オバマ大統領のネット政策を葬った米国中間選挙 迷走を始めたネット中立論とブロードバンド規制強化

オバマ大統領のネット政策を葬った米国中間選挙 迷走を始めたネット中立論とブロードバンド規制強化
 11月上旬、米国で行われた連邦議会中間選挙で、野党リパブリカン(共和党)が躍進した。
 連邦議会下院で過半数を押さえた共和党に対し、与党デモクラート(民主党)は上院で過半数割れを"やっと免れた"わけだが、これにより政府と議会が与野党に分かれる"ねじれ議会"が来年1月から出現する。政局の行方は不透明感が増し、基金や補助金などを拡充する"大きな政府"を目指してきたオバマ民主党政権は、軌道修正を求められることになる。
 この軌道修正は、ハイテク関連の政策で既に始まっている。グーグルやマイクロソフト、ヤフーなどを支持基盤とするオバマ大統領は、これまでネット業界優遇政策を指向し"ネットワーク中立性法"の制定や"ブロードバンド規制強化"を目指してきた。
 しかし、この政策は暗礁に乗り上げた。今回の中間選挙では、ネット中立性支持を表明した上下両院の民主党議員95名が「全員落選する」という衝撃的な事態に直面したからだ*1 。
ネットワーク投資ただ乗り論─とは何か
 ネット業界とブロードバンド業界は、ネットワーク中立性を巡って過去数年にわたり対立を続けてきた。しかし、今回の中間選挙で「ネットワーク中立性法の制定」は死んだ。同政策を表看板のひとつとしてきたオバマ政権は、苦しい状況に追い込まれている。そこでまず、ネットワーク中立性を取り上げてみよう。
 同問題は「議論の対立点」と「政治的な駆け引き」というふたつの側面をもつが、まず前者から見てゆこう。
 話は2005年前後にさかのぼる。米国の固定ブロードバンドは大手電話会社あるいはCATV事業者による市場独占が進んでいる。これはDSLにせよ、ケーブルモデムにせよ、あるいは光ファイバーにせよ、ブロードバンド・ネットワークの整備には数兆円の投資が必要で、政府は電話会社やCATV事業者に優遇処置を行い、設備投資を促してきた。
 これは独占をある程度容認する代わりに、巨大投資を民間ベースで進める考え方だ。これは日本も同じ道筋を経ている。
 ただ、ブロードバンドの設備投資は"休み"がない。技術革新が早く、毎秒キロビットからメガビットへと広帯域化が進み、現在ギガビット・サービスへの準備が始まっている。
 つまり、提供地域を拡大するだけでなく、スピードアップを狙って最新設備の更新を続けなければならない。電話や放送であれば、ある程度ネットワークを建設すれば投資回収に入れるが、ブロードバンドは巨大投資を継続的に行わなければならない。
 この状況に耐えかね、大手通信事業者のAT&Tなどは2005年頃に、ユーザーだけでなくインターネットでサービスを提供する大手ネット事業者に投資負担を求めたいと考えた。
 電話業界では、同サービスを利用する先行ユーザーにユニバーサル・サービスという名目で費用を徴収し、低所得者への無料電話や電話網整備の資金に充当している。こうした規制に慣れた通信事業者にとって、設備投資負担の分散をルール化することに大きな違和感はない。
 しかし、非規制で走ってきたネット事業者にとって違和感は大きく「負担によってネット事業者を選別する考え方だ」と反発した。
 グーグルやマイクロソフト、イーベイ、アマゾンなどの大手ネット事業者はNETCompetition.orgやMoveOn.orgといった市民系ロビー団体ばかりでなく、インターネット広告の業界団体Interactive Advertising Bureauや電子小売業界のOnline Retailing Allianceなど様々な団体と連携し、電話会社やCATV会社と対立する。こうして"ネットワーク中立性(Net Neutrality)論議"が始まった。
 推進派は「大手電話会社やCATV事業者からインターネットの自由を守ろう」と呼びかけ、連邦議員に働きかけてネット中立性法案の提出した。しかし、大手通信・放送事業者に近いブッシュ共和党政権は難色を示し、2006年6月8日、連邦議会下院は中立性を義務付ける修正条項を否決した。
過激なネット中立性は「通信の進歩」をとめる
 中立性の論点を大別すれば、「ただ乗り論」と「不当なアクセス制限」の2点に集約できよう。
 最初の"ただ乗り論"については、当時の米ネット中立論が日本に飛び火した事例を見てみたい。2006年5月、総務省が主催する「IP化の進展に対応した競争政策のあり方に関する懇談会」(IP懇談会)に対して、グーグルがネットワーク中立性を求める意見書を提出している。この意見書は、当時のネット中立性に反する行為として、次のようなサービスを指摘している。
1) ツー・パイプ(Two Pipes)
 特定のコンテンツに優先的にアクセスできる回線サービスを消費者に提供する。これにより普通のサービスを使っている人は、特定コンテンツにアクセスしにくくなる。
2) ダブル・ディッピング(Double Dipping)
 インターネット接続サービス会社(ISP)が特別なアプリケーションを提供することでユーザーが優先的にコンテンツプロバイダーにアクセスできる環境を提供し、特別な料金を徴収する。
3) 独占契約(Exclusive Dealing)
 第3者とISPが契約を結び、優先的にトラフィックやサービスを提供する環境を整備して、追加料金を徴収する。
4) ネットワークの最適化(Network Optimization)
 ローカル・サーバー(ネットワークの末端にあるサーバーのこと)の蓄積機能などを使って、ISPが特定のコンテンツやサービスに優先的にアクセスできるようにネットワークを最適化すること。
5)サービス品質保証(Quality of Service)
 ISPが、特定のトラフィックを最適化するようにソフトウエアを設計すること。
この5条項はわかりにくいが、中立性の推進派の主張を要約すると次のようになる。
 インターネットは「トラフィックを大量に集めた個人や団体が圧倒的に有利になる」という特殊性を持つ。もし「ネットを優先利用するためには費用がかかる」という環境が普及すると、費用を払えるユーザーや大手プロバイダーはますます多くのトラフィックを集め、中小や個人などは良いコンテンツを提供していてもユーザーに届けにくくなるという不公平が生じる。
 しかし、当時の意見書にある5項目を通信事業者が本気で実行すれば、ブロードバンドの技術進歩は止まってしまうだろう。ブロードバンドはサービスであり「より早く、より確実で、使いやすい」プランを通信事業者が開発し、ユーザーを増やしてゆかなければ、ビジネスは伸びないからだ。ユーザーにすこしでも差がでるからといって、便利なサービスを制限すれば、ブロードバンドを守るつもりで、それを殺すことにもなりかねない。
 この過激なネット中立論は、過去5年の対立を経て、影を潜めている。現在、中立性推進派も回線のプライオリティー(優先)サービスやネットワークの付加価値サービスは重要だと認めている。逆に、そうしたサービスが正しく提供されているかどうかを消費者がチェックできるように、「ネットワーク運用性の透明化」を求めている。
不当アクセスは禁止されるべきもの
 一方、ネット推進派は、競合サービスに対する不当なアクセス制限も批判の対象とした。具体例としては2005年3月、ノースカロライナ州のブロードバンド事業者であるマディソン社(Madison River Communication)が自社のIP電話サービスを有利にするために、ユーザーが他社のIP電話サービスを利用できないようにアクセス制限をかけた。
 この問題では、米IP電話大手のボネージ(Vonage)社の訴えに対応して連邦通信委員会が介入し、ISPに対して改善指導と1万5000ドルの罰金を科した。ただ、こうした悪意のある不当なアクセス制限の事例は少ない。こうした不当アクセスが"横行している"と認識するのは「誤り」だが、不当アクセスの禁止はネットワーク中立性議論における重要なポイントといえるだろう。
 マディソン社事件のように、自社の中核事業やコンテンツで競争にさらされた場合、プロバイダーは優位な地位を使って、競合事業者に対抗したいという誘惑にかられる。こうした誘惑に歯止めをかける規制は必要で、2005年9月に連邦通信委員会(FCC)が「ブロードバンドに関する指針(Broadband policy statement)」という異例のステートメント(行政指導)を発表した。
 これは、インターネットのユーザーが、1)どのようなコンテンツやサービスにも、2)どのような機器からでも、3)適切な手段によって、アクセスできることを保証すべきである---という内容で、後にFCC中立性ガイドラインと呼ばれるようになる。
 この行政指導の影響は大きく、2006年の春に開催された電話業界の会議「テレコムネクスト」でも、大手電話会社CTO(最高技術責任者)が「不当なアクセス制限をする気はない」と再三、聴衆に訴えかける場面があった。
◇◇◇
 しかし、この中立性ガイドラインは後に、ブロードバンド規制の強化を狙うFCC自身を悩ませることとなる。



ソニーエリクソンのCEO、ゲーム機能備えたスマートフォンの可能性示唆
 携帯電話メーカー、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのバート・ノードバーグ最高経営責任者(CEO)は、同社がビデオ ゲーム用のスライド式コントローラーを備えた高機能携帯電話(スマートフォン)に関して親会社のソニーと緊密に協力している可能性を示唆した。



マイクロソフト「Kinect」発売 操作は「身ぶり」や「声」
 米マイクロソフト(MS)は20日、家庭用ゲーム機「Xbox(エックスボックス)360」につなげて使う「Kinect(キネクト)」を日本で発売した。コントローラーを使わずに身ぶりや声などで操作して楽しめる周辺機器で、MSは年内に500万台の販売を目指している。
 キネクトは内蔵したカメラやセンサーで体の動きや声を認識し、スポーツなどのゲームを操作できる新型の入力装置。国内での希望小売価格は1万4800円で、記憶容量が4ギガ(ギガは10億)バイトのXbox360とのセット価格は2万9800円。
 東京・秋葉原の「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba」には、日本上陸を待ちわびていたファン約170人が早朝から行列を作った。午前8時半からの発売記念イベントでは、キネクトをPRする「チーム・キネクト」のメンバーで人気アイドル「SKE48」の松井珠理奈さんと玲奈さん、プロレスラーの武藤敬司さんらが登場。デモプレーを披露してファンを喜ばせた。
 店頭でキネクトを購入した中野区に住む会社員の男性(35)は「操作が簡単なので76歳の叔父さんと一緒にプレーしたい」と顔をほころばせていた。
 体の動きを反映する体感型のゲームでは、任天堂が2006年に発売した「Wii(ウィー)」が先行し、人気を獲得。ソニー・コンピュータエンタテインメントも今年10月下旬に「プレイステーション3」の「ムーブ」を発売し、競争が激化している。



家電量販店が銀座初進出 松坂屋6階に「新生ラオックス」
 家電量販店のラオックスが20日、東京・銀座の松坂屋銀座店6階に「ラオックス銀座松坂屋店」をオープンした。百貨店に多い女性客に加え、銀座では初の家電量販店進出で、増加する中国人観光客をはじめとする外国人観光客を松坂屋に呼び込む起爆剤としての期待が高まっている。
 「銀座松坂屋店の成功こそが新生ラオックスの船出といえる」。同日、オープニングセレモニーに出席したラオックスの羅恰文(らいぶん)社長は、銀座松坂屋店に対する期待をこう話した。
 この日は開店前に600人が行列を作り、開店時間を10分早めた。同店6階に家電7300点のほか時計・雑貨など取りそろえた。女性向けの理美容電化製品に加え、海外用家電、外国人観光客向けの日本みやげなどもおき、年間で30億円の売り上げを目指す。
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通信大手の事業強化で変わる米クラウド競争の勢力図

通信大手の事業強化で変わる米クラウド競争の勢力図
 米大手通信会社のAT&Tとベライゾングループが海外事業を強化し、国際通信サービス市場の話題をさらっている。国際通信には、電話サービスの現地展開から国際データ通信網の整備まで多様な分野があるが、今回はネットワーク経由でソフトの機能を提供する「クラウドコンピューティング」の基盤となるデータセンターの拡張が主役となっている。
AT&Tとベライゾンが海外クラウドを強化
 AT&Tは10月、法人ユーザー向けのクラウドサービスやホスティングの需要増に対応し、ロンドンでは2カ所目となる国際データセンターを開設した。法人サービス部門のAT&Tビジネスでは、独SAPや米オラクルなどが提供する統合基幹業務システム(ERP)のホスティングサービスが人気を集めている。
 ロンドンのデータセンターは、4月にAT&Tが発表した国際事業整備計画の一環あたる。同計画の投資規模は2010年度だけで総額10億ドル(約827億円)に上り、多国籍企業や中小企業向けサービスの強化を狙う。クラウドベースでアプリケーションを提供するサービスのほか、ホスティングしたサーバーの運用を請け負う「マネージドホスティング」、大型スクリーンなどを使うビデオ会議の「テレプレゼンス」、携帯・固定電話や電子メール、ビデオ会議など企業通信を統合的に管理する「ユニファイド・コミュニケーション」を追加し、セキュリティー機能の充実も図っている。米国の多国籍企業による海外ビジネス展開を支援するため、データ通信を含む携帯電話と無線LANの国際ローミングにも力を入れている。
 ベライゾングループの法人事業部門であるベライゾンビジネスは10月、「CaaS(Computing as a Service)」と呼ぶ、クラウド・データセンターの大規模拡張計画を発表した。米国内を中心に進めてきたクラウド・データセンターの整備を国外にも展開する。建設済みのアムステルダム(オランダ)に加え、需要が拡大している環太平洋地区の香港でも10月にクラウド・データセンターを稼働させた。さらに11年には米サンノゼ、ロンドン、キャンベラ(オーストラリア)にも展開する。
IBMやHPと正面から競合
 米大手通信会社が国外のデータセンターを強化するのは、国際事業を展開する中堅以上の法人ユーザーがクラウドを使ったシステムに移行しているためだ。ただしこれらのユーザーはまだ、基幹業務ソフトをクラウドに載せ替えるのは技術的にもコスト的にも時期尚早と考えている。人事管理や顧客管理、社内コミュニケーションなどシステムの一部をクラウド・データセンターに移行させながら、コストダウンとシステムの機動性強化を進めている。
 国際クラウド市場に乗り出しているのは通信大手だけではない。米IBMや米ヒューレット・パッカード(HP)などの大手IT企業が、データセンターの効率化や自動化を強みに、通信会社と競合している。これに対しAT&Tやベライゾンは携帯電話や無線LANローミング、セキュリティーの強化など通信を核にしたサービスで違いを出している。ベライゾンビジネスは「MPLS(multiprotocol label switching)」と呼ぶ技術で信頼性を高めた専用ネットワークを用意し、クラウドサービスの充実を図っている。
 米大手通信会社は、国際データセンター市場が今後も成長を続け拡張競争が続くと予想している。日本でもNTTグループなどが米国やアジアを中心にデータセンターの拡張を進めている。
 米通信大手が国際ビジネスに力を入れる背景には、長引く景気低迷という経済環境もある。AT&Tやベライゾンは過去5年にわたりIPTVを軸とする放送事業に力を入れてきた。携帯電話では、第3世代(3G)ネットワークの機能強化や第4世代(4G)ネットワークへの移行準備を進めている。しかしこれらはどれも消費者向けサービスであり、なかなか回復しない米国経済のなかで伸び悩んでいる。
 そのため各社は、厳しい経済環境でも着実に売り上げを確保できる法人市場で収益拡大を目指している。国際クラウド・データセンターがにわかに注目を集めているのは、通信各社の懐事情を反映しているといえるだろう。
政府調達クラウドの獲得競争も白熱
 法人向け国際クラウドの一方で、米国内では政府が調達するクラウドの獲得競争が激しくなっている。10月29日、米グーグルは同社サービスを販売するオニックスネットワーキングとともに「クラウド・アプリケーションの調達過程が不公平である」として、国有資産を管理する米内務省を連邦裁判所に訴えた。
 現在、米国の連邦政府機関や各州政府は、メールシステムやドキュメント共有などでクラウドサービスの導入を検討している。ただし公共機関や自治体の情報システムではこれまでマイクロソフトのアプリケーションが支配的な地位を占めており、自治体などは同社のクラウドサービスに移行しようとする傾向が強い。
 グーグルはネット経由で電子メールなどソフトの機能を提供するサービス「グーグル・アップス」を中心に政府系調達に食い込みを図ってきたが、なかなか大きな成果は上げられていない。内務省を不公平調達で訴えたのには、裁判を通じてグーグルのサービスが政府調達の基準に十分適合していると証明しようとする狙いがある。
 ベライゾンビジネスは9月、11年第1四半期に米連邦政府向けクラウド・データセンターをマイアミ(フロリダ州)とカルペパー(バージニア州)にも開設すると発表した。現在も政府系クラウドのビジネスは着実に拡大しており、通信会社やIT企業に加えてアプリケーション企業までが入り乱れて、獲得競争を繰り広げている。
 ソフトウエアからハードウエア、通信回線まで多岐にわたるクラウド・データセンターは、コスト削減や省エネなど具体的な効果が見えやすいため法人ユーザーの支持を集めている。一方、日米の携帯電話会社は次世代通信サービスの「LTEなど高速データ通信網の建設に着手している。そのため、大手通信事業者はクラウド・データセンターから「クラウドモバイル」へブームを発展させようと狙っている。



シャープ、中国で最新鋭液晶パネル工場建設向け調査
 【北京=多部田俊輔】シャープが中国で最新鋭の「第10世代」の液晶パネル工場の建設に向けた調査を始めていることが19日、明らかになった。南京市当局が新工場建設の環境影響調査を実施する公告をインターネット上に掲載した。新工場の投資額は360億元(約4500億円)。政府の認可が得られれば、3年後をめどに稼働させる方向だという。
 南京市環境保護科学研究院がネット上に掲載した環境影響調査の公告によって、シャープの調査が明らかになった。公告によると、設立準備中の「南京中電熊猫夏普(シャープ)液晶顕示科技」が、経済開発区である「南京仙林高科技産業園」に第10世代の液晶パネル工場建設を計画。月産能力は8万枚を見込んでいる。ただシャープは「そういう計画はない」(広報室)としている。
 南京中電熊猫夏普の設立準備担当者は19日、「南京中電熊猫液晶顕示科技とシャープで計画をまとめたばかりで、まだ中国政府の許可を得ていない。できれば1年内に許可を得て建設を始め、着工から2年内に稼働させたい」と説明した。南京市当局は環境調査を進め、パブリックコメントを求めるという。
 シャープは2009年に「第8世代」の液晶パネルの生産を検討すると発表して中国政府に建設許可を申請中。中国メディアによると、中国政府は韓国のLGディスプレーとサムスン電子に許可を出す方針。シャープの許可取得は難航しているため、第10世代で巻き返しを狙うとの見方も出ている。
 第10世代は世界最大のガラス基板1枚から40型パネルを18枚とることができる最新鋭技術で、シャープが09年10月に堺工場で稼働を始めた。



トヨタ、エンジン生産で世界に新型ライン 少量でも採算
 トヨタ自動車は多品種少量生産でも採算が合う新たなエンジン生産ラインを世界展開する。これまで量産効果を引き出すため1ラインあたりの年間生産能力が20万基を最小単位としてきたが、10万基でも採算が合う高効率ラインに切り替える。まず国内の主力工場で年内に稼働し、アジアやブラジルなど新興国でも工場の新設や設備更新時に順次導入する。エンジンのつくり分けが必要なハイブリッド車の相次ぐ投入にも対応、環境車分野でのリードを拡大する。
 エンジンは生産規模が収益性に直結するが、トヨタは将来の生産拡大を前提にした「重装備型」のラインが多いため、採算が合う稼働率の維持が比較的難しく、減価償却費の負担も重かった。
 一方、海外拠点では中国、インド、ブラジルといった成長市場で車両の組み立てと並び、エンジンなど基幹部品の生産能力拡大が急務になっている。従来のラインは大型投資が必要で、削減してきた固定費を再び膨らましかねない。新ラインを需要に応じて段階的に設置し、減価償却費の増加を最小限に抑える。
 日本でトヨタの年産能力は車両組み立てが320万台だが、エンジンは海外拠点に供給する輸出分も含め600万基。1ドル=80円台前半で長期化する円高もあり、同社は中長期で「(エンジンや変速機など)ユニットの現地調達を海外拠点で加速する」(小沢哲副社長)方針を示している。
 新車投入のタイミングなどに伴い新ラインを順次導入し、小刻みにエンジンの生産拠点を需要地に移して国内に残る余剰感を解消するほか、国内外で激しく変動する新車販売や為替相場に対しても、一定の収益力を確保できる体制にする。



【産経主張】民主党の統治能力 国民の我慢も限界にきた
 民主党政権の統治能力の欠如がまた露呈し、政権運営がダッチロール状態になってきた。
 菅直人首相は19日の閣僚懇談会で「緊張感を持って取り組むように」と閣僚たちに指示したが、タガがはずれている状況をつくり出しているのは、政権を担当する能力が欠落しているためにほかならない。
 問題ある閣僚の続出が、そのことを端的に示している。もはや弥縫(びほう)策では、この政権の行き詰まりを打破することは望めない。国民の我慢が限界にきていることを為政者は深く認識すべきだ。
 国会の焦点は、答弁を軽視した地元の会合での発言が問題視され、閣僚の資質が問われている柳田稔法相の進退問題だ。
 自民党は22日に衆院に不信任決議案、参院に問責決議案を提出するが、野党が多数の参院では問責が可決される可能性がある。
 政府・与党は当初、法相の進退は問わないと判断、柳田氏も参院予算委員会で発言を陳謝したことから、「検察改革も大きな責務。成し遂げなければならない」と辞任しない考えを示していた。
 だが、その後、補正予算案の成立を確実にするためには、問責決議案の動きに合わせて、柳田氏を更迭することは避けられないとの判断へと転換した。
 当初の擁護姿勢は、柳田氏が辞任に追い込まれれば、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件やビデオ流出対応をめぐり、衆院で不信任決議案を出された仙谷由人官房長官や馬淵澄夫国土交通相らに対する問責決議案提出に発展しかねず、それを防ぐためだったという。
 その場しのぎの対応が繰り返されている。こうしたやり方を菅政権が取り続けていることで求心力を失っている。衝突事件で公務執行妨害の容疑で逮捕した中国人船長を釈放したことや、胡錦濤国家主席の来日とアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席を最優先させた対中姿勢も同じ文脈といえる。
 財政再建や社会保障など与野党で協議して解決すべき課題は少なくない。早急に取り組まなければ危機を脱することができない。にもかかわらず、先送り手法しかとらないのは極めて残念だ。
 民主党政権には無理なのであれば、国民の利益につながる政策を実現するため、国民の信を問い直すしかあるまい。
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