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シャープ大畠氏「スマートフォンで一石投じる」 携帯業界キーマンに聞く
 携帯電話端末市場が冷え込むなか、業界トップを依然走り続けるシャープ。デジカメや液晶などの電子デバイス事業と連携した開発力がその強さの源泉だ。2010年、シャープはどう攻めるのか。大畠昌巳通信システム事業本部長に話を聞いた。
――足元の携帯電話端末市場をどう見ているか。冬~春商戦の手ごたえは。
 09年に入ってから市場は徐々に回復基調をたどっている。シャープとしては上期に高画素カメラ搭載の「AQUOS SHOT」を投入し、市場の評価を得た。このカメラ機能に重点を置く流れは今後もしばらく続くだろう。冬~春商戦では、12メガピクセルまで高画素化し、タイミングよく3キャリアすべてで投入することができた。
 ミドルクラスでは、イルミネーションにも力を入れるなどデザイン性を高め、幅広いユーザーをターゲットにした。機能面でもカメラはCCD、液晶は3.4インチといったように、ハイエンドに近いスペックを実現している。一方、ローエンド商品ではソフトバンクモバイル向けに超廉価帯に参入した。デザインコラボレーションも充実させるなど、全方位で攻めていく構えでいる。
■カメラはアプリ機能も強化
――カメラの画素数競争は今後も続くのだろうか。
 画素数は消費者にとってわかりやすいポイントであるのは間違いない。シャープでは画質を重視し、CCD搭載にもこだわっている。CCDの感度はCMOSとは大きく違う。
 ただ、コンパクトデジカメ市場もそうだが、画素数に加えて、カメラ関連のアプリケーションが重視されつつある。冬~春商戦のモデルでは100連写やベストショット機能などを盛り込んだが、撮影時の工夫、画像整理、見せ方などの使い勝手の部分で差別化することが不可欠になっている。
■アップルにもらったヒントを生かす
――いま、気になっている他メーカーはどこか。
 我々として何とかしないとならないのは、やはりアップル「iPhone」だ。アップルは海外メーカーにもかかわらず、「AppStore」など新しいビジネスモデルを構築し、iPhoneをユーザーに浸透させた。我々も長年スマートフォンを手がけてきたが、なかなかブレイクできていない。iPhoneがヒントをくれたと思っており、10年にはいまの商品群にプラスして新しい取り組みをしていきたい。
――日本メーカーにとって対抗策はあるのか。
 日本のユーザーはNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルといったキャリアサービスを使っている。iPhoneもソフトバンクモバイルのサービスが一部入っているが完全ではない。我々が勝てるのはキャリアカスタマイズをしつつ、オープンな思想を取り込めるという部分だろう。それが我々の強みであり、海外メーカーに充分対抗できるところではないかと思う。
――スマートフォン市場は10年にどの程度拡大しそうか。
 いままでのスマートフォンはオープンなOSで、「ケータイ」とは別の世界だった。これからはキャリアサービスの取り込みも含めていままでにない形になっていくだろう。そうなるとユーザーの層が広がる。2台持つのは面倒だし、いずれ1台でいいようになっていく。その時はブレイクするのではないか。
■世に一石を投じるスマートフォンを出す
――先ごろ、グーグルの携帯OS「Android(アンドロイド)」への参入を表明したが、どのような製品になるのか。
 10年にスマートフォンの新しい流れができていくなかで、世に一石を投じるようなものを他社に先駆けて提供したい。あえて、11月17日の製品説明会でアンドロイド参入を表明したのはそういう意味だ。他の国内メーカーもアンドロイドをやるようだが、商品化はうちが最初になるのではないか。
――iPhoneはタッチパネルによる使い勝手も評価されている。シャープでもタッチパネルのユーザーインターフェース開発に力を入れているが、今後どのように展開していく考えか。
 タッチパネル機種が今後も増えるのは間違いなく、ユーザーインターフェースはますます重要な要因になっていくだろう。シャープには全社的にデザインを統括する組織があり、09年にはそのなかにユーザーインターフェースを専門に開発する部隊を新設した。冬商戦ではソフトバンクモバイルの「940SH」「941SH」で「スピンぐるメニュー」と呼ぶユーザーインターフェースを採用したが、我々の特色を発揮できる部分であり、さらに進化させていきたい。
■LTE時代は携帯もクラウドに
――10年末には次世代通信のLTEが始まる。携帯電話端末が今後数年でLTEに対応するようになると、どんな変化が起きるのだろうか。
 端末のなかで処理する機能が減り、(ネット経由でソフトやサービスを提供する)クラウドサービスが加速するだろう。さも端末内で処理したような感じだが、(実際はクラウド側がその機能を担って)ストレスなく操作できるようになる。
 そうした時代にはセンサーやタッチパネルといった入力デバイスがいままで以上に重要になるだろう。センサーで受け取った情報を加工してサーバーに上げて処理して戻すという機能が、端末を差別化する要素になる。デバイスやセンサー事業も手がけている我々は、その点で有利だろう。 

 アンドロイドを採用したスマートフォンで今年新たな勝負に挑むシャープ。キャリア仕様への対応は、おサイフケータイはすぐには実現しそうにないが、メールなどの対応は期待していいだろう。
 デバイス事業と連携し、マルチキャリア展開を行いながら、新たな市場への参入やユーザーインターフェースの機能向上にも取り組むシャープ。この攻めの姿勢が続く限り、業界トップの座はしばらく揺らぐことはないだろう。



グーグル元幹部、アップル製タブレットの1月発表を明かす--米報道
 言うまでもなく、有能なブロガーはみな、長年噂されてきたApple製タブレットについて、考えられるサイズや形状、仕様、発売日などをあれこれ論じてきた。だが今回、この件に関して意見を述べているのは、ハイテク業界の有名幹部である李開復(Kai-Fu Lee)氏だ。李氏は最近まで、中国におけるGoogle運営のプレジデントを務めていた。
 IDG News Serviceなどのメディアによると、現在中国で起業家精神の育成に取り組んでいる李氏は現地時間12月28日、中国語のブログに、Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が2010年1月にタブレット型デバイスを発表する予定で、最初の1年間に1000万台を生産する見込み、と書いたという。
 李氏の投稿によると、タブレットは10.1インチのタッチスクリーンを搭載し、特大の「iPhone」のような外観だという。ほかにも、仮想キーボード、3Dグラフィックス、テレビ会議と電子書籍のサポートといった特徴があり、価格は1000ドル未満になると書かれている。
 時を同じくして、ここ数日で出てきた複数の記事は、Appleがモバイル製品に焦点を当てたイベントを米国時間1月26日にサンフランシスコで開催する模様だと伝えている。それらの報道によると、AppleはiPhoneアプリの開発者たちに対し、iPhoneよりも大きなスクリーンに適したバージョンを開発するよう要請したという。



映画「アバター」最速17日で10億ドル突破
 【ロサンゼルス支局】最新の3D(3次元)技術を駆使したSF映画「アバター」(ジェームズ・キャメロン監督)の世界興行収入が3日、公開から17日間という史上最速で、10億ドルを突破した。
 歴代興行収入も、バットマンシリーズ「ダークナイト」(2008年)を抜き、4位に浮上した。ロイター通信などが伝えた。
 「アバター」はキャメロン監督の12年ぶりの新作で、22世紀の地球から離れた星を舞台とする。世界興行収入は、10億2200万ドル(約950億円)を記録。北米では、3週目の週末の興行収入が6830万ドル(約63億円)と、02年の「スパイダーマン」(4500万ドル)を上回り、最高を記録した。



「ツイッター」利用率3.7%、居住地は東京・神奈川に集中 民間調査
 アスキー・メディアワークス(東京・新宿)の調査部門、アスキー総合研究所の「ツイッター利用実態調査」によると、ツイッターの利用率は3.7%で、利用者の平均年齢は35.7歳だった。利用者の居住地は東京都と神奈川県を中心とする首都圏に集中していることもわかった。
 世代別では20歳代が男性の6.5%、女性の5.3%と最も多く、次いで30歳代、40歳代と続く。男女比では男性が57.5%とやや多い。ツイッターへのアクセスに使う端末はパソコン(94.3%、複数回答)が最も多く、携帯電話は42.5%、高機能携帯電話(スマートフォン)は39.1%だった。



「龍馬伝」初回は23・2%
 3日から放送が始まったNHK大河ドラマ「龍馬伝」の初回視聴率(総合テレビ)が、関東地区で23・2%、関西地区で21・0%だったことが4日、ビデオリサーチの調べで分かった。
 昨年の「天地人」の初回視聴率は関東24・7%、関西21・8%だった。



箱根駅伝、復路は27・9% 往路も27・2%
 日本テレビ系で放送された「第86回箱根駅伝東京箱根往復大学駅伝競走」で、2日(往路)の平均視聴率が27・2%、3日(復路)が27・9%(いずれも関東地区)だったことが4日、ビデオリサーチの調べで分かった。昨年と比べて往路で0・7ポイント、復路で0・4ポイント上回った。
 関西地区では往路が14・5%、復路が15・4%だった。



<紅白歌合戦>瞬間最高視聴率はドリカムの50%
 大みそかの第60回NHK紅白歌合戦の時間別視聴率が4日、ビデオリサーチの調べで分かった。瞬間最高は午後11時27分の50.1%(関東地区)で、DREAMS COME TRUEが出演した場面だった。特別ゲストの矢沢永吉さんと英国のスーザン・ボイルさんが登場した場面は、それぞれ42.5%と42.2%だった。



次世代OS「クラウド専用は主流にならず」 アップル上席副社長
 米アップルのフィル・シラー上席副社長(全世界マーケティング担当)がこのほど日本経済新聞の取材に応じ、「ウェブ閲覧に特化したパソコンは顧客が望むものではない」として、米グーグルが開発している閲覧ソフト(ブラウザー)中心のパソコン基本ソフト(OS)は主流にはならないとの見方を示した。アップルは8月に、従来のサーバー並みの処理速度を備えた新型OS「スノー・レパード」を発売したばかり。シラー氏は高性能パソコンへの需要持続に自信を示した。
 同氏はネット上にソフトやデータを置いておくクラウド・コンピューティングについて、「動画や写真、ゲームソフトなど、クラウド上に置いたままでは不便なデータやソフトがたくさんある。高性能なパソコンにクラウドが使いやすいブラウザーやソフトを搭載するのがパソコンの主流の姿になる」と述べた。グーグルはネット上にすべてを置いておくクラウド・コンピューティングを提唱し、クラウド専用といえるブラウザー中心のOSを開発している。



考えるだけで家電操作、日立が小型化 3~4年後実用化
 日立製作所は手を使わずに考えるだけで家電やロボットを操作できる小型機器を開発した。ヘアバンド型のセンサーを装着し脳の活動状態をとらえる。データを処理する装置を弁当箱大の大きさに収め、持ち運びを可能にした。リモコンが使えない難病患者向けに3~4年後をメドに実用化する。
 脳波や血流といった脳が出す信号を手掛かりに機械を操作する「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」技術を応用した。BMIはここ数年、国内での研究開発が盛んで、トヨタ自動車やホンダも研究を本格化させている。
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ネット選挙運動解禁、参院選から…民主方針
 民主党は公職選挙法を改正し、インターネット利用や戸別訪問を解禁して選挙運動を大幅に自由化する方針を固めた。
 ネット利用解禁は、1月からの通常国会に改正案を提出し、夏の参院選からの実施を目指す。戸別訪問解禁は参院選の公約に掲げ、秋以降に法改正する考えだ。
 公選法は選挙運動の公平性のため、配布できる文書類をはがきやビラなどに限っている。この規定に基づき、選挙中のホームページ(HP)更新も違法な「文書図画の配布」にあたり、禁じられると解釈されている。投票を依頼する目的で有権者の自宅などを訪れる戸別訪問も買収などを防ぐために禁止されている。
 これに対し、民主党では小沢幹事長らが選挙運動の自由化を主張している。政権公約(マニフェスト)選挙の定着などで選挙が政党中心に行われ、自由化が買収などにつながりにくくなったと判断している。昨年の衆院選で主要政党が選挙中にHPを更新するなど、ネット利用禁止がなし崩しになってきており、実態に即した改正を行うべきだという声も強まっている。
 ネット利用は、選挙中のHP更新だけでなく、電子メール使用も可能にする全面的な解禁とする方針だ。ただ、〈1〉投票日のHP更新は認めない〈2〉メールの送信対象は登録者に限定する〈3〉改ざんの恐れがあるため、選挙公報はネットに掲載しない――などの制限を加える案が出ている。
 自民党は、他人が候補者の名前をかたる「なりすまし」が容易なメールの解禁には否定的だ。民主党もなりすましや中傷の対策などをさらに検討する考えだ。
 民主党は5月末までに改正案が成立すれば、参院選でネット利用を解禁できるとみている。「インターネット選挙運動解禁研究会」(田嶋要会長)で検討し、議員提案で国会に提出する構えだ。一方、戸別訪問は1925年の普通選挙法制定以来、戦後の一時期を除いて禁止されており、解禁は選挙運動の抜本的な変化につながる。民主党は与野党協議に時間がかかると見ており、ネット利用解禁を先行させる考えだ。



nmsやフジスタッフ、人材派遣以外に軸足 規制強化にらむ
 人材派遣各社が労働者派遣法の改正をにらみ、製造請負や店舗の運営受託など請負・受託型サービスに移行する。派遣業から撤退して請負に転換したり、外食店舗への派遣を運営受託に切り替えたりする。リーマン・ショック後の生産調整などで国内派遣労働者数は3割近く減少。派遣法改正で規制が強化されれば、さらに需要が減るとみて、人材各社は派遣以外の業務に軸足を移す。
 製造業派遣大手の日本マニュファクチャリングサービス(nms)は3月末までにすべての製造業派遣契約を請負に切り替える。昨年12月に仙台、東京、大阪で請負への転換へ向けたセミナーを実施した。半導体製造請負のUTホールディングスも2009年末までに製造業派遣の契約をほぼゼロにし、請負契約に切り替えた。
 事務系、製造業など幅広く人材を派遣しているフジスタッフホールディングスは外食店舗の運営受託サービスに参入する。現在は外食店向けに人材を派遣しているが、この分野で派遣業の継続は難しいと判断した。



リクルート、美容情報サイトの掲載店舗を倍増
 リクルートは美容情報サイト「ホットペッパービューティー」を2010年2月末に刷新し、掲載店舗を増やす。対象店舗を現在の美容院から、マッサージやエステ、ネイルサロンなどに広げ、現在の7000件から掲載件数を倍増させる。月刊のフリーペーパー「ホットペッパー」と連動した広告料金を設定し、ネット広告収入を増やす狙い。
 同サイトは20~30代の女性が主な利用者。利用無料で店舗の特徴や価格を閲覧でき、予約も可能。美容サイトは「オズモール」や「ヤフー!ビューティー」などがあるが、リクルートによると、1万件以上の店舗をネット予約できるサイトは初めて。月間200万人いる利用者を、100万人上積みすることを目指す。


セブンイレブン、11年2月期も1000店出店 閉鎖500~600店
 コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンは2011年2月期も高水準の出店を続ける。今期の見込みと同数の1000店の出店を目標とし、駅構内など新たな立地を開拓しながらシェアを拡大する。一方で競争力が低下した店舗など500~600店を閉鎖し、チェーン全体の収益力を高める。
 来期は従来の立地に加えて、駅構内やガソリンスタンドの隣接地などへの出店を強化する。昨年9月に業務提携した京浜急行電鉄の駅に、10年2月末までに10店出店し、来期は約70店を出す計画。エクソンモービルとの共同出店も増やす。



米企業、10四半期ぶり増益 10~12月、最終益3倍に
 【ニューヨーク=山下茂行】米主要企業は2009年10~12月期に07年4~6月期以来、10四半期ぶりの最終増益に転じる見通しだ。金融市場が安定してきたことを受け、金融業の損益が大幅改善する。米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和などを支えに米景気が底打ちに転じていることも追い風で、最終利益は前年同期の3倍と異例の伸びになる見込みだ。
 米主要企業の最終利益は住宅バブルの崩壊が鮮明になった07年7~9月期から、統計開始以来で最長となる9四半期連続の減益が続いていた。米調査会社トムソン・ロイターによる昨年12月31日時点のアナリスト予想の集計では、米主要500社の10~12月期の売上高は前年同期比7%増、最終利益は同203%増。



米ネット通販、09年の年末商戦5%増 利用者増が後押し
 【シリコンバレー=田中暁人】米調査会社コムスコアは12月30日、米国の2009年の年末商戦期(11月1日~12月24日)のインターネット通販売上高(旅行を除く)が前年同期に比べて5%増の271億ドルだったと発表した。顧客当たりの売上高は微減だったが、ネットサービス普及に伴う利用者増が後押しした。
 ネット各社による宅配無料などの販売促進策が奏功したほか、クリスマス休暇直前の米東部の悪天候の影響もネット通販の利用増につながったとしている。商品別では家電の販売が特に好調で、08年に苦戦した時計や宝飾品も伸びた。
 08年の年末商戦のネット通販売上高は、景気低迷の影響で01年の調査開始以来、初のマイナス成長となっていた。



ロシアやカザフ企業、香港上場機運高まる 市場の信頼悪化懸念も
 【香港=吉田渉、モスクワ=金子夏樹】ロシアやカザフスタンなど旧ソ連の企業が香港株式市場への上場意欲を高めている。ロシアのアルミニウム大手、UCルサールは今月27日の上場を計画。産油国カザフスタンでも香港上場機運が高まっている。金融危機の傷跡が大きいロンドン市場から資金調達先をシフトする格好だが、業績不振の旧ソ連系企業の上場が続けば、香港市場の信頼を損ねる恐れもある。
 UCルサールは中国関連市場に上場する初のロシア企業となる。同社はアルミ世界最大手だが、M&A(合併・買収)による事業拡大に失敗。総額170億ドル(約1兆5800億円)近い債務を抱える。香港上場で調達した資金で債務の圧縮を計画している。



日経社説 未来への責任 若者が負担できる年金・医療 築き直せ(1/4)
 日本では生まれてくる赤ちゃんの数が減り続け、平均寿命は伸びている。それとともに経済の成熟度が一段と高まっている。少子高齢化のなかで年金や医療制度の持続性をどう高めるか。2010年代は、未来を生きる世代への私たち現世代の責任が問われる10年になる。
 子供の世代や、これから生まれる将来世代が大人になったとき、税金や社会保険料の負担はどうなるか。制度から受ける受益はどの程度か。
低負担・高福祉の無理
 それを見通しつつ年金と医療の再生に向け、負担と受益との関係を再構築する改革に取り組むときだ。
 税金など国や自治体に取られるお金は少ないほうがありがたい。一線を退いた後にもらう年金や病気になったときの医療は、手厚いに越したことがない。誰だってそう思う。
 そんな虫のよい話が続くはずもない。だが日本は戦後の一時期にそれを実現させた。1960年代から70年代前半にかけての高度成長期に、自民党政権は国民負担をさほど増やすことなく、年金や医療の大盤振る舞いに政策のかじを切った。
 福祉元年といわれた73年、高齢者医療を無料にしたのが典型だ。若くて豊富な労働力「団塊の世代」が社会に出た時期に重なる。人口ボーナスと呼ばれる現象だ。このボーナスによって、ときの政権は年金や医療を無理なく充実させられた。社会党など野党もその路線を後押しした。
 人口ボーナス期から数十年がたつと、かつて成長を支えた世代が高齢者になり、少子化の進行で現役世代の人口が相対的に減る時期が来る。これを「人口オーナス」と呼ぶ。オーナスは重荷を意味する英語だ。
 人口オーナス期は高齢層への財政支出が増え、現役に高い負担を強いる。また経済成長が阻まれやすくなる。これからの日本経済の姿だ。
 現役世代が背負う荷物がさらに重くなるのを、どう和らげてゆくか。
 まず高齢層に偏る給付の一部を若者に振り向ける必要がある。例えば年金への課税を強め、その税収を子ども手当の元手に回す。お金を配るだけでなく保育所の増設に民間の創意を生かす使い方を考えるべきだ。
 民主党政権の100日をみるかぎり、負担はあまり表面化させずに給付を充実させる方向を目指していると思わざるを得ない。有権者に聞こえのよい低負担・高福祉の路線だ。
 後期高齢者医療制度を廃止するのが典型だ。75歳以上の人への医療給付費を(1)国・自治体の税金(2)現役世代からの支援金(3)高齢者の保険料――の3財源で支えるしくみを壊してしまうなら、代わりの財源をどう工面するのか、展望を示してほしい。
 団塊の世代を含め、これからの年金や医療は高齢層も相応の負担を分かち合わざるを得ないのは、当事者も理解しつつあるのではないか。理解不足が残っているなら、その訳を粘り強く説明するのが責任政党だ。
 年金政策も今のところ無策に近い。長妻昭厚生労働相は記録問題には対応しようとしているが、肝心の制度改革は不熱心にみえる。
 足元ではデフレが会社員の賃金を直撃している。公務員でさえ給与が下がった。だが年金は物価が下がっても受取額に連動させない特例があるので実質的な価値は上がった。制度の盲点といってよい。放っておけば将来世代の保険料負担の上昇にしわ寄せされる。これも厚労相が説明を尽くし、直すべき課題である。
消費税増税、道筋つけよ
 65歳以上の人が総人口に占める割合が22%に達した日本は、高齢化の先頭を走る。政府推計では高齢化率は20年後に31%、45年後に40%を突破する。待っているのは14歳以下の子供が8%、15~64歳の現役人口が半数強といういびつな人口構造だ。
 少子化は克服すべき課題だ。だが出生数が増えても当面は働き手として年金や医療を支える側には回らない。即効性が期待できないのだ。
 それに備えて年金と医療の財源をいつ、どういう手立てで算段するのか、道筋を明らかにする時期だ。夏の参院選に向け、民主党は政権公約を見直して消費税増税への大まかな見取り図を示して戦ってほしい。
 国と自治体が抱える長期の借金残は860兆円規模だ。今は家計の貯蓄がそれを支えるが、高齢者が増えればその取り崩しが加速し、貯蓄率の低下となって表れる。向こう10年を見渡せば、政府は国債の借り換えに難渋する事態に直面する。そうしたときに備えておく必要がある。
 年金、医療の再生は野党も責任を負う。ちょうど1年前に民主、自民両党の有志の国会議員が共同でまとめた年金改革提言のように、党派を超え制度の安定を探る努力が不可欠だ。選挙になると有権者への甘言に走る候補者を減らす決定打になる。
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