの携帯電話回線網でしか使えない「SIM(シム)ロック」での発売となった
 「当社にとってアイフォーンは思い入れの強い商品で、アップルとも強いパートナーシップを結んでいる。われわれの思いを重視したいと考えている」
 --海外での利用に、パケット代金の定額制を導入するのか
 「夏休みということもあって、来月中には対応したいと考えている。アイフォーンや、(アップルの新型情報端末)『iPad(アイパッド)』では、私も海外でついついインターネットを使ってしまって、何万円や何十万円という代金になることがある。経営的には難しい問題もあるが、海外でもパケット定額を打ち出したい。現在、実現に向けて最後の詰めの作業をしているところだ」
 --国内でのスマートフォンの成長性は
 「数年のうちに『携帯電話=スマートフォン』という時代がやってくるのは間違いないだろう」
 --米グーグルの基本ソフト(OS)を搭載したスマートフォンの発売も相次いでいるが、アイフォーンの優位性は
 「ちょっとでもさわってみてもらえれば分かるが、ハードとソフトウエア、そしてデザインが見事に統合されている。これは、決して簡単なことではなく、ゼロから製品を作り上げてきたアップルだからこそできることだ。アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)のリーダーシップもあり、来年、再来年と革新的な製品を作り続けると確信している。アンドロイド端末も世界のメーカーが製品化している。アイフォーンとの健全な競争によって互いに刺激を与えあって大きな成果を生むだろう。今までは、カメラの画素数など一部の要素技術の競争が中心だったが、より深い技術の統合によって世界中のコンテンツ(情報の内容)が集まってきている。日本からも、いいものを発信して広げられるチャンスになる」



(春秋) きのう東京の銀座や表参道の路上で、徹夜覚悟の行列を見かけた。けさ発売される米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」を求める人たちだ。人気スターの顔見せを今や遅しと待ち焦がれるファンを思わせる。
▼今年4月、多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の米国での発売日。開発に当たったデザイナーは全員で店舗に出向き、並ぶ客を迎えた。長い時間をかけ、みんなで一生懸命作った商品。喜ぶ大勢の客。その光景に「ジーンときた」と、米アップルのデザイン部門で働く西堀晋さんはネット上の日記に書く。
▼デジタル製品の技術進化は早い。寿命もある。それでもずっと捨てたくない、手元に置きたいと思えるデザインを目指す空気がアップルにはあるという。西堀さんはかつて日本の電機メーカーにも長く勤めた。客に買い替えを促そうと、とにかく新製品を発売する。そんな姿勢に疑問を覚え、会社を辞めたそうだ。
▼日経MJが毎年末に作るヒット商品番付。2005年の見出しは「発信源は米と官」だ。アップルの携帯音楽再生機「iPod(アイポッド)」と政府主導のクールビズが、この年を代表するヒットだったからだ。今またアップル製品が売れ、日本発のめぼしい動きは政府の事業仕分け程度。どうした、日本企業。



「ドブス守る会」動画問題で首都大生2人退学処分に
 首都大学東京(東京都日野市)の学生が路上の女性に「ドブス写真集を作る」などと声をかけて無断で動画を撮影し、動画投稿サイトに投稿していた問題で、大学側は24日、システムデザイン学部4年の男子学生2人=(22)と(23)=を退学処分に、動画の音楽制作を担当した同研究科の博士前期課程の男子院生(22)を停学処分(1カ月)にした。
 大学などによると、動画投稿サイト「YouTube」に投稿された問題の動画は今月12日、東京都立川市のJR立川駅で撮影したものなど6本に上り、通行中の女性に「ドブス写真集を作ろうと思っています」などと声をかけ、女性がいやがって逃げる様子などが撮られている。
 学生たちは「不道徳なものから生じるおかしみを表現したかった」などと説明しているという。
 首都大の原島文雄学長は「本学学生の悪質な行為により、映像を公開された方々におわびする。元の安寧な学修環境を取り戻せるよう取り組んでいく」とコメント。大学側は今後、撮影された女性らへ直接謝罪することなどを検討するという。




【オリコン】嵐、上半期シングル2年連続1、2位独占 音楽DVD含めV2
 昨年の『オリコン上半期ランキング』シングルセールス部門で、光GENJI(1988年)以来21年ぶりに上半期シングル1、2位を独占した人気グループ・嵐が、2010年上半期ランキングの同部門でも「Troublemaker」(3月発売)、「Monster」(5月発売)がワンツー・フィニッシュを飾った。1968年のシングルランキング発表開始以来、嵐を除いてはピンク・レディー(1978年)、光GENJI(1988年)の2組しか記録していなかった上半期シングル1、2位独占を、史上初めて2年連続で達成する快挙となった。
 今回の上半期ランキング(集計期間:2009年12/28付~2010年6/21付)で1位を獲得した「Troublemaker」は68.8万枚、2位「Monster」は65.4万枚をセールス。「Troublemaker」の売上枚数は、昨年の年間ランキング1位「Believe/曇りのち、快晴」(嵐/矢野健太 starring Satoshi Ohno)の年間売上65.7万枚を、すでに上半期の時点で上回るハイレベルな水準となっており、嵐人気が昨年以上に拡大していることが数字上からもうかがえる。
 さらにミュージックDVDセールス部門においても、2009年8月に東京・国立霞ヶ丘競技場で開催されたデビュー10周年記念ライブを収録した『ARASHI Anniversary Tour 5×10』(4月発売)が68.8万枚を売り上げ、昨年に引き続き「シングル」部門と「ミュージックDVD」部門の上半期ランキング2冠。嵐初のコンプリートビデオクリップ集『5×10 All the BEST!CLIPS 1999-2009』も17.7万枚を売り上げ3位に入った。
 一方、女性アーティストのトップは、『第2回選抜総選挙』で大きな話題を振りまいた人気アイドルグループ・AKB48。同選挙の投票用シリアルナンバーが封入された「ポニーテールとシュシュ」は5月26日発売と、集計期間が長くないものの57.7万枚をセールスし、3位に。また、卒業ソング「桜の栞」(2月発売)も38.1万枚を売り上げて5位にランクインした。
 昨年末の紅白出場以降、販売ペースを加速し、ロングヒット中の坂本冬美「また君に恋してる/アジアの海賊」(2009年1月発売・24.5万枚)は10位に食い込み、演歌作品では唯一、上半期TOP10入りを果たした。



【オリコン】安室奈美恵、デビュー以来初の上半期アルバム1位
 人気歌手・安室奈美恵のオリジナルアルバム『PAST<FUTURE』(2009年12月発売)が、2010年の『オリコン上半期ランキング』アルバムセールス部門で56.6万枚を売上げ、1992年にデビュー以来、初めて上半期アルバム首位に立った。女性アーティストによる上半期アルバム首位は、2004年に宇多田ヒカルが『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』で記録して以来、6年ぶり。
 同作品は、安室が2年半ぶりに発表した9thオリジナルアルバムで、2009年12/28付週間ランキングで初登場首位を獲得。デビュー当時の10代、20代を経て、現在の30代と、各年代でオリジナルアルバム首位を獲得した初めての女性アーティストとなり、根強い人気を証明した。なお、10代、20代までは松田聖子、宇多田ヒカルらが達成している。
 続く2位には、昨年末に紅白初出場を果たした3人組グループ・FUNKY MONKEY BABYSの『ファンキーモンキーベイビーズBEST』(2月発売)が54.8万枚を売り上げランクイン。2006年1月デビュー以来初のベストアルバムは、これまでのアルバム自己最高記録だった『ファンキーモンキーベイビーズ2』(累積売上23.1万枚)の約2.4倍を売り上げ、ブレイクを印象づけた。
 3位は、2005年4月に日本デビュー、今年4月に活動休止を発表した人気グループ・東方神起のベストアルバム『BEST SELECTION 2010』(2月発売)が、休止を惜しむように54.7万枚のヒットに。さらには、木村カエラのデビュー5周年を記念して発売された初のベストアルバム『5years』(2月発売)が44.9万枚をセールスし、5位にランクインした。
ベストアルバム3作品に割って入ったのは、53.3万枚を売り上げて4位に入ったいきものがかり『ハジマリノウタ』(2009年12月発売)。ベストアルバム優勢のCDマーケットにあって、いきものがかりは昨年の上半期5位の『My song Your song』に続き、オリジナルアルバムで2年連続上半期TOP5入りを果たし、気を吐いている。
 洋楽アーティストの最上位は、29.8万枚を売り上げて12位に入ったレディー・ガガの『ザ・モンスター』(2009年11月発売)。31位には『ザ・リミックス』(3月発売)もランクインした。4月の来日公演、テレビ出演などによってキャラクターやファッション性が浸透し、2009年5月の日本デビューからわずか1年で、押しも押されぬスターとなった。



ソニー、3Dソフト製作
 ソニーは23日、国内向け3次元(3D)映像ソフトの制作・生産サービスを7月1日から始めると発表した。映像製作会社などから3D対応ブルーレイ・ディスク(BD)ソフト向けの映像編集からパッケージの生産までを請け負う。
 制作は子会社のソニーピーシーエル(東京都品川区)の「BDオーサリングスタジオ」で行う。映画会社やCM会社などが3D対応カメラで撮影した映像をBDに収録できるように編集・加工する。3Dデータはディスク製造会社ソニーDADCジャパンに持ち込まれ、同社静岡工場(静岡県吉田町)でパッケージ生産する。



不祥事続発、株価低迷、光分離に怒り噴出 NTT株主総会
 NTTの株主総会が24日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた。冒頭、鵜浦博夫副社長が、NTT西日本の子会社社員が他の通信事業者の顧客情報を不正に持ち出し総務省から業務改善命令を受けたことについて陳謝した。
 NTTグループでは、NTTデータ社員が贈賄容疑で逮捕される事件も起きており、株主からは「CSRや法令順守を軽視しているのではないか」「情報漏洩や贈収賄など不祥事が余りに多い。一体、どうなっているのか」との批判の声が噴出した。
 このほか、原口一博総務相が提唱する「光の道」構想のなかで検討課題となっているNTTの光回線分離について、株主が「このままではNTTはメタル回線など不必要なものばかりになる。会社の分割で株価が下がる」と懸念を表明。渡辺大樹取締役は「会社の分割はイノベーションを阻害し経営効率も損なうもので、株主利益の面からも取るべき道ではないと考えている」と、分割に反対していく方針を説明した。
 三浦惺(さとる)社長も「会社の価値を高め、株価の向上に努めたい。株主還元も必要だが、業績挙げることが株価アップにつながる。グローバル事業も強化していく」と、理解を求めた。
 株主総会は午前10時に始まり、出席株主数は11時現在1976人(昨年は1608人)だった。



記者の目◇JT、無煙たばこは反撃の「のろし」となるか
 日本たばこ産業が5月に販売した無煙たばこ「ゼロスタイル・ミント」が好調だ。これまで東京都内限定で月50万パックの生産分を販売していたが、品切れが相次ぎ、今秋に生産能力を2倍に引き上げることを決めた。増税による値上げや受動喫煙防止に伴う喫煙区域制限の広がりなどで販売数量減少が続く国内たばこ事業。増産を発表した翌日の6月9日は株価も反発するなど投資家の期待も大きい。無煙たばこは国内たばこ事業にとって反撃ののろしとなるか。
 「ゼロスタイル・ミント」は細かく刻んだたばこの葉を、たばこに似た形状のカートリッジに詰めて専用パイプで吸う。火を使わずに利用できる「かぎたばこ」に分類される。かぎたばこは本来、口の中に葉を入れるなどして利用するが、「口の中や鼻腔(びくう)に直接入れるような使用方法は日本ではなじみがなく、お客様に受け入れられないのではと考えた」(たばこ事業本部ブランド企画部の能瀬智昭次長)という。
 JTにとって無煙たばこは、従来の紙巻きたばこが直面する難題を解消することが期待される。開発のきっかけは「たばこの煙が周囲に迷惑をかけるのではないか、不快感を与えるのではないかという愛煙家の方々の不安を解消するため」(能瀬氏)。紙巻きたばこと補完関係をつくることができるとの思惑がある。
 公共交通機関は現時点で対応が分かれている。「煙やにおいなどいくつかの禁止条件に引っかかっていないので問題はない」(日本航空)「煙が発生しないのでお断りしてはいない」(JR西日本)と利用を容認する交通機関もあるが、全日本空輸は「周囲に不快を感じさせる恐れがあるため禁止している」と機内での使用を認めていない。また、「正式な取り扱いは決まっておらず検討中」(東京急行電鉄)と判断を保留する交通機関もある。
 もう1つの大きな要素は税金だ。無煙たばこの販売価格は、吸引具とカートリッジ2本で300円。カートリッジだけが4本入っているセットは400円だ。カートリッジ1本につき使われているたばこの量は約1.4グラム。紙巻きたばこは1本2グラム程度となっている。たばこ税は葉の数量に応じて課税されるため、1箱あたりの税金は無煙たばこが大幅に少ない。カートリッジの製造コストを加味しても、JTの取り分は紙巻きたばこより多いと見られている。
 「ゼロスタイル・ミント」については「3~5年で国内たばこの減益分の一部を補う可能性がある」(大和証券キャピタル・マーケッツの山崎徳司企業調査第3部部長)という前向きな評価と「珍しさに伴う一時的な流行ではないか」という慎重な見方が混在する。ただ、ほぼ縮小一辺倒だった国内たばこ事業にとって、久し振りに期待が持てる新商品ではある。集約傾向にある生産設備の再編の見直しや、国内たばこを下支えする前向きな「火だね」となる可能性も秘めている。



記者の目◇丸井グループ、総量規制を追い風に変えられるか
 18日に完全施行された改正貸金業法。総量規制の開始により、年収の3分の1を超える借り入れができなくなる。影響を受ける業界と言ってすぐに思いつくのが消費者金融だが、それは専業ノンバンクに限った話ではない。カード事業を持つ小売り業大手、丸井グループもその1社だ。
カード事業が利益の大半
 衣料品などの小売り業のイメージが強い丸井Gだが、利益面においてはカード事業の占める比率が高い。2010年3月期の連結営業利益は104億円だが、セグメント別に見るとカード事業は102億円に達する。売上高比率では8割を超える小売事業は利益は3700万円で、小売関連サービス事業は25億円。利益の大半をカード事業が生み出しているといっても過言ではない。そのカード事業が総量規制の影響を受けることになれば、丸井G全体の収益構造が揺らぎかねない。
 5月14日に発表した11年3月期の業績予想では会社はどうみているのか。決算短信にはこう書かれている。
 「6月に施行予定の総量規制につきましては、ご利用制限による融資残高の減少や一時的な貸し倒れの増加等の影響が予想されますが、現時点では、影響額を合理的に見積もることが困難であるため、法律施行後の状況を見極めた上で適切に対応してまいります」。
 総量規制によって利息返還請求がどの程度増えるのか。グレーゾーン金利の廃止以降、丸井Gも定期的に利息返還損失引当金繰入額を特別損失に計上している。その額は、07年3月期に207億円、09年3月期に174億円。10年3月期末の貸借対照表上には、利息返還損失引当金として121億円が計上されているが、今後、利息返還請求が急増すれば、11年3月期に特別損失の計上を迫られる。市場では「300億~500億円の間ではないか」(大手証券アナリスト)との声もある。
 もっとも、悪い話ばかりではない。今回の総量規制による一時的な利息返還請求や貸し倒れが一巡すれば、丸井Gにとって事業環境が好転する可能性もあるからだ。借り手の健全化が進むうえ、消費者金融の淘汰が進めば、ビジネスチャンスが広がる可能性もある。貸出枠が制限されることは、一人の消費者が複数のキャッシング事業者と契約することの減少につながる。貸出枠を最初に提供することが重要になるが、丸井Gのような小売り大手のカードは消費者が最初に持つカードに位置付けられることも多く、競争条件は有利になる可能性がある。
あえて地方出店
 5月の決算発表の席上、青井浩社長は「既存の商圏以外に進出する意味はある」と地方都市への出店に意欲を見せた。百貨店の多くが過去の地方出店で苦戦を強いられる中、丸井が地方に進出する“勝算”は、小売りだけにあるのではない。青井社長が描くのは「小売り」「カード」「ネット通販」の三位一体のビジネスモデルだ。
 1つ目は出店に伴う小売事業で、そこから派生するカード事業が2つ目。そして最後に知名度を高めることでネット通販事業を展開できるからこそ、あえて地方に積極出店する。
 当面、カード事業の存在感が低下することはなさそうだが、過去数年、業績がぶれる要因だったカード事業に依存した収益構造は株式市場から敬遠される一因。PBR(株価純資産倍率)は0.67倍と1倍を下回る。収益安定のカギを握るのはやはり小売事業の成否だ。若い世代に支持される小売業を確立しなければ、青井社長のビジネスモデルも絵に描いた餅になりかねない。総量規制を機に、カード事業依存を断ち切れるかどうかが試されている。



記者の目◇ガンホー、元祖「交流ゲーム」に勝算はあるか
 グリーやディー・エヌ・エーなど交流サイト(SNS)を入り口にゲームを提供する企業が躍進するなか、オンラインゲームの先駆者、ガンホー・オンライン・エンターテイメントが攻勢をかけ始めた。7月に主力ゲームの大型アップデート(内容更新)を計画するほか、3月に開始した携帯電話ゲームでも会員数を伸ばす。ガンホーは利用者同士がゲーム内でチームを組むなど「仲間と楽しめる」ことを売り物のひとつとする、元祖「交流ゲーム」企業。参入の増えるネットゲームで存在感を示し続けることができるのか、取り組みの行方が注目される。
 「現在流行しているタイプの交流ゲームはいずれ飽きられるだろう。一方、ラグナロクには長年のファンがいる」。森下一喜社長は自社の主力ゲーム、ラグナロクオンラインの強みを語る。ラグナロクは多人数参加型ロールプレイングゲーム(MMORPG)と呼ばれるジャンルのゲームで、複数の利用者が1つのゲーム世界で同時に遊び、互いにコミュニケーションを取ることも可能だ。ネット空間で「交流」するゲームの元祖とも言える。
 SNSが提供する基本料無料のゲームがはやる中で、今年8年目を迎えるラグナロクは月額1500円と基本料は高額だ。ゲーム内アイテムの購入費を加えると、ゲームの月額平均単価は1人当たり約5000円になるという。入り口でもゲーム内でも料金を取るモデルはSNSの台頭によって古くなりつつある。それにもかかわらず5000円かけてでも遊びたい20~30歳代の男性を中心としたコアな利用者がガンホーの収益を下支えしている。
 今年5月1日。コアユーザーの存在感を再認識させるイベントがあった。ゴールデンウイークのさなかということもあり、東京・有明の大型多目的スペース「ディファ有明」に集まったゲーム愛好家は6000人を超えた。ラグナロクで予選を通過したチームが一堂に会して対戦。番狂わせがあると、観戦客は歓声をあげて盛り上がる。ファンをリアル(現実)の場に引き出すため、ガンホーが毎年開いているイベントだ。
 ガンホーのオンラインゲーム事業は05年の上場以来増収を続けてきた。家庭用ゲーム機向けソフト販売や開発受託の収入が減り連結ベースで減収となった09年12月期も、主力のオンラインゲーム事業は92億円と6%の増収を確保。コスト管理の徹底で同事業の営業利益は2倍強に増えた。新規会員の獲得も月平均で3万人を維持している。
 先行きに不安がないわけではない。SNSの台頭でゲームを取り巻く環境は激変。本格派ゲームを好むコアユーザーを取り込んでいるためこれまでのところ影響は限定的だが、携帯電話やスマートフォン(多機能携帯電話)でゲームを楽しむ人が増えれば、ガンホーが提供するパソコン向けゲームに費やす時間は相対的に減少する可能性もある。この脅威に対処するためガンホーは今期2つの課題を設定する。「休眠会員」と「ライトユーザー」の発掘だ。
 ガンホーのユーザーはまず共通IDを取得し、その上で有料ゲームの利用登録をする。ID数は一貫して伸び続けて3月末には372万に達したが、IDを残しつつも有料サービスを中断した休眠会員が存在する。かつてラグナロクで遊んでいた休眠会員を引き戻すために実施するのが、「シリーズ2を始めるような大きな更新」(森下社長)というアップデート。7月に実施する予定で、キャラクターのレベルや職業の設定を広げて長く楽しめるようにする。遊び尽くしてしまったファンの要望に応えた形だ。元ファンを呼び戻すことで課金収入を高め、下期は利用者1人あたりの平均単価を上期の1.5倍に伸ばす計画だ。
 もう1つの課題であるライトユーザーの開拓は今後の成長に必須のテーマになる。ゲームに長時間没頭するほどではないが、移動中や待ち時間にゲームを楽しみたいという層の発掘は、グリーが提供する「GREE」やディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」が近年力を入れる分野だ。
 ライトユーザーの発掘を狙って同社は3月、ラグナロクの携帯版サービスを開始した。GREEやモバゲーのゲームと同じように基本料金を無料にし、ゲーム内でのアイテム購入時に料金が発生する課金システムを採用。入り口のハードルを下げた。携帯版事業で早期に「月間1億円の売上高を目指したい」(森下社長)という。携帯版の開始と同時に前期の1.6倍の広告宣伝費を投じて地下鉄の主要駅に広告を掲載。女性や中高年層にも訴えかける内容で、利用者層を広げる狙いだ。
 10年1~3月期(第1四半期)は前年同期にキャンペーンによる売り上げ増があった反動もあって連結営業利益は56%減の2億4000万円にとどまった。上期を中心に実施する諸施策の効果を見込み、10年12月期通期では増益を目指す。
 8年間コアなファンを維持してきた点は同社の企業努力の裏付けといえるが、裏返せば8年間ラグナロクに多くを依存してきたことにもなる。携帯ゲームなど新サービスの展開が見えた4月の株価は1カ月で約30%上昇したが、第1四半期の決算発表後は軟調な展開に逆戻りした。安定成長を実績で示せなければ、投資家の継続的な買いは入りにくい。
 交流サイトブームで、1人がゲームに費やす時間=ゲーム関連企業にとっての需要は、格段に増えたとも言われる。この波をとらえてゲーム時間の陣取り合戦を優位に進めることができるのか。10年12月期は今後を占う勝負の1年になりそうだ。
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