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NTTドコモの夏モデル、本当に注目すべきはAndroidより“iモードの激変”(COLUMN1)
 2009年5月19日に、NTTドコモの新機種・新サービスが発表された。国内で初めて、OSにAndroidを搭載した“Googleケータイ”が大きな注目を集めたが、真に注目すべきポイントは“iモードブラウザの大幅な進化”といえる。
 iモードをはじめとする携帯ブラウザは、これまでXHTMLやFlashが使えるようになるなど地道ながら着実に進化を遂げてきた。とはいえ、基本的に10年間、クラシカルなHTMLベースのシンプルなWebサイトが閲覧できるのみであることには変わりはない。それゆえ自由なレイアウトができない、JavaScriptが使えないなど、表現力が著しく向上するPCのWebブラウザ環境とは大きく異なる存在だった。
 だが、今回の夏モデルから、いくつかの機種にiモードの新しいブラウザである「iモードブラウザ2.0」が搭載された。新バージョンでは、従来のiモードブラウザと下位互換を保ちながら、容量を500KBに拡大。さらに左右キー操作の対応、JavaScriptやフレーム、より多くのスタイルシート、そして他キャリアでは既に対応済みのCookieやリファラーにも対応するなど、PCのWebブラウザ環境に大きく近づけてきたのである。
 iモードブラウザの進化はそれだけではない。例えば、Flash関連でいえば、Flash Videoの表示が可能になったほか、従来不可能であったカーソルキーの左右を使った操作に対応し、「Flashのゲームはなぜかテンキーで遊ぶ」という不自然なインターフェースから解放されることとなった。
 こうした進化によって、iモードサイトの表現力は劇的に向上しただけでなく、PCのWebサイトで利用されている技術や手法がそのまま使えるようになったことは大きい。例えば、Googleマップのようにリアルタイム操作が可能なAjaxアプリケーションや、YouTubeのようにブラウザ上で動画を再生できるWebサイトも、携帯サイトで作成できるようになったのである。
ブラウザの進化で携帯サイトはPCサイトに近づく
 実は、同じNTTドコモの携帯電話に搭載されている“フルブラウザ”においては、以前からJavaScriptに対応しているなど、PCのWebブラウザに近い性能を備えていた。さらに905i辺りからはAjaxアプリケーションも利用可能となるなど、今回実現した技術の多くは、性能的に従来機種でも対応できないわけではなかった。
 むしろ既に広く利用されており、仕組みが定着していることや、表現力が低く自由度が少ない分セキュリティ性が高いなど、従来のシステムに相応のメリットがあったことなどが、ブラウザの進化を阻んできたといえるかもしれない。
 だが今回、携帯サイトのけん引役を担ってきたNTTドコモ自身が、その環境を破壊する革命的な進化を遂げることとなった。割賦制による端末普及速度の低下から、普及には相応の時間を要するだろうが、今後携帯サイトの環境がPCサイトに大きく近づいたといえるだろう。
 しかし、その一方で懸念もある。例えばJavaScriptやCookie、リファラーなどが利用できるということは、(仕組み上ウィルス感染の可能性は低いとはいえ)スクリプトによるページの改ざんや、トラッキングによる情報の流出といったリスクがPC並みになることも意味する。説明員によると、JavaScriptでページソースの参照ができないよう制限するなど、いくつかのセキュリティ対策を施しているというが、それでも従来のiモードブラウザの環境と比べれば、不安要素が高まってしまうのは事実だろう。
 またWebサイトを制作する側からすると、表現力の向上は手間が膨大になることも意味する。しかも先にも書いた通り、割賦制によって新端末の普及速度が低下していることから、今後長きに渡ってiモードブラウザ1.0と2.0の環境が混在することが予想される。
 表現力が大きく異なるブラウザに対して、それぞれのWebサイトを用意しなければならないというのは、携帯コンテンツを手がけるコンテンツプロバイダー(CP)などにとって大きな負担だ。新しいブラウザの環境を普及させるには、こうしたCPの負担を減らすための取り組みも必要になってくるように思う。
iモードブラウザ以外にも注目すべきサービスが
 iモードブラウザ以外にも、サービス面では注目すべき点が多く見られた。そのうちのいくつかを紹介しておこう。
 1つは、iモードのトップページに用意された「マイニュース」。これは一言でいってしまうと“RSSリーダー”なのだが、公式サイトだけでなく、一般サイトやPCサイトのRSSフィードも登録可能となっており、好みのニュースや情報を自分で登録し、手軽に読めるようになっている。
 既にiモード検索によって一般サイトへのアクセスが可能となり、さらにiモード公式サイトにコミュニティや動画共有サイトが存在するなど、ここ2、3年でiモードのオープン化は少しずつではあるが進んできている。だが、一般サイトだけでなく、PCサイトまで意識したサービスを展開するというのは、先のiモードブラウザ2.0を含め、PC・携帯電話という環境を問わなくなりつつあるという意味で、大きな変化といえるだろう。
 もう1つはBluetoothのペアリング作業を、FeliCaを使って簡単にできるようにする「iアプリタッチ」。これはiアプリ上からのみの利用ということで、携帯電話上でBluetoothを使った対戦ゲームをやりやすくすることを目的としたサービスである。
 現在のところ、iアプリタッチはあくまで端末同士の認証手段でしかない。しかし、操作が複雑なBluetooth機器との認証を簡易化する手段としては、注目に値するだろう。無論、一般的なBluetooth機器との認証を実現するには、Bluetoothに加え国内ローカル規格のFeliCaチップを搭載する必要があるため、色々な意味でハードルが高い。だがそれがクリアできるのであれば、Bluetooth機器の利用を大幅に改善し、普及の糸口をつかむ可能性があるだろう。



GM破綻はマスメディアにとって「他山の石」(COLUMN2)
 米国のゼネラル・モーターズ(GM)が米連邦破産法11条の適用を申請しました。日本でも各メディアがこれを大きく報道し“GMの解体は自動車産業の構造変化の象徴でもある”と論評していましたが、それを読んで思わず笑ってしまいました。テレビ局も新聞社も、自らはGMと同様な構造変化に直面しても抜本的な構造改革を先送りしているのに、他業種については正論を吐いているからです。
メディア・コングロマリットの
解体は構造改革
 米国の代表的なメディア・コングロマリットであるタイムワーナーは、今年に入ってCATVとAOLをグループから切り出し、コンテンツ企業へと変身しました。メディア・コングロマリットの終焉の始まりとも捉えるべき大変革ですが、これは、マスメディアを取り巻く構造変化への対応、即ち構造改革に他なりません。
 インターネットの普及により、それまでマスメディアのコアコンピタンスであった流通経路の独占が崩れました。テレビ局にとっては電波の割当が、また新聞社にとっては大量の印刷・配送という巨大資本の必要性が、それぞれ流通部門で参入障壁を形成して独占のメリットをもたらしたのですが、インターネットがそれを破壊したのです。
 米国のすべてのメディア・コングロマリットは、流通部門におけるそうした変化に対応すべく、過去数年に渡って新たな流通経路であるインターネット上でのコンテンツ配信に腐心してきました。しかし、様々な試行錯誤の結果、ネット企業が構築したプラットフォーム上でコンテンツを提供してもほとんど儲からないなど、インターネットの活用について多くの貴重な経験を得ました。
 タイムワーナーの今回の動きやディズニーの「Hulu」への資本参加/番組提供などは、そうした試行錯誤の経験を踏まえ、メディア・コングロマリットが構造変化に対応して生き残って行くために大胆な構造改革を断行したものと理解できます。ある意味で、GMの二の舞にはならないという強い意思の現れなのかもしれません。米国の一部の新聞社が紙の発行を止めたことなども、その正否はともかく、同じコンテクストで捉えられます。
構造改革が遅々として進まない
日本のマスメディア
 こうした米国のメディア・コングロマリットのダイナミックな動きと比べて、日本のマスメディアはどうでしょうか。多くのところで社内的には様々な検討をしているようであり、その成果として多少の取り組みを始めているところもあります。しかし残念ながら、抜本的な構造改革に取り組んでいるところはほとんどないように見受けられます。
 それは何故でしょうか。GMの構造変化への遅れは正しく論評できるのに、いざ自分の会社のこととなるとなかなか迅速かつ大胆な意思決定ができないという、ある意味で非常に日本企業的な部分が災いしているように見受けられます。ちょうど、財政政策については正しく論評できるのに、いざ金融政策になるとまったくダメな日本銀行と同じです。マスメディア各社の現場で頑張っている人たちは皆分かっているのに経営層が決断できない、というか先送りしている構図が目に浮かびます。
 しかし、日本のマスメディア各社がGMについて正しく論評しているように、構造変化への対応が遅れれば遅れるほど致命傷となりかねません。特に、マスメディアはジャーナリズムという民主主義の基盤を担っているのですから、その構造改革の遅れは、GMの構造変化への対応の遅れが米国経済にもたらす影響以上に甚大となる可能性があるのではないでしょうか。
BeeTVという黒船の出現
 日本のマスメディアの構造変化への対応が遅れる中で、エイベックスという音楽の会社が、BeeTVという世界初の携帯専門放送局を始めました。ドコモのプラットフォーム上で、8チャンネル21番組を月額315円で提供するものです。ドラマやトークショー、音楽番組と、テレビと同じクオリティの番組が揃っていますが、各番組は3~8分程度と携帯というフォーマットに合った長さになっていて、ユーザはどこででも暇つぶしの道具として気軽に視聴することができます。
 マスメディアが直面している構造変化の影響は、既に様々な事象として現れています。若者世代のマスメディア離れはその顕著な例でしょう。他にも、コンテンツの競争相手の増加(=余暇を過ごす手段としてのメールやコミュニティなどの選択肢の増大)、多忙な現代人のメディア消費行動の変化など、幾らでも例示できます。
 一方、米国のマスメディアの試行錯誤から、既に様々な教訓が明らかになっています。ネット上での広告モデルは儲からない、他の媒体で無料で見られるコンテンツにネット上でお金を払う人は少ないなど、挙げ出したら枚挙に暇がありません。
 BeeTVはこれらの事実や教訓を踏まえたビジネスモデルとなっています。すべてオリジナル番組、有料課金モデル(広告はなし)、携帯という今や国民にもっとも身近なプラットフォームの活用、コンテンツの二次/三次利用の想定など、ビジネスモデルとしてたくさんの特徴を持っています。もちろん、それが成功するかはまだ誰にも分かりません。しかし、5月1日のサービス開始以降の1ヶ月で、会員数は33万人を突破したのです。この事実は、こうした新しいプラットフォームを活用した新たなメディア・サービスに対するニーズがちゃんと存在することを示しているのではないでしょうか。
 そう考えると残念なのは、なぜマスメディアの側がこうした新しいビジネスモデルへの取り組みを始めなかったのか、ということです。マスメディアが直面する構造変化は、収益の急速な悪化という非常にリアルな形で示されているにも関わらず、音楽という他業種の企業に先を越されてしまったというのは非常に残念ですし、もったいないように思えます。
 日本のクリエイティブ産業の屋台骨を支えるのはマスメディア、特にテレビ局です。だからこそ、GMの凋落の原因をちゃんと理解できている関係者の皆さんには、BeeTVを超える新しい取り組みを始めていただけることを強く期待したいと思います。
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