((((;゜Д゜)))新聞

マイクロソフトによるアドビ買収話は仮に本当だとしたら賢明な判断か
 マイクロソフトがアドビを買収するのではないかと、もっぱらのうわさになっている。
 事の起こりは先だって、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOが部下を引き連れてシリコンバレーのアドビ本社を訪れ、シャンタヌ・ナラヤンCEOと1時間以上も話し込んだことにある。関係者から漏れ伝わった話として、買収話も含まれていたというのだ。
 もしもこの買収話が本当ならば、iPhoneやiPadで快進撃を続けるアップルに対抗する強力な包囲網が一夜にして出来上がることになる。
 いまさら指摘するまでもないが、アドビはここ数年、アップルの成功の陰で、苦難を強いられてきた企業のひとつだ。アップルはiPhoneやiPadからアドビの動画再生技術「フラッシュ」を閉め出している。
 アドビは長らくアップルと交渉を続けてきたが、4月にスティーブ・ジョブズ自らがオープンレター(公開書簡)でフラッシュをこき下ろすに至って、交渉は硬直化。何十年にもわたって共存関係にあったアドビとアップルは犬猿の仲に陥った。
フラッシュは、ウェブ上の動画や広告の制作に広く使われてきた。だが、iPhoneやiPadの人気を見て、アップルが採用する新しいHTML5へ移行する開発者も次第に増えている。
 さて、アップルの成功を面白く思っていなかったのは、マイクロソフトも同じだ。
 調査会社のガートナーは、2010年の世界のスマートフォン市場では、シンビアンOSが40.1%のシェアを占め、アンドロイドOS、ブラックベリーのRIM、アップルのiOSがそれぞれ15~18%で競り合う中、ウィンドウズ携帯は4.7%にとどまると予想している。特にアメリカでは、iOSとアンドロイドの一騎打ちばかりに注目が集まっている。
 スマートフォン、タブレットコンピュータと、アップルが発表する新しいタイプのデバイスが世間の興奮をかき立てる中で(またスマートフォン分野ではグーグルが中心となって開発を進めているアンドロイド携帯がiPhoneへ熾烈な競争を仕掛けている中で)、マイクロソフトの存在感は、お世辞にも高いとはいえない状況だ。
 もちろん、マイクロソフトもここにきて、ウィンドウズフォン7を搭載した新しいスマートフォン9機を発表。また、クリスマスまでに新型タブレットコンピュータを発表することも明らかにした。そこへ、インターネット上のマルチメディアツールを多数揃えたアドビを加えれば、勢いに弾みがつくのは確かだ。
 だが、仮にこの買収話が本当だとしても、中長期で見て、果たして賢明な判断なのだろうか。少なくとも筆者は確信を持てない。
 アップルはすでに「厳しすぎる」「わかりにくい」とされてきた開発者向けの開発基準を緩め始めている。その中には、フラッシュ解禁につながりそうな項目も含まれており、そうなればマイクロソフトもアドビも別のシナリオを描くことが可能なはずだ。
 また、そもそも開発者は新しい技術のHTML5に重心を移した方がいいという声もある。そして、多角的な製品構成を持つマイクロソフトは、アップルへの競争心にとらわれてフラッシュに執着するのではなく、もっと他の成長分野に投資すべきという見方もある。同社の検索エンジン「ビング」を始めとするウェブ技術やクラウドコンピューティングなどがそれだ。
 ところで、韓国のサムスン電子は近く、アップルに対抗して新しいタブレットコンピュータ「ギャラクシータブ」を発売する予定だが、同社はこれにフラッシュを搭載して、アップルとの違いを際立たせようとしている。
 仮にマイクロソフトがアドビを買収するとなると、買収額は現在の市場価値に基づくと日本円にして1兆円を超えると見られている。果たして、差異化に見合う金額なのだろうか。 



太陽電池先端品、シャープが量産 三洋は発電効率最高
 太陽電池大手が太陽光を高効率で電気に変える先端製品を相次ぎ実用化する。国内最大手のシャープは年内にも堺工場に数十億~100億円を投じ、年間20万キロワット規模の生産ラインを新設して量産する。三洋電機は発電効率が世界最高の製品を2011年2月に発売する。円高の長期化で生産を海外に移す動きも出ているが、両社は技術流出を防ぐためにも先端製品については国内での生産を優先。低価格を武器にシェアを高める海外勢に高性能品で対抗する。
 シャープが量産する新型電池は発電部分のセルにシリコンの結晶を使うタイプ。セルから電気を取り出す電極を、セルの表面ではなく裏面に付ける。太陽光が当たる面積を増やすことで、発電効率20%以上と従来に比べ2割ほど引き上げた。
 セルの裏面に電極を付ける新構造は米国の中堅メーカーが実用化しているが、日本勢で量産するのはシャープが初めて。当面は国内で住宅用などに出荷し、さらなる増産や輸出も検討する。
 シャープは10年度の太陽電池販売目標を前年度比52%増の120万キロワットに設定。今回の能力増強で年間生産能力は107万キロワットに増える。計画の達成に足りない分は外部調達で補う。11年度以降はイタリアの電力会社エネルなどと合弁で、普及タイプの電池をイタリアでも生産する計画だ。
 三洋電機が発売する新製品は、シリコンの結晶にシリコンの薄膜を重ねた「HIT」と呼ぶ独自構造のセルを使う。結晶と薄膜の境界面をなめらかにして、電気が通過する際のロスを少なくする技術を確立した。発電効率は従来に比べ0.5ポイント高い21.6%と米サンパワーの21.4%を上回り、6年ぶりに発電効率のトップを奪還する。
 島根三洋電機(島根県雲南市)や二色の浜工場(大阪府貝塚市)の既存ラインを改良して生産する。セルをハンガリーの工場に輸送して組み立て、11年2月にまず欧州で主に住宅用に出荷を始める。11年前半には滋賀工場(大津市)に組み立てラインを設置して国内でも発売する。
 11年度には新型セルを使う太陽電池を国内外合わせて約5万5000キロワット分販売。既存品を含む同年度の販売量は約60万キロワット分になる見通し。13年度にはパナソニックのプラズマパネル工場(兵庫県尼崎市)で発電効率23%のセルも生産を始める方針だ。
 シャープの世界シェアは首位だった04年の27.1%から09年は5.6%の3位に低下。三洋電機は04年が7位で09年は13位だった。新製品の投入で巻き返しを図る。



シャープの太陽電池事業、インフラ拡大で新ビジネス
 シャープが太陽電池事業で、製品の製造・販売だけに依存する収益構造からの脱却を進めている。22日に太陽光発電所の開発事業を手掛ける米社を最大約260億円で買収すると発表。発電所の建設や運営などインフラ事業を自ら手掛け、価格競争に巻き込まれないビジネスモデルの確立を目指す。
 買収するのは米リカレント・エナジー(カリフォルニア州)。投資ファンドを含むすべての出資者から買収の同意を得ており、年内に完全子会社にする。発電所用地の選定から資金調達、建設計画など多岐にわたるノウハウを取り込む狙い。
 リカレント社は米国やカナダ、欧州で合計200万キロワットに上る発電所の開発案件を抱えており、人事交流を通じた社員の「実地研修」なども期待できる。
 「太陽光発電所の建設や運営、建設資金の調達などトータルで提案する事業モデルを進める」。5月の経営戦略説明会で片山幹雄社長は太陽電池事業の戦略をこう説明した。タイで受注した世界最大級の太陽光発電所の建設や、7月にイタリアの電力会社エネルなどと合弁事業会社を設立した地中海沿岸での発電所建設計画もこの一貫だ。
 ただ、シャープはこれまで大規模発電所を建てたことも運営したこともない。電力会社であるエネルとの合弁は学習機会になり得るが、発電所の建設時期は「2016年末まで」で、時間がかかる。リカレント買収はインフラ事業の拡大を目指すシャープにとり大きな武器になる。
 シャープの太陽電池の世界シェアは漸減傾向で、09年は5.6%の3位。製品輸出ではマイナス要因の円高を買収案件の今回はうまく追い風とし、発電所建設などとの一体提案を進めることでシェア回復を目指す。
 だが、インフラ事業には米ファーストソーラーなども参入。新たな太陽電池の生産拠点も続々と立ち上がっている。競争が激化するなかで優位に立つための独自技術やサービスを打ち出す戦略性が、ますます重要になりそうだ。



東証の時価総額、世界2位から4位に後退 9月末
12年ぶりベスト3外れる
 上場企業の時価総額でみた世界の株式市場ランキングで、東京証券取引所が9月末に4位に後退、1998年から守ってきたベスト3の座を12年ぶりに明け渡した。8月末までは2位だったが、米ナスダック市場と英ロンドン証券取引所が9月に大きく伸び、小幅増にとどまった東証が抜かれた。円高やデフレを背景にした日本株の戻りの鈍さを反映している。
 世界の主要52市場が加盟する国際取引所連盟(WFE)は、各証券取引所の時価総額をドルベースで毎月集計している。東証の時価総額は9月末に円高の影響もあり、8月末比3%増え3兆4237億ドル(約280兆円)だった。これに対しナスダックは13%、ロンドン証取は10%それぞれ増え、東証を上回った。
 景気に敏感なハイテク株が多いナスダックや資源株の比率が高いロンドン証取には、先進国の金融緩和期待を背景に資金流入が続いている。一方、日本株は円高やデフレで企業業績の回復速度に減速懸念が出ており、上値の重さが目立つ。



日経社説
車生産の海外移転に政府は危機感を
 自動車の生産が海外に出て行く動きが止まらない。日産自動車が主力小型車の生産をタイに移したのに続き三菱自動車、スズキもタイやインドでの生産の開始・拡大を決めた。最大の製造業である自動車産業の動きに政府は危機感を持つべきだ。
 三菱自動車は2012年からタイ新工場で生産する小型車を日本にも輸出する。スズキはタイの新工場を東南アジアへの輸出拠点とする。
 生産移転先として人気のあるタイは、燃費の良い車を生産する企業に8年間も法人税を免除するなど自動車産業の誘致に積極的だ。しかも東南アジア諸国連合(ASEAN)の域内や豪州と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、これら地域への輸出拠点としても魅力がある。
 対照的に日本は「世界で最も立地しにくい国」との声が増えてきた。人口減少で国内市場は縮小に向かい法人税が世界最高水準だ。FTAも経済連携協定(EPA)も近隣諸国に出遅れ、労働規制は強まる方向。それに加え昨今の円高である。
 11社ある日本の完成車メーカーの海外生産規模は3年前に、国内の生産を上回った。それを加速したのは部品メーカーの海外進出だった。中国や東南アジアで現地調達率が9割に達するメーカーが珍しくなくなり、どこでも車を生産し輸出できる態勢ができあがろうとしている。
 自動車は大きな資本設備が要るので、繊維や家電に比べ海外生産で遅れたが、ここまで来た。それは製造業全体の行方を示唆している。
 市場が新興国で拡大する以上、自動車など製造業が海外に出る流れは止められない。だが貿易自由化や税制、労働規制の見直しを進めなければ、中高級車など付加価値の大きい製品も生産が海外に移り、給料のよい仕事が大幅に減る恐れがある。
 まず法人実効税率の引き下げや、経済連携協定の拡大を進める必要がある。自動車生産の海外移転は今後2~3年で200万台規模(年産)にも達するとみられており、連携協定や法人税減税は急を要する。
 一方、国内にぜひ残したいのは開発機能だ。日産は研究開発の一部も国外に移しつつある。それでも環境規制への対応など日本でしかできない分野が多く、国内の研究開発要員は減らしていない。
 試作ラインを立ち上げ、そこで得た成果を研究開発に生かす「マザー工場」などは日本の得意分野だ。それを国内で続けやすくする税制や規制緩和も要るだろう。製造業の未来を暗示する、自動車業界の動きに民主党政権は敏感であってほしい。
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