((((;゜Д゜)))新聞

アップルの規約変更に戸惑うゲーム開発会社(COLUMN)
 米アップルがスマートフォン「iPhone」用OSの最新版「iPhone OS 4」の発表に合わせて4月8日にリリースしたソフトウエア開発キット「iPhone OS 4 SDK(ベータ版)」が開発者の間で波紋を広げている。iPhone用アプリケーション開発の根幹にかかわる規約変更が含まれていたためだ。
 議論となっているのは規約のうちの2点。1つは、iPhone用アプリがアップル独自のプログラム言語環境で書かれている必要があるという内容。もう1つは、何らかのツールなどを使って他のサービスのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)と連携するアプリは承認しないというものだ。
 これを厳密に解釈すれば、サードパーティー製のツールをiPhone用にコンパイルする形で開発したアプリは、条件を満たせないことになる。アップルとの対立が取りざたされる米アドビ・システムズはフラッシュのアプリをiPhoneで動作させるツールを販売しており、それを認めないように狙い打ちにしたのではとも言われている。
 しかし、アドビに限らず、iPhone用アプリにはゲームエンジンなどさまざまなツールが使われている。アップルがどこまで本気でこの規約を適用するかは明らかでないが、今回の規約変更に振り回されかねない企業は少なくない。
注目されていた欧州系ゲームエンジン開発会社
 Unity Technologiesというスウェーデン系の3Dゲームエンジン開発ベンチャーもその1つだ。iPhone用アプリ市場の急拡大に乗る形で成長したが、今回の変更で存続を揺るがしかねない問題に直面した。
 この会社は元々、「Mac」用ゲームエンジンの開発でスタートしたという意味で珍しく、さらに米国製が大半を占めるゲームエンジン市場では数少ない欧州勢として注目されていた。
 現行製品の「Unity for iPhone」は、ハードウエア1台あたりわずか300ドルで販売されており、フルバージョンの「Pro版」でも1200ドルと同水準のゲームエンジンに比べ格段に安い。同社サイトからのダウンロード数は、無料版も含めると10万件を超え、3Dゲームを開発する独立系企業のうち半数はUnity for iPhoneを使用しているとの推計もあるという。
 大手ゲーム会社の採用例も多く、米エレクトロニックアーツ(EA)は、ゴルフゲーム「TIGER WOODS PGA TOUR」のiPhone版でUnityを利用している。EAはこのシリーズをブラウザー上で動く「TIGER WOODS PGA TOUR Online」としても展開しており、こちらもUnityを使っている。
最新版をリリースする矢先に・・・
 Unity Technologiesは、今年3月に米サンフランシスコで開催されたゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2010(GDC 2010)」で、今夏公開予定のゲームエンジン「Unity 3」を発表した。この最新版の最大の特徴は、パソコンだけでなく「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」「Wii」といったマルチプラットフォームにボタン1つで完全対応する点だ。つまり、1つのゲームを家庭用ゲーム機からブラウザーゲーム中心のソーシャルゲームまで幅広く展開することが可能になるわけである。
 これはいまのようにゲームのプラットフォーム競争が混沌としている時期には、特に大きな意味を持つ。ゲーム会社は複数のプラットフォームに対応させることでリスクを分散したいと考えており、Unity 3は大ヒット製品に育つと見込まれていた。ところが、今回の規約改定が厳密に適用されれば、iPhoneではUnity 3を使ったアプリを展開できないことになってしまう。
 iPhone OS 4が発表された直後の4月10日、Unity Technologiesのデイビット・ヘルガソン最高経営責任者(CEO)は公式ブログで困惑気味に書いている。「iPhoneのエコシステムに大きな価値を加えてきたものをシャットダウンするのを、アップルは望むことはできないだろう」
 公式サイトにはこのトピックについて1400以上の投稿が寄せられ、議論が白熱している。14日には「今後アップルと協議する」「新しい情報が入り次第伝える」との趣旨の書き込みがあるが、先行きはまだ見えない。
DNAの出資先も同じ問題に直面
 同じような問題は、iPhone向けのソーシャルゲームに「Open Feint」というシステムを提供している米Aurora Feint(カリフォルニア州)も直面している。
 この企業には「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DNA)が出資しており、ハドソン、タイトー、バンダイナムコなど日本のゲーム会社での採用例が多い。ところが、アップルは今回のiPhone OS 4に合わせ、「Game Center」というほぼ同じ内容のサービスを提供すると発表した。「友達を誘う」「ランキング(リーダーボード)」「実績」といった機能は完全にOpen Feintと重なっている
 Open Feintは独自のAPIを様々なゲームに組み込む形で使用されている。そのため、アップルが規約を厳密に適用すれば違反となるだろう。場合によっては、全面的に使用できなくなる可能性もある。
 同社は公式サイトで、「Open Feintの機能を使い続ける意味があると、(ユーザーに)保証したいと望んでいます」と述べるにとどまり、今後の具体的なメドはたっていない。
「ひも付きデバイス」時代の新たな競争
 アップルがどのような態度に出るにせよ、今回の騒動は「ひも付き」デバイス時代を象徴する出来事といえる。iPhoneをはじめとするインターネット接続型のハードウエアは、ユーザーに販売された後もコンテンツ配信という仕組みでメーカーのひも付きになる。iPhoneというエコシステムの一翼を担ってきた企業でさえ、アップルのさじ加減一つで簡単に切り捨てられるリスクがあるのだ。
 一方、ユーザーもソフトウエアの継続的なアップデートを受けられるメリットの代償として、アプリの採否の決定権をアップルに委ねざるを得ない。アップルがあるコンテンツをオンライン配信サービスの「App Store」から排除すると決めれば、ユーザーは手に入れることができなくなる。
 アップルは、米グーグルの携帯向けOS「Android(アンドロイド)」や米ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Facebook」など、オープンなプラットフォームと競わなければならない。こうした厳しい規約を提示することで、開発会社を自社プラットフォーム内に囲い込む戦略に出ざるを得ないということだろう。デバイスのひも付き化が進むにつれ新しい競争原理が働き始めており、今後同じようなことが起きたとしても不思議ではなくなっている。



(そこが知りたい)書籍電子化 出版社どう対応? 角川グループHD会長兼CEO 角川歴彦氏に聞く 知的サービス業に脱皮を  米アマゾン・ドット・コムの読書端末「キンドル」に続いて米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」が日本でも発売される。角川グループホールディングスの角川歴彦会長兼CEOは新型端末の普及により、出版業界のビジネスモデルが一変すると説く。書籍の電子化の本質と可能性を聞いた。
 ――なぜ、電子化は出版界の危機なのか。
 「グーテンベルクが印刷技術を発明してから500年続いたビジネスモデルが、キンドルの登場で変わってしまったからだ。出版業は読者に書店で本を買ってもらう製造・流通モデルから、インターネット時代には知的サービス業になる。この変化を日本の出版界は頭で理解しても、行動をためらっている」
 「iPadに対し国内の出版界は受け身の姿勢が目立つ。悲観論さえ出ているが、リスクをチャンスに変えたい。日本は音楽配信で世界に通用するビジネスモデルを作れなかった。出版市場は6兆円と音楽の3倍あり、これを拡大しないといけない。官民挙げて日本型のコンテンツ配信プラットフォームを作ろうと提言している」
 ――角川では電子書籍にどう対応する。
 「iPadやキンドルにコンテンツを提供する。端末の普及で読者や出版市場は拡大するからだ。ただしアマゾンなどとの話し合いが前提だ。出版社に値決めする権利はないというアマゾンの立場に対し、出版社には著作者を守る義務と権利があると主張したい。電子では著作者の意に反して作品が容易に変容する懸念もある。出版社の役割を著者や読者に了解してもらったうえで、電子書籍のビジネスモデルを構築したい」
 「米国ではアップルやアマゾンと並び、出版のハースト社や書店のバーンズ&ノーブルも電子書籍サービスを展開している。ITの発達で出版系でもネットサービスが可能になった。電子書籍市場でアップルとアマゾンとグーグルが三つどもえの争奪戦をしているが、日本の出版社もビジネスモデルを提案すべきだ。電機メーカーや通信事業者も一緒に考えていいはず。米IT企業の情報植民地になってはいけない」
 ――出版は電子一辺倒になるのか。
 「日本の消費者はキンドルのような外国で生まれた知的サービスが好きだ。電子書籍を抵抗感なく受け入れる新しい読者に発信していける出版社だけが残っていく。変化を正面から受け止めれば紙の本の価値も見えてくるはず。電子か紙かではなく、電子も紙も、でいくことになる」



(日経春秋)
 「ゲームは、ないと生きていけないわけではない。需要が増え続けるとは限らない」。家庭用ゲーム機の生みの親といわれる任天堂の山内溥相談役は2002年までの社長在任中、こう語っていた。どんなに販売が好調でも冷めていた。
▼娯楽がなくても生活はできるし、任天堂の製品はどうしても必要なものではない。だから、ゲーム機もソフトもよほど面白くなければ買ってもらえない――。そう心得て開発に入念に取り組むのが山内流だった。画面を2つにし、遊べるソフトの幅を広げた携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」なども、その産物だ。
▼電車などが足代わりになる人は、自動車を持たなくても不便ではない。今の時代にはわざわざ百貨店に行かなくても、たいていのものは買うことができる。09年度の国内の新車販売台数は、ピークの90年度の6割強。百貨店の売上高も09年は91年の7割弱に落ちた。数字の変化は、必要の度合いも映しだしている。
▼任天堂は09年度に人気ソフトを思うように出せず、据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」の販売が鈍って減益になったようだ。なくても生きていける商品やサービスで、どうやって収益をあげるのか。山内流にならえば、はっきり特色を出して、消費者に新鮮な驚きや面白さを与え続けていくことが欠かせないのだろう。



日本経済新聞電子版(Web刊) 有料会員6万人突破 総会員数は30万人超す
 日本経済新聞社が3月23日に創刊した「電子版(Web刊)」の有料登録会員数が17日、6万人に達した。無料会員を加えた総会員数は30万人を超えた。
 総会員の2割が電子版のすべての記事や機能を利用できる有料会員として登録しており、世界の有料電子版の中でも高い比率になっている。
 有料登録会員のうち、7割強が企業や官公庁などに勤務。約4割が部長以上の経営幹部だった。20~30歳代の読者も3割強を占め、若い世代の登録も目立つ。
 電子版の有料会員は日経新聞の朝・夕刊のほぼすべての記事や電子版独自の解説記事やコラムをパソコンで読むことができる。携帯電話からの閲覧や登録したキーワードで記事を自動収集する機能も有料会員限定のサービスとなる。



4年後には10%に 消費税で民主・玄葉氏
 民主党の玄葉光一郎衆院財務金融委員長は18日のフジテレビ番組で、消費税率の引き上げについて「4年後ぐらいには確実に上がっている姿にしなければならない。10%はひとつの(目安となる)数字だ」との認識を示した。
 同時に「次期衆院選までは引き上げない。ここ1、2年で年金も含めた制度設計を行う」と強調。「基礎年金をすべて(全額税方式で)やるとなると、4%ぐらい必要だ。最終的には10%を超えざるを得ない」と述べた。



京都新聞社説
私鉄100年  地域と共に歩み続けよ
 京阪電気鉄道が、1910年に五条(現清水五条)-天満橋間の営業運転を開始してから、15日で100年となった。
 すでに阪急電鉄が先月10日に100周年を迎えたほか、近畿日本鉄道が9月16日に創業100年となるなど、今年は関西私鉄の節目の年に当たる。
 関西は私鉄王国といわれる。その延伸に伴い、人々の交流が盛んになったのみならず、沿線にまちが開けた。また、テーマパークや百貨店、劇場、球場などの文化と娯楽の拠点が、次々と設けられていった。
 いまや地域の大動脈であり、暮らしに欠かせぬ都市基盤である。節目の年を、これまでの歩みと現状、今後のあり方について、あらためて考える機会としてみてはどうか。
 100年前に開業が相次いだのは、偶然ではない。明治末期のこのころ、工業化や職住分離の進展で、単に市内を走るだけでなく、大都市間を高速で結ぶ鉄道の必要性が増していた。
 この中で、日本の資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一らが創立した京阪も、早くから特急を運転。54年には関西初のテレビカーを導入した。
 その後も、淀屋橋への延伸、鴨東線(三条-出町柳間)敷設、京都市営地下鉄東西線への乗り入れ、そして一昨年の中之島線開業を果たし、発展を続けている。
 社風は、物事に進んで取り組む「進取」という。少女歌劇を創設した阪急、甲子園球場を野球の聖地とした阪神などとともに、創業時の開拓者精神を忘れないでもらいたい。
 とはいうものの、少子高齢化の波が乗降客の減少というかたちで鉄道事業にも及んでいる。年間輸送人員は91年度に京阪が約4億2千万人、阪急が約8億1千万人を記録したのがピーク。現在は、その7割前後に落ち込んでいる。未来は決して明るくない。
 こうした状況を受け、阪急は京都線で特急停車駅を増やしたり、2003年に洛西口(京都市西京区)、先月14日に摂津市(大阪府摂津市)の2駅を新設した。並行するJRとのスピード競争を避け、地道に沿線の利便性を向上させる作戦とみられる。
 一方、京阪は観光による路線の再活性化を図っている。若い女性を案内役にした京都観光のキャンペーンはよく知られるが、それだけではなく、JRと接続する東福寺駅を東山観光の乗換駅として定着させたほか、四条を祇園四条とするなど駅名を観光地がイメージできるよう改称した。
 地域密着は沿線住民の望むところであり、観光振興は京都とその周辺にとって、なくてはならぬ戦略である。
 関西の私鉄は、地域との共生・協働を、より一層追求する時代に入った。そういえそうだ。
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(((゜Д゜;)))英字新聞

Hatoyama must join consumption tax debate

Leading members of Prime Minister Yukio Hatoyama's Cabinet have recently spoken in favor of increasing the consumption tax rate. The Hatoyama administration should not let their remarks simply be gestures to attract voters' attention for the upcoming House of Councillors election in summer; it must lead the way toward full-scale debate aimed at actually increasing the tax.
It was Finance Minister Naoto Kan who first spoke on the issue.
"As long as there are no problems with the way we use the increased revenue from a tax rate increase, the economy will improve," Kan said.
National Policy Minister Yoshito Sengoku made similar comments later.
"It'd be an insult to voters if we went into an election ignoring budget revenue reform," Sengoku stressed.
===
'Nation will go broke'
There is a subtle difference between Kan and Sengoku's arguments for a tax hike: Kan's top priority is fiscal action to help get this country out of its deflationary spiral, while Sengoku sees fiscal rehabilitation as his key concern.
They share a sense of crisis, however: If the situation is left as it is, the economy will not recover and the nation's finances will starve to death, as it were. It was rather late in the day for Kan and Sengoku to take the bold step of arguing for drastic reform of tax revenues, including reform of the consumption tax system, but it was a natural action for ministers tasked with guarding the economy.
In contrast, Hatoyama simply repeated he would not raise the consumption tax rate for four years while he heads the government during his current term as a member of the House of Representatives. The dominant opinion within Hatoyama's Democratic Party of Japan also is wishy-washy about a tax hike; the party feels the consumption tax rate should not be raised as it was not in the party's manifesto for the lower house election last year.
However, the government cannot get round an increase in the consumption tax rate if it wants to cover social security spending, which is increasing by 1 trillion yen annually, and rehabilitate the nation's finances at the same time.
Much of the public is coming to accept this, as clearly shown by the results of a March opinion poll by The Yomiuri Shimbun. In the survey, 66 percent of respondents said they approved of the government's decision to study the possibility of raising the consumption tax rate, well above the 28 percent who did not approve.
Economic organizations have also proposed a major increase in the consumption tax rate.
===
Don't evade discussion
Given this country's fiscal situation, it will be very difficult to suppress discussion of consumption tax reform. In the fiscal 2010 budget, tax revenue accounts for only 40 percent of the total expenditures of 92 trillion yen. The situation is truly critical.
The combined public debt of the central and local governments is estimated to be 862 trillion yen at the end of fiscal 2010, or 181 percent of the estimated gross domestic product. This is in stark contrast to other major nations, whose percentages of public debts account for between 60 and 70 percent of their GDPs.
The Hatoyama Cabinet is scheduled to come up with new policies on various economic issues by the end of June, including midterm fiscal targets, pension system reform and details of its new growth strategy. Whether these policies prove trustworthy will depend on whether the government can secure stable revenue sources. It has no hope of doing so without a consumption tax hike.
The government's Tax Commission has begun studying how to reform the consumption tax but has not yet started discussing whether the tax rate should be raised. It has just been waiting for politicians to decide what to do.
Opposition parties have criticized the Hatoyama Cabinet for "taking fiscal policy too lightly." Thus it is inevitable that the consumption tax issue will become a focal issue in the upper house election.
We hope Hatoyama will not look away from the consumption tax issue, but join in the debate openly and boldly.
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(゜Д゜;)y─┛~~新聞

携帯電波割り当て「世界標準に」 総務相発言で今後起きる革命(COLUMN)
携帯電話の電波割り当てについて、原口一博総務相は会見で、「日本独自」のものから「世界標準」のものに再編したい考えを明らかにした。もし実現すれば、新規事業者の参入や国際的な競争が進み、サービス向上、料金値下げなどが期待できる。しかし、既存の携帯電話会社にとっては脅威のようだ。
テレビのアナログ放送が終わり、2011年7月24日に完全デジタル化になると、電波の周波数割り当てに「空き」が出る。周波数の近いチャンネル同士の混信が少なくなるなどで、テレビの周波数割り当てを整理でき、電波の効率的な活用ができるからだ。
既存のテレビ局や携帯キャリア大手には脅威
「政治主導」の中身は?
しかし、既存のテレビ局や携帯キャリア大手にとっては、ライバルが増える脅威に晒されることになる。
そんな中で、原口一博総務相が2010年4月9日の会見で明らかにした「電波の再編成」はインパクトがあったようだ。このままでは国際的な競争に遅れてしまうなどとして、「世界標準」に合わせたい考えを示したものだ。
原口総務相は会見で「例えて言うと、高速道路の中に自転車道が何本もあるのではないか。その結果、世界標準とずれるということになれば、正に日本はまた、競争の基盤を失う、あるいは損なう」と訴えた。
「高速道路の中に自転車道」とは、どういうことなのか。
総務省の電波政策課によると、携帯電話などではこれまで、音声の情報が中心だったため、周波数を細切れで使っていた。ところが、画像やデータなど大容量パケット通信の情報が級数的に増えてくると、自転車道でなく、幅の広い本来の高速道路として周波数を使う必要が出てきたという。
そして、細切れの「自転車道」として、世界標準の周波数や通話方式に合わせていなかったため、国際的な競争に遅れる可能性が出てきたというのだ。
原口総務相は、政府内で問題提起をして議論しているとして、この日の会見で具体的な世界標準への再編策については言及していない。とはいえ、通信政策に詳しい経済学者の間では、それがどんなものなのか話題になっている。
「電波開国」でIT産業はよみがえる?
電波の「自転車道」について、総務省は、携帯電話の既存の周波数を「高速道路化」する作業はすでに進めている。さらに、テレビのアナログ放送終了後に残った跡地に当たる一部周波数について、2011年度以降に携帯用「高速道路」の一部として利用する考えだ。
この周波数割り当てについて、阪大の鬼木甫名誉教授(情報経済論)は、次のように指摘する。
「これは、日本独自のやり方です。世界標準とは違います。既存の携帯キャリア大手に電波を配るため、旧政権時代からの路線でやっていることですよ」
原口一博総務相の狙いは、この日本独自のやり方から転換し、世界標準に合わせることだと鬼木氏はみる。
「携帯の新規事業者から反対が出たのが大臣にも聞こえて、『それはまずい。検討し直せ』と気づいてくれたのでは。既存キャリア大手は、国際的な競争に巻き込まれて困りますが、第4世代(4G)の携帯電話が控えており、世界標準にしないと日本がますます孤立してしまいますからね」
携帯の通話方式が海外と違い、日本が取り残されてしまった過去の失敗がある。それだけに、また出遅れれば致命的な失敗になるということだ。
具体的な「世界標準化」として、原口総務相は、テレビ局が現在もマラソン中継に使っている周波数などの帯域を携帯電話用にも割り当てることを考えている模様だ。10年4月13日の会見で、この周波数帯が世界標準からずれている可能性を示唆した。
著名なブロガーで経済学者の池田信夫氏は、自らのブログで2010年4月9日、原口総務相の会見は政治主導で行われたもので、「『電波開国』でIT産業はよみがえる」と評価した。この周波数帯が使えれば、「ノキア・フアウェイなどの大手メーカーの端末が日本で使え、逆に日本の端末も世界に輸出できる」というのだ。
ただ、この周波数帯について、総務省の電波政策課では、「テレビ局などが受信設備を変えるのには、コストがかかります。それに、適切な周波数への移行先がないと、短期間で交通整理するのは難しい」と言う。
原口総務相がこうした課題をどう解決するのか。今後その「政治主導」の中身が問われそうだ。



世銀など経済安定へ大型増資 日本2.5兆円負担
 世界銀行など国際開発金融機関が相次いで増資に乗り出す。日米欧をはじめ加盟各国の合意を踏まえ、世銀は21年ぶりに大規模な一般増資で出資額を現在から約3割増やす。欧州復興開発銀行、アフリカ開発銀行も出資額を大幅に増額する。世界経済は2008年秋以降の金融危機、景気後退から脱しつつあるが、不安定さは消えず、国際的な支援の枠組みを強化する。途上国などの成長を促して先進国が外需を取り込みやすくする狙いもある。
 世銀と各地域の開発金融機関の増資額は合計で25兆円を超える見通し。日本はすでに増資を決めているアジア開発銀行なども含め2兆5000億円程度を追加出資することになる。金融危機に多額の財政出動で対応した主要国の政府には新たな資金負担となる。
 世銀は早ければ25日の世銀・国際通貨基金(IMF)開発委員会で増資を決める方向。各国の世銀への出資額は現在約1900億ドルだが、2500億ドル(約23兆円)程度に引き上げる。世銀は最貧国への対応で出資国を募る場合もあるが、今回のように加盟国に幅広く資金拠出を求める増資は1989年以来。日本は40億~50億ドル程度を負担する見通しで、出資比率は従来の約8%からわずかに低下するとみられる。中国の比率引き上げなど各国による出資額は調整が続いている。
 金融危機に伴う景気後退を背景に、世銀の新規融資の承認額は過去最高に膨らんでいる。世銀は途上国支援の資金枠を拡大して、財政難に陥る途上国や最貧国に長期資金を供給する方針だ。
 欧州復興開発銀も出資額を現在の5割増の300億ユーロ(約3兆7500億円)程度に増額することで加盟国がほぼ合意。5月半ばの年次総会で決定する見通しで、日本は7億ユーロ超を拠出する。ギリシャの信用不安などを背景に融資額が膨らむことに対応する。
 アフリカ開発銀も5月の年次総会で、出資額を2~3倍にする方向で調整している。米州開発銀行も約1000億ドルの出資額を7割増やし、貸出枠を倍増。アジア開発銀も出資額を3倍の約1650億ドルに増やし、2~3年の間に新規融資を100億ドル増やす方針だ。
 少子・高齢化といった構造問題に直面する先進各国は、今後の経済成長の源を新興、途上国に求める構え。開発金融機関の支援強化で、世界経済の回復や需要創出につなげたい考えだ。
 財政悪化に直面する日本政府は、一連の増資で大きな負担を求められる。資金拠出の大部分は、必要に応じて各開発機関が各国に要請する方式で、当面必要なのは1000億~2000億円程度とみられる。資金拠出には国会の議論を踏まえる必要がある。



NTTドコモ、出資先通じ印の第3世代携帯免許に入札
 NTTドコモはインドで現地の出資先会社を通じ第3世代(3G)携帯電話サービス免許に入札した。ドコモが26%を出資するインドの携帯大手タタ・テレサービシズ(TTSL)がインド政府の入札に応募し、免許取得を目指す。
 3G免許は複数の地域に分けて交付され、免許の枠は各地域ごとに3~4社となる見込み。インドでは外資系企業が出資する携帯電話会社などが10社以上ある。入札額などに応じて免許を取得する企業が近く、絞り込まれる見通し。
 3Gの携帯電話サービスは日本でドコモは「FOMA」として2001年にスタートした。海外ではまだ第2世代(2G)の方式が主流で、今後次世代への移行が見込まれている。ドコモが出資するTTSLはインド市場で「タタ・ドコモ」ブランドで携帯電話サービスを手掛けている。



(活字の海で)本以外の「モノ」売る出版社 目新しさで購買喚起
 出版社が本以外の「モノ」の販売に力を入れ始めた。有名ブランドのグッズを付録にした宝島社の「ブランドムック」は出版不況の近年にあって数少ないヒット商品。各社が参入し、書店の店頭は「何でもあり」になってきた。
 「付録付きムックもここまで来ました!」といううたい文句で、講談社が3月26日に刊行した「本」が、『我が家でミニ野菜をつくる1 ミニトマト』だ。梱包を解くと、「ここまで」のニュアンスがよくわかる。重量比で大半を占めるのは土。講談社が書店で土を売るようなものだ。
 種苗大手のサカタのタネと共同開発したもので、培養土、ミニトマトの種、錠剤状の肥料、折り畳まれた栽培ポット入りの栽培キットが付く。冊子は20ページと薄く、むしろこちらが付録にみえる。
 3月中旬、書店の店頭に一見パウンドケーキのような箱が積み上がった。これも本。世界文化社の『Paris発、パウンド型で50のケーク』だ。昨年末に初版2万部で刊行したが、想定以上の反響で完売書店が続出。増刷分がようやく店頭に並んだのだ。
 パッケージを開けると、ハードカバーのレシピ本、シリコン製のケーキ型と木製のスプーンが現れる。高価なものが多いシリコン型付きで1800円という値ごろ感がヒットにつながった。「意外に男性にも受けている」と編集を担当した別冊家庭画報編集部の伊藤尚子編集長は話す。
 100万部を完売した『イヴ・サンローラン』など、ブランドムックで気を吐く宝島社は、CDとブランドグッズを組み合わせた商品など品ぞろえを拡充している。昨秋刊行し、「増刷」を重ねる『禁煙・減煙キット』は、電子タバコ一式のほかには冊子すら付かない割り切りようだ。
 本以外を扱うには、独特なノウハウもいる。たとえば、講談社の栽培キットの場合、流通過程で土がこぼれないようにするなどの工夫が必要で、開発に2年費やした。世界文化社の『ケーク』は海外生産ということもあり、機動的に増刷対応ができない。
 それでも「集客力を高めるため、書店からは目新しい商品を求められる」と講談社雑誌第一販売部の大槻嘉嗣氏はいう。電子書籍が話題になるなか、対抗上リアルならではの「モノ」を書店が求めるのも道理だ。双方への目配りの中で、「出版」という概念が更新を迫られている。



(日経社説)若い企業と伸びる事業にもっとお金を
 日本という国から、企業がゆっくりと消えている。2004年から06年にかけて年平均で全企業の6.2%が廃業した。開業した企業の比率は廃業率を下回る5.1%。1983年には東京都大田区に9000あった工場が、08年は4000と半分以下になった。
 東京証券取引所の上場企業数は、最も多かった06年末の2416社から3年連続で減り、09年末には2334社になった。
米では年金が後押し
 新顔の企業が現れないと、経済は元気にならず、雇用の場も広がらない。
 会社の設立を助け、経営の面倒も見て上場へと導く。そんな金融の機能が向上すれば、新しい企業も生まれやすくなるのではないか。
 米国ではベンチャーキャピタルという投資会社が、起業から上場までの道のりで大きな役割を果たす。投資先の企業は雇用者全体の約1割に当たる1200万人の職を創出し、経済全体を押し上げている。
 リーマン・ショックで米国型金融は機能しなくなったという指摘もあるが、成長分野へのお金の流れは脈々と続いている。昨年9月にはベンチャーキャピタル会社がカリフォルニア州職員退職年金基金などから資金を集め、金融危機後では最大級の10億ドルの環境技術向け投資ファンドを設立した。
 米国では長期の運用成果を求める年金がお金の出し手であるため、創業間もない企業にも投資できる。単に投資するばかりでなく事業戦略を経営陣と練り、会社の成長を促す。企業は銀行借り入れと違って返済義務がない株式で長期資金を調達し、思い切って事業を広げられる。投資家も上場時の株式値上がり益という形で成長の果実を得ることができる。成長と成功の仕掛けだ。
 これに対し日本のベンチャー投資額は09年度には前年度に比べ半減し、約700億円に落ち込んだもようだ。米国は円換算で約1兆6000億円と日本の20倍以上で、IT(情報技術)分野への投資も多い。
 日本のベンチャーキャピタルの多くは、銀行や証券会社の傘下にある。親会社が四半期決算を意識せざるを得ないので、長期運用をしにくいという問題がある。こうした制約のない長期資金の出し手はないのか。
 東大は研究成果を事業化するために、自前のベンチャーキャピタルを04年に設立した。5年間の運用からは4社の上場企業が誕生した。また、インターネット企業のグリーを支援して、上場させたベンチャーキャピタルも金融機関の系列ではない。
 独立した技術評価と運用の専門家を育て、年金などのお金を引きつける。その流れが大きくなれば、リスクを避け債券などに滞っているマネーを解凍させ、ベンチャー企業育成による経済の活性化も実現できる。
 個人のお金が若い企業に直接回るためのパイプも太くしたい。
 上場株式の譲渡益や配当への税率を10%に軽減する今の証券税制は、12年から20%の本則に戻る予定だが、移行は慎重に考えるべきだ。仮に本則税率に戻すにせよ、金融商品の間で損益を通算できる金融所得一体課税の範囲をできるだけ大きく広げるなど、個人が投資のリスクを取りやすくなるような配慮が必要だ。
眠る技術を掘り起こせ
 未公開のベンチャー企業への投資は、08年度の税制改正で投資額を所得からも控除できるようになり、その分だけ税の負担は軽くなった。この制度を利用して資金繰りの苦しさを乗り切り、上場する企業も出始めた。「設立3年未満の企業への投資に限る」といった制限を緩めればお金はさらに流れ、上場を目指す企業が増えるのではないか。
 大企業が生かしきれない技術は、外のお金や経営ノウハウを使って伸ばす仕組みも考えたい。
 NTTグループは90年代に開発した検索事業「goo」を自前で育てる方針をとってきたが、世界シェアの6割強を握ったグーグルとの差は大きい。将来が不確実な事業を投資会社が評価し買い取るようなシステムがあれば、事情は違ったはずだ。
 その意味で東芝が検討する、米原子炉開発ベンチャーのテラパワーとの技術協力に注目したい。
 東芝には安くて安全な小型原子炉をつくる技術がある。テラパワーを設立した米国の投資ファンドには資金がある。新興国向けに需要が伸びそうな小型原子力発電の事業に備え、東芝がファンドと組む格好だ。
 電子部品大手アルプス電気は、政府が9割出資する産業革新機構と環境対応部品の新会社をつくる。大学との研究成果を生かすのが狙いだ。
 企業も政府も眠れる技術を発掘し生かす動きに弾みをつけるときだ。
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