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「新機軸が出て、非常にいい循環」――CESA和田会長が開会式でコメント【TGS 2010】
 2010年9月16日、国内最大のゲームの祭典「東京ゲームショウ2010」がスタートした。ビジネスデイ2日間+一般公開日2日間という構成で、9月19日までの日程で開催される。今回は新生「東京ゲームショウ」として、中期ビジョンに基づいたB to B機能、BtoC機能の双方を、新企画や新展示コーナーによって強化するとのことだ。
 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の和田洋一会長が開会を宣言した。
 「東京ゲームショウにはお客様方のためのファンイベントという側面と、トレードショーとしての側面があります。お客様方に対しては最高の出展タイトル数が集まり、すばらしい試遊台も置いてあります。ぜひ手にとって楽しんでいただきたいと思います。
 コンソールメーカーからも『Kinect(キネクト)』マイクロソフトがXbox 360向けに11月20日に発売する直感的なゲームコントローラー)、『3DS(任天堂が2011年3月末までに発売を予定している新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」)』、『ムーブ(ソニー・コンピュータエンタテインメントが2010年9月に発売した体感ゲームコントローラー「PlayStation Moveモーションコントローラ」)』といった新しい機軸が出てきました。それに対してソフトメーカー各社がすばらしいタイトルを提供するという、非常にいい循環に入っています。
 トレードショーの観点からも、出展社数では国内が103社、海外が91社とほぼ拮抗している状態です。それだけトレードショートしての機能が出てきているのだと思います。
 今年は『新しいステージにゲームが進んでいこう』というテーマを掲げています。どうか最後まで楽しんでいってください」
 続いて東京ゲームショウを共催する日経BP社の平田保雄社長が登壇した。
 「今年は10回目ということで、一段と盛り上がりそうな気配があります。タブレットPCやスマートフォン、3Dテレビなどハードの面でいろいろなものが出てきており、追い風が吹いています。また、中国パビリオンなど国際化も進んでいます。『東京』と名前がついていますが、国際的なショーになりました。土俵が広がり、環境が変わったことで、一段とこのショーが盛り上がっていくことを期待します」
 続いて、東京ゲームショウを後援する経済産業省の渡辺信一・経産省大臣官房審議官があいさつした。
 「東京ゲームショウはゲーム関係者、ゲームファンにとっての祭典であるとともに、日本からグローバルに展開するゲームの今後の発展の方向性を示す場、ゲームの未来像を体験する場であると思います。その意味からも、日本のさまざまなコンテンツを世界に発信する『CoFesta』のオフィシャルイベントとして大きく位置づけられるものです。
 アジア圏各国におけるゲームビジネスの拡大、スマートフォンなどハードウエアの環境の変化をふまえ、アジアゲームビジネスサミットを開催するなど、新たな取り組みも具体化しました。経済産業省は本日夕方授賞式が予定されている日本ゲーム大賞で今年3回目となる経済産業大臣賞の表彰を行うとともに、『CEDEC(CESA Developers Conference:ゲーム開発者向けカンファレンス)』における人材育成の支援など、ゲーム産業の進展のための環境づくりに努力してまいりたいと存じます」
 最後に、「CoFesta~JAPAN国際コンテンツフェスティバル」の実行委員会副委員長を務める松谷孝征氏が登壇した。
 「CoFestaは世界最高水準にあるわが国のゲーム、アニメ、漫画、キャラクター、放送、音楽、映画、ファッション、デザインといったコンテンツ産業およびその連携分野のイベントやマーケットが一堂に会した世界最大規模の統合的イベントで、皆様からの多大な支援協力により今年4回目を迎えました。
 この東京ゲームショウ2010がゲーム映像音楽などの今までのジャンルを超えたコンテンツ、CoFestaの向かっている世界を感じることができるすばらしいショー、そしてフェスティバルとなるに違いないと今からワクワクしています」
最後に登壇者や出展社のコンパニオンが集まり、テープカットが行われた。



メジャーゲームが勢ぞろい!「iPhone&iPad」コーナー【TGS 2010】
 日本でも急速に普及が進んでいる、アップルのスマートフォン「iPhone」と、タブレット型デバイスの「iPad」。日本だけでなく世界的に人気があることに加え、インターネットを経由して世界中にアプリケーションを流通できることから、ゲームのプラットフォームとしても大きな注目を集めている。
 そうしたことから、今回の東京ゲームショウでは、iPhone/iPadのゲームを展示する専用のコーナーが設置されている。このコーナーにはセガやカプコン、コナミなど大手のゲームメーカーが軒を連ね、iPhoneやiPad用に開発されたゲームを多数展示している。
 iPhoneやiPadはゲーム機と異なり、キーではなくタッチパネルによる操作が主体。そのためタッチ操作や傾きセンサーなどを生かしたゲームが中心となるが、中には「ストリートファイターIV」のように、タッチパネルでジョイスティックやボタンによる操作を再現するというものもある。
 中でも注目すべきは、発売されてまだ1年に満たないiPad。iPhoneと同じOSを使用しておりiPhoneのゲームがほぼそのまま遊べる上、ディスプレイサイズが大きいことから、よりゲームが楽しみやすくなっているのだ。それゆえ、セガの「スーパーモンキーボール2:さくらエディション」のように、iPad専用のタイトルも用意するメーカーも現れてきている。
 依然高い注目を集めるiPhoneと、高いポテンシャルを示すiPad。ゲームの世界でも存在感を高める両機種の今後に、大いに注目したい所だ。



PS3のBlu-ray 3D対応アップデートが9月21日開始に
-TGSで発表。予定より約1カ月前倒し
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は16日、東京ゲームショウ会場で開催したプレスカンブリーフィングで、これまで10月末とアナウンスしていたPlayStation 3(PS3)向けのBlu-ray 3D再生対応アップデートを約1カ月前倒しして、9月21日に提供すると発表した。
 対応システムソフトウェアのバージョンは3.50となる。
 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの河野弘プレジデントは、PS3が国内で500万台を突破するなど、好調に普及が進んでいる事を紹介した上で、今回のBD 3D対応について「この日をもって、国内に500万台を超えるBlu-ray 3D対応プレーヤーが登場する事になる。これはコンテンツ業界にとっても、(3D映像の普及に)大きな追い風になると考えている」と語った。
 Blu-ray 3Dの視聴のためには、PS3本体のほか、3D対応テレビやハイスピード対応のHDMIケーブルが必要となる。なお、PS3におけるBlu-ray 3D再生では音声出力に制限があり、音声出力フォーマットがドルビーTrueHDの場合、ドルビーデジタルとして出力されるほか、DTS-HDの場合はDTSとして出力される。また、コンテンツによっては、メニューや字幕などの3D表現が他の再生機器と異なる場合があるほか、BD-J機能が3D再生されなかったり動作しなかったりする場合があるという。 
 そのほかのVer.3.50の改善点として、「フレンド」機能で、迷惑メッセージを受信した場合、通報できるようになるほか、Facebook対応ゲームからFacebookに公開している情報にアクセスできるようになる。
 ブリーフィングではほかにも、ゲーム「モンスターハンターポータブル 3rd」の発売に合わせ、特別バージョンのプレイステーションポータブル(PSP)「ハンターズモデル」を12月1日に発売する事も発表されている。価格は19,800円。



東京ゲームショウ開幕、任天堂不参加で目玉なしとの声も
 16日から19日まで、東京の幕張メッセで「東京ゲームショウ2010」が開催される。出展各社のソフトの品質や人気、トレンドなどを探る上で貴重なイベントとなっている。
 ソニー傘下のソニー・コンピュータエンタテインメント、コナミ、バンダイナムコホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングスなどが出展企業として参加。株式市場でも注目度が高いイベントだが、任天堂<7974.OS>が例年通り不参加ということもあり、相場に影響を与えるような目玉となる材料は出づらいとの見方も出ていた。 
 きょうの各社の株価動向は前場段階で、コナミが小幅続伸となったものの、バンダイナムコホール、スクウェアエニックスの株価はさえないなど、今のところ「ゲームショウ」をテーマにして物色している様子はない。不参加の任天堂は小動き。同社はこのイベントとは別に9月29日、同じ幕張メッセで「任天堂カンファレンス2010」を開催、新製品「ニンテンドー2DS」の詳細を発表する予定という。
 十字屋証券資金運用グループ・チームリーダーの岡本征良氏は「ゲーム関連の代表企業である任天堂が不参加では、イベント自体の盛り上がりに欠ける」と指摘する。その上で「一方、出展ブースの内容をみると、ハードよりもアプリケーションが中心との印象。一日あたり万単位で出ると言われるアプリケーションで、現実のビジネスになるのが2、3しかない現状を考えれば、このショウで成立するビジネスの金額は、出展企業の株価に影響を与えるようなインパクトはない」と分析していた。
 一方、任天堂については、野村証券がレポートで9月29日に詳細を発表する「ニンテンドー2DS」に関し「株式市場には同製品の発売時期を巡る様々な憶測があるが、中期的に1億台以上の普及ポテンシャルがある」と指摘。さらに、同証券は「東京ゲームショウ2010」の注目点として、ソニーの「PlayStation Move」など3Dソフトの品質や、携帯電話向けを中心とする国内のソーシャルゲーム(ソーシャルネットワーキングサービス上でソーシャルアプリとして提供されているゲームの総称)のトレンドの変化、各社の主力ソフトの人気度合いを挙げていた。
 矢野経済研究所によると、2009年度の国内ソーシャルゲーム市場は前年度比7.5倍の338億円(ユーザーがソーシャルゲームの利用対価として支払った金額の合計で、広告収入は含まず)だった。同研究所では、モバイルゲームの市場規模である約900億円がソーシャルゲーム市場に移行すると分析。2010年度は747億円、2011年には1171億円に達すると予測している。
 東京ゲームショウはコンピュータエンターテインメント協会主催で開催される、日本最大規模のコンピュータゲームをはじめとするコンピュータエンタテイメントの総合展示会。毎年9月頃に開催され、1996年の第1回開催以来、毎年大勢の来場者を集めている。



GoogleのSNSは「レイヤーとして追加」――シュミットCEO
 米GoogleはFacebookに再度戦いを挑むべく、今秋から、自社のサイトにソーシャルネットワーキングサービス(SNS)機能を段階的に導入する計画だ。同社は先月、オンラインコミュニケーションツール「Google Wave」の開発中止を発表したところ。
 Googleのエリック・シュミットCEOは9月14日、記者に対し、ソーシャルネットワーキング機能は単体のサービスとして大々的にデビューさせるのではなく、自社のサイトにレイヤーとして徐々に追加していく方針であることを明らかにした。この取り組みを推進すべく、同氏は引き続き、企業買収も進める方針という。
 シュミット氏はビジネスパートナーや業界の有名人らを集めて開催したGoogle Zeitgeistカンファレンスにおいて、記者らに対し次のように語った。「当社の中核製品それぞれにソーシャルな要素を追加すべく、取り組みを進めているところだ」
 「考えてみれば、明らかなことだ。許可を得た上で、ユーザーの交友関係をもっと詳しく把握できれば、われわれもより的確な提案を行える。検索の質も高められるはずだ」とさらに同氏。
 オンラインではSNSの人気が高まる一方だが、Googleはこれまでのところ、どのような形でこの分野に参入すべきか適切な方法を見極められずに苦戦している。
 同社は先月には、昨年華々しくデビューさせたオンラインコミュニケーションツール「Google Wave」の開発を中止している。また同社が最初に立ち上げたSNS「Orkut」はブラジルとインドでは人気を集めているものの、そのほかの地域では不発に終わっている。
 メディアでは最近、Googleが目下Facebookへの対抗策として「Google Me」と呼ばれる新しいSNS製品を開発中ともっぱらのうわさだ。Facebookは今や世界に5億人以上のユーザーを擁している。ほかには、Googleがソーシャルゲーム市場に参入すべく企業買収を検討中とのうわさも流れている。
 「当社が来週あたり何か大きなプロジェクトを発表するものと誰もが思い込んでいるようだが、そのようなことはない。断言する」とシュミット氏。
相次ぐ企業買収
 アナリストによると、Googleによる最近の企業買収の動きは、同社が着々とSNS機能の強化を進めていることの表れという。
 Googleは今年に入り、小中規模の一連の買収を行っており、例えば、SNS企業のSlideを1億8200万ドルで買収したほか、オンライン航空券検索システムのITA Softwareを7億ドルで買収する計画も進めている。
 シュミット氏はITA Softwareの買収についても、当局の承認を得られるものと予想している。同氏によると、この件をめぐる当局の調査は、Googleが以前にモバイル広告ネットワークのAdMobを買収しようとした際と同じくらいの厳しさという。AdMobの買収は結局、承認されている。
 アナリストによると、最近テクノロジーセクターで企業買収が相次いでいる背景には、評価額が依然低いことがある。評価額低迷は、失速中の経済の影響や、テクノロジーセクターの回復力に対する根強い懸念から来ているという。
 シュミット氏は14日のReutersの独占取材において、近い将来、さらに景気後退が進むことはないだろうとの見通しを示す一方、向こう数年間については、緩やかな成長、あるいはゼロ成長となる可能性を警告している。
 「人々のこれまでの話を総合すると、景気の二番底がやってくることはなさそうだ。向こう数年間は低成長またはゼロ成長が続くというのが、もっとはるかに現実的なシナリオだろう」と同氏。
 「ただし、ハイテクについては事情が異なる。ハイテクセクターは新製品のサイクルと多くの新規投資の恩恵を受けることになりそうだ。そのため、ハイテクセクターに関しては、おそらく米国の平均的な消費者とは異なる結果が出ることになるだろう」とさらに同氏は続けている。



ヤマハ発、国内工場の再編本格化 円高に対応
 ヤマハ発動機は国内工場の再編に本格着手した。このほど磐田南工場(静岡県磐田市)にある二輪車エンジンの生産ラインを、二輪車の車体を組み立てる本社工場(同)に移管する作業を開始。1工場で一貫生産できる体制を整え、輸送コストなどを削減する。今後は船外機などの工場再編も進め、円高でも利益の出せる体質を急ぐ。
 本社工場に9本ある二輪車の車体組み立てラインを6本に集約し、空いたスペースなどに磐田南工場のエンジンラインを移設する計画。磐田南には現在12本のラインがあるが、これも6本に集約し移設する。移設完了時にはエンジン生産から車体組み立てまで一貫して手掛ける6本のセットラインが本社工場内に並ぶことになる。磐田南は金属加工などの拠点に位置付ける。
 8月の夏季休暇から移設作業を開始。2013年をめどに完了させる。磐田南から本社へのエンジンの輸送工程が省略できるほか、管理部門の人員も抑制できる。
 二輪車の在庫圧縮にもつなげる。16年までの次期3カ年計画では、二輪車のフレームの生産工程も本社工場に移管。完全な一貫組み立てラインが整う。
 同社は2月に公表した中期経営計画で、日米欧の先進国向けの製品を造る国内工場の再編を打ち出していた。今回、その第1弾として主力の二輪車の生産効率化に着手した格好だ。
 先進国の二輪車市場は10年に入っても低迷が続いている。円高が進む中でも販売価格を引き上げるのは難しい状態で、先進国事業の立て直しには過剰感のある国内工場の再編が急務だった。
 今後は船外機生産などの工場再編も推進する。二輪車や船外機など製品別に分離していた生産体制の見直しも検討。例えば、二輪車と船外機で共通する部品などについては同じ工場で生産する方針だ。従来の概念にとらわれない再編を敢行し、先進国事業での黒字化を維持する。



中小企業はあってもベンチャーがない
 日本振興銀行が破綻し、初めてのペイオフが行なわれた。この直接のきっかけは、銀行法違反(検査忌避)で強制捜査を受け、木村 剛元会長ら役員が逮捕されたことだが、振興銀の経営については以前から問題を指摘する声があった。「貸し渋り」で困っている中小企業にミドルリスク・ミドルリターンで融資して日本を元気にするというビジネスが、目算どおりいかなかったからだ。
 このビジネスモデルは、木村元会長が竹中平蔵金融担当相のチームに入った2000年代初頭には意味があったかもしれない。当時はどこの銀行も巨額の不良債権に苦しんで融資を絞っていたので、そういう「負の遺産」をもたない新銀行には強みがあった。しかし不良債権の処理が山を越して銀行が中小企業融資を増やすようになってからは、優良企業は銀行から借りるので、振興銀で借りるのは銀行から借りられないハイリスクの企業ばかりだった。
 結果的には、振興銀の業態は中小企業に高利で貸す商工ローンに近くなり、融資残高を増やすために貸金業者の債権を買い取ったことが出資法違反(法定金利を超える利息)に問われた。それが違法かどうかについては法廷で争われるだろうが、これは振興銀の本来のビジネスとは明らかに違う。これは「ベンチャー融資」を行なおうとした新銀行東京の失敗と同じである。
 最大の問題は、日本には中小企業はあってもベンチャーが育っていないことだ。振興銀の対象とした中小企業には投資意欲がなく、借金の返済や資金繰りのための後ろ向きの融資ばかりだった。いまだに一部のエコノミストが「デフレの原因は日銀が資金を十分供給していないからだ」と主張しているが、振興銀のケースでもわかるように、問題は資金供給の不足による「貸し渋り」ではなく、資金需要がない「借り渋り」なのである。
リスクを取って人が動けるしくみ作りを
 日本経済が20年にわたる長期不況から抜け出せない一つの原因も、ここにある。銀行の融資で営業するような中小企業というのは、小売店や飲食店あるいは大企業の下請けのようなローリスク・ローリターンの業態で、経済成長のエンジンになるようなものではない。成長するには従来の企業にないイノベーションによって高いリターンを上げる必要がある。そういう事業はリスクも高いので、年利10%といった融資では貸し倒れ損失をカバーできない。
 したがって日本でも、成功したら何倍にもなる株式による資金調達を増やさないと、ハイリスクの投資は活性化しないが、個人金融資産1400兆円のうち、ベンチャーキャピタルの資金は1兆円程度といわれる。家計貯蓄の0.1%にも満たない資金でさえ余るほど、日本には投資意欲がないのである。この原因は日本経済の将来に対する見通しが暗いこと、高齢化や少子化で市場が縮小してゆくことなどが考えられる。
 根本的な問題は、日本ではそもそも起業が減っていることだ。日本の開業率は、高度成長期には10%以上あったが、90年代以降は5%を下回り、廃業率より低くなっている。企業の新陳代謝がないので、新規の資金需要もないわけだ。このボトルネックを解消しないで、政府が「成長戦略」と称して技術開発などに補助金をつぎこんでも意味がない。必要なのは、起業や転職などによってリスクを取れる環境をつくることだ。
 日本の社会は、終身雇用や系列取引などによって人々が長期的関係を結び、情報を共有して協力することを容易にしてきた。それは従来型の製造業では高い品質や不断の改善といった長所になったが、変化の激しいデジタル技術の世界では、こうした長期的関係は変化に対応する障害になる。
 特に労働市場が長期雇用を前提にしているため転職が困難で、起業のリスクが大きい。長期的関係によってリスクを最小化するしくみが、かえってそこから排除された人々のリスクを非常に高くしているのだ。これを是正するには、長期雇用を前提にした年金・退職金制度を改め、解雇規制を緩和して雇用コストを下げるなどの改革で、人が動きやすくする必要がある。人が動けば、金も動くようになるだろう。しかし菅首相が「雇用が第一」と称して、補助金で社内失業を奨励したり古い企業を延命したりしていては、日本経済が立ち直る見通しは当分ない。
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