(#゜Д゜)/新聞

小型化と値下げへの挑戦 ムーバとPHSの誕生(COLUMN1)
 ■コンパクトで安く 普及一気に
 携帯電話の普及は、端末の小型化と料金値下げへの挑戦の歴史でもある。
 昭和60年にショルダーホンを出した日本電信電話公社(電電公社・現NTT)は、62年に早くも片手で持つことができるハンドヘルド型の携帯電話を国内で初めて発売した。その後も小型・軽量化に取り組み、平成2年に「世界最小」の試作機種が誕生した。この試作機は、移動できるを意味する「movable」から「ムーバ」と名付けられ、携帯の急速な普及の起点となる。
 ムーバの登場から2年後の4年には、民営化されたNTTの持ち株会社化に伴い、携帯専業のNTTドコモが誕生する。ドコモは、端末の性能向上に加え、料金引き下げやサービスの向上を進めた。
 ドコモが誕生した当時は、携帯を契約するには10万円の保証金を含め15万円の初期費用が必要だったが、3年10月に保証金を廃止。この結果、携帯契約者の純増数は、それまでの月平均1万3000件から5万件にまで急増した。
 また11年には、携帯からインターネットなどを利用できる「iモード」サービスを開始。音声での通話にとどまらない、情報端末への進化が始まった。
 ■女子高生が殺到
 “安さ”でケータイ普及のもう一つの足がかりとなったのが、PHSだ。
 7年7月にDDIポケット(現ウィルコム)とNTTパーソナルが東京と札幌でサービスを開始。10月には電力系のアステルも参入し、3グループが全国サービスを始めた。
 「家庭や会社の電話の子機を屋外でも使えるようにする」というコンセプトで開発されたPHSは、電波のやり取りをするアンテナを小型化し、初期投資を押さえ、携帯よりも低価格のサービスを実現した。
 例えば、月額基本料金は当時、携帯が6900~8400円だったのに対し、PHSは2700円。3分あたりの通話料金も携帯の150~300円に対し、最低40円だった。
 ビジネス利用が中心の携帯に対し、PHSは個人利用を開拓。女子高生が「ポケットベル」から「ピッチ」に乗り換え、急速に勢力を拡大。サービス開始から2年後の9年には加入者が700万人に達した。
 その後の携帯の料金値下げで、優位性を失い、“衰退”の道をたどるが、ケータイを若者に身近な存在にしたという点で、PHSが果たした役割は大きい。
 「話す道具」から「使う道具」になったケータイを、さらに最先端のモバイル情報端末へと進化させたのが、NTTドコモが平成13年10月にサービスを開始した第3世代携帯「FOMA(フォーマ)」だ。
 フォーマの端末は、当時としては画期的な毎秒384キロビットの高速通信を実現し、音質の良さや海外でも使えるなどの多機能から、“未来の携帯電話”などと呼ばれた。
 もっとも、当初から順風満帆だったわけではない。当時の電話端末が上位機でも3万円弱だったのに対し、フォーマは3~6万円程度もした。さらに多機能化に端末の開発やインフラ整備が追いつかず、電池がすぐに切れてしまったり、通話エリアが限定的だったという弱点も抱え、販売は低迷した。
 それでも、ドコモは電池の改善や通話エリアの拡大といった地道な取り組みを進め、15年9月には、ムーバなどの第2世代端末の契約者数が初めて純減に転じる一方、フォーマの契約者数が過去最多を記録し、100万人を突破。潮目が大きく変わった。
 第3世代で躍進したのが、KDDIだ。同社の「cdma One」は、フォーマとは異なる電波の周波数帯を利用し、通信速度も遅かったが、1万円台の安い端末と、歌声の楽曲を着信音にできる「着うた」で、一気に勢力を拡大した。
 第3世代で出遅れたのが、J-フォンだ。14年2月に英国の「ボーダフォン」ブランドでサービスを開始。だが、写メールやネット接続機能が使えないなど出だしでつまずき、その後も苦戦が続く。
 結局、18年にソフトバンクが英ボーダフォンの日本法人を買収し、J-フォンの事業を引き継ぐことになる。ソフトバンクは、高速通信に加え割安な料金プランを次々に導入し、契約の純増数では、ドコモとKDDIを圧倒する存在となっている。
 第3世代の登場は、「通話」「メール」が主体だった携帯サービスを一変させた。通信速度の高速化はとどまることを知らず、22年には第3世代を究極にまで技術革新した「3・9世代携帯」が登場する。



大画面で廉価、iMac好調…でも「ウィンドウズ互換」まだ浸透せず?(COLUMN2)
 日本のパソコン市場で米アップルが、大手メーカーのシェアを徐々に切り崩している。その原動力になっているのは、3月に発売したデスクトップパソコン「iMac(アイマック)」。同機の好調で、4月の同タイプ国内販売台数は、前年の約1.6倍と大幅に増加。この勢いに乗って上位進出を狙うが、一方で「ウィンドウズ互換の知名度不足」といった弱点も浮かび上がってきた。日本市場でアップルの実力が試されることになる。
破格の15万8800円
 アップルが発売したデスクトップ型(全4機種)は、20型と24型の大型液晶モニターを採用しつつ、低価格に設定したのが特徴。なかでも24型の下位モデルは希望小売価格が15万8800円と、大画面タイプとしては破格の値段。調査会社のGfKによると、4月の同社デスクトップ型販売台数は前年同月比58.9%増となり、シェアも3.3ポイント上昇の8.8%に拡大した。
 アップルの攻勢に対し、国内メーカーは「大画面タイプに需要があることを示した」(富士通の藤田康夫・パーソナルマーケティング統括部プロジェクト課長)と評価する。
 デスクトップ型は値下がりが激しいノート型に押され、市場が年々縮小。MM総研によると、08年度は全体で1.8%伸びたのに対し、デスクトップ型は15%も落ち込んだ。
 国内メーカーは、地上デジタル放送への移行をにらみ、大画面液晶やテレビ機能、ブルーレイディスクレコーダーを搭載した付加価値の高い商品に力を入れている。ある国内メーカー関係者は「大画面型を定着させてくれれば、高付加価値商品の販売が拡大し、デスクトップ市場が活性化する」と期待する。
 アップルも今回の大ヒットをバネに、現在4.9%(4月)にとどまる日本でのシェア(順位は9位)を高める計画だ。だが、アップルの“功績”は認めながら「パソコンが日用品化するなか、信頼性では国内メーカーに劣る」(日本メーカー)との厳しい評価もある。さらに「高いという印象があるうえ、基本ソフト(OS)として広く普及するウィンドウズも使えることが、まだまだ知られていない」(同)と決定的なネックの指摘もある。
利便性に差はなし
 確かにアップル製パソコンは、一般的なユーザーからはデザインなど特別な用途に使う「別もの」とみられてきた。このため2006年1月、心臓部品のCPU(中央演算処理装置)をIBM製からウィンドウズパソコンの多くで採用されているインテル製に変えた。07年秋にはパソコン上でウィンドウズも使えるようにし、用途に応じたOSの使い分けを実現。この戦略転換でウィンドウズパソコンとの利便性の差はなくなった。
 ライバル他社がアップルの国内販売には限界があるとみるのに対し、一部の専門家は「日本でもシェアが上がる余地はある」(MM総研の中村成希・パーソナルネットワーク研究グループアナリスト)と分析する。
 アップルが日本に本格的に受け入れられるかは「別もの」の意識がどこまで薄れていくかにかかっている。



【産経主張】次世代スパコン 国家基幹技術に黄信号だ
 国家基幹技術の一つに据えられている次世代スーパーコンピューターの開発計画にかげりが生じた。開発を担当してきたNECなどが自社の業績悪化を理由に撤退を表明したためだ。
 このスパコンは、平成22年度の稼働、24年の完成を目指しており、神戸市中央区で施設の建設も始まっている。
 毎秒1京(けい)(1兆の1万倍)回という驚異的な計算速度を誇る世界最高のスパコンだ。生命科学やナノテクノロジーの研究に活用され、画期的な成果をもたらすと期待されている。
 文部科学省の主導の下、政府系研究機関の理化学研究所が中心となり、3年前からNECなど3社が共同開発に参加してきた。
 スパコンの性能には、開発国の総合的な科学技術力が反映される。7年前に日本のスパコン「地球シミュレータ」が世界1位になったとき、抜き去られた米国は、ニューヨーク・タイムズ紙の1面で、衝撃を大々的に報じた。
 最先端のスパコンはそれほど重要なものである。再び世界をリードしようという夢は、世界不況の波に直撃されてしまった。
 日本の生命線は、科学技術力とそれに支えられた高度なものづくり力に存在する。スパコンはその基盤にかかわるものである。
 文部科学省や理化学研究所は、NECが外れても、次世代スパコンを世界最高速にすることは、可能だと説明している。だが、残る富士通だけでは、本来目指していた、特色ある複合演算システムの実現は難しい。
 NECを何らかの形で経済的に支え、当初計画通り開発を続行させることはできないか。国費を特定の企業に投入することに、批判的な声があるとしても。
 これは単なる企業救済とは異なる。日本が国際社会で生きていく国家基幹技術の完遂のためである。政府による戦略的投資が検討されてよいはずだ。NECには先端技術の継承という本来の技術者魂を奮い起こしてほしい。
 スパコンによるシミュレーションは、理論や実験と並ぶ科学技術研究の手法としての価値が急速に増している。現代の研究開発のインフラだ。もたらされる成果は世界への貢献にもつながる。
 今回は大型プロジェクトが思いがけない形で揺らいだ。原子力や宇宙分野など他の国家基幹技術は大丈夫か。総点検が必要だ。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:moblog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。