(ヾノ゜Д゜`)ナイナイ新聞

E3接近=任天堂にはビッグサプライズも
 ゲーム業界にとって最大のイベント「E3」(Electronic Entertainment Expo)の開幕が迫っている。今年はロサンゼルスで6月15-17日の日程で行われる予定だ。毎年9月ごろに開催される東京ゲームショウに独自イベントの兼ね合いもあって不参加の任天堂 も、E3には出展するため、注目度は高い。
 今年のE3の目玉のひとつは、任天堂の次世代携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS(仮称)」だろう。同社は6月19日より、DSシリーズの値下げを行う。「E3」で次世代機のお披露目を終えたあとということで、買い控えを懸念してのものだが、次世代機への自信の高さもうかがえよう。
 「3DS」はすでに業界初の「3D対応の携帯ゲーム機」として話題を集めているが、エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「機器メーカーなど周辺取材をしているが、情報統制が過去の任天堂ゲーム機の例にないほど厳しい。3D以上に大掛かりなサプライズが残されているとみるのが適当だろう」とする。
 04年に「ニンテンドーDS」を発表したときも、「2画面の携帯ゲーム機」との開示にとどめていたものを、04年E3でタッチパネルなどの詳細を公表した経緯がある。もともとE3はサプライズ発表の場でもあり、任天堂が何かしらの用意をしているとみるのは自然だ。
 任天堂については携帯ゲーム機の「3D対応」などわずかな情報が提供されているだけで、「世界的なビッグタイトルを開発中」とのうわさがあるほかは目立った情報が出ていない。ただ、任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii」に注目してみると、販売台数は10年3月期で世界累計販売台数は7000万台を超えたものの、前期比20%減の2053万台で、10年3月末の時点で世界累計販売台数が1億台を突破した「DS」シリーズの同13%減の2711万台と比較しても、伸びの鈍化が目立っている。
 また、売上高からみると、携帯型が同10%減の3808億円に対し、据え置き型は同38%減の3784億円と大幅に減少。昨年9月にスリム型を発売したソニーの「プレイステーション3」に対抗するための不本意ともいえる値下げが響いた。今後の販売台数に懸念が残るうえ、売上高も大幅に縮小していることから、企業としても顧客としてもテコ入れが望まれる。これまで据え置き機ではマイナーチェンジをしてこなかった同社だけに、据え置き機の新たな情報も期待したいところだ。



ソニー、E3で「PSP2」の発表を取りやめか?11年以降発売か 「期待に水を差す結果のシナリオ」も
 根強くうわさされるのがソニーも携帯機「PSP(プレイステーション・ポータブル)」の新型を発表して対抗するというもの。しかし、ここにきて業界では「今年のE3での発表は取りやめたようだ」との声が聞かれている。いわゆる「PSP2」は、もともとE3で何らかの発表を行う予定だったものの、水面下で発売シーズンを11年以降にする形で先送りしたために今回のE3での発表スケジュールからは外れた、という見方だ。ソニーからの正式なアナウンスはないためうわさの域を出ないが、期待に水を差す結果が待ち受けているシナリオも事前に想定しておきたい。
 一方、日本で苦戦しながらも、グローバル市場では任天堂に次ぐシェアを持つマイクロソフトの「XBox360」では、「NATAL」(ナタル)に対応するラインアップを発表する予定だ。任天堂の「Wii」がリモコン型のモーションコントローラーでシェアトップの座を奪回してから、各社とも直感でゲーム操作を行うインターフェースに注力しているが、昨年のE3で公開されている「NATAL」は、ユーザーの体の動きを認識してゲーム操作を可能にするもので、操作するコントローラーのようなものは存在しない。新たな突破口となりうるか注目だ。
 ただ、世界的にみてコンピューターゲーム市場は規模が縮小傾向にある。こうしたなか、各ゲーム会社がシフトしつつある携帯ゲーム機の分野では、「iPhone」など米アップル社の携帯端末が登場し、ハードメーカーの任天堂や、ソニー、マイクロソフトにとって、視界は良好といえないだろう。国内外を問わず、ゲームソフトメーカーも、「iPhone」や「iPad」への参入に前向きで、勢力図にも変化が訪れる可能性が高い。



DeNA、PC向けソーシャルゲームポータル「Yahoo!モバゲー」は10月スタート!
 「モバゲータウン」を運営している株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は、品川インターシティにて、ソーシャルゲームデベロッパーを対象にしたプライベートフォーラム「モバゲーオープンプラットフォームForum2010」を開催した。
 DeNAの代表取締役社長兼CEOの南場智子氏や、ヤフー株式会社の代表取締役社長井上雅博氏らが登壇し、ヤフーとDeNAが提携して展開するPC向けのソーシャルゲーム専門新プラットフォーム「Yahoo!モバゲー」の概要や、DeNAの今後の事業展開などを紹介した。会場には、多くのデベロッパーが参加し、会場の両脇にずらりと立ち見が出るほどの盛況だった。
 「オープン化して4カ月、ユーザーさんはオープン化の前よりもハッピーになった」とDeNA代表取締役社長兼CEOの南場智子氏は笑顔で報告した。これまで携帯ゲームのポータルサイト「モバゲータウン」を中心に事業を拡大してきたDeNAは、2010年に「モバゲーAPI」をオープン化してソーシャルゲームへ舵を切った。フォーラムの冒頭、南場氏は、オープン化の結果が予想以上だと語った。
 オープン化以来、「モバコイン」というモバゲータウンのゲームマネーは急激な伸びで拡大しており、月の売り上げが1億円を超える企業が複数現われている。今回のフォーラムでは、さらなる展開として「X-device(クロスデバイス)」、「X-border(クロスボーダー)」という2つの戦略が提示された。「携帯を超える」と南場氏が言うこのキーワードは、携帯、スマートフォン、PC、タブレットなど、複数のデバイスでユーザが楽しめるようなゲームのシームレス化を目指すというもの。IDを共有したり、APIやライブラリを整備していくことで、多言語にも対応した世界規模の市場に日本のポジションを築いていくという壮大な構想だ。
 日本において戦略の目玉となるのは、今年の4月に発表された「Yahoo!モバゲー」だ。「これまで日本でだけ、なぜPC向けのソーシャルゲームが携帯向けほど拡大していないのか? それはヤフーとモバゲーが組んでいなかったからです」と南場氏は語る。
 世界市場では5月にiPhone/iPad向けのゲームポータルサイト「Mini Nation」をスタートして、日本で人気の携帯向けソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」の海外版「Bandit Nation」などをサービスしている。他にも3Dアバターなど、モバゲーで人気のある要素をiPhone向けに最適化して提供している。日本でPCの市場形成を目指すのとは逆に、世界では、英語圏のスマートフォンや中国の携帯市場など、これから拡大が予想されるなモバイル市場へ勝負を挑んでいく。
■ 「Yahoo!モバゲー」と「モバゲータウン」が連動した形で遊べるゲームを提供
 「Yahoo!モバゲーは略すとヤバゲーになるため、ずっと(仮)がついていましたが、もう諦めました。この名前で皆さんに親しんでいただきたい(笑)」と語ったのは、ヤフー株式会社代表取締役社長の井上雅博氏。井上氏は、「Yahoo!モバゲー」でソーシャルゲームに参入する意気込みと意義をヤフーの側から説明した。
 現在、世界のソーシャルゲーム市場は4,000億円ほどに成長しており、今後も高い成長が見込まれている。だが、そのなかでモバイルの占めるシェアは、アメリカでは8%、イギリスでは12%にすぎない。中国でも1億人いるというソーシャルゲームユーザーの大半はPCのユーザーが占めている。しかし日本では、ソーシャルゲームはイコール携帯ゲームというほどにモバイルが主流だ。
 井上氏は、日本にも潜在的にはPCのソーシャルゲーム市場があるのではないかと言う。携帯のソーシャルゲームは10代から20代の若者がメインユーザーだが、海外ではソーシャルゲームのユーザーは30代から40代と少し年齢層が高い。年齢層が高いと、それだけ1人当たりが使う金額は大きくなるので、日本でもPCのソーシャルゲームのプラットフォームが作れたら、マーケットとして期待が持てるのではないかというのが、今回ヤフーが提携を進めた理由だ。ヤフーとしては、日本におけるPC向けソーシャルゲームの中核を担うプラットフォームになりたいという野望もある。
 サービスが始まると、「Yahoo! JAPAN」のTOPページや「Yahoo!メール」、「Yahoo!メッセンジャー」、「Yahoo!ゲーム」にソーシャルゲームのアクティビティやフィードが表示されるようになる。また、ローンチ時期に合わせて、TVCMも含めた総額10億円規模のプロモーションを行なう予定だ。
 DeNAの守安氏は「ソーシャルゲーム市場の成長は予想以上」と言う。1年前にオープン化を決めた頃には、3年程度で1,000億円規模の市場になるだろうと想定していた。しかし、その目標は2010年度中には越えていきそうだ、と守安氏。「スマートフォンやPCのユーザーをきっちりと取りこめていけば、普通に見積もって2,000億円、うまくいけば3,000億円というマーケットができるのではないか」と予想している。2009年度の、家庭用ゲームのソフトウェアのみの市場が約3,200億円なので、「2、3年後には家庭用ゲームとソーシャルゲームの市場規模が同じくらいになっているのではないか」と語った。
 だた、ソーシャルゲーム市場を拡大してくためには、その地盤となるコミュニティの成長が重要だ。「単純にトラフィックをぶつければ成長できるという簡単なものではなく、いかにユーザーのニーズにあったコミュニティを提供できるかが重要」と守安氏。そのためには、すでに出来上がっている「モバゲータウン」のコミュニティと、「Yahoo!モバゲー」のコミュニティを連動したゲームを提供して欲しい、と参加したデベロッパーに訴えた。モバゲーの3Dアバターを使った、PC向けのソーシャルゲームもすでに複数のタイトルが開発をスタートさせているらしい。



富士フイルム、デジカメ開発集約 携帯用部品参入
 富士フイルムはデジタルカメラの開発部門を再編する。宮城県にあるデジカメ本体の開発・購買部門を7月に、レンズ開発拠点を置くさいたま市に移転する。デジカメの中核部品である光学レンズの開発と、画像センサー開発や本体設計を密接に連携させる体制を整え、製品の競争力強化につなげる。開発機能の一体化などを契機に、携帯電話用カメラモジュール(複合部品)事業にも参入する。
 現在、レンズの開発・生産は全額出資子会社のフジノン(さいたま市)が担い、デジカメ本体の製品開発、購買、品質保証の本拠は宮城県大和町にある。既にフジノンを7月1日付で本体に統合することを決めており、同時にデジカメの開発機能を集約する。レンズ設計にデジカメ開発部門が深く関与するなど、技術者間の連携を深め、開発効率を向上させる。



中国銀聯カード決済使わないで!米ビザ要請
 【北京=幸内康】クレジットカード世界最大手の米ビザが、中国のカード決済機関「中国銀聯」との提携カードについて、8月以降、中国国外では銀聯の決済システムを使わないよう加盟金融機関に要請した。
 欧米や中国のメディアが4日までに報じた。
 カード利用の際にビザが1~2%の外国為替手数料を取るのに対し銀聯は無料なため、利用者は銀聯で決済する傾向にある。ビザの異例ともいえる要請は拡大する銀聯に収益基盤を脅かされかねないとの危機感があると見られる。
 銀聯は中国人民銀行(中央銀行)の傘下にあり、中国国内のカード決済業務を独占している。銀聯は海外進出にも積極的で、約90か国・地域以上に独自ネットワークを拡大している。



英が高速鉄道計画見直し、日立への発注白紙か
 【ロンドン=是枝智】英国内で幹線鉄道の旧式車両を高速鉄道車両に切り替える政府の計画について、ハモンド英運輸相が白紙に戻す可能性が高まっていると、4日付の英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。
 その場合、優先交渉権を得ていた日立製作所などの企業連合への発注はキャンセルされる見通しだ。受注総額は75億ポンド(約1兆円)にのぼる大型事業だけに、日立には打撃となりそうだ。
 高速鉄道計画では、日立連合が最大1400両の車両の販売と、20~30年間の保守業務を担う予定だった。しかし、景気低迷などを受けて今年2月、前政権が計画の見直しを表明していた。新政権は3日に別の新型車両導入計画の凍結を決めており、日立が関与する計画も影響は避けられない見通しだという。



アナリストが読む菅政権の隠れたリスク
 菅直人氏が衆参両院の指名を受け、第94代首相に就任する運びとなった。市場では菅新首相のこれまでの言動などから、「財政再建」「円安」「金融緩和」が新たな経済政策のキーワードになるとの見方が多い。だが、有力エコノミストらが今週に入って出した関連リポートからは、新政権の別の断面も見えてくる。
 クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは4日付けのリポート「新政権を不安定化させる3つのリスク要因」で、財政再建路線には危うさがつきまとうと指摘する。新政権は消費税の早期増税を排除しないスタンスを明確にする可能性があるが、それは同時に「より大きな政府を志向する」というメッセージにほかならない。だが、こうした路線が国民からの理解を得られるかどうかは不透明なうえ、高所得者優遇の性格がある消費税増税に賛成する層と、民主党の支持基盤には大きなギャップがある。このため、「新政権による消費税早期増税論には政情不安定化のリスクが内包されていると考えるべきであろう」としている。
 「円安」と「金融緩和」も一筋縄ではいかない恐れがある。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは4日付けのリポート「菅直人首相の経済政策見通し~問われる財政再建の本気度合い~」で、「菅首相の志向として円安という考えはあるのかもしれないが、そのファクターが相場形成で大きな支配力を持っている訳ではない」とクギをさす。実際、菅氏による1月7日の「円安」発言のあと、円相場は一時1ドル=93円台まで下落したが、持続性はなかったという。また、菅氏が推進する意見を持っているとされるインフレターゲットについても、「当面は、日銀に対して次々にアイデアを出させるためのたたき台」として利用する可能性があるものの、「先行き原油高騰などが進み、コストプッシュ・インフレの現実味が高まる」ような状況になれば、柔軟に路線を変更すると熊野氏は予想する。
 そもそも、足元の政治状況をかんがみると、菅氏が政策にじっくり取り組む余裕があるかどうもかも不透明。日興コーディアル証券の末沢豪謙チーフストラテジストは4日付けの「菅政権誕生へ、短命政権に打ち止めを」で、「7月11日に参院選投開票、8月末が米軍普天間飛行場移設詳細決定期限、9月には民主党代表選と新首相が乗り越えなければならないハードルは多い」と指摘する。当面の政治的な課題は「ひとまず参議院選挙を勝ち抜いて、政権基盤をしっかり強化できるかどうか」(熊野氏)。そこを乗り越えた場合でも、民主党内には「構造改革と対米外交」、「社会安定と多方面外交」と重視する政策が異なる2つのグループが存在するため、最大公約数的な政権運営を続けない限り、「政権の安定性を維持することはかなり困難になる」(白川氏)懸念がある。
 7月の参院選後には連立政権が新たな形となる可能性も浮上している。モルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン経済調査部長は3日に「参院選予測:政策転換は期待薄くも可能性あり」というリポートを配布した。7月の参院選での民主党の獲得議席は93~107と現在の116議席を下回り、国民新党も議席を減らす可能性があると分析。さらに、衆議院の連立議席は313と参議院で否決された法案を再議決して成立させるには不十分で連立組み替えの必要性が生じる。フェルドマン氏は最も可能性が高いのが「民主党+公明党+新党改革(民公改)」で、「政治的なハードルを乗り越えれば、民主党+みんなの党(民みな)の連立もあり得る」と予想する。政策面では「民公改」の場合、さほど大きな変化はなさそうだが、「民みな」なら「政策は市場寄りの生産性向上策に大きく振れ、日銀に対して積極的な金融緩和を促す圧力が高まる可能性がある」としている。



【東京新聞社説】
漫画性描写規制 仕切り直して論議を
 どぎつい子どもの性描写がある漫画などの販売を規制する東京都青少年健全育成条例改正案をめぐり、都議会での賛否が割れている。「表現の自由」を守りつつ規制できるよう知恵を絞り直せ。
 子ども相手の強姦(ごうかん)や近親相姦といった性的な暴力や虐待が、社会的に許されるかのように描いた漫画やアニメ、ゲームソフトは子どもの目に触れないよう遠ざけておきたい。そんな親心をくんだのが都側の改正案だ。
 過激な性描写の悪影響から子どもを守りたいのは市民共通の思いだが、最大限尊重されるべき表現の自由が侵されかねない方法では理解は得られまい。「創作活動を萎縮(いしゅく)させる」と漫画家や出版業界が反発するのもうなずける。
 改正案の趣旨はこうだ。服装や所持品、学年、背景などから十八歳未満と分かるキャラクターの性行為を「みだりに性的対象として肯定的に描写し、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害する」作品は、成人コーナーに並べて子どもに販売しないよう事業者に自主規制を求める。
 さらに「強姦など著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写した」作品が一般の書棚に並んでいれば、都は「不健全図書」に指定して成人コーナーに移動させ、子どもへの販売を禁じるという。
 異論が噴出したのは、読み手の主観に左右されがちな性描写そのものをベースに販売規制の網を掛けようとする仕組みだからだ。
 登場人物の年齢をどう見分けるのか。容姿やせりふ、場面はどのようにでも描くことができる。作品を読んだ未熟な子どもが行為をまねたり、性意識がゆがめられたりする恐れがあると都側は強調するが、その科学的根拠はない。
 「みだりに」「肯定的に」「健全な判断能力」「著しく社会規範に反する」など条文にはあいまいな文言が目立ち、恣意(しい)的な運用も懸念される。
 都側はそんな表現規制を安易に持ち出す前に、既に定着している不健全図書指定制度で対応すれば足りよう。子どもの性的感情を刺激したり、残虐性を助長したり、自殺や犯罪を誘発する作品はとうに規制対象なのだから。
 ただ、漫画家や出版業界も表現の自由を享受するためにこそ、商業主義を排して都側と議論を深めてほしい。身の回りにあふれる性描写について、大人が学校や家庭、地域で子どもとコミュニケーションを図り、耐性を養う環境づくりも大切だろう。



【産経主張】菅新首相 国の針路正し危機打開を ばらまき政権公約を撤回せよ
 第94代首相に指名された菅直人氏には国家の針路を正し、国難を打開することを強く求めたい。
 8カ月余りで崩壊した鳩山政権は迷走を続け、国益を大きく損なった。国民は民主党政治は信頼に値しないと突き放した。
 副総理・財務相として内閣に参画していた菅氏は、こうした危機に手をこまねいていたのではなかったか。所管外とはいえ米軍普天間飛行場移設問題に関与しようとしなかったのは、待ちの姿勢と批判されても仕方ない。
 これからは国家と国民の平和と繁栄に関する最高の責務を負うこととなる。「この国を立て直すのが第一の仕事」と語ったように国政への信頼を取り戻すことに全力を挙げなくてはならない。
 ◆小沢氏は完全退場を
 菅氏は官房長官に仙谷由人国家戦略担当相、幹事長に枝野幸男行政刷新担当相を充てる方向で調整している。打破すべきは小沢一郎幹事長への権力集中に伴って続いてきた独裁的な党運営である。小沢氏と距離を置いていた人材を内閣と党の中枢に据え、小沢氏の影響力を排除することは当然である。
 小沢氏は政治とカネをめぐる問題で国民の信を失ってしまったことを潔く認め、鳩山由紀夫首相を見習って、政界からの引退を決断すべきである。
 菅氏は党の政策調査会復活も掲げた。政調会長を閣僚として処遇したいとも述べた。二重権力と呼ばれた政策決定システムを刷新する姿勢を貫いてもらいたい。
 国を立て直す最重要課題の一つが、鳩山政権によって破綻(はたん)寸前まで悪化した財政の再建にあることは明らかだ。ユーロ不安で政府債務の信用リスクが問われている中、債務残高の対GDP(国内総生産)比が181%と先進国で突出している日本は、常に経済崩壊に直結する金利急騰リスクにさらされているからである。
 菅氏も財政再建に意欲を示した。だが、問題は今月中に策定する財政健全化目標でどこまで具体的道筋を示せるかだ。そのカギを握るのは消費税である。
 消費税率見直しの4年間凍結を主張していた鳩山首相は退陣した。議論はしやすくなるが、参院選を控えて与党内に反対論が根強いうえ、菅氏自身が引き上げの必要性を表明するだけでその時期や幅に言及していない。
 財政健全化目標は基礎的財政収支の赤字削減にしろ債務残高対GDP比圧縮にしろ、中期と長期の目標数値を示さねばならない。その目標実行の担保として、消費税を中心とした増税の具体的スケジュールは不可欠なのだ。
 増税したとしても医療・介護など成長分野に支出し、税収増によって財政を再建するという菅氏のバラ色の手法も疑問が残る。その効果が上がるまで財政破綻は待ってくれないし、机上の計算が一つ狂えば目も当てられまい。
 まず、ばらまき政権公約を撤回し、増税を堅実な財政健全化につなげる。それが成長の阻害要因を取り除く最大の政策である。菅氏は鳩山政権で国家戦略担当相、財務相として成長戦略の迷走と財政悪化に深くかかわった責任をもっと自覚せねばならない。
 ◆郵政法案合意は問題
 菅氏は国民新党との連立継続を決めたが、郵政民営化に逆行する郵政法案について「速やかな成立を期す」と確認したことは問題だ。首相として最初の政策判断が問題の法案にゴーサインを出すものでは、政治の方向性が変わらないことを印象づけるだけだ。
 亀井静香郵政改革・金融相との協議では、社民党も入った昨年9月の3党合意を引き継ぐことも確認した。連立離脱した社民党に引き続き政権への協力を求める布石だろう。
 だが、連立離脱の原因となった普天間問題で社民党が辺野古移設に同意することはあり得まい。安全保障政策の明確な不一致が残っているのになぜ連携なのか。「選挙至上主義」は残念だ。
 それより、日米合意に沿って8月末までに代替施設の位置や工法を確定する作業に全力を挙げるべきだ。沖縄の強い反対の中で難しい作業だが、米国との約束を果たし同盟を堅持せねばならない。
 不安材料は、北朝鮮による拉致問題への対応だ。拉致実行犯である辛光洙(シン・ガンス)容疑者らの釈放嘆願書に菅氏が署名したことがあるからだ。個別名まで確認する余裕はなかったなどと釈明しているが、明確に謝罪すべきだ。対北制裁問題で毅然(きぜん)とした姿勢を示すかどうか注視したい。
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