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パチンコホールが日本から消える日 不動産より深刻、店舗数激減の裏側(COLUMN1)
 ある経営コンサルタントが集計・推計したデータが手元にある。昨今の世界的な金融危機のあおりを受け、新興の不動産開発会社(デベロッパー)を中心に不動産関連企業が大量に淘汰されているのはご存知の通り。しかし、不況のどん底にある不動産よりも一層深刻な業界がある。
 この業界こそ、駅前商店街や郊外商業地に必ず1軒や2軒は存在する庶民の娯楽、パチンコホールなのだ。ホールの経営破綻が主要メディアをにぎわす機会は極端に少ない。ただ、店舗数の多さ、利用者の裾野の広さは無視できないものがある。まして、これが地銀を中心とした中堅中小の金融機関の足かせになっているとしたら、なおさらだ。
逆風と大津波、負のスパイラルが直撃
 2007年から2008年にかけてパチンコホールの数が激減した背景には、主に2つの要因がある。
 1つは、射幸性が高く、莫大な利益を業界にもたらしたパチスロ機(通称「4号機」)への規制が全国各地の公安委員会の下で強化されたこと。俗に言う「4号機バブル」が弾けたことで、業界は震撼した。
 もう1つは、貸金業法改正に伴い、消費者金融業界のホール利用者向け貸し出し姿勢が厳格化したことがある。
 4号機バブル崩壊後、パチンコホールは射幸性を抑えた5号機を導入せざるを得なくなり、「総入れ替えによる設備費急増が経営を圧迫した」(コンサルタント筋)という。5号機への移行で客足が遠のいたことも売り上げ急減につながり、「業界全体への逆風となった」(同)という構図だ。
 もう1つは、「ギャンブル中毒の主婦層や若者層の急増が社会問題化し、貸金業法が改正されたことが響いた。換言すれば、今まで借金してまでパチンコホールに足を運んでくれた客がいなくなった」(別のコンサルタント)というのだ。「4号機バブル崩壊という逆風に加えて、貸金業法改正という大津波が業界を襲った」(同)。2つのネガティブな要素が、過去に例を見ないほどの店舗数激減に直結したのだ。
 また2007年4月、業界6位の福島県の大手ホールが民事再生法の適用を申請して事実上倒産。「この1件が銀行のパチンコホール不信につながった」(大手銀行筋)とされ、業界を取り巻く負のスパイラルが短期間のうちに顕在化した恰好だ。
パチンコ業界は今や中小金融機関の頭痛の種
 今春以降、都内で常時満員となる経営セミナーがある。テーマはずばり、「パチンコ業界の再編・再生」。
 セミナー会場には、全国各地から参加者が集まる。出席者の約9割は地銀、第二地銀、信金、信組の中堅中小金融機関の融資担当者、あるいは企画担当者が占める。
 セミナーに来場した関係者に話を聞くと、「各種の業界リポートでパチンコ人口の減少が伝えられているうえに、扱いの業者がバタバタと倒れたので今後の方策を練りにきた」(地銀筋)という向きが大半。パチンコホールは、全国津々浦々に店を構えている。娯楽の少ない地方では、存在自体が必要不可欠と言える地域も少なくない。
 金融機関側にとっても、地方経済が年々疲弊する中にあってパチンコ業界は数少ない安定的な貸出先だったのは明白。
 が、昨年から状況は一変した。「射幸性の高い機種で高い利益率を稼ぎ出していた優良顧客」 (信組筋)だったパチンコ業界。それが「現在は不良債権予備軍、あるいは不良債権に化け、経営上頭痛の種になっている」(同)というわけだ。
 まして、現在は首都圏や大都市圏の不動産バブルが弾けたばかり。にわかバブルに便乗した地方ゼネコンのいくつかが倒れ、それぞれの地元経済界に暗い影を投げかけている最中だ。今後、地方経済の冷え込みが一段と厳しくなることが確実視される中、「パチンコホールの客足が落ちるのは確実」(同)。そのため、セミナー受講者の表情は真剣そのもの。言い換えれば、冒頭に記したコンサルタント筋の「2009年 ・・・8000店」という予測数値が、今後さらに低下する公算があるわけだ。
 パチンコ業界のメーンバンクである中堅中小金融機関の経営体力、すなわち貸し出し余力が日増しに低下しているのは明白。かつて庶民の娯楽の王様とも言われたパチンコ。業界全体の浮沈は、今後1~2年で決しようとしている。



危機から復活を遂げたカプコンは世界企業に変われるか(COLUMN2)
 日本のゲームソフト大手6社の2009年3月期決算が出そろった。増収増益を達成したカプコンは、売上高が前の期比10.6%増の918億円、営業利益が同11.4%増の146億円だった。世界的にソフト会社の業績が悪化するなかで、ひとり気を吐いている。
■かつて直面した危機
 大きく業績を伸ばしている企業は、必ずその要因が何年か前に仕込まれているものである。カプコンの場合、経営悪化に直面した03年3月期がそれだった。
 03年3月期決算でカプコンは、195億円の最終赤字を計上した。開発中だった18タイトルを中止して50億円の特別損失を出し、株価も大きく下落した。市場には米エレクトロニック・アーツよる買収交渉が行われているという情報が流れ、結局カプコン側がアーケード部門を残すことにこだわり決裂したといわれている。
 当時のカプコンは「マルチプラットフォーム戦略」を採っていた。ただそれは、1つのタイトルをゲーム機やパソコンなど様々なハードに展開していくという意味ではない。プラットフォームごとに独占タイトルとして提供し、プラットフォームホルダーから特別の配慮を得ようというもので、ユーザー本位とは決して言えない戦略だった。
 特に大きな失敗は「プレイステーション2(PS2)」が普及期に向かう最中の01年に、「バイオハザード」シリーズを任天堂の「ゲームキューブ」の完全独占タイトルにすると宣言したことだ。
 これが有力ブランドタイトルに傷を付ける結果になった。このころはまだPS2向けのゲーム開発が技術的に困難で、現場の反発が大きな理由だった。しかし、ゲームキューブはPS2とのハード競争に敗れ、カプコンは看板タイトルでの収益機会をみすみす逃すことになる。
 しかもゲームキューブ向け第一弾となる「バイオハザード4」は発売が05年1月と大きく遅れ、その直前になってカプコンはPS2への移植版もリリースすると突然発表した。これがユーザーの不興を買い、経営の混乱という印象も与えた。
 当時の様子から、今のような好業績企業の姿を想像するのは難しい。危機を乗り切ったことで、カプコンは強いソフト会社へと生まれ変わった。
■「対義語の組み合わせが成功を生む」という思考法
 では、カプコン内部でどのような変化が起きたのだろうか。最も大きいのは、経営と開発が協力しあう体制が築かれたことだろう。開発と営業との関係も強くなった。
 その象徴的な存在が、開発トップを務める稲船敬二氏だ。
 稲船氏は「ゲーム開発者会議2007」で講演した際、カプコンの経営陣を「ゾンビ」と呼んで話題になった。開発部門の考えを理解しようとせず、ただ売れるかどうかしか考えない経営者の姿を皮肉ったのだ。
 しかし、昨年9月の「CESA」では逆に、経営を理解しようとしない開発者を「甘えている」と言い切った。「いいものを作るために制作期間を延ばして何が悪い。ユーザーが喜べばいいじゃないか」という姿勢はダメだという。作り手側も収益や株価を無視せず、市場でどう評価されるかを考えなければ「ヒットが出せない」と稲船氏は述べている。
 ゲーム業界に限らず、「経営」と「開発」は水と油ほどの対立関係にある。この対立を解くことで企業が成長するように、対義語をうまく組み合わせることで成功のチャンスは生まれるという。
■ハイエンド機と海外市場へのシフトに成功
 カプコンはこの3年あまりの間、欧米市場へのシフトとハイエンド市場へのシフトという2つの移行を同時にやってのけた。前世代のプラットフォームでは移行に失敗して苦しんだが、現行世代の「Xbox360」と「プレイステーション3(PS3)」では最も移行に成功した日本企業となっている。
 マイクロソフトの初代「Xbox」は日本でまったく販売結果を残せず、多くの日本企業は04年当時、「Xbox360のゲーム市場には可能性がない」と判断していた。また、海外市場向けタイトルの開発も、「嗜好が異なる日本人には難しい」という考え方が業界内では支配的で、本腰を入れる企業は少なかった。
 ところが、稲船氏はこれを対義語と捉えて、あえて取り組んだ。無謀な挑戦にも見えるが、それをどのように戦略的に解決するかという方法論がカプコンの新しい強みを作り出すと考えた。
 その結果としてカプコンは、マルチプラットフォーム対応の自社製ゲームエンジンである「MTフレームワーク」を05年後半に開発した。そして、それを使って開発した「デッドライジング」や「ロストプラネット」が欧米地域でヒットし、日本のゲーム会社のなかではハイエンドゲーム機市場で最も成功した1社となっている。
■苦しいなかで進めた北米でのマーケティング
 欧米市場では、販売チャネルやマーケティング手法もゼロから作り直した。
 カプコンが苦境にあったときに手を打って成功したのが、04年1月に米ラスベガスで開いたプレス向けのカンファレンスである。主要な欧米のゲームメディアを自社負担でラスベガスに集め、新作タイトルを発表した。そもそも「バイオハザード4」の発表のために企画したものだったが、現在では毎年定例になっている。
 当時、ゲーム展示会「E3」の会期に合わせたプレスカンファレンスは各社が行っていたものの、ソフト会社が単独で開催するという習慣は欧米企業にもあまりなかった。
 今年は4月29日に米モンテカルロで「Captive09」という名称で開催し、「デッドライジング2」「ロストプラネット2」といった今年の目玉タイトルの最新ムービーを発表している。E3は6月に開催されるが、それを約1カ月先行するかたちでプロモーションし、効果を高めようとしている。最近は、欧米企業もカプコンに追随して似たようなプレスカンファレンスを開くようになってきた。
 「ストリートファイター4」の250万本(日本25万本、北米140万本、欧州85万本)、「バイオハザード5」の440万本(日本75万本、北米195万本、欧州170万本)という大ヒットは、これらの積み重ねによって成り立っている。
■海外企業との提携タイトルに注目
 カプコンは、中期目標として「売り上げ10%成長、営業利益率15%」を掲げているが、その実現には規模の拡大を追求せざるを得ない。ソフト開発では、200万本以上のダブルミリオンタイトルを、毎年3~4本リリースし続ける必要があるだろう。
 08年度の場合は、バイオハザード5、ストリートファイター4、「モンスターハンターポータブル2ndG」(日本のみ220万本)の3タイトルがダブルミリオンを記録した。これだけでカプコンのゲームの販売本数の53%を占めるが、今後の成長には、さらに1~2シリーズの大型タイトルを育てなければならない。
 今期に発売を予定する主要タイトルは、「ロストプラネット2」(販売計画270万本、Xbox360ほか)、「モンスターハンター3」(販売計画200万本、Wii)、「Dark Void」(販売計画200万本、Xbox360、PS3、PC)、「モンスターハンターポータブル2ndG(海外版)」(販売計画90万本、プレイステーションポータブル)がある。
 特に着目すべきは、米Airtight Gameとの提携で開発するアクションゲームのDark Voidで、200万本を販売するという計画だ。すべての開発を自社内に抱え込むのは、コスト面でのリスクが高い。海外スタジオとの提携で開発するケースは今後さらに増えるだろう。
 カプコンは、日本を土台にしながら、パブリッシャーとして世界企業に変わろうとしている。提携タイトルをヒットさせることができるかどうかが問われる今期に、その実力が試されるだろう。
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